仙台・宮城・東北を考える おだずまジャーナル

2005.09.06
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カテゴリ: 教育
 本日(9月6日)付けの河北新報の教育面の記事「進学率向上 宮城・郡部県立校の挑戦」。6回続きの第1回という。大学進学率が低い本県で仙台圏外の拠点県立高校が進学指導に取り組んで実績を上げている、という記事。

 宮城県の進学率と県民所得は、全国的にかなり低位である。
 わが宮城県は人口では全国第15位、人口密度19位(平成12年国勢調査)。だいたい上位3分の1、中の上というのが何となくの感覚。
 しかし、大学進学率(平成17年学校基本調査速報、文部科学省HPから。これは現役進学率。)は、全国47.3%に対して宮城37.9%。京都の58.1%がトップで、首都圏、関西、中部の主要県と広島県が50%台。また、よく言われるように富山、石川、福井の北陸三県の50%台が特徴である。本県の37.9%は、山形の40.1%より低位で、下から8番目。
 1人当たり県民所得も14年度で2,576千円は、全国で30位と中の下。これも人口規模に比較してかなり低位である。
 これらデータは、中の上という宮城の感覚に比較して随分低い。例年そうだ。本県に特殊な要因によるのか、あるいはこれこそが実力なのか。県民所得の方は、産業構造の低次さを表していると思われる。かつて勉強会のテーマにもしたが、また機会があれば分析したい。本日の題は進学率。

 宮城県教委では進学率と対策をどう見ているのか。平成17年3月の「学力向上推進プログラム」に考え方が整理されていると思われる。高校生の進学に関する部分を、思い切り縮約すれば、下記のとおり。
 「学力と進学率の低迷を認識。現役進学率36.1%(平成16年3月)は全国40位、浪人割合が高い。就職決定率も低く(40位)、これらは本県の大きな課題で適切な進路指導が重要。現役進学率の目標を全国平均に定め、授業理解度の向上と家庭学習の促進の2つのプロジェクトを行う。」その後に具体策がちりばめられている。
 私は、この一番の意義は、進学率の低さを正面から捉え、目標を設け、取組をする、と宣言したことにあると思う。従来もなんとなくは進学率について考えてはいたはず。でも、「結局やる気の問題だね」、「宮城の人は困っていないからハングリーさがないからね」、「浪人が当たり前だから」、など世の中でも言われており、教育を司る側も多少責任放棄していた感じが強い。

 進学支援プログラム事業として、拠点的な進学校に一定の予算を配分している。予算がないと動かないのか、という批判も聞いたが、ちょっと違うと思う。たしかに、教育は予算がいくらなければ取り組めない、というものではないはず。それは皆わかっている。この予算配分の意義は、他校と差別化し、教員に意識を与えること、また県教委としても学校に言う事聞かせるための手段だ。だから事実上必要だったのだろう。

 平成17年春の現役合格実績を東北のいつくかの高校のHPでみてみる。(括弧は浪人で外数。記載なければ現役のみ。なお合格者数なのか進学実績なのか統一されていない。)

○仙台二高(クラス数8)国公立117(うち東北大55)(浪人105)、私立63(291)。これは合格数でなく進学実績。現役進学者は計180名となり、就職はほとんどいないから、残りの140人程度は浪人して来春の進学をめざしていることになる。何ともすごい。
○石巻高 国公立61(うち東北大10)、私立205。合格者ベース。
○古川高(6) HPで公開なし。残念。この辺も進学校としての自覚不足か。
○泉館山高校(7) 国公立107(うち東北大5)(浪46)私立373(100)。これは合格実績ベース。実際の現役進学率は二高に比較すれば結構高いと思われる。
○白石高校(5) 国公立55(うち東北大3)(浪18)、私立208(浪52)。合格ベース。
○盛岡一高(7、共学) 国公立196(うち東北大39)、私立223。これは合格実績なので実際の進学は不明。
○水沢高(7、共学) 国公立146、私立170。ただし16年3月合格実績。
○大船渡高(6、共学) 国公立83(うち東北大8)(浪6)、私立190。合格実績。
○山形東(6、共学) 国公立164(浪人59)(東北大現浪あわせて75)私立112(浪133)。これは16年度の数値で合格者ベース。仙台二高に比べれば、やはり現役進学が高い。

○酒田北(6,共学) 国公立89(うち東北大8)(浪人27)、私立77(23)。これは進学実績。
○青森高(8、共学) 国公立179(うち東北大25)(浪人30)、私立210(79)。合格者ベース。

 きりがなくなってきたのでこの辺で。
 所見としては、やはり宮城の現役進学率は低いこと。仙台二高に象徴的。他県のトップクラスの現浪の比率をみると(私立は複数合格が予想されるので国公立のみ)、山形東高で3対1、青森高で6対1。仙台二高はほぼ1対1であり、この差は歴然。浪人率の高さが際だっている。
 また、例えば人口10万超、学区では20万人規模の石巻の拠点校石巻高は、仙台圏以外では現役国公立合格数が最高だが、その現役合格数や全体合格数は、学区規模が同規模と思われる酒田北、小規模と思われる水沢高より残念ながら劣っている。地方中小都市の大船渡高(国公立現役83)、久慈高(同62)あたりと同程度というのは、寂しい。山形県で山形東高に次ぐ実績を誇るのは米沢興譲館だが、米沢市は人口9万ほどである。宮城県第二の石巻にも、こんな迫力があると良いのだが。勝手な意見で失礼。


 進学校を標榜する以上は、やはり現役進学という結果を出すことに、もっと学校側は真剣になるべきだ。好んで浪人するヤツがどれだけいるか。生徒の適性と能力にみあう大学に合格させるという進学校の本来の使命をどれだけ真剣に考えて来ただろうか。
 こういう議論になると、よく、進学だけが学校生活でない、という意見も出てくる。受験競争は予備校の専門事項で...という意見すら聞く。何とも寂しい話だ。進学校として生徒が学び、現役進学を望んでいる以上、それを正面から支える学校であって欲しい。確かに学生は多様な学校生活を送りたいし、その面で全人格的な教員の指導を望んでいるとは思うが、そのこととが進学指導と矛盾するものでも何でもない。
 また、進学実績を競うのは県立高校の本分に反する、というような訳のわからない議論もある。これは、受験競争を悪として「豊かな高校生活」と対峙して議論する図式だろうが、そもそもおかしい。生徒の自己実現という意味で、進学は実りある高校生活の重要な一部であるはずだから。この論者が教師にいるとすれば、それは、受験競争を忌避すべき物と決めつけることで、生徒の本心に応えて自己鍛錬することを怠る自分への言い訳にしているだけなのだ。ちょっと言い過ぎか。こんな先生は進学校には少なくなっただろうが。
 もうちょっと踏み込んで言うと、個々の教師はそれなりに意識をもって取り組んでいるとしても、それに任せっきりで、組織としての学校の力が意識されてこなかった、という気がする。学校経営、という意味では、内容のよしあしは別として、一部の私学に何十年も遅れている。

 子供の素質にもとより都道府県の差はないはず。教育サービスの供給側で真剣になればなるほど、生徒も自分を見つめ、自発的に取り組み、結果もついてくるだろう。学力向上推進プログラムの具体策の中にも、学校活性化策が盛り込まれている。これも、組織力としての「学校」が機能させるため大事だと思う。いずれにせよ、教育委員会が言っているから、というのではなく、学校自体が主体的に組織的に対応していかねばならない。
 是非とも宮城の県立「進学」校の奮起を期待する。現役進学率を全国平均に、という目標の達成を見守りたい。





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最終更新日  2005.09.07 04:09:47
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こんにちは。  
スキュート  さん
進学率に興味があり、調べていたところ、貴殿のブログを発見しました。細かい数字は、大変勉強になりました。現役率、素晴らしいです。
ありがとうございました。

PS.山形県の「酒田北高校」は、「酒田東高校」の間違いでではないでしょうか。 (2009.06.20 18:03:42)

Re:こんにちは。(09/06)  
スキュートさんコメント大変ありがとうございます。
誤りの指摘もありがとうございました。酒田東ですね。基本的な誤りで失礼を致しました。

この記事は楽天ブログ書き始めた4年前のものでして、私が問題意識を抱いていた宮城県の県立高校もその後共学化などが進み、徐々に変わってきたようです。進学実績だけが高校ではないとは言え、伝統校の現役合格が増えているのは良いことと思っております。

訪問ありがとうございました。 (2009.06.21 07:18:09)

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