仙台・宮城・東北を考える おだずまジャーナル

2023.04.23
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カテゴリ: 東北
近代日本の工業化を担った鉱山の労働者の間で「友子制度」があったそうだ。鉱山跡を探訪する猪木武徳氏の珠玉の歴史紀行を読んでいて、知った。
■猪木武徳『地霊を訪ねるーもうひとつの日本近代史』筑摩書房、2023年

同書によると、友子制度は次のようなしくみ。

・鉱山労働と生活につきものの事故、病気、失業などによる経済的困窮を防ぐ相互扶助の組織
・親分・子分の契りを交わす(友子結盃式)
・子分は(多くの場合)3年3か月10日の間、親分の家で生活
・親分と子分は何事があっても互いを守る掟
・万が一掟を破れば全国の鉱山に除名が通報される
・この組織は全国ネットワーク

・交際金という積立金制度で見舞金等を賄った
・親分の死亡では子分たちが共同で墓碑を建て友子の共同墓地に葬った
・友子制度は徳川家康「金銀山 定式山例 五十三箇条」が原点とされる
・村串仁三郎『日本の鉱夫ー友子制度の歴史』(世界書院)に詳しい

猪木氏の本によると、阿仁町の阿仁郷土文化保存伝承館に、友子制度に関する資料が展示されている。また、大仙市協和荒川の大盛館(民俗資料展示館)には友子制度の下で出された自坑夫免状(1931年)が展示されている。鉱夫が新たに友子に加入する際には、盃を交わす取立結盃式が行われ、各人に友子の掟などを記した免状が配られた。友子には、独身で全国の鉱山を渡り歩く「渡り坑夫」と一つの鉱山に定着して妻子を持ち親分の許で働く「自坑夫」がいた。荒川鉱山は自坑夫が中心だった。

過酷で危険を伴う鉱山労働における組織的秩序を保ち、他方で労働力の移動や家族の扶養などにも配慮した仕組みが考えられていたのだ。ちょっと飛躍かも知れないが、古代から伝わる日本社会の「しきたり」の知恵と繋がるかもしれない。奇祭や結社などとして残るものもあるが、我々は、古くから現代に至るまで、助け合う社会を形作ってきたのだ。

■関連する過去の記事(鉱山関係)
平泉繁栄の理由 北上山地の砂金 (2023年02月19日)
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鹿折金山 (2021年5月3日)
白石・小原と鉱山の歴史 (2014年6月16日)
ゴールドラッシュと涌谷 (2011年10月24日)
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岩手の製鉄と雨宮敬次郎の地域開発 (10年2月20日)
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東北の飲泉地 (06年7月18日)
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■関連する過去の記事(奇祭、習俗、結社など。他にも記事リストご覧ください。)
(奇祭など)
ついに見た!米川の水かぶり (2023年02月09日)
中新田火伏せの虎舞 (2013年4月29日)
ハンコタンナと覆面風俗 (2015年2月1日)
塩竈の「ざっとな」 (2011年2月27日)
奇祭 鶴岡化けもの祭
民俗信仰と東北 (2022年6月4日)(弘前市鬼沢)
岩木山信仰とモヤ山 (2022年5月30日)

(疫病や感染症に関する民俗)
世界に誇る東北の郷土芸能(西馬音内盆踊り、鬼剣舞など) (2022年12月14日)
仙台とコレラ流行の歴史 (2022年9月19日)
芋峠 (2021年8月9日)
疫病と向き合う東北の民俗伝承 (2022年6月8日)
民俗信仰と東北 (2022年6月4日)
鬼剣舞と念仏踊りを考える (2022年6月2日)
芋峠(仙台市)と感染症 (2020年11月28日)
鈴木重雄と唐桑町 (2016年6月19日)
宮城の民間医療伝承 (2011年9月4日)
明治のコレラ大流行と仙台市立榴岡病院 (10年9月3日)

(来訪神、結社などに関するもの)
西馬音内の盆踊り (2012年8月5日)
ナマハゲやスネカの起源と神(鬼)の両義性 (2022年5月29日)
秋田美人を考える(再) (2022年5月11日)
日本三大美人と秋田 (2016年1月31日)
尻屋の共産部落 (2015年2月6日)
小野小町 (2011年7月23日)
秘密結社とナマハゲ (2011年6月4日)
海の民、山の民 (2010年12月25日)
秋田美人を考える (2010年12月23日)
秋田ナマハゲは秘密結社か 再論 (2010年5月20日)
なまはげと東北人の記憶を考える (10年4月27日)
秋田なまはげは秘密結社か (07年8月13日)





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最終更新日  2023.04.23 12:20:25
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