仙台・宮城・東北を考える おだずまジャーナル

2013.02.15
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カテゴリ: 国政・経済・法律
わが宮城県のニュースで気になった。

県内の女性が、交際相手の浮気を解消させるため都内の「別れさせ屋」に工作を依頼して代金も支払ったが、会社側が仕事をしないので、代金に利息を付した分の損害賠償を求めて、昨年12月下旬に仙台地裁に提訴したというものだ。13日にわかった、という説明で報道されている。

この会社が請け負ったような「別れさせ屋」とは、疑似恋愛で人をダマして破局させる(結果的に復縁できるようにする)という手法なのだそうだ。具体的には、依頼者の配偶者や交際相手が浮気をしているような場合に、さらに別の異性(おとり)を接近させて、その浮気をまず解消させ、さらにおとりの異性も姿を消すということになるのだろう。そんなことがうまく行くのかどうか知らないが。

そしてこの県内女性の場合は、2006年12月に会社に工作を依頼。調査料として代金80万円を支払った。契約上は会社が女性調査員を派遣して気を引き、別れさせたあとに復縁させることになっていた(らしい)。しかし、その後会社側は女性調査員を派遣していないとして、女性は契約解除の意思を伝えた(とされる)。それで、利息分を含めて107万円の損害賠償を求めているということらしい。ちなみに浮気も解消していないらしい(そりゃそうだろう)。

原告側代理人は「そもそも、個人間の恋愛感情に干渉し、対価を得ることは公序良俗に反する。そうでなくても、別れさせることが可能であるかのような虚偽説明は詐欺にあたる」と契約の無効や取消しを主張しているそうだ。民法90条(公序良俗違反で契約無効)を根拠とし、かりに有効だとしても、できもしない工作を説明した会社側の欺罔だとして、同法96条(詐欺による意思表示で取消し)を根拠にするという主張なのだろう。

なお、会社側は答弁書で「婚姻外の男女を別れさせる働き掛けが、当然に公序良俗に違反するということはできない」と反論。女性調査員の派遣はした、と主張しているようだ。

朝日新聞の記事では、内容は淡々と叙述しているが、見出しが「私が頼んだんだけど・・・ 別れさせ屋は違法で無効」という趣旨のタイトルで、原告女性が虫の良さを示唆するような感じだ。

さて、よく考えてみよう。詐欺の主張は別として、90条違反の点だ。公の秩序と善良の風俗に反する内容の契約は当然に無効で(90条)、教室設例的には、裏口入試の依頼、愛人契約、暴利行為などだろう。

そして、90条が出たら必ず708条を論じろと民法の先生に言われたように、不法原因給付の議論があるはずだ。90条違反の契約は絶対的に無効(追認もできないはずだからだ)。となると、既に給付された依頼料80万円は不当利得であって、会社側が保有するいわれがないから、女性に返還することになりそうだ。しかし、民法708条は不法の原因のため給付した者は返還をもとめることができないと定める。つまり、反社会的行為(契約)をした場合は、その契約自体も無効とする(90条)上に、さらに、給付してしまった物の返還請求権を法的に認めない。かりに訴訟で求めても国家として認めないとしているのだ。



俗な言い方をすれば、悪を頼んだ者が、予定通り行かないからあのカネ返せというのは正義に反するだろう、ということだ。これを今回の女性について言えば、金返せというのは正義に反するということで、庶民感覚にも合いそうな感じがする。法律的には708条に反して認められないとなりそうで、このことは記事では触れていないが、上記の朝日の見出しが、女性の身勝手を読者に代わってとりあえず非難しているようにも読める。
(なお、訴訟では損害賠償を主張しているようだが、708条は、不当利得返還の場合のみならず損害賠償の場合にも類推適用される。)

原告はどのような論法で臨んでいるのだろう。

別れさせ契約の無効を主張しておきながら、708条の場面ではないという構成をとっているハズだから、やり方として思いつくままに考えてみると、

(1)90条違反だが708条該当ではない(どうやって?)
(2)別れさせ契約自体は無効だが、返還の合意が別途有効に存在していた
(返還合意は当初からではなく会社の不作為が明らかになった後に救済のために行われた、として当初契約との関係を希薄化させて主張)
(3)別れさせ契約は無効。しかし会社側の全体の態度(不作為)が損害を与えた(契約外の事実たる不法行為の構成だが、そんなの無理だろう)
(4)不法性はもっぱら会社(反社会的行為を広告)に存在し、女性(かよわい消費者!)の賠償請求は保護される(708条但書)
(5)不法性は両者が認識していたが、圧倒的に会社側の方が主導していた

とか。






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最終更新日  2013.02.16 17:59:41
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