仙台・宮城・東北を考える おだずまジャーナル

2005.10.11
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カテゴリ: 国政・経済・法律
5年に一度の国勢調査が今年行われている。仙台市の調査員1800人のうち81人が体調不良などを理由に調査途中で辞退しているという。また、仙台市青葉区担当の40代女性調査員が4世帯分の記入済み調査票を含む調査票25枚を、3日夜JR仙台駅トイレに置き忘れ、3日後に発見されたという(以上、10月7日付読売新聞、同日付け朝日新聞)。

 国勢調査調査員は、国家公務員として任命されるのだそうだが(誰がどう指揮監督するの?市役所や区役所は市職員なのに?)、その苦労は相当のようだ。わが家の担当の方に聞くと1人40軒以上担当ということで、不在世帯の対応が大変という。町内会の役員で断れないのだ。世帯入居の多い団地はまだ良いかも知れないが、学生や単身者のアパートの多い地区など、昼には不在、夜なら面会拒否、なんて感じで大変だろうと察する。特に昨今は個人情報保護の意識が強まり(行き過ぎた風潮も懸念するが。)、何でこんなこと書くの、という批判も多かろう(わが妻も家内で早速文句言っていた)。
 だから、辞退者が出るのはうなずける。ただ、81人という「組織的」脱退人数には驚く。仙台市側の人選手順や研修に手抜かりがあったのか。いや、多少はあったのだが今まで明らかにされなかった、ということなのではないか。
 そう思っていたら、続々報道が出てきた。茨城県では調査員が調査票を焼いた、また郡山市では国政調査員を装った男に記入済み調査票をだまし取られたという(いずれも9日付河北新報)。茨城の事件は6日午前のこと、郡山の事件は3日のことで正規の調査員が回収に訪問した7日に判明したという。いずれも8日に両県が発表したという。法定受託事務だから県を通じて総務省統計局に相談しながら発表するのだろうと察するが、似たようなケースは相当あるのだろう。

こんな事を考えてみた。ズバリ国勢調査は不要でないか。次のような大胆な仮説を立ててみた。これらが検証されれば国勢調査は不要、いやむしろ廃止すべき、ということになる。

(1)国勢調査で行っている調査項目は他の既存調査でほぼ代替可能である。
  (a) 基本である人口の動静は、住民基本台帳などで把握可能である。
(b) 就業に関する情報(仕事の時間・内容・従業地など)は、労働実態調査などで相当に代替可能である。
  (c) 世帯に関する情報(住居の種類・床面積など)は、建築行政上のデータで相当に代替可能である。

(3)総務省統計局は各省の調査統計との調整は実質的に行っていない。
(4)統計データ把握が目的ではなく、何かのために全戸調査という手法自体を残しておきたいという動機が真の意図である。
(5)総務省統計局の委託先団体・会社はOB就職先であるなどの実態がある。

 全く検証していないのだが、まず仮説(1)について。
 宮城県のホームページで国勢調査についての説明を見てみた。
http://www.pref.miyagi.jp/toukei/census/census_01.htm
必要性と使われ方について要約すると(要約は私の文責)次の通り。
------------
 現状を正確に把握し、将来の展望に立って行政を行うためには、実態を表す客観的なデータは不可欠。特に人口は基礎的で重要で、各種計画策定に当たって人口の現状と将来予測が必要になるが、性別、年齢、配偶の関係、国籍をはじめ、社会・経済属性や日々の移動、又は社会移動も含めて把握する必要がある。国勢調査は、国内の人口、世帯、産業構造等の実態を明らかにし、必要情報を基礎資料として提供する役割を担う。これまで我が国人口は増加傾向から減少に向かう転換期にあることからも、実態を明らかにするためにも平成17年国勢調査は重要な意味を持つ。
 利用方途は、(1)法律により国勢調査結果使用が定められているものとして、議員定数の決定、市や政令指定都市の設置、地方交付税の算定、都市計画の策定など。
 (2)他に、(1)行政施策などへの利用(福祉政策のための高齢者や子供のいる世帯の統計)、(2)防災対策(人口の地域分布、人口密度、昼間人口や住宅の建て方、階数など)、(3)人口の将来推計(様々な行政施策に必要な将来の人口や世帯数の予測)。

 仮説(1)は、ある程度検証できそうな気がする。国勢調査の担当側は、「行政の基本」「指定統計第一号」「我が国の最も基本的な統計」などと言う。たしかにそうだろうし、あれば是非活用したいというのは当然。ただ、それは必要性ではない。人口動態、産業、雇用、教育など各種の統計資料が充実している今、どうなのだろうか。また、法律で定められているというのは、歴史的経緯もあろうが、立法で改めればいいだけ。

 仮説(2)について。前回平成12年国勢調査の費用は、総務省統計局の資料を見たら、平成11年度から16年度まで通算で約780億円。うち中央政府分114億円、地方自治体委託分666億円。平成13年度以降は中央分だけ。分析などの経費らしい。なお調査員の苦労という社会的費用も無視できない。

 仮説(3)(4)(5)は、関係者インタビューや資料精査しないとわからない。(4)は単なる想像。政治的動機ではなく純粋な行政上の目的もありうる。(5)について、一般的には利権や既得権益はイメージしにくいが(統計族なんてのも聞かない)、莫大な国家事業だから。

 当分検証する時間はありませんが、政策分析の1つのテーマにはなると思う。先行研究があるだろうか。


 ちょっと付け足し。

http://www.ringo.sakura.ne.jp/~kokusei/
 主に個人情報保護の問題を中心にしているように拝見します。私自身は個人情報の点はあまり重視していないのですが、たしかに、自治会役員がやらざるを得ない実態、近所のオジサンに知られたくない意識などがあるのでしょう。調査の手法の旧態依然として自治体任せにしている総務省の意識が伺えます。本当に必要なら、調査票の使われ方など徹底して情報公開するとともに、調査手法も考えるべき。もちろんその前提として、国勢調査の必要性が客観的に示されなければ、納得も得られない。
 この点は、文部科学省と学校現場の関係のような感じで、中央官庁と地方の意識のズレがあるように思います。





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最終更新日  2005.10.11 23:34:09
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