仙台・宮城・東北を考える おだずまジャーナル

2011.05.22
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カテゴリ: 雑感
和声法では、4度や5度の間隔を保ったまま2声が推移する並進行は、忌避されているものだろう。小学生のとき、暇に任せて図書室の本を濫読したので、こんな門前の小僧のような知識が頭に残ってしまった。児童向けの本などではない。おそらく公民館のお下がりか何かで、旧字体が混じったような大人向けの書物だった。

これを思い出したのは、あの緊急地震速報のチャイムだ。

3月以来、何度も何度も聞いた。幸か不幸か慣れてしまい、驚くことは無くなったが、恐怖や当惑よりも、嫌悪や憎悪の気持ちを想起させてしまうようになってしまった。

仙台では、3月11日の地震と対比して、大きな余震、2度目のヤツ(人によっては、3回目のヤツとも)などとして話題に上っているのが、4月7日の地震だ。3月11日の揺れと津波は本当に筆舌に尽くしがたいが、揺れだけを取り上げれば、私自身は4月7日の方が激しいと感じた。

その時、私は車を運転していて赤信号の交差点にいた。車のラジオから緊急地震速報のチャイムが響いたが、この頃は毎日聞いていたから、またかの感が強かった。しかし、車体は大きく揺すぶられ、空に青白い閃光が走って信号は消えた。ただ事ではないと思い、慎重に車を進めたが、暗闇の中でライトに照らされる道路は、陥没や亀裂の連続だった。

この速報は、数音が上方に滑奏されるグリッサンドのような構成だが、耳には後に残る部分、つまり上部の2声が残るように私には感じられる。それは、最上の声部が Eb-E で、第2声が Bb-B のようだ。つまり、耳に残る音はこの2声が4度を保って並進行するように聞こえる。

並進行が楽典上タブーなのは、なにか教会音楽の世界の理由があるのかもしれない。かの小学校の書物では、ほかにも、三位一体の立場から美しいとされる形式などが説明されていたと思う。教義上の理屈はともかくとしても、おそらく、足がかりがはっきりしない和声進行は、移り気で不安感や緊張感を誘発するから好まれないという側面はあるだろう。とすれば、逆に、緊急地震速報のチャイムにこれを採用したのは、まさに相応しい所以となるわけだ。

即座に対応を促すのだから、ほかにはない特徴的なジングルでなければならない。短いながらも、全声部が(4音が5音で構成されている)並行して半音上がる進行は、大地がうごめくような、足元が浮き立つような、えも言われぬ落ち着かない感覚を咄嗟に呼び起こしてくれる。

かといって、いたずらに不快感を残し、またトラウマとならないように、音素は美しいチャイム音を採用するなど、苦心の作品なのだろう。






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最終更新日  2011.05.22 08:51:29
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