仙台・宮城・東北を考える おだずまジャーナル

2008.07.31
XML
カテゴリ: 教育
公立高校の学区撤廃のことを記したが、宮城県内の高校の今春の進学実績はどうだったのだろうか。

各学校のサイトを見ると、出している学校と出していない学校(1年前や2年前のママ)がある。本当は、教育委員会で一覧にしても良いと思うのだが、進学一辺倒イメージを避ける深慮なのだろうか。この辺から意識改革が必要かも知れない。

念のため言うが、何も進学だけが全てだと思っているわけではない。就職の資格取得もスポーツも勿論大事だ。ただ、進学志望の若者の未来を切り開く手助けになっていない高校では困る、ということだ。進学校を標榜するならそれにふさわしい実績があるべきでしょう、ということである。本県の場合、ナンバースクールと呼ばれる学校でさえも、学校は勉強ばかりでない、浪人でも良いじゃないか、のような風潮が先生方自身にも一部にあるようだ。進学校の教育陣の責任転嫁にほかならないのだが、それではあまりに宮城の若者がかわいそうでないか。

だから、進学校は進学校たるべし、というのが当ジャーナルの主張であり、宮城の公立高校の進学実績の低さを何度となく訴えてきた。当然ながらデータだけを嘆いても仕方がない。仙台偏重の教員人事にも何か問題があるかも知れないし、もっと根本的に県民意識にも内在するものがあるようにも思う。

学区撤廃には、競争激化で振り分けになるなどの反対論や慎重論もあるが、それは他の方策で救うことができよう。学校の特性伸長と中学生の機会選択の拡大のため、やはり学区撤廃は進めた方が良い。もちろん、撤廃して全てがうまくいくものでもなく、各学校もこれを好機に、意識をもってそれぞれの学校づくりを進めていくべきなのだが、学区撤廃のインパクトなくして実現できるだろうか。

改めて、東北各県と比較してみて、いわゆる進学校の実績の相対的低さを検証してみたい。教育委員会で各学校の進学実績を一覧表にしても良いと冒頭記したが、この点、秋田県では県教委が学校別の 一覧表 を提供している(19年春のデータ)。秋田市外と市内に分けて、進学率(全日制卒業者の進路)が7割以上の学校は以下の通り。なお私立はいずれも進学率が7割に満たない(明桜43.8%、精霊大付58.8%など)。
------------
大館鳳鳴 卒業者271 大学進学218(80.4%) その他(浪人等)29(10.7%)

本荘   274  209(76.3%) 38(13.9%)
大曲   254  201(79.1%) 18(7.1%)
横手   276  245(88.8%) 28(10.1%)
湯沢   237  190(80.2%) 16(6.8%)

秋田   315  222(70.5%) 89(28.3%)
秋田南  315  248(78.7%) 53(16.8%)
秋田北  277  211(76.2%) 24(8.7%)
秋田中央 278  210(75.5%) 25(9.0%)
------------

今度はこれらの学校の進学状況(全日制)である。過年度卒のデータも入っている。国公立大の現役・過卒別の進学状況を拾った。
------------

能代   112   9
本荘   96   11
大曲   113   7
横手   186   9
湯沢   113   7


秋田南  138   14
秋田北  88   3
秋田中央 76   7
------------
進学率7割以上の学校で拾ったが、これらは概ね国公立進学100名以上となっている。

宮城県内の学校はどうだろう。旧制中学など地方中心都市のいわゆる進学校の実績はどうだろう。秋田県の上記学校のように国公立現役100人以上は何校あるか。なお、学校によって最新(平成20年春)データは掲げていないし、また合格実績と進路実績などデータは統一されていない。
------------
石巻高校(普通科6クラス)
  平成20年 国公立合格者 現役70 過卒16 計86
  なお、卒業者進路実績データもあり、卒業者の国公立進学68、浪人30である。
  過去数年で最高の実績。平成14年現役国公立合格24名からは随分伸長。

石巻好文館高校(普通科5クラス)
  平成20年 国公立合格者 現役18 過卒5 合計23

古川高校(普通科6クラス)
  平成20年 国公立合格者 現役72 過卒9 合計81
  近年で最高。15年度の現役29(過卒17)から見れば相当の躍進。

白石高校(普通科4クラス。なお今後統合により普通科6看護科1)
  平成20年 国公立合格者 現役46 過卒14 合計60
  過去5年は70人前後だが、H15は35人(うち過卒7)と極端に少ない。

角田高校(普通科5クラス。平成17年に統合)
  平成18年 国公立合格者 合計21

気仙沼高校(普通科7クラス。平成17年統合)
  平成20年 国公立合格者 65
  上記は卒業生(現役)実績と思われる。統合前から毎年着実に伸びている。
------------
という訳で、やはり宮城県内の地方中心都市の進学校は、秋田に比べて見劣りする。それでも古川、石巻、気仙沼は近年顕著に伸びている。共学化の成果の点もあるだろうが、今後に期待したい。

ちなみに今春初の卒業生を出した本県初の中高一貫校(併設型)古川黎明は、進路実績で国公立14という数字だ。

参考までに近県の学校をいくつか拾う。
------------
酒田東高校(平成20年度から普通科5クラス。以前は6クラス)
  平成20年 国公立合格者 現役120
  なお、卒業者の進路実績もあり(19年)、国公立計126、浪人30とある。
  国公立合格実績は、H17が98、H18が114、H19が140と、躍進を続ける。

新庄北高校(普通科5クラス)
  平成18年 国公立合格者 現役79 過卒10 合計89
  今は中央学区(山形市など)と統合したが北学区の伝統校。

大船渡高校(普通科6クラス)
  平成18年 国公立合格者 現役113 過卒4 合計117
------------

これらと比較すると、何度も言うが、やっぱり本県の石巻や古川はまだまだというべきだろう。秋田の本荘や湯沢が例年確実に100人を出していることに比べて、12万都市(合併前)の石巻高校の実績は寂しい。これでも随分改善しているが。
また、他県は浪人が少なく、本県は多いように思われる。石巻高校の30人も多めだが、仙台市内の高校だともっと多いはずだ。県民意識や経済事情もあるだろうが、現役で合格せずとも仕方ないという意識が学校側にもあるとすれば、大変残念だ。是非、この状況に安住しないでいただきたい。

ここで仙台市内の高校を見てみる。
------------
仙台第二高校(普通科8クラス)
  平成20年 進路実績 国公立252(東北大127)
  平成19年 同    国公立229(東北大104)
  平成18年 同    国公立221(東北大103)
  平成20年 国公立合格者数 現役129 過卒124 合計253

仙台第一高校(普通科8クラス)
  平成20年 国公立合格者数 現役141 過卒97 合計238(東北大73)
  平成19年 同       現役118 過卒101 合計219(東北大74)
  平成18年 同       現役93  過卒81 合計174(東北大43)

宮城第一高校(普通科5クラス、理数科2クラス。昨年まで宮城第一女子高校)
  平成19年 国公立合格者数 現役126(東北大26)(過卒はデータ無し)
  平成19年 進路決定数 国公立116(東北大25)

泉館山高校(普通科7クラス)
  平成19年 国公立合格者数115(現役だけと思われる)
------------
仙台一高は一時の落ち込みからは盛り返しているだろうか。それにしても仙台市内の進学校の浪人比率は相当高いというべきだろう。秋田のデータでは、秋田高校で卒業生の3割弱が浪人と思われる。自分の進路を見極めて追求することも大事だと思うが、それにしても半分程度が浪人というのは大変なことでないだろうか。
浪人比率も共学化によって徐々に変わるかと思われるが、自発的な浪人選択はそれで良いとしても、現役で目指す進路実現を支援できるような学校であってほしい。進学校の名に恥じない責任を期待する。

■関連する過去の記事
公立学校の学区撤廃を考える (08年7月30日)
中高一貫校と東北 (08年1月15日)
宮城県立高校の共学化について(4)真に学校を思うなら (05年12月11日)
宮城県立高校の男女共学化を考える(3)妙案登場!? (05年12月7日)
仙台市梅原市長の「仙台一高・仙台二高別学維持」発言に思う (05年11月30日)
宮城県内の公立高校の男女共学化論議を考える(2)歴史 (05年11月28日)  
宮城県立高校の男女共学化を考える(1)序論 (05年10月28日)  
宮城の進学率と公立高校を考える (05年9月6日)





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2008.07.31 06:32:20
コメント(4) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

×

コメント新着

おだずまジャーナル @ Re[1]:荒巻地区の新町名と宅地開発史(12/14) 荒巻昭和人さんへ コメントありがとうご…
荒巻昭和人@ Re:荒巻地区の新町名と宅地開発史(12/14) 団地名なつかしいですね。広告に使われて…

プロフィール

おだずまジャーナル

おだずまジャーナル

サイド自由欄

071001ずっぱり特派員証

画像をクリックして下さい (ずっぱり岩手にリンク!)。

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: