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2026.06.03
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カテゴリ: 報徳
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二宮翁逸話

34 翁の嘆息

 翁が嘉永6年の2月に日光御神領地の仕法を命ぜられた時、涙を流していわれるのに
「俺は土地の開拓よりは人間の開拓をする積もりである。
それに、また俺に土地の開拓を申し付けるか」と嘆息やや久しうしたということである。
翁は荒地の開拓をもって最も大切なることとしたけれども、更に大切なることは、荒地の開拓よりも、心田の開発である。
「一人の心の田地が開発されれば万頃(まんけい)の荒蕪地あるも恐るるに足らない」と言われたのはこの消息を洩らしたのであろう。


二宮翁夜話残篇

【24】尊徳先生がおっしゃった。
私の生涯の事業は、すべて荒地を開くことを勤めとする。
田畑が荒れたり、また負債が多いのは、ともにこれは国家の生産の地でもあり、その人のために荒地でもある。
また廃地や税金と村費だけの収穫があつて、利益のない田畑や、また身体が強壮にもかかわらず怠惰に日を送る者は、ともに自他のために荒地である。
資産があり金力がありながら国家のためになることをなさないで、いたずらに贅沢にふけり、財宝を費す者がいる、これは世の大きな荒地である。
また智慧もあり才能もあって遊芸に生涯を送る者がある、これも世の中の荒地である。
これらの数種の荒地はその原因は心田が荒地となっていることに原因があるから、私の道はまず心田の荒地を開くことをを先にしなければならない。
心田の荒地を開いて後は田畑の荒地に及んで、この数種の荒地を開いて熟田とするならば、国の富強はてのひらをめぐらすようであろう。


二宮翁夜話巻の2

【21】弘化元年8月、幕府より日光神領の荒地を復興するよう申しつける見込みの趣意書を、調査して仕法書を差し出すよう、尊徳先生に命じられた。
私(福住正兄)の兄の大沢勇助は江戸に出て、お悦びを尊徳先生に申しあげた。
私は先生に随っていた。
尊徳先生はおっしゃった、
私の本願は、人々の心の田の荒蕪(こうぶ)を開拓して、天から授った善種である、仁義礼智を培養して、善種を收獲し、また蒔返し蒔返しして、国家に善種を蒔き弘むることにある
それであるのにこのたびの命令は、土地の荒蕪の開拓であるから、私の本願と違っているのはあなたの知るとこれではないか。

本意に背いた命令ですが、命令であればやむをえません。
及ばずながら、わたくしもお手伝いいたしましょうと言うのなら悦びもしよう。
そうでなければ悦ばない。
私の道は、人々の心の荒蕪を開くことを本意とする。
心の荒蕪一人開ける時は、土地の荒蕪は何万町あっても憂えるにたりないのだ。

あなたの村のように、あなたの兄一人の心の開拓ができただけで、一村が速かに一新した。
大学に、「明徳を明らかにするにあり、民を新たにするにあり、至善に止まるにあり」という。
明徳を明かにするとは、心を開拓することをいう。
あなたの兄の明徳が、少しばかり明らかになるや、すぐに一村の人民が新(あら)たになったではないか。

「徳の流行(りゅうこう)するのは、置郵(ちゆう)して命を伝えるより速やかである」(「孟子」公孫丑・上:徳が人々に伝わっていくのは、命令が飛脚で伝わっていくよりも速い。)というのはこのことである。
帰国したら早く至善に止まるの法を立てて父祖の恩に報じなさい、これがあなたが専務する事である。」





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最終更新日  2026.06.03 00:00:11
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