仙台・宮城・東北を考える おだずまジャーナル

2024.02.12
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カテゴリ: 国政・経済・法律
ちょうど2か月前になるが、昨年(2023年)12月12日のニュースで報道された。非常に興味深い判決だ。

2019年4月に当選して公選法違反(買収。ウグイス嬢手配に報酬を支払)で失職した大阪市議会議員が、当選無効の判決確定(20年2月)までの間に受け取っていた議員報酬や政務活動費など1400万円余りについて、大阪市に全額の返還を命じる判決が最高裁(第三小法廷)であった(12日)。

1審と2審は、議員の活動で市も利益を得たとして、身柄拘束期間だけの約160万円に限って返還を認めていた(市が上告)。判決では、民主主義の根幹である選挙の適正を著しく害したもので、確定までの期間を議員として活動していたとしても、市との関係で価値はないと評価すべき、として全額の返還を命じた。なお、1人の裁判官は、資格がなくても活動した事実は残り市は利益を受けた、とする反対意見を述べた。また、自治体での議員報酬返還に関するルール作りなど議論が尽くされることを期待するとの補足意見もあった。(NHKなどのニュースから)

当選無効確定までの間の議員報酬についての初の判断で、今後国会議員などにも影響しそうだという。なお、半世紀以上前に自治省が返還を請求できないとの行政解釈を示しており、現在まで返還請求のハードルになってきた(朝日)。

以下は当ジャーナルの見解。

まず、当選無効判決確定までの期間の報酬をどう考えるか。その前提として、現行法制に明記ないことから問題になるのであって、裏を返せば(補足意見にあるように)立法的解決が一つの解決方途だろう。とはいえ、現在は法解釈で乗り切るしかないとして、大きく二つの(極端な)方向があると思われる。

(1)当選無効は民主主義の根幹である選挙の効力(議員の資格)の問題だから、判決確定までの期間の(事実上の)議会における行動や議員としての対外的活動も無にすべきが基本。すなわち、議会における表決もこの議員については遡及的に削除されるべき。同様に、報酬も支払う理由がなく、返還は当然。不当利得の法理では、善意なら現存利益の範囲で返還となりそうだが、私法体系よりも公法上の秩序を優先するのだろう。

(2)たしかに議員としての地位について公法上の無効の効力は遡及すべきだ(そうでないと意味がない)が、議員として活動した実態から事実上生じた社会的関係は存在し、地方公共団体の団体自治にも一定程度は寄与している。また、議会活動は他の議員や住民との相互作用の総体と見ることもできるから、たとえば議会の討論から当該人物の言動だけを抜き取っても、それによって影響を受けた他の議員の言動まで削除するのかの問題も生じる。
 そうであれば、その活動の対価としての報酬は支払っても許容される。実質的に考えても、議員の地位が遡及的に消えるとしても、当人は当該活動で市(団体自治)に貢献した利益の対価を求める権利がある。公法上議員ではなくなったとしても、いったんは公に当選証書を与えられて活動をしたのであるから、単なる一市民とは異なる。



当ジャーナル編集長が怠慢しているうちに、今度は、名取市の市議が、地方教育行政法(スポーツ事業を知事部局に所管させるには条例が必要)に反して、条例を設けずに、名取市がスケボーのトップ選手を育てる「スーパーキッズ育成事業」を行うことについて、その公金支出と契約の差し止めを求めて仙台地裁に提訴したという(2月7日河北新報記事)。

地教行法に反するかどうかの判断が第一だが、かりに違法とされる場合、市が行った民事上の契約の有効性はどう判断されるのかに関心を持った。

■関連する過去の記事(類似の論点を含むもの。他にもあるかも知れません)
別れさせ屋と不法原因給付 (2013年2月15日)
山形県の無免許元教諭の返還額を考える (2016年2月25日)
山形県教委の教員任用無効の法理を考える (2016年2月23日)
チケット不正転売禁止法の謎 (2019年6月16日)








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最終更新日  2024.02.12 18:22:49
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