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農村で60歳になると老人は蕨野に捨てられる掟があり、姑のレンが蕨野に行って他の老人たちと凶作の中で生きようとする話。ヌイと姑のレンが心中で相手に呼びかける形式。方言の口語で体験が語られ、リズムとテンポがよく読みやすい。これこそが作家の技といえる完成された文体。ただ老人を捨てるという話ではなく、これから子供を生もうとする嫁と子育てを経験してきた姑の二人の女を通して昔の女の生涯をよく描いている。この小説は江戸時代あたりを書いたもののようだが、ただ昔の飢えた人間の悲惨な話を書いたというわけではなく、食糧不足で誰かが死ななければならいという状況の中での人間の情が描かれている。それによって過去を相対化して現代社会では年金制度や資産の寡占によって孫の食い扶持を奪って肥え太った醜悪な老人が大勢いるという倫理的問題提起にもなりえて、それがこの物語の飢えた老人たちが子や孫を思う人間性の美しさを際立たせている。また死児が夢枕で語ったりするあたりにもリアリティがありつつ物語の想像性を増していてよい。最近はやたらとマジックリアリズムを取り入れた小説が多いものの、南米小説の真似をして死者がどんちゃん騒ぎをしなくても日本には日本らしい怪談があり、それで十分面白い表現ができることを示している。蕨野で飢えながらも凶作に見舞われた里の孫を思う老人の心境はよく書いているものの、姑を捨てるヌイの心境が描写不足な印象。老人が捨てられて結局死んでしまうというプロットも単純で、口減らしのための老人遺棄と子殺しというテーマの割には淡々と物語が終わってしまうのも若干物足りないものの、他の小説では見かけない独特の文体と昔の日本の時代感を堪能できる傑作には違いない。★★★★★【送料無料】蕨野行価格:500円(税込、送料別)
2011.09.08
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様々なことを批判したり文藝について書いたりするエッセイ。嫌煙家や車社会などあちこちに批判を広げるものの、猫のひっかき程度で突込みが浅い。自分が嫌いだからあれはだめだといっているだけで主張の根拠が薄い。文藝編は専門だけあってしっかりと書いているものの、それ以外の部分はユーモアも知性も際立った特徴がなく退屈。文藝編だけで十分な気がする。★★★☆☆【送料無料】猫を償うに猫をもってせよ価格:1,890円(税込、送料別)
2011.09.08
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角川書店をやめて幻冬舎をつくった編集者のエッセイ。仕事の仕方や尾崎豊や村上龍などの作家たちとのエピソードが書かれているものの、いくら面白いエピソードでも前半のエッセイと後半の対談で同じエピソードが2,3回重複していて飽きるし、内容が整理されていない印象。★★★☆☆【送料無料】編集者という病い価格:1,680円(税込、送料別)
2011.09.08
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話が上手でストーリー・ガールと呼ばれる少女セーラ・スタンリーと近所の子供たちの日常の話。ベバリー少年の一人称。ストーリーガールが魅力的に書かれているのに対して、語り手のベバリーは彼女の話を書き留めているのがほとんどで自分の意見表明が少なく存在感がない。屈折していない素直な田舎の少年といえばそれまでだけれど、思春期同士の割にはべバリーからみたセーラ像が単純でひねりがない。そのうえ各章のストーリーは図書館建設の寄付の費用を工面したとかおがくずをプディングにしてしまったとか牧歌的な日常の出来事を書いているだけで、突出した面白さがあるというわけでもない。べバリーが恋をするなりして語り手らしい存在感を出していたらもっと面白くなっただろう。★★★☆☆【送料無料】ストーリー・ガール価格:780円(税込、送料別)
2011.09.08
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