仙台・宮城・東北を考える おだずまジャーナル

2016.07.28
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カテゴリ: 雑感
どうも引っかかっていることがある。新聞が政治や政治家をどう評論するか。もちろん自由で良くて、なにも形式上の公平性を常に重視しろと考えているわけではない。しかし、仮にも米国大統領選挙で二大政党の一の候補者に指名されようとする人物やその陣営を、あからさまに非難するような論陣を展開している事実に、やや大げさに言えば、愕然とした。

7月22日の読売新聞「編集手帳」だった。

その大要はこんな感じだ。

「政府が何をしてくれるかではなく、自分たちが何をできるかを考えよ」とは、ケネディの演説と思われているが実は29代ハーディング大統領の演説。ケネディが盗用したかはともかく、拝借したい誘惑を起こす名言だったろう。トランプ候補の妻が党大会で行った演説が盗用と判明して、陣営が謝罪。文章を書くことを「ものす」というが、「に」を加えた「ものにする」(盗用)はダメだ。「に」の字を、"暴言"三昧でここまで来た夫君に進呈する。その人が11月の本選後に謳うのが「がい歌」でなく、「に」を加えた「苦い歌」になるよう祈りを込めて。

「に」の有無をモチーフとした言葉のシャレも、美しくもなくウィットも効いていない。そして、何より、敗戦すれば良いさ、自業自得だとばかり、ケチをつけた物言いで、たいへん品が悪い。

大新聞の論説委員がこんなこと書くのだろうか。

わざと悪文をものしたとも思えるような、文章作法の下品さとは別に、その政治的な反響の狙いも重大だろう。他国のこととはいえ、これから国民の審判を受けようとする一方勢力を落とそうとしている、つまりは、読売としてはトランプが当選しない方がいい、と言ったに等しいのだから。まさに、ペンによる政治そのものだ。何らかの配慮か圧力か。

昨年の今頃は、一過性のブームであって党の指名を受けるはずはないというのが、評論家の相場だった。しかし、指名を受けた。

読売直系の中央公論は8月号でトランプ現象を特集している。だいたい、「世界を蝕むポピュリズムと排外主義」と煽動的に銘打っているあたりが、悪と決めつけているのだが、この中で大変面白かったのは、トランプを支持する複数の人物の談が載っていることだ。このあたりは、ジャーナリズムの良心か。



グレン・フクシマ氏は、日米のビジネス文化の違いから、米国の日本に対する見方は、好意的と否定的の両極端に分かれて中間がないと指摘する。日本相手に成功した人と、苦杯をなめた人に分かれるのだ。そして、日本はアメリカから一方的に恩恵を受けているとか、日本の繁栄が米国の雇用を奪う、あるいは自国に不利な通商を導く米国内の政治リーダーが無能だなどと、わかりやすい図式に衆人の関心が寄せ集まっていく。

予測不可能の語でくくられるトランプ氏の存在だが、躍進の先には、一皮もフタ皮もむけてバランスのとれた見事な政策を提示する時がやってくるのかも知れない。ヒラリーが安泰とは決して言えない。まさに、予測できない。

それにしても、どうして読売「編集手帳」はああなのだろう。ポピュリズムに自ら飛び込んだような書き方。読者は、トランプをこき下ろす薄っぺらで一時的な快楽?よりも、なぜアメリカは選択肢としてトランプを選び出そうとしているのか、選挙の論点はどうか、日本にどう影響するのか、などを知りたいだろう。

教養ある我が国が世界に誇る大新聞。盗用はけしからん、選挙にまけやがれ、などと小学生の喧嘩のあとの悪態のような「社論」でいいのだろうか。苦々しく思った国民は、私だけか。





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最終更新日  2016.07.28 21:40:30
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