2024
2023
2022
2021
2020
2019
2018
2017
2016
2015
2014
2013
2012
2011
全25件 (25件中 1-25件目)
1
只今、公開中です。"BRIDGE TO TERABITHIA" 監督・・・ガボア・クスポ 原作・・・キャサリン・パターソン 『テラビシアにかける橋』(偕成社刊) 出演・・・ジョシュ・ハッチャーソン、アンナソフィア・ロブ、ズーイー・デシャネル、ロバート・パトリック、ベイリー・マディソン、ケイト・バトラー、デヴォン・ウッド、エマ・フェントン、グレイス・ブラニガン、レイサム・ゲインズ、ジュディ・マッキントッシュ、他。 ・物語序盤・田舎町で暮らす小学五年生のジェス・アーロンズは、学校ではいじめっ子の同級生達に嫌がらせを受け、家庭では女ばかりの兄弟達と、苦しい家計の遣り繰りに追われる母、冷淡な父に囲まれ、常に疎外感を持っていた。そんなある日、彼のクラスにレスリー・バークという、都会的な少女が転校してくる。レスリーは男の子だけが参加できる駆けっこで、ジェスを抜いて一番になる。ジェスに興味を持ったレスリーだが、ジェスは不機嫌だった。家まで付けてきたのかと詰るジェスに、レスリーは自分の家が彼の隣家である事を告げる。レスリーの両親は作家で、家庭は裕福だったが、仕事に没頭する両親の元で、彼女は孤独だった。向こう気が強く、才気煥発で自由奔放なレスリーは、学校では変わり者として浮いている存在。しかし孤立する者同士、ジェスとレスリーは、徐々に打ち解け、親友となってゆく。二人は家の裏手にある小川の上にぶら下がっているロープを見付け、その先の森へと探検に向かう。空想力の豊かなレスリーは、そこを二人だけの王国テラビジアと名付ける。木の上に、古びたツリーハウスの跡を発見した二人は、そこを秘密の砦とし、王国の支配者となって、毎日楽しい時間を過ごすのだった。 もう後半、涙腺開きっ放しですわ。周囲に誰も居ないのを幸いに、鼻水垂らして、泣きたいだけ泣いてやりました。(^^♪映画が終わった後、映画館のトイレの鏡で自分の顔を見たら、ホラーでした…。笑。矢張り、映画はがら空きの映画館で、独りで観るに限るなぁと、実感した一本。元々、全く観る気無しでした。また原作、児童向けファンタジー小説でしょ…という感じで、ジャンル的に食傷気味だったので。しかし泣けるというレビューを読み、俄然観る気に。でも正直、少しうるっと来る程度だよねと、高を括っていました。前半は普通の子供達のお話。学校でも家庭でも心を閉ざし孤立している少年と、都会から転校してきた奔放で明晰な少女。団体生活には馴染めず、変わり者として浮いている二人が、次第に心を通わせ、親友となってゆきます。作家夫妻の娘であるレスリーは空想の天才。川向こうにある森を、二人が治める王国テラビシアと名付け、様々な不思議な生物達が棲む御伽の世界に。レスリーが創り出す、架空の敵と戦い、王国での生活を楽しむジェス。この辺りの映像世界は、大人が鑑賞するには、多少興醒めしてしまう危険性あり。こういうピュアな空想は、大人には厳しいですからね。ただ小学校で繰り広げられる、子供達の遣り取りに、自分が子供の頃に味わった、学校という場所で生き抜く苦労を思い起こしました。子供社会には子供社会の厳しいルールがあって、学校はサバイバルの場で、渡世術が求められるんですよね。上手く立ち回らねば、たちまち浮いてしまうし、イジメの標的になる。学校を仕切っている強面の上級生グループも居る。しかし強者の権力も安泰ではなく、一度しくじれば、支配者の座から転落して、かつて徒党を組んでいた仲間達から迫害を受ける負け犬の身となる。自分も子供なりに知恵を絞って、必死に身を守って生きてたよなぁと、昔を思い出しました。大人社会も厳しいけど、子供社会も厳しいのだ。また家庭生活も然り。同じ親から生まれた子供だからって、平等に愛されるものじゃない。親も人間だから、我が子でも馬の合わない奴は居て、どうしても自分が可愛いと思う子を贔屓する。虐待されている訳ではないけれど、愛情に温度差がある事を無視できる程、図太くも鈍感にもなれない。腹を立てられる状況でもなく、ただ心に行き場の無い寂しさが募ってゆくだけ。そして自分を守る為に心を閉ざす子供に、親の気持ちは益々扱いづらい奴だと離れてゆく…。一方、愛情はたっぷりあるものの、自分達の仕事に没頭し、それを注ぐ事を忘れがちな両親を持つ少女の心も哀しい。明るく強い子を演じ、幸せな空想に生きるのが、彼女に出来る唯一の自己防衛。彼女は、勉強も運動も誰にも負けない、親に迷惑を掛けず、将来を期待させる理想の子供だ。だが、心に生じた空洞は、フツーの同級生達から、自然と自分を遠ざける。境遇や性格は全く違うが、孤独という共通項で、強く結ばれたジェスとレスリー。それでも悲しみは唐突に訪れる。そしてその悲劇の裏側に、一瞬自分の心に過った親友への疎外感が関係している所が、更に痛い。悔んでも悔やんでも、もう取り返しは付かない。自分を責め続けるジェスは、心無い言葉を投げ付けてきた、いじめっ子に殴り掛かる。意地悪だと思っていたオバさん先生、実はメチャ思い遣りある人なのよねー。後半の展開には、正直、こう来るかー!と胸をズドンと打ち抜かれましたね。現実を目の前にしても、嘘だよね、ファンタジーだもん、このまま放置しないよね、と受け容れたがらない自分が居ました。後は、ずーっとエンディングまで泣き通し。。・°°・(;>_
Jan 31, 2008
只今、公開中です。"SILK""SETA""SOIE" 監督・・・フランソワ・ジラール 原作・・・アレッサンドロ・バリッコ 『絹』(白水社刊) 出演・・・マイケル・ピット、キーラ・ナイトレイ、役所広司、芦名星、中谷美紀、アルフレッド・モリナ、國村隼、本郷奏多、ケネス・ウェルシュ、マーク・レンドール、カラム・キース・レニー、他。 ・物語序盤・19世紀のフランス。戦地から両親の暮らす生まれ故郷の町へと一時帰還した青年エルヴェは、美しいエレーヌと出会い、恋に落ちる。エルヴェの父は元軍人で、現在は町長を務める名士。そこへバルダビューという男が現れ、紡績工場を作りたいと、ジョンクール町長に持ち掛ける。エルヴェが再び出征している間に、バルダビューは事業を成功させ、工場を四つに増やして、町はその収入で潤っていた。父は息子に軍人として功績を上げさせたがっていたが、エルヴェ自身は軍人という職業に熱意を持てないでいた。そんな彼にバルダビューは、貿易商として働く道を勧める。その頃、ヨーロッパでは蚕の疫病が発生し、紡績業は深刻な打撃を受けていた。バルダビューはエルヴェに、アフリカへ赴き、健康な蚕の卵を買い付けてくるように依頼した。エレーヌと挙式したエルヴェは、アフリカへ旅立つ。卵の買い付けが成功し、紡績工場の経営も順調で、エルヴェは大金を手に入れ、妻に広い土地と家屋を与える事が出来た。その後もバルダビューの下で働くエルヴェは、更に蔓延を続ける疫病を避けて、世界で最も美しい絹糸を吐く蚕の卵があるという、極東の国・日本への買い付けを引き受ける事に。だが日本は幕府の鎖国政策が続き、外国人が入国するのが困難な国。命懸けで、闇取引をする山形の集落へ辿り着いたエルヴェは、村の支配者・原十兵衛と、絹のように艶やかな年若い妻と出会う。その妖しい魅力の虜となったエルヴェは、無事に帰国した後も、彼女が忘れられず、愛する妻を想いながらも、再び日本へと卵の買い付けに出向くのだった。 何がメインテーマかな、ちょっと判断に迷うけれど。人間て、自分でも明確な理由は言えないけれど、唐突に無性に、他人から見たら愚行と思える行為をしてしまう生き物なんだと。その観念が、根底に流れている作品だと思います。突然、口をきかなくなり、妻子を捨てて、何処かに消えてしまった男のエピソードが、これを物語っています。そして終盤の、バルダビューの去り方や、その際に話した男の逸話も、全てその思想に基づいています。そも、エルヴェは何をあんなに深刻に悩んでいたのだろうか…?こんな発言はNGかもしれませんが、長期出張先で浮気の虫が騒ぐのくらい普通じゃない?男でも女でも。だって魅力的な人は、世界中のあちこちに居るよ。好きになったからって、何だと言うのだ?別に家庭を壊そうとか、そこまでのめり込んでいた訳でもなく、ただ恋文を貰って、もう一回会いたいと思っただけの事。その程度の事で、何を延々と悶々と悩んでいるのか、さっぱり判らんです。嫁だって、長く離れていれば、旦那が女遊びの一つや二つする事くらい、念頭にあるだろうし、そんな些細な事で目くじら立てないよ。少なくとも私は、セックスなんてトイレで用足しするのと同じだと思っているので、やりたきゃやりなよと思ってる。その辺の事は、お互いにぼやかして暮らしてゆくのが夫婦ってもんさね。原作が海外の小説なので、毎度の事ながら、日本パートは変な所だらけです。仕方ないですけどね、資料で調べると言っても、外国人の作家では限界があるから。特に現代ではなく時代モノですから、日本人作家の作品でも、間違った事を平気で書いている小説は山ほどありますし…。しかし何故、蚕の卵を買うのに、態々雪深い山形まで行く必要があるのか、どうも良く判りません。長崎の出島経由で、出入り業者に頼んで、闇取引した方が早くないか?まあ、それでは主人公が、運命的な出会いや異文化交流が出来ずに終わるので、物語として成立しないんですけどね。汗。でも何故、酒田から山形まで???しつこいって。しかも凄く簡単に密入国してるし、無理あり過ぎ…。で、エルヴェが長く危険な道程の末に辿り着いた村。そこの長は、役所広司演ずる原十兵衛という男です。この、ど田舎の村長、何故か英語ペラペラです。何処で習えるんだよ、あの鎖国時代の真っただ中に…。つーか、エルヴェ、フランス人だよね、何で君達、英語で喋ってんの?そして、名前も判らず、一言も言葉を発しない、十兵衛の嫁。芦名星という無名に近い女優が演じる、コヤツがまた曲者です。だらしなく髪を垂らして、無言のまま、エルヴェにお茶を入れます。その茶器と茶の注ぎ方、明らかに中国だよね…。(ただ、後の話で出てきますが、彼女はどうやら中国人のようなのです。どういう経路で、チャイナ姑娘が、山形の村長の嫁に収まったのかは全く謎。)そしてこの娘、なんとエルヴェに出した湯呑を取って、彼に婀娜っぽい視線を向けながら、そのお茶を飲み干す。はい?何ですか、この人?その後更に、エルヴェと話をする夫の膝に頭を擡げて横たわる…。目が点状態でした。(@_@;)何処にそんな不作法な女が居るんじゃー。大和撫子は、恥じらいを重んじる慎ましやかな人種だぞ。バカタレが。この辺も外国人の想像した日本の女性像が色濃く出ている所ですね。日本と言えば、フジヤマ・ゲイシャ・テンプーラみたいな発想でしょう。和服の女性=芸者、色町の女と見做している模様。着物の着付けも、完全に女郎です。着物の襟の後ろを目一杯下げて、首筋から背中に掛けて、見える様に着ています。堅気の女が、こんな商売女みたいな着付けしてたら、旦那にぼこぼこに殴られるわい。兎に角、この嫁、娼婦気質です。(凄い貧乳なのが悲しいけど…汗。)エルヴェを見た途端に、異国の白い男とやりたいわぁ、とお色気ビーム発射。でも結局、彼女との肉体関係は無いんですけどね。一応、村長の妻の立場上、ふしだらな事も出来ず、お得意様の接待役に他の娘を宛がいます。「ああ、ホントは私がやりたいのにぃぃ~!」と襖越しに悶絶。台詞は無いけど、そんな感じ。笑。書き出したらキリが無いのですが、この村落自体も、どういう立場にあるのか、最後まで謎でした。明治維新の少し前の動乱期の日本なのですが、どう見ても農家の集落なのに、役所広司は武将のように、部下を率いて戦っているようだし。アンタは何者?それ以前に、寒村ぽいのに、酒宴には芸者さん達も居たし。大名と城下町の感覚と混同してますよね。(~_~;)マダム・ブランシュとして、パリに在住する日本人の高級娼婦も登場します。何故、この時代に、日本人女性がフランス人と結婚していたのかも謎…。演じるのは、中谷美紀さんです。出演者紹介にて、withという文字が出たので、良い扱いです中谷さん。(因みにラスト、andで出てきたのは、アルフレッド・モリナ。)エルヴェの受け取った日本語の恋文を翻訳してくれる女性ですが、堂々としていて、大女優の風格がありました。 この恋文には、大きな秘密があります。隠し続けた、もう一つの切なくも激しい熱情が…。それが何かは詳しくは申しませんが。全体的に淡々と緩やかなペースで進む話です。山場と言える場所も無く、ずっと平坦な道を歩くイメージ。恐らく、冒頭に書いた筆者の思想を、夫婦愛と秘めた恋、神秘の国ニッポンの情緒を、絹地にに織り込みつつ、描きたかったのかなという作品でした。一応、実際にあった史実を基にして、創作された物語のようですが、時代考証はええ加減なんだなぁ。あちこちの史実をパーツとして持ってきて、話にする為に、無理矢理繋ぎ合わせましたという感じ。とても美しい絹織物とは言えない、やっつけ仕事のような織物でしょう。ぼぉーっと綺麗な映像と坂本龍一の音楽に浸りつつ鑑賞するには、まあ良いけど。でも態々映画館で観る意義は感じませんでしたけど。そう言えば、エルヴェとエレーヌ夫妻について、全然書いてなかったわ。まぁ、他の人か書いてくれてるから良いか。オイ。マイケル・ピットって、昔のディカプリオに似てません?キーラは女優として特に興味なし。綺麗だけど。以上。↑ランキング参加中。ぷちっとクリックして下さると嬉しいです。
Jan 30, 2008
只今、公開中です。監督・・・北村拓司 アクション監督・・・小池達朗 原作・・・滝本竜彦 出演・・・市原隼人、関めぐみ、浅利陽介、三浦春馬、野波麻帆、板尾創路、他。 ・物語序盤・山本陽介は、生きる目標も意味も判らず、無為に過ぎてゆくだけの時間に、焦りを感じている高校生。親友で常に自分より前を走っていると劣等感を感じていた同級生の能登が、バイクの事故で死に、陽介はまたも先を越されたと憔悴する。そして自分も何かしなければと、高級和牛のパックを万引きして逃走。人気の無い夜の公園へとやって来た陽介は、そこにぽつねんと腰掛けている女子高生を見付けて声を掛ける。しかし彼女は冷たく、すぐに立ち去らなければ死ぬと警告する。その時、空から雪の結晶が舞い落ち、チェーンソーを持った黒服の大男が空中から現れた。突然の出来事に唖然とする陽介の前で、制服姿の彼女は果敢にチェーンソー男と戦う。陽介のフォローもあって、手裏剣を心臓に命中させたものの、不死身の男は倒れず、再び空高く舞い上がって消えた。両親と離れて、学生寮で暮らしている陽介は、もう一人の親友・渡辺に、この出来事を話すが全く相手にしてもらえない。女子高生とチェーンソー男が忘れられない陽介は、彼女・雪崎絵理と再会して事情を訊く。そして、兎に角、自分の成すべき使命は、絵理を助けて、謎のチェーンソー男を倒す事だと思い、実際には送迎係くらいにしか役に立っていなかったが、絵理に協力し、夜毎チェーンソー男を待ち伏せるように。原作は、ひきこもり作家として知られる瀧本竜彦氏の、同名ライトノベル。第5回角川学園小説大賞を受賞している。 チケット売り場で、タイトルが出ず、「ネガティヴ・ハッピー・エンディング」って言っちゃいましたよ。(^_^;)通じたけど、言い直されて恥ずかしかったぞ。 予告編の映像のみで、筋書きを全く知らずに鑑賞。トレーラーでは、チェーンソウを振り翳して襲ってくる黒服の大男と、女子高生が死闘を繰り広げていました。だから、てっきりホラーだと思いまして。(^_^;)蓋を開けてみると、予想していたような内容の作品ではありませんでしたが、これはこれで、なかなか面白かったです。話は突拍子も無く非現実的な内容なのですが、描いているテーマはとても現実的。人生の苦難と戦う事。もっと端的に言えば、生きる事そのものでしょう。主人公の陽介は、人生の意義を見い出せず、常に焦燥感を抱いている高校生。何かしなければと思いながらも、何をして良いのか判らない。そして自分が、いつも周回遅れで後ろを走っていると劣等感を持っていた親友の能登がバイク事故で死亡し、またしても先を越されたと焦る。そこで兎に角何か!と思い付いたのが、高級黒毛和牛の万引き…。オイ。陽介は所謂、フツーの高校生とは違った生活をしています。親が遠方で仕事をしている為、学校の寮で暮らしています。これがまたオンボロで、今どき、こんな薄汚い学生寮が何処にあるんだよ!とツッコミ入れたくなる場所です。同室で、いつも亡き能登と三人で、つるんでいた渡辺は、何にでも手を出す多趣味な男。カメラに絵画に小説にバンド、しかし、どれもモノにならず中途半端なまま、すぐに投げ出してしまう。そして陽介が運命的な出会いをする、謎のチェーンソウ男と女子高生・絵理。取り敢えず、若い男らしく、綺麗な女の子には興味を示してナンパ。お葬式の帰り、絵理は初めてチェーンソウ男に遭遇し、何故か超人的な運動能力を手に入れた時、この敵は自分が倒さねばならぬ相手だと悟ったと言う。突拍子も無い話に、思わず笑い出す陽介。怒った絵里に、陽介はすぐに謝る。何でもすぐに謝る奴は、心の底から悪いなんて思っちゃいない。適当にその場を取り繕って、お茶を濁して逃げているだけ。だから嫌いだと言う絵里の言葉は、心に突き刺さる。ジャンルは、青春映画でしょうね。自分が学生だった頃、「人生とは何か等と考えている奴に限って、人生に乗り遅れる。」という言葉を聞きました。当時もそれは真なりだと思いました。ただ同時に、私はそれでも、生きる事の意味を考えていたいと思い、実際に考え続けていました。お蔭ですっかり乗り遅れたけどね。爆。でも、冷めた顔して、スマートに生きるだけの人生なんて、つまんないよ。紆余曲折、あちこち寄り道して、思い切り挫折して、不器用だけど、私はそういう人生が好きなんだな。だから、この映画の根底に流れる思想には、共感できる所が沢山ありました。きっと原作者も、生きるって何だ?と、一生懸命考えている人なのでしょうね。全体的に軽いノリで進む、オフビートな笑いで構築されたストーリーですが、各エピソードの裏には繊細さを内服しています。板尾さんが演じる担任も結構好きだったな。刃向いもせず、何の主張もしない、今の高校生達に侘しさを感じている大人。暖簾に腕押しといった感じの陽介に、「お前もその年で、もう人生諦めてんのか?」と尋ねる。誰もが冷めている世の中。自分独りが懸命に足掻こうとも、世界は何一つ変わらないと知っている。だから、理想も持たず、夢も見ない。熱く生きる奴なんて馬鹿だと、鼻先で嗤う。 でも、心の何処かで、きっと思っている筈だよね。これで良いの?と。途中で掛かる陽介達のバンドの歌は、凄くストレートな歌詞で臭いんだけど、ちょっと泣いてしまいましたよ。(^_^;)映像面では、チェーンソウ男との戦闘シーンは、かなりの迫力です。ワイヤー・アクションやカメラワークも決まっているし、CGも良い出来で見応え十分。他に映像面で印象的なのは、幻の能登と陽介がバイクで走る場面で、真っ赤な花弁が画面いっぱいに舞い飛ぶシーンが美しい。このチェーンソウ男の正体は、ネタバレしてしまうと、人生における苦難の象徴。独り、辛い思いを抱える絵理は、コイツを倒して乗り越えなければならない。そして本気になれるものを見い出せず、半端に生きてきた陽介もまた、戦わなければならない相手です。ひきこもり作家のライトノベルが原作だけあって、リアリティーの欠如が難点である事は否めません。絵理のエピソードにしても、現実を考えると、未成年の彼女が自宅に留まって、普通に高校の通学を続けられる道理も無く。あと、キャベツと白菜、やたら高いよ…。引き籠ってないで、たまには買い物にも行って、世間を見てこい。笑。頭でっかちの空想家による妄想の産物と、斬って捨てる事は容易です。けれども、この作品には確かに人を惹き付ける、真理があると私は感じました。共鳴できるか否かが、評価の分かれ目でしょうね。エンドロールの後に、ワンシーンあります。これもある意味、意味深。死闘が終わっても、世界は相変わらず、ちっとも変わらないし、人生から悲しみが消える事は無いのです。↑ランキング参加中。ぷちっとクリックして下さると嬉しいです。
Jan 29, 2008
「強かん」て言葉、禁止ワードなんですよね。別に私、反社会的な内容や犯罪を誘発するような内容を書く積りは無いんです。映画のレビューで、「強かん」と書く必要性があったので書いただけなのですが。禁止ワードがありますという事で却下…。「ジェシー・ジェームズの暗殺」の所ですが。映画字幕には出ませんでしたが、彼等の犯した犯罪について、ナレーションが羅列した単語の中に、確かにレイプという英語が聞こえました。それでそれを直訳したんですけどね…。禁止の判断基準、ちょっと可笑しくないか?この単語は、刑法にも明記されている、真面目な日本語です。犯罪者予備軍のような連中が使う、エロエロな単語ではないですよ。これが禁止ワードなら、この犯罪について真剣に論じる事もNGな訳ですか?その行為自体が犯罪だからと言って、禁止ワードにするなら、殺人、強盗、詐欺、窃盗etc.だって禁止ワードじゃないのか?納得行かないんですけど、楽天さん。
Jan 28, 2008
只今、公開中です。"SWEENEY TODD: THE DEMON BARBER OF FLEET STREET" 監督・・・ティム・バートン 原作・・・スティーヴン・ソンドハイム、ヒュー・ウィーラー 作詞作曲・・・スティーヴン・ソンドハイム 出演・・・ジョニー・デップ、ヘレナ・ボナム=カーター、アラン・リックマン、ティモシー・スポール、サシャ・バロン・コーエン、エド・サンダース、ジェイミー・キャンベル・バウアー、ローラ・ミシェル・ケリー、ジェイン・ワイズナー、他。 ・物語序盤・掃き溜めの街、19世紀のロンドンへと一人の男が舞い戻って来た。彼の名はスウィーニー・トッド。若かりし頃、彼はベンジャミン・バーカーという名の、フリート街で美しい妻と赤ん坊の娘と共に暮らす、腕の良い理髪師だった。しかし妻に横恋慕したターピン判事は、彼に濡れ衣を着せ、流刑にして追い払ってしまう。それから15年の月日が流れ、漸く自由の身となったベンジャミンは、家族との再会と検事への復讐を誓い、ロンドンへとやって来たのだ。かつて理髪店を営んでいた家屋の一階で、パイ屋を経営するラベット夫人と再会したスウィーニーは、妻がタービン検事に辱められた末に服毒自殺を遂げた事と、検事が一人娘を幽閉している事を聞き出す。激怒したスウィーニーは、タービン検事を殺す為、再び理髪店を開き、ラベット夫人の協力を得ながら、復讐の機会が訪れるのを待つ。ある日スウィーニーは、街で有名な理髪師ピレリと腕比べをして勝利した。暫く後に彼の店を訪れたピレリは、自分がイギリス人で、かつてベンジャミン・バーカーの元で働いた事があると、スウィーニーを脅迫する。咄嗟にスウィーニーは、ピレリの喉を切り裂き、口封じに殺害した。これを見たラベット夫人は困惑するが、死体をミンチ肉にして、ミートパイにする事を思い付く。その後、スウィーニーは殺人を繰り返し、夫人は人肉入りのミートパイを売って、店を大繁盛させるように…。スティーヴン・ソンドハイムとヒュー・ウィーラーによる、トニー賞受賞の同名ブロードウェイ・ミュージカルを映画化した作品です。そもそもの元ネタは、イギリスの都市伝説のような猟奇人肉嗜食事件みたいですね。嘘か真か、嘘だと思うけど、巷の噂になったお話。1997年にも一度、「スウィーニー・トッド」"SWEENEY TODD,THE TALE OF SWEENEY TODD"というタイトルで映画化されています。私は、この伝説的事件についても、ミュージカルについても全く知りませんでした。調べるまで、完全オリジナル作品と信じて疑わず。汗。元がミュージカルなら、歌って当然なんですよね。(^_^;)何度も書いておりますが、私はミュージカル映画が大の苦手…。予告編を観た限りでは、たまに歌う程度かな?と思ったのですが、蓋を開けたら、思い切りミュージカル!でした。オープニングから、歌います歌います。正直、ぅわちゃぁぁっ…とめげそうに。でも出演者全員、とっても歌が上手くて感心しました。ジョニーったら、歌も上手いのね。(#^.^#)ルックスもナイスだし、性格も良いって噂だし、素敵過ぎるぜ、ジョニー!今作では卑劣な敵役ですが、私はアラン・リックマンも大好きなのです♪他の出演者がすぐに歌い出すのに、彼だけはなかなか歌わず、ひょっとして彼だけ歌無し?と思いましたよ。ミュージカル嫌いと言いつつ、こうなったら全員の歌が聴きたいじゃないかと焦れてきて、スクリーンに向かって、「アラン、貴方の歌を聴かせて~!」と強烈な念を飛ばしましたわ。アラン・ファンの皆様、ご心配無く。彼も確り歌声を披露してくれます。しかもジョニーとのハーモニーだぜ♪そして、他の方同様、とても上手です。更に、スウィーニーに思いを寄せるパイ屋の未亡人役を演ずる、ヘレナ・ボナム=カーター。クリスティーナ・リッチもそうですが、彼女の顔立ちって、ゴシック・ホラーにピッタリですよね。メイクで強調されていますが、落ち窪んだ眼と扱けた頬が、出てきただけでゴス&ホラー。映画は、画面全体にゴシックな雰囲気がぷんぷんと薫り立つようで、色彩を抑えた映像も見事な迄に美しいです。ファンタジックであり、ゴシックであり、且つ、グロテスクである。その巧みな融合と調和に、流石はティム・バートンの世界だなぁと思いました。物語としては、非常に悲しく救われないものでした。この題材でハッピーエンディングになったら、逆に怖いですけど、あの結末は悲劇的過ぎて、報われないものを感じました。実に私好みの終わり方ではありましたけど。図らずも求め続けていた最愛の存在を傷付け失ってしまう点や、互いが大切な存在であると知らぬまま終わってしまうという点。仏教的に表現すれば、犯した罪によって、愛別離苦の罰を受ける。こういう皮肉な運命を描いたドラマやカタルシスが、私は好きなんですよ。と同時に、ほったらかしエンディングでもあるんですけどね。(~_~;)娘は一体、どうなるんだよ?と。まあ、恐らく、あの若い船乗りと逃げ延びて、生きて行くのでしょうが。しかし幽閉状態にあったとは言え、物質的に何不自由なくお嬢様な暮らしをしていた彼女に、あの一文無しの船乗りとの生活は耐えられるとは思えませんけど。ぶっちゃけた話。金だよ、金。生きて行くのに、一番必要で重要な物は。愛だの夢だの、そんなもん食って、人は生きてゆけませんから。笑。グロテスク度はかなり高いです。だから子供向けでは決してないし(15R指定だったわ…)、ゴア表現が苦手な人も観ない方が良いと思います。剃刀で首をスパスパ、容赦も躊躇も無く、斬り裂いてゆきますから。その度に、鮮血がドバドバ。そしてスウィーニーお手製の、死体処理用に改良した床屋椅子で、遺体となった客達は、パイ焼き担当のラベット夫人の厨房に、ごろりんと頭から落下し、石畳の床に衝突してグシャッ。機械的に行われる殺人には、何の感情もありません。残酷シーンは、とても潔くテンポも良く、心地良くて見応えがありました。ただ、ミュージカル映画嫌いな私からすると、この人間ドラマで延々と歌い続ける必要性が必ずしも感じられず、その点で手放しで絶賛できないのです。もう少し、歌を減らして、普通の演技パートを増やしてくれたら良かったかなと。この辺は個人的趣味の問題ですけどね。↑ランキング参加中。ぷちっとクリックして下さると嬉しいです。
Jan 27, 2008
"THE HITCHER" 監督・・・デイヴ・マイヤーズ オリジナル脚本・・・エリック・レッド 出演・・・ショーン・ビーン、ソフィア・ブッシュ、ザカリー・ナイトン、ニール・マクドノー、カイル・デイヴィス、スキップ・オブライエン、他。 ・物語序盤・同じ大学に通うグレースとジムは恋人同士。春休みを利用して、ニューメキシコへ車で旅行する事に。二人は、土砂降りの雨が降る深夜のハイウェイで、車を停車させ、道路の真ん中に突っ立っている男を危うく轢きそうになる。近付いてくる男を不気味に感じた二人は、後ろめたさを感じつつも、そのまま男を置き去りにして走り去った。その後暫く走行して、ガソリンスタンドに立ち寄った二人は、食料品やジュースを買う。そこへ、ずぶ濡れでやってきた先程の中年男と、ジムは鉢合わせ。ジョン・ライダーと名乗った男は、近くのモーテルまで行きたいので、二人の車に同乗させてほしいと願い出る。先刻見捨ててしまった罪悪感から、ジムは彼を乗せて送る事に。しかし車に乗った男は、不愉快な話ばかりをしてジムを怒らせ、腹を立てて降車するよう迫った彼の前で、恐ろしい本性を見せた。グレースの顔にナイフを付き付け、ジムに「死にたい」と言えと脅す男。二人は必死の思いで反撃し、恐ろしいヒッチハイカーを車から突き落とした。危機を乗り切ったと安堵していた二人だったが、男は子供連れの一家が乗る車に同乗し、再び二人の前に現れる。家族に危険を知らせようと懸命に叫ぶ二人だったが、運転を誤って崖下に転落、車は大破し、男を載せた一家の車は走り去ってしまった。ルトガー・ハウアーが殺人鬼のヒッチハイカー役を演じた、1985年同名映画のリメイク作品です。今回の殺人鬼さんは、ショーン・ビーン。渋くて、カッコ良くて、タイプなのね~ん。(*^^*)皆に言ってて節操無いですか?でも一応、好みの基準はありますよ。若造より断然、苦み走った大人の魅力がある殿方。スマートな優男より、がっしりした男臭い人が良い。性格なら、淡白な奴より、個性的で癖のある人だな。ショーンを認識したのは、結構遅くて、「ロード・オブ・ザ・リング」のボロミア役にてでした。好み~ん♪と、ハート・マーク点灯。さて、映画についてコメントしよう。正直、ツッコミ所はかなり多いです。何故?!と思う部分が頻出して、無理矢理ストーリーに合わせてゆこうというのが見え隠れ。ターゲットとなるラヴラヴ中の大学生カップルですが、不条理・不合理な状況に追い遣られ、気が付いたら大変な立場に…。単に粘着質な殺人鬼に追い掛けられるだけでなく、何故か無実の罪まで着せられ、警察からも手配されるお尋ね者になってしまいます。最初の襲撃から逃れた後、他の殺人も目撃して、瀕死の被害者を助けようと、這々の体でダイナーに辿り着くのですが。この時のヒロインの対応と、その後の展開が納得行かず…。ウェイトレスに、「助けてー!人殺しのヒッチハイカーに襲われたの!車の中に瀕死の人が居るから、救急車を呼んでー!」と言えば良いのに、警察を呼んでと頼んで、止血用の紙タオルを貰いにトイレに入ってしまう。その結果、不審に感じたウェイトレスは、彼女を不審人物として通報。憐れ、被害者のアベックは、人殺しとして逮捕拘留、取り調べを受ける事に。でもこの時の警察の対応も不自然で、ひょっとして警察もグルなの?と思ってしまいました。それ位、違和感むんむんの展開なんですよね。ジムは牢屋に入れられて放置され、グレースのみが取り調べを受ける。どう見ても、善良な普通の若者なのに、彼女の言い分に全く耳を貸さず、供述の裏を取ろうともしない警察。ガソリンスタンドで店員と話しているのに、名前も判らないんじゃダメだねぇ、みたいな冷たい対応。二人の走ってきたハイウェイにある、近くのガソリンスタンドなんだから、詳しい所在地まで覚えてなくても調べてやれば、すぐに判るだろう…。それにそこまでの道程に、彼等の乗っていた乗用車が大破して、崖下に転落してますから。それ以前に、顧問弁護士に電話させて下さいよ。人権無視ですかい、田舎の警察は。何だか意味不明な展開で、凶悪な殺人カップルに仕立て上げられてしまった二人は、事の成り行き上、仕方なくパトカーと警官の銃を盗んで逃亡。本格的に不味い状況に陥り、加えて、ヒッチャーからも執拗に追い回されます。一人、一応、常識的判断の出来る警官、ニール・マクドノー演じるエステリッジ警部だけが、犯人は別に居ると言っているのですが。しかし、ヒッチャーは無敵です。苦笑。パトカーに乗って逃走している二人を追い掛ける、パトカーの群れとヘリコプターを、いとも容易く拳銃で血祭りにあげて行く。この時も舌足らずな警察官達は、大学生カップルが乗った車とは別の、黒のトランザムから襲撃されている事を無線で伝えない…。エステリッジ警部までも、やはり奴等が犯人なのかー、と。オイッ。どうしても二人を窮地に留めておきたくて、無茶苦茶な脚本を書いてるでしょ。ラストは、積み重なる恨み、恐怖と激昂でブチ切れたヒロインがカッコ良かったですけど。燃え盛るバンの後部扉を蹴破って出てきたグレース、ショットガン抱えて、ヒッチャーとガチンコ対決です。「おんどら、ええ加減にさらせよ。マジ逝てまうぞ、コラ…。」って感じ。(--〆)(↑大阪弁で喋ったりしませんけど、気持ち的にはこんな感じですねん。笑。)彼女はあの後、「バイオハザード」のアリス並にタフな女性へと変貌したでしょう。ところで、影の薄い彼氏のジムはどうなったかって?それはご覧になって確認して下さい。ボロカスに書きましたが、そこそこ面白かったですよ。↑ランキング参加中。ぷちっとクリックして下さると嬉しいです。
Jan 26, 2008
毎日、しんどい、忙しい、しんどい、忙しい、と言い続けているくせに、何故更に、自分を追い詰めるかな、君は。(^_^;)でも、どうしても映画に行きたい病が治らなくて、映画の鑑賞券を買い漁ってしまうのです。使用期限の迫った鑑賞券て、結構安値で買えるじゃないですか。見付けると、つい、後先考えずに買ってしまう。全国のCINEPLEXで使用できる鑑賞券、勢いで何枚も買っちゃった…。どうしよう…。って、誰に訊いてんだよ、ったく。二本立ての波状攻撃で乗り切るしかないね。だから死ぬって、マジで。爆。かなり頭、悪いな、自分。(>_
Jan 23, 2008
1/22(火)、ヒース・レジャーさんが、ニューヨークの自宅で死亡している所を発見されました。享年28歳。当日は自宅でマッサージの予約を入れていたとの事ですが、寝室の遺体の傍には、睡眠薬が散らばっていたそうで、自殺の可能性もあるとか。自殺か誤って大量に服用し過ぎたのか、その辺の事情は判りませんが、とても残念です。『ブロークバック・マウンテン』(2005)に主演し、アカデミー賞候補にノミネートされるなど、俳優としての評価は上がっていて、仕事は順調だっただけに、何が彼の心を蝕んでいたのか…。それは本人にしか判らないですよね…。自殺を意図したのではなく、不眠の為のOD(オーバー・ドーズ)であったとしても、精神が安定せず、グルーミーな状態にあった事は否めないと思います。『バットマン ビギンズ』の続編の“The Dark Knight”で宿敵ジョーカー役を演じる予定で、こちらも話題だっただけに、突然の訃報に驚きました。丁度、つい先日映画館で、“The Dark Knight”の予告編を観たばかりだったんです。口の裂けたメイクをしたジョーカーも、台詞を喋っていました。あれがスクリーンで観るヒースの最期の姿かと思うと、何とも言い難い気分に…。まだ完成していないようなので、ジョーカー役は代役を立てるのか。↑訂正します。撮影は既に全て終えているという事でした。それなら、そのままこれが遺作になるのですね。本人は出演時に、コミック原作の映画は好きじゃないと話していたそうですが。そんな不本意な役が最期になるなんて、彼も浮かばれないなぁ。栄光やお金を手に入れても、それだけで人間は幸せになれないよね。でも自分を満たすもの全てを手に入れる事なんて出来ない。何かを手に入れれば、必ず代償に何かを失う。ヒースから生きる希望と安らかに眠れる夜を失わせたものは何だったのだろうか…。冥福を祈るとか、そんな在り来りな言葉は不要だろう。自分の死後、見知らぬ不特定多数の人間から、悔みの言葉を投げ掛けられる事を、彼は望まなかった筈だ。サヨナラ。銀幕の中の君はとても素敵だったよ。 ヒース・レジャー Heath Ledger 出演作一覧。「ザ・ダーク・ナイト」(原題) (2008) 「アイム・ノット・ゼア」 (2007) 「キャンディ」 (2006) 「ブラザーズ・グリム」 (2005) 「ロード・オブ・ドッグタウン」 (2005) 「ブロークバック・マウンテン」(2005) 「カサノバ」 (2005) 「悪霊喰」 (2003) 「ケリー・ザ・ギャング」 (2003) 「サハラに舞う羽根」 (2002) 「ROCK YOU! ロック・ユー!」 (2001) 「チョコレート」 (2001) 「パトリオット」 (2000) 「恋のからさわぎ」 (1999) 「トゥー・ハンズ 銃弾のY字路」 (1999) 「ブラックロック」 (1997) 「ポーズ! おしゃべりパソコン犬危機一髪!」 (1997)
Jan 22, 2008
"THE ASSASSINATION OF JESSE JAMES BY THE COWARD ROBERT FORD" 監督、脚本・・・アンドリュー・ドミニク 原作・・・ロン・ハンセン ナレーション・・・ヒュー・ロス 出演・・・ブラッド・ピット ジェシー・ジェームズ ケイシー・アフレック ロバート・フォード サム・シェパード フランク・ジェームズ メアリー=ルイーズ・パーカー ジー・ジェームズ ジェレミー・レナー ウッド・ハイト ポール・シュナイダー ディック・リディル ズーイー・デシャネル ドロシー サム・ロックウェル チャーリー・フォード ギャレット・ディラハント エド・ミラー アリソン・エリオット マーサ・ボルトン マイケル・パークス ヘンリー・クレイグ テッド・レヴィン ティンバーレイク保安官 カイリン・シー サラー・ハイト マイケル・コープマン エドワード・オケリー ・物語序盤・南北戦争が北軍の勝利で終結した19世紀後半のアメリカ。ジェシー・ジェームズと兄フランク達は、ゴロツキ連中と徒党を組んで、多くの強盗や殺人を犯した、無法者の重罪人だった。しかし北軍政府に反感を持つ南部の人々の間で、ジェシーは抵抗の象徴として英雄視されるようになり、彼を称える好い加減な伝記も多く出版される程の人気ぶりだった。そして彼等が強盗を犯すようになって、15年余りの月日が流れた1881年、ジェシーは34歳になっていた。妻ジーと二人の子の父となっていたジェシーは、お尋ね者故に、常に偽名を使い、富裕層の紳士を演じつつ、転々と住処を変える生活を送っていた。フランクや仲間達と共に、新たな列車強盗の計画を立てていたジェシーの前に、彼を崇拝する19歳の若者ロバート・フォードが現れ、彼等の右腕として働きたいと懇願する。ロバートは一味の一人チャーリーの末の弟だったが、臆病で愚鈍な印象を与える男であり、フランクは歯牙にも掛けない。しかし気紛れな性格のジェシーは、二つ返事でロバートを一味に加える。初めての強盗を終えた後、ロバートは暫くの間、ジェシー一家と生活を共にし、常にジェシーの傍を離れずに、彼の一挙手一投足を憧れの眼差しで観察していた。アメリカ西部開拓時代の伝説的アウトロー、ジェシー・ジェームズと、彼を背後から射殺した卑劣な裏切り者として名を残したロバート・フォードを描いた作品。しかしジェシー・ジェームズと聞いても、殆ど現代の日本人は彼の事を知らないのではないでしょうか?私も全く知らない人物でした。因みに父に訊くと知っていたので、西部劇が盛んだった頃に映画に馴染んでいた、年齢の高い世代には、詳細は知らずとも名は知れているという存在の模様。アメリカ人なら今でも、きっと誰でも知っている有名人なのでしょうね。基本的に映画は、彼を知っているという事を前提に作ってあるので、知らない者が観るには不親切な部分も多々あります。要するに、日本の時代劇をアメリカ人に見せるようなもので、日本人なら解説なしでも歴史的知識として持っているので問題は無いけれど、アメリカさんにしてみれば、懇切丁寧に教えてもらわなければ、ほいほい話を進められてもなぁ…という感じ。上映時間自体は、通常より少し長めなのですが、人物の心の動きに重点を置いているので、実際にあった出来事や実在の人物については、ナレーションのみでさらっと流されてゆきます。この辺が、日本人にはネックになるかな、と思いました。とは言え、ブラッド・ピットの成りきり度はかなりなもので、研究に研究を重ねて、伝説的ヒールを熱演したなという事は伝わりました。そしてもう一人の主役(というより、彼が本当の主役です)、卑怯な暗殺者として汚名を残したロバートを演じたケイシー・アフレックの演技が、また見事でした。ジェシーを追い続けるロバートの想い、その時々で色を変える微妙な心の変化が、手に取る様に判りました。因みに、ケイシーはベン・アフレックの弟。顔立ちが似てますね。ジェシー・ジェームズはヒーローで、彼を射殺したロバート・フォードと兄は卑怯者と見做されてしまったのが気の毒でした。実際のジェシー達一味は、別に弱者の味方でも義賊でもなく、強盗・強かん・窃盗・殺人、その他、凶悪犯罪と名の付くものなら何でもやってきた、札付きの悪党共な訳で、本来なら彼が殺されても当然で誰も同情しない筈なんですが。そこに南北戦争の敗者である南部の者達の、反逆精神の象徴というようなイメージが付いて、彼のエピソードには尾鰭が付いて大袈裟に賛美され、虐げられし民衆の味方というヒーロー像が出来上がった訳です。現実問題として、ロバート達は警察からは圧力を掛けられ、ジェシーからも裏切り者と目を付けられ、もし彼を殺さなかったら、自分達が殺されていたでしょう。危険な板挟み状態にあって、選択肢の無かったロバート兄弟の立場を思うと、非難されるのは可哀想ではないかと思いました。そんなにジェシーは偉大で、そんなにロバートは卑怯だったのか?映画では、ジェシーが背後から射殺されるシーンは、美化されております。壁に掛かった額縁の歪みを直そうとしたジェシーは、一瞬ガラス越しに、ロバートと視線を交わしているのですよね。つまり、殺される事を事前に見越していた。その為の立派な拳銃まで、ロバートに用意して与えていた、という風に映ります。しかし現実的に見れば、この事件は、暗黒社会で頻繁に行われる、邪魔者の排除の一つでしかなかったのではないでしょうか?アウトロー達の物語ですが暴力的なシーンは殆ど無く、映画自体は全編通じて、非常に静かで淡々としています。娯楽として観るような映画ではありません。退屈とまでは思いませんでしたが、特に盛り上がりも無く、ロバートがジェシーと出会ってから、暗殺に至り、死を迎えるまでの短い期間を、彼等の内面を追って、丁寧に描いた作品です。ジェシーの伝説に憧れ、幼い頃から彼の物語が書かれた、好い加減な三文小説を信じて愛読書にしていたロバート。彼は家族の中でも、愚鈍で臆病な男と馬鹿にされ続け、何とか認められようともがいている。ジェシーの気紛れで、一味に加わり、その後一時期、彼の傍で生活できたものの、それも結局はジェシーの気紛れでしかない。ロバートは最後まで、ジェシーにも仲間にも家族にも、評価され賞賛される事は無かった。ずっと憧れ続けてきた人物から、お前は一緒に居る者を不安にさせ、落ち着かない気分にさせる奴だと言われるのは残酷で悲しい。確かに彼は、性格が暗くて、おどおどしていて、陽気に振る舞ってみても技とらしくて、一緒に居るのが厭になるタイプではあるのですが…。一方、ジェシーも斑気で、感情の起伏が激しく、苛々している時は八つ当たりしたりと、リーダーとして付いてゆくには、気難しい性格の持ち主。古馴染みでも、自分を金目当てに裏切ったのではないかと疑えば、簡単に殺してしまいます。この辺は、アウトローの世界では日常茶飯事ではありますが。これも裏社会に長く生きていれば当り前の事ですが、誰一人信じられず、仲間に対しても常に目を光らせ、ピリピリと神経を研ぎ澄ませて、心安らげる暇がありません。幼い我が子達と過ごしている時ですら…。個人的には、ジェシーが殺されてからの方が興味深かったですね。一躍有名人となり、ジェシー暗殺場面の芝居をやらないかと、声を掛けられたのでしょう。ロバートとチャーリーは、何百回も舞台に立ち、彼を撃ち殺すまでの経緯を大衆の前で演じました。当時の大統領より有名だったというナレーションがありました。しかし結局、卑怯者として世間から誹られ、精神的に追い詰められた兄チャーリーは拳銃自殺。ロバートは懸賞金と興行で稼いだ金で、酒場のオーナーになったものの、人々の白眼視に曝される毎日。誰よりも崇拝していたのに、自分もジェシーのような男になりたいと願っていたのに。そして、本当は殺した事を最も悔んでいたのに…。後に、ロバート自身は、かつてのジェシーの仲間によって殺害されます。映像そのものも、寒々しい色合いに満ちていましたが、観終わった後に、苦々しく沈痛な気持の残る、なんとも寂しい映画でしたね。↑ランキング参加中。ぷちっとクリックして下さると嬉しいです。
Jan 20, 2008
"HOME OF THE BRAVE" 監督・・・アーウィン・ウィンクラー 出演・・・サミュエル・L・ジャクソン、ジェシカ・ビール、カーティス・ジャクソン、ブライアン・プレスリー、クリスティナ・リッチ、チャド・マイケル・マーレイ、ジョイス・M・キャメロン、ヴィクトリア・ローウェル、他。 ・物語序盤・イラクに駐屯し、軍医として活動を続けているウィル・マーシャルは、母国への帰還を目前に控えていた。また兵士であるトミー、ジョーダン、ジャマール、ヴァネッサ達も同様に、イラクでの兵役任務を終えようとしていた。そんな時、最後の任務として、街への医療物資の運搬を命ぜられたウィル達は、数台の車に分乗し、市街地を走行する事に。しかし一台の車が、彼等の行く手を遮り、通訳のイラク人が運転手に交渉に向かう。彼は近くの建物に潜んでいた狙撃手に頭部を撃たれ即死。武装集団の罠に嵌った一団は、即座に応戦し、トミー達兵士は武装勢力の鎮圧に、ウィル達は安全な場所を求めて脇道へと車を乗り入れた。だが待ち伏せに遭い、道路に仕掛けてあった爆弾によって、ヴァネッサの乗った車は大破し、運転手は死亡、ウィルは彼女を車から引き摺り出したが、片腕は重傷だった。一方、武装集団と戦っていたトミー達は、無線で応援を乞うが拒否され、彼等のみでの戦いを強いられる。ジャマールは恐怖と混乱の中、誤って一般人の女性を射殺。トミーは脚を狙撃され、彼の親友ジョーダン独りが、墓地に逃げ込んだ男を追い掛けた。しかしジョーダンは応酬に遭い、トミーの目前で、多数の弾丸を浴びて絶命してしまう。その後、故郷のワシントン州スポケーンへの帰還を果たした彼等だったが、戦地での過酷な経験のトラウマによって、心の平安を取り戻す事が出来なくなっていた。 当初は全く眼中に無く、スルーする筈の作品でした。イラク戦争モノには食傷していたし、自国の兵士を美化するアメリカ万歳映画にも辟易していたので。でも、ふと見た幾つかのレビューが全て絶賛、何故これが単館上映なのかという批判も。突如、むくむくと観たい気持が湧き起り、急遽予定を変更して鑑賞してきました。本当に確りと作られた、観る価値のある作品でした。過剰な演出で、兵士達を美化したり、悲劇の被害者のように見せたりする、押し付けがましさが無いのが良いですね。ただ現実を淡々と描いてゆく事で、戦場に赴くという決断と引き替えに、彼等の背負ってしまった代償の重さを伝えています。原題は"HOME OF THE BRAVE"、勇者達の家、つまり、帰れる場所、居場所です。生まれ育ってきた環境と全く異なる地に赴き、母国アメリカで暮らしていれば、一生体験する筈の無い過酷な現実に直面し、恐慌に曝されてしまった人々。物理的に戻る場所はあります。ですが心と体に生涯消えぬ傷を負った、彼等の心を理解し、迎えてくれる場所は何処にも無い…。実際に戦場に行っていない人々に、戦場の苛烈さは理解できない。かつて最も親しかった筈の家族や恋人が、別世界の住人のように見える。幾ら話そうとも、言葉すら通じぬ異邦人のよう。けれども周囲は、兵役が終わって帰国したのに、母国での生活に馴染めない彼等を非難し、或いは、避けるようになる。脚に被弾し、バックアップ出来なかった為に、親友を目の前で死なせてしまった若者トミー。自分を責め続け、家に籠もる日々。そんな彼に追い討ちを掛ける様に、父親は恥晒しであると、警察官の試験を受けるよう迫る。心の傷を話し合う事で、立ち直りを図るカウンセリングの会には、誤って民間人の女性を射殺してしまった戦友ジャマールが居た。しかし彼は、会合の参加者にベトナム戦争の兵士を見付け、何の治療にもなっていないと吐き捨てる。そして彼は、苛々して凶暴になった自分を避ける恋人に拳銃を突き付け、警官隊に包囲されてしまう。説得役として呼び出されたトミーは、馬鹿な真似は止めて、治療を受けようと諭すが…。トミーは戦場と母国、二つの場所で、目の前の戦友を救えなかった。一方、運動神経抜群で体育教師だったヴァネッサは、爆弾の爆発の際に負った怪我で、結局片腕を失った。昔なら容易に出来た事が出来ない。命が助かって、片腕だけで済んで、ラッキーだったと人は言う。もっと重度の障害者になってしまった帰還兵士達を見れば、自分でも肯定せざるを得ない。だが、この不自由な現実が、本当にラッキーだと言えるのか?彼女は心を閉ざし、頑なな自分一人の殻に閉じ籠もってゆく…。医師として従軍していたマーシャルも、戦場での記憶が忘れられず、仕事に身が入らない。妻との仲もぎくしゃくする。彼女自身も、戦場で働きたいと言う夫の為に仕事も変わり、夫の不在の間、訃報の届く日を恐れ、不安な日々に耐えてきた。互いに自己主張し合って、自分を理解しない相手を詰る二人。父と不仲の息子は、父への反発から反戦主義を唱え、学校で問題を起こす。戦地に赴く前は、皆、祖国の為、平和の為にと、理想を胸に異国へと旅立って行った。けれども、その先に待ち受けている現実は、そんな甘い理想など一瞬で吹き飛ばされてしまう残酷な日常。一度知ってしまったものは、無かった事には出来ない。見なければ良かったと、後から悔んでも、取り返しは付かない。地獄を見てしまった者達の帰る場所は、何処にあるのだろうか?トミーが再び戦場へと旅立つラストは印象的だ。殺す為ではなく、殺し合いを終わらせる為に、自分に出来る事は、これしか無いのだと、彼は言った。
Jan 19, 2008
http://www.slither.jp/"SLITHER" 監督、脚本・・・ジェームズ・ガン 出演・・・ネイサン・フィリオン ビル エリザベス・バンクス スターラ マイケル・ルーカー グラント グレッグ・ヘンリー ジャック ブレンダ・ジェームズ ブレンダ タニア・ソルニア カイリー ジェナ・フィッシャー ロイド・カウフマン ロレーナ・ゲイル 出演(声)・・・ロブ・ゾンビ ・物語序盤・アメリカ南西部にある小さな田舎町ウィーズリーは、鹿猟の解禁日を控えてお祭り騒ぎだった。スターラは年の離れた町の有力者グラントの妻。それは学生時代に親を亡くし、不遇な境遇から抜け出したい一心の結婚だった。裕福な暮らしと、自分を強く愛し、執拗に求めてくる夫。しかしスターラの心は満たされず、グラントを拒否してしまう。スターラを長年思い続けていたビルは、成人し警察署長に昇進した今でも、彼女を愛していた。そんな時、森の中に不気味な隕石が落下する。スターラの態度に腹を立てたグラントは、家を出て酒場に行き、そこで誘ってきたブレンダと店を出る。二人は森へ行き、隕石を発見するが、近付いたグラントの腹部目掛けて、得体の知れない物体が飛んで来て、彼の体内に入り込んでしまう。翌朝帰宅したグラントに、昨夜の態度を反省し詫びるスターラ。思い出の曲を聴きながら、二人は新婚時代のように新鮮な気持ちで愛し合った。スターラの言葉に涙を見せ、初な若者のように接するグラントに、スターラは感激する。しかしグラントの体は、徐々に変化しつつあった。グラントはブレンダの自宅を訪れ、逢引きに来たと勘違いした彼女に、腹部から出る2本の長いチューブで、寄生体を植え付けてしまう。それ以来、町では方々の家や牧場で、ペットや家畜が殺されたり、行方不明になる事件が頻発するように。グラントの風貌も最早隠せない程に変化し、醜く腫れ上がっていた。心配するスターラだが、彼が鍵を掛けた地下室に、無数の動物の死骸を見付けて驚愕する。慌ててビルに電話するスターラに、腹を立てたグラントは彼女に襲い掛かるが、危機一髪の所でビル達警官に救われ、グラントは何処かへ逃亡する。ビルと部下の警官達、そしてスターラや町長らは、グラントと失踪したままのブレンダの行方を追い、今度襲撃をうけそうな牧場を見張る。暫く後、現場に現れた化け物と化したグラントは、森の奥の小屋へと逃げ去る。小屋の中には、大きな球体となった、変わり果てた姿のブレンダが苦しんでいた。その直後、破裂したブレンダの体内から、無数のナメクジ状の生命体・スリザーが飛び出し、そこに居た人間達に襲い掛かり、口の中へと侵入するのだった。B級カルト・ムービー制作会社出身のジェームズ・ガン、初監督作品です。真面目なのか不真面目なのか、判別に苦しみますが、作っているスタッフは至って真剣なのでしょう。特殊メイクはグロテスクですが、何処かコミカルな雰囲気の漂うホラー映画。エンドロール後に、ワンシーンありますので、最後まで立たないようにね。 最後の方、グチャグチャになっている旦那の姿は、「ソサイアティー」を思い起こさせました。あれも大概、汚らしい映画でしたが。笑。得意の特殊メイクで、グロ汚らしいモノを沢山見せてくれます。でも旦那は憎めない人なのですよ。凄く奥さんのスターラを愛していて、化け物になっても、彼女に愛されたくて、彼女を求め続けています。宇宙生物に乗っ取られているのですが、奥さんへの愛が理性となって歯止めとなり、彼女をスリザーの母体にする事を思い直します。最後まで、いじらしくて気の毒で、スターラに「こんなに愛されてるのに、もっと旦那を大事にしてやれよー。」と言いたくなりましたわ。後程もう少し書きます。
Jan 18, 2008
ブラッド・レンフロー(Brad Renfro)が、2008/1/15、ロサンゼルスの自宅で死亡しているのを警察に発見されました。享年25歳。早過ぎる死でした。多くの子役デビューを果たしたスターが辿る悪しき道を、彼も辿ってしまいました。映画デビューは「依頼人」(1994)。スーザン・サランドン、トミー・リー・ジョーンズ等、名立たる名優と共に出演した少年は、銀幕の中でオーラを放っていました。私の大好きな映画です。その後、美少年スターとして順調にキャリアを重ねていましたが、成長に伴って突き当たる子役の壁、そして芸能界に蔓延るドラッグの罠に、彼も陥ります。薬物依存の発覚によって、映画界から姿を消した彼でしたが、その後低迷を続けながらも、地道な活動を続けていました。成人してからの彼を出演作で観ましたが、容姿の変貌ぶりには驚きました。ドラッグの濫用による影響でしょうか。でも最近の写真を見ると、かつての美少年を彷彿とさせる端正な顔立ちが戻っていました。予定していたドラッグ治療のプログラムにも参加していなかったようですし、どうしても心の溝は埋められなかったのでしょうね…。リバー・フェニックスも同様の道を辿り、悲しい最期を遂げました。また死に至らずとも、ドラッグやアルコール依存で、破滅してゆく子役スターは後を絶ちません。子役から大人の俳優へと、ステップアップしてゆくのは、とても難しい。周囲も可愛い子役の間はチヤホヤしていても、少し年を取ると、新たな子役に乗り換えて、後は見向きもしない。弱肉強食の世界ですから、壁は自分で乗り越えなければならないものなのですが、まだ精神的に未熟な年齢で、多額の報酬を得られるような世界に放り込み、常識的な観念を学ぶ機会も得られなかった彼等に、自己責任だから全部独りで何とかしろというのは過酷だと思うのです。 彼もまた、金と欲の渦巻く芸能界の被害者なのではないでしょうか。伝説の一つとして、彼の名は残るでしょう。でも平凡でも平穏で心の満たされた生活を送れたなら、その方が人間として幸せだったのでは。
Jan 17, 2008
車で行けるシネコン、漸く一本無料鑑賞できるポイントが溜まりました。さて、何を観ようかなぁ。(^^♪ポイントは代金の一割が付いて、1000ポイントで一回無料なのです。レディースデーだと、10本観ないと貯まらない訳ですわ。ちょっと還元率悪いかも…。他のシネコンだと、6回観たら1回タダという所もあったような。前売り券を安く買って行ったりするので、130ポイント付けてもらえる場合が多いのですが。それでも、そのシネコンばかり利用する訳では無いので、なかなか貯まらないのが現実で。これでやっと二回目です。
Jan 16, 2008
http://movies.foxjapan.com/avp2/"ALIENS VS. PREDATOR: REQUIEM" 監督・・・ザ・ブラザーズ・ストラウス(コリン・ストラウス&グレッグ・ストラウス) 出演・・・スティーヴン・パスクール ダラス レイコ・エイルスワース ケリー・オブライエン ジョン・オーティス モラレス ジョニー・ルイス リッキー アリエル・ゲイド モリー クリステン・ヘイガー サム・トラメル ロバート・ジョイ デヴィッド・パートコー トム・ウッドラフ・Jr イーアン・ワイト ・物語序盤・地球の南極での死闘を終え、母星へと帰還途中だったプレデター達の宇宙船。しかし一体のプレデターの遺骸の中に、エイリアンが卵を産み付けていた。体内から誕生した幼体チェストバスターは、プレデターの特性をも吸収した新種プレデリアンとして成体となり、船内に居た乗組員達を皆殺しにしてゆく。そしてコントロール不能に陥った宇宙船は、再び地球へと墜落してゆく。一方アメリカ・コロラド州の人口5500人程度の、平穏な田舎町ガニソンでは、狩猟をしていた親子が、宇宙船墜落を目撃し、現場へと向かう。だが二人は、船内に潜伏し、寄生する獲物を探していたエイリアンの寄生体フェイスハガー達の餌食に…。また、船の異変に気付いたプレデター達の母星では、エイリアン殲滅の為に、ザ・クリーナーと呼ばれる専門のハンターが地球へと出撃してゆく。まだエイリアン達の到来に気付いていないガニソンの町では、ピザ屋で働くダラスが、元彼女の家に注文のピザを配達するよう命じられて渋っていた。仕方なく配達に行ったものの、彼女と付き合っている男と仲間から袋叩きに遭い、車のキーを下水口に捨てられてしまう。帰宅したダラスの元に現れたのは、兄のリッキーだった。二人はキーを探しに、マンホールから下水口へと降りてゆく。キーは見付かったが、二人はそこで不気味な生命体を見掛けて、慌てて逃げ帰り、保安官のモラレスに電話を入れる。町では行方不明になった親子の捜索が行われていたが、撤収後も帰らなかった警官の一人が、無惨な遺体となって発見される。兵士のケリーは、久し振りに任地から戻り、夫と娘モリーとの再会を喜んでいた。だがその夜、モリーは窓の外に化け物を見て悲鳴を上げる。駆け付けた両親は話を信じないが、次の瞬間父親はエイリアンの餌食に…。徐々に町はパニック状態に陥ってゆくのだった。 あれだけの数のエイリアンを駆逐するのに、なんでプレデターさんは一人しか出撃して来ないんですかー?いくら歴戦の勇士であるハンターであっても、単独で相手に出来る数じゃないでしょう。せめて人間と共闘作戦を取るとか、そういう展開があっても良かったかも。でも娯楽映画としては楽しかったです。新種や旧種が入り乱れていて、ちょっとクリーチャーの判別がしにくかったですけどね。しかし最後に出てきた訳知り風の日本人らしき女は何者~?なんか日本人が黒幕みたいで厭だわ―。(^_^;)詳しくは後程。
Jan 15, 2008
何とか、古いものから、少しずつ書いてはいるのですが、全然追い付かねー!!3つ書いただけで、疲れ果てた…。TBも幾つか送らせて頂きましたが、今更何故、この映画?と思われるでしょうね。笑。申し訳ない、やっと今頃、書けたんです、レビュー…。実はまだ、それより以前のもので書けていないものが…。眩暈してきますね。インデックスの方も、随分と整理していないものが溜まっているんだなぁ。(T_T)そんなこんなで、いつも早々にTBを送信して下さる方々、有難うございます。なるべく早くレビューを書いて、返礼したいと思っておりますが、遅々として進まず…。平にご容赦を。m(_"_)m小説の方も、連休中に一頁でも更新しようと思っておりましたが、書けませんでした。自らの言葉を覆して、ゴメンナサイ。現在、ままりんの「出て行く」「死ぬ」に振り回されて、日常生活が破綻しております。正直、家族では手に負えない所まで来ているので、入院させるべきなのかもしれませんが。しかしその場合、自分を見捨てた・厄介払いしたという恨みを持たれるのは必至で…。症状が改善されるなら、入院も良いことだと思いますが、退院後に溝が深まるだけなら、現状維持する方がベターなのでしょうか?でももう限界に来ているのも事実であって、途方に暮れております。
Jan 14, 2008
米アカデミー賞の前哨戦と呼ばれる、ハリウッド外国人記者協会によって選出される、ゴールデン・グローブ賞(第65回)の受賞作品・俳優等が、1/13に発表されました。しかし発表は至って地味~に行われたのみ…。現在アメリカでは、米脚本家組合が待遇の改善を求めてのストライキを続行中で、彼等の主張に賛同したスター達も、式典への出席を辞退。発表は司会者が受賞作品や俳優を読み上げるのみに留まりました。アカデミー賞は来月ですが、このまま問題が解決しなければ、こっちも授賞式なしになる可能性も?受賞作品やノミネート作品は、当然の事ながら、まだ日本では公開されていないものが殆ど。ドラマ部門の作品賞を取った「つぐない」。どんな作品なのか、早く観てみたいですね。ミュージカル・コメディ部門の作品賞「スウィーニー・トッド…」はもうすぐ公開。こちらも楽しみです。
Jan 13, 2008
http://oretachi.gyao.jp/"BLADES OF GLORY" 監督・・・ウィル・スペック、ジョシュ・ゴードン 出演・・・ウィル・フェレル チャズ・マイケル・マイケルズ ジョン・ヘダー ジミー・マッケルロイ ウィル・アーネット ストランツ・ヴァン・ウォルデンバーグ エイミー・ポーラー フェアチャイルド・ヴァン・ウォルデンバーグ クレイグ・T・ネルソン コーチ ジェナ・フィッシャー ケイティ・ヴァン・ウォルデンバーグ ウィリアム・フィクトナー ダレン・マッケルロイ ロマニー・マルコ ジェシー ニック・スウォードソン ヘクター ロブ・コードリー ブライス ルシアナ・キャロ ルーク・ウィルソン キャサリン・タウン ナンシー・ケリガン サーシャ・コーエン ブライアン・ボイタノ ・物語序盤・孤児だったジミーは、卓越したスケートの才能を見込まれて、スポーツ選手の育成に熱意を持つ富豪ダレン・マッケルロイの養子となった。成人したジミーは、フィギュアスケート界のスターへと成長する。技巧に優れた優美なスケーティングと、カールしたブロンドの髪と甘いマスクで、アイドル的存在となったジミー。一方、セックス・アピールの強い過激な滑りをする野性児チャズ・マイケル・マイケルズは、ジミーとは正反対の魅力でファンの心を掴んでいた。世界選手権で見事、同点一位となった二人のライバル。しかし二人は表彰式で取っ組み合いの大乱闘をして、委員会から金メダルの剥奪と永久追放という厳しい処分を受けてしまう。ジミーは義父から縁を切られ、あっさり捨てられてしまった。それから3年半の月日が流れ、かつての栄光も見る影もない程、落魄れ惨めな生活をしている二人。スケート洋品店で働くジミーの元に、彼の熱狂的なファンでストーカーだった男が現れ、スケート連盟の規約本を見せる。男子シングルでは出場は出来ないが、ペア部門での出場は可能であると。もう一度滑りたいジミーは、自分とペアを組んでくれる女性スケーターを探す。その頃、チャズは子供向けの陳腐な着ぐるみアイスショーで生計を立てていたが、酒に薬に女にと、自堕落な生活を送っていた。そこへやって来たのが、女性スケーターの情報を得ようとしていたジミー。二人は顔を合わせた途端、また取っ組み合いの喧嘩をして、久し振りにマスコミを賑わした。その番組を目にした、かつてのジミーのコーチは、二人の動きを見て、ペア・スケートの素質があると考える。コーチの説得によって、犬猿の仲の二人は、前代未聞の男子二人でのペア競技出場を決めた。
Jan 11, 2008
只今、公開中です。"NATIONAL TREASURE: BOOK OF SECRETS" 監督・・・ジョン・タートルトーブ 製作・・・ジェリー・ブラッカイマー、ジョン・タートルトーブ 脚本・・・ザ・ウィバーリーズ(コーマック・ウィバーリー&マリアンヌ・ウィバーリー) 出演・・・ニコラス・ケイジ ベン・ゲイツ ジョン・ヴォイト パトリック・ゲイツ ハーヴェイ・カイテル セダスキー エド・ハリス ウィルキンソン ダイアン・クルーガー アビゲイル・チェイス博士 ジャスティン・バーサ ライリー・プール ブルース・グリーンウッド 大統領 ヘレン・ミレン エミリー・アップルトン博士 ・物語序盤・歴史的な財宝を発見した事で、一躍有名になったトレジャー・ハンターのベン・ゲイツ。彼は自分の先祖トーマスが、リンカーン大統領暗殺事件の折、南部寄りの組織が財宝を発見するのを命懸けで阻止したと演説していた。しかしそこへウィルキンソンと名乗る古美術商の男が現れ、ベンの先祖こそ、大統領暗殺一味の首謀者であると、長年失われていた当時の犯人の日記の一部を持参して暴露する。救国の英雄の末裔から一転、大統領暗殺者の子孫という汚名を着せられてしまったベンと父パトリック。ベンは祖先の無実を証明しようと奮起する。一方相棒だった天才ハッカーのライリーは、前回得た報酬を馬鹿な投資で失い、宝探しの本を出版するも全く売れず、再びベンと行動を共にする事に。二人は、今や破局寸前のベンの恋人アビゲイルの自宅に侵入し、ウィルキンソンのメモに暗号が隠されていないか、調査を依頼する。分配を争っていたティー・テーブルを譲ると言われ、不承不承ベンに協力したアビゲイルは、そこに暗号らしき文字列を発見。暗号解析をしたベンとライリーは、パリにある自由の女神像を調べて、新たな糸口を見付けてゆく。しかしウィルキンソン一味もベン達の行動を監視し、派手なカーチェイスの末に、彼等の入手した古代文字の書かれた木版を強奪する。 トレジャー・ハンターの冒険を描いた「ナショナル・トレジャー」の第二弾です。監督は前作に引き続きジョン・タートルトーブが担当。前作でも思いましたが、何百年も前の原始的な仕掛けが、簡単に作動してしまう所が笑えます。仕掛けを動かす以前に、鍵の部分が固まってしまっていて、素手で動かせる状態な筈はないのですが…。バカ騒ぎ系お祭り映画を作らせたら右に出る者は居ない、天下のブラッカイマー製作の、何でもアリおバカ路線まっしぐら映画に、一々ツッコミ入れる方が野暮かもしれませんが…。しかし矢張り、「んな訳ないやろっ!」とツッコミ入れながら鑑賞した方が楽しいと思うんですよ、関西人的にはね。(~_~;)お馴染みの登場人物達に加えて、今回はベンのママも登場しますよ。この人も考古学の権威である博士なんだなぁ。皆、宝探しに役立つ人ばかりで、ったく、重宝な連中だぜ。(^_^;)エド・ハリスは彼のキャリアへの敬意なのか、完全に悪役にはしないんですよね。だから逆に、何が本当の目的で、この時期を選んで態々ベンの前に現れたのか、万人が納得する筋の通った理由が無く…。でもエド・ハリスを、単なる性根の腐った金の亡者役では使えんもんなー。エドとニコちゃんと言えば、「ザ・ロック」でも好敵手として火花を散らした仲でしたね。あの時もエドは悪役でしたが、義の為、部下達の為に、止むを得ず、政府に反旗を翻した悲劇の将軍でしたなぁ。今回もやっぱり、最後はカッコ付けてます。(;^^)v邦題のサブタイトルは本題からズレているのですが、原題の"BOOK OF SECRETS"とは、アメリカ合衆国歴代の大統領のみが所有し、読む事が許されるという、政府関係の迷宮入りの事件の真相が書かれている極秘の書物です。ライリーの台詞の中に、「エリア51の事も書かれてる?」という質問があり、エリア51とは何ぞやと思いました。脇道に逸れますが、エリア51について簡略に。正式名称は、グレーム・レイク空軍基地で、ネバダ州の南部に位置し、アメリカ軍の管理下に置かれた地区の名称。何故ここが有名かと言うと、UFOや宇宙人関係の噂です。UFOが隠されているとか、宇宙人が捕獲されているとか、マニア達の間で実しやかに語られている都市伝説的な場所。基地敷地内は立ち入り禁止になっているので、この手の噂が絶えないのでしょうね。後日、もう少し続き、書きます。↑ランキング参加中。ぷちっとクリックして下さると嬉しいです。
Jan 10, 2008
只今、公開中です。監督、脚本・・・原田眞人 原作・・・京極夏彦 『魍魎の匣』(講談社刊) 出演・・・堤真一 中禅寺秋彦(京極堂) 阿部寛 榎木津礼二郎 椎名桔平 関口巽 宮迫博之 木場修太郎 田中麗奈 中禅寺敦子 黒木瞳 柚木陽子 マギー 鳥口守彦 堀部圭亮 青木文蔵 荒川良々 安和寅吉 笹野高史 今出川欣一 大森博史 寺田兵衛 大沢樹生 増岡則之 右近健一 雨宮典匡 寺島咲 柚木加菜子 谷村美月 楠本頼子 清水美砂 中禅寺千鶴子 篠原涼子 関口雪絵 宮藤官九郎 久保竣公 柄本明 美馬坂幸四郎 ・物語序盤・ 太平洋戦争の只中、赴任先の戦場で山中を彷徨い、戦死した兵士達の死体を踏み越えて、生き延びようと歩いていた榎木津礼二郎は、そこで死んだふりをしていた兵士と出会い、共に逃げる道を探す事に…。そして終戦から7年後の1952年。現在、榎木津は、傍に居る者の記憶が見えるという特殊な能力を使い、探偵として一部で有名な存在となっていた。榎木津は、人気絶頂期に謎の引退を遂げたまま姿を消してしまった映画女優・柚木陽子から、失踪した娘・加菜子の捜索を依頼された。彼女の父親は財閥の一人息子であったが、彼が死亡した現在、加菜子が唯一の相続人となり、少女は醜い争いに巻き込まれているという事だった。一方その頃巷では、少女が次々に失踪し、その手足が切り取られて発見されるという奇怪な事件が世間を賑わせていた。売れない作家である関口巽は、小遣い稼ぎに別名で執筆しているカストリ雑誌『月刊實録犯罪』の記者・鳥口から、この少女バラバラ連続殺人事件の記事を依頼される。だが犯人は、この低俗雑誌を挑発するかのように、編集室の一角に、切り取った少女達の腕を詰め込んで隠すという大胆不敵な行動を取っていた。野次馬でごった返す出版社の前で、若手記者・中禅寺敦子は関口を見付け合流、彼等は鳥口の探り出した情報を元に、新興宗教"深秘御筥教"が事件と関係していると睨む。この宗教は、神聖な匣に苦悩を封じ込めて信者を救うという触れ込みの元、実質は信者の財産を根こそぎ奪っている悪徳宗教だった。また同じ頃、謹慎処分を喰らっていた刑事の木場は、同僚の青木と会っていた。木場は熱烈な柚木陽子ファンで、彼女の出演作をロングラン上映している映画館で、一晩中過ごしていた。その夜、駅のホームで加菜子が電車に轢かれ瀕死の重傷を負う事件が発生する。一緒に居た級友によれば、見知らぬ男が彼女を突き落したと言う。搬送先の病院に駆けつけた陽子は、加菜子を高名な美馬坂医学教授の研究所へ転院させる事を決意する。そこは、巨大なハコ型をした異様な建物だった…。"憑物落とし"の京極堂こと中禅寺秋彦が奇怪な難事件に挑む"京極堂シリーズ"、二作目の映画化です。今作の方が断然、一般受けする映画に仕上がっていましたね。京極堂の捲くし立てるような蘊蓄マシンガン・トークも無く、見易くなった反面、独特のカラーは薄くなったとも言えます。でも予算的には、前作よりも大幅増し、全体的にスケールアップした感じで、血生臭くも蟲惑的な娯楽作品として楽しめました。前作で京極堂の日本語が良く理解できなかった方(笑)も、今回は誰でも判るようになっているので、安心して鑑賞して下さい。前作は上映終了後、「判らない。」の大合唱が聞こえましたが、今作は「面白い。」という感想が聞こえました。概ね、皆さんの反応も良かったという印象です。魍魎というのは、その熟語単独の場合は、妖怪の意味ではないのですね。作品中では、影の周りにできる靄のようなものとして説明されていました。詳しくは後程。 ↑ランキング参加中。ぷちっとクリックして下さると嬉しいです。
Jan 9, 2008
只今、公開中です。 監督・・・橋本一 原作・・・井上靖『淀どの日記』(角川文庫刊) 出演・・・和央ようか、寺島しのぶ、富田靖子、高島礼子、余貴美子、原田美枝子、吉野公佳、平岳大、中丸新将、高橋長英、近藤公園、中林大樹、黄川田将也、メイサツキ、谷村美月、松重豊、中村獅童、渡部篤郎、松方弘樹、他。 ・物語序盤・落城寸前の大阪城の天守閣で、炎上する城下町を見下ろしている淀君こと茶々。胸に渡来するのは、幼い頃の思い出。小谷城城主・浅井長政と織田信長の妹お市の方との間に生まれた茶々は、十歳の時、伯父である信長によって、父の城が攻め落とされ、母と二人の姉妹と共に、信長の元を訪れる。殺害した長政のしゃれこうべで酒杯を作り、共に祝杯を飲めと、お市に迫る信長に、茶々は横から杯を取り、酒を飲み干す。信長も家臣達も、そして滅ぼされた父も憎いと言い放つ茶々を見て、信長は彼女が何れ天下を伺う女帝となると哄笑した。 その後、茶々は妹のはつ・小督と共に、市の再婚相手である、信長の重臣・柴田勝家の許に身を寄せていた。だが信長亡き後、勝家は頭角を現してきた羽柴秀吉によって、攻め滅ぼされる。最愛の母・市は自害の道を選ぶが、女は負ける戦をしてはならぬと言い残し、娘達に生き延びる道を選ばせる。三人の姫達は秀吉の囚われ人として、身の回りの世話をしてくれる娘・きくと共に生活を始めた。平穏な暮らしは長く続かず、やがて二人の妹は秀吉の命で、幼い身で輿入れ先を決められ、茶々の元を去ってゆく。そして成長した茶々の前にも、決定的な運命が訪れた。 秀吉の使者である大蔵御局によって、秀吉の側室になる事を告げられた茶々は、意を決し、仇と憎んでいる男の住まう聚楽第に向かうのだった。 先ず余談から。私、たった一度だけ、宝塚歌劇を鑑賞した事があります。本当は素人なので、有名所の「ベルサイユのばら」が観たかったのですか、素人故にその人気の度合いを知らずに、普通にチケットぴあに行って、チケットを買おうとしました。全公演全席完売…。その日の新聞で記事になっておりました。宝塚大劇場の前には、数千人のファンがチケットを求めて殺到し、チケットは売り出し直後に完売との事でした。撃沈した私は、とにかく何でも良いやと、後日別の公演チケットを購入して、観劇して参りました。その時、男役トップだったのが、今作で主演している和央ようかさんだったのです。正直、美形でもないし、二番手三番手の男役さんの方が素敵に見えて、何故この人がトップなんだろうと…。(^_^;)さて、映画について。前述したとおり、和央ようかさんて、決して美人じゃないんですよ…。のっぺり横に広がった平目顔。(;一_一)ファンの人、ごめん。序盤に出てくる少女期の茶々を演じている女の子も、彼女に合わせて、平目顔の子を選んでおりました。最初は信長も存命なのですが、その信長が平目顔の少女を家臣達の前で、「見よ、この美貌!」と言い放つシーンは失笑モノです。芝居とは言え、言っている松方弘樹も、言われている女の子も複雑な気分だったろうなぁ。笑。映画全体から言うと、宝塚出身スターの映画進出第一弾作品らしく、全編通じて非常に芝居がかっています。宝塚歌劇的とも言えます。それが悪いという意味ではないです。男役トップであった和央ようかカラーを、前面に押し出した作品として作り上げたという意味です。此れまで描かれてきた茶々とは一線を隔した、とても男前な茶々でした。何しろ戦を前にして、鎧兜を身に纏い、味方陣営を鼓舞する号令を掛け、息子を引き連れて、宿敵・家康の元に、馬に跨って見参!です。思い切り、武将と化した茶々。流石男役トップの演じる茶々は、「ベルサイユのばら」のオスカルみたいだなぁ。(因みに「ベルばら」では彼女はフェルゼン役を演じていました~。)それは有り得ないだろ…と思いつつ、でもなんかカッコ良かったですわ。(^^♪声も低音なので、色仕掛けで伸し上がる女より、馬上で剣を掲げ、家臣達の指揮を執る男前な姿の方がしっくりきます。正直、女を演じている時の彼女は、今一つ魅力が無かったのですが。一番怖かったのは、秀吉の正室ねね役の余貴美子さんの顔…。鬼婆かと思いましたって。平素ねねは、色惚けで身勝手な夫・秀吉を蔭ながら支える、人格的にも優れた賢き妻として描かれる事が多いのですが。実際、過去の文献でも、信長がねねの事を、良く出来た人物であると称賛しているので、冷静沈着な物の道理を弁えた、慎ましい女性だったのではないでしょうか。しかしこの映画のねねは怖い。眉を剃っている顔も怖ければ、性格も残忍で冷酷。漸く生まれた跡取りを急な病で亡くしてしまい、毎日籠もって仏前の前で祈り続けている茶々を、秀吉にさっさと殺してしまえと言い放ちます。大体、茶々が出掛けている間に、幼児が急死する等という事態も、考えてみれば、嫉妬や権力争いからの毒殺の可能性が高くないですか?お話は長い年月を短い時間内に収める必要性から、ナレーションでポンポンと時代が流れてゆきます。この辺の歴史は、日本人なら誰でも知っている話なので、省略しても理解に問題は無いでしょう。個人的には配役に違和感を覚えました。三姉妹に和央ようか、寺島しのぶ、富田靖子をキャスティングしていますが、和央ようかが一番若く見えるんですよね。実年齢を調べたら、最も若いのは寺島さんでした。富田さん→和央さんの順。実際の年齢から見れば、和央さんが長女で問題ないのですが、特に寺島さんて、肌荒れがひどいんですよ…。だから年齢より老けて見えるんです。この人が和央さんの妹と言われても、納得できないというか…。茶々の叔母で~す、と言われても、普通に流せてしまいそうな老け顔で、妹でございと言われても苦しいものが…。対して和央さんは実年齢より若く見えるので、外見から考えると、妹役には20代の女優さんを起用すべきだったと思いました。男優で違和感の筆頭は、家康の中村獅童がダントツ。家康を演じるには若過ぎますよ。性格的にも家康に、彼は似合っていません。最後の最後まで、これが家康?という納得行かない気持ちが残りました。秀吉の渡部篤郎も、最初はどうかと思いましたが、結構お爺さん役も上手く演じていて、百姓上がりのお調子者っぽさが可愛く、こちらは許せたかな。信長が本能寺で殺された年齢を考えると、松方弘樹が演じるのも、ツッコミいれる所なんですけど、信長には威圧感と迫力が必要なので、これも許すか…。 お気に入りの登場人物は、メイサツキ演ずるきく。躾も何もなっていない田舎娘なのですが、破天荒で良いわー。秀吉の居城でも、茶々に聞えよがしの陰口を叩く側室達に、飛び蹴りを喰らわし、全員をノックアウトするという、凄い女傑です。笑。この映画、唯一のお笑い要員でしたが、インパクトがありました。イケメンも居ましたね。真田幸村役の黄川田将也や、後藤基次役の平岳大、豊臣秀頼役の中林大樹、何気に出てきた若手俳優が目の保養に。(#^.^#) お好みに合わせてどうぞー。演出方法は、映画というより、宝塚歌劇の延長線という感じで、演劇を観ているようでしたが、これはこれで楽しめましたよ。しかし間違ってもヒットする映画ではないですね。東映が総力を挙げて、完成させ世に送り出した作品ですが、感動巨編という程、胸を打つものも無く、ドラマ的にもダイジェストなので今一つ盛り上がらず。和央ようか、女優としての再出発は険しい幕開けになったという所でしょうか。今後の粘りに注目したいですね。平目顔でも負けるな。(^_^;)↑ランキング参加中。ぷちっとクリックして下さると嬉しいです。
Jan 6, 2008
只今、公開中です。"LES FILLES DU BOTANISTE","THE CHINESE BOTANIST'S DAUGHTERS","植物学家的中国女孩" 監督、脚本・・・ダイ・シージエ 出演・・・ミレーヌ・ジャンパノワ リー・ミン リー・シャオラン チェン・アン リン・トンフー チェン教授 グエン・ニュー・クイン 孤児院の院長 ワン・ウェイドン タン グエン・ヴァン・クァン ・物語序盤・三歳の時に起こった地震によって、中国人の父とロシア人の母を失い孤児となったリー・ミンは、孤児院で成長した娘。昆林医科大学の植物学者であるチェン教授の自宅で、一ヶ月半の間、実習生として学べる機会を得たミンは、湖の小島にある彼の植物園へとやって来た。だがチェン教授は、時間に厳しく、何事にも厳格な性格の人物で、ミンは到着早々、辛辣な叱責を受ける。教授は同じ年頃の娘アンと二人暮らしだった。母親を早くに亡くし、苛烈なまでに厳しい父の下で、孤独な暮らしを送っていたアンは、ミンを歓迎し、優しく接してくれる。しかしある日、医学生達の元に薬用植物を持ってくるよう命じられたミンは、誤って猛毒のトリカブトを渡し、チェン教授から罵声を浴びせ掛けられる。頭に来たミンは孤児院に帰ろうとするが、そんな彼女にアンは戻ってきてくれるよう懇願する。その後、長年孤独な境遇にあった二人は、姉妹のように打ち解け合い、心を通わせてゆく。互いを想う強い気持ちは、次第に愛へと高まってゆき、二人は禁断の関係を持つように…。そんなある日、モンゴルに駐屯している軍人である、アンの兄タンが、唐突に帰宅した。既に26歳で決まった相手も居ないタンに、チェン教授はミンを嫁に迎えるのが良いと思い付く。タンもミンに惹かれ、彼女に結婚してほしいと求愛する。嫉妬と悲しみで、心を切り裂かれる思いのアンは、いつも薬用植物を貰いに通っている寺に家出をした。翌日、アンを迎えにきたミンは、タンの求婚を断ったと言うが、アンは逆に、ミンがタンの妻になれば、二人は永遠に一緒に居られると提案するのだった。舞台は中国という設定ですが、中国政府での撮影許可が下りず、隣国ベトナムでロケを行ったという作品。ミン役のミレーヌ・ジャンパノイは、仏人と中国人を両親に持つハーフ。アジア人でも西洋の血が混じると、途端に美人になるなぁ。のっぺり顔の典型的日本人の私は、ミンの容姿に羨望の眼差しを送っておりました。オッパイも立派だし…、いいなぁ、ハーフ美女~。って、お前は、オッサンかい?!因みに、ミレーヌは中国語が殆ど出来ない為、結構苦労した模様です。本編が始まる前に、ドイツ語の注釈が出ました。何とか読もうと判る単語を必死に探しましたが、数秒間で消えてしまい判らず…。このフィルムはどーたらと、著作権について書いていたような…。そして映画に出る地名や場所の字幕も、全てドイツ語。あれ?フランスとカナダ合作映画の筈なのに、上映フィルムの仕入れ先はドイツなのか。中国ではタブーとされる同性愛を主題とした作品の為に、中国での撮影が出来ず、フィルムも西洋社会を周って、日本に巡り来るという、とても意味深な映画ですねー。先ず、公開前のトレーラーを観て思った事。これはいつの時代の話だ?現代?中国では、同性愛は刑事処分を受ける罪なのですか?その事に驚きました。日本に住んでいると、そんなの個人の自由でしょ、と思いがちですが、国が変わると倫理観も大きく変わるんですよね。しかも倫理のレベルでなく、法の裁きで処刑されるっていうんですから堪らないわ。(調べたら、主人公の両親が無くなったのが1976年の地震という事で、そこからざっと20年位と考えれば、ほぼ現代と言っても良い時代ですね、やはり…。)中国は、言論・思想の自由などが、世界ランクでも下から数えて一桁の位置にあると聞きました。オリンピックに向けて、経済開発が急ピッチで進められている一方で、多くの社会問題を抱えた国である事も承知しています。ただ最近は、深刻な社会問題を扱った映画も撮れるようになってきているので、この映画の撮影許可が下りなかったという事に驚きましたね。一人っ子政策の影響で、特に地方で嫁不足が深刻化して、都市部から若い女性を拉致・売買する事件が多発しているという事実を扱った映画も作られましたし。反政府的と思われる作品も許可されているのに、何故これが駄目なのでしょう?一応、この映画のモチーフとなった、実際の事件があったという事ですが。さて前置きが長くなりました。本作について。最後まで鑑賞して、一言だけ言うなら、「アンタ達、もう少し上手く立ち回れよ…。」です。笑。別に刑事事件にまで発展させなくても、内済できる問題でしょう…。(-_-メ)身内だって、世間に知られたら恥な訳ですから、大事にしたくないという気持ちが働く筈。それを怒りを煽るような態度を取るから…。冒頭に戻ります。ミンが世話になる植物学者の家に前日の晩に電話します。すると「今、何時だと思っているんだ?」という不機嫌な応答。こちらも一体何時なの?と思っていたら、夜9時…。え、中国で夜9時に電話をしたら非常識なのか…。そういうものなのか?文化や慣習が判らないので、ちょっと狼狽と疑問符。翌日、実際に植物学者に対面した時も、「君は時間の観念がなっていない。」とお叱りを受けるミン。よくよく映画を観ていると、このお父さん、非常に時間に煩い人だと判明。朝食は何時から何時、仕事は何時から何時、とプログラムされたコンピューターの如く生活リズムを刻んでいて、予定以外の時刻に他の事をさせようと思っても無駄。お前はカントかぁー!とツッコミ。(カント:イマヌエル・カント(Immanuel Kant)、ドイツの哲学者。規則正しい生活を送り、散歩する彼を見掛けた人が、それに合わせて時計の時刻を合わせたという逸話は有名。)そんな厳格な父親ですが、娘アンによれば、心根は優しい人との事。その証拠か否か、突然帰ってきた息子に、ミンとの縁談を進めようと思い立つ。孤児で1ヶ月半で帰る実習生、しかも連日叱責している不出来な女を、息子の嫁にしたいのか…。怒鳴っているのも愛の鞭で、内心は見所があると気に入っていたのかなぁ。アンの言う通り、彼の温かい一面と捉えるべきか、単に孤児だから煩く言う人間も居らず、無給の女中代わりに使えると思っての判断だったのか、その辺の真相は不明…。兵隊のタン兄ちゃんは粗暴な男かもしれませんが、あの立場なら怒って当然でしょう。彼を非難するのは筋違いかと…。ある意味、一番気の毒な被害者だと思いますよ、彼は。ラスト近く、再び帰宅した我が家が荒れ放題になっているのを見て、何が起こったのかも分からずに呆然とする彼の心中は慮るに余りありました。そして妹と妻の処刑を報ずる新聞を、かつて毎日新聞を買っていた街頭の売店で買う彼。何にも知らずに利用されて、世間からは後ろ指差される身になって、可哀想すぎ…。ふと疑問に思ったのは、ハネムーンでの初夜の後、何故処女じゃないんだー?!とタンが激怒して難詰しますが、アンとミンはどんなセックスをしていたんだろう?田舎の人で世間知らずな若い娘同士で、何処まで激しいプレイをしていたのー?処女膜は破損していないのではと、ふと考えたのですが…。それにですねぇ、初めての性交で出血するというのは、全員ではないですからね。処女膜も人それぞれタイプがありますし、「膜」と言っても、実際は「襞」であって、穴が膜で塞がれている訳ではなくて…。(稀に、完全に塞がれている閉鎖膜の方も居ます。)膣口が充分に粘液で濡れていれば、初めてでも出血しない場合が多いのです。血が出ない=非処女という判断は、現代日本でも定着していますが、完全な誤認識ですよ…。だからミンも頑なに口を閉ざさないで、上手く弁解しなさいよと。処女膜についての知識は無かったとしても、例えばさぁ、孤児院でイタズラされたの…とか、涙ながらに同情を引けば、あの兄ちゃんも、そんな目に遭わされたのか、と気の毒がってくれたかも。女は男を上手く騙してなんぼですよ、アータ。兎に角、アンもミンも、立ち回りが下手過ぎて、自ら問題を悪化させているのが気になりました。父親に対しても、傲慢な態度を取り、あからさまに彼を排斥し始めたりと、私から見ると、何故?と首を傾げる部分が多かったです。知られては不味い事をしている時は、殊更周りのご機嫌は取らなければならないですよね。父親が心臓発作を起こした時も、下手に病院に搬送せず、放置しておけば、病死で済んだのに。とことん逆上させておいて、倒れたら病院に運び、行状を暴露されるって…、頭悪過ぎませんか、お二人さん?悲劇的な純愛がどうのというより、君達根本的になってないから…、という思いの方が強くて。108羽の鳩を放して、永遠に離れない事を祈願した二人のシーンは切なかったけれど、何か変だよ…と思う場面がそれを上回って、純粋に悲劇の恋としては見られなかったです。↑ランキング参加中。ぷちっとクリックして下さると嬉しいです。
Jan 5, 2008
只今、公開中です。"BEOWULF" 監督・・・ロバート・ゼメキス 出演・・・レイ・ウィンストン ベオウルフ アンソニー・ホプキンス フロースガール ジョン・マルコヴィッチ アンファース ロビン・ライト・ペン ウィールソー ブレンダン・グリーソン ウィグラーフ クリスピン・グローヴァー グレンデル アリソン・ローマン ウルスラ アンジェリーナ・ジョリー グレンデルの母・物語序盤・ 古代デンマーク。王であるフロースガールは、若く美しい妃ウィールソーを横に、家臣達と乱痴気騒ぎの祝宴を催していた。しかしそこへ突如、醜悪な容貌の巨人が現れ、居並ぶ人々を虐殺する。だがその狂暴な巨人は、フロースガールには手出しせず、何処かへ消えてしまった。その巨人の名はグレンデルといい、洞窟に棲む魔物の息子だった。そしてその父親は、フロースガールその人…。かつてフロースガールは魔物と契約によって交わり、子を授けた代わりに、王位と繁栄を手に入れたのだった。その秘密を知っていた妃は、夫を忌み嫌っていた。フロースガールは国中に御触れを出し、グレンデルを退治したものに巨額の褒美を取らせる事にしたが、幾多の勇者達が挑んではグレンデルに惨殺された。そこへ海を渡ってやって来たのが、勇者ベオウルフ率いる荒くれ者の一団だった。気品漂うウィールソーの容姿と歌声に、心を奪われるベオウルフ。ベオウルフ等は王にグレンデル討伐を申し出て、見事怪物を打ち負かした。だが洞窟では、息子を奪われた母が憤怒の涙を流し、すぐさま復讐に現れる。部下達を殺されたベオウルフは、今度はグレンデルの母を抹殺しに洞窟へと向うが…。モチーフは、中世イギリスの英雄叙事詩『ベオウルフ』です。パフォーマンス・キャプチャー技術を駆使して作られた、実写とCGを融合させた独特な映像が個性的な一作。私は古典文学である『ベオウルフ』の内容については知りません。ですから、この映画のストーリーがどの程度、この英国最古の叙事詩と共通点を持っているのは不明。という事で、この映画についてのみ語ります。ゼメキス監督は前作の「ポーラ・エクスプレス」に於いても、パフォーマンス・キャプチャーを使用し、俳優の演技をCG処理するという手法を用いました。こちらでは、有名俳優は車掌役のみという事で、特に違和感なく、普通のCGムービーとして鑑賞できました。これに比べて今作は、有名俳優が多く出演しており、人間のドラマパートが多くの比重を占めておりました。この映画を観た、率直な第一印象は、ゲームの映像シーンみたいでチープ…でした。若干グロテスクとは言えファンタジーというジャンル故に、この手法を敢えて選択したのかもしれませんが、私は正直な話、CG処理する必要性があったのか、甚だ疑問に思いました。表情も人相が変わる程、強度の加工を加えられており、動きも非常に不自然でした。俳優の演技がメインの場面は、最小限度の加工に留めた方が良かったのではないでしょうか。対して怪物の書き込みについては、細部まで丁寧に作られ、動きも滑らかで非常に良かったと思いました。飛翔するドラゴンとの戦闘シーンなど、CG映像ならではの、アクロバティックなカメラワークが目を楽しませてくれます。ストーリーに関して、一言で表現すると、「全く、男って奴は…。」です。笑。 これでは流石に判り辛いと思いますので、補足しますと、下半身の命令に逆らえない、自制心の無い男達が繰り返す、終わりなき呪いの連鎖の物語です。しかし、前王のフロースガールか王妃ウィールソーは、洞窟に魔物退治へと出向くベオウルフに、ちゃんと事情を教えてやるべきではなかったですか?あの女とセックスしたら、エライ呪いが降り懸かるよと警告してやれば、さしもの色情狂英雄君も、流石に罠に掛からなかったのでは?もう一言言わせてもらえるなら、アンタ、脱ぎ過ぎ…。立派なガタイを見せびらかしたいのは判るが、怪物と戦うのに、全裸になって待ってるなんて意味不明です。このエロエロ大王は…。海を渡ってくる時にも、競泳中に人魚に誘惑されてエッチして勝負に負けるし、少しは節操というものを学べよ。ですが、全裸であれだけハードな戦闘を繰り広げても、股間の一物は一瞬たりとも見えません。笑。その辺に節操の欠片を感じろという事か…。(^_^;)しかし結末も、この惨状を見た上で、まさかお前までもかぁ?、というような締め括り方だったので、たらこ唇な魔物女の誘惑には誰も逆らえないのかもしれませんね。 魔物女役のアンジェリーナ・ジョリーでしたが、出番は意外に少なかったです。出演者を紹介するオープニング・テロップでも、and...と別格の特別出演という扱いでした。あのちょっとの出演で、幾らギャラを貰ったのか。大物になったなぁ、アンジー。(~_~;)でも素っ裸なのに、踵にハイヒールみたいな物が付いているのは、造形として変でしょ…。フロースガールの側近だったアンファース役は、マルコヴィッチだったのですね。余りにCG処理がきつ過ぎて、配役を見るまで気付きませんでした。この映画で最も気に入ったのは、王妃が竪琴を奏でながら歌っていた歌です。"HERO COMES HOME"という歌ですが、エンディングでは現代的なアレンジのポップとして流れます。でも映画内で聴いた竪琴ヴァージョンの方が素敵でしたね。内容は普通に楽しめましたが、最後までCG映像の違和感は払拭出来ませんでした。 ↑ランキング参加中。ぷちっとクリックして下さると嬉しいです。
Jan 4, 2008
年末に買ったPSPではないです。もっと前に必死の思いで買ったものの、それきり放置していたDSの方です。DSはゲーム用というより、脳の活性化の為に購入したハードです。しかしなんやかやと忙しくしている内に月日は流れ、漸く初めてプレイ。買った時にした充電、まだ使えたー。(^_^;)脳の老化を防ぐという事で、ソフトは「もっと脳を鍛える大人のDSトレーニング」。しかし、遊ぶ前にすべき事が一つあり、これが難関だった…。こちらも買ったきり放置していた、画面の保護シートを貼る事です。貼り方の方法を熟読し、DSの画面を綺麗に拭き拭き。一枚目、貼り付け。あれ、なんか、ちょっと失敗っぽい…。空気が入ってしまった。取り敢えず、二枚目も貼り付け。一枚目の教訓を得て、こちらは完璧に貼れました。さて、一枚目をどうするべ?剥がして貼り直す為の、剥がし専用テープもある。このまま放置するには微妙なライン。でも上手く貼り直せるかなぁ。迷った末に、剥がして貼り直しに挑戦。剥がし専用テープ、うん?剥がれませんけど?何度かトライしている内に、漸く剥がせました。貼る前に、もう一度、画面の埃を念入りに拭き取ろうと、シートを片手に持ったまま、拭き拭き。すると、なんてこったい。肝心のシートの接着面に、空気中を舞っていた無数の埃が不着。手で取れる範囲の埃を、指紋を付けないように取り除いて貼ってみたものの、画面とシートの間は埃だらけ。愚かな私は、説明書の続きに、そうなった場合の対処法が書かれている事に気付かず、水で洗ってみるかー、と何度もトライ。しかし細かい埃は取れず、事態は悪化の一途を辿る。任天堂の正規品だから、結構高かったのに、買い直しかよー?!と半泣き状態です。自暴自棄になって、捨ててしまえと、説明書も全部掻き集めて、ふと見ると、接着面に埃が付いた時は、という文字が…。何故、最初に気付かなかったんだ!なになに、セロテープで埃を取り除いて下さい。そんな単純な話だったのか…。がっくり肩を落として、セロテープでペタペタとお掃除。貼るかと思った矢先、もう一度、ゲーム本体の画面を拭いておこうと思い立つ。そして、またも拭き拭き。その拍子でシートを絨毯の上に落とす…。うぎゃー、また埃まみれー。全身脱力状態で、再度セロテープでペタペタとお掃除。一体、何をしているんだろう、私は…?情けな過ぎる…。なんとか無事に保護シートを貼り付けられましたが、ゲームをする以前の段階で、物凄く脳を使った気がする。しかし「脳を鍛える」の教授がゲームの中で言っていた。楽しく使っている時は脳は活性化しますが、義務的に厭々している行為の最中の脳は、使っていても、逆にダメージを受けると。思いっ切りストレス満タン状態で、シート貼ってましたからねぇ。この作業で、脳は疲弊してしまった模様です。(>_
Jan 3, 2008
今使っている、黒のELLEの財布。もう何年も使い続けているので、少々草臥れてきました。ELLEは昔から好きなブランドなのですが、私の場合、選ぶ基準はブランドではありません。財布の場合、兎に角、カードが沢山入る事。これが絶対条件。私は常に多くのカードを持ち歩くので、普通の財布に付属してあるカード入れの数では足りません。買い替えたくても、条件を満たす財布が見付からず、延々と使い続けている訳です。他の条件は、小銭入れ部分は蝦蟇口である事。札入れ部分は二層に分かれている事。この三点のみなんだけどなぁ。これが見付からん…。昨日、フィオルッチ(FIORUCCI)で、上記二点までパーフェクトな財布を発見したのですが、残念な事に、札入れ部分が一つ…。お札とチケット類を別の場所に入れられないと、不便なんだよねぇ。でも本当に見付からなくて、妥協してしまおうか迷っています。
Jan 2, 2008
~迎春~ 新年明けまして、おめでとうございます。皆様のご多幸とご健勝を、心よりお祈り致しますと共に、本年も何卒、宜しくお願い申し上げます。普段から新聞を読むのが好きな私。ニュースを知る為というのは勿論ですが、新たな知識と遭遇できるので。去年の暮れの新聞の編集欄に「戻り年賀」という言葉を見付けました。「年賀状を受け取ってから、その相手宛に出す年賀状」の意味。この記者さんは、毎度大晦日から書き始めるそうで、この言葉を見付けて、少し気が楽になったそうな。「無精年賀」や「無礼年賀」とは呼ばず、「戻り年賀」の風雅な響きがありがたい、との事。確かに風流な名称に、気が休まります。笑。と言うのも、私も今年(去年?)の年賀状には泣かされたので。例年は20日までに投函するのですが、去年は一向に書けず…。12月最後の連休中に、何とかせねばと思っていたものの、実際に投函できたのは、12/27の早朝でした。これ、元旦に間に合うんかなぁ…?元旦に間に合わなかった方が居られましたら、申し訳ありません。厳密には、戻り年賀ではないのですが、遅れ年賀ですかね?話は変わりますが、年賀状を受け取ってから、その相手宛に年賀状を出すタイプの人の扱いは難しいですねぇ。全く付き合いも無く、もう不要かなと思いつつ、毎年送る人もちらほら。この切り時の判断が難しい。去年はこちらに返信する形で来たから、今年からは止めだと思ったら、元旦に届いている…。これ、多分、お互いに、シーソーゲーム状態なんでしょうね。向こうは、私が去年送ってきたから、今年は送っておくかと、そういう気持ちで送ったのだと推察。同時に止めたら、お互い気遣い無しで済むのにねぇ。知り合いの中には、最初から、くれた人だけに出すという、正真正銘の「無精年賀」なタイプの人も居て、呆れる反面、無駄な年賀状を減らす意味では合理的かもと思ったりして。いや、しかし、流石にこれは失礼よなぁ。
Jan 1, 2008
全25件 (25件中 1-25件目)
1