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夫婦仲がうまくいかない女が不倫の顛末を回想する表題作とその他の短編。女性主人公の一人称。地主で知識人の主人公と小作で中卒の同級生という二項対立が構成の軸になっていて、象徴としてのカモメが出てくる。その他の短編も二項対立と象徴の組み合わせが目立ち構成がワンパターンに見える。ストーリーが面白いわけでもなく、登場人物に共感できるわけでもない。プロットに凝ってストーリーテリングが優先されていて、物語が予定調和的。描写は安定しているけれど、女性が主人公で不倫したり不倫されたりという短編が多く、意外感がなく飽きてくる。「これは懺悔ではなく」も「風の白刃」も女が死んで終わるパターンで、不倫の先の道徳的結論がなく不倫した側が責任をとらないのも中途半端。★★★☆☆これは懺悔ではなく価格:428円(税込、送料別)
2011.04.26
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上京して短大に入学した女性が先輩の男二人と親しくなり、三角関係になって男同士の友情に亀裂が入ってしまうという文學界のデビュー作とその他の初期の短編。一人称で主人公の視点。男の友情(テーゼ)、三角関係の恋(アンチテーゼ)、失恋した男が二人を赦す(ジンテーゼ)という構図は物語がわかりやすくてよい。しかし主人公が二人を赦した友人を重荷に感じているあたりに女性らしさが出ている。他の短編でもわりとサクサク結婚していて、あえて結婚前後の心境を詳細に書かないことで裏の気持ちを推測させるような書き方。でもせっかく女性の主人公なのだから詳細に書いてもいいんじゃないかと思う。★★★☆☆その細き道価格:428円(税込、送料別)
2011.04.22
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会社を辞めて病気になった男が娘に「マノン・レスコー」を朗読してもらい、マノンの体の描写がないことに気づくと同時に、友人の蓮の花をちょん切った男の心中事件の影に女がいるのではないかと調べる表題作と、その他の短編。主人公視点の主語を省略した一人称。主人公は偏執的にマノンの身体描写がないことを調べたり、心中事件の陰に女がいるのではないかと調べているうちに自らの家庭が崩壊して、心中事件を起こした輝也のようにやりすぎたことに気づく。重層的にストーリーが展開し、いつの間にか違う物語の流れに引き込まれている構成は面白いけれど、その分複雑でわかりにくくなっている。語り手でもある主人公が自分の顔が病気で丸くなったのには言及するのに、娘や妻の体を描写していないというのも念入りな工夫。語り手が妻の体を描写しないのは妻の体に飽きているからで、娘の体を描写しないのは娘に男がいるせいかもしれない。しかし後半の延々と報告書や供述調書が続く箇所は飽きてしまう。注意深く読めば報告書で誉夫は農薬中毒の苦悶の表情がないのに輝也には苦悶の表情があったり、輝也の長兄と次兄がそれぞれ紀美子と絹子の元夫で事故死していることがわかったり、供述調書で輝也に不利な証言をしているのが皆女性だったりと、女性たちが共謀したのではないかという疑わしい点が多々出てきて面白いのだけれど、ミステリーで謎を解決するようなはっきりした結末には至らずに真相がわからないままでもやもやする。マノンの肉体が語り手や読者から逃れていって特定できないように、心中事件の真相が報告書の記述から逃れていき、結局男が犠牲になって敗北したという話なのかもしれない。★★★☆☆【送料無料】マノンの肉体価格:600円(税込、送料別)
2011.04.21
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女性が結婚や仕事で苦労したり幸福になったりする半生を書いた短編集。三人称。現在→過去のいきさつ→現在という構成。昭和の中盤から終盤あたりが舞台なのだろうが時代感がでておらず、その中で若い女性の結婚観や仕事観を言われても現代とはだいぶずれがある。読者が高齢女性なら共感できるのだろうけれど、青年男子読者としては物足りず、時代背景をもうちょっと詳細に書いてほしいところ。★★★☆☆
2011.04.17
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何かを買ったり食べたりしたことを書いたエッセイ。仕事が忙しくなってようやく立ち食いソバを存在意義を理解できるようになったとか、作者の金銭感覚や生活感がよくでている。浪費癖を披露したあとがきのほうが本編より面白い。★★★☆☆【送料無料】しあわせのねだん価格:420円(税込、送料別)
2011.04.17
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昭和の商店街を舞台にして心霊現象がおきる短編集。昔の歌を頻繁に引き合いに出して懐古的な雰囲気を出していて、知らない人もそれなりに昭和の雰囲気はわかる。心霊現象を主なプロットとして異化しつつ、人情を絡めた落ちがあり、文体に癖がなくすんなり読めて読み物としてはよい。各短編で人称を変えつつも物語の質は変わらず、どの短編にも古書店が出てくる構図も工夫されていて、エンタメとしてよくできている。★★★☆☆【送料無料】かたみ歌価格:460円(税込、送料別)
2011.04.11
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友情や恋愛についての考察。的確な人間観察に基づいて本当の友人とそうでない友人の違いを考察し、真の友情を詩的に賛美する文章は志や格調の高さが感じられてよい。男と女の友情について友人と討論する場面においては作者は人間を美化しすぎていて、女性の友情を見下している友人の分析のほうが的確に思える。★★★★☆友情論価格:234円(税込、送料別)
2011.04.04
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イタリア人と結婚した女性が伝統ある変な書店の愉快な仲間たちについて書いたエッセイ。登場人物の一人ひとりが特徴のある人物で、異邦人としてその人となりの面白さをよく観察している。そのうえ作者ののんきな視線を通して人物が描かれて異国の物語として異化されていて、ただの外国体験記におさまらず詩的なところがあってよい。だれそれの奥さんだの使用人だのが大勢出てきて、人物相関図がないと人間関係がわかりにくくて大変。★★★☆☆【送料無料】コルシア書店の仲間たち価格:490円(税込、送料別)
2011.04.04
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