仙台・宮城・東北を考える おだずまジャーナル

2008.09.04
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カテゴリ: 東北
3日のNHKニュースでちょっと驚いた。六ヶ所村に、外国人研究者の子弟のためのインターナショナルスクールを、青森県と村とが共同で設立するのだそうだ。

六ヶ所村に忽然とインターナショナルスクールとのイメージも斬新だが、それは海外研究者が実際に相当数いるからなのだろう。驚いたのは、県が設置する、という点だ。

村の2月議会の答弁としてこんな趣旨の村長の発言があった。(村HPから)
「ITER関連施設研究者の受け入れには、子弟の教育環境の整備も重要と認識している。EUからも同様の要望があり、県も協議会を作りインターナショナルスクールの検討を行なっている。私も教育長とともにインターナショナルスクールを視察してきた。」

今年3月の県の担当局長(エネルギー総合対策局長)の議会答弁(県議会HPから要約)
「国際研究拠点にふさわしい教育環境について、検討委員会を設置し検討。この間、現地入りした外国人研究者の子供は六ヶ所村内の公立学校に受け入れたが、EU側から一刻も早く国際的な教育環境の確保の強い要望があった。このため、県としては、国内のインターナショナルスクールに委託できるか調査を進めるとともに、国際通用性のある教育について調査・検討、また外国人教員を配置しての英語指導を実施している。今後国際通用性ある教育環境を早急に整備する必要があり、県としては、平成20年度において実績のある国内のインターナショナルスクールに委託し、4月から8月までは今年度に引き続き外国人教員を配置しての英語指導を行うほか、世界標準のカリキュラムの開発調整を行い、9月からは、そのカリキュラムに基づき英語を使用言語とした教育サービスを開始する。」

なるほど、そんな経緯があったのか。


1 六ヶ所村の海外研究者について

 そもそも六ヶ所村の開発の経緯について(県HPの 説明 サイト などから)。 

 昭和44年、新全総の大規模開発プロジェクトとしてむつ小川原開発が位置づけられた。昭和54年、国家石油備蓄基地の立地を決定(60年完成)。昭和52年重要港湾指定。
 原子燃料サイクル施設については、昭和59年電気事業連合会から申入れがあり、60年知事と村長が受入れを回答、平成4年ウラン濃縮工場操業開始。同年低レベル放射性廃棄物埋設センター操業開始、平成7年高レベル放射性廃棄物貯蔵管理センター操業開始。平成19年再処理工場操業開始。さらに現在、MOX燃料加工施設を建設中。以上の原燃サイクル施設は、日本原燃株式会社が建設及び運営の主体。
 風力発電は、エコ・パワー株式会社。22基、総出力3万3千kWの国内最大級の風力発電施設で、平成15年から商業運転を開始。
 国際熱核融合実験炉(ITER)については、平成7年に、むつ小川原開発地域に誘致することを村、県が表明。平成14年候補地を閣議決定。平成17年フランスのカダラッシュに建設することが合意されたが、日本ではITERと並行して取り組む研究開発(幅広いアプローチ)が実施され、六ヶ所村では、「国際核融合エネルギー研究センター」(ITER遠隔実験センター、核融合計算センター、原型炉設計・研究開発調整センターで構成)と国際核融合材料照射施設の工学設計活動が計画されている。
 青森県及び村では、核融合研究開発の新たな国際拠点を目指している。

2 インターナショナルスクールとは何か

 もともと明確な定義はないだろうが、本邦に滞在する外国人(特に欧米)の子弟向けの教育を外国語(英語など)で行う教育施設ということになろう。本邦の法制上の位置づけは各種学校となるか、あるいは無認可である。ポイントは、本国のカリキュラムと何らかの形で連動させており、本国に帰った際にも同等の義務教育や中等教育内容として評価されることになる。
 実際にはこれら本来のインターナショナルスクールとは別に、単なる英会話学校や、英語を取り入れた教育施設も、この語を冠することがあるようだ。

3 インターナショナルスクールをめぐる経緯と問題(主に仙台の場合)

東北インターナショナルスクール (TIS)がある。WACS認定は東北唯一。仙台市泉区館だが、東北高校を設置する学校法人南光学園が設置している各種学校の位置づけ。
 幼稚科(2年)定員24名
 小学科(5年)65名
 中学科(3年)39名
 高等科(4年)52名

 仙台市議会の今年3月の答弁をみると、都市間競争のためにもインターナショナルスクールの振興が大切なこと、100万円程度の市補助金が支払われていること、などが発言されている。議員は、仙台周辺の企業立地の動きも踏まえてニーズ把握の必要を説いている。市長も知事と共に検討する趣旨の回答だ。
 深く考えていくと、海外の研究者や企業人を呼び込む都市間競争の際に、教育環境が重要なことは言うまでもない。国内の企業の移転でさえ仙台の教育環境が心配されるのだから。

 ところで、仙台でインターナショナルスクールというと、あの問題が記憶に新しい。NPO法人が設立した「仙台インターナショナルスクール」で、資金不足や施設の不備などずさんな実態が報道され、さらに法人の理事に仙台市役所の元幹部OBがいるという話しだった。

4 展望 ~東北の明日に向かって~

 今日(4日)は各紙で報道があった。3日開設したとの報道。なお、東奥は「国際学校」、読売は「英語スクール」と見出しをつけたが、それはちょっと不適切じゃないか。河北は「国際スクール」、微妙だがまだ良い方か。別に「インターナショナルスクール」で良いのだろうが、概念があやふやなことと字数の節約か。デーリー東北だけは、ちゃんと表記していた。

 3日に開設式典が村立第一中学校で行われた。外国人研究者の子弟は、昨年から村内の小学校で授業を受けてきたが、学習カリキュラムの充実のため県が「京都インターナショナルスクール」(京都市)に運営を委託し、「京都インターナショナルスクール青森キャンパス」として開設。教師4人が常駐し、第1~9学年までの授業を英語で行う。専用の校舎が完成する来年末まで、当面は第一中学校内に設置。現在の生徒は5人で、体育の授業や運動会などは尾駮小と合同で行う予定。

 この日は三村知事があいさつ。中学校の生徒が、琴の演奏で外国人研究者の子どもたちを歓迎した。


 県が設置、しかも京都インターナショナルスクール(IBとWASC認定)が運営というから、本格的なインターナショナルスクールなのだろう。通常は大都会にあるインターナショナルスクールがある町、いや村として、六ヶ所村はすばらしい国際交流の町、いや村と言える。堂々と間違いなく言える。

 ちょっと大げさなことになるかも知れないが、東北の明日を切り開く光の筋の1つのような気がした。
 下北半島の大規模開発や六ヶ所村の原燃サイクル施設などには様々な思いを持つ人がいるだろう。地元で地道に農業や漁業をする人たちにとっても混乱があっただろう。いきなり場違いな施設が建設されて、なぜかヨーロッパ人が多く来て、自分たちの発意によるまちづくりとは別次元の方向に地域が流されている、などと感じる向きもあるのかも知れない。
 しかし、だ。とにもかくにもエネルギー関連が地域の方向になっている現実がある。歴史の流れは常に中からわき起こるとも限らない。外在的な要因による変化、あるいは外部から来た人達が、地域の歴史のポイントになることも少なくなかろう。
 となれば六ヶ所村にインターナショナルスクールができたなんて事は、大いに歓迎したいことだ。外国人家族は直接的には研究の地として村に来ただけだろうが、村からすれば施設のお陰で、労せずして交流の機会を得られる。東京や青森市を経由しない、ダイレクトの交流が。 そして、この外国人の方々もラッキーなのだ。六ヶ所村は世界にここしかない。そこを訪れることができるのだから。禅問答のようだけど、そうなのだ。おそらくTVや雑誌では絶対にふれられない日本は下北半島の六ヶ所なる地の魅力を、結果として知ることになるのだ。

 そんな施設を県が設立するというのも、異例だろうけれど、何か大きな意義があるようにも感ぜられる。

 六ヶ所村ならではの、他にマネのできない地域づくり。そう言う意味で、すばらしい光が差し込もうとしているのではないか。逆境の地とされた東北の、何かヒントのような気がして。


■関連する過去の記事(むつ小川原、下北、八戸 関係)
市町村合併と東通村 (07年12月2日)
小川原湖と市町村界を考える (07年11月8日)
斗南藩と青森 (07年11月4日)
「むつ」の語源 (07年8月27日)
壮大な下北運河計画 (07年7月21日)
東北の「放浪宿」 (07年7月18日)
種差海岸 (07年6月13日)
壮大なる八戸キャニオン (07年4月15日)
風で倒れた風車 (07年1月12日)
下北半島、大間に行きたい (06年3月30日)
面白いですね!B-1グランプリin八戸 (06年2月21日)
八戸ナンバー「Y」の謎を解け (05年11月15日)
次は恐山・大間の旅を (05年11月13日)





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最終更新日  2008.09.05 02:00:23
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貴重な情報感謝です  
PILOT1752  さん
全く存じませんでした。六ヶ所村はここしかないというおだずまジャーナル氏の感触大賛成です。21世紀を見据えた大きな流れになるかもしれません。注目して行きたいです。 (2008.09.05 17:52:57)

Re:貴重な情報感謝です(09/04)  
PILOT1752さん こんな拙文を応援して頂いて汗顔の至りです。

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