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春夏のセールも一段落し、そろそろ次の芽を探さなければならない時期なのだが、うーん、最近のマーケットの動向を見ていると、レディス苦戦、メンズ好調の基調が、秋以降も継続しそうな気配がしてならない。日本国内に関していうと、メンズ好調、というか、復調の理由としては、次のような点が挙げられると思う。1.バブル崩壊後、一旦落ちるところまで落ちた売り上げが、限界点に達して反転している。2.日本経済が、産業によって、あるいは同一業界内の勝ち組負け組の差はあれども、現在はそれなりに悪くない状況にある。3.2003年の伊勢丹メンズ館の改装などに象徴される小売り側からの仕掛け、あるいはクールビズやメンズデニムなど、売りにつながるような大きな仕掛け、商材が登場し、それが奏功している。サラリーマン層のボリュームゾーンの客層の買い方というのは面白くて、奥さんの代理購買もしくは本人が店舗に出向く場合は、「今日は○○を買って帰ろう」という目的意識がはっきりしていたりする。だからこそ、ロードサイドショップや百貨店の紳士服売り場に入店された方を逃さないための販売教育というのが徹底してらされていたりするのだが。家計が苦しい時、お財布の紐を握っている大抵の主婦層は、子供第一、次が第二、最後がお父さん、という優先順位をつけるものだ。その逆で、「このボーナスでは買ってもよい」という判断を下せば、「今日はお父さんの背広を買いに行こう」となるのである。売り上げのヤマも、父の日やボーナス、というものが大きく影響するから、レディスより後ろ倒しになっている、という店舗も多いと聞く。ただ、80年代以降、ちょうど雑誌『POPEYE』の創刊とセレクトショップのオープンというのがエポックメーキングになったかと思うのだが、自分の欲しいと思う商品を自分で買う、お洒落に目覚めたヤングが育ち始めた。彼らも20代後半から30代にかけて結婚し、かつてのVAN、JUN世代のように、所得の問題から結局は自分の消費をあきらめざるを得なくなった人達も存在するが、日本の国全体が豊かになり、自分自身が稼げる人間であったり、あるいは親から資産を受け継いだり、パートナーとのダブルインカムであったりすると、何歳になっても自分のファッションに対する欲求を右肩上がりに高め実現することが可能になってくる。そういう存在が、『LEON』オヤジ、なのではないかな、というのが私の考えだ。だから、今のメンズ市場には、1.セレクトショップに走るヤング、2.30代後半から40歳を過ぎて益々お洒落に磨きをかけるLEONオヤジ、3.クールビズ対応のシャツを買いに走るボリュームゾーンのオジサン、の3層があって、そのうちの2と3が活性化しているのではないか、と思うのである。ヤングに関しては裏原ブームの頃の方が元気はあったんじゃないかな。今は、2極化が進み、お金のない子は古着で我慢したり、ゆるいファッションでまったりするようになっていると思うけど。しかし、不思議なのは、日本だけでなく、世界のトップゾーンでもメンズの方が明らかに元気になってきていることだ。新しい人材がなかなか出てこないレディスとは対照的である。今回の2006年春夏のメンズコレクションも、写真で見る限りでは特にパリは見ごたえがあったように思う。数年前から非常に作品の内容もデザイナーも若返っており、年々参加ブランドも増えてきている。これは、「クロスジェンダー」という時代の流れの反映なんだろうね。昔なら、自己愛に満ち溢れ、自分を着飾ることに懸命なのが女性で、男は仕事、というのが当たり前だったのだろうが、先進国ならばどこの国でも、女性が働き、多様な形で自己実現するのは当たり前、逆に、男が女性や家族のために自分の欲求を我慢する、という観念も薄らいできているからなのだろう。男性ってもともと女性以上にモノフェチだったりオタクっぽい資質を持った人達が多いから、ファッションに関しても一旦目覚めてしまえばハンパなもんじゃすまなくなる。昨今のコレクションの充実振りを見ていると、そのことを否応なしに感じざるを得ない。WWDジャパンさんの8月1日号は、今回のパリ・メンズ・コレクションを評して、「音楽から影響を受けた作品が目立った」ことを指摘している。さくらもネット等をみて、全く同様のことを感じていた。アメリカを筆頭に、世界に広がろうとしている音楽のネット配信のムーブメントを見ても、あらゆるアートやカルチャーをリードするのは今は音楽だ、という感じがしてならないのだ。マスに対する影響力、人の心を揺さぶるエネルギーの強さ、同じアーティストを愛するもの同士の仲間意識・・・それが、CD時代よりもネット配信の時代には、飛躍的にパワーを強めるだろうということを、感度の高いファッションデザイナーさん達は早くも感じ取っているのだろう。さくら的には、特に「ディオール・オム」のエディ・スリマンが今回も依然としてぶっちぎりだったように思うが。あの細身のシルエットのデニムのクロップドパンツを履きたいからダイエットする、という輩は業界人には結構出てきそうだなぁ。人気blogランキングへ
2005年07月31日
センイ・ジヤァナルさんに、ザ・スリースモールルーム代表の加藤文子さんによる、先頃開かれたピッティ・フィラッティの概要レポートが掲載されていた。同展は、2006~2007年秋冬シーズン向けのニットのヤーントレンドの発信及び商談を目的とした展示会である。加藤さんご自身の取材に基づいたレポートは、皆様是非同紙をご購読頂いてご高覧願えればと思う。秋冬展示会の時期は忙しいため、まだ私も一度もイタリアには足を運べていないのだが、人づてに聞いた情報と加藤さんの記事を読んで、自分なりに感じた感想をここに記してみたい。「日本人の目から見ると、今一つ目新しさに欠ける展示会だった」という感想を持たれた向きも多いようだ。イタリアのヤーンメーカーさんが元気を無くしている、ということが原因なのだろうし、もう一つは、巨大マーケット・中国を意識した商品構成になっていた、ということなのだろう。加藤さんの記事の中で印象に残った点は、細かい部分はここには記すことは差し控えておくが、「秋冬シーズンとは思えないほど今回はコットンの提案がより多くなっている」ということ、これが今のマーケットの状況とも呼応しており日本市場では特に重要なポイントになるのではないかと思う。うちで講師を務めて頂いている先生方も異口同音におっしゃられているのが、「シーズンレス」ということである。例えば、今年の春先は気温が低くかなり寒かったが、渋谷109系のブランドを筆頭にヤングのブランドではキャミソールがガンガン売れていた。昨秋の立ち上がりには、まだ汗が噴き出す頃にファーが売れていた。つまり、お洒落な人は、「寒くなったから」「暑くなったから」という理由が購買動機にはなっていないのである。それプラス、秋の立ち上がりは、へたをすると10月末、11月まで最近は暑い、という現実がある。横編みニットではなくカットソーに力を入れようというアパレルさんも増えているが、横編み用のヤーンを売っていきたい立場からすると、素材を綿あるいは綿混にし、カラーは秋らしい色にすれば提案が受け入れられる可能性は高まると考えるのも無理はないだろう。加藤さんはしかし、上記のような理由よりも、「脱シーズンの影響も大いに考えられるが、むしろ、コットンの風合いが技術により多種に表現されるようになったことが決め手である」と解釈しておられる。そういう研究を後押ししている時代の風がシーズンレス化なのでは、と更に深読みすることもできるかもしれないが。いずれにしても、サンプルが早く見たいですね。ニットを専門とされる皆様は既に情報は入手済みだと思うが。さくらは上海のスピン・エキスポには行けないので、11月に東京で開かれるピッティ・フィラッティの日本版「イタリアン・ヤーン・ランデブー」を楽しみにしたいと思います。ところで、今回のテーマは「アートとアーティスト」だったそうだ。加藤さんは「印象派から現代絵画への流れをニットに表現。繰り返される時代の背景をニットの世界に投影している」と短くまとめておられる。これは骨太で難しいテーマである。コンセプトコーナーや各出展社さんのディスプレイはどのような打ち出しをされたのであろうか。毎回力作を見せてくれる「リネア・ピュウ」さんのブース辺りはどうだったのかなぁ。ピッティ・フィラッティは、モーダ・イン(次回から他のイタリアの素材展と合同開催されることになっている)やプルミエール・ヴィジョンより早く素材のトレンド情報を発信している。その後、テキスタイルの展示会があって、実シーズンの半年前に、ミラノ・コレクション、ニューヨーク・コレクション、パリ・コレクションなど衣料品のデザイナーズコレクションへと続くのだが、ほとんどのシーズンで、ピッティ・フィラッティでばくっとした形で出されたイメージをより絞り込む形でシーズン・トレンドを出していっているから、早期予測として同展のテーマ設定は無視できないんだよね。絵画のニットへの落とし込み、というと、すぐにジャカードやインターシャを想起される向きもあるだろうが、コトはそんなに単純ではないと思う。なかなか奥が深く難しいテーマを出してきたな、と、デザイナーさんの心中を思うと、ちょっと溜め息が出るが、逆に、デザインやモードの歴史をよく勉強している人にとってはネタがポンポン出てくる楽しいテーマだと言えるかもしれない。どんな画家のどんな絵でも具現化すればいい、なんてものじゃなくて、今の時代にマッチした人は、作品は誰か、ということになってくるはず。皆さんそれぞれに、この点について考えて見られることは、自分自身のデザインのレベルを上げるための良いトレーニングになるような気がするのだが。人気blogランキングへ
2005年07月30日
JR五反田駅から東京卸売りセンター(TOC)方面に向かうなだらかな坂道が、今日みたいな真夏日にはつらい。毛穴の奥からどっと噴き出す汗をハンカチで拭いながら、夏を実感しておりました(ふうっ)。さて、あんまり暑いんで、暑気払いにぴったりの笑える小ネタを。ネットサーフィンしていると、時々妙な情報を、発見してしまったりするんだよね。今日、[JDN]ジャパンデザインネットを見ていて、「こんなんアリ~」と思えるような異色のファッションコンテストを発見してしまったんだよね。「全国YOSAKO衣デザインコンペティションin ふくい」。これはどう見ても、繊維ファッション関連の業界紙や『装苑』さんのような雑誌は取り上げないコンペだろうね。そもそも、対象者は、「YOSAKOIチームのメンバー」なんだから。「1次審査を通過した場合、福井での最終審査会で踊ること。また、大賞を受賞した場合は、翌年度のチーム衣装として着て踊ること」という条件まで付いている。但し、「踊りは審査の対象ではない」そうです。あくまでも衣装のデザインの優劣を競うんだそうだ。これ、一体どのくらいの応募があるのか、興味シンシンですねぇ。1次審査通過者には、福井行きの交通費は1名分しか出ないらしいので、自腹を切ってまで全国から来てくれるの?なんて否定論が出そうであるが・・・。さくら的には、「内輪での異様な盛り上がり」でイイんじゃないか(笑)と思ったりします。他所から誰かを呼び込むには、まず自分自身のテンションを上げる、私が最初に楽しむ、この姿勢が一番大切でしょう。福井県民の皆様で基本的には盛り上がればいいんじゃないでしょうか。私がもし仕掛け人ならば、ローカルなマスコミ媒体やネットを使って、噂話的なネタをガンガン流しますね。最後には、友人知人に頼みまくって応募してもらう(笑)、これしかないでしょう。しかし、審査委員長は、わが地元・墨田も大変お世話になっておりますファッションデザイナーの畠山巧さんになっている。本格的ですねぇ。この人選の意味は???と想像でアレコレ書いてもしょうがないので、このコンペについて詳しいことをご存知の方、是非さくらの日記にカキコして下さいませ(^^)ちなみに、大賞受賞者への副賞として、100名分までの衣装及びサングラスが授与されます。グラサンは鯖江で調達されるんでしょうねぇ(笑)。狙いがすこぶるわかりやすい、愛郷心に満ち満ちたコンペです。後は中途半端なとこで止まらずおバカに徹するしかないっすよ。余談ですが、コンペのホームページに設けられた「福井県ってどんなところ?」というページ内のバナーに記されたキャッチコピー、「なぜか長寿。」がさくらは気になって仕方ありません。長寿全国2位らしいんですが、理由は何故なんでしょう?人気blogランキングへ
2005年07月29日
今朝の繊研新聞を見て知ったのだが・・・。黒川勉さんがお亡くなりになったそうだ。ネットで検索しても、訃報の記事はあまり見当たらなかった。良いニュースではないから、無理もないのだが。「グッドデザイン賞公式ブログ」さんが数少ない情報発信元になっていたのでトラックバックさせて頂いた。黒川氏は、「アンダーカバー メンズ」や、「アダム・エ・ロペ」などのファッション系ショップのスペースデザインや、家具・照明器具などのプロダクトデザインの分野で活躍中の中堅デザイナーだった。一時期は片山正通氏と共に会社を作っておられたこともある。大腸がんだったそうだが。まだ43歳、早すぎる死である。ファッション系のショップ、というのは、ファッション商品と同じく、世の中の流行り廃りと共にスクラップアンドビルドされる運命にあるのかもしれないが、家具や灯りのグッドデザインは、定番、ロングセラーとして長く愛され、世に光を放つものだと思う。デザイナー死してデザイン残る。ご冥福を心よりお祈り申し上げます。人気blogランキングへ
2005年07月28日
まだ7月も終わりを見ず、これから夏本番を迎える時期だというのに、早くも秋開講の講座へのお問い合わせが入り始めている。くちコミの効果なのか、本当に有難いことです。「謝謝 中国語講座」など、少人数制の講座で定員に限りのあるものにご関心のある皆様、宜しければお早めにご連絡下さいませm(__)m今日付けの繊研新聞に、大阪の婦人服輸入卸ブリングスさんが、中国は上海の人気ブランド「zuczug」を今秋から日本で展開する、という小さな記事が出ていた。販路は専門店向け。実は私も「zuczug」の服を1着持っている。表地が茶色い横編みのニット、裏地がグレーのカットソー生地で出来ているVネックのカーディガンで、着易いので最近のヘビロテアイテムになっている。このブランド、一昔前の日本のDCブランドを彷彿とさせる雰囲気で、イージークロージング風だが中国のブランドとしてはかなり完成度が高い。昨秋上海で店舗を見て、「これは向こうの服好きの人に売れてそこそこ伸びるな」と思ったのだが、今日の繊研さんには「40店舗」と書いてある。やはり思った通りになりつつあるようだ。ブリングスさんは、同じ上海の高感度なブランド「デコスター」も日本で販売しており、なかなかの目利きである。最近日本ではイージークロージング系はダウントレンドだからこそ、逆に欲しいと思われる専門店さんはそこそこあるように思うのだ。ブリングスさんは中国ブランドの日本への紹介ということに関しては先駆者ですね。ただ、詳しくは繊研新聞さんを是非お読み頂きたいのだが、日本で「zuczug」を買うと値ごろ感は感じないような価格設定になってしまっている。中国へよく行く人は、やはり中国で買った方がおトクなようだ。「zuczug」は、2005年3月21日付けのこのブログでもご紹介した通り、向こうではズカズカと読む。何か、綴りからいっても日本の「ズッカ」を意識したんじゃないかと思えるような感じだなと思っていたのだが、今日の記事には「ザクザグ」という読み仮名が振ってあった。私の中では、もうこのブランドは「ズカズカ」という音で頭にインプットされているので、何かちょっと変な感じだなぁ。でも、普通の日本人にとっては、後者の読み方の方が自然なのだろうから、仕方ないのか。人気blogランキングへ
2005年07月27日
集英社『SPUR』9月号を何気なくペラペラとめくっていたら、ルイ・ヴィトンのアドバトリアル(広告と記事のタイアップ企画)らしいページが目についた。同社のバッグの新しいライン「アンティグア」をPRしていたのである。そういえばちょっと前に発売の新聞記事を見たなあ、と思いつつ、Googleに「ルイ・ヴィトン」「アンティグア」と入力すると、既に27,900件のヒット。この楽天さんや、Yahoo Shoppingでも販売されている。(但し、定価販売のものと、店頭価格よりやや安いものと両方あるようだ)。このブランド、エルメスの「フールトゥ」を彷彿とさせるような、同社としては初の、オールキャンバス地のバッグで、ボストンタイプ{サック・ウィークエンド}が店頭価格で121,800円、トートバッグ(大){カバGM}が93,450円、同(中){カバMM」が84,000円、同(小){カバPM}が65,100円など、皮革のバッグに比べてかなり値ごろ感がある。ルイ・ヴィトンと言えば、日本国内の商品価格を為替に連動させて上下させることで有名だ。昨今は、ユーロ高に合わせてじわじわとプライスを上げてきていた。ちょっとした小型のバッグでも10万円以上、ということになると、所得がそんなに高くないがブランドへの憧れ感からヴィトンを買っていたような層、特にヤングにとっては、「ちょっと買えないな」という印象を与えてしまっていたのではないか。合わせて、ここ2、3年程の間、ヴィトンより価格が安く、手の届くラグジュアリーを売りにしたコーチが、そういうブランド憧れ層のヤングや、主婦層などを相当奪取していったように思う。私はよく川崎に行くことがあるのだが、川崎近辺では、最近はヴィトンよりもコーチの所持率の方が圧倒的に高い。それは、川崎の百貨店・さいか屋さんにコーチが入っているためだと思うのだが、いわゆるヤンキー、ヤンママ、ヤンババ層の皆さんも含めて本当に猫も杓子もコーチ、である。最近はルイ・ヴィトンは日本国内の売り上げを発表しなくなったらしい、という話も耳にしたが、やはりひと頃の勢いがなくなってきていたためだと推察できる。今回の新商品は、「客数×客単価」の法則でいうところの、客数の方を稼ぐための、同社の日本市場対策のキラーコンテンツとして投入されたのだと私は思っているのだが、果てさて、予定通り売れますでしょうか?もちろん一定の数字は上げるだろうが、今の20代のヤングの中には、「変な見得は張らなくていいのでは。無理せず、等身大でいけばよい」という価値観も広がっているような気がするからだ。赤文字系雑誌を中心にいくらバンバン広告を打とうが、マスのトレンドよりはマイブームをひそやかに楽しむタイプはそう簡単にはお財布の紐はゆるめないだろうから。とはいえ、学生さんみたいに重い教科書を何冊もバッグに入れなければならない人、荷物の多い人とってはトートバッグはやはり便利なんだよね。ヴィトンさん、バッグは衣料品とは違うので、ここは腰を据えて、ロングテールを狙っていかれるんでしょうかね。人気blogランキングへ
2005年07月26日
出ましたぁ~。同業他社さんの海外ブランド買収や、一部上場のニュースを吹っ飛ばす大胆だが、正道をついた戦略。日本を代表する大手アパレルの1社、ワールドさんが、今日、経営陣による企業買収(MBO)を発表した。NIKKEI NETなどによると、今日の午後開かれた取締役会でMBO受け入れは承認されており、同社のホームページ(HP)上でも正式に発表されている。株式の公開買い付けが成立すると、ワールドさんの株は上場廃止され、非上場企業、ということになるのだ。ライブドアとフジテレビの問題の後、繊維ファッション業界の中でも敵対的買収に対する不安感は広がっていたようだが、いち早い対応、奇策のように見えて、法律的な論理構成もきちっと組み立てられ、正当な手続きを踏んで企業防衛の戦略を実行されたということは、さすがだという気がする。同社のホームページに掲載されている「公開買付けの開始に関するお知らせ」には、「経営環境の変化に柔軟に対応した機動的な経営戦略や施策を短期的な業績の変動に左右されることなく迅速に遂行する役割を整備するとともに、さらに、自己責任を明確にした経営体制への転換を図るため(中略)」という同社の考え方が述べられている。株主資本主義の短所として、短期的な成果のみを要求する株主に振り回され、中長期的な視点に立った企業戦略が遂行しにくくなる、という点は間違いなくあるだろう。非上場になれば、そういう心配はなくなり、意思決定と行動はよりスピーディーになる。また、日経さんの夕刊に書いてあったように、上場維持には何かとコストがかかるが、それももちろん軽減できる。アパレル業界には、大手企業でもはなから上場を目指していないI社さんのような企業さんも存在する。「アパレル、すなわち昔のメリヤス屋は獏(夢を食べると言われる動物と、メリヤスの意の莫大小の莫をかけている)だ。獏は、大きくなりすぎるとはじけて小になる」というような例え話をよく業界紙時代の先輩に聞かされたものだが、トレンドの変化に応じた迅速な意思決定と行動ができなくなったら企業が傾く、だからアパレルビジネスはファミリーでの経営が一番適している、というのは確かに本当のことのような気がする。ワールドさんの場合、日本の業界内では揺るぎのない地位を固めている存在だと思うが、我々外部の人間が思っている以上に、経営陣の皆様は強い危機感を持っておられるのだろう。株式市場に跳梁跋扈する国内外の投資家にとって、アパレルの株は投機目的の売買には格好のターゲットなのだ。また、国内の同業者や大手小売業、あるいは、将来的にはアジア、特に中国の大手企業が買収を仕掛けてくるようになることだってあり得る。それにしても感心させられたのは、公開買い付けを実施する会社で、ワールドの寺井秀蔵社長が100%出資している(株)ハーバーホールディングスアルファが、産業活力再生特別措置法に基づく経営資源再活用計画の主務大臣による認定を受けている、ということ(先程ご紹介したPDFファイルの中にちゃんと書いてある)。念のため経済産業省のHPもチェックしたが、まだアップされてはいなかったが。本来的な産業再生、という趣旨から言うと、やや拡大解釈のきらいもあるが、どのようにして説得されたのか。しかし、同様の悩みを抱える企業さんにとって良い前例を作られた訳である。人気blogランキングへ
2005年07月25日
地元・墨田の(有)大里化工さんから、「『shuffleケース.com』というサイトを立ち上げました」というご連絡を頂いた。iPod shuffleのケースに特化したB2Cのサイトである。さくらも前々から、shuffle用のケースは欲しかったのだ。裸にしたまま使っていると傷だらけになってしまうだろうからね。iPodに比べ、shuffle専用のケースは種類が少ないので、これはイケルんじゃないでしょうか。同社の谷社長は、商品の開発秘話を記したブログもこの楽天広場に立ち上げられている。先般メールでやりとりさせて頂いた時に感じたのだが、谷社長ご自身のshuffleユーザーとしてのこだわりや気付きをかなりお持ちで、それをshuffle一点に絞り込んで強く深く世間にアピールすれば、今は発売のタイミングとしては絶好の時期なのではないだろうか。ブログも書き続ければ、必ず検索エンジンでshuffleケースを探している皆さんの目にとまるようになるはずである。私もパープルを早速先行予約させて頂きました。中小企業さんのネット活用の成功事例に是非なって頂きたいものです。頑張って下さい!さて、昨日の1本目のエントリの続きを。中国の人民元切り上げ問題について、あの後ネットでいろいろ調べていて、発見してしまったんだよね。JETRO(日本貿易振興会)さんが、インターネットTVを放映しておられることを皆様ご存知だろうか?日経CNBCと東京MXTVでオンエアした番組のダイジェスト版なのだが、1か月の間ならばいつでも視聴できるので非常に便利な情報源である。その番組の、7月16日アップ分の中で、中国が人民元を切り上げた場合のASEAN、南アジア諸国への影響をヒアリング調査した結果が紹介されていたのだ!さすがJETROさん、国の関係機関なんだから当たり前かもしれないが、いいカンしてましたねぇ。まさにベストタイミングの放映である。お時間のある方は、短くまとめられているので是非ご視聴頂きたいが、番組の最後の部分で、「中国との経済的な結びつきが弱い国程為替相場への影響の可能性は低い」と述べられていることに着目して頂きたい。日本の場合は、全くその逆。中国との関係が非常に強いため、今後の円高が懸念されると私も思うのだ。日本の経済産業省は、中国以外の東南アジア諸国とのFTA(自由貿易協定)の締結を矢継ぎ早に進めている。東アジア全域でのバランスの取れた経済発展を志向しているようだが、この方針には私も賛成である。一国への集中、というのは、いろいろな面でひずみが大きくなる危険性が大だと思うので。
2005年07月24日
今日は本稿と、もう1つエントリ致しましたので、下の稿も是非ご高覧下さいませm(__)mいや~、今日の地震、すごかったみたいですね。私はちょうど目白デザイン専門学校さんでファッションショーを見せて頂き、招待客の皆さんと一緒に懇親会場へ移動する途中に遭遇した。鈍いさくらはおしゃべりに夢中になって気付かなかったのだが、皆さんから「凄かったですね」と聞かされ後で事の重大さを知った次第である。自宅に帰ると、高いところに置いてあったものが1つだけ落下していたが・・・。やはり日本は地震大国、リスク管理は怠れないと痛感致しました。さて、話は戻るが、初めて目白デザイン専門学校さんのサマーフェスタにお邪魔した。この催し物、これから同校への入学を希望される高校生に、学校の雰囲気を体験してもらうことを目的として開かれているそうで、在校生の皆さんが自分達で手作りした洋服やアクセサリーのバザーを行ったり、軽食の露天販売をやったり、ネイルアートのコーナーを設けていたりと、さながら楽しい夏祭り、といった風情であった。しかし、やはりファッション系の専門学校さん。メインイベントは、同校の中庭にあるプールサイドで開かれたファッションショーであった。このショー、在校生がモデルを務め、1、2年生の作品を披露したもの。1年生と言えば、まだ入学してわずか4か月にも満たないキャリアである。そういう皆さんが、自分でテーマを決め、デザイン画を描き、パターンを引き、縫製をするー何から何までを行う、ということは本当に凄いことだ。その努力に敬意を表したいと思った。全部で56人と2匹の犬(!)のモデルさんが登場、披露されたのは、洋服は元より、バッグ、帽子、靴までを含む幅広いジャンルのファッションアイテムだ。そう、目白デザイン専門学校さんには、洋服だけではなく、雑貨コースも設けられていて、雑貨の制作やプランニングについて学ぶこともできる。今回のショーでも、「アニヤ・ハインドマーチ」風の、洒落た写真をあしらったバッグや、凝った外付けのポケットのついたハンドバッグ、「mina」の鳥バッグを彷彿とさせるような、スワンの形をしたバッグなど、力作が披露されていた。洋服に関しては、ガーリッシュなピンクのワンピースや、ポップ調、パンキッシュな作品など、専門学校生らしい若々しく元気な作品が多い。雑誌でいうと「Zipper」みたいなノリなんだよね。やはり学生さんらしいな、と思ったのは、小物使いのセンスの良いこと。特に、帽子というかヘッドドレスとして、紫陽花の花のようなブルーの小さな帽子を斜め前の位置につけていたり、左右色違いのストッキングをはかせていたり、ブーツの上に、片足だけ白のルーズなハイソックスをストラップでぐるぐる巻きにしていたりと、ヘアと足元の演出が光っていた。点数は少なかったが、メンズのスタイリングも秀逸でしたね。帽子、スカーフ、ゆるい雰囲気のトップスからチラリと覗かせたベルト、ボトムスの太さから靴まで、モデルさんのイメージとも合っていてさりげないが洒落ていた。最後の白のミニドレスはマリエ(ウエディング・ドレス)だったのだろうか。白のウィッグに、胸元をガーベラの花で飾った白いヒラヒラのミニドレスは前上がりのデザインで、わざとズロースを見せている大胆で可愛い着こなし。こういうコーディネートが出来るのは、ティーンエイジャーの特権だよね。フィナーレにはモデル全員が登場し、元気の良い挨拶が。心温まる雰囲気で本当に仲の良い皆さんだとお見受けした。これから卒業までの間に、ご経験を積まれて益々スキルアップされることを期待しています。皆さん、頑張って下さい(^^)/
2005年07月23日
皆さ~ん、ごめんなさいm(__)m 昨夜は古巣の日本繊維新聞で飲んだ後、自宅に帰ってPCの前でそのまま寝ちゃいました(^^;;; お恥ずかしい限りでやんす。お詫びを込めて、今日は2本エントリ致しますので、今後共応援ヨロシクです。さて、昨日本当は書くつもりだったのだが、ついに来るべきものが来たようだ。中国が人民元の為替レートを2%切り上げ、「通貨バスケット制」を事実上導入し上下0.3%の範囲内で変動させる、と発表した。日本繊維新聞に行った際もその話題にかなりなったのだが、ニッセンさんの記者さんの見解をここで書くのは申し訳ないので同紙を読んで頂くこととして、私の感想と今後の見通しについて記述したいと思う。1.日本国において繊維ファッション産業は主要産業ではナイ!残念ながら、日経さんなどを読んでいると否応なしにこの現実を突きつけられるんだよね。米国やイタリアの繊維産業の話は出てくるのに、わが国のことは眼中にない、という感じなのだから。現実問題として、日本の繊維ファッション産業は国内で比較劣位にある産業だ、ということを踏まえて物事を考える必要は否めないのである。2.2%程度では、影響は軽微昨日今日お会いした方々の見解は全て私と同様だった。円高が同時進行すれば相殺、ということもある。3.中期的見通ししかし、中期的に元はもっと切り上げされることは間違いない訳で、今後、いつ、どのタイミングで、というのが問題になってくるだろう。ただ、アメリカの狙いは、中国からの盾として日本を利用、というところにあるように見えるのだ。中国の元高に連れて、円高、ということである。そうなれば、現状においては大幅な入超になっているわが繊維業界のリスクは、それなりにヘッジされるから時間かせぎは可能、ということになってくる。しかし、日本国内の他産業の景気が悪くなれば、これから少子高齢化が進行し国力が低下するということと合わせて、ファッション商品の売れ行きダウンにつながる懸念もある。いずれにしても、隣国の動向に一々巻き込まれて一喜一憂しなければならない状況が強まる、ということである。4.商社繊維部門及びアパレルの動きは?商社さんは、将来を見越して、生産地の分散を図っていくだろうね。そうなった時、例えば、メンズのシャツや重衣料など、あまりQR(クイック・レスポンス)が要求されない業種は良いが、婦人服のヤング、キャリアなどで、どこまで日本からの移動距離が許容できるか、という問題が生じてくる。5.中小企業は、信念を持って進むしかない。商社さんのような大手さんは良いが、中小のオーナー系企業さんで、中国に合弁や独資の工場を設けておられる皆様、例えば名岐地区の企業さんなどの心痛を想像すると、本当に安易なことは申し上げられない、という気持ちになる。一つは、量販系アパレルさんや縫製工場さん、服飾資材商社さんと言えども、商社的な動きをする、外ー外の商売をする、という方法がある。これにはそれなりの人材も要するし新たなリスクも生じてくるが、販路を集中させない、ということが一番のリスクヘッジになる訳だから、厳しくてもそれに立ち向かうしかないだろう。次には、中国以外の場所にも工場を作ること。これまた大変なエネルギーを要するが、コストダウン、ということを考えると常に発展途上国で生産する、というのは正道なのかもしれない。最後は、「うちはそこまでは出来ない。腰を据えて今の中国の取り組み先とファッションをやる」という考え方である。問題は、相手先のパートナーさんもそういう考え方なのかどうか。先進国で繊維ファッション産業に取り組んでいる人間として、パートナーさんにファッションへの夢と情熱を語れるかどうか。ファッションビジネスの魅力を語り、そして、ファッションビジネスでも成功できる、という方程式を示せるかどうかにかかってくると思う。また、国内生産に徹し、何らかの強みを磨いてきた生産工場さんへの回帰志向は、やはり強まると思う。ただ、価格ダウンへの要求もより一層強まると思われるので、それへの対策は必要だろうが。小さなアパレル、クリエーターさんにとっては中国はロットの面で依然として良い取り組み先とは言えないだろうから、やはり国内もしくは、企画込みで韓国、といった流れは続くのだろうね。6.日本の繊維ファッション産業は、アパレルの輸出を!日本の繊維ファッション産業の問題点は、あまりにも入超になりすぎている、ということである。特に、アパレルの輸出が少なすぎる。これだけアンバランスだと、これから間違いなく内需がシュリンク(縮小)していくアパレル業界の将来は、非常に暗いだろう。日本が変動相場制に移行したのが1973年。わずか30年程前の出来事である。年配の皆様には、その時分の記憶もまだ鮮明だと思う。あれから今日までの間の日本と同様に、これからの中国は経済発展していくと考えると、隣国の消費財のマーケットを放っておく手はないだろう。今回の中国の動き、繊維クォーター撤廃から、米、欧州との繊維摩擦を経て、変動相場制への移行という流れ、あまりにもわが国の「いつか来た道」にそっくりではないか。ということは、これから間違いなく、中国は繊維の生産大国から、アパレル大国に変貌するということではなかろうか。日本でDCブランドが勃興し、東京コレクションがスタートした1980年代と同様の熱気が、間もなくやってくるような気がしてならない。これからの中国には、オモロイ出来事がガンガン起こり、面白い元気な人材がどんどん現れてくるに違いない。「中国市場は難しい」とか「儲けるのは大変そうだ」という否定論や理屈を語る前に、そういう面白いことに首を突っ込んで一緒になってムーブメントを作っていける元気な日本人、中国人に負けないパワーのある日本人、そういう人材にはチャンスの大きい時代となってくるのではないかと私は思っている。
2005年07月23日
毎年この時期の恒例行事となったビッグサイト行き。日本のファッション業界最大級のアパレル、服飾雑貨の総合展示会、インターナショナル・ファッション・フェア(IFF)を見てきた。IFFでは毎回お世話になっている講師の先生方や、地元・墨田の企業さんや全国の産地企業の皆さん、そして、うちの講座の卒業生の皆さんなどに数多くお会いする。今日も懐かしい出会いがいろいろあり・・・。同展の企画運営を行っている繊研新聞さんのNさん、昨年のパワーアップセミナーで講師を務めて頂いた(株)ザ・ギンザの福田部長、うちの講座卒業生のNさん、Mさんなど、皆様お暑い中本当にお疲れ様です。一生懸命商談なさっておられるお姿を見ると、私も頑張らねば、と改めて気合いが入ってくる。今回嬉しかったのは、さくらが応援しているデザイナーさんの一人、シダマサカズさんのブランド「マジェスティックスター」が、新進クリエーターのためのコーナー「クリエーターズビレッジ」と海外展示会との出展者交換プログラムのメンバーに選出され、スウェーデンはストックホルムの「ルーキーズ」という展示会に出展することになったことである。メンズ、レディスのウェアとアクセサリーのブランドだが、彼ならではのパンチの効いた濃い商品が揃っている。次回の春夏物は、もっと内容もパワーアップさせるとのことで、非常に楽しみになってきた。「ルーキーズ」での体験が、クリエーションにもビジネスにもよい肥やしとなることを祈ってやまない。フレー、フレー、シダマサカズo(^^)o~また、このブログでもご紹介させて頂いたことがあるが、東京コレクションに参加しておられるデザイナー、土屋順士さんご本人と、土屋さんのブランド「クリュ クラッセ」のブースの前でお会いすることができた。想像していた通り、とても澄んだ眼をした、凛々しい雰囲気の方である。これからメンズの新ラインを立ち上げられるということで、今後の展開が非常に楽しみだ。土屋さんならではの味のある服が揃っているので、これから行かれる方は是非じっくりとご覧下さいませ。それにしても、何人もの方から、「どうしちゃったんだろうか。昨日も今日も本当にお客様の数が少ない」という声を聞いた。まだ最終日の明日を残しているので、最終的な数字は全て終わってからでないと把握できないが、出展者の皆さんの間に失望感が広がっているのはわからないでもない。イタリア、スペインなどがIFFへの出展を取りやめ、クリエーターズビレッジや雑貨のブースは別として、一般のアパレルブースへの出展社数が年々減少傾向にあることが確かに響いているのかもしれないと私も思う。アパレル業界全体が、最近のクールビズブームなどを除けば、一部の人気ブランド、人気商業施設を除いて沈滞ムードにあることが、やはり根本的な原因なのだろう。しかし、世の中の衣料品や服飾雑貨の売り上げがゼロになっている訳ではない。毎日誰かがどこかしらで商品を購入しているのだ。うちの業界の中で闘うと決めた以上、その需要を自社に取り込んでいく努力を怠らなければ成果を上げることは可能なのではないかと思う。全体的に、衣料品はもとより、ハンドバッグ関係までもが、商品企画を無難な方向でまとめている企業さんが増えているように思えたのが残念だ。それが、価格競争力があり、クイックレスポンスが出来る、というような体制を取っている企業さんの企画ならばそれで売れていくと思うが、規模の小さい企業さん、新進クリエーターさんがそういう商品企画だと、大手さんの影に埋没して手に取ってみてもらえなくなるのではないか。自社の‘ウリ’が何なのかを、もう一度冷静に振り返り、じっくり考え直すところから始めた方が良いように思う。そこがわかっており、その部分を徹底して深掘りされている企業さんは、こういう状況下で、IFFさんのようなオープンな展示会でもどんどん売り先を増やしておられる。ある部分は思い切って「切って」しまっても、ここで勝負、というところにはドーンとリスクを張って、売り先に目に見えたメリットとか特徴を見せないと駄目なのではないだろうか。現に、さくらもお世話になったことのある企業さんで、IFFに継続的に出展しておられるブランドが、今春から自宅の近所の高感度な商品を揃えたブティックに入っていたりする。やる気のある専門店さんは動きもまめだし、仕入先の見直しも随時行っておられるのだ。‘ウリ’がわかっていないから、‘ウリ’を何にするか明確に決めていないから、セールストークもあいまいになり、「どうぞご覧下さい」的なことしか言えなくなってしまうのではないだろうか。厳しい時代だが、隙間はいろいろあり、小回りのきく企業さんにはチャンスも大きい時代だと思う。皆さん知恵を出し合いながらご一緒に頑張って参りましょうね。さくらも改めて鉢巻を締め直さねば、と痛感致しましたよ。
2005年07月21日
いやはや、さすがである。GLAYとEXILE、J-POPのビッグスター同士のコラボが早速大爆発しているようだ。今日発売の新曲「SCREAM」だが、蒲田のヴァージンメガストアに行ったら初回発注分は早々に完売していましたよ。試聴器で早速聞かせて頂いたが、間奏の部分のアレンジなどなかなか凝っていて、双方の魅力、華のある顔合わせを益々引き立たせる良い楽曲になっているように思った。ふと思ったのだが、「東京発 日本ファッションフェア」でも、スターデザイナー同士のコラボレーション、なんて試みがあったら面白いんじゃないだろうか。そういうことをやるには仕掛け人がいないと無理、という考え方もあるのかもしれない。実際、たぶんGLAYとEXILEの件だって業界の裏方の皆さんが積極的な仕掛けを行ったから実現しているのだと思うし。だが、「誰か仕掛けてよ」と他人頼みの姿勢にならなくても、自分達が面白いと思ったら勝手に始めちゃう、ってのもアリなんじゃない?今の日本のファッション業界にたぶん一番欠けているのは、「カッコイイこと、オモロイことをどんどんやる」というエネルギーなんだろうね。日本人に限らず、日本を面白い、東京を面白いと思ってくれる人をどんどん呼んできたらいいんじゃないかな?テントが建とうが建つまいが、何人か発火点になる人間がいればその周りにどんどん人が集まってくるはず。「東コレ」って、制度じゃないと思うんですよ。人だと思います、最後は。経済産業省で2階までしか上がらない、というのは珍しいことなのだが、今日は繊維課ではなく、商務情報政策局の所管事業だ。IT経営応援隊が主催する「IT経営教科書策定委員会」に参加してきた。既にご存知の方もいらっしゃるだろうが、このほど、「IT経営教科書+気づき事例集」と「IT経営応援マニュアル」のベータ版が完成したそうで、その趣旨及び内容等についての説明が行われたのだ。昨年お世話になったプロセス経営研究所代表の川内晟宏先生のお話を伺う。ひところのIT投資ブームも一段落し、IT導入によるコスト削減も一旦大きなシステム導入を実施してしまうと、そのマイナーチェンジ時には、最初の時のような大幅な人件費の削減といったような、コスト面での劇的な効果が感じられなくなるため、ITに対して「もうこれ以上はいいのではないか」と懐疑的な気分になってしまっている経営者の皆様が最近は増えているとか。しかし、IT技術の進歩は日進月歩である。セキュリティ対策など、時々刻々レベルアップしていかなければならないものや、社内外での情報共有化、攻めのマーケティングへのIT活用など、コスト削減以外にもITの道具としての使い道は多々ある。だから、わが社の経営課題は何なのかにまず気付くこと、そして、それを解決するためにはITをどのように活用したらよいのかを学ぶことが必要なのだ、と川内先生は力説しておられた。早速頂いた「IT経営教科書+気づき事例集」を少しだけ読んだが、気づき事例集は面白い内容である。こういう事例集には、非常に先駆的な事例ばかりが取り上げられているケースが多いが、本書に関しては業種や抱えている悩みも様々で、レベル的にも、初歩的なものからかなり進んでいる企業さんまでを集めわざとバラエティを持たせたという。IT経営応援隊のサイトにPDFファイルで全文が掲載されているので、ご興味のある方は是非ご覧下さい。IT経営応援隊としても、広く皆様にご活用して頂くことを願って作成しておられるそうですので、口コミ、ネットコミは大・大・大歓迎です♪また、現在全国で「IT経営者研修会」の参加者の募集が始まっている。これは、全国で同じテキストを使用し、それぞれの地域の産業支援センターさんや金融機関さんなどが、ITコーディネータの方を講師にお迎えして開催する研修会だ。定員15人くらいまでと、少人数制で、3~4日間かけてじっくりみっちり学んで頂くので、少しハードかもしれないが、過去にも大きな成果を上げている事業である。詳しくはそれぞれの主催者さんまでお問合せ下さい。現在、詳しい日程がまだアップされていないものについても、これから続々情報掲載されるとのことです。
2005年07月20日
いやはや、三連休明けの火曜日は、皆様お忙しそうです。さくらもバタバタ、の1日でした(MD講座パート2のレポートがまだの方、すみませんがヨロシク、です)。という訳で、今日は手抜き日記で勘弁してチョ。昨日のエントリでご紹介した、「MEN'S STYLE.COM」のコレクションサイトがメチャメチャ面白い。何と言っても、コレクション開催直後に作品の写真が見られるのがプロにとっては魅力的なのだが、Tim Blanks氏の記事がなかなか辛らつなのだ。日本じゃホント、考えられないような皮肉やギャグが満載である。英語の勉強をかねて、早速一部をさくら流に引用&翻訳させて頂きますね。自己流英語なので、間違いがあったら、賢明な読者の皆様、教えて下さいませm(__)mまずはこのブランド、「ヨウジ・ヤマモト」から。「But so much was overly familiar about the clothes(中略)that one was left musing on where Yohji fits into the contemporaly landscape, especially when his inspiration was anything but, "when I touch it, everything becomes modern”, he said gromically, maybe.」{しかし、洋服についていうと、あまりにも親しみやすすぎるのではなかろうか(中略)。ある者は、ヨウジが現代的なランドスケイプに合わせようとしていることについて熟考している。彼のひらめきは、何なのだろうか?彼はものものしく「私が触れたものは、何でもモダンに変身する」と言いたいのだろうから=筆者訳}。あえてさくらのコメントは、省略させて頂きます。次、皆様が大好きな、「コム・デ・ギャルソン」。ローリングストーンズのアイコン、「lips-'n'-tongue」(唇と舌)が満載のコレクションを評して・・・。「In keeping with Kawakubo's philosopher-of-fashion status, the show might have a passed for a meditation on the power of branding, or perhaps the nature of a fame, but with Mick's consort L'Wren Scott in the front row and a new Stones tour on the way, conjecture was inevitable. Comme to dress Strollers? Stay tuned.」(川久保さんの哲学及びファッション業界における地位には揺るぎがなく、ショーはブランドのパワー、あるいは自然な評判への瞑想につながった。しかし、ミック・ジャガーの恋人、L'Wren Scottさんが最前列に陣取り、新しいストーンズのツアーも幕を開けている。推測は避けられない。“ふらふらしているやつ”に服を着せようってかい?チューニングを続けてな!=筆者訳)。最後の「comme」は「come」、「stroller」は「Stones」との掛詞であろう。しかし、さくら的には、これは売れセンを突いている企画だと思いますがね。クリエイティビティの高さは別として。メンズに関しては肩の力を抜いて純粋に楽しんでやっておられるようで、私はむしろレディスより好きだったりもする。「いいんじゃない、アタシはローリングストーンズが好きなのよ」・・・そうやって開き直ったもん勝ちなのではなかろうか(笑)。最後は、フセイン・チャラヤン様。褒められてんだか、けなされてんだか。「Hussein Chalayan's reputation a fashion brooding conceptualist has been belied for some time by the lightness and charm of the clotes he actually design. And charm- as in "lucky"- was the operative word for his spring 2006 men'swear Collection.」(フセイン・チャラヤンのファッション業界のコンセプチュアリストとしての評判は、時折彼が実際にデザインしている服の軽さと魅力によって裏切られてしまう。そして、魅力ー「幸運」ーという語が、彼の2006年春のコレクションを示唆する言葉となっている=筆者訳)。う~ん、中身はともかく、ここには15枚の写真しかないのだが、もしたったこれだけの型数しか出しておられないとすると、チャラヤンさん、ちょっと仕事量、少なすぎやしませんか(笑)。確かにトップスの2枚重ねとか、パンツの裾の微妙なだぶつかせ方とかに玄人好みのワザはあるのだろうが・・・。最大のポイントは、ヒラヒラしているシャツの前立て、らしい。これを指して、Blanks氏は、「日本のOmijuku」とおっしゃっておられるのだが、これはおみくじの間違いではないのでしょうか。ああ、たしかに、脳天気で軽~いコレクションですなぁ。
2005年07月19日
会社へ向かいながら日経MJを読んでいると、エイベックス・グループさんがアップルコンピュータの「iチューンズ ミュージックストア」向けに日本で楽曲を提供する、というニュースが紹介されていたのだが・・・。15日にネットニュース各社が配信した記事(代表して、「iPod情報局」さんのサイトをご紹介したい)と違い、「・・・国内で八月にもサービス開始予定の・・・」(同紙より引用)とわざわざ注釈をつけている。日経さんは8月スタート説に余程自信があるんだろうね。ともあれ、レコード会社の中で現在最も影響力の強い同社の決定は、早晩他社にも波及するに違いないだろう。SONY系列のSMEさんはどう出るんだろうか。何でも自前路線で頑張るのもよいが、販売力の強い販路に乗っかり、お互いにメリットを追求する、というエイベックスさんの戦略は正しいと思う。エイベックスさんは、既に音楽のネット&ケータイ配信時代に向けて着々と布石を打っている。先月オープンしたケータイサイト「ミュゥモ」のコンテンツも相当に強力だ。既得権の防御よりは、大きな流れに乗って攻めに出た企業さんに勝算アリ、とさくらは読んでます。さて、少し前から業界紙各紙にミラノやパリの2006年春夏メンズコレクションの速報が次々と紹介されていたが、私が一番気になったのがこの人、アレクサンダー・マックィーンのショーだ。業界紙に数枚掲載された写真を見るだけで、その強烈なイメージに圧倒されてしまう。何でも、ウィリアム・ゴールディングの小説『蝿の王』にインスパイアされた作品だとか。実は私自身はこの小説を読んだことはない。あらすじを読んだ段階で、ちょっと受け付けられない、という感じのおぞましい内容だからだ。ネットで検索すると、松岡正剛さんが千夜千冊のサイトで同書のことを取り上げておられたので、まずはその内容をご一読頂いた上で、マックィーンのショーの全貌を「MEN’S STYLE COM」でご覧頂きたい。ショーの最後に出てくる、少年がまるでカラスにでも変身してしまったのかと見まごうような、顔面に隈取を施し、黒い大きな羽を背負ったブラックスーツのショットだけを見ていると、「アンダーカバーイズム」の影響なんかもあるんだろうか、という気分にさせられるが、全体の写真を見ると、やはりマックィーンならではの独自の作風だな、ということを感じずにはいられない。冒頭の白いスーツ群から始まり、どんどんとデコントラクテな方向にスーツを崩していく過程においても、スーツの肩線は美しく乱れがない。やはり、サビル・ロゥのテーラーリングのテクニックを完璧に身に着けている彼ならではの芸当だ。だから、カジュアルに逃げることなく、メンズの王道を走れるのである。「ナチュラル」という今シーズンのレディスでも恐らく出てくるであろうテーマを、より土着的でワイルドな方向に展開した中盤のベージュ系のカジュアルウェア。顔面メークについ惑わされてみてしまうが、ニットなど、1点1点は街着にしても何らおかしくない実用向きの商品だ。そして、最後は黒一色へ。無垢な少年達が、悪魔的な存在に変貌したことを象徴するかのような作品で締めくくっている。「MEN’S STYLE COM」上のTim Blanks氏の署名入り記事によると、「There's no disputing MacQueen's sense of drama- or romance, for that matter. However, this may be one instance when they combined to overwhelm coherence.(事実、マックィーンのドラマ演出の才能は疑いようがない、もしくはロマンス演出も。しかし、首尾一貫性を飲み込んで(うまく)化合していたのはほんの一瞬だったかもしれない)」(日本語訳は筆者)と、ちょっと微妙なコメントだ。Blanks氏はどのデザイナーにもメチャクチャ辛らつなコメントを書きまくっているので、英語の読める人は是非読んで頂きたいが、それらに比べるとまあまあ評価しておられるのかな、という感じなのだろうか。あまりにも表現したいイメージが映画的な世界で強烈な場合、ストーリーや服への小手先の味付けを優先するあまり、リアルクローズからかけ離れ、商業的に難しい内容の作品に仕上がってしまうケースが多々あるのだが、マックィーンの場合は、並外れたテーラリングのテクニックがあるため、破綻を抑え、むしろ他が追従できない独自の世界観へと昇華させることに成功しているように私は思った。こういう商品、ミラノの「コルソ・コモ」みたいなショップにはメチャクチャ似合うだろうなぁ。価格の問題はあるが、日本でもデザイナーズブランド好きのヤングに受けそうである。これ、レディスのゴシックではいくらなんでもここまではやれない世界ですよ。人間というより、男の性が持つ残酷な一面、弱さと裏返しの強さ。好き嫌いがはっきりと分かれるかもしれないが、メンズならではの醍醐味に溢れる服だという気がする。
2005年07月18日
午後2時半頃、能天気な気分で「ルーブル美術館展」を見ようと思って桜木町の横浜美術館まで出掛けたら、な・な・なんと、1時間40分待ちの長だの列が出来ているではないか!花火大会前だというのに、皆さんよくこんな所で並ぶなぁ、と感心している場合ではない。準備の良い人は文庫本を読んだり、水筒やペットボトルの飲み物を飲みながら気長に待っているようだ。本がないのはケータイでもチェックしながらカバーすればよいが、こんな暑い日に飲み物なしで1時間以上耐えられそうもない。3年前にも、「奈良美智展」の際に、列に並ぶのがいやですごすごと引き返した過去があるというのに、またまた同じ失敗を・・・。くしゅんとなりながら、気を取り直して恵比寿へ。東京都写真美術館に赴く。「世界報道写真展2005」と、「世界文化遺産 写真展 アンコールと生きる」の両展も非常に素晴らしかった(BAKU斉藤氏が写したアンコールの写真展は、会場のレイアウトも卓抜していた。モノクロとカラー写真の使い分け、柱を生かした仏像の顔の展示、そして、わざわざこの展示会のために3か月かけて織ってもらったという玉虫色の深いグリーンのカンボジアシルクをパネルの後ろに貼り付けてカンボジアの自然の緑を想起させるような心憎い演出だった)のだが、何と言っても、写美10周年記念の展示「写真はものの見方をどのように変えてきたか」の印象が強烈だった。この展示会、歴史の流れに沿って4回に分けて開催されるようで、今回は「2 創造」というパートである。残念ながら私は第1部は見逃したのだが、この展示会は写真に携わる方々からは相当注目されているようで、ご覧になられた感想をかなり多くのブロガーがエントリしておられる。代表として、「昼間の青い月」さんのブログをトラックバック&ご紹介させて頂くが、ご関心のある方は是非他の方の感想も読んで頂ければと思う。第2部では、19世紀末から20世紀初頭にかけての、いわゆる「絵画主義」(絵画をそのまま模したような写し方)、フォト・セセッションの時代から、ストレート・フォト(写真らしい写真を撮る技法)、そして、バウハウス、ロシア構成主義、シュールレアリズムに至るまでの流れを、海外と、日本国内の作品双方が時代順に合わせて展示されていた。私はは写真の専門家ではないが、それこそ昨日読んだばかりの深井晃子さんの本にも出てきたような写真家の作品が沢山登場したので、モード史との対比で非常に面白かった。アウグスト・ザンダー、木村伊兵衛、アレクサンドル・ロトチェンコ、マン・レイなどの作品が並んでいる。しかし、時代順に並べると、本当にその時代のトレンド、写真観にフォトグラファーの皆さんが強く影響されている、ということが如実に分かる。特に、シュールレアリズムの時代は凄い。ダリではないが、時計が空に浮かんでいるようなショットとか、だまし絵風の写真なんかもあったりして。ファッションの世界との違いは、写真業界では超一流、著名なフォトグラファーの他にも、富裕層で趣味でカメラを構えた人、写真館の経営者など、いわゆる草の根の写真家達の層が厚く、早くから投稿雑誌なども出版され、彼らの存在が写真文化の発展を底上げした、ということだ。また、ファッション史とは違い、日本でも戦後からスタートした訳でなくて、江戸時代の末期から欧米と同期的に発展を見せている。自らアメリカに渡ったり、あるいは留学をきっかけに学んだ人達、東京美術学校卒の経歴の人も居れば、地方在住でもその地域の先達の影響で写真を始めた人もいる。ちょうど、草創期のネットの世界のように、その時代のメカ好き、新しいもの好きの人達の心をとらえてやまなかったんだろうね、カメラは。ここまでの時代を見る限りにおいても、絵画や文学、バレエ、ファッションなどの分野と違い、写真に関しては、アメリカ、日本の存在感を大きく感じる。やはり、写真は一部の特殊な人達のためのものではない。創世期から大衆社会を先取りするカルチャーだったのだ。そういう新しいもの好きの国民性が、光学機器としてのカメラを開発・生産する産業の発達を促し、デジカメ、プリンタ、そしてカメラ付きケータイの時代にまでつながっているのではないかということを想起し、先人達の草の根のパワーに敬意を表したくなった。マン・レイのコーナーには、「フォトグラムの技法は、ポール・ポワレの依頼によって撮影したファッション写真の中で偶然に発見した」というような記述もあったりして、ファッションの知識しかなく写真をあまり知らない人でも楽しめる展示会である。1枚1枚の写真の完成度も高く、やはり写真集も良いが生の写真の迫力に触れることは大切だと再認識した。第3部、第4部も是非見たいと思います。
2005年07月17日
川崎のチネチッタで「スターウォーズエピソード3 シスの復讐」を見た後、PROGATTOというアート系の書店で深井晃子著『ファッションの世紀ー共振する20世紀のファッションとアートー』(平凡社、税別2,000円)と、グレン・ポーター著『レイモンド・ローウィー消費者文化のためのデザインー』(美術出版社、3,800円+税)、『美術手帖』2005年8月号(美術出版社、税込み1,600円)の3冊を購入する。その後、例によって喫茶店に向かい、深井晃子さんの本は一気読みした。この本、7月10日に初版が刊行されたばかりの、出来立てホヤホヤの本である。同書のユニークな点は、一般的なモード史とは違い、20世紀のファッションデザイナーが、西欧の代表的な都市及び東京において、絵画、バレエ、音楽、文学、家具、建築など他のアートやデザイン分野のアーティスト達と相互に影響を与え合いながら、新しいクリエーションを生成していった事実を時代別・都市別に紹介しているところにある。だから、著名なデザイナーであっても、オーセンティックなタイプ、異分野のアーティストと積極的な関わり合いを持たなかった人物の紹介は割愛され、それぞれの時代においてアヴァンギャルドなアクション及び表現を見せた人達のみが選ばれているのだ。また、ファッションデザイナーに限らず、テキスタイルデザイナーや、ショップ経営者等の紹介もなされている。具体的には、バレエ・リュスの時代のポール・ポワレ、イギリスのアーツ・アンド・クラフツ運動の牽引車となったテキスタイルデザイナーのウィリアム・モリス、ウィーン分離派時代に有名クチュリエ店経営者であり画家のクリムトのパートナーであったエミリーエ・フレーゲ、ロシア・アヴァンギャルドとシャネルの関わり、シュルレアリズムとスキャパレリ、アメリカン・ポップアートにインスパイアされたイヴ・サンローラン、1980年代の川久保玲、山本耀司、三宅一生等々。また、その時代においてはファッション界への直接的な波及はあまりなかったが、他のデザイン分野に大きな影響を与えた1925年から1933年の間ドイツにおけるバウハウス運動と、1960年代のイタリア前衛芸術「アルテ・ポーヴェラ(貧しい芸術)」もきちんと網羅し、美術史の本としての内容的なバランスもきちんと取ってある。「大衆の反逆」と題した、パンク、ヒップホップ、マンガ、アニメの話題が締めくくりの内容だ。モード史を財団法人ファッション産業人材育成機構・IFIビジネススクールの学生だった時に学んだ際にも感じたのだが、19世紀末から1930年代までの間に、各国でそれぞれの地域性、強いデザイン分野の差異も孕みながら波状的に展開されたデザイン運動の時代の動きが一番熱気を帯びていて面白いね。深井さんの筆も、正直その辺りの記述に一番熱が篭っているように思える。ディアギレフのバレエ講演に、エリック・サティ、コクトー、ピカソなどがこぞって協力した、という逸話や、スキャパレリとダリの‘共犯’的なスキャンダラスな作品作りなど、時代を遠く経ても、そのインパクトの強さに圧倒されてしまう。それに比べ、最近の話題に近づけば近づくほど、少し切れ味が鈍っているように思えたのだが。それはわからないでもないんだよね。深井さんの代表的な仕事は、「ジャポニズム」ファッションの研究や美術展のキュレーションだと思うが、1980年代以降、日本のファッションビジネス、そして世界のファッションビジネスを牽引してきた‘御三家’のうち、1人を除いては、正直、現役のファッションデザイナーとしての活動がパワーダウンしているのではないかと思えるからだ。とはいえ、まだどなたも引退していない段階で彼らの活動を評価する、というのは早計に過ぎることだろうから。同書全体から感じ取れるのは、20世紀は、まぎれもなくファッションの世紀だった、ということである。そのうち、1960年代頃までは、オートクチュール、パリ・コレクション中心の、あくまでも上流階級向けのトレンドだったのが、既製服、大衆向けのものにとって変わられた、ということである。ちょうど1960年代というのは、アメリカンポップアートが流布した時代に一致するのだが、ファッション、音楽、グラフィックデザインなど、大衆化はまずはヤングに受け入れられやすい類のデザイン分野から波及し始め、この10年ほどは、急速に、インテリアや建築、家具、家電など、再び他のデザイン分野も含め、生活のあらゆる分野に広がってきた、というのが実情ではなかろうか。ではこれから、21世紀のファッションがどのような方向に向かうのか、については、深井さんは触れていない。うーん、残念。それが本当は一番知りたいところなんだけどね。私の意見は、前にも述べた通り、次の3点に集約される。1.コスメやネイルアート、ヨガ、マクロビオティックなど、身体を覆うもので身体を飾ることから、身体そのものを美しくしよう、また、人間も自然の一部であるという感覚の先鋭化。2.ネットやロボットなどテクノロジーの発達により、バーチャルな存在としてのアバターやロボットに服を着せることから服への概念が進化。つまり、寒さをしのぐためとか、異性の気を引くためとか、人間が着る服の前提条件がないところからデザインを自由にスタートさせられる新しい服が考案されていく。極論すれば、服は不要、あるいは、アバターやロボットそのものの皮膚と一体化した服・・・。これは、ファッションデザイナーをプロダクトデザイナー、Webクリエーターに変容させることになる。先鋭な人材は、当然、ファッションよりはプロダクトデザイン、Webクリエーターに向かう時代なのだ。例えば、今年のミラノ・サローネで時の人となった深澤直人氏のような人材は、特に先進国からは今後続々と増えてくるんじゃないかな。3.ファッション分野においては、中国、インド、ブラジル、ロシア等、新興国から新進デザイナーが続々と登場し、新しいムーブメントを切り開いていく。深井さんの本を読んで思ったのだが、西欧に近く、昔から文化的交流のあったロシアがやはりパリで活躍するデザイナーを輩出するのは一番早いような気がする。やはり、根っこにある文化的蓄積は大きいだろうから。今回、同書にアジアの最近の動向が全く含まれていなかったのが残念だが、中国がどうなっていくかには、これからの日本の動きが大きく影響するという気がするのだ。特に、専門学校さんの教育のあり方と、日系企業さんが、中国人デザイナーのバックアップをするかどうか。何となく、最近の業界の論調として、「ファッションの世紀は終わった」というムードがあるが、新しい時代の芽は既に世界のあちこちに育ちつつあるはずだと思う。深井さんがおっしゃられるように、ある時代にある分野で光彩を放った表現手法が、数十年の時を経て違う分野のアーティストによって昇華される、ということはアートやデザインの世界ではよくある出来事だ。本書の中では、例えば、1960年代のイタリアの画家、フォンタナの切り裂きの表現が1980年代の川久保玲や山本耀司のボロ・ルックに継承されたのではないか、という指摘がなされている。デザインに携わる者は、過去の優れたアーカイブから、それも、自分が直接従事する分野だけでなく幅広い分野のアーカイブから、そのエッセンスを何度も何度も繰り返し学び取らなければならない。暫くは沈滞の時が続いたとしても、過去から多くを学び、新しい時代にマッチした表現に進化させたデザイナーが登場する、それも複数登場してムーブメントを形成する時代はまた必ず近いうちに到来すると思うのだ。歴史から学べる教訓は、美を追求する人間の営みに終わりはない、ということであろう。
2005年07月16日
大手町の三菱総合研究所で開かれたEC研究会へ。最近は1つか2つの講演を聞いてすぐ失礼することが多く、事務局長の土屋憲太郎さんや、ボランティアスタッフの皆さん、常連の皆様に大変申し訳なく思っているのだが・・・。今日はせめて第2講演の「Edy」の話題までは聞きたいと思っていたのだが、業務が遅れ気味なので、泣く泣く第1講演のみで失礼することに。しかし、その第1講演、なかなか聞き応えのあるものであった。株式会社三越商品本部商品システム推進部ゼネラルマネジャー・西田雅一氏による「百貨店店頭におけるRFID活用の事例紹介~婦人靴売場での実導入の成果と課題~」である。ファッション業界に携わっておられる方なら、経済産業省の補助金を得て、昨年度、三越さんの日本橋本店の婦人靴売場で、三越さんと靴メーカーのシンエイさんによるRFID(ICタグ)の実証実験が行われていたことはご承知の方が多いと思う。今日の講演も、その間の状況と結果説明にかなり時間が割かれていたが、ここで私がその内容を再現するよりは、もっとわかりやすいブリーフを、この実験にネットワークシステムの構築するなどして参画していた日本ユニシスさんのHPと、これまた同社が今年6月7日と8日に開催した「BITS2005」という催し物でのパネルディスカッションの内容をまとめた日経BP社の「bp SPECIAL」の中に発見したので、ご関心のある方は是非これらをお読み頂きたい。今日のお話の中で感心させられたのは、小売業らしい細やかな心配りがあちこちに垣間見られたことだ。据え置き型のリーダーは、お客様をお待たせしないように商品を近づけた瞬間に画面が立ち上がるように設定してもらったそうである。また、販売員が携帯するPDAでは、無線LANがつながるのに3秒かかるが、販売員の方は3秒もお客様をお待たせするのは悪いと思ってしまうとのこと!その間に、バックストックに早足で向かってしまうことが習慣になっているのである。現状では、PDAには、すぐ電池が切れる、という問題もあり、当初お客様がセルフで情報を検索することを想定して用意した据え置き型のものを、販売員の方がその場でセールストークを行いながら活用しておられるのだとか。また、実験当初2週間で1%の誤差が出ていたのは、お客様のご要望に応えてお取り置きにしたものを、誤って販売してしまわないために仮に売り上げ計上していたからだとか。これは賢いと思いますね。現場の方の機転、知恵だと思いましたよ。ちなみに、実証実験中の売り上げは前年比10.3%増。接客時間の短縮と、1人のお客様にご紹介できる商品数の増加が、好結果を生んでいるようだ。棚卸しも大幅に大幅に省力化でき、毎日でも棚確認は出来るようになったそうである。4月1日からは、実証実験は終わり、引き続き本格運用を開始している、ということも皆様ご存知かと思う。このセールの立ち上がり1週間の間も、RFIDは売り上げのアップに大きく貢献したそうである。まさに、三越さんが当初設定しておられた、「お客様をお待たせしない、ストレスを与えない売り場づくり」という目標は十二分に達成されていると言えるのではなかろうか。ただ、今日私は西田さんにご質問したのだが、残念ながら今のところお客様が関心を示した商品、売れた商品などRFIDによって得られるデータの、商品企画の方へのフィードバックは行われていないそうだ。やはり、委託取引という商慣習の問題がネックになっているようである。もちろん、今後は先行者として、蓄積されたノウハウを生かし自主企画商品へのトライアルなどに発展させたいという意向はお持ちである。ふと思ったのだが、靴業界でもSPA、消化仕入れの製造小売業という業態が出てくれば、例えばタグ代を卸と小売りのどちらが持つか、なんて問題はなくなるし、データも共有ではなく自社のみのものになるから、店頭情報の企画へのフィードバックのハードルははるかに低くなる。ここからはあくまでも仮定ですが・・・もし、もしもですよ、ワールドさんが靴メーカーを買収しRFIDとワールドの持っている仮説ー実験ー検証のシステムをドッキングさせれば、靴業界は劇的に変化すると思うのだけれど。但し、靴の難しさは、生産のリードタイムが衣料品ほど短サイクルにはならない、というところにあるらしい。だが、販売期間の設定や、商品のABC分析など、衣料品のノウハウをそのまま転用できる部分は多い。売れ筋の変化を即生産につなげられなくても、少し長いタームでフィードバックすることは可能だろう。ワールドさんはインテリアショップの「ファインリファイン」をオープンしたり、雑貨のジェイテックスを買収するなど、最近事業領域を単なる衣料品だけでなく広義のファッションにまで広げている。人口減、高齢化が日本国内の消費財の需要を減少させることを見越した賢明な戦略だ。靴と言えば、オンワード樫山さんは先頃イタリアの高級靴メーカー、イリスを買収した。エルビスから「ミッソーニ」などを引き継いだり、「ジョセフ」の買収など、海外のラグジュアリーブランドやブリッジゾーンの価格帯のブランドを次々と手中に収めている同社にとって、靴という分野に攻め込む場合も同様の手法を取った、というのはごく自然な行為でよく理解できる。ワールドさんの場合も、もし靴業界にも参入するとしたら、自社が最も得手とする勝ちパターンを選択する可能性が高いような気がするんだなぁ。やはりSPAでしょうね。靴業界の皆様、M&Aされないように(まあ、してもらった方が幸せ、という場合もあるんだけれど)、くれぐれもお気を付け遊ばせ。
2005年07月15日
【R30】さんのブログで知ったのだが、2005年東京国際自動車会議に向けての期間限定ブログが立ち上がったそうだ。これは凄いですねぇ。読ませる書き手に読ませる内容。さすがプロ、という貫禄が漲っている。こういうことを、今秋の「東京発 日本ファッションウィーク」でもやったらどうなんだろうか?あっ、しまった、わが業界にはこういう優れた書き手っていないか(笑)、商業系の雑誌社さんのライターさん、エディターさんを別にすれば。元同業者の皆さん、スンマセン。思いっきりケンカ売ってますんで(爆)。大したコストがかかるものじゃないんだから、有志の皆様で会社の枠を超えて始められたらどうなんでしょう。それこそ、その行為自体が今ならまだニュースになるのだから!お声をかけて頂ければ、本名でもペンネームの方でも、いくらでも協力させて頂きますんで、そこんとこヨ・ロ・シ・ク。コンビニの前で、ある中年の男性がアルバイトらしき男性に苦言を呈している。感情的になって怒っている、という感じではなく、善意から注意している、といった雰囲気だ。通りがかりだが、聞き逃せないなと思って、それとなく側で聞いてみると・・・。どうやら、お店の前にカップラーメンを食べた後のカップやらお箸の袋を破いた切れ端やら、ゴミがポロポロ置きっぱなしにされていることをたしなめられているようだ。「お忙しいとは思うけど、ちょっと箒とちりとりを用意してささっとお掃除されたらどうですか?」なんて声が耳に入る。アルバイト君は、素直そうな人で、ただ頷きながら「はい、はい、申し訳ありませんでした」と頭を下げている。男性は最後には「貴方にいくら言っても仕方ないから、明日店長さんに話すよ」と言って立ち去っていった。ゴミを置き去りにしたのはもちろんこのバイト君や他のアルバイトの方達ではなく、恐らくそのコンビニで買った商品を外で地べたにでも座って食べた高校生かフリーターの人達などの仕業だと思う。そういう意味では、本当は責任はお店側にはない、マナーの悪い人たちの責任だ、という見方もできるが・・・。それでも私は、お店の前をきれいにしておくのは、小売業の基本中の基本だと思う。そこから、お客様をお迎えする姿勢、気持ちよく買い物してもらおうという意欲があるかどうかが、伝わってくるからだ。クリンネス(清掃)がゆきとどいていないお店より、清潔感のあるお店に人が集まるのは理の当然である。コンビニの場合、24時間営業だから、ファッション系のショップなどのように開店前に清掃する、ということができないから、どうしてもクリンネス、特に天外のクリンネスがおろそかになりがちだというのはわかる。しかし、1日のうちのいつ、という基本的な時間を決めて定期的に外回りの清掃も心がけて頂きたいものだ。そうすれば、お客様側の姿勢もきっと、「きれいにしておられるから汚したら悪いな」という風に変化し、やがては売り上げも上がってくるのではなかろうか。話はわが業界のショップのことに戻るが、これから8月上旬にかけては、2月と並んで年間で最も時間的ゆとりのある時期になる。いわゆる業界用語でいうところの「ニッパチ」である。この時期に、日頃清掃できていないところを綺麗にすることを心がけると良いのではなかろうか。なかなか一度には無理なので、なすべき箇所を全部書き出して、1日15分か30分ずつボチボチやると無理なく実行できるはず。その時、例えば天井とか、高い位置にあるスポットライトとか、やりにくい箇所については、ショップのオーナーさんとか、百貨店のインショップなら百貨店さんの男性社員とか、チェーンストアさんなら本部の営業担当の方とか、男手の出番だろう。こういう時、「なんか言いにくいな」と思って遠慮するのはよくないと思うなぁ。お店をよくするためのアクションなのだから、誠意を込めて頼んでみよう。また、男性の皆さんは、こういう時気軽に声をかけてもらえるように、日頃からフットワークの軽い、聞く耳を持ったヒト、になっておかないと駄目だと思いますね。少しずつショップの内外を綺麗にして、秋冬シーズンを新鮮な気持ちで迎えられるように頑張ってみたらいかがでしょうか?これはさくらを厳しく指導してくれた先輩達が昔言っていたことなのだが、お掃除はクセになると、やらないと気持ち悪くなってきますからね。そうなればしめたものである。
2005年07月14日
例年この時期必ずチェックする特集が日経MJの7月13日(水)付けに掲載されていた。「日本の専門店調査」である。衣料品関連の専門店さんについては、自分の専門分野なのである程度結果の予測がついているが、異業界の情報を見ていくといろいろなことに気付かされる。例えば、書籍・文具の分野だが、売上高経常利益率のベスト1と2の企業さんが、3位以下と比べ突出して高い実績を挙げているのだが、さて、皆さん、どこの企業か想像がつくでしょうか?答えは、1位「ヴィレッジヴァンガードコーポレーション」の8.9%と、2位「ブックオフコーポレーション」の8.0%。3位の「三洋堂書店」3.9%に大差をつけている。ヴィレッジヴァンガードさんは雑貨の売り上げ比率が高いし、ブックオフさんは古書店さんだから、再販制度でがんじがらめになっているスタンダードなタイプの書店さん達とはビジネスモデルが違う訳だ。ちなみに、ネット店さんは調査対象には入っていないのだが、儲かりにくいと思われる業界でもビジネスモデルを変えることで収益を上げることが可能であることを、両社は指し示していると言えよう。ところで・・・(注:楽天広場がHTMLを知らない人でも書き込みしやすい仕組みに変わったので、ちょっと文字の色を変えて遊んでみましたよん♪)数日前に、楽天日記仲間のM.氏さんから突然メールを頂いた。M.氏さんと言えば、日記をご覧頂けばおわかり頂ける通り、某大学の博士課程で中小企業論を学んでおられる俊英である。さくらのように、商売人なのかジャーナリストなのか、はたまた単なる世話好きオバサン?世捨て人?洋服オタク?なのかわからぬようないい加減なオンナがお相手させて頂くには申し訳なさ過ぎるな、と思い、上司にも事情を話して同席してもらうことに。約束の時間に現れたのは、予想に反し、非常に明るく朗らかなM.氏さんと、紅顔の美青年大学生のT君であった。美青年に弱いさくら(笑)、この時点でかなり動揺を隠せなくなる。しかも、M.氏さんからは、差し入れまで。株式会社萬年堂さんの江戸駄菓子の詰め合わせセット。うれし~い(^e^) さくら、甘いものには目がないのだ。「この金平糖カワイ~イ」なんてキャアキャア言ってしまいました(^^;; すみません、お気遣い本当に有難うございます。ゴチになりますね。お二人の来訪目的は、それぞれにゼミ論と学術論文を執筆するため、企業訪問を行いたいというもの。今日は具体的な社名を絞り込む以前の話で終わってしまったが、M.氏さんは昔からうちのテナントさんの財団法人ファッッション産業人材育成機構・IFIビジネススクールさんとのお付き合いが深く、同校の恵美和昭専務理事の薫陶を受けられている、ということなので、きっと素晴らしい成果を挙げられるのではないだろうか。年度末が楽しみである。今日はブレーンストーミングみたいな話になってしまったが、こちらの方こそいろいろと良いヒントを頂き、勉強になりました。M.氏さん、そしてT君、今後共ご指導の程どうか宜しくお願い致しますm(__)m
2005年07月13日
企業訪問のため、朝一番に京成線の薬園台駅まで出向く。京成津田沼で乗り換え、1分程過ぎると、前方左手まずはダイエー、それからイオン、イトーヨーカドーの大きな建物が見えてくる。成程、ここがGMSの業界では有名な津田沼の激戦区なのか。この辺りにくると、一軒家でも土地付きで3,000万円前後でも買える物件がかなりあるようで、背の高いマンションは少なく、一戸建ての住宅が立ち並ぶ郊外住宅地、という様相を呈してくる。恐らく、GMSでも郊外型のMD(マーチャンダイジング)が組まれているのだろう。前から機会があれば一度是非店舗を見たいと思っていたのだが、今日初めて側まで来て、益々その意欲が高まりましたよ。さて、先月から始まった「メーカーのための実践的ファッションマーチャンダイジング(2005年版)」だが、(株)インパナトーレ窪添代表取締役の窪添道朗氏に講師を務めて頂いているマーケティング編のパート2は、早くも今日が最終日を迎えた。今日は、前回以上に密度の濃いもので、受講者の皆様がそれぞれの企業さんの中で新規事業を立ち上げたり、企画提案型のOEMメーカーに転換していかれる上で、非常に参考になる内容だったのではないかと思う。窪添講師は、「両国のカットソーメーカーさんは、素材を自ら調達するノウハウを持っておられるので新しいことを始める際には非常に有利なのではないか」ということを指摘された。そして、「ブランドを立ち上げる際に、難しく考えすぎずに、シンプルに考え、行動すること」の重要性を強調、更には、「変化の時代なので、今がチャンス」だともおっしゃっておられた。国の繊維施策である、中小繊維製造事業者自立事業に取り組んでおられる企業さんや、補助金に頼らず自力でブランディングを行おうとしておられる企業の皆さんにとって、マーケティング的なものの見方、考え方を知って頂くことが、大きな力になることを祈って止まない。今日は急用ができてしまったため、受講者の皆様と窪添講師を両国に残したまま後ろ髪を引かれる思いで先に失礼させて頂いたのだが、ご挨拶も十二分にできず本当に申し訳ございませんでした。窪添先生、本当に有難うございました。今後共ご指導の程宜しくお願い申し上げますm(__)m
2005年07月12日
またまたシブヤ経済新聞からの情報だが、ファッションフォトグラフの分野でも著名な写真家、ブルース・ウェーバーの写真展が、9月16日から約1か月半表参道の紀伊国屋跡地で開かれるそうだ。写真好きの方にとっては見逃せないイベントだろうね。さくらも時間を作って足を運びたいと思っております。さて、本当に久々に恵比寿のエスモードジャポン東京校へ。以前からお世話になっている桐生の機屋さん、(株)アンビエントの小松偕介さんのテキスタイル展「小松偕介の世界」を拝見するためだ。ご案内状の葉書には詳細が記されていなかったため、ストールを中心としたテキスタイルがピンワークででも展示されているのだろう、と想像していたら・・・いやはや、全然スケールが違う、本格的なディスプレイになっていたのでびっくりした。同校を訪れたことのある方ならばご存知だろうが、住宅街の中にあるこじんまりした瀟洒な校舎で、玄関をくぐると南向きの日当たりの良いスペースが吹き抜けのアトリウムになっている。そのスペースに、小松さんのテキスタイルを用いて制作された洋服がマネキンに着せられて何体も並んでいた。なかなかエレガントで独特の艶がある服ばかりである。デザイナーは、エスモードのパリ校の卒業生で、「ハート・アタック」というブランドを手掛けておられるFranck Josseaume(フランク・ジュリーム)氏である。(今日はご本人もいらっしゃったようにお見受けした)。桐生と言えば、ご承知の通りシルク。小松さんは、桐生産地で52年に亘り機一筋に生きてこられた。小松さんとは桐生産地でコーディネーターとして産地企業のお世話をなさっておられるT氏を通じて知り合ったのだが、「私は商売人、芸術家ではない」というのが持論だ。独りよがりにならず、市場で売れる商品を作る、という姿勢を貫き続けておられる方である。ジュリーム氏の手によって見事なレディスウェアに生まれ変わった小松さんのテキスタイル達。大きなレタスの葉っぱのような円弧やら、あるいは6月のイギリスの庭園に咲いた薔薇の花のような、美しくファンタジックな柄を描いた塩縮加工のシルクオーガンジー。秋に咲く桔梗のような、あるいはもっと小さな小さな花が無数に咲いたようなプリント。ウールの三重織の生地の上にまるで宇宙の光景に見えるような絵を手描きしたプリント。2枚合わせにしたオーガンジーのうち1枚だけにプリントを施したかのように見える繊細な花びらのような生地も。シルクならではの味わいを醸し出す涼しげで楽しげな風通織。中にはピンクやベージュなど可愛らしい色のナイロンリボンの束がとじこめられている。私が気に入ったのは、今の気分では「4.7匁オーガンジー塩縮ヒョウ柄藍染め」。このテキスタイルは、何とも言えない深い深い群青色に染められている。同じ藍染めでも、綿や麻を染めた色とは一味違う、シルクならではの深い深い色。深海の海の色だ。もう1つ、この秋冬に使うならピッタリと思ったのが、ベルベットの型押しプリントである。可憐な花柄も、地の色の深みと合わさって何とも言えない妖艶な紅色に姿を変えている。この展示会、基本的にはエスモードの学生さんやOBさん、OGさん向けのようだが、業界紙さんの取材も受けられたそうなので、ご興味のある方は同校にお問合せしてみて下さい。一度ご覧になられれば、シルクの魅力に取り付かれますよ、きっと。
2005年07月11日
昨日新宿に行った際に、メンズのチェーン専門店さんやロードサイド専門店さんのショップ、バーニーズニューヨーク新宿店のメンズの売り場をさっと見たのだが、シャツ売り場は予想通りクールビズ対応の商品の打ち出しが目立っていた。但し、バーニーズには「クールビズ」の用語が記されたPOPは見当たらなかったのだが。しかし、価格帯の高低を問わず、どのお店もまるで判で押したようにメインのフェイスはオックスフォードやギンガムチェックのボタンダウンのシャツ一辺倒なんだよね。まるで、クールビズスタイルはボタンダウンじゃないと駄目だって決まっているかのようだ。これには何か理由があるのだろうか。そう思って、環境省地球環境局地球温暖化対策課国民生活対策室が事務局を務める「チーム・マイナス6%」のホームページを見てみると・・・。そこでは、「襟元がしっかり立つシャツ」を提唱していた。具体的に「ボタンダウン型」「スナップダウン型」「ドゥエボットーニ型」「ワンピース型」の4型の紹介もしてある。ボタンダウン型は団塊の世代やそのもう少し下の世代にも確かに抵抗感なく受け入れられると思うんだよね。「VAN」や「JUN」が流行したアイビールックの時代にも流行っていたものだから。「ひねもすのたりのたりかな」というブログには、「ボタンダウンならばネクタイをつけたりはずしたりするのが容易」というメリットも指摘している。確かに、サラリーマンならば商談相手によってはノーネクタイが許されがたい場合もあるだろうから、ボタンダウンが好まれる理由は良く理解できる。ブロガーの意見を見ると、多くの皆さんがクールビズの動きを支持されているようだ。やはり、夏にネクタイを着用するのは暑くて大変だったからだという理由が一番大きいようである。但し、「ネクタイをはずすことを強制されるべきではない」とか、「ノーネクタイはだらしないのではないか」というご意見も見られた。これらのご意見も、非常に最もな話である。‘天の声’によって突如として始まったこの運動のおかげで、シャツ業界は売り上げ増に沸いているようだ。現状の店頭商品は、既存のものをかき集めて構成されているのではないかと拝察されるが、各社共増産をかけているようなので、今後は新商品で新しい提案もなされてくると思う。小売業界も、久々の特需に喜んでいるようだ。シャツが売れる一方で、ネクタイの売り上げが低下してしまっているお店と、ネクタイも調子よく売れているお店と両方があるようである(暑い地域・鹿児島の南日本新聞さんのHPでも、ネクタイの売り上げも健闘、との報道がなされていますね)。特に休日にわざわざ百貨店さんや少し離れたところにある量販店さんなどに出向いた場合、「何か買おう」と思って来店されるケースが多いだろうから、いいものがあれば、2点も3点もついでにまとめ買いして帰られるケースが多いと思うんだよね。ただ、最近もある業界の方がおっしゃっておられたが、店頭に「クールビズ下さい」とおっしゃって来店されるお客様がかなり多いとか。これはまさに、ブームそのもの、業界自身の努力によって巻き起こったものじゃないのである。心して商品提案していかないと、ある時パッタリと止まってしまう可能性は非常に大きいと思うね。デザイン面では、スタンドカラーとか、ワイドスプレッドカラーとか、ウイングカラー、ラウンドウイングカラー、クレリックシャツ、Vネックなど、襟の形だけでももっと変化は打ち出せると思うし、素材についても、特にバーニーズさんや百貨店向けの商品ではバリエーションがあったら面白いと思うのだが。最後に、一番私が疑問に思っていることは、クールビズの提唱が、まるでノーネクタイスタイルの普及によって目的を達成されたかのような錯覚が広がっていることである。そもそもは、省エネルギーの推進が目的だったのではないか。今回の政府の提唱は、国民に対する強制ではないと思うが、現実にネクタイ業界という小さな一つの業界の売り上げに少なからぬ打撃を与えている。そういう犠牲を強いてまでアピールしようとしていることの本来の目的を忘れるべきではないと思う。また、環境問題の重要性を、お上に言われないと思い出さないような民度の低い市民が揃っている国・ニッポンの将来がマジで心配になってきますよ。さくらは家ではクーラーは使わない人なのだが、もっともっと皆でこういう問題について議論し、草の根からのアクションを起こすべきではないのだろうかねぇ?エラそうなことは言えませんが。
2005年07月10日
今晩は、四谷のコタンで行われたいしじいさんことはいまんさんが参加しておられるバンド「SF wiz Hi-Man」のライブを見てきた。半年振りだったのだが、今日のライブはなかなか良かったですよ♪ 季節に合った雨の唄を中心に、じっくりと聞かせる濃い歌詞の唄や、バンドの持ち味である、アップテンポなロック調の曲など、メリハリを利かせた構成だった。曲と曲の間のトークも、面白いような、オヤジギャグであるような、何とも言えない独特の味があって。このバンドの持ち味は、根っこの部分にある明るさと、3人のチームワークのよさだと私は思う。今日ははいまんさんがメインボーカルを取った「大陸」という唄も非常に良かった。帰りにCDを2枚購入したので、楽しみに聞かせて頂きますね。またライブには参加させて頂きますね。有難うございました。さて、今日はライブに行く前に、新宿のバーニーズニューヨーク新宿店、伊勢丹新宿店、ルミネ新宿店を駆け足で回ってきたので、その感想をエントリしたい。恐らく先週末よりははるかに来店客数は少ない状況だったのではないかと思う。帰り際には強い雨も降ってきたので、買い物袋を持たずに駅に向かう人の姿も目立ち、天候のことも関係あるが、最近のバーゲンは益々立ち上がりの週末が勝負になってきているような印象を受けた。それでは、以下、各店で感じたことを披露しよう。【バーニーズ新宿店】1.ボリュームゾーンに、日本のアパレルや雑貨メーカーのブランドの起用が目立つ。以前だと、メーカー名を伏せたバーニーズニューヨークのオリジナルが中心だったのだが、アパレルや雑貨メーカーの社名やブランド名をはっきり出したブランドが同店なりの買い易い価格帯の商品として相当量置かれていた(カットソーの「ピュリファイド」、ニット、カットソーの「イエリ」、ボトムスのパームインターナショナル、バッグのプリンセストラヤなど)。これは、利益率を下げてもアパレルや雑貨メーカーの企画力を生かした方が売り上げを取りやすいという現実的な判断と、インポートや、オリジナルのイタリア生産等がユーロ高のせいでコスト的に成り立ちにくくなってきているからだと推察される。他店ではミセスターゲットの売り場に置かれているブランドが2階に置かれていたのには少し首をかしげる点もなきにしもあらずなのだが、素材は確かに上質なので太目の体型の人やエイジの高い人には受けているのかもしれないね。2.「ロベルト・カバッリ」「メニケッティ」はメンズのみの展開?ひょっとしたら見落としているのかもしれないので、もし違ってたらゴメンナサイ。「ロベルト・カバッリ」の方は、何となくメンズしか置かない、というのはわかるような気がする。イタリアに行くと同ブランドの店舗は良く見かけるが、秋冬物はレザーやファーの多いコレクションだ。色使いやデザインが、こげ茶のファーのロングコートを着込んで下にはイエローベージュのセミワイドのパンツを履いているようなややコンサバっぽいイタリアのミセスに好まれそうな気がするんだよね。向こうではショップへのお客様の入りもいいようなので、たぶんそれなりに人気はあるように思うのだが、私の見る限りでは、レディスは確かにちょっと日本では受けない感じがするので。「メニケッティ」は、バッティングの関係?なんだろうか。伊勢丹新宿店4階の「リ・スタイル」にはレディスの「メニケッティ」が入っている。但し、今見るとこのブランドの良さは全くわからないと思うが。単品ではなく、トータルコーディネートで見た時の配色のセンスや、ちょっとしたディテールや丈のバランスの良さが持ち味なのではなかろうか。3.日本の女性ベテランデザイナーのブランドの導入は、ジャパンファッション発信の動きの先取りか!?これにはホントびっくりしたのだが、ワンレンボディコンの時代に多大なる人気を博した日本のあるベテラン女性デザイナーのブランドが導入されていたんだね。いやはや、流石バーニーズさんである。これって、昨今話題になっている「東京発 日本ファッションウィーク」の流れの先取りなんだろうか(笑)。しかし、冗談抜きでこういうベテラン勢には頑張って欲しいと真剣に思う。正直、女性のデザイナーさんが年を重ねるとヤングやキャリア向けのデザインを行うというのはほとんど不可能なのではないかと思う。だが、マチュア向けファッション、デザイナーさんご自身と同年代ややや年下の方達向けのファッションならば、まさにリアルな実感を持ってデザインできるのではなかろうか。こういうアダルト向けのお洒落な商品が市場には欠落しているのだ。バーニーズさんにだって、実はかなり多くの年齢の高いお客様が来店されている。インポートにはない持ち味で勝負して頂き、ここから再び世界への発信を目指して頂きものである。【伊勢丹新宿店】1.大きいサイズのコーナーの売れ行きが凄い!今日はこのことに一番感心したのだ。伊勢丹新宿店2階の大きいサイズ「クローバーサイズ」のコーナーの雰囲気に。とにかく、お客様の動きがレギュラーサイズのコーナーとは全く違う。「何か買わなきゃ。買いたい」というような、ちょっと殺気立った雰囲気が充満している。そして、ほとんどのお客様がまとめ買いだ。レジでは何点もの商品を打ち込む姿が見られた。私自身かなりイレギュラー体型に近いので、こういうお客様の気持ちは非常に良く理解できる。伊勢丹ならブランドが揃っているからということで交通費をかけて遠方からお越しの方もかなり多いのだろうし、他になかなか買える場所がないから真剣味が違うんだろうね。イレギュラーサイズの充実は、百貨を扱う百貨店さんの大きな社会的使命の1つのような気がしてならない。2.伊勢丹さんは、やっぱり品揃えが良い。これを書くと他の百貨店さんに申し訳ないのだが・・・セール2週目だというのに、伊勢丹さんの品揃えはやっぱり良い。追加投入もされているのだろう、商品量も潤沢である。もっと細かくいうと、量がただ多いだけでなく、品揃えの幅も広く、見せ筋、感度の高いひと癖ある商品が数多く揃っている。例えば「トクコ・プルミエ・ヴォル」なんて、先週の日曜日横浜の百貨店さんで見た商品と全く違っていた。エスニック調の手の込んだ刺繍の施されたカフタンや裾がフレアになったベストなんて横浜では見なかったような気がするし、派手好きなミセスが好むようなベタなプリント柄ブラウスやTシャツの量は少なめで、グレーやパープルなどのモノトーンのセットアップ中心のすっきりとしたセットアップ中心になっていた。3.「ツモリチサト」に、らしくない商品あり。ちょっとオマケっぽいネタだが・・・。海外・国内のデザイナーズブランドや、壁面で展開されている業界で「ハコ」と呼ばれる国内のブランドの多くが、既に秋物を一部投入していた。今日見たくらいでは、まだ何が来るかな、なんて予想するのは難しいから、単に自分の趣味であれこれ見て回った。2階の「ツモリチサト」は、いつもながらに元気である。今秋は、70年代のフォークロア調のプリント生地のパッチワーク(「北欧にインスパイアされた」趣旨のことがPOPに記されていたが、ある意味でいつ見てもツモリワールドである)が中心となっているようだが、カットソーとスカートに、オレンジとエクリュとこげ茶の3色を使った70年代のクレージュやマリー・クワントやピエール・カルダン見たいなデザインがあったのでびっくりした。こういう服って、数年前からセレクトショップにはよく置かれていたんだけどね。ツモリがこういうテイストを取り入れるとは、びっくり、である。しかし、このブランドのコアなファンの目にはたぶん新鮮に写るだろうから、売れると思うね。【ルミネ新宿店】1.「ジュエル チェンジズ」はMDの修正が必要か?今日初めて見た、ルミネ2の2階にこの春オープンしたユナイテッドアローズの「ジュエル チェンジズ」だが、セールが終わってもう一度見てみないと断言しがたいのだが、どうもこのままではこの立地では難しいのではないか、という感じがする。「チェンジズ ユナイテッドアローズ」のレディスの妹版という位置づけらしいが、何しろ現時点で店頭に出ている商品を見る限りでは、顧客を絞り込みすぎているのではないか、という気がする。今の店頭の約7割はオリジナルで、駅ビルという立地で回転率や利益率を高めるためにはこれは正しい戦略だと思うのだが、いかんせん商品の型数が少なすぎる。ルミネ2の2階は、「アクアガール」「シャンデリエ アクアガール」、パルグループの「ガリャルダガランデ」「デミルクス ビームス」「ドゥーズィエムクラス」と、日本のセレクトショップの雄が集う超激戦区である。「アクアガール」はフェミニンな匂いの強いセレクト、「ガリャルダ ガランデ」は、バッグとボトムスをキーアイテムに、カットソー、ニットは辛口な色目を揃え個性的なファッションを好む層にアピール、「ドゥーズィエムクラス」は、ユーロトラッドベースのエレガンススタイルという特徴を明確に持った上で、最近は雑貨を含めた商品のバリエーションを非常に多く増やしてきている。「デミルクス ビームス」は前述のブランドよりも遅れてスタートした業態だが、立ち上がり当初よりはかなり商品内容は良くなりつつあるように私は思う。軸はいまひとつはっきりしないように見える部分もあるのだが、前述のブランドより若い客層にアピールしている。いいか悪いかは別として、ストリートっぽいのりが見え隠れするのが個性になっている。しかし、ユナイテッドアローズさんは非常に力量の高い企業さんなので、すぐにMDの修正をかけてくるのではなかろうか。1階にはUA業態も入居しているので、それとの差別化をどう図るのか。同社の「チェンジス ユナイテッドアローズ」業態の強みは、実はどまん中、王道中の王道を走っていることにあると私は思っている。それは、「今のコレクショントレンドで旬のブランド」を完璧に押さえてそのテイスト中心のMDを組む、というやり方である。こういうMDが組めているのは、同業態と伊勢丹さんの「リ・スタイル」だけだと思うんだよね(「リ・スタイル」の方がちょっとベタだが)。バイイング力の強い企業にしか出来ない力技なのだ。それをそのまんま、「ジュエル チェンジズ」業態に落とし込む、というのもかなり面白いんじゃないでしょうか。この秋冬だとミリタリーやらゴシックやら。ただ、オリジナルの比率がこんなに高いということになると、これからやっていかなくてはならない作業はほとんどアパレルさんと同じ、ということになってしまう。セレクトショップではなく、実態は限りなくSPAに近い、「ほとんどSPA、ちょこっとセレクト」だから、それはやはりアパレルではなく小売業出身の企業さんにとってはしんどい作業になってしまうのかもしれない。2.頑張っている岡山・サキヤクリエイトの「レディ ラック ルカ」岡山時代にお世話になっていた倉敷市に本社があるサキヤクリエイトさんのセレクトショップ「レディ ラック ルカ」がルミネ2の4階に入っているのだが、非常に頑張っておられるようで嬉しくなった。この企業さん、やはり東京の強力な店舗を比較してもMDの面で見劣りしない。私も岡山に帰省した時に買った服を愛用しているのだが、最近はオリジナルを充実させ、仕入れ商品とのミックスで益々魅力ある品揃えになっている。同社の場合、地方発なので仕入れ商品でも一番高い価格帯のものが「ポールアンドジョー」クラスで、バカ高い商品は置いていない。フェミニン系ファッションを中心に、「プーマ」のようなスポーツブランドや、ゴシック、裏原っぽい匂いのする商品など、今が旬のテイスト、これから来そうなテイストが複数の柱として展開されている。この絶妙なバランス感覚、先取りと見切りの速さに一層磨きがかかってきているようだ。これからの益々の飛躍、楽しみにしています!
2005年07月09日
今夜は、オリンパスシステムズ(株)エンタープライズ事業部の曽我芳博部長を講師にお迎えして、第2回パワーアップセミナーを開催した。オリンパスシステムズさんといえば、日本におけるファッション系基幹業務システムの分野の第一人者として知る人ぞ知る企業さんである。期待通り、今日の講演は素晴らしいものだった。私は特に、クライアントのアパレルさんと一緒に売り場に何度も出向いて現場を検証された、ということに感動致しました。「ITを活用しておられる企業さんは決してそのことにより楽をしておられる訳ではない。そのことによって空いた時間を、考えることにつかっておられる。むしろ問題点が明確になってくるので、それを解決しようと思うと仕事は大変になっておられるようです」とおっしゃっておられたのも非常に印象的だった。曽我部長、そしていつもながらの名コーディネーター・田中照夫先生、どうも有難うございました。さて、今日は日経MJのスクープらしき、飲食業大手の際コーポレーションさんが、廃業旅館を飲食店のイメージを核として再生するビジネスを立ち上げるというニュースにも感心したのだが、やはりファッション業界にとっても無縁ではないニュースから選ぶとなるとこちらになるだろう。ケータイとネットで共同購入サイトを運営しているネットプライスさんと東京急行電鉄さんが、「トレイン・ギャザリング」の名称で、通販連動型の中づり広告の実験を行い、広告効果の分析を行う、というものだ(BCOOLさんのブログからこのニュースに関するエントリをトラックバックさせて頂きました)。このニュース、シブヤ経済新聞さんも早速取り上げておられた。こちらの記事だとレベニューシェア型交通広告としては初の試みであることが明確に指摘されているので、ニュース性の高さが理解しやすいよね。これは、将来性の高い企画なんじゃないかな。今や、電車の中で若い人達がすることといったら、新聞や雑誌を読むことではなくて(但し、『R25』は別だと思うけど)、ケータイをいじっているか、iPodで音楽でも聞いているか、というパターンが圧倒的に多いので。それと合わせて、中づり広告は、かなり見られているはずである。これは、地方におられる方にはちょっと想像しづらいと思うが、新刊雑誌のPRから、ケータイや家電製品の広告、英会話学校や学習塾、不動産関係、ビール、更には百貨店やファッションビルさんの広告など、百花繚乱で人目を引く内容のものが揃っている。広告の中には、クイズをシリーズ化し回答をネットに載せてアクセスを誘導しようとするものや、JR東日本さんのケータイサイト・駅パラのようにケータイのURLをPRしてその場でブックマークさせようとするものなどがあったが、今回のケータイ通販との連動は、更にそれを一歩推し進めた形になる。ケータイって、慣れると座らなくても片手で打てるようになるんだよね。新聞や重い雑誌を立って読むよりはるかに楽である。ネットプライスさんはギャザリングという独創的な販売システムと、品揃えのユニークさで急成長された企業さんである。実は、一昨年、私は日本オンラインショッピング大賞の三石玲子賞という、批評部門の賞で第二席を頂いたのだが、その時の大賞受賞者が、ネットプライスさんだった。佐藤社長はスピーチの中で、「面白いものが売れるんです。夏にすいか500個とか売りました」と語っておられたが、東急電鉄さんとのお取り組みでも、ユーザーさんを楽しませてくれるような広告が登場すれば、一層同社の売り上げもアップするだろうという気がする。こういうエンタメ系消費、という発想は、リアルのビジネスや旧来型のカタログ通販の発想にどっぷりつかっている頭からはなかなか出てこないんだよね。通販なんだけど、ベタベタの売らんかな、というサイトのつくりではない。商品ではなく、コンテンツ、楽しい気分を売るセンス、そこがポイントなのだろう。
2005年07月08日
自宅の最寄りの私鉄の小さな駅の前に、いわゆる洋品店さんが2軒並んでいる。どちらも、建物が古く、かなり前から家族経営でこじんまりと商売を営んでおられる様子で、現在の一番の売れ筋は傘(駅前なので、梅雨時に傘を持たずに雨に降られた人に安い傘を次々と販売しているのだ)なのだが、本業は衣料品の販売なのだ。いずれも、メンズ、レディス、キッズの全てを扱っておられるのだが、隣同士で棲み分けておられるのか、1軒はメンズ、もう1軒はレディスの品揃えの方が主力になっている。いずれも、価格は安いが、センスはイマイチ、という、典型的なよろず洋品店さんの様相を呈していたのだが・・・。ここに来て、レディス主力のお店の品揃えにちょっと変化が出てきた。大胆なタッチのイラストが売りの「クスト」の絵柄を、ちょっと日本人クリエーターの秋葉系の画風に変えたようなカットソーとか、伊勢丹新宿店の「CCシンデレラシティ」に入った「カイラニ」のハワイアン調スカートをちょっとミセス向けに丈を長くウエストも大きくしたんじゃないか、というようなものとか。ブルーやイエローなど、今、渋谷109系のブランドで店頭に出ているような色使いのタイダイのミセス向けTシャツも数多く、前は非常に失礼ながら、「こんな商品買う人ってどうなの?」と思っていたのだが、「ハデ好きのミセスには喜ばれるかも」という風に見える。このお店の商品、タグを見ると、たぶん日本橋横山町にある現金問屋さんで仕入れたのではないかと拝察される。ここ数年、現金問屋さんが元気だ。企画は言ってみれば今流行りのもののパクリなのだが、その鮮度は高まり、精度は上がっている。着実に今すぐ売れるツボを突いたものの点数が増えているのだ。これもちょっと非常に失礼な表現かもしれないが、だからあまりセンスのない町の洋品店さんでも、現金問屋さんからの仕入れだけでそれなりの売り場を構成することが可能になりつつあるのあろう。もう1軒、近所の商店街さんに、現金問屋さんをうまく活用しているショップがある。それはビルの2階に2年程前に開業したお店で、正直立地は1階の店舗に比べてあまり良くないと思うのだが、若い女性の店長さんのセンスでじわじわと固定客を掴みつつあるようだ。そのお店、ガラス製品やアロマグッズ、自然派コスメ、ステーショナリーなどの雑貨が売り場面積の7割を占める雑貨店なのだが、衣料品も3割程置いている。どうやら、その商品も、タグから見て100%現金問屋さんからの仕入れのようなのだ。そのショップの場合は、前述の洋品店さんとは違って、かなり頻繁に現金問屋さんに通い、自店のテイストに合った顔の良い商品だけをチョイスしておられる様子である。このように、現金問屋さんをうまく活用すれば、開店したばかりの資金力の乏しいお店でも、在庫回転率及び資金繰りを非常に活性化することができる。同様なことは、歴史の長い衣料品専門店さんにも言えるのだ。正直、今の厳しい時代には、昔は隆盛を誇っていた名門と呼ばれる専門店さんでも業績が年々悪くなってきている、というケースは多々あると思うので。いや、うちは支払いは延べ勘でやってますから平気です、とおっしゃられるショップの皆様、申し訳ございませんが御社のような企業さんは早くマーケットから退場なさられた方が良いように思いますね。何故かというと、自分でリスクを張って商品を仕入れていないと、どんどん商品の良し悪し、売れ筋、売り筋を見抜く目が鈍ってしまうからである。もちろん、「うちはミドルプライス以上の、厳選された素材、デザインの商品しか置かない」という向きもあるだろう。そういう皆様には現金問屋さんは合わないかもしれないが。しかし、そういうショップさんでも、品揃えのスパイスになるような特別コーナーを設けたり、期末にワゴンで売るような商品が要る、という場合に、最近ぐんとレベルが上がっている現金問屋さんを活用すれば、上代設定が自由なので高い利益も取れる。昨日カジュアル系ファッション合同展示会「フロンティア」に、ここ数年で人気が急上昇している現金問屋のイチオクさんが出展なさっておられたので、商品を見せて頂いた。成程、非常に面白い。同社はWeb現金問屋街もネット上に開設しておられるので、地方の方でも頻繁に上京せずとも仕入れはできますよ。但し、ご担当者の方曰く、「弊社は実店舗を持っておられる方のみが対象なんです」とのこと。いわゆるネット店しか開いていない方は購入不能なんだそうだ。これは、一般の方への販売を防ぐためだろうから、非常に良く理解できるのだが、願わくばネット店でも例えば年商5,000万以上売り上げている店舗ならバイイング可能、くらいにして頂けると、ネット販売専業の方にも喜ばれると思うんだけどなぁ。ネット店オンリーの方は、やはりネットのピュアプレーヤー問屋であるラクーンさんの「オンライン激安問屋」と「スーパーデリバリー」ならば、ちゃんと販売もしてもらえるので、ご安心を。衣料品を扱っておられる方、特にプライスゾーンの高いものを扱っておられるショップの方ほど、「リアルの現金問屋さんはまだ良いが、ネットだけで見て仕入れるなんてとんでもない」という見解の方がまだまだ多いと思う。もちろん、最初は直接問屋さんで手に取って現物を見ることを中心に、その時仕入れ逃したものを仕入れるところから始められたら良いと思うが、慣れてきたらネットで初めて見たものを即仕入れても失敗はかなり少なくなるはずである。なんて私が言うと説得力を感じられないかもしれないが、ネット販売をなさっておられる方、ネットで商品を買ったりオークションを頻繁に行っておられる方ならわかって頂けるのではないかと思う。それなりのブランドの物は、日本では大概価格に見合った価値があるし、画像とテキストによる説明だけでも慣れてくるとそこそこレベルが判断できるようになってくると思うのだ。ネット活用のメリットは時間の節約である。特に地方の方で、そんなに頻繁に上京できない、という方にとっての利便性は大きい。それから、夜の夜中にでもバイイングできるのだ。こんなことが出来るなんて、本当に有難いですよね。昔は店頭が閉店してしまったら、情報収集なんて出来なかったのだから。夜閉店後に、1日1時間ずつでもネットで情報収集している人間とそうでない人間の差は、1年間も続ければものすごく開くということを、私自身がこの1年余りで身を持って体験した。リアルの店舗に1日張り付いていなければならない多忙な方にこそ、ネットはお勧めなのである。話は戻るが、現金問屋さんの隆盛振りを見て、最近はアパレルさんでも在庫をかなり積んで現物を小売店さんにチョイスしてもらう仕組みの所がかなり出てきているようだ。長期化する販売不振が、ある意味でアパレルビジネスを、リスクを張ったものづくりと仕入れ、という本来あるべき姿にゆり戻しつつあるような気がして非常に興味深い。
2005年07月07日
JR原宿駅の明治神宮寄りのホーム脇の紫陽花のブルーが目に染みる。今日は何とか傘なしで行けそうだな、と思いつつ、代々木第2体育館で開かれている恒例のカジュアル系ファッション合同展示会「フロンティア」へ。先日、台東デザイナーズビレッジのセミナーでお会いしたばかりの吉岡孝司・代表にご挨拶。相変わらずまめによく動かれます。皆さん、吉岡さんのパワーに触れたければ、是非「フロンティア」にご来場下さいませ!場内の端っこに、1社だけ中国からの出展者の姿があった。置いてあるのはシャツが主体で、カジュアルパンツがテーブルの上に2型。ボディには、メンズだけでなく、レディスのブラウスも着せてある。シャツは、白地に黒の幾何学柄を施したものと、その逆で、黒地に白の柄をあしらったものだけですっきりとまとめている。デザインは全ていわゆるオープンカラー(開襟)のシャツだが、70年代後半から80年代初頭の日本のメンズのキャラクターブランドの出始めの頃を彷彿とさせるような、この企業さんなりのこだわりを感じることができた。長机の周りに女性が3名座っていた。1人が、私に日本語で声をかけて下さったので、「それならば」と思い、彼女達の話を聞くことに。日本語が堪能な女性が、山東省で従業員数約300名の布帛の工場であること、既に中国でアパレルブランドとしてデビューしており、日本でも生産(OEM)ではなく、自社オリジナルブランドを販売したいと思い、この展示会に出展したことを説明してくれた。その間、他の女性2名は、立ったままで話をじっと聞いている。「どうぞお座りください」と日本語で話しかけるが、反応に乏しい。そうか、この2人は日本語はわからないのか。次に英語で話してみたが、それも通じないようだった。最後に中国語で「坐」というとはっとした顔をしてそれからにっこり笑い、やっと腰をかけてくれた。確かにそう言われてみれば、黒っぽい下げ札にブランド名らしきものが記されている。しかし、そこに書いてあるのは、125RMB(人民元)という向こうでの上代だ。日本向けの価格表もなければ、絵型の書かれたオーダーシートもない。こんな状態でよく日本に来たなぁ、と半分呆れながらも、日本在住だという通訳さん以外の、まだうら若い20代と思しき女性達の勇気に感心する。仕事柄、海外の展示会に行ったり、日本の展示会で海外からの出展者にお会いする機会は結構あるが、自国でない国の展示会に出展している企業さんのこういう「ズレた」感じってどこでも大なり小なりある。たぶん、日本からインターテキスタイル上海や同北京展、ジャパン・ファッション・フェア(JFF)・in 上海に出展している企業さんのことも、中国の企業さんから見ると、「何かズレてる」と思われているのだろう。ただ、彼女達や、その他ヨーロッパやアメリカの企業さん達と日系の企業さんとの最大の違いは、「日本人には一人でやろうとする勇気のある者が少ない」ということではないか。JFFなんてのは、いい意味でも悪い意味でもその最たるものだと思う。リスクを貼り、勇気を持って新しい道を切り開こうという気概が、日本人にはやや乏しいのではないか。皆が行くから私も、というようなあいまいな動機が通用する程、商慣習や消費者ニーズの違う海外の市場は甘くないのではないかと推察する。彼女達はさっそく、「あのブースは売れていますね。1点からでも対応しているから評判が良いようですね」などど、バイヤーの反応の良いブースの好調の理由を分析していた。この経験、中国に帰ってからも大きな自信と蓄積になるのではないだろうか。300人の工場は、中国ではちっぽけな方である。ひょっとしたら出遅れたことが動機になって、アパレル化を志向し始めたのかもしれない。だが、それ以上に、白と黒だけで統一した商品の雰囲気に、「自分達のかっこいいと思うものを作りたい」という意思、素朴な情熱ののような感じられて、少し胸が熱くなった。彼女達に北京にある中国の商社、チャイナテックスの連絡先を教えてあげるため、尊敬するジャーナリストの先輩である繊維ニュースのS記者にその話をすると、「対日向けの発注が減っているから、アパレルに転換したがっているんじゃないかな」というご意見だった。チャイナテックス自身も、非繊維、他産業の貿易のウエイトが増え、最近社名変更した、ということも教えて下さった。中国でも日本同様、否、高度成長期の日本以上にITなど先端産業の発展は目覚しく、「繊維なんかやめてもっと儲かる商売を」という向きも確かにかなりあるのだろうと思う。だが、そういう方向に向かうタイプの人材とは別に、自分のイメージするような、かっこいい服を作りたい、美的価値をとことん追求したい、と思うタイプの人々も、日本同様にかなり存在すると思うのだ。日本人や他の海外の企業に言われるがままのものづくりをするのではなく、自分達の作りたいものを作ろうーアパレルになりたい、そういうファッションへの目覚めを、最近の一部の中国の企業さんからは確かに感じるのだ。こういう企業さんのやる気、それにはものすごいものがあるのではないかと思う。頑張れば今の中国には大きな成功か、小さな成功か、たぶん成功しかないのだ。今の日本と違い、サクセスストーリーを思い描き、プラス志向で頑張れる強みがある。墨田はもとより、全国の工場さん達がファクトリーブランドの立ち上げに苦戦する姿に接しているだけに、私には彼ら・彼女らの元気さ、若さが眩しい。中国の山水画や書道に見られるような素晴らしい美的センスを持った若者達が、お金儲けだけのためでなく、よりかっこよく、美しくなるためのブランドを続々と立ち上げる日が来るのは時間の問題だと思う。
2005年07月06日
自宅の近所のファミリーレストランで、アイスコーヒーを飲みながら、某雑誌社が出版しているレディスの代官山系ファッションの雑誌『S』を何気なくペラペラとめくっていると、通販のページが目に入った。雑誌掲載商品が、ネット及びケータイで購入できる、というものである。あれれれ、そこに掲載されているあるブランドの商品の中に、一昨日の日曜日、横浜のCIALで見た可愛いポロシャツと同じものがあるではないか。価格は、横浜ではマークダウンされていたが、この通販ではプロパーのままである。うーむ、こういうのってアリなの、と思ったが、この雑誌の発売日は毎月23日だから、その時点ではまだバーゲンは始まっていない訳だし、それに、上代商売ではなく下代的な発想に立てば、必ずしも販路によって同じ価格にする必要もない訳である。理屈は通る。そうは言っても、もし、今、この商品を購入したお客様が、リアルの店頭で同じ商品値下がっているのを見たら、腹は立つだろうなぁ、なんて思いつつ、ふと、暇だから今すぐ何かケータイで購入してみようか、という気になってしまった。雑誌に載っている写真を見る限りでは、そこそこの顔をした衣料品と雑貨がセレクトされている。ただ、サイズについて「M」とか「S」とか書いてあるだけで詳細な数字は記されていないし、素材の説明もない。価格的にも、5,000円以下のものも多いが、5,000円から10,000円、場合によってはそれ以上のものもあって、ヤングにとってはそれなりの決断を要する金額だという気がする。それ以上にもっと気になったのは、通販の仕組みなんだよね。まず、送料が全国一律840円もかかる。それは、何点買おうが同じである。しかも、「お申込みから2~3週間の予定です。一部商品については生産の都合上それ以上日数がかかる場合があります」(同誌)だって。これってあまりにも非常識じゃない?今から2、3週間も経ったら、買ったことすら忘れちゃいそうなんだけど。おまけに、支払い方法はネットならクレジットカードと代引き、ケータイだと代引きしか選べない。極めつけは、「商品の開封後、または、お客様のご都合による返品はお受けいたしかねます」ときたもんだ。しかし、今日はこのネタでブログを書く(笑)と決めたので、とりあえずケータイへGo!と、ドコモのケータイを取り出し、おもむろにURLを打ち込むと、「この度、○○は××と統合いたしました」の文字が。画面をスクロールし、某雑誌の文字をクリックすると・・・。「○○ブランド 春の新作入荷! 各色限定10枚」嗚呼・・・いくら何でも7月に「春」の表現はやめてほしかった。一気に買う気は萎えましたよ。念のため画像も確認したが、しっかり長袖、春のスタイリングがアップされていた。この雑誌社さん、以前は時流を見極め、創廃刊や紙面の内容への対応も速いなと感心していたのだが、どうも最近ちょっと内容にパワーがなくなっている。特にレディスは。この雑誌も、代官山系ファッションがピークを過ぎたからだけではないと思うんだよね。編集者の問題意識、ターゲットとする顧客のニーズやライフスタイルの変化をきちっととらまえようとする努力がちょっと足りないんじゃなかろうか。通販で小銭をかせごうとするのも結構だが、まずは本業に注力されたらどうでしょうか?まずはそこで読者満足を図るのが先決だと思いますよ。ちなみに、さくらは腹立ちを癒すため、下着の白鳩さんのケータイ通販のサイト「下着★わくドキ」から、ヒップハングのショーツを購入しました。白鳩さんのサイトは、ケータイから買うのがちょっと心配だという方にはオススメである。著名な下着ブランドから、激安商品まで揃っていて、お得感が高いのと、何よりユーザビリティ(入力のしやすさ)とか、お客様の気持ちに添ったFAQに感動させられる。自宅じゃない場所にもちゃんと配達してくれるし。ネットの販売力を背景にしているので、支払い方法も一通り揃っているし、5,250円以上購入すれば送料も全国一律無料だしね。びっくりしたのだが、白鳩さんは既にドコモのケータイの新機種901is対応でPDFで見ることも可能にしてあった。私のオンボロケータイからはまだ見ることはできないのだが。進化する媒体に見合ったこのスピード感、それがない企業さんにはネットやケータイでの販売はやはり難しいのではないのだろうか。
2005年07月05日
7月2日(土)付けの繊研新聞の最終面の記事「変わる男の肌着 カットソー」の文中に、グンゼが昔販売していた「ヘルムートラング」の細身の肌着を、最近細身のカットソーを発売し売り上げを伸ばしているデザイナーさん達が評価している、という趣旨の文章が載っていた。う~ん、誰しも考えることは一緒なんだなぁ。私も昔、イオングループ傘下に入る以前の岡山ビブレで、ラングのメンズの肌着を買って、アウターとして愛用していたのだ。全体に細く、丸首の部分もぴったりとフィットするので、そのころは今より多少体重が少なかった私にとっても丁度良いと感じられるデザインだったのだ。カーキ色をチョイスすれば、本当にTシャツと変わらないしね。デザイナーさんやアパレルの企画担当者さん達は、こういう自分が良いと思った過去の商品をヒントに新しい商品開発を進めておられるんだよね。ちなみに、まだ私は、レディスでは「これすごい!」と思える究極のカットソーには巡り会えていない。そういうカットソーは、イタリアやフランス、ましてや中国なんかからではなく、うちの地元、東京・墨田の地から誕生してほしいと切に祈る限りである。さて、今日はこのブログの愛読者の皆様のご参考になりそうなホームページをご紹介したい。「日本モデリスト協会」という会の存在をご存知だろうか。モデリストというのは、アパレルと工場を結び、ものづくりのトータルな流れを理解した上でパターンを作成するプロフェッショナルな職業のことを指すが、そういうモデリストの皆さんが交流と技術研鑽を行うために結成された会である。この会のホームページがマイナーチェンジされた、という情報を、最近同会から送られてきた会報『JNMAニュース』で知った。初めてホームページを拝見したのだが、非常に見ごたえのある内容である。一つは、私もお世話になっている国内のある著名な工場の社長さんの文、写真による「工場へ行こう」というコラムである。ミシンやアイロン用の馬の話題など、現場の日々のご経験の中で工夫された知恵を披露しておられるのだが、成程、と感心させられることばかりである。「デュアルコップ」のミシンなんて、昔そういえば取材したことがあったなぁ・・・。「アイロンで腱鞘炎になる」という話も、岡山に居た頃、「昔はそういうことがあった」と聞いたことがある。些細な重さの差、本当に全然違うんですよね。衣料品の製造業は、機械金属の業界に比べ環境的に恵まれているのではないか、とおっしゃられる方もおられるが、昔はやはり大変だったのだ。もう一つは、日本を代表するモデリストのお一人、柴山登光氏の「モデリストの引き出し」である。これは皆さん、本当に素晴らしいので是非写真と文章をご覧下さい。柴山氏は、今年4月16日付けのこのブログでもご紹介した通り、IACD(国際衣料デザイナー協会)のミケランジェロ賞をレディス、メンズの双方で受賞したご経歴を持つ程の腕前なのだ(自己トラックバックをかけたので、ご興味のある方はこのエントリの下から前に遡ってお読み下さい)。まつり縫いの最後は、糸を「小指ではじくように引き終える」とか、私も見たことがない「松葉カンヌキ」「脇刺し」の技術など、本当に美技です。芸術です。写真だが、動きに無駄が全くなく、体にも余計な力が全然入っていらっしゃらないことが非常によくわかる。このホームページに掲載されているのは、会報『JNMAニュース』のごく一部の内容である。会員になると、会報が送付されるほか、定期的な勉強会や工場見学等にも参加できる。また、モデリスト(パターンナー)ではない方でも、会の趣旨に賛同される方はサポーター会員制度もございますので、是非ご入会下さいませ。ちなみにさくらも会の設立時からサポーター会員になっているのですヨ(^^) どうか宜しくお願い致します。
2005年07月04日
バーゲン開始直後の週末お決まりの行事、今年も行って参りましたよん、横浜へ。CIAL、MORE’S、高島屋横浜店、横浜ルミネ、PORTA、横浜そごうと、駆け足で回ってきました。いつもに増して、買い物への欲求が高まっていたせいか、お客様やショップ、ブランドの動きの観察が今一つ不十分になってしまったきらいがあるが、ご参考までに感じたことを記してみたい。★さくらのバーゲン観察記■バーゲン開始3日目の午後に、既に在庫薄のお店あり!衣料品消費の不振が叫ばれる昨今だが、売れているお店はやはり存在する。ルミネの「ユナイテッドアローズ」のレディスのキャリア向けコーナー、高島屋横浜店の「ボールジィ」、横浜そごうの「トゥモローランド」の店頭在庫は既にかなりスカスカ、という感じだったね。これは恐らく、セール用の商品移管の失敗ではなく、期中から商品がよくはけており、セールに入ってからも初日、2日目にしっかり売って、早くも秋物に向けてダッシュできる体制に入っている、と見た方が正しいと思う。「ユナイテッドアローズ」の強さはセレクトショップ勢の中でも頭一つ抜けている、という感がある。特にレディスの進化は、10年前の同店の品揃えの堅さを思い出すと隔世の感があるね。トゥモローランドさん系列のショップは、百貨店内では抜群に強い。ニット、カットソーの品揃えが豊富で、布帛物もトラッドをベースにディテールの変化で付加価値をつけており、幅広い年齢層を取り込んでいる。一時期私は、「昔レリアン、今ラルフ・ローレン」ということを業界の人に申し上げていたのだが、今は「60代以上のコンサバ層にはレリアン、40代後半から50代のコンサバ層はラルフ・ローレン、40歳前後以下のコンサバ層がトゥモローに走っている」と言いたいね。これらのブランドは、お洒落なブランドなのではなく、トラッドブランドの亜流、日本型のトラッドブランドだと見るのが正しいのではないかという気がする。■店内の一部に全くお客様が寄り付いていないお店があった。気の毒なので店名は差し控えたいが・・・、こういう事態は、本当はセールに入る前にある程度予測できると思うんだよ。今の時代、プロパー商戦で売れていない商品は、マークダウンしてもやはり動きにくい。お客様は非常に吟味して商品を選んでいるので。店内のある什器に配置された商品の多くが動きが悪いというのは明らかに商品政策の失敗である。ショップサイドには責任は少ないのだが、そういう難しい商品を売っていくのもまたショップの仕事であろう。明日の月曜日になれば午前中はお客様の来店は落ち着くだろうから、早速レイアウトやディスプレイを変え、動きの良いものとミックスすべきだろうね。■マルキュー熱も少し沈静化へ!?半年前と比べ、オシャレな子よりも中高生が増えているような気がしたんだよね。売り場の半分くらいをマークダウンしていなかったせいか、「SLY」の売れ行きが今イチのような気がしたし、噂通りロコ系のブランドもう~ん、しんどそうだなぁ、という感じである。横浜の場合、セクシー系ブランドの多くはCIALに集積しているのだが、横浜ルミネに入っている「セシルマクビー」は、エスカレーターサイドからフロア奥に移動し面積を増やしているが、逆にパワーダウンしてしまったような気がするし。ただ、横浜の中での競合条件、という問題も働いていると思うから、違う街に行くとまた違った様相を呈しているという気がする。マルキュー系の商品はそう高くないものが多いので、6月に入ってからも新しいアイテムを買ってガンガン着ている子はかなり居ると見られる。今年流行りの、黄色やブルーだったり、タイダイのしわ加工のティアードスカートは既に大勢の女の子が着用して来店していた。■CIAL益々パワーアップ以前はセクシー系と、「ローリーズファーム」や「ナイスクラップ」などファッションビル向けの安可愛カジュアル専門店が目立つビルだったのだが、1階に「ビームス」を入れ、その後2階にも「アーバンリサーチ」「アナザーエディション」「ミニマム」などを入れ、下層階ではセレクトショップ色を強めた。結果、従来とは違うタイプの客層も集まり、売り上げも好調に推移しているのではないかと推察される。★おまけ~今日買ったもの、買い損ねた物~■「コンバース」のハイカットのスニーカー(消費税込み4,935円)CIALの「ビバサーカス」に、以前このブログにも書いたことがある「コンバース」のモンドリアンルック調の柄のスニーカーがあった。安くなっているとのことで、即試着へ。しかし、スリッポンタイプはサイズ切れで、ハイカットのバスケットシューズの方を買うことに。これはスニーカーなので履き心地が楽だし、ヘビロテ靴になりそう。パンツではなく、例えば「DKNY」の綿のジャケットとスカートなどに合わせて、黒いハイソックスなどと合わせて履いてみたい。■「CHIARA」のミドルゲージコットンの半袖カーディガン(消費税込み6,300円)高島屋横浜店2階の「サロン・ル・シック」の横を通りがかった時、ワゴンセールの商品の中から超お買い得品を見つけちゃったんだよね。イタリアのファクトリーブランドの横編みのカーディガン。触ってみると糸がそこそこ上質なようだし、さっそく試着してみた。Vネック、3つボタンとシンプルなデザインだが、平編みと2-2のリブ編みの切り替えの位置がかなり高く、足が長く見えるようなデザインになっている。黒とベージュの2色があったが、さくらはベージュをチョイス。これ、元値が消費税込み25,200円だったから、超お買い得である!実は私は、岡山時代から高島屋さんの「サロン・ル・シック」のワゴンをマークしていたのだ(笑)。インポートの旧品や高島屋さんが買い付けてきた商品の残りなどで掘り出し物が見つかる確率が高い。東京にきて新宿の高島屋さんで同様にして買った茶色の冬物のセーターなんて、5年経った今も愛用しているしね。但し、トレンディなデザインを好む方には合わないかもしれないが。■買い逃し品=「アーモワール・カプリス」の黒のケミカルレースのケープ(たぶん消費税込み9,450円?)横浜ルミネの中にあるこのブランドは、花柄のプリント柄のフェミニンでカラフルなしわ加工のブラウスやスカートと、レース使いのキャミソールが充実しており、根強い人気を保っているようである。いろいろ商品を物色していると、黒のレースのアイテムのみをかけてある斜めラックが目に入った。これは、晩夏から秋口にかけて、ゴシックムードの演出にはぴったりだぞ、と思いながら、「先に同じフロアを一回り見てから戻ろう」と思い、一旦お店を出ることに。ところが、である。15分後に戻ってくると、「ナイ(TT)」。私が買いたいと思っていた分だけでなく、もう1型違うタイプまでなくなっているではないか。嗚呼、今日はこれを買い逃したのが悔しくて悔しくて仕方ない。手持ちの黒のワンピースの上に羽織るのに丁度良かったのだが。みんな多分考えることは同じなんですよね。やはり、バーゲンでは迷うことは禁物、良いと思ったら即断即決せねば、と反省させられた次第である。■「ドルチェ&ガッバーナ」のラッキーホーンのネックレス(消費税込み19,950円)横浜そごうでは、最初「ジョセフ」か「セオリー・リュクス」くらいでパンツを買うつもりだったんだよね。ただ、他のブランドも含めて今一つ面白いデザインのものがないので、「これだったら岡山に帰った時にジーンズショップで綿の洗えるパンツを買った方がいいや」という気になり、サングラスを買う作戦に変更。ところが、8階の眼鏡売り場の品揃えがあまり多くなかったので、2階の特選コーナーに降りて物色を再開。「ドルチェ&ガッバーナ」で本来はメンズ向けだという黒のフレームに黒っぽいレンズのサングラスを試着。しかし、メンズ用だというのに、ほほの肉がフレームの下部に当たってなんだかしっくりこない。時計の針はもう7時30分を回っているし、サングラスを買うならやはり徹底的に試着して見た目だけでなく装着感を確かめないとまたゼニ失いになるなぁ、と反省。側にあったネックレス2種類を見せてもらう。4割引になっているのだが、正直、一流ブランドなのに材質はちょっとキッチュすぎるのでは、という気がする。しかし、デザインは確かに個性的だ。1種類は、キリスト様まで付いているロザリオ。チェーンが非常に長く、2重にしても巻けるくらいである。エメラルドグリーンのガラス玉が何個もあしらわれ、十字架も大小2個ぶら下がっている。お値段は9,000円台に下がっており、それなりに良いかも、と思ったが、さくら的にはキリスト様がついている表の面がすぐに裏返るのがとても気になってしまった。そんなことは気にせずガンガン動けばいいようなものなのだろうが。もう1種類は、実は今シーズンの立ち上がりから非常に気になっていたネックレスなんだよね。赤色のものとブルーのものと2色あるのだが、これって人参?それともまさか、男性の象徴???なんて思えるような、途中がしゅるっと曲がった細長い形のチャームなのだ。上の方にシルバーを型抜きした「DOLCE&GABBANA」の文字が踊っている。私の知人は、「いや、これはとうがらしに違いない」と言っていたのだが・・・。恐る恐るショップの方に、「これは何ですか?」と聞くと、「ラッキーホーンです」という返答が返ってきた。いわゆる水牛の角を模したものだとか。しかしこの赤い色を見ていると、何か気持ちが湧き立つ、というか、鋭気がみなぎってくるというか、恋に効きそう、というか(笑)、このわかりやすさが、セクシー系ヤンキー系成金系の皆様など幅広い層に受けるのだ、ということを改めて感じた次第である。ドルガバファンの皆さん、ゴメン。ちょっと表現キツイでしょうか。しかしさくらも、そういうアゲアゲノリは好きなのですよ(笑)。ところが、である、家に帰り包みを開けてみると、さすがにデザイナーズブランドである。ちゃんと黒いレザーのケースに入れて下さっているではないか!昨日読んでいた本『オルタナティブ・モダンー建築の自由をひらくものー』の中に、建築家の青木淳氏がロラン・バルトの『表微の帝国』の「日本の包みというのは立派にできているが、中を開けていくと、その中には包みと比べればほとんど無価値なものが入っている」というくだりを引用している一節があったが、「包み」って確かに非常に重要なんですよね。そういうものやら接客やら全て含めてデザイナーズブランドの価値になるのだ。これは捨てずに取っておこう、と思いましたよ。たまには高いものも買ってみるもんです。
2005年07月03日
という訳で、昨日日記をサボッたお詫びに今日は特別に2回目のエントリを。カキモトアームズ川崎店でカラーリングとカットとヘアトリートメントとネイルケアを施してもらってご機嫌になった後、隣のチッタデッラの中にあるアートブック&グッズの専門店で『オルタナティブ・モダンー建築の自由をひらくものー』(2005年3月、TNプローブ、大林組刊)を読んでいた。この本、新書版サイズで、5巻セット、という持ち運びやすくお洒落な装丁になっている。建設会社の大林組の研究機関・TNプローブ主催で昨年2月25日から7月5日までの間開催された全5回の同名の連続レクチャーの内容をまとめたものである。面白かったので0、1、2と命名された3冊分を一気に読んでしまったのだが、今日はその部分までの感想をここに記したい。出先の喫茶店で3巻を読んだ後、自宅に帰り、ネットで本書名を検索すると、講演会開催時や、本が出版されてから建築業界の方や建築に関心のある学生さんなどが書かれたブログやホームページがかなり引っ掛かってきた。正直、そういう方々の観点と、ファッション業界の端くれに居る私の観点は、共通する部分もあるが、かなり違っている部分もあるなと思い、非常に面白く感じた次第である。まず、ファッション業界ではルイ・ヴィトンの店舗6つの設計に携わった青木淳さんの知名度は非常に高く、業績も評価されていると思うのだが、建築業界の皆さんから見ると、「コンセプトがあいまい」「オルタナティブ・モダンのテーマに合致しない人選なのではないか」(round-about.orgというHPなんかもそういう感想を記している)だというご意見が非常に多いのである。青木氏がかつて唱えていた、「動線体」という理論が、ルイ・ヴィトンの店舗建築においては、壁面の装飾へのこだわりという方向に180度転じてしまったのではないか、というのが建築業界の皆さんの見方だ。私もその見方には全く賛成である。だが、そのように変容していった、しなければならなかった理由は、店舗建築というのが、住宅や公共施設などの分野とは違う特異な分野であるためだというのが私の考えである。同書の中で、青木氏が、「特にファッションビルの場合、建築家はインテリアにタッチできないことが多いと思います。インテリアはブランドの指定するインテリアデザイナーがやるわけです。そうすると建築家が扱えるのは外皮のデザインしか残ってない」(同書青木淳編P7)と述べているくだりがあるが、この記述は私にとっては非常に衝撃的であった。そうなのである、よく考えると普通の建築では外観と内部を含めたトータルデザインが建築家の仕事なのだ。建築業界が現在「オルタナティブ・モダン」の時代を迎えている、というのがこの企画の趣旨だが、オルタナティブ・モダンとは何かを考えた時、私は、建物の中で人間がどのようにすごすか、何を行うかが予め決定されておらず、建物の完成後も変わっていく、ということを前提とした、多義性を帯びた建築なのではないか、と解釈している。それからすると、ショップというのは全く逆で、「お買い物をして頂く場」なのである。何でも自由なことを行ったり、ただくつろいで頂く場ではない。そういう一つの目的に向かって人々を誘発しなければならない場所なのである。だから、内部=売り場は、建築家ではなく、売り場作りのプロであるインテリアデザイナーに任せたほうが良い、ということになるのだ。内部設計の自由を失った建築家・青木氏は、「ルイ・ヴィトンをやっている頃は、建物のラッピングに相当する外観だけを設計することに抵抗があった」(同書青木淳編P21)と洩らしているが、そんな条件を課された氏が徹底して拘ったのは、外観の装飾性である。トランクを重ねたようなデザインのルイ・ヴィトン表参道店や、直径10センチのエレメントを反復させ、透明なガラスなのに見る角度によって白くにごって見える壁面を作り上げた同六本木ヒルズ店など、美しいが、非常に個性的で一度見たら忘れないようなデザインである。こんな微細な点に拘ってどうなるのか、もっと建築の本質を突き詰めた方が良いのではないか、そういう疑問が建築のプロの方から出てくるのもわからないではない。しかし、こういう手法は、青木氏の明快な戦略に基づくものだと私は思うのだ。それは、「売り場に人を集客する」という目的に最も合致したツクリだからである。ラグジュアリー・ブランドのアイコンにふさわしい美しい外観と、一目見たら忘れない特徴あるデザインによるランドマーク性は、高額商品を購入しようと思う人々を引きつけずにはおかない。そういう、集客を旨とする施主=LVMHの意図に非常にマッチした最高のデザインなのだ。青木氏は、「ファッションにとって重要なのは、ファンタジーをつくること(中略)。そのファンタジーに合致したものが、ファッションとして高く売れる訳ですね」(同書青木淳編P20)と語っているが、これはファッションビジネスの本質を見事に言い当てた名言ではなかろうか。そういう青木氏の作業の手法が、まるでファッション業界にそっくりではないか、と思える部分があった。「BF BUILDING」の設計の際に、アンディ・ウォーホールのカムフラージュ柄を2枚のパンチング・メタルを重ねて作成する、というアイデアを出し、どのような解像度でどのようなスケールで作るかをいろいろ変えて何度も何度も試作した、というくだりである。これってそれこそ、テキスタイルデザインで柄の大きさや色の組み合わせをいろいろ変えてどれが一番美しいかを検討するプロセスそっくりなんだよね。ちなみに青木氏は、「カムフラージュ・パターンは、かなり特徴がある絵で図と地がないんですよね。どちらが図で、どちらが地か分からないようにできている」(同書青木淳編P30)ということまで看破している。この流れが、後半の講演会主催者との討論になった際、伊東豊雄氏が唱えるアルゴリズム論に対して青木氏が異論を述べる、ということにつながってくる。青木氏は、本当に美しいデザインはアルゴリズムからは生まれず、何度も何度も自分自身でいろいろ試してみなければならない、ということや、アルゴリズムをどこで打ち切るのかを決めるのは、結局人間なのだ、ということを主張している。自身の体験から出てきたこういう現実論、実証的な態度は、非常によくわかるな、と私は感じた。しかし、0、1、2までの3巻を読んだ感じでは、自由度、可変性の高い空間作りという新しい考え方は、店舗建築という分野にはやはりなじみにくい部分が多いのだろうな、という気がする。ただ、より広い見地から言うと、都市空間において、種々雑多な建築物の中の一部として、あえて購買行為に誘導される特殊な空間、というのも存在することが人々を楽しさと喜びを与える、ということも言えるのではないだろうか。この青木氏が設計した店舗ではなく、公共施設がこの秋に誕生する予定である。青森県立美術館(仮称)である。こちらについては、かつての青木氏の「動線型」理論を彷彿とさせる、ダイナミックで生き生きとした構造になっているようである。やはり、中身まで自由に設計できるか否か、というのは非常に大きいことなのだ。ルイ・ヴィトン以前、ルイ・ヴィトン時代を経て、現在に至る青木氏の真骨頂が発揮された建物になるのではなかろうか。開館が非常に楽しみである。
2005年07月02日
久々に徹夜明けのさくらです。昨夜は、友人達と、‘怪しいプロジェクト’を行った後、さくらが前勤めていた会社の後輩・I君と、うちのビルのテナントさんで働いておられるHさんと、Sお兄様と、某紙記者のHさんと4人で飲みに行き、最初のお店が閉店になってからは、記者Hさんと2人で別のお店に河岸を変えて朝まで飲んでおりました。しかし、朝までファッションについて延々と語ったのは本当に久々だなぁ。ちょっとここには書けない話のオンパレードになってしまったが。最後は、勢いがついてしまって自分の持っているデザイナーズブランドのワードローブについてまで彼に語ってしまいましたよ。でも、Hさんの知識と見識、そしてファッションをこよなく愛する心と、ジャーナリスト魂に感動した。ただただ尊敬、です。久々にファッションについて心ゆくまで語れて楽しかった。有難うございました。ご迷惑でなかったら、またご一緒させて下さいネ(^^)
2005年07月02日
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