全7件 (7件中 1-7件目)
1
男の言葉は相当に不明瞭だった。しかも、荒れていた。「女ごときに」とはまたずいぶん時代錯誤の言葉だなとは、一応思った。 私は、一応日本語を勉強して生きているから、男の言葉の断片から、彼が言おうとしていることを察知した。 おう。らら。 言おうとすることがベロに追いつかないと、ヒトはおめくものであろうか。 うう、るる……。 男は何か言おうとしていた。 私は、一応日本語を勉強している身分だから、そして、蓄膿の手術を二回したから、却って男の言おうとしていることを察知することが出来た。2010/3/26 優れた裁判官・検察官には無理かも知れぬ。 辛い辛い辛い。聞くのも辛い。書き記すのも辛い。「女ごときに」……そう男は言った。「どこで誰と何を、なんて、新聞記者のなり始めじゃないんだ、いくつかのWといくつかのHなんて、家の玄関を開けた途端のおらにどうして言うんだ、北のまん○どころ」「籍に入れる前と後で、あいつはあっという間に変わった。ふん、女ってえ生き物は、いやいや、世間一般の女のことは分からねえ、だどもよ、おらの同じ屋根の下にいる女は、そうやって『保護』『保証』されることで安全地帯を手に入れることに慣らされてるんだ、そのようだ」「ふん、女ごときにおらが生きているその根っこまで触れられたくねえ」「しかもだよ、どこかから借りてきたような言い回しで、おらの生き方をアシザマに言う。『あんた、あたしを無視して生きて行けるくらいそんなに偉いの?』とかさ」「ふんだ、おら、ヤリタクてヤッタだけなのに、それを『愛』って信じこんだ馬鹿ニョウボに、これ以上のこと、言いたくもねえ」 男の言語はかなり濁っていた。だけれど、何か伝達しようとしているらしいことは分かった。 こちら、一応、日本語を追求しているから、男のだみ声を断片的ながら聞き取り、そしてこうやって再生出来ている。「右顧左眄して生きている女ごときにおらのほんとが分かるのか、おら」 男がまた吠えた。 女性側からすれば、男ごときが何をホザクとなるだろう。私は女性上位主義者だ。 日本語の探求者の端くれとして、バスの中の酔っぱらいらしい男の感想を、とりあえず忠実に追いかけようとしている。「ヤラセ上手ってさ、ある時までだあね、そりゃ、男はタマルからよ、ダシたくなる、それを、アッチは、アッチのこと好き、と勘違いする。こりゃ、神の仕掛けさ、仕業さ。勘違いしないと、人類が滅びてしまうからな」 バスの運転手が男の肩を叩いた。バスは走ったままだった。「お客さん、声が大きくて他のお客さんに迷惑なんですけど。眠れないそうで」「おう、運ちゃん、おい、雲助、平等社会の一員、表面平等社会の恵まれ者さん、おらも290円払ってこの御バスに乗ってるだよ、めぎめぎ、南ア(原文のまま)、文句あっか」 男は立ち上がっていた。「女ごときが、おらが会社へ行っているその本質についてどこまで分かっているのか」「あんたの親の顔が見たい、だって? 偉そうに。中途半端の日本語を使うな、おらの親の顔は見てるじゃねえか、それをよ、何だ、型にはまったその言いぐさ」 私は下車しなければならなかった。家へ帰りたくないけれど、男に付き合っていたかったけれど、ヨコになって眠らなければならなかった。 誤植ご勘弁。
2010.03.26
コメント(0)
「春から始めたい習い事」って、……よく考えると、「習い事」という用語には複雑な意味が含まれているのではないか、ということが気になりだした。「習い事」とは、ギターを弾くことを習う、自動車の運転の仕方を習う、お茶を立てることを習う、着物の縫い方を習う、ケーキの焼き方を習う、軽飛行機の操縦を習う、食べられる野草の見分け方を習う、馬の乗り方を習う、などなどを差していて、「習う」はほぼ初期の段階での「覚える」に接近しているのだろう。 ところが、「基本的にはギターを弾けるが、さらに上を目指したい」は、一般的に使われる「習う」という言葉ではくくれないのではないか。 西郷信綱さんが考えたような「言葉の森」への案内人がいるのなら、こちら、すぐにでもお尋ねして勉強を始めたいのだが。 これも「習い事」の範疇に入ると言われれば入るのではあろうが。 西郷さんは、日本の古代語を探って言葉の深奥へ深奥へ足を伸ばした。 言葉の発見の旅。その結集の一つが『日本の古代語を探る』。 西郷さんの旅は、まことに新鮮な発見の連続。「タビ」(旅)という語の由来について考える。「万葉集」から「鶴(たづ)が音(ね)の 聞こゆる田居(たゐ)に庵りして 我旅なりと 妹に告げこそ」 などの歌を引用しながら、「旅」が実は近くの門田ではなく遠くの山田に耕作にいくこと、そして山田の辺りに庵(粗末な小屋)を建てて、そこに寝起きをすることを「旅」と言ったのではないか、と推断する。 旅の「古い原点」を発見するそのお手並みの凄さ。「タビ」の語源を生み出す要素として「タブセ」を取り上げている。「唐臼は 田庵(たぶせ)のもとに わが背子は にふぶに咲(ゑ)みて 立ちませり見ゆ」 田庵は田のそばの庵、フセは伏せらなければ入れないほどの狭い庵を意味する。 粗末な掘っ立て小屋にいて無言でウスを引いていた夫が、会いに来た妻の姿に気づき、作業の手を止めてにっこりしながら立ち上がった、という光景。 この「タブセ」と「タビ」とは不可分である、と、農耕民の生活の中から古代語を見出そうとする西郷さん。 遠くから尋ねてきた妻もまた「タビ」の中にいるのではないか。「タビ」とは、「孤独」の言い換えでもあるのか。「想う」と言うことは、長い旅のこと、旅の中での行為。「娯楽」「団体旅行」などとは接点もない「旅」のおおもと。「度々 たびたび」というのは、いつも旅空の下にいることなのか。 タビを山田の中(奥)の耕作と結びつければ、「万葉集」の中の有名な東歌が想起される。「我が恋は まさかもかなし 草枕 多胡の入野の 奥もかなしも」 安我古非波 麻左香毛可奈思 久佐麻久良 多胡能伊利野乃 於久母可奈思母 「わたしの恋は、現在もせつない。が、かき分けて入り込んだ多胡の入野の奥にいるように、将来(奥)も、きっと切ないことだろう」 ああ、心の奥のそのまた奥。どこまでも続く「タビ」。 入野は新しく開墾した奥の山田である。「遠く」と「奥」とが重なりながら、山田の庵へいく「旅」が含まれ、そこから自然に、「旅」などにかかる「草枕」という枕詞が使われる。 西郷さんも言っているように、「草枕」に対比するのが家で共寝の妻の「手枕」だ。 多胡のある上野は、上毛野(かみつけの)国の省略である。おおよそ現代の群馬と考えられる。 下野(しもつけ 栃木)とともに律令時代以降、「毛野(けの)」「毛の国」といわれた。江戸時代には「けぬ」と誤読もされた。「毛」について西郷さんはまた驚愕すべき読みをおこなう。「木は大地の毛である」。 今の鬼怒川が毛野河と呼ばれていたことは知られている。が、なぜ「ケ」が「キ」となるのか。 和歌山の「きのくに」との関係は?「気比」について、重要な資料をバイク大王が届けてくれた。 有り難う、有り難う。 後日、整理してみなさんにお届けしたい。
2010.03.22
コメント(1)
![]()
暫く「旅」をしていない。 そりゃ、片道三時間とか一時間とかの旅には、毎日のように出ているが。「行きたい所」と聞かれたら、今は「気比」とすぐに答える。 敦賀気比。 何気なく甲子園出場の選手の胸のネームを見ているが、日本のみなさん、ちゃんと読めているのだろうか。ローマ字では「kehi」と書いてあるので、どうやら一安心なのだが。 調べたが、欲しい情報がなかった。「気比」とは何なのだろう? どこから来ているのだろう。 大昔は「表玄関」だった日本海側。 いつから「裏日本」「表日本」などという表現が生まれたのか。 くだんの「日本」だが、「にっぽん」か「にほん」か。 「日本」の付く語としては・・・ (1)「日本」と(2)「日本~」「~日本」があります。 このうち(1)については、正式の国号として使う場合は「ニッポン」。そのほかの場合には「ニホン」と言ってもよいとしています。「日本」が付く語の実際の読みについては、[ニホン]と読む語 日本画、日本海、日本髪、日本橋(東京)ほか [ニッポン]と読む語 日本(国号)、日本国民、日本橋(大阪)ほか [ニホン]または[ニッポン]と読む語 日本一、日本記録、日本語ほか [ニホン]を第1とし、[ニッポン]を第2とするもの 日本アルプスほか 以上4つのケースに読み分けています。(NHKことばのハンドブックP138)ちなみに、応援の場合には歯切れの良い「ニッポン」が定着しています。4年後のワールドカップ・サッカーでは、心機一転、日本チームの快進撃を期待しています。「ガンバレ!ニッポン」 (回答者 研究主幹 豊島秀雄) ま、融通無碍の我が国。国名までも神出鬼没。 外国に詳しい方、世界にも国名をこのように「自由」に読み分ける例は、他にありますか。 某新聞社の文学賞の選考会が頭にちらつくこの頃。 こちらの「春」は、大風と文学賞選考会で開く。 最終候補作品も、じきに届けられるだろう。 読む、読む、読む。斎戒沐浴して。 今年はハイレベルの闘い(なぜ、分かる? うーん、極めて秘密。というか「知らぬが華」)。 レベルの低い書き方をして勿体ぶるでないぞ、「選考委員の一人」と言えば済むこと。同人会の生徒さんの作品が残っている、と明かせば済むこと。 少し気が重いこともある。「選考会」ということを、出席する方はよーく頭にたたき込んで出て欲しい。 あなたの文学趣味や文学遍歴を吐露し合う場ではない、ということをもっと認識して欲しい。 これから走り出そうという応募者の才能・未来について語る所なのだ、ということを。「文学的な匂い・香り」のする雑談会に加わりたいなら、U市には3つも文芸サークルがあります、かなりレベルの高い。多分、もっとあるのだろう、某委員が「副代表」とかのサークルなどもカウントすれば。 合評会の後は、二次会で話が弾む。第三土曜日、第四土曜日、第四日曜日は、お店がもう部屋を決めて確保してくれている。「この作品はドストイエフスキーに比べれば」程度の発言で、選考会を感想会にしてしまうなら、U市の同人会へどうぞ。 いくらでも聞く耳持っている会員が牙を研いで揃っていますよ。 やや混迷の度を深めている今日この頃。 1タス1は2だけが生きる人の足下の基礎・基盤を成しているわけではない。 己の内部を見つめ、我々二本足のこれからを考える……それを文字に託す。その作業を大事にしよう。convenient convenient convenientはもう結構。 難読・異読地名辞典蒙古地名辞典大和古代地名辞典
2010.03.22
コメント(0)
「システムエラーが発生しました。前へ戻ってやり直してください」 そんなメッセージが出て、文章が消えてしまう。 困った困った。 もう一度。 分厚い防寒着のズボンの股を切り開いた。 うまく言えないなあ、着物でバイクに乗る、二本の足を入れる必要はないから、ズボンの形である必要はない。 駄目だねえ、下手な文章。 着物でバイクに乗る……、ズボンの形では足が開けない、そのためにズボン式の履き物では駄目だ……。 スカートのようにして足を開かずに履けるように直したかった。 ほら、暴れん坊将軍が馬に乗っているときの袴。 あれを作りたかった。 通販では、2万も3万もするからね。 足をそろえてスカートに足を入れるような気分で履けた。はさみの入った切り口を、ズボンの裾上げに使う接着材で貼り合わせた。 完全にスカートのようになってはいないが、後は、ぱあパアしているのを軽く足に巻き付ければ大丈夫だろう。 何かクリップでつなぎ留めなければいけないかもしれないが、早速明日は出かける。
2010.03.15
コメント(0)
送信出来ない楽天メール。
2010.03.15
コメント(0)
やっと太陽さんが現れてくれた。 ありがたい、ありがたい。 色々、訃報が届くが、こちらはこちらで生き続けなければならない。 スポーツ各紙、「朝青龍 言いたい放題」の大見出し。 そうかなあ、そうだろうか。 あのくらいのこと、言うと思うけどなあ、会社を辞めたって、あのくらいのことは言うのではないか、同士の皆さん。 感謝、感謝、感謝に徹しろとでも? 特別ひどいことを言っているとも思われない。新聞、テレビで見ている限りは。 外部からの指摘・批評に相変わらず妙に敏感なニッポンジンと思ってしまうが、こちらが鈍感なだけか。
2010.03.12
コメント(0)
![]()
--------------------------------------------------------------------------------「徹子の部屋」で新井満さんの歌と朗読を聞いた。 うまかった! 見事だった! 示唆されることが多かった。 その日は、なんだか千の風が自分の周りで吹いているようだった。 色々調べた。「千の風になったあなたへ送る手紙」(新井満賞)のこともそのとき知った。 また調べた。 面白かった。選考会でのこと。 7歳から100歳までの応募5056作→50作→5作と絞ったその最後が決まらない。二時間も喧々がくがく。「目だけではなく、耳からも確かめてみましょう」と新井委員長が提案。 すると、それまでさほど問題にされていなかった作品が輝き始めた。結局、他の委員も賛成してその作品で決定。 他の4本は、それぞれ推薦した委員の名をかぶせた「岸恵子賞」「さだまさし賞」「俵万智賞」「朝日新聞賞(一色清推薦)」を受賞。 ふと考えた。 この賞の場合は、「天国にいる人(相手)への手紙」と言う形だ。だから、「相手への思い・想いがいかに熱いものであるか」「(残された者が)今いかに生きているかか充分に出ているか」「感動はあるか」が特に問われた。つまり、文章はあまり問題ではなかった。 さて、こちらが関わっている「エッセイ」「小説」はそうはいかない。「想い・思い」だけでは勝負にならない。 やはり、構成と文章。これが物を言う。 こちらも、これまでも時々申し上げている、「自分の作品を声に出して読もう」と。 それは「響き」「色気」にも通じる。あなたの作品をさらに磨くことになる。 やがて、某新聞社の文学三賞の選考会が開かれる。今年も熱い議論が交わされよう。 いや、選考委員全一致、というような傑作が入っているか。 今年の応募作は力作揃いのようだ。一次選考通過作品が発表された。 最終候補作品にどのような力作があがってくるか。 迫っている。迫っている。 あーちゃん、いーちゃん、うーちゃん、えーちゃん、書いていますか、読み上げていますか。 今日は6度くらいの真冬並の一日。 書ける人は凄い。書くという作業は凄い。Della(デラ)リラクゼーションCD千の風になって~エターナル・メロディーズCDジャケット用 額縁と CD千の風になってのセット【080807SP_10】
2010.03.08
コメント(0)
全7件 (7件中 1-7件目)
1


