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イラク人質事件は、実行犯ではなく被害者の側を袋叩きにした。あの事件以来、「バッシング」という現象に興味を持ち始めている。和歌山県太地町で行われるイルカ追い込み漁を「告発」した映画「ザ・コーヴ」が、アカデミー賞を受賞した。私はこの映画を見ていないので、映画そのものの批評をすることは出来ない。ただ、ルイ・シホヨス監督の「バッシングではない、日本人へのラブレターだ」という発言に、疑問を持った。なぜなら、撮影に挑む姿勢と矛盾している。物騒な戦闘服姿で太地町内の私有地に不法侵入した挙句、「官憲に追われてのレジスタンス活動」を匂わせる気取った格好付け・・・そんな人からのラブレターを有り難く頂戴するはずはない。ファットマン(長崎型原爆)の尾翼に「愛を込めて」などと落書きをするのがアメリカの流儀、ラブレターとは、つまり挑戦状に他ならない。マイケル・ムーア監督「キャピタリズム:マネーは踊る」は選外マイケル・ムーア監督と言えば、私は「シッコ」が記憶に新しい。「テロより怖い医療問題」・・・高騰する医療費に苦しむアメリカ国民の姿を描いたドキュメンタリーだ。映画「シッコ」監督が激賞した「自動開閉便座」日本のメディアは、「シッコ」に対してほとんど反応が無かったようだ。日頃、医療界に対する「バッシング」が散見されていたにもかかわらず、である。さて、「キャピタリズム:マネーは踊る」では、リーマンショックで明るみに出た金融業界の暗部に、監督がメスを入れる、というもの。ウォール街に「例の拡声器」を持って吠える監督の姿は「いかにも」という感じだが、アメリカの文化人は、「全世界に迷惑をかけたアメリカ金融資本より、和歌山県の小さな漁村の方が癪に障った」ようである。東京→大阪→そして広島・・・ムーア監督の軌跡 ここからは、ウィキペディアに全面的に頼るお話になるが、昨年12月、「キャピタリズム:マネーは踊る」のPRの為にマイケル・ムーア監督が来日した。自動開閉式便座に感激したという監督、東京証券取引所で記者会見を行った後、彼が尊敬する原一男大阪芸術大学教授の授業を聴講するために一路大阪へ。大阪芸大はVIPの電撃来校に沸いたようだ。原一男監督作品「ゆきゆきて、神軍」は、ムーア監督に多大な影響を与えたという。監督は広島市の原爆資料館を4時間かけて丹念に見て回ったという。物々しい戦闘服姿の何某と、なんという違いであろうか。こういう律儀な人間を大事にせねばならない。 「SS事件」の被害者:第2昭南丸が横浜海上防災基地に到着「SS=ナチ親衛隊ではなく、反捕鯨団体シー・シェパード」の妨害行為を受けた調査捕鯨船第2昭南丸が、海上保安部の実況見分を受けるために横浜港へ到着した。13日の新聞報道によると、同船は農水副大臣の出迎えを受け、さらに事件に同情を寄せる市民多数が詰め掛けたようだ。有名な赤レンガ倉庫に近い海上防災基地に、北朝鮮の工作船を展示した資料館があり、去年見学させていただいた(→詳しくはこちら)。海の安全は私たちの生活と切り離して考えることは出来ない~そのことを大いに考えさせられる。
2010.03.13
NHKクローズアップ現代で、イラク復興支援活動に取り組む高遠菜穂子さんが紹介された。イラクで人質にさえならなければ、私は彼女の名前すら知らないまま終わっただろう。 こんなことを思い出す。人質の救出に多額の費用がかかる、という報道を知った在外邦人が、外務省に寄付を申し出たけど断られた、という投稿記事を新聞で読んだことがある。この人は、人質とその家族が袋叩きに遭っている祖国の現状を知らない。非難すべきは実行犯であって、テロとの戦いを貫徹するのだから、自分も何かをすべきである・・・と思ったのだろう。「国が自分に何をしてくれるのか、ではなく、自分が国のために何ができるのかを考えよう」~J.F.ケネディの言葉に従った、如何にも欧米的な愛国心と言える。安全な場所に居ながら、バッシングをネタとして消費してしまう私たちは何だったのか、改めて自問自答したくなった。 日本における人質バッシングについて、米国のパウエル国務長官(当時)はこう言った。「確かに、危険な地域に入る者は誰もがそのリスクを認識しなければならない。しかし、誰もリスクを冒さなかったら、私たちのさらなる前進はない。」 イギリスではブレア元首相を証人喚問するなど、リスクを取った行動に対する厳しい追及が行われている。イラク戦争を批判するだけで、ブッシュ何某からテロリスト扱いされた時代もあった。物事の白黒は、そう簡単に付けられない。後で評価がひっくり返ることなど、いくらでもあるのだ。高遠菜穂子さんの評価云々についても言えると思う。イラクディナールへの投資話にご注意を 復興の道のりも険しいイラク、この国の通貨 「イラクディナール」 に投資することを謳うサイトがある。「イラクディナールは史上最低レベルに暴落している、いまイラクディナールを保有しておけば、復興と同時に値上がりする」「1980年の水準に回復すれば、今の水準の300倍くらいになる」「提供価格15万7千円のセットの期待収益は1億円!」イラクディナールは、国際通貨としての効用を認められておらず、銀行で換金することも出来ない。だから「イラクディナールの紙幣」を買うという行為になる。業者によると、紙幣の換金保証をしているから安心なのだそうだ。ここで疑問に思うことがある。未公開株の「勧誘」を見てていつも不思議なのは、必ず値上がりするモノをなぜ売ろうとするのか。あなたが後生大事に持っていればいいではないか、と思うことがある。それと、本当に300倍くらいの値がついたとき、この業者に対して換金を求める人が殺到することになる。業者はどうやって日本円の現金を用意するつもりだろうか。そもそも、イラクディナール紙幣を保有しているのは、イラク国民である。彼らは数年後、日本に移住すると、みんな億万長者になれることになる。宝くじのつもりで買う、という人もいるだろう。コレクションとして買う人もいるかもしれない。困るのは、自分の財産をつぎ込んでしまう人が出てくることだ。日経マネーまでこの話題を取り上げているには驚いたが、日経マネーが記事にしているくらいだからと、業者のセリフを鵜呑みにする人が出てくる可能性もある。 はっきり言う。紙幣を後生大事に持っている自分だけが大金持ちになる、なんてことはあり得ない。 ←楽天市場では、もちろんコレクションとしての取り扱いだ。アフリカのジンバブエ100兆ドル札~これを見て思ったこと アフリカのジンバブエが超インフレで経済破綻した。私はネットオークションで100兆ジンバブエドル札を買ったことがある。既に通貨の流通は停止されていたので、あくまでコレクションとして購入した。 信用力のない通貨は、みんな持ちたがらない。すぐ使ってしまわないと紙くずになるからだ。イラクディナールだって、これに近い状況と言える。経済が回復したからって、紙幣を後生大事に持っていた自分だけが億万長者になることはない。なぜかって・・・経済が回復すると、やはりインフレになるからだ。デノミを行って、だぶついた紙幣を淘汰する必要もあるだろう。昔に戻るのは「デフレ」という訳で、新興国ではまず有り得ないだろう。為替という問題を見ても・・・一度経済破綻した国が復興する為替水準が元に戻るとは限らない。貧しい国は、まず外資を導入しないと油田の開発も出来ないから、必然的に借金だけ抱える。イラクは13兆円の対外債務を抱えているのだ。通貨安を利用してダンピング輸出しまくって外貨を稼がないといけない。通貨が高くなっても困るのだ。こうした状況で「通貨が相対的に数百倍の高値を付ける」ことの可能性を考えねばならない。経済発展したけど対ドル相場が「元に戻ってない」国の代表は、もちろん日本である。太平洋戦争敗戦後のインフレの後に、とりあえず1ドル360円としたが、今でも1ドルは90円くらい。4倍くらいにはなったが、戦前は1ドル=2円くらいだった。対米黒字を積み重ねても、インフレ前の為替水準に戻すことは不可能であることを物語っている。なぜって、為替は相対的な問題だから、昔と今を比較しても意味がないのだ。これはイラクについても言える。フセイン政権時代の物差しと 「今」 を単純比較することの是非を考えなければならない。補足~イラクディナール購入でトラブルの報道がついに国民生活センターが警告を発するに至った(6月24日付)。すでに2千万円近く購入した被害も報告されている。必ず儲かる!と勧誘すること自体が不当だからだ。必ず大量破壊兵器はある!と勧誘され、大勢の人が騙されたこともあった。騙そうとする人々は、イラク人質被害者よりも、よっぽど批判されるべきだと思うが、いかがであろう。不毛なバッシングに加担した方々、今一度再考を願う。
2010.03.07
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