仙台・宮城・東北を考える おだずまジャーナル

2008.07.30
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カテゴリ: 教育
宮城県教委は高校合同相談会を初めて開催し、二千人が来場した(河北新報の28日の記事)。10年度に公立高校の学区撤廃を控え、進路選択に役立ててもらう趣旨で、7月27日(会場:仙台市体育館)を皮切りに、気仙沼、大崎、白石、石巻と県内5会場で順次開催する(県教委の 資料 )。

また、これとは別に夏休みなどに学校説明会(オープンキャンパス)を実施する高校も多い(県教委の 資料 )。

しばらく前は宮城県では男女共学化の是非が喧しく論じられた。学区撤廃論議(宮城県では全県一学区制の語が用いられる)についても賛否両論があった。本県の場合、学区撤廃の理由について、表向きはより多くの学校から希望に応じて選択できるようにするため、と説明されている。そして今回のオープンキャンパスも、選択対象の広がった各高校を知るための機会を提供する、という位置づけだ。

このことを説明している県教委の広報用 リーフレット には、さらに各学校の取り組みとして、進学、資格取得、就職、スポーツなど、それぞれに特色のある学校づくりをめざす、とされている。こちらの方が、むしろ学区撤廃の理由にふさわしいだろう。上記の選択機会拡張論は、生徒側の視点を押し出したものだろう。


ところで、学区撤廃は全国的な流れで、私立高校に危機感が生じているとの報道があった(読売新聞の28日の記事)。03年以降20都県が撤廃、9道府県が統合(学区減)。09年には北海道と京都が2度目の統合、10年には宮城が撤廃、熊本が統合。少子化と私立人気の中、公立高校が生き残りをかけて、住み分けから競い合いに舵を切った、という説明だ。
以下、この記事から要点を拾ってみる。うまく整理されているからだ。

○ 学区制は高校進学率アップの仕組みとして長年機能してきた。60~70年代の受験競争加熱時代には、15の春を泣かせない抑止策として使われた。特に首都圏では学区内でさらに学校群制を設けて合格者の希望とは無関係に振り分けた。
○ しかし高校全入時代を迎え、今や生徒の多様なニーズにどう対応するかが求められているところ、学区制が選択の幅を狭め、優秀な生徒は私立や国立に流れてきた。都は82年に学校群制を廃止したが、都立離れに歯止めはかからなかった。
○ 01年度地方教育行政法が改正され、都道府県の判断で学区撤廃が可能となり、03年の東京(14学区)と和歌山(9学区)が初の撤廃。
○ この流れは広がる。東京同様私立との争奪が激しく交通網も整備された神奈川や埼玉は早期に撤廃。北海道、岩手、長野など面積の広い自治体では学区統合で対応。
○ 私立を含む学校間の競争が激化。東京では都立の定員割れが、撤廃前の19校(02年)から32校(08年)に。高校の序列化や激しい受験競争が再燃する恐れも。

○ ところで学区撤廃をめぐる動きも都会と地方では様相が違う。
○ 都会の場合は、私立優位の勢力図が変わりつつあり私立も神経をとがらせる。
▽ 60年代までトップクラスの日比谷高校は、都の学校群制度(67年)以降私立に押され気味だったが、03年学区撤廃により1.5前後の競争率は2倍を超え、東大合格者数も1桁から28人(07年)に増加。旧学区外の受験生が8割に上る。旧制中学の伝統校は同様の傾向にあるため、学区撤廃の効果とされる。
 伝統校以外にも秋留台高校(基礎学力や生活面に課題ある生徒を受入れ)なども倍率が高い。他方で、特色を出せずに苦戦の都立高校も。
▽ 一方で私学も打撃を受けている。大阪府では私立1校だけを受ける専願受験生の割合が低下し、定員割れの私学も。08年大きく定員割れした摂陵高(茨木市)は関西で初めて早稲田大の系列に。北陽高(大阪市)も関西大の併設校に。
○ 地方都市の場合は、交通網の関係で事情が異なる。

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東北の各県はどうだろうか。

青森 05年撤廃(6学区)
岩手 04年統合(19学区→8学区)
宮城 10年撤廃(5学区)

山形 -
福島 -

山形県は現在3学区制。南学区(米沢市ほか)、西学区(酒田市、鶴岡市ほか)、東・北学区(山形市、村山市ほか)。北学区は地域の要望で統合したものだそうだ。隣接学区への枠はナシ。

福島県は現在8学区制。ただし、隣接学区に越境入学枠が3%認められている。


つい5年前までは、他県から仙台に来ると、おそらく多数の人の抱くのは、こんな感想だった。
「男女別学高校に思い入れが異常に強くて、それを誇りに思って疑わない。そのくせ、進学率も悪くて浪人も平気。かといって私学もちょっとだし。仙台以外では伝統校でも大学進学は難しい。生活するには絶好の環境なのに高校の教育体制だけは変によどんでおり、子どもの教育環境は大いに不安。」

まずは、宮城の教育界も、良い意味で「普通の状態」になってくれれば良い。共学化は実現する。その上で、特色ある学校づくりのために学区撤廃だ。

もちろん何事もバラ色ばかりではない。欠点もある。反対論は、特定学校への志願集中や学校の格差助長の点に集約されるだろう。

しかし、少子化を踏まえて、また宮城県の高校の実力(進学や就職の実態)を素直に直視して、これで良いと思う人はいないだろう。学区撤廃は、歴史の必然だから、という受け身の理由ではなく、沈滞を破り高校の実力を引き出すため必要なのだと思う。

そして当然ながら、学区撤廃だけで終わってはいけない。教員の人事政策、中学校の進路指導、各学校での特色の認識と努力、など関係者の配慮が根付いていくことが必要だ。





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最終更新日  2008.07.30 07:04:44コメント(0) | コメントを書く


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