仙台・宮城・東北を考える おだずまジャーナル

2005.09.05
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カテゴリ: 宮城
先月の登米市内の駐在所警官が刺されるという事件はショッキングだった。殺人未遂で逮捕したという報道で、傷害罪ではないから殺意を認定したのだろうか、などという疑問も持ったが、中学生が拳銃欲しさに凶行に及んだというから驚き。また、重傷を負った警官が血まみれになりながら、救急車の到着するその瞬間まで、犯人の身柄確保と説得に当たっていたという報道も印象的だった。新聞によって記述が異なる点もあり、ニュースソースの多様性が伺えるが、いずれにしても、県民としてこのような警察官を誇りに思うことも率直な感想だ。

さて、この報道で登米市は図らずも全国に名が知れたのではないだろうか。
私はこの「登米市」とお隣りの「栗原市」を、ひそかに大いに応援している。

本年4月、宮城県では登米市と栗原市の2市が誕生した。
合併の必要性を、登米市の合併建設計画「第1章3合併の必要性」を例にとってみると、
 (1)生活圏の拡大と住民ニーズの多様化・高度化への対応
 (2)少子・高齢化の進展に伴う社会構造の変化への対応
 (3)地方分権の推進と行財政基盤の強化
の3点に集約されている。これを私なりに簡潔にまとめれば、

 (2)少子高齢化に対応すべく人的・財政的な基盤充実
 (3)自己決定・自己責任のための専門的人材の育成、また少子高齢化でも行政サービス水準確保のため、効率的な行財政運営
(2)と(3)は重複しているような気もするが、細かいことは捨象。ここに整理されているような合併の必要性は、他の合併事例でも同じだろう。現に栗原市の場合を見てみると、
 (1)地方分権の推進
 (2)少子高齢化社会への対応
 (3)多様化・高度化する住民ニーズへの対応
 (4)行財政基盤の強化
 (5)広域的な施設整備
となっている。これらの必要性のうち、財政面での必要性と利点は、数字で出せることもあり、相当議論され尽くしたと思う。また、今後とも検証されるべきであろう。

これら目に見える効果の議論はそれとして、これら2つの新市の合併ならではの点として、思うことがあるので述べてみたい。

昔の話だが、宮城県の地図をみて素朴に疑問を持ったことがある。なぜ宮城県北には「市」がないのか。そして、東北他県に比べれば、非常に面積の小さい町がひしめいている。例えば岩手県の地図と比較すると一目瞭然だが、水沢市は県内でも狭い方で、面積は97平方キロ。岩手県の地図を見ると他市町村に比較して随分と狭いのがわかる。他方で、宮城県の場合、旧栗原郡、旧登米郡、遠田郡あたりは随分狭い町が多い。志波姫、高清水など30平方キロ前後の町も多く、感覚的に比較的広いと感じる涌谷町でも、82平方キロで水沢市より狭い。

 県北で古くから市(七日市、三日市とか。町名に残っている。)が成立した商業都市と言えば古川市だが、古川市は全国的にも希有な特徴をもっている。それは、国道4本が交錯し、周囲に「市」のない、という意味で田舎の王様的な一大拠点都市という特徴である。かつて勉強会で古川の地政学的特徴を整理した(実は地図を丹念に眺めた)ことがあるが、まちがいなく他にない拠点性である。栗原郡や登米郡を背後圏にしていることになるが、かといって古川市自体の人口集積もさほど大きくない。これは、栗原や登米にも市レベルではないものの適当に商業などの集積があり、また、巨大都市仙台や一関市にも適度に引っ張られているからということだろうか。
 岩手県はじめ東北他県では、都市のつながる軸と山間部の背後圏という秩序がハッキリしている。国道4号に沿って、花巻、北上(黒沢尻)、水沢、一関にはそれぞれ、稗貫郡、和賀郡、胆沢郡・江刺市(旧江刺郡)、東西の磐井郡、という背後圏がついている。これらは主に中山間地域である。こうした秩序は山形の国道13号沿いなどにも典型的にみられる。ただ、これらの背後圏は人口10万程度だ。
 栗原郡や登米郡は、満遍なく豊かな地域であったからこそ、20万人の人口がありながらぬきんでた核都市の形成がなかったということだろう。

 そんな両郡が、そのまま市になった。核となる「市」がなくて、9や10の町村が一斉に市になる、という合併事例は全国的にも珍しいのだそうだ。なるほど。それだけに合併の苦労も大変だったと思うが、いざ誕生した新市には、勝手ながら私は大いに期待をもっている。変な言い方かもしれないが地域構造に秩序がないからこそ、他にないまちづくりができるのではないか。
 核がある方が、一見すれば施設の配置にも悩まないという効率性があるようにも思える。しかし、もはや施設のばらまきという発想は時代遅れだし、鉄道網がなく自動車やバスで移動するのだから、逆に悩む必要もないとも言える。あえて核を作ろうとしない方がいいと思う。いままでの「そこそこ豊かな町×10町」を活かしたい。また、新市の共通アイデンティティを無理に求めない方が良い。多様性をこわすな。行政としては、まず行財政の効率化という合併本来の効果に、計画以上の実績を挙げること。どの町が取り立てて貧しいということもないのだから、変に地域構造をいじることをせず、市民の財政負担を軽くすることに行政は集中できる。これは意外と他ではできないのではないか。まさに合併の王道をいくわけだ。

 そして、隣同士の2市が、変に背伸びせず、真の豊かさを追い求める市政を競ってもらえば、全国に誇れる宮城のまちづくりになるのではないか。

こんな2つの新市を県民として、誇りに感じている。がんばれ、登米市、栗原市。





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最終更新日  2005.09.06 00:53:35
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