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2025年02月20日
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テーマ: 読書(10005)
カテゴリ: 読書
​「大使とその妻 上・下」 水村美苗/著


【内容】
2020年、翻訳者のケヴィンは軽井沢の小さな山荘から、人けのない隣家を見やっていた。
親しい隣人だった元外交官夫妻は、前年から姿を消したままだった。
能を舞い、嫋やかに着物を着こなす夫人・貴子。
ケヴィンはその数奇な半生を、日本語で書き残そうと決意する。
失われた「日本」への切ない思慕が溢れる新作長篇。

【著者】水村美苗 (ミズムラ・ミナエ)
東京生まれ。12歳で渡米。イェール大学仏文科卒業、同大学院博士課程を修了。
いったん帰国ののち、プリンストン、ミシガン、スタンフォード大学で日本近代文学を教える。1990年『續明暗』で芸術選奨新人賞を、1995年『私小説 from left to right』で野間文芸新人賞を、2002年『本格小説』で読売文学賞を、2008年『日本語が亡びるとき――英語の世紀の中で』で小林秀雄賞を、2012年『母の遺産 新聞小説』で大佛次郎賞を受賞。


この人の作品は初めて読んだと思う。
新聞か雑誌の書評で興味を持ち、図書館で予約したのだが、
上下セットで予約していなかったため、最初に下巻がきてしまい、
慌ててそれを返して上巻を待った。
しかし、上巻を読了後に下巻が届くまでにまた時間がかかり、
何とも間延びした読書となってしまった。

しかし、その内容はとても興味深いことの連続だった。
その理由は色々あるのだが、まず設定が面白い。
語り手はシカゴ育ちのアメリカ人なのだが、色々な事情で日本に来て
日本人以上に美しい日本語で物語る。
彼が別荘として選んだ軽井沢の隣人が、南米勤務が長かった外交官夫妻。
その妻貴子は、ブラジル移民二世なのだが、彼女の生い立ちや思い出を通して、
日本人のブラジル移民の実態を詳しく知ることができた。
苦しい移民としての暮らしの中で、日本に対する望郷の念や憧れが強まっていくのは、この作品を通して胸に迫ってくる。
そして、戦前・戦中・戦後の移民の人達や日本社会の変遷の姿があぶりだされ、
「日本とは何か、日本の伝統や価値観の優れたところは何か」などを次々と考えさせられた。
それは、先日読了してブログにも書いた
「たった独りの引き揚げ隊 10歳の少年、満州1000キロを征く」 を読んだ時にも感じたことであった。
感想の詳細を書くことは時間がかかりすぎる気がするので割愛するが、
あらためて日本人のありようを考えさせられた小説であった。

水村美苗さん「大使とその妻」 12年ぶり長編小説「今はない日本をたぐり寄せたい」

なんだか、日本人はみんな、過去の日本に憧れ回帰したいと願って、結局は現実に挫折し続けているような気がしてきた。
でもそれは、過去と比較するから失望しているだけで、昔から日本は海外の影響を強く受けつつも、何とか生き延びてきたではないか。
現在残っている伝統がや価値観が、現在生きている私達に活力を与えてくれるなら大切にしなくてはならないが、
過去の亡霊にしがみついて勝手に挫折するのはやめたいし、今を生きるのに息苦しくなるのであれば、ずっと日本人がやってきたように不都合なことは潔くやめてもいいいうのが、今の私の思いである。





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最終更新日  2025年02月20日 09時11分59秒
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