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「ウーン、マジゴメソ」 * * そのような時、言う台詞を御存知ですか? そのような時、言う台詞を御存知ですか? まず、あなたの答えはまったく駄目、本当に駄目、 (滅茶苦茶だなあ、この人、) オヤ、まったくの唐変木、ボケナス、あらあらお馬鹿さん。 (無茶振りすぎるなあ、この人、) たった一言、これですよ。 * * 地上の清冽な流れ―――。 マグマ 岩漿帯―――。 * * * take...take... 「星は人の指ほど―――ミルクと血と酒の物語・・・」 「卵と好色・・・・・・」 「透明な眠りと蒼い呪文と赤い唐辛子」 * (一行も、またリヴァプール...) 有形上の文明のごとくたやすく模擬することあたわず。 ....而シテ君今亡シ。 * 街を歩けば、名前の知らない人、顔も、知らない、 でも世界中がそんな一瞬から何かを得ようとしてる。予測し難い数々の危険。さもなければ―――。飢餓。飢渇。圧死。窒息。大負傷・・・・。 * * 「ワレリー・ポリャコフ―――惜しい男を亡くした」 (*死んでいません) * * * 「どうして植物というのは横へ拡がるのだろう」 「どうして植物というのはこんな形をしているのだろう」 ...はじめに言葉があった、というのは本当だろうか。 宇宙霊魂、あるいは世界霊魂という言葉を知った時にすごく戸惑った。 誰にもわかりそうにもないことを口にするだけなら、 言葉の重みを軽くすることになる。 さりとて、空腹を覚える、というのも、確かなようだ。 枯れ草の下で、いま息を吹きかけているものに憧れ―――る。 *視覚的美の記述―――。自然界の美しい色彩を心の中の機械が語る。盲人の触覚は僕等よりはるかに敏感であるように、心の感覚、その世界的なイメージは、夜が一番知っている。 * * * *触れられないから―――美しくて・・・。触れてもきっと、奥床しければそれはまだ、美しい・・。べりっ、つるっ、って感じで。まあ、妙に湿っている、日本って湿気の多い国だなとか、日本のいわゆるジメジメして暑い日ってのが、世界でも有数・・・・・・。 * 何が食べたいですか―――に、 何でも、と言うのが女性のマナー。 本当に食べたいものを口にする時は、 いつでも、特別な間柄・・。 *あ、よいよいよい、と―――。 いずうさ、だった。 いずうさ、とはなにか? うさぎである、しろいうさぎである。 それをして、ぼへみあん・うさぎ・すとーりー・・・。 いずうさはそろそろごうりゅうしなければならない。 だが、でばん、こんかいではない。 しかし、なにはなくとも、でてきたがるのが、 きゃらくたー、というものである。 いずうさ、は、みどりのまどを、そうぞうした。 いずうさ、は、てんごくのやくひん、を、そうぞうした。 おお、だからなに、ぼへみあん・うさぎ・すとーりー・・・。 * キッ、といずうさは一瞬月を見つめた。 「おお、この街の最高速、そしておお、我が果物は花の中・・・」 決まった―――。 誰に言ってるの? 決まった―――。 決まった―――。 うさぎは、歩き続けた。 大層、お腹が減っていた・・・・。 * 遠くの方で、かもちゃんは―――思った。 「奴が来る・・・・・」 鳥たちが騒いだ。何かわからないけれど、騒いだ。 「奴が来る―――」 「ついに奴が来てしまいますか、奴が来てしまいますか、 奴が! 奴がダロ、奴が、奴が・・・」 (奴が多いなあ・・・) 「奴がダロ!!!」 ―――えーと、だから何? * * *「僕 は 昔 か ら 、 ガ イ ド の こ こ が 有 名 な と こ ろ と い う 言 い 方 を 嫌 っ た 。( 興 味 の な い 人 に と っ て は 、 注 目 あ る あ る 語 だ と 思 う が 、 )ね え ち ょ っ と 待 っ て 、 本 当 に 待 っ て 、 僕 は そ れ が 嫌 い な ん だ 、自 分 の 眼 で 見 つ け 出 し 選 択 す る 自 由 ―――。 「(言葉はあるけれど、言葉はひとつも存在しない世界なのだ)」 「(二日酔いなのだ、復活祭なのだ、仏教なのだ、神道なのだ)」 ―――愛 を あ な た に ・・。 * * 「(永遠というのを疑う人の気持ちはよくわかる―――)」 「(一年どころか、一か月、一週間先さえわからなく思えるから・・)」 「(薔薇の中に青い草があって不安定な飛翔をする鳥がいる・・・)」 「(それはまったく確かなことなのだ、多分、きっと―――)」 「(いま、若くて美しい彼女に無限の時間の眺望が遭遇する・・)」 「(蝋の国で賽の目を刻んだ、地上の星・・・・)」 「(僕はいま、絶対的な抱擁や、絶対的な接吻について考えています・・)」 「(それは―――独逸浪漫派の・・・成れの果てのように・・・)」 「(皮膚を傷つけ、声は枯れ、胸は張り裂け、身は痩せ細る・・・・・)」 「(そのような時間の秘密に、暗黒鉱石が噪ぐ、永遠の彎曲部―――)」 「(あなたはもう海の要素、空気の要素に分解され―――たあと・・・)」 「(記憶の灰の中で、美しい遊戯のように、甦る―――)」 * いずうさが振りかえった。 「てっきり、自分のことかと思った―――けど、何だ、違うのか・・・」 ―――でも自己主張は、とても大切。 この社会でオラオラもまた一つの正義、 オラオラしないと、人に気持ちはわかってもらえない。 空気読みすぎて疲れたら、とりあえず靴下を洗う。 ―――なんかよくわからないけれど、洗う。 * 経験や才能や可能性や発想という持ち駒のすべて―――を、動員して・・、自分の肉を、その動きの一挙手一投足―――を、(ねえ、芸術的な素材にする、泣き喚く声や、肌の感触、体温、それから裸のイメージをいくつもいくつも織り込んでいく・・。 * * * *
2021年01月31日

――その『無菌室』 ――その『天使の胃袋』 ――そ の・・・『頭の中のアリア』 * * ...知 ろ う と し て 引 っ 掛 か る 、冷 た い 苦味・・ ...惨 め さ 卑 し さ 、人 の 心 の 複雑 な 回路。 >>>神社ルート * (I)と(you) あるいは、 なんて・・・・ (he)と(she) * * * (月のイエロー・ライトが、顕現、恭敬、宇宙の蝋燭を誘う (花)と(太陽) あるいは、 (風)と(雲) * * 「服の色ですか? ふふ―――病んだ紫陽花のよう・・・。 * * トリノコサレタラ...ミエルモノスベテカカエコンダラ、 迷子―――ダ、 孤独―――ダ、 そして恥ずかしそう―――ダ、 * 「ふふ―――ちきゅうはかいばくだん! * ぼく み きづ きみ 僕が見つめていることに気付いていない君は、 だれ し とお くに 誰も知らない遠くの国・・・・・・。 * 「薔薇の花」には『棘』がある。 「美しい」ということには、『棘』がある。 ―――ゆびさきの埠頭。 ―――ゆびさきの地平線。 * 「JOAS創作折り紙コンテストの意味不明なまでの奥の深さ。 * ただ、嬉しそうに―――と。 肯くように喜んでいる―――と。 手を振って照れ隠しに―――と。 ああ、口を開けて笑っている―――と。 そんなほんのちょっとのイメージの違いだけで、 人の表情は変わってくる。 なぜ 何故なんだろう・・・・・・。 なぜ 何故なんだろう・・・・・・。 * * 恋をなくしてもいいって、 もう人でなくてもいいって、 人を嫌って、 そして君だけを愛そうとして―――。 言葉にしたら 話さなくちゃ いけない、 言葉にしたら 触れないわけ には いかない、 みんな彼女は 有り得ない と言う かも 知れ ない、 (人の顔を見て、バーコード貼り付けた連中・・ でもどうして僕等、彼女が美しいって認められないの・・・。 (劣等感だってわかってる、わかってるけど・・ ―――でもそう言った瞬間、 彼女のことを傷つけてしまいそうで・・ * 「―――キミハキレイダ・・・ * 長い間、美人の女性に対する疑問が僕にはあった。 その胸をうつろにさせ胸をときめかす嚥下される刹那、 音が弱まり、最小音を奏で、きらりと閃き落ちる、 その俯きの奥から転がり落ちてくるものを感じた。 顔なんていらないんじゃないのって、 心がこんなに見えにくいものなんだったら、 言葉なんて面倒くさい手続きが、 お互いに努めすらも放棄してただぶつかりあうなら。 ―――それはもうただ、死んでいるだけだって・・。 ―――死んでいるんだよ、人の心。 ―――平気で色んなものを見失った人間らしいねって・・。 何も見えない方がいいねって、 心なんて心理学のパターンなんだろって、 自分たちで自分たちを貶めていく末路だねって・・。 ―――思った。 ―――思った。 ―――思っていたんだ。 一つは、交差点の人波、 一つは、歓楽街を歩く男女。 一つは、路上で寝る人。 一つは、奇抜な衣装を見せる人。 >カツラをフリスビーにしたサラリーマン >某プロ野球選手にクリソツの男が言う「フィーバー」 ...ふぉーえばー、、、 * 夜、始まる、花のノートルダム。 夜、始まる、ネオンリバーザクラクション・・。 ハイヨー、シルバー、 ぱっぱかぱっぱか、王子様。 らったらりーらー、 まじめにかんがえるのにつかれたら、 あとは野となれ風となれ、 猿なれ猫なれ、まんとひひ。 ―――なんて、 * ――その『無菌室』 ――その『天使の胃袋』 ――そ の・・・『頭の中のアリア』 * 「上田さんは、どれぐらいお酒をたしなみますか?」 「たしなむ―――」 「おお―――冷たい空気がどこからともなくやってきた、 靴音が茨を踏む、そして空には粉雪が降る、 怒張する血管、破れた草笛、巨大大鰻の祟り、 おお、呪われた十三月、十四月、季節は終わらない」 「・・・・・・かえでさん?」 「猫は穴の底に飛び降りた、ニャ、ニャ、呪うように、 陰気な唸り声にジャージー縞を添えて」 「ジャージー縞って何ですか?」 「わかるでしょう―――ビール飲みましょう。 上田シェフの地中海土耳古イギリス風料理、 そして、美少女の妹さんとチョイ悪シベリアンハスキーと、 うなぎのようなうさぎと、 ときどき、わたし・・・・・・」 * 「声があなたへと続く入口のように思えることがある―――の・・ * *
2021年01月27日

* * ☛ 久しぶりに大人って何だろうって考えてる僕がいた。 * 実家に到着する。 妹が心配そうな顔をして立っている。 Tシャツに重ねるタイプのノースリーブワンピース。 車から出て、 「親父はどうしたんだ?」 と言うと、顔色が目に見えて変わった。 声にも動揺のようなものが現れていた。 「 本 能 寺 の 変 」 前 日 、 信 長 が 決 行 し た 茶 会 の 真 相 ―――。 サッと表情を変えて、 ―――土下座。 ―――みたいな・・・みたいな・・・・ 「お兄ちゃん、ごめんね」 うん、わかってた。 大体、わかってた。 町の不燃ゴミの日に捨てるべき過去のいざこざ。 軍隊の机上作戦演習すら、 トイレットペーパーに文字を書いて流してしま―――う。 玄関の扉がギイッと開いた。 おいでなすった―――そんな気がした。 親父が立っていた。 途 端 、 受 話 器 の 奥 か ら 聞 こ え て く る よ う な 声 。 * I love you , Daddy. Thank you for everything you do for me. * 会話は弾みはしなかったけれど、異文化コミュニケーションではある。 まあ最低、針の筵に座らされているような心地ではなく。 居間―――。 「大学うまくいっているのか?」とか。 「卒業したらどうするんだ?」とか。 、、、、、、、 いただきました―――フフ・・。 氷河期のように長い冷却時間があるから、 お互い相手を怒らせないようにする。 アクティヴノイズコントロール... そうしている限り僕は彼の息子であり、彼も僕の父親でいられる。 自分を知る者も誰もいない土地に行ったみたいなところはあるけど、 そうはいっても生まれ故郷なのだ。 無線アンテナがついていて非接触で通信が可能―――。 実家の屋根の具合、ガレージ、たとえば標識の傾きから見える住宅街の風景なんて、 見なくたって思い出せる。 * * まあ、久しぶりに会った父親と息子ってまあこんな感じだ。 ひきょう ひのえまた 秘境・檜枝岐のそばみたいなもの。 何となく、母親の仏壇の前で話をする。 (仏壇は仏教と神道の矛盾で、科学では、臨死体験の症例を重ねるべきだと思うけど・・ その時今まで長く忘れてしまっていた、ひとつの光景が、 不思議なほどはっきりと沈黙している僕の記憶に甦生ってきた。 縁側が見える。鴨居に、長押に、襖、畳敷きのこの部屋に・・。 生まれたばかりの僕を抱いている母の写真が見える。 雨垂れのように途切れそうになる会話と伝統的配役。 物語と時間が錯綜していたずらに生まれ来る不協和音。 煮詰まったら全部バラバラのジグソーパズルの一片に戻す。 >圧力を加えた空気を気道に送り込む。 そういえば、物の言い方や、ちょっとした眼付きや、爪の形が、 妹は母親とよく似ている。 全然関係ないけど、父親ってお昼寝しているヌートリアに似ている。 たとえばアメフトの一瞬を、アメリカザリガニみたいと言うのと同じで、 多くの人は何言っているのかさっぱりわからないと思う。 大学に入って商店街の八百屋で買い物に行く、 そうすると、店主と常連のお婆ちゃんが野菜選びについて教えてくれた。 「へたのちりちりしていないトマト」 「結球がしっかりして、茎の切り口が小さくてきれいなキャベツ」 ―――誰も教えてくれないことを、教えてくれる。 「人のために働く職業ほど低賃金」な根深い理由 看護師、病院の清掃員、保育士・・・。 みんなは医学が社会的貢献をしていると信じて疑わない、 でも、プラシーボ効果のインチキ薬を横行させているし、 必ずしも手術が病気を治すためにあるとは限らない。 階級権力と階級的忠誠―――ベネフィット・・。 、、、、、、、 リモコンをあれ。 でもこうやってまあ―――。 まあ、呼び出されたからには、あるかもとは思ってた・・・。 「定年していないなら再婚、定年したなら老人ホーム・・。 父親は結婚相談所のお見合いが上手くいって再婚するつもりらしい。 よかったじゃないか。 馴れ初めとか、デートとかは全然聞きたくないけど。 ―――人間だから、孤独を感じる、淋しいという気持ちもあるだろう、 それを再婚で埋めたい、と思うのを年甲斐もないといなすのは変だ・・。 見る、聞く、触る、味わうといった感覚が脳への入力・・・・。 * ☛ 心理学的幸福とは何か? * * ちなみに、再婚したあとラブラブな人達もいるらしい。 離婚や死に別れるなどというトラウマみたいな経験をしたあとで、 (世の中には、何度も離婚を繰り返す懲りない人間もいるし、 結婚詐欺師や保険金殺人なんていうのもお忘れなく。 またブラック企業からの転職で人間的成長を実感する人もいる) 自分自身や自分の人生を見つめ直す大きな機会があったあとで、 また離婚であれ死に別れるのであれ大きなダメージを受けたあと、 肩の力が抜けて自然体になれるらし―――い。 (ニュートラルがキーワード―――の、ナチュラル) ―――再婚とか離婚は珍しくない、 逆に言えばそれだけ結婚は格式あるものではないということだ、 ●定年後のリフォーム ●実家の売却 ●死後の遺産分配 、、、、、、、、、 そこで父親が言った。 、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、 少ししたら母親の生前の荷物を整理するという。 それはそうだ、気持ち悪いものな、と思う。 ここは母親のいた家ではあるけれど、僕は別にマザコンじゃない。 (いや仮にそうであっても、いつまでずっとそのまま、 というわけにはいかないことぐらい、僕にだってわかる・・) もし欲しいものや手元に残しておきたいものがあったら、 来週か再来週でも来い、と。 (LINEチャットやメールだったらもっと円滑なコミュニケーションがあるだろう、 と一瞬想い耽りながら、) (それを淋しいと思わなかったといえば嘘になる、 けれどそれと同じぐらい、思った。この家はまだ、 たった一人の人間を失ったショックから立ち直れていない) 僕は即座に別に何もいらないと言った。 ―――僕の次は、父親だったということだろ・・う。 * We die, it's been decided since ancient times. We die, it's been decided since ancient times. * 「多分、みゆが残したいものは残すはずだし、 それだけは、同居という感じになっても勘弁してやってくれよ」と。 写真アルバムの類いは、みゆがちゃんと保管しているだろう。 それでも―――。 「・・・・・・・・・」 仏壇の処分の話が出たら、僕が引き取ろうと思った。 でもこの参/照 ああこの比/較 それをエマージング・ディジーズとか言っちゃって―――。 そこからまた話が切り替わり、 (不溶液に保冷材として含まれるエチレン・グリコールみたいに、) 「みゆが、新しい母親のことをあんまりよく思っていない」と言った。 これはもしかしたら、愚痴なのかも知れない。 難しい思春期の年頃の娘つかまえて言えないことを息子に言う。 (生物学的とか進化心理学的に説明する言葉もあるけど、 父親というのは多かれ少なかれ、嫌われるもの) はたして、父親と娘(⇔母親と息子)の関係というのは、 要所要所で適切な態度をとれるかどうかだと―――言う。 答えは簡単だ―――親父にはそれが出来なかった。 ゆるぎなく忠実な流刑時代、 まるで禁欲主義者か、好色家みたいで笑える。 でも、考え方である。 ●分かり合えないなら放任する、距離を置く ●時間が解決する、それが五年後でも、十年後でも 、、、、、、 それはそれで―――今の僕には理解できる。 魚がさばけない魚屋がいる。 市場でも切り身で売って―――いる。 魚と寿司の関係は密接で、 郷土寿司ともなれば数えきれないほど―――ある。 「あれでみゆは人見知りだし、母親にべったりだったから。 最悪の時は、僕が妹の面倒を見てもいい。 その時は僕の近くの高校に転校とかになるけど、 あいつも、受験で、大切な時期だから―――可能性として」 と言った。 「そうだな、その時は任せる」 父親の威厳も何もあったもんじゃないけど、 やっぱり何かあったと見るのが筋だろう。 「まあ、僕からもみゆには言っておく、 大学に行くなり、専門学校に行くなり、 社会人になるなり―――、 僕もまだ聞いてないけど、色んな選択肢があるから」 本音と建前があると思う。 本音は、父親もみゆを傍に置いておきたいのかも知れない。 男親にとって娘は可愛いものだと思う。 でも可愛いだけでは分かり合えない、 信頼、距離感、欺ききれない感覚―――眼に見えぬその色彩のようなものが、 無償で提供されるのを、愛と思うものだか―――ら。 「(我が儘だった心―――隔たり・・・)」 「まあ一番は―――夫婦うまくやるのが大切だ。 僕や、みゆのことを考えたらうまくいくものもいかなくなる」 シビアな物の見方だけど、最優先事項は、新しい契約である。 みゆだって、家に居場所がないと感じれば僕のところへ自然やってくるだろう。 まあ、多少余所余所しかったけれど、 そういう時間は三十分ほど続き、このへんで、と切り上げることにした。 テレホンカードの残り度数が電話機の液晶に表示されるみたいに―――。 また顔を見せろと父親らしいことを言った。 夏休みとか冬休みには、と言った。 どうであれ今度、実家に来る時は、新しい妻がいて、 僕やみゆにおける新しい母親がいるのだ。 * * どう接したものかとも思うが、深く考えても仕方ないところはある。 当人不在の場で、何をどう言ったって始まらない。 墓参りで供えた夏菊の心配をしたって仕方がない。 でもここはもう僕の家ではない、そんな気が不意にした。 外に行くと、妹とかえでさんとエリちゃんでキャッチボールしていた。 シュルルッと、回転するゆさぎボール。 (眼、まわらない? あの、あざといって言われない?) (あざとい? あざといって言わないで、 でも時々はあざといって言って下さい) (父親って一体何なんだろうか、と思う) (僕も自分の子供が出来たら、こんな風になっちゃうのかな・・・) ―――閑話休題。 「上田さん、上田さん」 と、かえでさんが犬のように近寄ってきた。 僕の眼の中にある愉悦は、 婚礼の日の花婿の眼の中にある慈愛。 「どうでしたか?」 「うん、割と上手くいったよ」 エリちゃんと妹がキャッチボールをやめてこっちへ来る。 「まあ、色々あるよな」と、エリちゃんが言った。 そうだろう―――そうだな・・ウーン・・・・・・と、僕は思う。 まあ、バニングカーもといDQN要素満点の展開には僕も少し引いたけどね。 けれど、緊急の時に、すぐ動いてくれる人っていうのを、 どれだけ大切にしなくちゃいけない人間かというのは思う。 ページの消しゴムの滓とウォーリーを探せ。 人類という集団ネットワークの大脳を、 見つめる、統率のない、制御のきかない、種の指令。 妹が言った。 「実は、お兄ちゃんにどうしても話したいことがあって―――」 やばたにえんのムーリー春雨、 やばたにえんのムーリー春雨、 って考えて、どうした僕、本当にどうした僕・・? >頭にブリーフをかぶっている漫画のことを思い出そうとした。 >セーラー服で戦うアニメのことを思い出そうとした。 「・・・・・・親父の再婚の話?」 「うん」 そういうことなら、僕が首を横に振るわけにはいかなくなる。 衝撃的な新展開、リニューアルオープン。 自作自演。妄想の世界。あるいはそれも一つのジョジョ。 トーマス・ハート・ベントンの『地下鉄のある都市の活動』 (信号)“情報”――― 顔を近づけると、にへらにへら、したゆさぎ。
2021年01月24日

電話越しに妹が、低い、感情を押し殺したような声で言う。 声にはすでに感情を失った響きがあり、その両手が力なく垂れたようなイメージ。 暗黒と向こう見ずに戦っているうちに、何も見えなくなったいつかの姿が思い浮かぶ。 感情や理性を眩惑させる。 「お兄ちゃん、あのね、あのね、おとうさんが―――おとうさんが・・・」 「親父が?」 (時間は遠慮なく経つばかりの―――長い間・・、) 次の瞬間、声が、トーンが急速に跳ね上がる。 偉大な感情を表現するには、原始的声音を以てする外ない。 情勢はまさに発火点。ふたたび呼ばれた。 「お兄ちゃん、大変なの―――ッ! いますぐ実家に来て!」 「・・・・・・おい、 プツン、と切られた。耳が痺れて、 想像の余地が記憶の新たに繰り返す襲撃を崩そうとしている。 それでも希望の画布の上で僕は途方に暮れる。 * * 家族制度も、国家も、世界も、あるいはこの宇宙でさえも、 日毎にその姿を変えてゆけば、 百年後、千年後、一万年後にはまったく別のものになるだろう・・・。 ―――何を考えている・・。 ―――僕は意識を引き寄せようとする。 * * (たとえば人格内の根底に、 タロットカードの代表的なカードイメージが、 あるとしたら―――どうだろう? ある時は愚者―――ある時は隠者、 ある時は吊るされた男、ある時は悪魔・・・・) たとえば急増する、九人未満の野球部のように。 、、、、、、、、、、、、、、 溪流の潺々たる秋雨の蕭々たる・・・・・・。でもそれは平行線―――不意の苦痛、愚かな期待、一般論、年月の感情、それらが気持ちの転換を要求するまで続く、平行線。(直線と点の距離―――誤差限界と信頼率・・)そしてそれは不変的に他人の影像を抱懐している。一般的な感情でもって推し量ることはできない―――。(わすれられない―――もの・・・・・・。 かえでさんが僕を見ているので、 * *キシキシと身体が軋み鳴るような緊迫した顔。倦怠、疲労、絶望に近い感情が鉛のごとく重苦しく全身を圧した。思い出が皆片々で、電光のように早いかと思うと牛の喘歩のように遅い。自然とそれが無口にさせた。 >かえでさんが、 >かえでさんが、 ぎゅう―――ううっ・・とやにわに抱きしめてくる。 え、何してるの思いはしたけれど、 (どうしてか、モーツアルトの『魔笛』を、 思い出してしまう―――) どうも、顔に感情が出てしまっていたらしい。 フェルメール的スローモーションな瞬間のわざ。 かえでさんの肉体のあたたかさや、匂い、 「ホルモン」や「脳の構造」に見合った、 やさしく背中に腕をまわす感じ―――。 愚か者たちの夢、諸法則の香りの領域。 はたせるかな冴えて透った靴の音を聞く。 「よくわかりませんけど、いまの上田さん、 すごく困った顔をしています」 口許のアップ。 表情が弛緩して、 唇が豊麗線を引っ張る。 * * ・・・・・・・しかし、 ・・・・・・・しかし、 ―――何とも締まらないな、ウン。 * しかし感情の力をもって事物を観察すれば、 水 を 打 っ た よ う ・・・ 理性によって発見する事柄を見出すことがある。 人間は自己意識の拡大をし、 キャパシティ、インスパイア・・ 歯 の 根 が 合 わ な い ・・・。 、、、 とまれ、他人との暖かい人間関係の確立を臨み、 すこぶる、適切冷静に処理する情緒的安定。 ステレオタイプ、フレキシブル、パラドックス、 (ロジィイイィックウウゥゥ、、、) けだし、現実的な知覚の前にあらわれる課題、 そして技能。それらを自己客観するもの、 膨大な記録資料、体系的な方法――― 基準、初期設定・・ 、、 、、、、、、、、、、 洞察、自分自身へのユーモア、 ギミックすらもクレバーに、ああアヴァンギャルドに・・ (もっとHP、もっとMPの上昇―――飛躍、限界突破・・) そして目標への指向性、えてして、人生を統一し、 連続的に捉えるための省察。 ニッチ―――あるいはバイアスへ、フォーマット・・。 それらを大局して、 『帰納的』『演繹的』と呼ぶのだろう―――か。 「・・・・・・・・・」 ―――何の話だ、 それにしても、かえでさん、胸大きいね。 余計なことを、考えてしま―――う。 「かえでさん、ありがとう、もういいよ」 そう言うと、すぐ離れてくれた。 でも抱き締められるっていいものだな、と思う。 博愛心、慈悲心、相愛心―――。 さて人情は妙なもので、とんと誰か来て引っ張るようだ。 「どうしたい? 左寄せの構図が、右寄せに移動しながら、 煽りの見上げる絵になる。唇が半開きになる、 横顔のカット。 「実は実家で何かあったみたいなんだ」 * * * 「かえでさん、すまないんだけど、 実家に帰らなくちゃいけなくなったんだ。 本当にごめんね、もうちょっと案内したかったんだけど――」 爪弾かれた弦が、一つの役目を終えていく。 共鳴の痙攣。生存の意味。 「そういうことなら、エリちゃんの車で行きましょう」 「いや、電車で行くよ」 「上田さん―――困ってる時はお互い様じゃないですか、 頼って下さい」 かえでさんが、僕の手をやさしく包みながら、言う。 ああ、かえでさん、本当にいい子だな、とジーンとしてしまう。 こ こ に い る よ―――。 こ こ に い る よ―――。 「上田さんが言ってくれたみたいに、 困ったことがあったらいつでも言ってください」 目頭が熱くなって、思わず眼を背けた。モネの木蓮、ムンクの思春期。 本心からの言葉だけど、あんな言葉をちゃんと覚えてくれてる・・。 「ありがとう、じゃあ、お願いしようかな」 そう言うと、かえでさんは、アイフォンを取り出してエリちゃんにかける。 エリちゃんは、十分後にやって来た。 もう、本当にビックリだよ! 道行く人がビビって道を空ける、僕は口を半開き・・。 淋漓たる汗。ニーゼン鉄道に並行してある、 1万1674段を昇ったり下りたりするようなもの・・。 スパゲティーのアルデンテ? 七面鳥の焼き時間? え、マカロングラタンがどうしたって? 、、、、、、、、 全般的機能の無能、 圧倒的光量のネオン―――青、緑、白のステップワゴンの、 バニングカーという奇跡的造形のDQN仕様・・。 恋愛感情に限りなく近い脳内麻薬でお金を溶かすという、 修羅道の沼ジャンル―――ホットケーキにバターとハチミツ・・。 想像してみて下さい、照明の明るい料理番組をSMチックに、 猟奇的にしてみたような感じ、奥さん、お父さん、 ね、それはとても簡単な想像なんですよ。 DQN―――それはある種の動物の記号・・。 フィリップ・ジョンソンの『ガラスの家』・・・・・・。 だのに、 (さ、) 走り屋とか、撃墜王とか、航空母艦とか、何故か思い浮かぶ・・・。 (その筋ではクール、トレンディ、ファッショナブル・・・) クルマノダッシュボードボードニ...シロイファー...シイテル... ―――かと思ったら、公園で見た、うさぎ野郎たち・・・。 鳥がマイナス三〇度とか、マイナス五〇度まで、耐えられるみたいに、 (溶けた雪だるまみたいな、面白さ―――シャーベットにセロリの組み合わせ) 表情のアップ―――髪の毛のカット。 ●不動明王の刺繍されたDQN作業着着用 作業着の下は破落戸ドレスシャツ ●いかついDQNサングラス着用 ●不良御用達アイテム謎DQN数珠ブレスレット着用 「エリちゃん・・・・・・」 ⇒姐さん!!! 網走の龍二がどうしたんで!!! * * ―――夜露死苦! * かえでさんは別に車や、エリちゃんの格好を気にしていない。 まあ、実際、ヤンキーだろうがヤクザだろうが、 いい子はいい子だ―――かえでさん想いの最高の友達POINTがある。 ネブラスカ州の州間高速道路I-80は、天国へ続く道路。 「上田さん、行こう」 とエリちゃんがサングラス外しながら、言う。 ―――何の話だ。 実家の住所をカーナビに入れる。 遠回りや、ややこしい道の時は、 教えてくれよ、とエリちゃんが言った。 車は走りだす―――何だか、気が重い感じで。 「
2021年01月19日

......university * * *(の、) 思い知らされ―――る。 僕は彼女のことを何も知らない・・・・・・。 * * *無限を感じさせる天体の軌道のような弧線を描いた、その人間離れした一刹那・・・・・・・。安易な心で自然にひとりでに額縁の中の世界へ這入って行ける。体験は骨と肉の間に潜む、情・・・。味わわれない滋味なら、言葉なんて―――いらない・・・。眉 を、唇 を、鼻 を、額 を、丸 く な だ ら か な 肩 の 線 を 、魅 惑 を 湛 え た 服 の ひ だ を 。 方幾里、大きな水の渦に乗った枯れ葉―――。 ―――誰れが為めに鳴る? 「労働の開始と終了を知らせる鐘」 「正午を知らせる鐘」 「議会の開会を招集する鐘」 「上院開会を知らせる鐘」 「処刑を知らせる鐘」 ■草や木や風や雲のように敏感に自然の影響を感得する深い噴火口の底にひらめく硫火の舌のように、 ゆらゆらと燃え上がる。・・・・・・屈折率の関係で水の外からは見えない位置に、身を潜めている小川の中の黒い魚が言う。「大学は一つの街さ」 クローズアップ... アップ、アップ・・・・・・。 * * * そういまは―――電話の受話器から洩れるように・・。 思 い 出 して―――い る・・・ よ・・・。真夜中に見た絶世の美少女のかえでさんが、いまは、 僕を反対に不安にさせ、憂鬱にし、空虚にもした。喪失の魔法を発動する。逆さづりの男カードをREVERSE、大天使ガブリエルを召喚する!生命の樹を展開して―――。・・・・・・・ホルマリン漬けのメドゥサ―の首を中心奥に見える、バベルへ、―――ジッグラト・・・エ・テメン・アンキ・・・めまぐるしい眼球運動。皮膚の毛孔が開く。君は風向きが変わったことを知る。見られるという感覚が緊迫を帯び、減点へ次ぐ減点の様々な意識の流れから、ジャケットにスラックスで革靴だとキメすぎだし、パーカーにデニムパンツにスニーカーだとラフすぎる。気が付くと全身がユニクロになっている人もいる。さもなければ、しまむらの一員。 思 い 出 して―――い る・・・ よ・・・。 僕はこの瓦斯体のような女性を、 あるいは無数の蔦の蔓でつつまれている女性を、 どうしようもなく、愛しく感じている・・・・・・。 * * * 『結婚式場の控室』か、 『夜明け前の鶏小屋』にやってきたようだ。 盛り土の上の露わになった神経のような剥き出しの根みたいに、 感情を鎖した、その陰気なかえでさんが、 僕の心を搏ったのは何故だろ―――う。 わかるだろ―――う、 、、、、、、、、、、、、、、 燃料加温装置及び急速始動装置―――。 知ってるだろ―――う、 彼女はきれいに壁土を塗ってゆく。 僕は造作なく掴まえられてしま―――う。 (掘抜用ドリルの原理と、 円形小型削岩機の原理とを組み合わせる能力のようなもの) 「上田さん、上田さん・・・・・・、 あんまりジッと見つめられると、照れますから・・・ さまざまな形に棚引きはじめるのだ。 そして、その揺動の間に、チラホラ見え隠れして、 底深い、淵のような黝みが現われ出る。階 段の 吹き 抜 け と 、屋上 の 妙な 傾 き・・・。 あ る 日 、世 界 の 窓 辺 に 新 し い 花 が 生 ま れ る。 公式発表みたいに、 市民権を得たみたい―――に。 四季折々の花が咲く花壇に、寝そべるのが気持ちいい芝生の中庭と、煉瓦と自動販売機とベンチ、そして市民も食事できる食堂。友達作りのためのサークルに、がっつり活動する部活。研究室。ゼミ。大学は研究機関だけれど、様々な企業からの仕事の依頼がある。だから、枝の向きを変えるように、人間の向きを変えることが出来る。掲示板に貼り出されている、多種多様なボランティア。NPO法人なんかと繋がることもあるかも知れない。インターン―――就労体験。―――就職活動に有利だからとやる人もいるね。脱皮したての柔らかい甲羅の蟹ではいられないということだね、まあ、亀の場合は栄養失調ということもあるけどね。「センパイって呼んでくれないの? 【YES】―――と答えると、 オーバーフロー水槽、浄水器、クーラー、 ライブロック、ライブサンド、ヒーター、 水中ポンプ、塩分濃度計、人工海水、 自動給水器、電磁弁という項目が出てくるんだ。 「上田さんって優しいですよね?」 「優しい人間なんていないよ」 「―――じゃあ、私だけに優しいんですか?」 「みんな、日溜まりの庭にいたいんだ」 かえでさんは、 僕の案内を聞きながら段階的に質問して、 イメージを拡大していく。 意識のフレームに入っていく。 東キャンバスと西キャンバスと簡単に説明しながら中に入る。 ベンチャー・ビジネス・ラボラトリー棟、 図書館、芸術文化センター、 宿泊施設、文科系サークル共用施設、弓道場―――。 * * * そういえば大学の四年間ってどう思う? 高い学費と、長い時間の浪費。 モラトリアム期間だね。 スポーツが好きとか、専門的な研究がしたいとか、 免許・資格を取りたいとかは素敵だよね。 ううん、かえでさんは答えなくていいよ。 かえでさんにはそれはきっとある。 また考えることに意味があると僕は思う。 「(人生の意味って何?)」 「(幸福ってどういうこと?)」 「(人生でたった一人でいいから心の底から愛されてみたい)」 「(人生でたった一度でいいから心の底から感動してみたい)」 〇大学は友達を作りに行くところでもいい。 〇様々な人間との交流でリソースを増やし、 アウトプットの習慣を作る。 購買ショップに、キャンパスサポートセンターにも立ち寄るが、 春休みだからやってない。 ―――筋委縮性側索硬化症のミッシング・リンク作成。 その足で、ラグビー場や、バレーボールコート、 グラウンドなどを紹介していく。 ―――いま、かぞえきれないほどの扉や支柱。 電子回路じみたキルティングの作用。 なんだか、アメリカン・エクスプレスのカードを持った、 建築業者みたいな顔をしながら。 (君は―――君は・・・ 君が―――君が・・・・・・) ―――そして ―――そして >ポケットから電話、妹のみゆ。 >[取る/電話に出る] >「もしもし・・・・・・もしもし・・・・・・」 *
2021年01月15日

僕等は、家を出て住宅ばかりのベッドタウン風景から抜けて、 公園に通りかかる。 息を吸い込むと、強い花の匂いがする。 空気は重く、澱んで濁っている。象徴的に、濃密に――。 まるで『時間つぶしをしている時に読んでいる本』みたいに―――。 ほらまた活字が吸い込まれて―――ゆく。 * * 公園といっても、色んな種類があると思う。 (といって別にエジプトのピラミッドについて話すわけでもないけけど、) ―――ごく単純に、三種類あると思う。 1、マンションに隣接された公園 (これは論外というよりも、あれは公園であって公園と似て非なるもの) 2、滑り台やブランコがある小型や中規模の公園 (これはキャッチボールできるぐらいの場所がある、が定義的に正しい。 そし て・・・・・・) 3、大型の公園 、、、、、、、、、、、 別に難しい理屈ではない、 『蠅が蠅叩きを眺める』ように、隠見して、 よもやまさか、氷山の一角の無意識的レベルの説明・・・・・・。 郵便受けにそんな面倒くさいスポーツ新聞や、 ダイレクト・メールの常識を超えたような手紙が舞い込んでいたら、 僕はきっと哲学者になってしま―――う。 * * こういう言い方は本当にどうかと思うけど、 多くの公園は、【寄生虫】みたいなものだと思う。 ステレオタイプなセット、DNAとRNAみたいに、 昔の偉い人の教えが、 いまも日本の公園に受け継がれているんじゃないかと思う。 「 連綿と続く。北斗神拳のように続く。南斗聖拳も生まれる。 .......公園の神話。 * * ミニマムな視点を否定するわけではないけど、大型の公園には、 『カルガモが泳いで白鳥が飛来する池』があるし、 『ゴールデンレトリバーと歩くのに適した散歩道』もあるし、 (大型公園では不思議と、小さな犬を見ない。 小さな犬の飼い主が、大型公園を嫌いだからなのだ) 『普段見ない樹木と表示板』もつけられているものだし、 『品ぞろえの悪いコンビニのような売店』がそこにはあり、 『自動販売機の謎密集で、すさまじい電気代』だと思うし、 『大型公園とまったく関係ない優良なレストラン』が近くにあったりする。 (大型公園の利用者は喜ぶ、それだけが取り柄) 子供にとって、大きな公園は遊園地といっても差し支えないから、 パブリックスペースに置かれる、 『お父さんが昼寝するのに適したベンチ』とか、 『ディズニーランドのそれより見にくく、 子供を馬鹿にしたような案内板』も、素晴らしいアイテム。 、、、、 一味違う、 、、、 、、、、、、、、、、、、、、、、 それが、スプーンでココアを混ぜる時の条件・・・。 ・・・・・・えーと、何の話だっけ? でもいつまでも日本を野暮ったいとか、田舎者の国、芸術四流国として、 あーその、槍玉にあげるような見方はよすべきだと思うね―――。 電線はもう日本の顔であり個性だと思う、 否定的にとらえる見方はもうやめてもらおうか、 ゴミゴミしている日本的なせせこましさに呑み込まれて、 社会の荒波という比喩よろしく洗濯機でヨゴレモノたちが落とされて、 (そしてあなたも厭世論者、立派な厭人家、猿の惑星、馬人の虜) ―――突然、晴耕雨読だよね(笑) ・・・・・・アイ、が、足り、ない。 ・・・・・・アイ、が、足り、ない。 空がアフリカみたいに広く感じられる一瞬って、 中々日本の都会的景観の中では見つけられない。 毛虫は―――葉っぱを食べ続けるのに貪欲だから。 (金を稼ぐ、人を騙す、愚痴をこぼす泣き言を言う、 それが、ステータス―――やれやれほらほら、これが悲喜劇こもごも!) でも、大きな公園にはそれがある。 アスレチックや、魚釣りもできる公園なんか実際子供なら楽しいだろう。 ブランコの立ち漕ぎって危険だけど、 実は想定されたオフィシャルな乗り方であるみたいに。 でも小さな公園にだって、いいところがある。 たとえば―――そこに色んなコンセプトがあることを考えることだ。 これなんか、非常に大学生らしいと思う。 エッジデザイン、街の景観との調和。 そして、生まれて、くる、霧。 そして、生まれて、くる、毒。 いつからだろう―――な、 キャッチボール禁止とか、花火禁止の公園で、 随分なことになってる。 どうして、あれするな、これするな、みたいな、 切れないハサミ渡すようなことになったのだろう。 コンビニで大々的に花火が売り出されているのを、 見る度に、ちょっと暗い気持ちになる。 一体、僕等は何処で花火をやったらいいのだろ―――うか。 海浜公園でも駄目となれば、山奥にあるキャンプ場あたり。 それとも、本当に田舎なのかなあ・・・。 やんちゃな子供たちが減ったような気がするのも、 危険と安全との明確な境界線ができて、 色んなルールが最初からあるせいなのかも知れない。 (だからこの公園だって―――きっと、) 様変わりしてしまった景色・・・・・・。 「公園に一番大切なものが、 抒情的なものであったことに、 気付ける日本人はいない―――。 * * 都市部は求職者を吸引して社会増を実現し、 毎年一万人程度の人口増があるという。 ベッドタウンとなっている周辺自治体の人口増。 コンビナートや歓楽街、遊園地などのある湾岸部がふと思い出される。 近頃では、通り過ぎる人の中に外国人の姿もそんなに珍しくはない。 国際化、グローバル・・。 大学教員や留学生、研修生等の外国人も増加している。 そして・・・・・・。 * チョウ 中国人留学生、百六十センチの趙さんがいた。 顎がシャープで、細眼で、細身というのがおおよその特徴。 『好戦的』とか、『男性的』という諸要素は中国的なイメージだけど、 僕の知る限り、『オープン』で『礼儀正しい』・・・・・・。 (また、仲良くなっていくと、情に篤いことがわかる。) 周到な観察と実感とをもって言えるのは、 マスコミやネットの『中国』と、 現実の、生身の『中国人』とは別物かも知れないということだ。 (中国も中国人も刻一刻と変わっている―――) (実際、中国の道路では唾を吐くのが普通だと趙さんが言う。 中国のグリーン車が汚いという話をすると、 本当にどうしてそんなことをするのかと恥ずかしそうな顔をする) いつだったか中国で自殺しようとする人に、 「飛び降りろ」と煽ったとんでもない中国人の話があったものだけど、 これは―――やっぱり一部であって、全体ではない。 ああ、この人、普通だな、と本当に思う。 その―――中国人の友達は男の子うさぎを数匹連れて―――いる。 「・・・・・・・なんだ、これ 「ドモホルンリンクル飲んでますか?」 趙さんが言った。 呆気にとられている僕等に反応は難しい。そこへ、うさぎが言う。 「一見綺麗なねーちゃんが振り向いたら青ヒゲのオカマ―――」 また別のうさぎが言う。 「アナタガスキダカラアアァァァア」 韓国人ネタの宝刀、チャン・ドンゴンが飛び出して、 僕とかえでさんはニヤける。そこへ覆いかぶせるように、 また別のうさぎが、 「シャウァアアッツ」 と、謎高音シャウトボイス。これには爆笑。導火線に火が点いた。 ハッと見ると、趙さんが、ホッとしたようにはにかんでいた。 何しているのと本当に思うけど、いい笑顔だ。 、、、、 うさぎ達は、ちなみに日本語を喋った。 何故とか、どうしてとか突っ込んではいけない。 (混雑し過ぎて身動きできない真夏のプールのようなイメージ・・) 近頃のうさぎというのは、喋るし、 日本語が日本人より上手だったりするのだ。 そしてどうだろう、あの不敵なモフッとした頬の感じ。 、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、 ドイツのノイシュヴァンシュタイン城の、 、、、、、、、、、、、、、、、、、、、 お土産売り場にありそうな砂糖菓子の具合。 卵の白身と砂糖だけといったメレンゲ具合。 触ってといわんばかりの、ふわふわした、 小さな雪だるまのような愛嬌。 スウィートタイム 天使のような触り心地―――。 * * * 「うさぎはこの世界で一番かわいいのだ!」 無表情でそれを見つめる僕とかえでさん。 本当に可愛かったので、自然、そういう反応になる。 だが、そういうリアクションをすると、ゆさぎは、こう言った。 「・・・・・・・間違えて自爆スイッチを押し、 自分で作った落とし穴にはまる主人公の気分・・・、 愛を知った季節よ、さようなら! もう僕を追わないで」 とポエムった。 言ったあと、がちょーん、とか言ってほかのうさぎにボコスカしばかれていた。 本気だった。これにはさすがに堪え切れない。真剣勝負。 彼等は、笑いを求めて戦いのゴングを鳴らしている。 「うさぎだけがすべてなのだ!」 僕とかえでさんは、口を半開きにする。 ゆさぎは、不意に空を見つめていた。 「オーライオーライ、ライトフライだ―――ってゆさぎはボールじゃねえ! おお、風が落ちた、テンションメルトダウン、アベられた、僕よ・・。 凍り付いたように寒く沈みきった、ここは沙漠か? いいえ、泊夫藍の花をただ甘く踏み躙っただけ、 それがただ優しいだけ―――、悲しいだけ・・・なのさ・・・」 とやはり、ポエムった。これがまた、ジワジワくる。 ―――芸達者すぎるのだ。 言ったあと、がちょーん、とか言ってやはりほかのうさぎにボコスカしばかれていた。 爆笑した。コントである。ネタである―――誘い水。 「うさぎ、マジ最高!」 フゥーッ、と奇声をあげる、うさぎ野郎ども。 そして、クックロビン音頭を踊る、 一瞬、ビリーズブートキャンプに見せかけたり、 マイケル・ジャクソンに見せかける高度なフェイクも披露した、 ―――す べ て は ク ッ ク ロ ビ ン 音 頭 に つ な げ る が た め 。 (*何故パタリロ) そもそも滑り芸で、アニメ化して一発ギャグ化したという経緯もあるそれを、 お祭り芸に変えてしまっているのが―――見逃せ、ない・・。 したたかうさぎ達の、強靭なハート。そして無駄にソウルフル! (*超シュールなのは別として) かえでさんが、すかさず、パパラッチのようにカメラを構え、 写真をぱしゃぱしゃ撮った。 『撮ってくれ商材』だものなあ・・・・・・。 可愛いのだから仕方ないが、撮っていい、 ぐらいはやっぱり聞くべきだったかも知れない。 * * 「やい、このヨドバシカメラ!」 かえでさんが、僕を見る。 え、僕? そう言うと、クスッと笑った。 ―――冷 気 の 層 が 音 を 立 て て 下 り て い く ・・。 、、、、、 、、 「すみません、つい」 、、 「いえ」 いわずもがな、僕はかえでさんを見て笑った。 なんだかこんなに笑っていると心が本当に軽くなる。 彼等の声が、あたかも心の中へ響いていくのようにも思える。 などと思っていたら―――容赦ないのね、ブレないなあ、こいつら・・。 「慈恵病院にたくさんのコウノトリがやってくるぞ」 そのネタ、きわどすぎるから、やめて。 わいせつ罪で連行するよ。 ―――でも、『コードギアス 反逆のルルーシュ』 あるいは『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』』 「お風呂の浴槽ぺろぺろ、か?」 「アヘ顔ダブルピースか」 「えっちい身体してねちっこい性癖か」 「薬局にうすぴた買いにいくつもりか」 こらこら! 、、 フフ ・・・・・・・。 「お兄ちゃん、駄菓子おごって。 美味い棒でいいから!」 ―――なんで、急にそんなこと・・・。 「・・・・・・動いたらお腹減った―――から」 つぶら眼のうさぎにお願いされると気持ちが揺らぐ。 でも妹を相手にしているような僕はオトナ対応。すかさず、交渉。 「やめてくれたら百円あげちゃうよ」 そう言うと、一瞬僕等の方へ凧のようにふらふらやってこようとした。 そうすると、他のうさぎ達に、 「精神攻撃されたのか、バーサーカーか? まきはらか?」 「カザマか?」 (*学校であった怖い話参照) 多分、最初以外全部違うよね。 あと、マッカーサー、言いたい僕も、諌めておくよ。当たり前だけどね。 「我にかえれ」とか言われたりした。 僕は何故か、プライベートライアンで救出する対象が話す、 お兄さんのそれを、思い出してしまう・・。 だが、その美味い棒食べたいゆさぎは―――。 「うさぎだって、美味い棒が食べたい。その衝動は―――」 不意に眼を細めてポエムるのが、うさぎの習い。 五秒経過―――。 十秒経過・・・・・・。 引っ張ります、引っ張る、引っ張れ、引っ張る・・・・・・。 強調、強調―――。 、、、、、、、、 いいからしゃべれ! 「下界の街からあがる死の呼び声、 しかしそのざわめきは、光のように波打つ――― まるで行き場を失った魂のように・・・」 ドヤ顔しながら。 なんだこいつ、と言う、うさぎ達。 でも、なんだ、こいつ、に揺れが見られる。 統率の乱れは、自制心の乱れ。 「僕だって食べたい」 「食べたい」 フウー・・・仕方ない。財布を取り出す。 おっ、おっ、おっ、うさぎたちが寄ってくる、 ホットケーキみたいに素早い。 紙芝居屋にでもなった気分だ。 僕は財布から百円をみんなに配った。 ―――ヘヘヘ、ありがと、とみんな、ニマッとした顔をした。 これで終わりかなと思ったら―――まだ続いていた。 勢いだけで、何かを説明する気がもとよりない連中のシナリオ。 怒涛の快進撃は続く。 たぬきや、あらいぐまや、レッサーパンダも出てきた。 「とぅとぅとぅっ・・・たぬきA!」 仮面ライダー1号のポーズ決めながら。 「とぅとぅとぅっ・・・あらいぐまレエェッド!」 ウルトラマンのスペシウム光線のポーズを―――決めながら。 「とぅとぅとぅっ・・・野生の戦士、レッサーパンダ」 何故か片足立ちになるポーズ決めながら・・・。 お願いだから揃えて。 ―――そして、組み合わさった。狸の上にあらいぐまがのり、 タタタ、ピョンと、レッサーパンダが上へドッキング。 (めちゃくちゃ可愛い、) 「団子サンギョウダイ!」 そう言って、合体する。 僕とかえでさんは、拍手を送る。サーカスの玉乗りの方が、 バランス感覚では上だとは思うけど、やっぱりすごいとは思う。 また、サーカスの玉乗りや綱わたりはすごいけど、ここまで、可愛くない。 可愛いは採点基準を狂わせる。 十五秒ほど姿勢を維持した。 そのあと、おつかれー、おつかれー、まじおつかれー、 とか、言って去っていく。 「あ、あとで、ハンバーガーだよ」 、、、、、、、、、 平成狸合戦ぽんぽこ・・・・・・。 お仕事モードから、 プライヴェートモードへの鮮やかな切り替え。 ただそのために出て来たらしい、三匹。 僕とかえでさんは、爆笑した。 (どういうプロだろうか、と思う) ―――僕もいつか、大きなお尻のあの鳥のことを思い出していたのである・・。 * * そして、そしてついに悪の怪人―――らしき、マントを羽織った、 黒幕、かもちゃんが登場する。 僕とかえでさんは、拍手で出迎える。 公園にいる子供たちも拍手している。 宇宙空間で弓矢を放つゴルゴのように凄い。 いや―――。 スター性を持った鳥は、現れるだけで大体面白い。 身長百六〇センチ、体重八〇キロの巨大ペンギンの化石が見つかった、 という話を不意に思い出してしまう。 ・・・・・・何をするのだろう、何を言うのだろうと思っていたら、 いきなり―――。 「舞え!」 そして、かもちゃんの合図で、公園上空に、 およそ、十数羽の鳥が、曲芸飛行した。 これはお家芸だろう。公園にいる人達は全員拍手。 そしてそれが終わったと思ったら、 さあ、ついに飛ぶのか、やっぱり飛ぶのか、飛ぶんだろ、飛ぶんだろ、 と思っていたら、期待通り、翼を拡げて―――。 そして・・・・・・。 そして―――。 、、、 、、、 すてん、転んだ・・・・・・・・・・。 (オー、やめてくれ、腹筋崩壊・・) 、、、 、、、、、、 、、 まさか、最後の最後で、ベタ・・・。 むくっと仰向けになると、かもちゃんが最後の仕上げ。 「てっしゅうダロ!」 中国からの留学生の趙さんが僕のところに来る。 デートシテルトコロゴメンネ、と言われた。 いやでも面白かったよ、今日はどうしたの? 「・・・・・・チョット、サソワレタ」 というかもういいよ、そんな風に片言で喋らなくて―――。 ―――てか、まだ狙ってるの? 「上田さん、また餃子でも食べよう」 「そうだね、巣鴨も呼んで」 そして、ただ、何かの味付けに使われただけの趙さんは去っていった。 かもちゃんが、バイバイ、ギョーザ、と言っていた。 そんな名前の付け方もおかしかったが、それに対して、 サヨナラー、ベンジョコオロギ、と呼ばれているかもちゃん。 ・・・・僕とかえでさんは、口を押さえつつ笑った。 癖がありすぎて、しかし笑いをとことん狙いに行く奴等の小時間・・。 、、、、、 ワイルドだ。 * *
2021年01月11日

そしてその足で、かえでさんのところまで行く。 急ぎ足で、何だか、子供時代、 あまりにもお腹が減っている時の夕食のカレーとか、 便意やら尿意やらを我慢している時のそれをも想起し、苦笑する。 * * ガチャッ..スタン...カタン... 自転車を邪魔にならないところに停める。 ―――【他 人】 * * * * インターフォンを押すと、上田さんですね、中へ上がってください、 とかえでさんの声がしたので、門を開けて入る。 (話にちょっと添える薬味みたいに、) 夕方というよりほぼ夜だったために、いくらか鮮やかを落としていた庭は、 外国の庭みたいに、いい感じだった。そして猫がいた。 、、、、、、、、、、 ホワイトユニヴァース・・・・・・。 僕を見ると、何だてめえはみたいな細い眼をしながら、身構えられた。 (光もいまさらだ、) 君の気持ちはわかる、でも、僕は危害をくわえない、 機会があったら触らしてくれよ、と僕は思った。 猫は、一瞬肯いたように見えた。 でもすることがあるんじゃないか、と猫は心の中にだけ聞こえる声で言った。 ドアを開けると、いつもの、首から上がないかえでさんが、 そこにいた。 (空間は―――イメージ写真の中を彷徨う、) ブラウンというか、モカというか、栗鼠っぽい色の長袖Tシャツに、 足がすらっとして見えるホワイトデニム・・。 そして素足だった。 僕は何だか、ロイヤリティー諸島のムリ・ビーチの細かな砂を歩くさまを想像する。 ちなみにビーチにある蛇がのたくったような跡は、やどかり。 こうやって―――。 こんな風に・・・・・・。 崩れずに横たわっているものが浮かび上がる―――。 でもそれを見ない・・・。 僕等は本当に何かを選んでいるのだろう―――か。 僕等は何も見てない・・・・・・。 (ふとそんなことを思う、) 全然関係ないけど、男性における白いズボンって、 女性受けが悪いという評判が根強い。 少数派の意見ではあるけれど、ダサいとか、DQNとか、 まあ、ひどいことを言われている。 ただ、基本的に巣鴨みたいにカッコいい人物なら無条件でOKだし、 そうではなくとも、センスがある、 あるいは、コーディネートを意識していると抜群だ。 まあ、なかでも厄介な、しかし正論な話として、 インナーパンツが透けて見えるというのがあり、 そこにアニメ系のパンツがあったらと想像したことがある。 ちなみに大学ではそういうネタで、 わざわざインナーパンツにそれをチョイスしてくる奴がいる。 ありがとう、お前は馬鹿だ、でもそういう根性は好きだ。 僕はお前を忘れない、その勇気を絶対に忘れたりしない―――。 、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、 ちなみにかえでさんにそれはよく似合っていた。 * * 「白いズボンを上手に着こなしてますね」 一応関係ないけど、言った。 巣鴨の会話のあとのせいで、妙に好意を意識したせいかも知れない。 「そうですか?」 いきなり、帽子をかむった。玄関の壁フックに飾られていた、 いくつかある帽子。スーパーマリオ風の帽子に、ストローキャスケット、 探検帽、着ぐるみ帽など多彩だったけど、ストローキャスケットを選択。 何故か横を向いてうつむきがちになり、 「ありがとうございます」 かえでさんが言った。 そんな照れ方は反則だよと思うけど、可愛かった。 また気付いたことだけれど、顔が見えなかろうが、 可愛いという回路は別のところにあるらしいこと。 基本的に顔が見えないので、手とか、身体の動きで判断する。 それがどうも僕の感性にジャストミートしてくる。 ただ、かえでさんってスタイル抜群なんだっていうこと。 身体のラインが美味しそうなのはもう昨日から紳士同盟の基本条項だったけど、 可愛いと美味しそうが一緒に並ぶと今度は僕も何だか直視できなくなる。 「ごめん、少し早く来過ぎてしまったのかもしれないけど・・・」 「何を言います、上田様、妄想がはかどります」 ―――僕等は一瞬向かい合ったまま、沈黙したあと、笑った。 何で急に、そんな時代がかった喋り方になるの、と思った。 「ごめんなさい―――続けて」 「あ、うん、実は昨日、 エリちゃんにもっといいマスクはないかって言われて、 ふと思うところがあって、友達から借りたんだけど―――。 よければ、一度つけてみて」 僕は、ぐいと差し出した。 かえでさんは、ありがとうございます、と言って、おもむろ装着し始めた。 あ、やっぱりそこに頭があるんだな、という感じでマスクが肉感を増してゆく。 透明人間が眼鏡や帽子をつけるような感覚で、 肉感的な女性がそこに現れた。確かに美人のマスクだ。 問題は、少しハーフっぽいということだろう。 小顔、頭の骨格の小ささ、マスクの色白がそう思わせる。 ただ―――およそ、見当はずれな認識不足だったが、瞳がまったく見えない。 大抵の人は注視しないだろうが、眼によって違和感をおぼえたあとだと―――別。 万能のように思えた道具が途端、使い勝手が悪いものに思える不思議。 口をひらくと、歯や舌が見えない。空洞―――空っぽ、 すうっと、吸い込まれそうな感じ。 まあ、それはそうだよなあ、と思いつつ、ああ失敗かと思っていたら、 かえでさんが壁に設置された鏡を見て、笑い声をあげた。 「これ、サングラスとマスクをつけたら、いいですね。 エリちゃんも、きっとこういうのなら喜んでくれると思います。 立派な不審者っぽいのはさておいても―――ありがとうございます」 口が横に拡がっている、ああ、その向こう側は空洞だけれど、 その筋肉の動きは、その頬の動きは、確かに―――笑顔というものだと思えた。 、、、 、、、 きっと―――きっと・・・。 「きっと―――上田さんは、私が恥をかかないようにと思って、 こんな素敵な物を用意してくれたんですね」 何だかパパラッチから逃げる外国人女優の一齣みたいに見える。 僕は何だか、少しジーンとしてしまった。というか、やっぱり、 巣鴨はいくらか気をまわしすぎである。いや、もしかしたら、お金を受取らない口実と、 恋愛指南のためにああやって言ったのかなあ、とも今頃思えてくる。 やっぱり友達は大切にしなくちゃいけない。 「気に入ってくれたら嬉しいよ」 巣鴨に感謝だな、と思う。 「それで、上田さん―――」 改まった口ぶりになり、帽子を取り、一歩近づいた。 それにしても、唇が動くというだけで、何か、 全然違った印象になるというのは不思議な感想だった。 美少女ゲームの唇が動くイラストみたいな状態、と僕は思った。 「何処へ行きましょうか?」 * * *
2021年01月05日
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