仙台・宮城・東北を考える おだずまジャーナル

2012.05.19
XML
カテゴリ: 宮城
昭和27年から3年間ほどの宮城県の教育について、赤字財政との関連部分を振り返ってみた。2回続き。

宇野量介『続 戦後の宮城教育を語る』宝文堂、1970年 から。

1 昭和27年

10月の知事選挙で宮城音五郎教育長が当選。地方財政困難の時代で、消費県から生産県をめざして向上の方途を探るのが県政の最大緊要事であった。

11月上旬の人事委員会勧告では、5月に遡って9,451円を12,290円にベースアップする改訂。財源難の県は悲鳴。教員組合は16,000円を要求して集会を試みるが、宮城知事擁立の経緯もあり、闘争には限界があった。
(記事  昭和27年発足の地方教委の諸問題 (2012年5月13日)を参照)

2 昭和28年

義務教育教職員の給与問題。歴史的な問題だが、国庫負担法が制定されており、学校は市町村立でも給与は県が負担することとなっていた。時に定員定額制などの問題が絡んでいるが、概略2分の1を国庫から支出し、残り半分を県が負担する。しかし、昭和25年のシャウプ勧告で税制改革が行われ、地方税法が改正され、いわゆる平衡交付金制度がはじまり、義務教育費負担法は廃止された。その結果、教育費については従来の如き直接的保障はなくなり、教育費も地方財政平衡交付金に含まれるに止まった。



ところが、更に一歩前進して、全額国庫負担を含みとした義務教育学校職員法案の構想が生まれた。教員を国家公務員とし、給与は県教委を通して支給するので、そのための指揮権を文部大臣が持つというものであり、議論がなされた。教育界内部でも、教委側は給与は東京並みを標準としなければならないと評し、定員制となると郡部には小規模校が多いので不利にならないかと案じられ、一方教員組合からは、国家公務員として活動を制限する自由党の選挙対策だとして反対を表明し、賛否こもごもであった。2月の宮教組大会は、この法案粉砕を運動方針の第一に掲げた。

独立1年を経て青少年の不良化傾向。赤字に悩む県当局が国体用に作った自転車競技場を競輪場に転用して利益を得ようと考えたことは、識者を憤激させた。このような青少年の情況の中で、法案は議論された。河北新報社説2月28日は、こう述べた。給与確保の点や平衡交付金の別枠とするのは東北地方にはプラスにもなろうが、然し定員定額制を前提としているのは地方の実情に合わないのではないか、また、教委を骨抜きにしたり全国一律化にならないか、国立学校(附属小中)に県が給与支払いをするのは不合理ではないか、いずれにしても日教組の政治活動禁止を狙っており政治問題化したところに問題があろう。

国会の論議はまとまらず、バカヤロー解散の中断を経て、総選挙後の第5次吉田内閣でも見送られ、結局先に成立した国庫負担法が実施されることとなった。

給与費の半額は確実に国庫負担となったが、実支出の半額のため、財政事情から富裕県と困窮県との格差は年々増大した。宮城県は27年暮れの年末手当増額分0.25月分は年を越して2月になってから貸付金の形で4千万円を支出せざるを得なかった程である。

三本建て給与問題。主として高等学校長協会から提起されたもので、学歴の高い高校教員の給与は小中に比して不利なので、別枠で改善すべきである、そのため、大学、高校、小中と三本建ての体系を主張したものである。総選挙後の第16特別国会で成立し、宮城県では12月議会で条例改正を行った。初任給から差を付けたため、新制大学新卒者は高校志望が増えることとなり、全国中学校長会は三本立給与法の改定を要望した。

県立高校の営繕計画では仙台一高改築。10月に起工式を挙げるときは、日本一のモデル校舎をめざし、教員室も研究室制度、設計は東京新建創の山崎忠雄技師。もっとも、財政難から進捗は遅々たるものとなり、落成式は昭和37年秋と、9年を要した。

赤字に悩む宮城の教育(その2) (2012年5月19日)に続く)





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2012.05.19 19:24:12
コメントを書く
[宮城] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

×

コメント新着

おだずまジャーナル @ Re[1]:荒巻地区の新町名と宅地開発史(12/14) 荒巻昭和人さんへ コメントありがとうご…
荒巻昭和人@ Re:荒巻地区の新町名と宅地開発史(12/14) 団地名なつかしいですね。広告に使われて…

プロフィール

おだずまジャーナル

おだずまジャーナル

サイド自由欄

071001ずっぱり特派員証

画像をクリックして下さい (ずっぱり岩手にリンク!)。

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: