仙台・宮城・東北を考える おだずまジャーナル

2009.12.11
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カテゴリ: 宮城
腰を据えて勉強しようと思っているが、時間のなさと怠惰にかまけて果たしていないことがある。近代以前の行財政における財産法制の基本概念はどんなものだったろうか、という点についてだ。

幕藩体制の中で、諸藩は財政窮乏にあえいだ。米の石高を基にした武家の統制支配体制の中で、実体経済の発達で乖離が生じ、また度重なる凶作や幕命による普請なども重なったが、例えばヨーロッパの産業革命のような社会経済を根本から掘り返すような革新は、黒船の到来を見るまでは、なかった。思想の面でも、早くから海外に目を向けるべき事を訴えた先達はいたが、結局のところ、ロックやルッソーのように市民革命を導くダイナミズムは体制の中からは起こりえなかった。

このような、実相ははかないながら、一見は安定していた幕藩時代の社会の枠組の中で、人々の共通認識とされていたところの家産制度や、公と私の区別などは、どうだったのだろうか。私たちの先祖は、どのような支配者観、被支配感覚、また財産法制観のもとで、生を営んできたのだろうか。もし、学問領域的に名付けるとすれば、日本法制史という講座名になるのだろうか。さらに、その思想的背景、支配層と庶民層でも異なるだろうか、宗教観も含めて、日本社会の考え方の底流にも話は広がるような気もする。

そんな訳で、尾藤正英『日本文化の歴史』(岩波文庫668、2000年)を読んだ。碩学の結晶を刈り取るような読み方で、本当ならば世の中や歴史を地道に勉学すべきだが、自分の責を棚に上げて、まずは、薄い1冊に手が伸びたのが実情だ。

さて、前置きが長くなったが、本題の近代以前の法制や庶民の意識は、大きすぎるので、いずれに回すとして、同書の本文のまさに出だし、最初のページに記してあることに、宮城県民としては大きな関心を持たずには、いられない。

宮城県の上高森遺跡で60万年前と推定される層位から石器が出ているが、この測定に疑問を持つ意見もある、との記述があった。つまり、石器の出土は事実だが、その年代測定には疑問がある(とする意見がある)、というものだ。

この本は2000年の5月の出版だ。忘れもしない毎日新聞のあの一大スクープは、この年の11月5日だから、それ以前の時点での記述ということになる。

たしかに、さすがに考古学界内部でも、ポンポンと時代を遡るゴッドハンドに疑惑の目はあっただろうが、表立って疑惑だ、と言い立てる人は、あの当時にはいなかったと私は記憶している。少なくとも、河北新報などは、宮城と尾花沢の石器の破片がピッタリと合った、などと喜んで書きまくっていた。冷静に見るべきだという識者や記者の意見など、公には見なかったと思う。

尾藤氏は、日本の思想史などが専門だろうから、考古学の世界で学者生命のリスクもなく、冷静に客観的に、異論もあると書けたのだろう。たぶん。それにしても、毎日新聞のスクープの前の時点で、疑問があるとハッキリ書いている学者がいたことが、確認できる。何か、救われるような、安心したような気分だ。



当時は、上に書いたような河北新報の記事などに接して、胡散臭い思いを抱いていた一人ではあるが、かといって、ハッキリと疑問や疑惑があるという記事は目にしたことがなかった、と思う。

しかし、どう考えても藤村氏の関係者はもとより、学界全体の中に、疑問を抱く人は居たはずだ。彼らは、どう行動したのか。あるいは、言を発することすらできなかったのか。


そこで、いま、立花隆の本を読んでいる。

■文献
『立花隆・サイエンスレポート なになにそれは? 緊急取材・立花隆、「旧石器ねつ造」事件を追う』
朝日新聞社、2001年

詳細は次回に整理したい。





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最終更新日  2023.07.31 22:52:01
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