仙台・宮城・東北を考える おだずまジャーナル

2014.06.16
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カテゴリ: 宮城
宮川長二『金属・鉱物地名を解き明かす』(美研インターナショナル発行、星雲社発売、2008年)を読んでみた。仕事の傍ら、写真や金属民俗学の趣味を通じて、地域や地名を深く研究するようになり、古代韓国語も駆使して、各地の鉄や鉱物にまつわる地名の由来を明らかにしていく。

そこまで言えるのだろうか、と素人ながらに疑問も感じたが、非常に興味深い論考と思う。また、第一章で、氏が東北大学などで仕事をした経緯、そして写真撮影で訪れた白石市小原で地名に関心を抱き、古老の話を聞きながら地名の謎を解いていくところは、まるで伝説にまつわるミステリーを民俗学者が解いていくTVドラマのようで(例えが悪ければすみません)、大変面白かった。

小原の地名と鉱物に関する部分を、要約しつつ引用させていただく。


昭和45年ころ小原や七ケ宿に、街道筋に残る日本の原風景の写真を撮るために通うようになった。そのうち、村の人とも親しくなり、昔の伝承話も聞かされた。その中に「うなぎとムカデ」の話がある。白石藩の弓矢の名人が、福岡の沼のうなぎの頼みで鎌倉山のムカデを退治した話だが、小原温泉から白石川をはさんで鎌倉山があり、切り立った崖に茶褐色に染まったところがあって、弓矢で目をやられたムカデの血の跡だという。崖下には饅頭岩があって、そのわきに小さな穴があり、ムカデ穴というのだそうだ。

小田治の著書『山伏は鉱山の技術者』では、ムカデは鉱脈であるとされる。ムカデ穴も饅頭岩も地下坑道につながっているのではないか。

このあたりは明戸(あけど)という地名だが、鎌倉山は鉄・金属を生む山の意味で、明戸は鉄・金属のあるところの意を表記した地名であると、(小田治の著作に基づき)後でわかった。

ある時、上戸沢の古老に、近くの熊高山( おだずま注:私の地図では熊鷹山と表記されている。下戸沢と上戸沢の間。450.6m )は金山だったのでしょうと問うたら、地元でも知る人は少ないと驚かれた。これも(小田に基づく)山名の解読である。朝鮮古語で熊(神、金)は金に通じ、高は「田華」で、「田」は油田・炭田の語から「鉱山・鉱区」の意。「華」は亜鉛華などの結晶で、やはり鉱物にかかわる漢字。それで「田華」は鉱脈の鉱物である。以上から、熊高山は、金鉱物の山すなわち金山となったのである。



古老には近くの銅山の跡も案内してもらった。東京の人が手掛けて鉱脈に当たったときは大盤振る舞いだったが、やがて湧水で廃鉱になった。坑口近くの山神の祠には、掘り出された黄銅鉱が詰め込まれていた。

隠し金山の話も聞かされた。戦で相手に渡らぬよう坑口を塞いだため、今では場所はわからないというが、掘り出した金を運んだ牛道があり、福島の半田山銀山( おだずま注:下記の記事を参照ください )にも達しているとも言われた。

下戸沢に赤井畑(あかいはた)という地名があり、源平の戦いのとき、源氏ゆかりの者が来たので、「赤い旗」と地名に表記したのが由来という。赤の字は五金のうちの赤金で銅山か。これも後でわかるのだが、赤井畑は鉄・金属を生む土地の意を表した地名である。この奥地には、金、銅、鉛、亜鉛の七里沢鉱山があった。赤井畑に祀られている赤地蔵は、鉱山の犠牲者を供養したのだろうか。



著者の宮川氏は、果たさなかったが隠し金山を探そうともしたそうだ。小原の地名に関する「聞き書き街道物語」をまとめようとも考えたが、小田氏の地名読解の根拠に割り切れない一面も感じて取りやめたという。

しかし、その後、韓国語の観点も活用して研究を進められた。著作の後半で具体的に地名読解が披露されている。

それにしても、壮大にして、かつ民俗的で、地域的で、本当に興味深い。
(同書には宮城県をはじめ各地の地名を金属・鉱物地名として解説している。後日、また紹介させていただきたい。)

■関連する過去の記事
白石湯沢温泉「やくせん」
東北の飲泉地 (06年7月18日)
ハンダの名の由来 桑折町 (2010年8月7日)(半田銀山)





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最終更新日  2014.06.16 21:53:25
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