仙台・宮城・東北を考える おだずまジャーナル

2015.08.09
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カテゴリ: 東北
JRの観光ポスター見ていて改めて気づいた。下北半島むつ市の中心駅は、大湊線の下北駅。なぜ、むつ駅とか田名部駅としなかったのだろうか。

これには、大湊線の後に開通した大畑線が関係している。

国鉄大湊線(野辺地-大湊)は、大正10年3月に野辺地と陸奥横浜間で開業、同年9月に全通した際に、終点の大湊駅の前に 田名部駅 を設けた。この 田名部駅 からは田名部町の中心部である柳町まで馬車軌道「田名部軌道」が設けられ、大湊線開通による需要減で廃止される昭和16年まで走っていた。

昭和14年に、大湊線から分岐する大畑線が開通。このとき、分岐点に新たに設置されたのが下北駅である。

大畑線は、下北駅から順に「本田名部」、樺山、陸奥関根、川代、正津川、大畑の駅を設けた。このうち「本田名部駅」は、下北駅から約3kmで、田名部のまさに中心街。先行した大湊線駅に対して「本」を冠したゆえんだろう。

戦後、昭和23年には、大湊線の 田名部駅 が赤川駅と改称されるに合わせて、大畑線「本田名部駅」を 田名部駅 田名部駅 の間に海老川駅を設けている。

同じ田名部駅の名が、 初代 (現大湊線赤川駅)と 2代目 (旧大畑線本田名部駅)と別々の地点に対して2度使われた訳だ。鉄道建設の順番が呼称名を移動させたということなのだが、私見ながら(市史などを未確認なので)、大湊と田名部の関係が背景にあるような気がする。

大湊田名部市(後にむつ市)の誕生が昭和34年だが、それまで、かつて軍港を擁した大湊町と、下北郡の中心で町制施行でも先んじている田名部町が拮抗していただろう。田名部側としては、鉄道建設が大湊を終点に行われ、田名部町の中心地ははずされて町域の陸奥湾側を(中野沢、奥内地区も既に合併して田名部町の一部)通るだけ。赤川地区に設けられた駅からは、馬車軌道を設けて町中心部の交通利便を何とか確保したが、大畑線開通で念願の鉄道駅が堂々と柳町にできると、海辺の寒村区域を田名部の中心と思われては困る、田名部の名は中心地にこそふさわしい、などという地域の論調が高まったのではないだろうか。

駅の呼称の移動という点では、八戸駅(旧尻内駅)と本八戸駅(旧八戸駅)の関係にも、通じるような気がする。関係は似ているが、ある意味で逆だ。八戸の場合は中心部から離れた東北本線駅(八戸線分岐点)の尻内駅(明治24年開設当時は、上長苗代村。昭和30年に八戸市に編入。)に敢えて「八戸」の名を与え(1971年。八戸線八戸駅は本八戸駅と改称)、八戸の玄関駅として広く知らしめたこと。やがて東北新幹線駅としても全国に知られる。

大畑線は1985年に下北交通に移管され、2001年に廃止。 田名部駅 の駅舎は、むつ市の連絡所として使用された後、労働福祉会館として利用されているという。私の地図帳(10年ほど前のもの)では、この地点にバス停の名称として「田名部駅」がある。

ところで、下北駅の名称だが、現在、下北町や下北橋などの名が周囲にあるものの、おそらく開設当時に周囲にあった局所的地名ではなく、何らかの理由であえて広域呼称を駅名としたのではないだろうか。下北半島の交通の結節点ということは勿論いえるが、両町の拮抗関係も背景にあったかも知れない。

なぜ「むつ駅」でないのか、という素朴な疑問もある。たとえば福島県の「いわき駅」があるのに。

むつ市の誕生は昭和35年(前年に大湊田名部市として合併していた)なので、昭和10年代の大畑線開通時期には、駅名候補にはなり得なかった。(いわき駅が平駅から改称した(1994年)のは、いわき市誕生(1966年)のずっと後である。)



(大湊と田名部の拮抗関係が背景にあるとした点は、私見です。市史などを丹念に調べるべきだが、安易にネット情報などを元に記した次第です。)

■関連する過去の記事
下北交通大畑線の廃線跡に立つ (2013年7月1日)
 そのほか下北半島について、旅行記を含め多数の記事を書きました。 記事リスト青森





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最終更新日  2015.08.10 06:00:19
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