仙台・宮城・東北を考える おだずまジャーナル

2012.05.19
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カテゴリ: 宮城
宇野量介『続 戦後の宮城教育を語る』宝文堂、1970年 から。
(前回 赤字に悩む宮城の教育(その1) (2012年5月19日)から続く)

3 昭和29年

1月の報道では赤字14億円、県財政は危機に直面。明29年度分から繰上充用で穴埋めするより仕方がない。新年度予算編成は、新規事業は大なたを振るわれ、県教委の要求も大削減となった。教員増の要求は、小中児童生徒1万3千名の増加に対して、小学校200名、中学校100名の増員を要求したのだが、逆に現在1万700名から480名を整理せよとの査定であった。教員比率が現在児童生徒50名に対して教員が、小1.8名、中1.5名を引き下げて、小1.7中1.4とするというのである。到底我慢できるものではないが、一方県庁職員も120ないし130名削減と伝えられる。特殊教育や犯罪少年対策も暗礁に乗り上げた形となった。やっと折衝の結果教員増105名の復活を見たが、教員平均給の引き下げ、事務費3割減などとなった。

教職員200名の整理のため、高給の老齢者に勇退を求め全体の給与総額を節約せねばならない。全く苦しい年度末の人事やりくりとなった。東北各県とも赤字財政に悩むことは同様であった。秋田、岩手は昇給停止、山形は新採見込み立たず山形大の新卒は悲鳴、福島は老齢高給者の整理のため教員男50歳女45歳に線を引く(共稼ぎはどちらか辞める)方針という。

宮城県としては合議熟考の末、(1)年齢該当者に強く退職勧告、(2)共稼ぎ教員の片方に退職勧告、の2本建てで行くこととした。(2)は福島のように一本調子ではなく、夫婦合わせて4万円以上で一方が2.8万円以上の場合片方に勧告し、片方が2.8万円以下でも片方が恩給受給資格有れば講師に任用替を行うこととした。この方針で強行突破するより他にないとして年度末人事を実行した。

他県では人事委員会に提訴したり処分取り消しの民事訴訟を提起する例が多いが、本県の場合そんなこともなく潔く県や県教委に協力してくれた。(おだずま注:著者の宇野先生はこの時、県教委学務課長で、身を切られる思いであったと記しておられる。)

難産人事を終えて一息すると、7月の昇給期になって早坂副知事から県職員教職員とも7月の昇給はストップするとの言明。既に岩手県などで条例改正を行っているが、その波が波及してきたのだ。12億円の赤字のため昇給停止で2千万円を浮かすのはやむを得ないと副知事はいうが、組合は納得できないと言い、県教委としてもだまってはいられない。教職員の志気に影響すると知事に善処を求めるが、県としては人員整理方針をまとめ実出血60名を出すと決定した際でもあり、色よい返事は得られなかった。やむを得ず、1年間昇給の調整により予算の2割、1200万円の節約を図ることとなった。



教育についてみれば、勧告(1)は、教職員は小中とも全国平均を上回って採用してあるから、小250名中109名の整理が出来るとされたのは驚く外なかった。とにかく、県教委としては毎年教員不足である、全国平均は古い数字である、明年春の入学児童は15000名増加するので400名の増員が必要である、百歩譲って今200人整理するとすれば退職手当は1億円を下らぬし、浮く給与は3千万円にしかならぬ、むしろ年度末の自然淘汰を待って新規採用で調整すべきと結論した。副知事の上京折衝によって、練直し節減案8億7百余万円となり、教員整理問題は明年3月まで延期となり一安心した。

結局議会に提案された整理額は6億3千万円であった。教育予算の削減は1億2千万円で、内訳は昇給昇格停止23百万円、欠員不補充で27百万円、教員旅費、高校需用費で29百万円ほか。昇給昇格停止は県教委として賛成しかねるし、需用費削減は高校PTA会長からも猛反撃があった。高校の必要経費の65%はPTA負担の現状において、父兄負担の激増は絶対反対とのことで、教委は板挟みとなった。10月の県議会では、新たな財源措置の努力などの条件付きで、財政整備案は与野党の妥協点に達した。

11月始め県人事委員会は引き上げ勧告を留保し、せめて昇格昇給の停止だけは撤廃するよう示唆するにとどめた。やがて右社県連も人員整理反対を申し入れ、ついで両社、県労評などが県政に不満を示し、反省なければ純野党に踏み切ることを示唆する一幕もあった。

春に財政悪化に協力した人々の退職金が11月になっても300人が未支給となっていた。12月の追加予算でやっと2千万円計上できたが、150人分にしかならなかった。

昭和30年早々の決定は、懸案の昇給昇格問題を10月該当者について1月付きで実施することであった。物件費、行政費を更に2割節約して1千万円を浮かし、残りは内部操作で。ちなみに所要経費は教委11百万円、県5百万円、警察5百万円と、多数を要する県教委としては難問であった。やっと予算化されると、総額15百万円余、教職員分1030万円、県300万円、警察200万円の内訳であった。県職員の整理については、(1)3月まで50歳、(2)配置転換困難の者、(3)夫婦共稼ぎの者、(4)両親親族に相当の収入資産あるもの、を対象として実施する基本線を示したが、教職員の勇退折衝は波乱含みで、すでに昨年の強行策の後で名案はない。

東北各県とも児童増加に見合う教職員増員は認められず、昇給分の予算もなく、高齢高給者の整理、と難問を抱えた。ただ、宮城県の場合、他県のように最高年齢男52女45とかに引き下げて一線を引くことまではしないで済ませたことについて今なおいくらかの安らぎを覚える。





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最終更新日  2012.05.19 19:25:15
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