仙台・宮城・東北を考える おだずまジャーナル

2009.09.24
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カテゴリ: 国政・経済・法律
民主党新政権は、さっそく18日の閣議で、本年度の予算の見直し方針を具体的に決定し、各閣僚に指示を行った。具体的には、(1)地方自治体以外を対象とした基金、(2)官庁などの施設整備費、(3)官庁などの備品購入費の3項目以外は、原則として執行を停止。各閣僚には、補正予算に関する全事業を精査し、10月2日までに報告するよう指示した。

民主党は総選挙のマニフェストで、子ども手当やガソリン税暫定税率廃止などを掲げ、必要となる7兆円の財源については、今年度補正予算の見直しで生み出すこととしていた。今年度で7.1兆円、平成25年度時点で16.8兆円が必要となるが、
 無駄をなくし不要不急の事業の根絶で 9.1兆円
 埋蔵金活用で 5.0兆円
 租税特別措置見直しで 2.7兆円
を生み出すとしている。

成立した補正予算を真っ向から否定して、現実に総選挙に勝利し、執行停止を図ること自体も異例でありセンセーショナルだが、我が国の政治史上の意義としては、与党の政策の見直しについて、野党のマニフェストに予算の組み替えや財源捻出をかなりの程度具体的に示して、勝利したという点が挙げられる。これをまずは真摯に実行していくことだ。

高度成長期を終え、バブルも遠い過去となった今、政財官の公共事業マシン体質や官僚依存の政策決定構造が、旧態のママで良いとは誰も思っていない。しかし、つい今月半ばまで与党だった自民党政権は、ついぞ「構造」改革を志向することはなかった。むしろ、景気対策のかけ声の中、何から何まで大風呂敷の補正予算を組んでは、赤字を後世に残す。とりあえず現世の我々は、政治中枢にある者のだれも痛みを負うことのない結論しか招くことができないのだ。

少しく具体的に述べれば、自民党政権による中央レベルの意思決定は、結局のところ官僚政治の延長に踊らされている範囲を脱することができなかった。党をぶっ壊すといった小泉政権は、たしかに「五族」を解体し、党運営を総理総裁の下に一元化する効果はあったが、肝心の官僚との関係では、ベテラン族議員の弱体化によってむしろ政治主導の力は弱まった。数合わせの駒に過ぎない小泉チルドレンが今回の総選挙で駆逐されたのも、時代の必然だろう。



財務省もよくこんな予算を組んだものだと思うが、各省の玉石混交の要求を払底させ、翌年度以降は思い切り予算枠を絞る考えか。いずれにしても、一般財源の充実強化を求める地方の声にはまともに答えていないことと併せて観察するに、結局中央官僚は、自分たちと各省庁の背後に控える圧力団体との間では、いつもWIN-WINであり、物言わぬ生活弱者や地方自治体に痛みを押し付けることは厭わない。前にも書いたが、子育て対策や地域医療対策などの必要性を掲げておきながら、身に余る多額の予算配分を受けて、結局のところ都道府県に丸投げする芸当しかできない厚生労働省などは、自民党の予算水増しに体よく使われたようなものだ。年金問題や後期高齢者医療など、見直し作業も大変だろうが、理念を具体的施策に体現する実務が追いつかない組織態様なのだ。民主党政権による政治主導の恩恵を一番受ける役所かも知れない。

民主党が46の基金のうちで、天下り先や不明朗経理の経歴のある外郭団体に億兆のカネを投げていること、また旧態依然のダム事業など公共事業の見直しを掲げるのは、まったく至当だ。マニフェストで見直すとしたのだから、見直さねばならない。当然のことだ。ただ、気をつけるべき事は、だからといって、すべてフリーハンドに何でも見直して良い、ということではない。

民主党の一部には、勘違いをしている向きもあるようだが、見直しをすべきこと、官僚主導を政治主導にすべきことは是非実現して欲しいのだが、どうにでも闇雲に変えれば良いのではない。「直し方」にこそ、これまでの日本の政治や中央レベルの行政にはなかった対応が求められ、換言すれば、従来の自民党政権にできなかった新政権の真価が試されるのだ。つまり、これまで何故公共事業が減らず、或いは内容の見直しが進まなかったのかがポイントであって、政財官の共同利益の下に進んでいるからだ。政治家は利益誘導を実現でき、財界はインフラ整備の恩恵、業界は受注の利益、省庁は自在に外郭団体を作っては天下りと資金環流。外郭団体を立法に組み込むことさえあるが、立法府に属する国会議員が精査することもなく、何かおみやげを作ってくれる官僚のやり放題だったろう。だから、「見直し」は大胆に行われるべきだが、単にマニフェストに掲げたからというのではなく、構造的だからこそ、これを丁寧に解きほぐして、丁寧に説明して進めなければならない。「直し方」も構造的でなければならないのだ。見直しの大義だけを振りかざして看板倒れに終わってしまっては、結局自民党を超えることができないし、国民の失望を買う。自民が飲み込まれて来たところの公共事業体質ないし官僚主導政治という怪物を、ある程度の納得をもって丁寧に政治的に収めてこそ、はじめて、自民党になしえなかった価値を発揮できるのだ。

マニフェストに具体的に「中止」と書き込んだ川辺川ムや八ツ場ダムにしても、基本的に同様である。民主党の一部に勝者の奢りが垣間見られたが、地域住民や自治体への説明は最大限の丁寧さが求められる。当然だ。マクロな観点や政治的判断としては、多くの国民は支持するだろう。しかし、現実の公共事業は、地域も含めてWIN-WINだからこそ、生き物のように続いてきたのだ。ある程度のコストも覚悟して、これからの世直し改革の試金石と位置づけて、しっかり対応せねばならない。

別な視点で言えば、今回は補正予算の執行の「巻き戻し」であるが、実は、民主党が目指す政治主導の予算編成や施策実行そのものに他ならないのだ。ここで躓いてはいけない。だからこそ、丁寧にやって欲しいのだ。3度予算を編成すれば本物になる、とは小沢一郎幹事長の言だが、早速その1回目に直面したと行っても過言でない。

マスコミの論調もいい加減で、投票前は、マニフェスト対決を煽っておいて、今度は民主党の一律の見直しの対応を批判にかかって、住民の立場をクローズアップさせている。たしかに、上に述べたように、民主党は改革のフリーハンドを与えられたわけではないし、丁寧な対応が必要なことはそのとおりだ。しかし、そもそもマスコミは振り子の木鐸だから、むしろその様な軋轢は改革に不可欠であり、これを止揚的に克服できてこそ、新たな政治のステージを実現できる、と考えるべきである。

人気取りに走らず、実力者を配した内閣の布陣は、改革の本気度が伝わった。さて、民主党政権の真価が問われる。





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最終更新日  2009.09.24 23:13:10
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