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いままで福島原発事故の復旧のために危険を冒して現場に入って作業した人達の被爆度など健康チエックを指示したら、なんと184名の所在が不明だという。 これって、そうとうにおかしくない・・・・・? 推測するに、東電の社員より下請けの会社に集めさせた作業員の方が圧倒的に多かったであろう。 でも、いくら下請けの会社の社員または集めたスタッフにしても、氏名、住所などは把握しているのが普通だ。それがいままで累計で何名が作業のために現場に入ったかは知らぬが、184名と連絡がつかないというのは、かなりおかしい。 ・・・・・・となると、以前から耳にしていた噂が妙に信憑性を帯びてくる。 その噂とは、職も家もないホームレスを日当35万円で駆り集めているというものだった。 それが真実だとすれば、一日か数日間高い日当で仕事をして、再び元の生活に戻ってしまえば、当然所在は不明である。 さらにバリ島にいて、もっと厭な噂を耳にした。 日本国内だけではなく、アジアの国にまで人集めに来ている・・・というものだった。 当時は、そこまでは・・・・と半信半疑だったが、これだけの人数の所在が不明であるとすれば、噂は本当なのか・・・・? 政府は、事実を明確に把握し、発表すべきではないだろうか。
August 2, 2011
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東日本大震災、福島原発事故以来、なんかおかしい・・・・と感じていたことがあった。 それは、かつて経験したこともないほどの被害を受け、その対処と復旧に悪戦苦闘している中での自民党の対応であった。 自民党の対応は、電力会社や地方自治体に対してなんとも手ぬるいのだ。 電力会社への対応は、批判はおろか、対応策の提案もなく、補償に関しても口を閉ざし、責任を追及する姿勢などまるでなく、ひたすら民主党の揚げ足取り、粗さがしばかりで、海外に住みながらも、お前ら一体なんなんだ! 今は政府の批判よりも一緒になって対処すべき時だろうと歯がゆいことしきり。 その理由として、こうした体制を長年にわたって築いてきたのは何を隠そう自民党で、自分たちの責任を取りたくないので曖昧なのかな・・・と思っていたらとんでもなかった。 日本の新聞などで知ったのだが、大手の電力会社の政治家への献金は年間141億円で、その72%が自民党議員に渡っていたというのだ。そしてその見返りとして年間4500億円の税金が電力会社に支払われていたという。 道理で、自民党の電力会社への追及も脱原発も言えない訳だ・・・・・。 これって国民のための政治家ではなく、癒着した企業の為の政治家なわけで、そんな政治家いらない。 電力会社からの政治献金の72%が自民党に渡り、残りの28%はどこの党に渡っていたのか? はっきりしているのは政治献金を一切受けていないのは共産党だけで、そういえば共産党だけが、明確に脱原発を打ち出している。 政治は金の掛かるもの、選挙は金の掛かるものというのは常識だが、 それって、おかしくない? 以前、青島幸男だったか、選挙運動の時期に一切運動をせずに海外に行ってしまったが、結果は一位当選。 政治や選挙に金が掛かるとはなから思っているのはおかしい。今こそ根本から変えなくてはいけないし、どの党が中では一番国民のための政治をしようとしているか見極めなくてはならないのでは・・・・。 このままでは、日本は本当に終わってしまう・・・・・。
July 31, 2011
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二日前かな、日本のテレビの送信システムが東北三県を除いて全国一斉にアナログから地デジに切り替わったという。 地デジってなんなの? 今までの放送と何が違うの? そしてなんで今なの? 気になって調べてみたが、画像がきれい、双方向で参加もできる、TVショッピングもできる、さらにデータの取り出しができる・・・・などであった。 そういうことを積極的にやりたい人にはいいであろう。 でも、チョイスではなくて有無を言わさず切り替えるとなると、地デジシステムが内蔵されていないテレビを持っていた人は、新たに買い替えるか、設備を足すか、いずれにしろUHFアンテナを取り付けて調整してもらわなければならない。 その出費は数万に及ぶという。 震災で他府県に身を寄せている人たちも多かろう、その影響で会社の存続に必死で立ち向かっているひとたちも多かろう。牛肉、お茶などの販売が滞り、苦労している人もいる。 おそらくこの地デジの計画はかなり前から着々と進められていたのだろうが、なにも今でなくてもいいのじゃないだろうか? 震災もなく、経済も順調で、国民の大半が待ち望んでいるならいいけれど、なんとなく大企業の活性化の手助けをしているような気がするのは僕だけだろうか。 これってなんかおかしくない・・・・? そして、廃棄された大量のテレビは何処へ行くの?
July 27, 2011
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中国の温州市で高速鉄道の追突事故が起き、35名死亡、192名怪我。 技術や部品はドイツ、フランス、カナダ、日本から輸入したのにもかかわらず、アメリカなどで特許の申請をし、世界各国に売り込みを目論んでいた。 中国が独自に開発したのは制御システムだという。 これって、おかしくない? ・・・・・って思っていた矢先の事故である。 落雷で止まっていたのがカナダの車両で、追突したのが日本の車両だ。 技術や部品を輸出した国は10カ国余り。それを独自に開発したものだから特許は中国にあると言う主張は、かなりおかしく、そんな論理は世界では通用するはずもない。 国内で事故の責任を追及するブログが次々に出てくると、政府は必死になって削除。 言論の自由がいまだにない国は遅れすぎている。 日本の新幹線が登場したのは1964年。今から47年も前である。 そして今まで昨年だったか地震で脱線した以外に大きな事故は起きていない。 それが、開通したと思ったら、追突事故。車じゃあるまいし、高速鉄道が追突なんて信じられない。少しでも異常があれば、なにがなんでも取りあえず停車させるというのが鉄則であろう。 しかもである。転落した車両を壊して現場に埋めちゃったのだ。 あらららら、埋めちゃったよ・・・・とニュースを見ていて度肝を抜かれ、次に不謹慎だが笑ってしまった。そして、早くも運転再開している。 これって、かなりおかしくない・・・?
July 25, 2011
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バリ島でのASEAN地域フォーラムが終わった。 注目していたが 南シナ海の領海・領土問題は、相変わらず中国の強硬姿勢に大した変化はなかったようだ。 中国といえば、かつてほぼ全地域を廻ったし、上海には一年余り逗留したこともあるので、好きなところだったし各地域の料理も心底旨かった。 中国では、白酒という強い酒を酔うまで呑ませた挙句、太平洋戦争の中国侵略を叱責されるのが常だったが、これは致し方があるまい。でも、中国の人の多くが、なかなか信用してくれないがひとたび信用すると、とことん親身になってくれる人が多かった。さすが四千年の歴史を誇る国は奥が深いとしみじみ思ったものである。 ところが、最近の中国はちよっとおかしい・・・・。 日本とは尖閣列島での漁船の侵犯、韓国でもしかり。フィリピン、ベトナムとも問題を起こしている。軍事費の海軍の予算の大幅アップ、空母の製造と経済大国に躍り出た途端に傍若無人ぶりが目立つ。 南沙諸島の領土・領海問題にしても、地図を広げてみれば中国の主張はちよっとおかしいんじゃない・・・というのが明白。西沙諸島ならまだ仕方がないと思うが、南沙諸島は中国本土からほど遠い。 ふつう領土・領海を主張するなら、本土から近く、仮に少し遠くても、まあ、欲張り言って・・・と我慢もできるが、南沙諸島は中国本土から遠すぎる。 かつて経済も強かった大国アメリカは、お前が世界を動かしている積りかとむっとするほど傲慢だったが、そのアメリカの勢いが弱まった今、中国が好き勝手を始められては困るよね・・・・。
July 25, 2011
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漁師モール・バリ・ギャレリア店に新メニューが登場しました! それが、これです! しゃぶしゃぶです しゃぶしゃぶを食べたいけれど高いよなァ・・・という声をよく聞きます まあ、バリでしゃぶしゃぶを食べればそれなりの値段です。 ところがこのセットはなんと たったのRp.65,000 ! 20%ディスカウントだから Rp.52,000 ! という安さ。追加オーダーは牛肉が一皿Rp.30,000うどんがRp.20,000,野菜盛り合わせがRp.15,000 しかもおひとり様だけでもこうして卓上で召し上がれます。たれは、ポン酢と胡麻だれ。 この値段だと、それなりの味だろうとお疑いの方、どうぞ一度お試しください。 たしかにバリで牛肉は苦労するローカルの牛肉は合わないし、オーストラリアやニュージーランドからの輸入肉も、肉の味としてはイマイチ。輸入の和牛の霜降りでも使えばそれは美味しいに決まっていますがとなると値段が高い・・・・。 ところが輸入は輸入でもUSAビーフの値段も味も合格点のを見つけたのです というわけで即座にしゃぶしゃぶを漁師モール・バリ・ギャレリア店だけで始めました。 ちなみに、このUSAビーフを使った牛丼もRp.35,000で始めました。上に紅しょうががたっぷりのっています。
July 9, 2011
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漁師モール・バリ・ギャレリア店で始めた朝食弁当です白身魚の照り焼き、鶏の唐揚げ、玉子焼き、胡麻和え、茄子味噌に豆腐とワカメの味噌汁がついてRp.24,000月曜日 ~ 金曜日10:00 ~ 12:00 そしてこれがお昼のビーフ照り焼き弁当 ビーフ照り焼き、かき揚げ、胡麻和え茄子味噌に味噌汁 これがお昼のミックスフライ弁当 エビフライ、チキンカツ、ポテトカツ、揚げ出し豆腐、胡麻和え、茄子味噌に味噌汁 Rp.28,000 月曜日 ~ 金曜日12:00 ~ 15:00 是非お立ち寄りくださいお待ちしております
September 20, 2010
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漁師モール・バリ・ギャレリアで始めた朝食と昼食のお弁当の写真です 朝食弁当Rp.24,00010:00 ~ 12:00 ビーフ照り焼き弁当とミックスフライ弁当Rp.28,00012:00 ~ 15:00
September 19, 2010
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漁師モール・バリ・ギャレリア店でお得な弁当を始めました! 朝食弁当はこれ 白身魚の照り焼き、鶏かの唐揚げ、玉子焼き、胡麻和え、茄子味噌に豆腐とワカメの味噌汁がついて Rp.24,000 月曜日から金曜日までの10:00 ~ 12:00 そして昼食弁当はビーフ照り焼き弁当とミックスフライ弁当 ビーフ照り焼き、かき揚げ、胡麻和え茄子味噌に味噌汁 エビフライ、チキンカツ、ポテトカツ揚げ出し豆腐、胡麻和え茄子味噌に味噌汁 Rp.28,000 漁師で食べる時間のない人にはテイクアウエィも可能ですので遠慮なくスタッフにお申し付けください。もちろん味噌汁も! 料理の内容は時々変えていく予定ですので是非一度お試しください。 お待ちしております
September 18, 2010
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漁師モール・バリ・ギャレリア店でお得なお弁当を始めました! それは朝食弁当 白身魚の照り焼き、鶏の唐揚げ、玉子焼き、胡麻和え、茄子味噌これに豆腐とワカメの味噌汁がついて Rp.24,000この朝食弁当は月曜日から金曜日の10:00 ~ 12:00 まで そして昼食弁当がやはり月曜日から金曜日の12:00 ~ 15:00で ビーフ照り焼き、かき揚げ、胡麻和え茄子味噌に味噌汁 もうひとつが、 エビフライ、チキンカツ、ポテトカツ揚げ出し豆腐、胡麻和え茄子味噌に味噌汁 これで Rp.28,000 朝食弁当、昼食弁当ともにテイクアウエィ出来ますのでスタッフにお申し付けください。 なお弁当の内容は 時々変えていきたいと思っております。 どうぞお立ち寄りください。お待ちしております。
September 18, 2010
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バリ島のMal Bali Galeriaの『漁師』の前のスペースでFood Pasarが22日まで催されている。 当然、『漁師』も出店 漁師が売っているのはこれ そう、たこ焼きを注文があって焼くのでアツアツ! 6個で値段はRp.10,000 中の具はタコ、イカ、エビマヨネーズ、ソーセージ+チーズなどお好み次第 さらにお好み焼も! そしてこれ・・・・ 鯛焼きで中には練り餡ただし、魚の形の鋳物がないので丸い。 困ったのはネーミングボスと思案に暮れていたらスタッフが『見たまんまでBola mas yakiにしたら?』と提案。ボスと僕は思わず目を合わせニヤリ 金の玉では、まんまであるがそのまんまスタッフの提案を受け入れた・・・・ 日本語の判る人に笑ってもらえれば、それでいい・・・。 なお、これらはFood Pasarが終わってもMal Bali Galeriak『漁師』ではメニューに加えます。 どうぞお試しください。
August 15, 2010
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8月5日自分で作ったのは朝食だけ。料理のうちにも入らない玉子パン、トマトに牛乳。 『漁師』のセントラルキッチンに入り、各お店に届ける食材やストックのチェックをして道沿いにある『Sakanaya』で仕入れ状態や鮮度を見る。 カニに姫サザエに、マグロなどなど・・・・。さばいたばかりのマグロの味見で昼食。 マグロとサーモンの刺身に赤米。 この赤米、日本では古代米といわれているもので白米に比べてたんぱく質、ビタミン、ミネラルを多く含みこのように白米と混ぜて炊くと旨い! 刺身を食べていると足元からじっと見上げる視線・・・・ 欲しがって鳴きもせずひたすら待っているので刺身のを少々やると ご覧のように目を細め、あまりの美味しさに舌が出てしまった・・・ さて夕食はスミニャックの『漁師』で、今日から海老を大きくした海老天重 これでRp.65,000 旨いし、これはお得です!
August 6, 2010
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八月一日、日曜日。 日曜はアパートで過ごすことが多く、洗濯したりアイロン掛けしたり、掃除したりで、こうした事も苦にならない。 ところが、食べるためにわざわざ出かけるというのは億劫。 となればおのずと、自分で料理することになる。 今日の昼ご飯はこれ、鯛茶漬け・・・・。 鯛茶漬けは、思い出深い食べ物である。 今は亡き母が脳幹梗塞で倒れ、救急車で運ばれた病院へ駆けつけると、母は『鯛茶漬けが食べたい・・・』と言った。とても食べられる状況ではなかったのだが、『判った、退院したら食べようね。だから早く治さなければ』と兄と励ました。 その母は、僕が中国に取材に行っている最中に亡くなり、死に目には会えなかった。帰国するなり、兄の家に行き、母を偲んで兄夫婦と母が食べたがっていた鯛茶漬けを食べた・・・・。 そんな鯛茶漬けが僕も大好きだが、食べるたびに母が偲ばれる・・・。 そして夜は、昨日仕入れたばかりの100Kg近いキハダマグロの刺身・・・ 寝かしが足りないものの、甘くて美味であった・・・。 そして、里芋の白煮・・・ 野菜のサプライヤーがサンプルとして持ってきたもので、『漁師』のメニューにどうだろうと作ってみたが、ほっこりとしてこれも美味しかった・・・。 それと昨日作った手羽と野菜のトマトスープの残りを冷蔵庫から出して温めなおした。 なんだか、まとまりのない取り合わせであったが、食べ過ぎた・・・・。
August 1, 2010
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今日から『漁師』のエビフライが豪華になった! 今まではどちらかといえば小さめの海老が5尾だったが、今日からは15センチほどの大きな海老が3尾でボリュムたっぷり、甘さも増して、値段は据え置きのRp.49,000ルピア。 それがこれ! サンプルの写真の出来はよくないが味は抜群で、お腹いっぱいになった。 どうか一度お試しください。 さらに免税店のあるMal Bali Galeria内の『漁師』では近々、たこ焼きを始めます。値段は六個でRp.10,000。 今連日スタッフがたこ焼きの特訓中ですのでしばらくお待ちください。
July 29, 2010
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残された余生、可能な限りあちこちで子種を残すのが生き甲斐という源さん、思惑通りにロンボクのうら若きおねえちゃんを孕ませたまではよかったが、それがデウィちゃにばれ、『堕して!』 と請われても拒み、『たくさん子供が欲しいならまた私に生ませて!』 と嘆願されても頷かず、ついに『それが厭なら、私も源さんのように次々と別の男の子供を孕むわよ』 と女の切り札ともいえる逆襲にあって、流石の源さんぐうの音も出ず、恨めしそうに助太刀を請う目線をボクに送る。 知るかい、そんなもの・・・。 手前が蒔いた種だろうが、手前でなんとかしろよ。 そんな心が顔に出たのであろう。『なんや、その冷たい薄ら笑いは!』と見透かされ一瞬慌てたその時である。 なにを思ったかデウィちゃん、『じゃあ、源さんは先に帰っていいわよ』『うぬッ・・・・?』 と訝るボクを尻目に源さん、『おおきに、ほな、そうさせてもらうわ』 そそくさと立ち上がる。 ちょっと待った。 この後デウィちゃんから、愚痴を聞かされるのも泣かれるのもかなわぬ。『ちょっ、ちょっと待ってよ。一緒に帰ってくれよ』『なんでや?』『なんでや・・って、困るよ』『ええやんか』『よくないよ』『そこを何とか頼むわ』 デウィちゃんに見えないように右手の小指をそっと立て、『来るんや・・・』 即座に察した。 孕ませたロンボクのおねえちゃんである。 三人が出くわせば、それこそ大事。とはいえ、源さんのためにこれ以上翻弄されるのは真っ平ゴメンである。 どうしたものかとわずかに思いあぐんでいる隙に、源さん脱兎のごとく立ち去った。 呆気にとられていると、泣くどころかデウィちゃん、妖しい濡れた瞳でにっこり微笑みかけてきた。 えっ、なんだこれは・・・・? 厭な予感がする・・・・。 そして、恐れていた鉢合わせが突如現実のものとなったのである・・・・。
July 25, 2010
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二日前の夜のことである・・・・ その夜、僕はスミニャックの漁師に入らず新しいメニューの試作に取り組んでいた。 すると、漁師のスタッフから電話が入った。『マモさん、日本人が・・・・』というところまでは聞き分けたが、興奮のあまり早口過ぎて聞き取れぬ。 耳をそばだて聞いたところ、日本人の若いカップルが料金を払わずに逃げようとしたというのだ。 食い逃げである・・・・。 スタッフを落ち着かせ詳細を聞くと次のようなものだった。 『漁師』スミニャック店の2階で食事をしていた若い日本人のカップルが、1階のトイレに行く素振りで降りてきて、まあ一応はトイレに入ったのだが、しばらくして出てくるや、すぐ脇の裏手にある駐車場に向かう道に降り、そのまま早足で外に出てスーパーのビンタンの方角に早足で立ち去ったというのだ。 しかしスタッフがそれを見逃すはずがない。 伝票を掴むや即座に追いかけ、『お支払いをお忘れですが・・・』と声を掛けた。日頃こういう客がいても咎めずに、こう言うようにいってある。すると大半の場合は、咎められずに支払いをうっかり忘れていたという状況で言えば即座に払う。まあ、言い訳は多いが・・・・。 ところが、くだんの若い日本人カップルは、とぼけたという。 そんなことで引き下がる漁師のスタッフではない。『払わないのなら警官に来てもらって、一緒に話しましょう』と言うや、慌てて払ったという。 食い逃げしようとした日本人は初めてである・・・・。 この場合は、うっかりとか、相手が払ったとお互い思っていたとか、ほろ酔い気分で・・・などというのではない。明らかに、確信犯である。 2階から降りてきて、一度トイレに入り、出てきたら、早足で立ち去ろうとしたのだから・・・。 その後、スタッフの全員から非難を浴びせられたのは言うまでもない。『日本人は、こんなひどいことするのか!』『日本人はとんでない人種だ!』『たった20万ルピアも払えないならバリなんかに来るなよ!』『そんなの泥棒と同じじゃないか!』 罵詈雑言は止むことがない。 それを一手に浴びるのも仕方がない。僕も日本人なのだから・・・。『済まなかった・・・』と謝るしかない。言い訳は無用である。 たった二千円を食い逃げしようとした日本の若いカップルへの非難はバリに住むすべての日本人に向けられる。 日本国内では何をしようと本人の責任であるが、ひとたび国外に出ると、背中に日本という国を背負っていることを知って欲しい。 恥ずかしい限りの一件であった・・・。
July 24, 2010
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さて、遅ればせながらクイズの正解です。 bali★toshi さん 大浴場 bcat2001 さん 大浴場 というお答えでしたが、お二人とも正解です! bali★toshiさん、早くバリにいらしてください。マグロ、マグロの頬肉の塩焼きなど、いらした時に美味しいものを精一杯サービスさせて頂きます。bcat2001さん、是非バリにいらして下さい。バリ島はいい所ですよ! このクイズのネタは実際に、この15名の日本人男性の団体に対応した日本人スタッフから直接聞いた話しですが、 この15名の中年男性の団体さんは、フロントのあるロビーにやって来て、何かを探してきょろきょろしていたのですが、その格好を見て、一目で何を探しているか判ったそうです。 というのも、この団体さん、揃いも揃って客室に備え付けの真っ白のバスローブを着込み、しかも、全員が手に同じようなものを持っていたとの事。それは、色とりどりのプラスティックの桶、中には手拭、石鹸、シャンプー。『大浴場はどこ?』『あのう・・・、お客様、大浴場はないんですが・・・』『なんだ、こんなに大きなホテルなのに大浴場はないのか!』『申し訳ありません、なにしろバリなもんで・・・大プールならあるんですが・・・』『たいしたことないなあバリも!』 などと口々に散々文句を言いながらも仕方がなくひきあげて行ったそうです。 マジかよ・・・って驚いたものの、全員が用意周到、プラスティックの風呂で使う桶まで持参するとは、なんとも微笑ましくもある。 これからバリ島にいらっしゃる方、バリ島のホテルには大浴場はありませんから、注意してください。くれぐれもプラスティックの桶までトランクに入れてこないように・・・。
July 18, 2010
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ムシャクシャしている理由は、参議院選挙である・・・・。 民主党が大敗した。 それは、それなりの理由があったといえるだろう。 政権をとるや、政治と金の問題、普天間の米軍基地の問題、そして後半には消費税の問題。わずか十ヶ月で代表と幹事長が退陣・・・。 となれば国民は、どうなっているんだ! と不安にある。 それに拍車を掛けたのが自民党の総裁と幹事長の、事あるごとに民主党への攻撃だった。 そんな発言をバリ島のNHKで見るたびに、なんと品位に欠ける、下劣な攻撃だろうと思っていた。民主党は、永年政権を担当していた自民党のツケをかぶって政権を担当し始めたところじゃないか!自分たちの無能さと、だらしなさを棚に上げてガラの悪い言い方で民主党を攻める腹黒さに舌を巻いていた。 それでも、そんな自民党に嫌気がさして民主党を選んだかしこい国民は、自民党の総裁や幹事長の言葉には惑わされるはずがない・・・と信じていた。 それなのに国民は、自民党を選んだ・・・・。 なんてこった・・・、ここまで暮らしにくい、夢のない、仕事もない、まともに暮らせない日本にしたのは自民党じゃないか。そんな責任を一切取らず、民主党を攻撃だけした自民党に、また政権を委ねようというのだろうか・・・。 僕は別に民主党支持者ではない。民主党の迷走ぶり、約束違反など目を覆いたくなるようなこともあった。でも、自民党よりまだマシだと思っていたのに・・・。 昨晩からムシャクシャしているのは、このためである。 こんな風に感じた僕は間違っているのだろうか・・・・。 そこで気晴らしにクイズをひとつ! 今から七、八年前のこと。 バリ島の超有名ホテルに日本人のオジサンの団体15名ほどがやってきた。そんなオジサンたちが揃ってフロントのホールに下りてきて、しきりにあちこちを見ながら何かを探している様子。 当然英語もインドネシア語もだめ。 それを見たホテルの日本人スタッフが、早速近寄り、『なにかお探しでしょうか?』と声をかけるや、『xxxは、どこにあるんだ?』 さて、ここで問題です。 この15人の日本人のオジサンの団体は、いったい何を探していたのでしょうか? ちなみに問題に書かれているxの字数には関係ありません。 ご正解の方には、『漁師』で特別サービスとして、その日の美味しいものをサービスさせていただきます。
July 12, 2010
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デューテイ・フリー・ショップがあることで知られるモール・バリ・ギャレリア内に漁師をオープンしました! シンパン・シオールから入ると先ず免税品店があり、その次にACEハードウェア店があり、そのACEを出てマタハリやハイパーマートの方向に進むとフードコートの中心に庭があるが、その中庭に出る直前の右側に漁師があります。マタハリの入り口からお入りの場合は入って左のほうに進んでいただければ中庭の終わったところの左側が漁師です 営業時間は午前十時から夜の十時過ぎまでです。 モール・バリ・ギャレリアにお越しの折りはどうぞお立ち寄りください。 新しいスタッフ一同お待ち申しております。
April 23, 2010
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こちらでは子供や旦那がおいたをしたり、言うことを聞かないと耳たぶを掴んで力任せに捻りあげるのが常である。 この方法だと、お尻を叩くように自分の手も痛くなく、痛みは強烈で逃げることもままならず、まことに有効な懲らしめ方といえる。 デウィちゃんに耳たぶをめいっぱい捻りあげられた源さん、見る見るうちに顔を真っ赤にし、 『た、たのむ・・・ワ、助けたってェ・・・・な・・・』 と哀れな悲鳴。 『なに大丈夫、死にゃしないよ、せめて耳が千切れるていどだよ』 天罰だとばかりに冷酷にほくそ笑むボクを見るに至って源さん、 『おんどれッ、いてまうどォ!』 と脅してみたって、涙目ではとんと迫力はない。 それより、どうしたものか・・・・。 このボクがいくら浅知恵を働かせども、妙案など思い浮かばず、まさに、にっちもさっちも行かぬ・・・。 余生、可能な限り子供を作りたいというのが源さんの生き甲斐である以上、それをとやかく言ってみたところで始まらぬ。 一方デウィちゃん。 知らぬうちに源さんが他所で子供を作ったというのが露見した限り、激怒するのは至極当然。 ここインドネシアでは四人まで妻を持つことが法律で認められている。とはいえ、第一婦人の許しがあってこそ初めて第二婦人を持てるし、第三、第四となれば、それまでの全員の許しが必要。 それを無視すると騒動が巻き起こる。第一婦人が第二婦人の家に押しかけ、殴る、暴れる、石を投げて窓を壊すなどという事件は日常茶飯事で、下手をすると刃傷沙汰となる。 どのみち源さんが、最初にちゃんとデウィちゃんに引導を渡していないことに非があるのだが、それをいまさら咎めても後の祭りである・・・。 『ど、どないせえ言うんや・・・!』 『子供を堕すのよ!』 『それは、できん相談や・・・』 『なんでや!』 日頃の源さんの関西弁が移ったデウィちゃんに思わず吹き出すと、源さんデウィちゃんふたりに同時に睨まれ、慌てて下を向く。 『それが、わいの生き甲斐なんや』 そう、その調子。ちゃんと言えばいいのだ。 源さんの生き甲斐をしばし聞いていたデウィちゃん、 『ひとりでも多く子孫を残したいなら、別の女じゃなくて、また私に作ればいいじゃない』 『・・・・・・・』 源さん、うう・・・と呻くだけで答えに窮する。 『違うマモさん?』 こっちに振られても困るが、なるほど一理ある。 『それが厭なら、私も源さんのように次々と別の男の子供を孕んでもいい?』 『うう・・・・・』 更に苦しげに唸るばかりの源さん。 『違うマモさん?』 これまた道理である。 二十歳そこそこの娘に正論でやり込められて、七十歳を越した源さん太刀打ちできず。 もはや万事休すか、源さん・・・・。
March 18, 2010
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庖丁の刃でペタペタと源さんの頬を叩いて詰め寄るデウィちゃん。 この状況は極めて拙いが、はて、どう打開できるのか、どんな策があるのか・・・・。必死に模索するが、妙案などさらさら思い浮かばぬ・・・。 だって、そうであろう。源さんがほかで子供を作ってしまったのが、ほんの浮気心、出来心、失敗、ついふらふらと・・・というのであれば、まだまるく治める手段もあろうが、源さんの場合は違う。 まさに確信犯。 齢七十を越え、残り少ない人生の生き甲斐が、出来る限りあちこちで子供をつくり、自分の子孫を増やしたいというのだから、開いた口も塞がらぬ。 とはいえ、その源さんの生き甲斐をとやかく説教する筋合いではない。しかも、大阪の古女房は、それを認めているというのだからなんとも肝っ玉がでかい。 その手始めにデウィちゃんに子供をつくり、はや二歳。そこで、虎視眈々と次の計画に移したのであろう・・・・。 『デウィちゃんに源さんの真意は伝えてないの?』 『アホ抜かせ!言えるかいなそんなもん』 いままで神妙に床に両手をついてひれ伏していた源さん、やにわに顔を真っ赤にしてこちらをギョロリ。 『言うたのは、結婚は出来へん、その代わり一生喰うのは不自由させん・・・それだけや』 『それはいい。だけど黙ってほかに子供を作ったらデウィちゃんが怒るのは当たり前だろう』 『ほな、どないせえ言うんや!』 ボクが源さんと話している内容が判らぬデウィちゃん、細心の注意を払っているものの、顔の表情が先ほどより落ち着きを取り戻している。 今がチャンスだ! 『デウィちゃん、この源さんは酷い奴だよ実際。構うことはないよ、その庖丁でひとおもいにブスッとやっちゃっえば』 そう言うなりデウィちゃんの手が伸びて、庖丁を掴んだ・・・。 刃先を源さんに向けて睨みつけている。戸惑いを見て取るや、 『やれないんだったら、自分を刺しちゃえば』 刺身庖丁の刃先がゆっくりと胸元に向いた・・・・。 そのデウィちゃんの手がぶるぶると震えたかとおもうと、パッと庖丁をテーブルに投げ棄てた。 そこをすかさず庖丁を奪い取った。 だが、こちらを見たデウィちゃんの眼に怒りはなかった・・・。 『なん言うたん?』 『ひとおもいに源さんを刺しちゃえば・・・って』 『なんやて! えげつない奴ちゃなァ!ほんま見損なうたでェ!』 『なんとでもほざけ、この糞じじい』 と、なんとか庖丁はこっちの手に渡ったものの、問題は一向に解決しておらず、 『どこの女か知らないけれど、すぐに子供を堕して!』 デウィちゃん、源さんに詰め寄るや、耳たぶをグリグリと力任せに絞りあげた。 さあ、源さんどうする・・・・・。
March 8, 2010
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『事によってはアンタを刺すか、自分を刺すからね!』 ソファに浅く座るなりデウィちゃん、目の前のコーヒーテーブルにピシャリと刺身庖丁を置くと、源さんをギラギラと睨み据えた・・・。 まったく、なんてこった・・・・。 犬も喰わぬ夫婦喧嘩は外でやってくれ! と二人ともほっぽり出したいところだが、そうもいくまい・・・・。 突然身に降りかかった不運を恨みながらも、でのタイミングで刺身庖丁を奪うか、その機会を窺っていた。 なにしろこちらの人間は逆上すると何をしでかすかわかったもんじゃない。このボクだって、以前漁師のセントラルキッチンで、トレーニングの若い男にちょっと注意しただけで肉切り庖丁を突きつけられた経験がある身である。 いくら若くて可愛いデウィちゃんといえども、裏切られ、騙され、傷つけられたとなれば咄嗟に何をするか予想もつかぬ。まあボクは当事者じゃないから余程のことがない限り刺される事はないだろうが、源さんが刺されてもデウィちゃんが己の胸を刺しても、この部屋が血の海になるのは、想像するだにおぞましい・・・。 ここはひとつ、一歩引いて静観の立場を取りながらいつか刺身庖丁を奪おう。 『他の女に子供が出来たっていうのは本当なの!』 『・・・・・・・・・・・・・』 源さん、苦虫を噛み潰したような顔で沈黙。 『えっ、どうなのよ!』 『・・・・・・・・・・・・・』 『はっきり言いなさいよ!』 本当であることをボクは知っている。だが、ここは、取りあえず否定するんだよ源さん。と、目で必死に訴えかけるが、 『すまん、この通りや・・・・!』 ガバッとひれ伏した源さん、深々と額を床に押し付けた。 あァあ・・・・・言っちゃった・・・・。 白を切り通せば、打開策も考えられようものを、ここで白状しちゃったら刃物を持っているだけに危ない。といっても、したたかに嘘を突き通さないところが源さんのいいところでもあるし、なんとも潔いのだが・・・。 『そうなのね・・・・』 デウィちゃんの手が刺身庖丁に伸びた。 そこで、すかさず、 『ねえデウィちゃん、なんか飲まない? なにがいい?』 『アラック、ウオッカ、ジン、ウィスキー、強いものならなんでも』 冗談じゃない。このうえ、アルコールを入れたら、まさに収拾がつかなくなるのは明白。 『ごめん、酒ないんだよ今・・・』と嘘八百。 『なら、アクアでいい』 ボクを見たデウィちゃん、能面のように蒼白。にこりともしない。 グラスに冷えたアクアを入れて戻ってくるとデウィちゃん、さっきは手にしていた刺身庖丁をまた目の前のコーヒーテーブルに置いているではないか。 よしッ、グラスを置くと同時に奪おう! と、思ったが、ボクが近寄ると、さっと庖丁を手に取った。失敗だ・・・。 『何処の誰なの、その女は!』 デウィちゃんは、床にひれ伏した源さんの頬をペタペタと刺身庖丁で叩いた・・・・。
March 3, 2010
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『マモさん、セキュリティのマデです。どうしました?』 ものの一分もしないうちにドアの外から声がした。 聞き覚えのあるその声は、まさしくマデのものである。 『いやァ・・・その・・・友達が中にいて・・・、外にいる女性は、その奥さんで・・・、実は、その・・・ちよっとトラブルがあって・・・それはそれでいいんだけど、問題はなんというか・・・』 と、ボクの状況説明は、オタオタとなんともだらしない。 『とにかくドアを開けてくださいよ』 『それが出来ないから呼んだんだよ。友達の奥さんと来た男が問題で・・・』 『ちゃんとガードしているから大丈夫ですよ』 現職警官マデの声はあくまで冷静沈着。 そこで、そっとドアを開けてみて、さすがと舌を巻いた。 人相のよろしくない男ふたりとデウィちゃんを廊下の向こう側に押しやり、その前に立ちはだかるセキュリティのマデ。更にボクの部屋の前にはアパートのスタッフがふたり立ち塞がっていた。 頼もしや! 二人の男は、いかにもこわおもてでボクの後ろに隠れている源さんを睨みつけ、デウィちゃんは、怒り心頭の様子がありあり。 手早く仔細を説明する。 テウィちゃんは部屋に入って源さんと話してもいいが、兄弟と称するふたりの男は認めない・・・と。 と言っても、納得するはずがないが、マデが現職の警官と判ると不承不承うなづく。素性は知らぬが、子供の使いじゃあるまいし、すごすご帰るのでは腹の虫も収まるまい。それに、ボクのアパートの所在を知ってしまった。また押しかけられたら面倒である。 そこで、すかさず十万ルピア札を一枚ずつ握らせると、途端にニコニコと礼を言って引き上げて行った。なんとも詮無いことである・・・。 てな訳で、デウィちゃんだけ招きいれたのだが、とんでもない修羅場が始まったのは、その直後だった・・・・・。 なんとデウィちゃん、入るなり、どこに隠していたのか刃渡りの長い刺身包丁を取り出したのである・・・・!
February 26, 2010
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ドアの前でピタリと足音が止まったので、ボクと源さん、申し合わせたように息をひそめ、身じろぎもしない。 一瞬間をおいて、ドン、ドン、ドン! いかにも怒りを込めた荒々しい叩き方である。 ドン、ドン、ドン! ひたすら無言で通そうと思った矢先である。 『いるのは判っているわよ、さっさと開けなさいよ!』 金切り声の主は、当然ながらデウィちゃん。 『ばればれだよ。こうなったら開けるしかないだろう』 源さんの耳元で囁くと、 『あかんあかん』 とボクの腕を必死に押さえる源さんの手が小刻みに震えている。こんな時にまことに不謹慎ながら、その恐がりようが妙に可笑しく可愛らしく、思わずニヤリとすると源さん、無言のままこれでもかというばかりにギョロ目で睨み迫る。 こうなれば潔く開けるしかないのだが気懸かりは、複数の足音である。 一体デウィちゃん、誰を引き連れて押しかけてきたのか・・・。それによっては開けるのは拙い。 仕方なくボクが、 『やあ、デウィちゃん』 と声を発するや、源さん、この裏切り者とばかりに顔を真っ赤にして、無言でげんこを振り上げる。 『マモ、開けてよ、いるのは判っているんだから』 『その前に、一緒にいるのは誰?』 『・・・・・・兄弟』 デウィちゃんの返答に躊躇が滲む。 さて、この兄弟というのが曲者であり、厄介なのである・・・・。 インドネシア人は、なにかといえば兄弟と称するものがしゃしゃり出て、介入とてくる。本当の兄弟なのか、親類なのか、単なる知り合いなのか皆目判らぬ。 トラブルになった当事者は良くても、介入してくる兄弟と名乗るのが、入れ知恵し、根こそぎ搾り取ろうとするのを多く見てきたのだ。 『源さん、彼女には兄弟がいる?』 『バンドンにはいると言っていたが、バリには・・・・』 と、なんとも心もとない。 『デウィちゃんだけなら開けるよ』 『さっさと開けろ!』 『開けなければドア蹴り破るぞ!』 どうやら男がふたりいる。 これは、迂闊に開けるととんでもない事になるかも知れぬ・・・。 『なんのなんの、ドアなど蹴り破れんやろ』 源さんが、ほざく。 とんでもない。このアパートでは、今までに2回蹴り破られている。一度は、二階で酔って帰ってきた外国人の男が部屋を間違えノックし、中の人が恐がって開けなかったら、たちまち蹴破った。もう一度も二階で、留守の間に男を引っ張り込んだ時に運悪く男が帰ってきて大騒動となった。 バコーン、バコーン! 外の男がドアを蹴り出した。 『セキュリティを呼ぶぞ!』 『セキュリティなんて恐くもないぜ』 『そうかなあ、このアパートのセキュリティは現職の警官だぜ』 『嘘に決まってる』 バコーン、バコーン! 嘘なもんか。 このアパートのセキュリティは警官だ。地下のセキュリティルームに電話をすれば、飛んでくる。 ボクは、その場で電話を掛けた・・・・。
February 13, 2010
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濡れねずみに裸足で、真夜中に飛び込んできた源さん。 かくまってくれ・・・・とは尋常にあらず。 仔細を聞く前に、なにはともあれ源さんを強引にシャワールームにぶち込む。 ぶちこむとはいささか手荒だが、風邪でもひかれたら・・・という心遣い30%に腹立ち70%。 なんせ七十を越した老齢の身、風邪をこじらせると恐い。といえども、源さんが飛び込んでくると間違いなく騒動も一緒だ。安らかな日常は、あっという間に翻弄される。今度は、何をしでかしたのか・・・・。 シャワーから出てきた源さん、狭いアパートの中を難しい顔してそそくさと歩きまわり、道に面したところの灯りを消して、ドアは二重ロックの挙句にチェーンまでかけ、 『マモさん、携帯電話の電源切ってや』 『えっ・・・・・?』 『いくら居留守をつこうても、ドアの外から携帯鳴らせばばれるやろ』 なんとも切羽詰った用意周到である。 源さん、なにやったんだよ! と、即座に畳み掛けたいところだが、ぐっとこらえて熱い緑茶を淹れる。 バクチでトラブルか・・・、麻薬がらみのトラブルか・・・。 もしそうなら追っている相手は面倒である。が、源さんは知っている限りでは、バクチはやらないし、麻薬などに手を染めるジジイではない・・・・。となれば、金のトラブルか、酔った挙句のたわいない喧嘩か・・・・。 それも、どうもないと踏む。 源さんに最もあり得るのは女とのトラブルだ。 といってもあなどれぬ。 殺傷事件、傷害事件の大半が、怨念、恨みのインドネシアである・・・・。 『女か・・・・?』 『なんで判るんや!』 『判らんでかいな、この助平ジジイ』 『あんなあ、何度も言うとるやろ、気色悪い関西弁やめときいな! それに、助平ジジイに助平ジジイと言われとうないわい』 『デウィちゃんがいるのに、他のねえちゃんに手を出したんだろう?』 『図星や。それだけならまだええが、そのねえちゃんにやや子が出来たんや。それがバレてしもうた・・・・』 なんというジジイだ・・・・。 あんた遊びなはれ、酒も呑みなはれ・・・と大阪の古女房に芸のためではなく、年老いてなお盛んな源さんが煩わしくなって凧の糸を切られ、ここバリ島で、二十歳そこそこのデウィちゃんと暮らし、いまでは二歳になろうとする大五郎という息子までいるというのに・・・・。 いくらその大五郎を認知し、デウィちゃんには一生暮らすには充分な金を渡してあっても、他でまた子供を作ったとなれば激怒するのは至極当然。 『ほいでな、殺したると包丁振り回すもんだから、必死に逃げてきたんや。頼む、助けたってえな、この通りや』 源さん深々と頭を下げる。 と言われても、どうしたものか。この源さんに、道理や人の道を説いたところで埒が明かぬのは百も承知。 その時である・・・・。 廊下を歩く足音がかすかに響く。日頃、その足音だけで、どの部屋の主が帰ってきたのか判る。だが、それは聞き覚えのない足音であった。しかも、複数の足音である。 息を潜めて耳をそばだてる。 複数の足音は、僕の部屋の前でぴたりと止まった・・・・。
February 8, 2010
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土曜の昼下がり、雨が降り出した。 昨日も、 一昨日も雨だった・・・。雨季だから、それも当たり前だが、これだけ三日も降ると、あの日のことを想い出し、少し不安になる。 あれはちょうど一年前の1月だった。スミニャックの辺りは、豪雨というほどのことはなかったが、山のほうではかなり降ったらしい。その雨水が川を溢れさせたと聞いた。 決壊した水が流れ出し、道に溢れた。 この娘が帰りたいのは、僕がいるアパートの裏にあるこの家・・・。 原っぱで草を食べていた牛も避難・・・・。 ついに救命ボートまで出動する騒ぎとなった・・・。 アパートの三階から写真を撮っていたのだが、後で知ったことたが、僕がいるアパートの地下の駐車場に水が流れ込み、バイク8台、自動車7台が水に沈み、地下にあるアパートのスタッフの部屋は天井まで水に浸ったという・・・。 近くのスーパー、アパート、新築のホテルも地下は水でいっぱいになったそうだ・・・・。 この時は、二日間、アパートから一歩も出られなかったが、さて、今年はどうか・・・・・・。
February 6, 2010
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激しい稲妻が走り出したのは夜中の一時を廻っていた。 稲妻のたびに夜空が一瞬明るくなる。 といっても落雷の響きは遠い。 部屋の明かりを消して窓辺に立つと、稲妻のたびにウルワツの絶壁まで見渡せる。 これは、雨になる・・・・。 そう思って数分もしないうちに一気に降り出した。 明日も朝が早い。そろそろ寝るかとベッドに入ろうとした時である。 コツ、コツ、コツ・・・・・。 ドアをノックする音が確かにした。 とっさに息を詰めて、様子を伺う。 こんな真夜中に誰かがドアをノックするとは尋常ではない。 下手に開けると、碌な事にはならぬ。 コツ、コツ、コツ・・・・・。 このアパートはセキュリティがしっかりしているから、そう滅多に他人が入って来る事はなく、ボクが住んでから四年余り、泥棒が入ったとか、押し込み強盗といった物騒なことはない。 ただ、いままで三回ほど夜中にノックする者がいた。 コツ、コツ、コツ・・・・・。 そのすべてがこのアパートに外人と暮らしているジャワの娘たちで、恋人が戻ってくるのが遅れていて、生活費がなくなったと言う。といっても、貸してくれというのではない。生活費を稼ぐために遊ばないか・・・、というのだ。 丁重にお断りした。 それ以外にアポもなしに突然やって来る知人はいない。 コツ、コツ、コツ・・・・・。 ノックは根気よく続く。 いた・・・! たったひとりいるとすれば、それは源さん。 すかさずドアの内側から訊く。『誰?』『わいや、わいや! はよ開けんかいアホッ!』 すかさず開けると、濡れねずみのような源さん、頭の先から足までびしょびしょで転がりこんできた。『なんちゅやっちゃ! 居留守使いおって! このあほんだら!』 ずぶ濡れの小柄な源さん、両手両足をふんばりギョロ目で吼え続ける。 そのいでたちがあまりにも可笑しかったので、本来ならこっちが文句を言うところだがそれも忘れ、つい苦笑すると、『なんや、わいを舐めとんのか!』『違う違う』 と源さんの足元を指差す。 なんと、裸足で、足元には雨水が溜まっている。『どうしたの一体?』『それや、一生の頼みや、かくもうてくれ、この通りや・・・』 先ほどまでの強気はどこへやら、一転して神妙に両手を合わす。 かくまってくれとは、穏やかではない・・・・・。
February 3, 2010
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この二、三年、老後に住むのはどうかとバリ島にいらっしゃる方が、目立って多くなってきた。いやいや年配の方ばかりか、そういう希望の四十代の方もかなりいらっしゃる。 去年は特に多く、その傾向は今年に入ってからも変らない。 そういう方は、大体ご夫婦、あるいはお子さんといらっしゃり、『漁師』では、リピーターとは少し違った雰囲気なので、なんとなく判る。 そしてボクが日本人だと判ると、 『バリ島はどうですか・・・?』 と訊いてくることが多い。 そんな時、いつも一瞬言葉に詰まる。 ああ・・・、そんなにも日本は暮らしにくくなってきているのか・・・というのが一点。そして、もう一点が、なんて答えたらいいんだろう、不用意な事は言えないな・・・と思うからである。 今年で六十五歳。 バリに暮らすようになって、いつの間にか十二年目になる。 とてつもなくバリを気に入っている。 もし厭になったら、さて次はどこで暮らそうかと、時々思いを巡らす。 それはそれで結構楽しいのだが、今のところその気配はない。 さほどにバリに満足している。 とはいえ、これは僕の場合であり、他の人に当てはまるとは限らない。 それ故、不用意にバリはいいですよと手放しでは言えないのである。 いや、バリそのものはいいのだ。 それをよく感じられるか、なんて所だと嫌気をさすかは、バリを訪れる人、バリに住んでみようかと思っている人の資質の問題である。 永年バリに住んでいる日本人は、それを順応性、適応性、融通性があるかないかだと言うが、なに、それほどの事はあるまい。僕のように、いい加減、風来坊、主体性に無さ、長いものには巻かれろといった要素があれば、それで充分ではないだろうか・・・・。 ただはっきりしているのは、日本での常識、通念、習慣をそのままバリで通そうとすれば、これは日々、烈火の如く怒りまくっていなくてはならぬ。 自分がどちらに属するか。 それは、試してみるしかないであろう。 気儘にバリに来て、じっくりと見たり、感じたりすれば、ははぁん、これに関してはバリの方がいい・・・、いや、ここは日本のほうがいい・・・と見えてくるはずである。おおよそチェックが完了したら、あとは足し算と引き算。 日本のほうにプラスが多ければ、そのまま日本で暮らすがよし、バリがプラスなら、試しに暮らしてみたらいい。 さて、バリの方がプラスになり、バリに住んでみようと仮になった場合。 どんな資格で住むか? 家はどうするか? 一ヶ月いくらあれば生活できるのか? 医療はどうか? 車は高いのか? 食べ物はどうか? 治安はいいのか? 日々の買い物は? インフラはどうか? 本当に快適に暮らせるのか? などなど気懸かりなことが沢山ある。 そんな中で、バリに住もうと思う方の大半が住むところから着手する。 そして、実は多くの方がつまづくのが、住む場所である。 いままで、どれだけ多くの方が、その入り口でつまづき、傷つき、憤り、断念されたことであろうか・・・・。 てなことで、この先バリで暮らすのはどうか・・・? その住む場所から始めてみようと思う・・・・・。
January 19, 2010
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静かな元旦だった・・・といっても、クリスマスを境にどっと押し寄せた観光客でバリ島は溢れ、たいそな喧騒であったことには変りはない。 静かだったのは、この十年来初めて、仕事を休みひとりアパートで過ごしたからである。それも、たったひとつの楽しみのためだ・・・。 それが、これである・・・・・。 琵琶湖の名産、鮒寿しである。 なれ寿しの一種で、中国は雲南省か、タイの山岳地帯から伝わった現在の寿しのルーツといわれ、琵琶湖のニゴロブナの子持ちの雌を一年ほど塩漬けにし、塩を抜いたあとで、炊いた米に漬け込んでさらに一年。手間隙かけた逸品である。 それを、このように薄切りにするのだが、 楽しみ方は、みっつ。 先ずは、右上に見える漬け込んだご飯を肴に吟醸酒をちびりちびり・・・。 日頃呑まない僕も、元旦の昼から呑みだした。 そして、ときたま、鮒寿しの身を口に入れると、うむ・・・・、この味! さて最後は、お茶漬けである。 鮒寿しの身を乗せ、そのうえに白い漬け込んだご飯を乗せ、熱いお湯を掛ける。この場合はお茶はそぐわない。鮒寿しの味を邪魔するからだ・・・・。 実に幸せであった・・・・・。 この鮒寿し、匂いが強烈で駄目だという人もいるが、生臭くもないし、塩辛くもなく、珍味中の珍味で、もしかしたら僕がこの世で一番好きな食べものかもしれないし、非常に高価で、25センチほどのサイズで五千円以上だ。 そんな高価なものをどうしたのかと言うと、 実はこの14年間逢っていなかった兄貴と連絡が取れて、兄貴夫婦が12月の下旬にバリに来てくれ、その際のお土産である。来る前にお土産はなにがいいと兄貴に訊かれ、鮒寿しと言いそうになったが、この永楽屋は京都だし、高価なことは判っていたので所望しなかった。なのに、僕の好物を知っている兄貴が持ってきてくれたのだ・・・・。 ありがとう、兄貴・・・・・・・。 鮒寿しを味わい、ひとり静かに過ごせた至福の元旦だった・・・。
January 3, 2010
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今回の日本女性殺害事件については、在住の日本人からほとんど情報も入ってこないし、噂も流れてこない・・・・・。 いきおい地元の報道に頼らざるを得ないのだが、昨日の新聞によると、期限が二ヶ月も過ぎた就労滞在ビザ(KITAS)が残されていたものの、定職にはついていなかったらしい。 ということはこの一年二ヶ月以内で仕事は辞めていたということだ。そして、毎月日本の祖母か日本円で15万円から20万円の送金を受けていたという。 一ヶ月15万円から20万円といえば、ルピアで15jutaから20jutaになるが、家賃が50万ルピア(日本円で5千円)という安アパートに住んでいたのなら、毎月大金が残ったはずたが、粗末な調度品しかなく、借金まであったと報道されている・・・。 では、大半は何に使っていたのが・・・・? 報道によると、若いインドネシアの複数の男の子を頻繁に自室に入れていたと近くの住人の証言もある。 しかも全裸で全身25ヶ所刺され、顔や頭部に10ヶ所ほどの強打された痕があったという。ということは、どう判断しても、恨み、もつれなどによる犯行と見るのが妥当であろう・・・。 昨日は、かつてインドネシア人ふたりと日本人とも結婚していたということに関して、それは個人的なことだから他人がとやかく言う筋合いではないというような事を書いたが、訂正する。 何をやってもいい、どんな暮らしをしてもいい。その挙句殺されてしまっても、それは本人の責任だ。問題なのは、海外で暮らしている限り、背中に日本を背負っているという自覚がないことだ。 前回の日本女性殺害事件で、日本ではバリ島は怖いところだという印象が広がり、それを裏付けるように日本からの観光客が激減した。そして、今回の事件となれば、影響は避けられないであろう。 バリ島が好きで、少しでもその良さをより多くの日本人にも知って欲しいと頑張っている在住の日本人は多い。それが、こんな事件のために台無しになるのは、なんとも腹立たしい。 それには日本のマスコミの責任も大きい。センセーショナルな事件としてだけ報道するのではなく、その原因、問題点をきっちりと報道して欲しい。 かつて、インドネシアの男どもは、顔を合わせると、日本人の女性を紹介して欲しいとねだったものだ。綺麗でお金を持っているからという理由で。それが今では、多くのインドネシアの男が言う。 『日本人の女ってバカだねぇ・・・・』と。
December 29, 2009
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毎日10,000人ほどの観光客が海外から、そしてジャカルタなどからバリ島に訪れ、ピークに達した日曜日の朝、またしても日本人女性が殺害されたというニュースが駆け巡った・・・。 前回の場合は、そのニュースのために、バリ島は危ないところだと短絡的に思って欲しくないのと、日頃からバリ島にやってくる日本女性の愚かな行動を苦々しく思っていたので、ブログに何回か書いたが、もう、うんざりだ・・・・・。 もう一度言います、バリ島は危ないところでも、物騒なところでもありません! 夜はホテルに居た方がいいなどということもありません。普通に楽しみ、夜も食事やライブミュージックやディスコに行っても、飲みに出かけても安全です! そして多少破目をはずしても。 ただし、普通にです! 危機管理は自分の感覚と常識の問題で、そのコントロールが出来ない人は、バリ島はおろか、海外に行くべきではないし、日本にいても危ないはずです。 下手な日本語を操る人に出会ったら、危ないかもしれないと思うべきです。多少でも日本語が通じるからとホッとして近づいてしまうのは危険モード突入の入り口です。 そて今回の事件については、詳細が判らないので不用意な事は言えませんが、前回と違うのは、前回は観光客で、今回は在住者。 詳細が判らないままに、変だなと思えるのは二点。 ひとつはKITAS保持者だったこと。KITASとは、就業ビザで、こちらで働いて収入を得てもいいという滞在許可ビザだが、その期限が二ヶ月も過ぎていたということ。 通常KITASの申請、再延長などの手続きは雇っている企業が行うもので、それが切れて二ヶ月も経っているというのは、すでに仕事を辞めているのではないか・・・。しかも近々帰国する予定だったというが、二ヶ月も期限を過ぎていれば、膨大な罰金を取られるし、下手をすれば、再入国も危ぶまれる・・・・。 そして次の不審点は、住んでいた場所である。 報道によると、住んでいたのはKOSという地元の人向けの長屋形式のもので、家賃は50万ルピアだったそうだが、通常KITAS保持者が住む所ではない。しかも今やKOSの値段も70万、80万が便利なところの相場である。なんで、そんなところに住んでいたのだろうか・・・。 過去にインドネシア人と二回も結婚していたとか、日本人とも結婚していたという報道があるが、それは個人の問題だから、どうでもよろしい。 そして腹部を十数回も刃物で刺されていて、パスポートやKITASは紛失していなかったという事を見ると、怨恨の可能性がとても大きいような気がするが、詳細は捜査の結果を見るまでは不用意なことは言えない。 しかし、これだけは言えます。 バリは危ないところでも、物騒なところでもありません!
December 28, 2009
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今から三年ほど前だから、バリ人の一般的な一ヶ月の収入が日本円で5,000円から8,000円が相場だった頃、なんとこのジゴロは一ヶ月に40万円は稼ぐというのだ・・・。 その金のむしり取り方は、次のようなものであった・・・。『とにかく一晩でもベッドを共にしてしまえばこっちのものさ・・・』とうそぶくが信じがたい・・・。『そう簡単に行くの? ポイントはなに?』『簡単だよ。徹底的に尽くす、徹底的に優しくする。これに限るね。日本の男にそんなのいないってみんな言うよ』 うぬ・・・・・・・・。 そういえば近頃は逆で、尽くされたい、優しくされたい・・・という男が多いような気がする。その渇望がコロリとさせてしまうのか・・・。『夜の相手を欲しがっている女は判るんだ。それに、一晩でも相手をすれば間違いなく一万円くれるしね。滞在中は毎晩だから、それだけでも大きいよ』 といえども、年に2、3回しか来ないであろう。それで月に40万円の収入になるとは思えない。その疑問をぶつけると、『肝心なのは、この男は心底私を愛していると信じ込ませることだよ。そうすれば、仮に一年に2回ぐらいしか来れなくても、頼めば送金してくれるし、来る時はお土産を沢山持ってきてくれるんだ』 平均一人の女性が一ヶ月に3万円から5万円送金してくれるという。 なるほど・・・。そんな女性が8人もいれば、確かに月収40万円になる。 送金をねだる理由を訊くと、日本語学校に行く、バイクで事故った、家族の誰かが病気で入院した、死んだ・・・というのが多いそうだ。これは、インドネシアの女性が外国の男に金をせびるときも多い口実。 そして、来る時にお土産に頼むものは、服やスニーカーはもちろんのこと、デジカメ、8ミリビデオ、携帯電話などなど。しかも、その大半を受け取ったらすぐに売り飛ばすので、これも現金収入として大きいという。 ジゴロ達は、日本女性に金をねだりながら、どこまで貢いでくれるかを見極めるという。本人の貯金が少なくなっても親から引っ張り出せると判断するや、次の作戦に出るというのだ。 それは・・・『こっちで一緒に商売やろうよ・・・とか、結婚して、こっちで一緒に住むために家を建てようよ・・・って持ちかけるのさ』『それこそ難しいんじゃないの?』『なんで? そういう女性は、いつかはバリで暮らせればいいなあ・・・って夢見ているんだもの、そこをくすぐるんだ』『君は、そうしないの?』『手持ちの女の数が減ってきたら厳選して、そうするよ』 そう言い切ったジゴロは今頃どうしているんだろう・・・。 とにかくそうしてこっちにジゴロと住んでしまった日本の女性は結構いる。 本人は、ジゴロにしてやられたと未だに気づかずにいるのもいれば、悲惨なことになってしまった女性もいる。そして、食べられずに、ジゴロと一緒になって、日本の観光客を騙したり、コミッションを取りまくって生活の足しにしているのもいる・・・。 今までバリを訪れる日本女性の実態を伝えたが、次回からはバリにやって来る男の実態に触れよう。そうしないと不公平になるから・・・。 またしても北欧女性がレイプされるという事件が起きた。 夜中に泥酔して、バイクタクシーに乗ってホテルに帰る際に、路地に連れ込まれてレイプされたというのだが、そのバイクタクシーというのは、確か黄色かなにかのチョッキを着ていて、バイクの後に乗せて目的地に連れて行くという仕事だが、これはバイクタクシーに限らず、道端でタクシーほ待っていると、かなりの数のバイクや車が『トランスポート?』と声を掛けてくる。小遣い稼ぎだ。 夜中に、そんなバイクタクシーに酔って乗る方が間違いだ。 多くの場合、なんらかの被害に遭う女性というのは、本人に問題がある場合が多い・・・。
October 31, 2009
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『漁師』がLegianの14Roses Hotelの脇にあった頃のことである。 昼夜となくLegian通りの漁師の付近にはジゴロが文字通りゴロゴロしていた。そして、通りを日本女性の観光客が通りかかるや、手当たり次第に片言の日本語で声を掛ける。『かのじょーッ、かわいいねーっ!』『美人、どこ行くの?』『踊りに行こうか?』『ねぇねぇ、どこ泊まってんのー?』 などと、なんとも稚拙なアプローチだが、片言でも日本語であるのがほっとするのか、毅然と無視して通り過ぎるのに比べて、反射的に微笑みを返し、ついていってしまう日本の女性の多さを苦々しく見送ったものである。 というのも、たとえ後でなにが起ころうとも、自分の責任であり、個人の自由だからだ。それに、引っ掛かってしまったという自覚よりも、日本の女性たちの方が、それを待っていたのかも知れない。 どのみち、小言ジジイが目くじらを立てて説教する場面ではない。 と、当時は思っていた。が、余計なお節介でも、もしひと言注意しておけば、今回のような悲惨な事態を少しでも防げるかも知れない・・・。 そんな反省から、今回バリに住んでいる者として、実感として知っている事柄をあれこれ書くことにしたのだ・・・。 さて、そんなジゴロのうち、毎日夕方になると『漁師』の前で獲物を狙っている小柄で甘い顔をしたハンサムなジゴロがいて、このジゴロは暇を見つけては、小型の手帳のようなものをひろげ、難しい顔をしていた。『見る?』とジゴロが差し出した手帳は、月間のスケジュール帳で、線を引かれたスケジュールはびっしりで、その線の下には日本女性の名としか思えない名前がアルファベットで書き込まれていた。『忙しそうだね・・・』『まあね、今月は彼女が三人来るんで、かち合わないようにするが大変なんだよ』 ジゴロは顔をしかめたが、得意げが如実。『彼女、三人いるんだ?』『3人じゃないよ、8人だよ』 うむ・・・・・・。『その女性達は、自分以外にも同じような女性がいるのを知っているの?』『知っているわけないじゃない。恋人は自分だけだと思っているよ』『うまいんだね・・・』『仕事だもんね』 8人の日本女性を操り、いったい一ヶ月どのくらい稼ぐのか。興味があったので訊いてみて仰天した・・・。 今から三年ほど前だから、バリ人の一般的な一ヶ月の収入が日本円で5,000円から8,000円が相場なのに、なんとこのジゴロは一ヶ月に40万円は稼ぐというのだ・・・。 その金のむしり取り方は、次のようなものであった・・・。
October 22, 2009
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いかにもそう思われても仕方がない日本女性ならまだしも、ごくごく普通の女性なら問題はないだろう・・・と思うであろうが、そんなことはない。 『漁師』はスミニヤック通りに面しているので、通りを多くの観光客が行き交うが、『見て見て! すっごい美人の日本の女!』と呟くことが多いが、見ると、本当に普通の日本の女性である。メイクも濃くないし、ファッションもバリの外国人の観光客より地味である。そして、特に綺麗だとは思わない・・・。『そうかなあ・・・』『そうだよ! 美人だよ!』 インドネシアの男がそう思うのは明快である。 ここ常夏の国では、色が白いのがなによりも美人なのだ。 色さえ白ければ、もう絶賛的美人。 だから色の白い日本女性はインドネシアの男にとって憧れの的。なんとしてでも近づきたい存在なのである。 だから同じ日本人の僕に、『ねえねえ、仲を取り持ってよ』と懇願するのは独身男ばかりか、妻帯者も同じこと。断わると恨めしそうに引き下がるが、問題は積極的に話しかける男だ。『ねえ、どこ行くの?』『どこに泊まっているの?』と近づく。もし泊まっているホテルの名でも言おうものなら、夜討ち朝駆けでホテルの前に押しかけ、出てくるまで辛抱強く待つ。運良く出逢おうものなら、親切丁寧にエスコートを買って出る。 これが手なのだ。 つまり、バリ島で、日本語で人懐こく話しかけてくる男が要注意人物なのだ。 日本語が片言できるということは、日頃からそうして日本の女性に近づいているなと用心しなければならないし、片言の英語をあやつる男は、外国の女を食い物にしている可能性が大きい。 日本語学校や英語の学校で学び、身につけた連中は、高給取りとして職を持ち、街で通りがかりの女性にみだりに声など掛けないのが普通だ。 そして、巧みに近づき夜を共にした普通の男でも、一晩一万円せしめたと仲間に自慢する。 つまり、日本女性のイメージは、美人、すぐついて来る、寝ればお金をくれる、金持ち・・・・と思われいることを承知して掛からないと危ない。 どうもバリ島でちやほやされて、もてていると錯覚した日本の女性のかなりの割合が、いとも簡単にインドネシアの男についていく傾向がある。 そんないい思いをした男の行き着く先は、ジゴロだ。 『漁師』がレギャン通りにあった頃、『漁師』の前には、いつも数人のジゴロがたむろしていて閉口したものであるが、その頃顔なじみになったジゴロから、驚くことを聞いた・・・。 次回は、ジゴロの実態である・・・。
October 14, 2009
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『あの女はいくらぐらい・・・?』 と漁師でオーストラリアの男が訊いたふたり連れの日本女性は、その手の女性と思われても無理はない点がいくつかあった。 年の頃は二十代後半か三十代前半であろう。 ひとりは、一方の肩がだらしなく露出するようなルーズな黒のTシャツに白のフレアのミニスカート。もうひとりは、白のタンクトップに白のミニスカート。 まあ、服装は、さして問題はない。 問題はメイクだった。 こんな暑い所で、そこまでメイクすると皮膚呼吸もできず辛かろうと思えるほどの濃いメイクだった。顔はべったりとファンデーションにアイシャドウ、付けまつ毛で、これでもかというほど・・・。 日本ではお洒落で流行のメイクかもしれないが、ここバリ島では、こうしたメイクの女性は、そのたぐいの女と思われるのが普通だ。 ジャワの女性でも、白人の女性でも、こうしたメイクで客を探しに夜の街に繰り出すのは、多かれ少なかれ、こうしたメイクである。 しかもサンダルは、ヒールが10センチ以上はありそうで細い。 その手の女と思われるのを知ってか知らずか・・・・。 それでも一応こう答えた。『悪いけれど、普通の女だと思うよ』『そんな訳ないだろ!』 その後、オーストラリアの男は、ふたりの日本女性に、熱い視線を送り続けた。その気がなければ、そんなもの無視すればいいだけのことだが、なんとしっかり視線を受け止めて微笑み返したものだから、男は早速女性たちのテーブルに移動。 11時を過ぎた頃、ふたりの日本女性は、ふたりのオーストラリアの男と揃って出て行き、二台のバイクの後に乗って、消えていった・・・。 飲みに行ったのか、踊りに行ったのか、それともホテルに直行したのかは知る由もないが、見知らぬ男のバイクの後に乗っていくだけでも、かなりの危険をはらんでいる。 後日、そのオーストラリアの男が漁師に現れ、首尾よくいったよ、しかも一万円もくれたよ・・・・とのこと。 これは見るからに、その手の女と思われても仕方がない例かもしれないが、ちょくちょく見かける光景である。 しかし、もっと危ないのが、一見まったく普通の日本女性の観光客なのだ。 外国人もローカルも、多くの男たちが、狙いを定めてものにしようとする日本の見た目普通の女性たちとは・・・・。
October 9, 2009
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日本女性殺害犯が捕まった・・・。 日本の報道を席巻したバリ島は危険だという印象を、異例とも思えるバリ島警察のスピード解決でぬぐい去ろうと懸命だった観がある。 そして、それは見事に功を奏したように見える・・・。 が、実はそうではない・・・。 バリ島には、いつ、こうした事件が再発してもおかしくない現状がある。 というとバリ島はやはり危険なのかと思うかもしれないが、それも違う。 バリ島は、どこの国のどことも同じほど危険な罠が潜んでいる。でも、その危険さを忘れてしまうほど素晴らしいリゾートアイランドである。美しい海があり、美しい自然があり、美しい花があり、伝統音楽があり、伝統舞踊があり、実にさまざまな伝統芸術や伝統工芸があり、美味しい味があり、そして笑顔に溢れた人情があり、つぶらなおさなごの瞳がある。 こうしたものが訪れる者の心をなごませ、魅了する。 まさに他には例を見ない地上の楽園たるゆえんと言えよう。 いきおい訪れる者の心をナチュラルにし、開放し、時には羽目をはずす。 バリには、そうした魔力があるように思える。 従って、そうしたバリで犯罪に巻き込まれるのは、ちよっとした心の隙を付け込まれるとしか思えない。 日本の観光客の男女が、一般的にバリでどう思われているか。それをちゃんと認識して身を守って欲しいと願う。 特に、日本の女性がこのバリでどう見られているか・・・である。 それを、順番に挙げてみたいと思う。 先ずは、日本女性がどう見られているか・・・である。 この事件の少し前のことである。 『漁師』で仕事をしている最中に、外国人の観光客に呼ばれた。さて、どんなクレームだろうとテーブルに行くと、オーストラリアからの四人組のひとりが、耳元で呟いた。『あそこの日本の女は幾らぐらいだか教えて欲しい・・・』 そのテーブルを見ると、ふたりの日本の女性がお喋りしながら食事をしていた。が、どう見ても、春を売る女性には見えない。が、そう思われても仕方がない節がいくつもあった・・・。 その第一は・・・・・。
October 6, 2009
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バリ島で日本人女性が殺害された事件は、いまだに犯人逮捕に至っていない。バリでは、年に幾度もこうした事件があり、その後スマトラでの二度の強い地震もあった。 だが、今バリでは日本のテレビ、新聞などの報道関係者があちこちで顰蹙を買っているのだ。あまりにも相手の状況、国の状況などを無視した強引な取材に非難が沸きあがっている。 忙しい最中にやって来て聞き込みをしようとする。せめて相手のアポを取ってからにするべきであろう。報道だからといって無茶が許される道理はない。 確かにインドネシアの新聞の報道でも記事の内容に相違があるばかりではなく、誤りもある。更に、警察も日本のように正式な発表などないから、事件の真相も捜査状況もあいまいで、どうなっているのか、何が真相なのか判らず、日本の報道陣が焦っているのは判る。 でも、ここはインドネシアのバリ島である。日本で通常行っている取材方法のままでは、埒も明かないであろう。でも、強引なというか日本でのやり方をそのままここでやって嫌がられているのでは、片言の英語もインドネシア語も出来ずに、バリにやって来て、どこででも日本語でとおし、通じないと苛立ち、怒りを爆発させる日本人の観光客と変らない・・・。 それは他社よりいち早く情報をキャッチしたり、スクープを日本に送りたいという競争意識は判らないでもないが、あまりにもの傍若無人ぶりに逆に多くの在住の日本人は辟易としているという事実を日本の報道陣のお偉方達は知っているのだろうか・・・。 事件以後、多くの情報が自然に入ってくる。 報道とまったく違う情報もあれば、うわさ話、目撃情報もある。 それが真実なのかどうかは判らないが、僕もそのことをブログに書くのを止める事にした。 それに、日本での報道は、いかにバリ島が危ないところかという報道が目立つという。なら、なお更協力する積もりはない。
October 2, 2009
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バリ島で日本女性が殺された・・・。 詳細は判らぬが、ホテルにいるところに警官と称する男がやって来て、ヘルメットをかぶらずにバイクに乗っていたから警察に連行すると連れ出されたという。 連行された二人の日本女性のうち、ひとりは自力で逃げ帰ったが、残る一人が暴行された挙句殺されたのがレギャンの草むらで発見されたのだ。 このニュースはバリ島を駆け巡ったばかりではなく、NHKのニュースでも何度もとりあげられている。 昨晩、『漁師』に来ていた観光客の日本人女性が、『バリって怖いのねぇ・・・』と、咎めるように白い目を剥いた。 30代前半とお見受けする二人連れの女性は、更に続けた。『バリって、もっと安全な所だと思っていたのに・・・、ねぇ、違うの?』『どうなのよ!』 どうなのよ、問われれば言うしかない。『普通に安全で、普通に危険ですよ』『なにそれ! バリ島って最後の楽園じゃないの!』 最後の楽園とは、ずいぶん時代がかった表現であるが、世界的なリゾートアイランドであることは間違いない。となれば、観光客を狙うやからがいるのは至極当然のこと。『確かにバリは凄くいい所ですよ。でも、テロだってあるし、かっぱらいはいるし、泥棒、強盗もいるし、詐欺師もいる。事故死も多い。日本だって、いつなんどきどんな被害にあうかわからないじゃないですか、同じですよ』『そうなんだァ・・・』『怖いのは人間だけじゃない。エイズは蔓延しているし、鳥インフルエンザ、狂犬病、デング熱もある』『ひぇーッ、そうなんだァ・・・』 大袈裟に驚くのを見て、つい調子に乗り、『まだまだありますよ、サソリもいれば、コブラもいるし、噛まれたら死ぬという毒蛇もいる。なんていったって三十年ほど前まではバリには虎もいたし、インドネシアには、サイ、象もいますよ』『厭なところねぇ・・・』『いや、とてもいい所ですよ』と力説しても、このお二人は納得しないご様子でした。 今回の事件は、警官と名乗って現れ、連行したという。 その犯人が警官の制服を着ていたのか私服だったのかは知らないが、普通バリでは警官は制服を着ている。 制服を着ていないのは、麻薬捜査の警官とテロ捜査の警官だ。まあ、それ意外もいるかもしれないが。特に麻薬捜査の警官は薄汚れた私服で夜な夜な街を歩いたり、自転車にのったり、バイクに乗って廻っている。 ヘルメット着用していなくて捕まるのは現行犯に限る。罰金を払えば済む。以前僕も捕まり、2万ルピア出したら、10万ルピア払えと言うから、警官の名前を聞き、警察手帳を見せろと言ったら、当然拒む。そこで、まともな罰金なら払うから一緒に警察署に行こうと提案したら、2万ルピアをむしりとり、早々に立ち去った。 バリでは、スピード違反、酔払い運転の取り締まりはないが、バイクならヘルメット着用、車ならシートベルトを締めていないと違反になる。 その弱味につけ込まれた犯罪といえるかもしれない。 警官を名乗っての犯行だけにバリの警察の威信にかけても犯人を捕まえることだと思います。 でも皆さん、いくら開放的になっても、癒されて心がゆるんでも、普通に気をつけてください。 こんな事件があっても、バリはいい所です! 被害にあわれた方のご冥福をお祈りします。
September 29, 2009
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昨晩の夜七時過ぎのことである。 バチンという音と共に電気が消えた。 スミニャックの漁師だけでなく、あたり一帯が一瞬のうちに闇に包まれた。 とっさに空を見ると、星の輝きが際立ち、いつもは見えない満天の星が輝いていた。まるでニュッピの夜のように。 それで瞬時に察した。この停電は、かなり広範囲のものだ・・・・、これは電力不足による節電に違いない・・・と。 発電所のないバリ島では電力をジャワ島から送電して供給を受けているのだが、電力が足りなくコントロールのために停めたのだろうが、なにも夜の七時に停めなくてもいいではないか・・・なんの予告もなくブチッと電気が止められたら各家庭でも困るだろうし、レストランにとっては営業に支障をきたす。 そんな時のためにジェネレーターを備えているのだが、どうやらジェネレーターの調子が悪く、作動しない。 しかし、フロアーのスタッフも調理場の連中も寿司職人たちも慣れたもので、咄嗟に大量のロウソクを灯し、店内のテーブルの上に備え、厨房にも四人いる寿司職人の前にもロウソクを配置し、黙々と仕事を続けている。 客を見渡すが、客も慣れたもので細々としたロウソクの灯りで食事とお喋りを続けている。 いつものジャズもなく、ほろ酔い加減の客の喧騒もなく、どことなくひっそりしている・・・・。 行き交うバイクや車も真夜中のように途絶え、ひどく静かな時がゆっくりと流れる。時おり、消防車がサイレンと共に猛スピードでクタ方面に駆け抜ける。その数七台。この停電のなかで火事が発生したのであろう。 かなりの不便さはあるものの、おびただしいロウソクのも灯りの中でなんとか営業できているのを確認し、オープンスペースに置かれているテーブルにお茶を置き座っているうちに妙なことに気がついた。 不思議なことに、心が徐々に穏やかになっていくのだ・・・・。 これは何なんだろう・・・? まるで都会の喧騒を逃れ、山で焚き火をしながら共と静かなひと時を過ごすような心地良さに包まれる。 ひょっとしたら、そうしたひと時が人には必要なのかも知れない・・・。 11時過ぎに不意に電気が点いた。 でも、その時間から新たな客はほとんどなかった。 インフラの不備による問題もあるが、かと言って、いままでなかったバリに発電所が出来て、自然や環境が壊されるのも困る。 なにもかもが揃って便利なのより、この程度の方が逆にいいのかも知れない・・・・と感じた夜だった。
September 17, 2009
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8月6日、広島の原爆の日の式典のニュースをNHKで観た。観て愕然とした・・・。いや、それ以上に腹が立ってきた。 その腹立ちが一日経っても消えるどころか、より大きくなってきたので、その思いを場違いかもしれないが、ここにぶつける。 まず聞いたのは広島市の秋葉市長のコメントだった。 核兵器の廃絶を目指すオバマ大統領を支持し、共に実現していこうと呼びかけたのだ。 意志と心のこもった力強いコメントだった。 そして、麻生首相のコメントだが・・・・。 なんとも心のこもっていない使い古された言葉の羅列で、この人には、原爆被爆という内なる心の痛みを持っていないと実感した。確実に他人が書いた文面をそつなく読んだという感じであった・・・。 まあ、ここまでは、まだ仕方がないな、この首相では・・・と思ったが、問題なのは、記者会見での麻生首相の発言である。 核兵器の廃絶など、出来るわけはないといった否定的な発言に続いて、日本はアメリカの核の傘の下で北朝鮮からの脅威から守られている・・・といったような事を言った。 まるで核兵器の存在を認めているような発言だった。 本来なら秋葉市長よりいっそう核廃絶を訴えるべきなのが日本の国の責務であろう。なんとも世の流れが読めないというか、ここまでお馬鹿さんとは思わなかった・・・。 こんなお馬鹿さんが日本の首相であることが、恥ずかしい限りである。 いや、麻生首相だけではない。自民党も同じようなものだ。 被爆していなければ、心の内なる原爆として考えられないのか・・・。 このような印象を持ったのは僕だけでしょうか・・・・。 是非皆さんのお考えを聞きたいものです。
August 7, 2009
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『ジジイが恋焦がれ、想うだけで切なく、胸を痛めている恋の相手には何処で逢うたんや?』『カラオケ・・・』 インドネシアのカラオケはガラスの向こうの雛壇には若い娘が何十人、多ければ百人以上の娘が座っていて、その中から気に入った娘を指名し、個室に入る。2時間がワンセットになっていて、部屋代、女の子の指名料、飲み代を入れると、100万ルピアなど、あっという間に飛ぶ。更に、連れ出そうとすると、これが高くて、しかも決定権は女の子にあるから、拒否できる。そこで、いきおい見初めた娘をモノにしようとすれば、手練手管を駆使して、服だ、靴だ、携帯電話だ、デジタルカメラだとねだられる。 『ほな、悪いおなごの典型やないか・・・』 『次にタチの悪いのが半玄人の素人娘で、夜な夜なクラブなどを廻り外国人引っ掛けてからだを任せて、あれやこれやと金をむしり取る』 『次は?』 『マッサージのねえちゃん』 『次は?』 『苦学の大学生とか店で働くねえちゃん』 『で、まだあるんかい?』 『一番たちのいいのが置屋のねえちゃん』 実際、置屋の女の子というのは、あっさりからだを投げ出す。しかも、売上の大半を置屋の主人に搾取され、わずかな金を貯めては、親元に仕送りしていというのが大半だ。 『いさぎいいのォ・・・』 『いさぎもいいし、哀れでもある・・・』 『そいで、なにかね、マモさんは、そうしたおなごの中でも一番たちの悪いカラオケのねえちゃんに恋をしたんかい?』 金魚鉢の向こうには、およそ7,80人の女の子がひな壇に座っていたが、その中でひと際目に留まった女の子がいた。 色白の目の大きな美少女だったが、ひどく寂しげだった。 訊いてみると、まだ入って二日目だという。 父親がやっていたアンティークの家具店が火事で消失してしまい、八人兄弟の長女である彼女が、家計を助けるためにバリに来て収入のいいカラオケに入ったという。 嘘か真かは判らぬものの、その話をするときの彼女は涙をぽろぽろ流し続けた。 それから三日ほど通い続けているうちに、こんな娘も、三ヶ月もカラオケで働いていたら、一丁前のしたたかな娘になっていくんだろうな・・・と思うと、なんともいたたまれぬ気持ちになった。 『そいで囲うたんか?』 『とんでもない、国に帰した』 長距離バス代が35万ルピアに食事代を足して50万ルピアを渡し、翌日ボゴールへ帰した。 『当然、お持ち帰りしたんやろうな、帰す前に?』 『手も握っていないよ』 『アホ抜かすないや、この助平ジジイがそんなわけないやろ!』 なんと思われても構わない。実際手さえ触れていない。 『しかし、国に帰しただけなら食べていけないのやないか』 そう。だから、国でなにをしたら家族十人なんとか食べていけるのか聞いたら、日用雑貨や米や野菜を売るワルンをやればなんとか食べてける。毎月返金するので貸してもらえるかとと思うと言うので、5ジュタすぐに送金した。 『5ジュタでワルンやれるんかいな?』 『今なら出来ないに違いないが、10年前は出来た』 『なんやて! 10年前のことなんかいな?』 『そう10年前。彼女が20歳でボクが53の時だった・・・』 『そいで金はちゃんと返したんかい?』 『送金したら、彼女の父親と母親から丁重なお礼の電話があり、開業してから一年で返済した』 『さよか・・・金返さんかも知れんと思わんかったんかいな?』 『そりゃ思ったよ。返さなければそれでもいいって思ったんだ』 『10年前というと今彼女は30でマモさんは64か・・・ そいで、いまも恋人なんかい?』 『そう・・・まるで中学生のような胸が痛くなるような恋が続いている』 『すでに一緒に寝いてかいな?』 『いいや、いまだに手も握っていない』 『アホ臭ッ! そんな話誰が信じる思うるん!』 でも、本当なんだ。 その真相は・・・。
June 29, 2009
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『わいや、明日ロンボクから帰るんやけど、頼みがあるんねん』 いつも不意に飛び込んでくる源さんにしては珍しい電話である。 しかも源さんの頼みといえば、自ずと身構える。どんな突拍子もないことを言い出すのやら・・・。 『頼みって・・・?』 『旨いもん喰いたいんや』 なにか料理を作ってくれということだ。そんなことならお安い御用。 『なにが食べたいの?』 『鍋! 鍋が食べたいんや! 鍋食べながら恋の話をしたいんや。ええか?』 鍋なら他愛もないこと。 野菜の摂取量が足りないなと感じるたびに独りで水炊き、クエ鍋、しゃぶしゃぶ、海鮮鍋、中華鍋などで野菜を大量に食べるのが習わしだからだ。源さんのリクエストはクエ鍋。それはいいのだが、恐らくロンボクで見つけた恋人の話を聞かなければならないかと思うと、いささかうんざりだが、それも仕方あるまい。 『こらあ旨いわァ・・・』 いっとき物も語らずパクついた源さん、箸を止めて、 『ほな、恋の話をしようや』 『いいよ、どんな娘だったの?』 『なに言うとんねん! そりゃわいの台詞や』 『はァ・・・・・?』 『いつもわいの話ばかりや。今日こそはマモさんの恋の話聞かせて貰うでェ』 有無を言わせぬギョロ目を突き出し、ぐいっと睨む。 『・・・・・・・・・・そうだ、それよりロンボクで作るとか言っていた甚平はどうだった?』 『見苦しい真似はよしときいな』 いままで源さんの事を散々書いてきた負い目もある。 その源さんに、そこまで言い寄られては、なんともならぬ。 腹を括った・・・・。 『判った・・・。実は・・・、今恋をしているんだ・・・』 『おお、そうかい!ほいで、どんな恋なんや?』 『遠い昔の少年だった時のように、想うだけで切なく、胸が痛くなるような恋なんだ・・・・』 『ええなァ! 六十過ぎたジジイが、恋焦がれて切なく、胸を痛める・・・。ええ話や。ほいで、ど、どんなおなごや?』 『それは・・・又いつか・・・』 『なんやと! この期に及んで往生際が悪いでェ! 言わんと、この鍋ひっくりかえすどォ!』 と脅されて、今までひた隠しにしていたボクの恋の話をする羽目になってしまった・・・・・・。
June 1, 2009
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どう対処したらいいのか考えあぐんでいた最中に、男は、 『いろいろ有難うございました・・・』 と、腰を上げた。 『えっ・・・それで、どうするんですか?』 慌てた僕の声がかすかに上ずる。 『やっぱり・・・ひなびた田舎に行きます』 『というより、とりあえず見てきたらどうですか? どんなものか・・・それで、もし気に入ったら、この先どうやって田舎に住むかの道を探ったら・・・』 『・・・・・・・・』 『それで方針が決まったら一度日本に帰って準備したらどうですか?』 そう言った時、男は苦笑した。 その苦笑の裏に、その積もりはないという意志のようなものが一瞬よぎったように見えたが、男は、 『まあ、取りあえず田舎を見てきて帰ってきたら、また漁師に寄りますよ』 と言った。 『きっとですよ!』 『ええ、きっと。いろいろ有難うございました』 男は、深々と頭を下げて漁師を出て行った・・・。 それからゆうに一ヶ月が経ったというのに男は現れない・・・。 観光ビザはとっくに切れているはずだ。 田舎を見てきて、漁師に寄らずに日本に帰ったのであれば、それはそれでよい。でも、男が当初から言っていたように、ひなびた田舎でひっそりと消えるように暮らして生きたいというのを貫いているとしたら、遅かれ早かれ問題となるはずだ。 とても気懸かりである・・・。 どうか、こういう男を見かけたら御一報頂けると幸いです。 緊急 尋ね人です! 日本人、男性。年齢55歳。 身長170センチ位、体格はわずかに脂肪がついている感じの中肉中背。眼鏡なし。 僕が出逢った時の風貌は、黒い革靴、灰色のよれよれの夏ズボンに、やはりアイロンの掛かっていないワイシャツを肘まで無造作にまくっていた。 頭髪は五分刈りでよれよれのベージュの帽子を被っていた。 肝心の名前は聞いていないので不明です。
May 9, 2009
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『日本から持ってきたお金も残り少ないし・・・、バリのひなびた田舎で姿を消したいんです・・・、まだバリにはひなびた田舎がありますか? もしなければほかの島でもいいんですが・・・』 『いや、バリにもひなびた田舎はたくさんありますよ。ちょっと離れれば田舎ばかりですから』 内心の慌てぶりを悟られないよう力説する。 何故なら、せめてバリの中に居てくれるほうがよいからだ・・・。 『それで、バリの田舎で姿を消したいって・・・、どうしたいんですか?』 『田舎でひっそりと暮らしたいんです。死ぬまで・・・。豊かな自然にかこまれて、草木の匂いをかぎながら食べる分だけの農業をし・・・、夜明けとともに起きて陽が沈んだら寝る・・・、テレビも電話も冷蔵庫もなにもいらない・・・、日々を淡々と生きる・・・、そして淡々と死ぬ・・・そんな当たり前の生き方、当たり前の人生を死ぬまで送りたいんです・・・日本の国籍もいらないし・・・』 男は、ひたむきに喋り続けた。 それに、そんな余生を送りたいというのも判る。 が、そう簡単にはいかない。 釘だけは刺す。 『でも、それっていろいろ問題がありますよ』 『どんな?』 男は、意外だという表情を覗かせる。 『今回は観光ビザでいらしたんでしょう?』 『そうですが、それが何か・・・?』 『ということは滞在できるのは一ヶ月ですよ。一ヶ月で一度外に出て、もう一度一ヶ月の観光ビザを貰わないといけないんですよ』 不法滞在で暮らしている人も知っているが、いつも怯えている。穏やかな心とは程遠いそれに、もし捕まればイミグレーションの留置場に入れられ、強制送還になり、ブラックリストに載ってしまう。 そう説明したが、 『田舎でひっそりしていれば判らないでしょう』 とケロッとしている。 冗談ではない。田舎だから逆に目立つし、第一泊まる所もない。 『じゃあ、こちらの女性と結婚してインドネシアの国籍取っちゃえば問題ないでしょう。 よし、そうしょう』 いかにも名案を思いついたとばかりに満足そうな男に、可哀相だが再び否定する。 『あのう・・・外国の女性がこちらの男性と結婚すれば居住権が貰えるけれど、外国の男性がこちらの女性と結婚しても居住権は貰えないんですよ』 『・・・・・・・・・・・』 あまりにも物を知らない。そうはいかないと言っても、男はそれほど困惑していない様子なのが気に懸かる。 それでもインドネシアで暮らしたいとなれば、リタイアビザを取るか、起業するか、就業ビザを取るか、留学の形にするか、ビジネスビザかソシァルビザを取るかしかないが、五十五歳まで僧侶をしていて、世の中の仕組みや暮らし方をほとんど知らないこの男に当てはまるものは少ない。 まだ相当するのはリタイアビザであろうか・・・。 でもそれには時間が掛かるし、有り金を全部持ってきて、しかも残りが少ないというのに日本に帰る積もりはなさそうだ。どうしたものか・・・。 そんな時に、男は不意に勘定を申し出て、 『いろいろ有難うございました・・・』 と立ち上がった・・・。 続く 緊急 尋ね人です! 日本人、男性。年齢55歳。 身長170センチ位、体格はわずかに脂肪がついている感じの中肉中背。眼鏡なし。 僕が出逢った時の風貌は、黒い革靴、灰色のよれよれの夏ズボンに、やはりアイロンの掛かっていないワイシャツを肘まで無造作にまくっていた。 頭髪は五分刈りでよれよれのベージュの帽子を被っていた。 肝心の名前は聞いていないので不明です。 こんな感じの人を見かけたらご一報ください。お願いします。 ひどく気懸かりになっている客です。
May 1, 2009
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五十五歳まで僧侶だったこの男、世間のことは一切知らぬままに、このバリ島にやって来て、しかもこのバリで埋没したい・・・と言うのだ。 いったいこの男の人生に何があったのか・・・? ひどく気になるが、こちらから迂闊なことは訊けない。 ところが、男はぽつりぽつりと自分から語り始めた・・・。 『つい最近なんですが母が亡くなったんです・・・。父はまだ健在なんですがね、父なんてどうでもいいんです・・・』 と吐き棄てる。まるで父を恨んでいるかのように・・・。 『僕は母を救うことが出来なかったんです・・・』 この男の母なら恐らく七十五歳か、それ以上であろう。 『でも、病気とか寿命なら仕方がないんじゃないですか?』 『そういうことじゃないんです・・・』 男はゆっくり首を振った。 ということは、父と母の間にうまく行かない何かがあったのであろう。 『僧侶なのに母ひとり苦悩から救えなかったんですよ・・・、それなのにどうして世の中の多くの人を救うことが出来ますか・・・』 根っから真面目な人なんだ・・・。 『自分が心から信じてきた仏の道は何だったんだろうか・・・って疑いを持つようになってね、結局辞めてしまったんです僧侶・・・』 と言われても何て応えたらいいか判らず黙っているしかない。 『それだけじゃないんです。僧侶を辞めてみて判ったんです。戒律から解き放たれたので、肉や魚を食べ、女性も生まれて初めて抱きました。両方とも本当に素晴らしいものでした・・・』 これで納得がいく。その反動でジャカルタやバリで連日とんでもなく高い金を払って女の子と遊んでいるのだ。 『五十五歳までの僕は僧侶をしていたけれど、まったく人間らしくなかった・・。これって変ですよね。それで、僕は日本を棄てたんです・・・』 五十五年間の過去を否定したのだ。 それは、並大抵の決断ではなかったであろう。 男の話を聞きながら僕は、なんで見も知らぬ僕にこんな話をしているのだろうかと考え続けていた。 悩みを人に聞いてもらう場合は、大半の場合がすでに自分の中で結論があり、最後の一押しをして欲しいというのが多い。が、この男はすでに固い意志で結論をだしている。ということは今更押し留めたり、一押しして欲しいわけでもあるまい。 ということは、単に聞いてあげればいいのだろう。恐らく、男は決断を誰にも打ち明けたこともなく日本を棄てたのだろうし、僕が見も知らぬ他人だからこそ心のうちを曝しているのであろう・・・。 だが、問題は、 『このバリで埋没したいんです・・・』 という男の言葉だ。 『それでバリ島でどうしたいんですか?』 『ええ、どこか本当にひなびた田舎に行って、そこで姿を消したいんです・・・』 姿を消したいとはどういうことだ! 続く 緊急 尋ね人です! 日本人、男性。年齢55歳。 身長170センチ位、体格はわずかに脂肪がついている感じの中肉中背。眼鏡なし。 僕が出逢った時の風貌は、黒い革靴、灰色のよれよれの夏ズボンに、やはりアイロンの掛かっていないワイシャツを肘まで無造作にまくっていた。 頭髪は五分刈りでよれよれのベージュの帽子を被っていた。 肝心の名前は聞いていないので不明です。 こんな感じの人を見かけたらご一報ください。お願いします。 ひどく気懸かりになっている客です。
April 25, 2009
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『あの・・・、サヌールで女の子と遊ぶ相場は幾らくらいですか?』 『・・・・・・』 印象と掛け離れた男の問いに戸惑い、まじまじと顔を見つめた。 それに、この手の質問にはうんざりしている。 即答を避けると、男は畳み掛けてきた。 『昨日の夜サヌールの置屋に行って遊んだんですが、ショートで三万円、それにチップ一万の四万円。これって安いですよね?』 相場の10倍である。 『とんでもなく高いですよ』 『そうですか・・・? バリに来る前にジャカルタで遊んだんですが、五万円にチップ二万の七万。それに比べたら安いでしょ?』 観光客が威勢よく札びらを切ろうとも、ぼられようとも知ったことではない。とはいえ、この男の風貌は洒落者とは程遠く、身奇麗にしているが、どちらかというとみすぼらしくもある。 それにしても、無知すぎるのに苛立ち、 『それは、余りにも知らなすぎですよ!』 僕の口調には、叱責する意思がこめられていたと思う。 と、ここまでは在り来たりの話しである。 ところが、この後が違った・・・。 『僕はいま五十五歳なんですが、なにも知らないんです・・・』 ぼそりと呟いた。 五十五歳なのに何も知らないとは、どういう事なんだ。 『僕は、ついこの間まで僧侶だったんです・・・・・・』 『だった・・・ということは、辞めてしまったんですか?』 『ええ・・・・』 男は苦渋に満ちた表情を覗かせた。 子供の頃に仏門に入ったので、世間のことはもちろん知らないし、こうして魚や肉も食べたことがなかったし、女性も知らなかったという。それなら女遊びの値段も知らないのも無理はない。 五十五歳まで知らなかったことを今一気に取り戻そうとしているのだろうか・・・・。おそらく想像を絶する苦悩の挙句の決断があったのは明白である。この男が生きてきた人生の重みがじわじわとのしかかって来た時である。 『僕は、このバリで埋没したいんです・・・・・・』 男は静かに言った。 なぜ五十五歳で僧侶を辞めてしまったのか? バリで埋没したいって、何のためにバリにやって来て、この先どうするのか・・・・。 続く 緊急 尋ね人です! 日本人、男性。年齢55歳。 身長170センチ位、体格はわずかに脂肪がついている感じの中肉中背。眼鏡なし。元僧侶 僕が出逢った時の風貌は、黒い革靴、灰色のよれよれの夏ズボンに、やはりアイロンの掛かっていないワイシャツを肘まで無造作にまくっていた。 頭髪は五分刈りでよれよれのベージュの帽子を被っていた。 肝心の名前は聞いていないので不明です。 こんな感じの人を見かけたらご一報ください。お願いします。 ひどく気懸かりになっている客です。
April 23, 2009
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緊急 尋ね人です! 日本人、男性。年齢55歳。 身長170センチ位、体格はわずかに脂肪がついている感じの中肉中背。眼鏡なし。 僕が出逢った時の風貌は、黒い革靴、灰色のよれよれの夏ズボンに、やはりアイロンの掛かっていないワイシャツを肘まで無造作にまくっていた。 頭髪は五分刈りでよれよれのベージュの帽子を被っていた。 冴えない中年といえばいえるが、まさに真面目を絵に描いたような人で目立たないが逆にリゾートのなかでは目立つ。 肝心の名前は聞いていないので不明です。 こんな感じの人を見かけたらご一報ください。お願いします。 ひどく気懸かりになっている客です。 わずか一度だけの出逢いと会話があり、それを書くのはプライバシーの問題もあるので迷いましたが、恐らく何処かで日本人に逢うと、同じような話をすると思われ、公開するほうが探す手掛かりになると判断し、敢えて書きます。 その人が漁師に現れたのは35日ほど前の晩だった・・・。 ふらりと独りで入ってきたその男は、テーブルの空きがないのを見ると、すかさず寿司カウンターに席を取った。 一目見て日本人であると見て取ったが不用意には話しかけず、視野の中に置いておくにとどめた。というのも、日本人の中には海外で同国人に逢うと戸惑いを見せ故意に無視を決め込むタイプと逆に親しみ深く話しかけてくるタイプがある。その男が、どっちのタイプか判らない限り こちらからは話しかけないようにしている。 それにしても、バリ島でよく見かけるサーファーでも、単なる観光客でも、移住を考えているタイプでも、バイヤータイプでも、 商社関係でもなさそうであった・・・。 その男は、ビールで寿司と胡麻和えをつまんでいたが、僕が通りかかった時に不意に話しかけてきた。 『あのぅ・・・日本人の方ですか?』 『ええ、そうですが』 『ああ、よかった。日本料理店に行けば日本人に逢えるかと思って来たんです』 と安堵の様子なので横に腰を下ろし、 『なにかお役に立てることがあれば・・・』 『いいですか訊いても』 『どうぞ。判ることでしたら』 そこから男は一気に喋りはじめ、それはかなりの衝撃を僕に与えた内容であった・・・・。
April 21, 2009
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いくら古女房公認とはいえ、七十にもなって二十歳そこそこのジャワ娘に子供を産ませ、その子に大五郎と名づけ、『ちゃん!』と呼ばせるだけでも大胆不敵、正気の沙汰とは思えぬが、その源さんロンボクに行って、子作りに励むという。 これはもう暴挙、尋常とは思えぬ・・・。 しかも、それが単なる好き者というのではなく、それこそが生きている意味だと豪語するに到っては、何をか言わん哉。非難轟々となるのは目に見えている。特に女性からは。 『鮭を見てみい。雄も雌も力を振り絞り生まれ育った川の上流に戻り、子供を産むや力尽きて死ぬんや。それまでは何のために餌を食べ、大きくなっとるんや? 卵を産むためやないか』 『しかし人は魚じゃない』 『あほんだら同じや!ほな百歩譲って獣はどや? 雄は単独で動き回り、発情期を迎えた雌を探しては子を作り、雌は子を育てよるが、雄は再び他の雌を探してわらじを履くんや』 『しかし人は獣じゃない』 『・・・わいに、さからっとるんかい?』 という訳ではないが、源さんの言わんとすることが判っているので無闇に同調するのには抵抗がある・・・。 案の定、源さん、 『生きとる意味、生き涯、生きとる目標はなんやねん?』 『それは、それぞれ違うでしょう』 『そう来よったか。ほな、生きた証しはなんや?』 なんと言えば源さんの思惑にはまらないか・・・。 『いくら総理大臣になろうと、ノーベル賞とろうと名なんて残るのはわずかの間やで。大会社の社長になって財を築こうが、金なんてしょうもない。となれば生きた証しは子孫を残すことしかないやないか』 『かも知れないが、結婚した相手とだけ子を作ればいいんじゃないの?』 『そりゃちゃう! 世界のあちこちにわいの血をひいた子孫がおると思えば死に際も楽しいでェ! この歳になってわいはようやく生きた証しを見つけたんや』 七十になって源さんが辿り着いたことだから他人がとやかく言う筋合いではないし、そういう考え方は男の密かな願望かも知れぬ。が、それを実行に移してしまうところが源さんの怪物ジジイたるゆえんか・・・。 とはいえ、それは男の身勝手な理論である。 『で・・・源さんの子を産んだ女性や子供はどうなるの?』 『どういう意味や?』 『つまり、責任は・・・』 ギョロ目で、しばしボクを睨みつけていた源さん、すくっと立って、 『帰るわ』 『どうしたの急に?』 『マモさんが、そんな道徳的で常識的なジジイとは思わんかった、しょうもない奴っちゃ』 自分ではそうでもないと思っていたが意外に源さんの言うとおりかも知れぬ。源さんいわく、お互い納得していればいいじゃないか。でも、大五郎にしても、これから先産まれてくるであろう子供にも意思は問われていない。そう言おうと思ったときである。 突然ドアが開いて、デウイちゃんが飛び込んできた。 『久しぶりマモ! 元気だった?』 『ああ、とても』 『相変わらず、若い娘のお尻追っかけているんでしょ、この助平!』 源さんの膝に乗り、首っ玉に噛り付いたデウイちゃん、 『ねえ聞いた? うちのダーリンはロンボクで藍染の甚平作るのよ』 作るのは甚平だけじゃないだろうとは口が裂けても言えぬ。 『そう決めてからダーリンは、すごく生き生きしてるのよ、いいでしょう!』 ちらりと源さんを見ると、平然とした笑顔。 騒動が勃発しなければいいが・・・。
April 19, 2009
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源さんの風貌たるや、小柄でごま白の頭は三分刈り。飄々としていて穏やかなれど、ふと見せる眼光は鋭く、俊敏な動きをする。 まあ、池波正太郎の小説『剣客商売』の秋山小兵衛のイメージにだぶるが、なんともやんちゃで喰えない七十歳のジジイである。 その源さんが問う。 『なあ、マモさんはなんのために生きとるんや?』 突然、正面切って、そんなこと訊かれても即答しにくい・・・。 この際、適当にはぐらかすに限る。そう決め込んで源さんを見ると、ぎょろ目を剥いてしっかとボクの目を捉えて放さぬ。こういう時の源さんは、真剣そのもの。不誠実な対応をすれば烈火のごとく怒るのを体験から知っている。 はて、どうしたものか・・・。 生きる意味・・・、生きる目標・・・、生き甲斐・・・、なんのために生きるのか・・・、中学生の頃からひたすら考えてきたものの、この歳になると、そのどれもが当てはまっていないように思っている今である。 名を残す、地位、名誉、財をなす。どれをとっても虚しさばかりが先立つ。 『うむ・・・・・・・・』 しばし思案に暮れるボクを見て源さん、 『まだ答えが出とらんのかい?』 『面目ない・・・』 『小者よのお、ひえっひえっひえっ』 小馬鹿にしてせせら笑う源さんに、思わずむっとして切り返す。 『そういう源さんはどうなんだよ?』 『それよ』 『老いた狼は荒野を目指す!』 源さん曰く、まだ元気な若い狼は荒野を目指し波乱万丈の生き方をするが、老いた狼はふつう岩山などに陣取り、危険に身をさらさず身の安全を第一に考えるようになるという。 ところが源さん、年老いてなお敢えて荒野を目指したいという。 なるほど。ようやく源さんが子連れ狼を気取っているのがつながってきた。 『それでわらじを脱いで旅に出るってわけ?』 『うんにゃ』 『前からタイに行きたいと言っていたのに、なぜ近場のロンボクになったの?』 『知りたいか? 知りたければ教えてやろう。もの創りじゃよ』 おや、単なるど助平ジジイだけじゃなかったのかい、という言葉を呑み込んで、 『おねえちゃんばかり追いかけていた源さんが、子供が出来て少しは生産的なことをする積もりになったとすれば、いいような気がするよ』 『おおきに』 『して、何を創るの?』 源さんが言うには、ロンボクは昔からはた織りが盛んで、しかもいい藍があり、いざり織りの名手の婆さんがまだ二人健在で、甚平を創るという。 『しかも、普通のはた織りじゃないでぇ、横糸は手つむぎの糸を使うんじゃ。そうすれば着ていても暑くない』 源さんにしては上出来の計画である。 『手つむぎの横糸を使ったはた織りは日本じゃメン玉飛び出るほど高いんじゃ。もし、いい甚平が出来たらマモさん売るの手伝うてくれるか?』 『勿論』 『ひえっひえっひえっ、甚平創るいうのは本当だが、創るのはそれだけじゃないでぇ』 『あとなにを?』 『やや子よ』 『はあッ・・・・?』 『あちこちで子供をつくる、これぞわいの生き甲斐や』 『ちょちょちょっと待ってよ・・・』 『マモさんがおたおたするこたあない、小者よのう』 一体源さんの真意はどこにあるのか・・・? そして、デウイちゃんは・・・? 大五郎はどうなる・・・?
April 12, 2009
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日曜はとても穏やかな気分になれる。 仕事は一切休みと決めて、よほどのことがない限り外にも出ないし、人に逢うこともない。まして、人を招くこともない・・・。 ひとり、じっくりとあれこれ考えたり、ジャズを聴いたり。 ひよっとして、ボクは孤独好きの偏屈ジジイなのかも・・・・・ まもなく雨季も終わるせいか、からりと晴れ渡った風景を見ながら、窓辺でベーコンエッグとトマトとパパイアの朝食を終え、バリコーヒーを啜りながら一服。静寂を楽しんでいた時である。 不意にコツコツコツ・・・とドアをノックする音。 途端に不機嫌になり、ドアの方を睨む。 日曜だからアパートのスタッフは休みで部屋の掃除にも来ない。 となれば日曜の朝八時にアポもなくやって来る無粋な奴は何者か・・・。 無視を決め込もうかと一瞬思ったが、そうもいくまい。 ドアまで近寄り、 『どなた?』とインドネシア語で訊くが、 『・・・・・・・・・』 今度は英語で『どなた?』 『・・・・・・・・・』 やはり返事はない。 ドアに覗き窓がなく来訪者を確認できないので、ノックしておきながら返事がないとなれば要注意。 『どなたですか!』 少し語気を強めて繰り返した時である。 『しとしとぴっちゃんしとぴっちゃん・・・』 呟くような子連れ狼の歌が聞えてきた。 しかも、かつてのテレビドラマのような済んだ子供の声ではなく、すこしかすれた渋い歌声が響いてくる。 そんな奴は、このバリには、あの男しかいない! そう、源さんである! すぐさまドアを開けると、にこりともせずに源さんが立っていた。 しかも、その前にはベビーカー。ベビーカーには、藍色の甚平の上だけを来た男の子がいて、唇をキユッと噛み、鋭い目付きでボクを睨みつけていた・・・。 源さんは、まさに久しぶり。 嬉しいが、毎度のことで釘を刺す。 『源さん、来るなら来ると電話の一本ぐらいしろよ』 『・・・・・・・・・』 『いつも言ってるだろう』 『あっしには関わりのねえことでやんす』 ついにボケたか源さん、とは言わず、 『それは木枯らし紋次郎だろうが、子連れ狼なのか紋次郎なのか、どっちだよ?』 つっこみを入れるが、それには答えず源さん、ベビーカーを押して、ずいずいと中へ。 『ところで今日はなに?』 のっけから訊くのも詮ないが、なにしろこの源さんが乱入するや、にわかに慌しくなり、翻弄されるのは必定。 『ずいぶん愛想ないな、久しぶりにおうたというのに・・・』 拙い、即座に話題を変える。 『源さんの子供大きくなったねえ・・・』 『ああ、わいがもうすぐ七十で、この子はじき一歳や』 恐るべきジジイである・・・。 『これ、ちゃんと挨拶せんかい』 促された子供、すかさず、 『はいッ、ちゃん!』 『ちゃん? まさに大五郎の決め台詞』 ちゃちゃを入れた途端、子供が答えた。 『はいッ』 『・・・・・?』 『ふぇふぇふぇふぇ、この子の名前は大五郎じゃよ』 出た! あの源さんの奇妙な高笑い。 なんでも、自分が居なくなった後でも、強く生き抜いて欲しいという願いから、子連れ狼にあやかって大五郎と名づけたという。妙に説得力ある・・・・。 『ところでな、わいなあ、ワラジを履こうと思うんや』 そういえば以前から旅に出ると言っていたが。 『デウイちゃんや大五郎を棄てるの?』 『アホ抜かせ! そんなことするかいな』 いくら大阪にいる女房公認とはいえ、デウイちゃんと籍も入っておらず、ここでほっぽり出しては、あんまりだ。 『どこに行くの?』 『タイに生きたいんじゃが、取り敢えず国内のロンボクやな』 『何しに? どのくらい行くの?』 矢継ぎ早に畳み掛けるや、 『それよ。なあマモさん、マモさんは何のために生きとるんや?』 来た来た、源さんの難問。 『うん・・・・・・・』 しばし唸るだけ。 若い時には、生きる目標、生き甲斐、生きる意味などを探り悪戦苦闘を繰り返してきたが、この歳になると若い時分の考えなど、どれも的を得ていないような気がしてならぬ。 むやみなことを言えば、まだまだ蒼いと源さんにせせら笑われるだけだ。 『人間は何のために生きとるんや・・・?』 それから源さんの、開いた口が塞がらぬ、目が点、想像を絶するような話が鉄砲玉のように繰り広げられた・・・。
April 10, 2009
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