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ブレーキの音、スタンドを立てる音、 そして、自転車のキーをポケットに仕舞う気配―――。 車は静かに一定の勾配の砂利を量る計器のように進行を始めた。 ちなみに、巣鴨はこの車をとても絶妙な立ち位置だと述べている。 テレパシーのようにすぐ深い理解が訪れる。 惰性の中にも淫靡さがある、自然な安らぎのある男女の関係・・・・。 * ―――君もいつか正直になって、ずっと優しくなって、 色んなことに踏ん切りをつけたら、征服欲や、所有欲とは違う、 もっと別の感情に気付く―――気付くはずだよ、巣鴨・・・。 「ルノー・ルーテシア・インテンス・テックパックは美しい・・・」 「ルノー・ルーテシア・インテンス・テックパックは美しい・・・」 ―――歳を取るって、なんて素敵なことだろ―――う・・。 ある日、雷鳴を受けたような天啓のもと魅了されて、 みんなラファエロの描いた天使を―――見つけたのさ・・・。 * * * 居心地のいい日溜まりを見つけた鳥のような束の間の安堵。 アンテナの感度が緩む。 どことなく、遠い南の国からやってきた春を思わせる朝食。 ホームベーカリーで作ったパンに、 茄子とズッキーニとベーコンのトマトパスタ、 輪切りのトマトやグリーンリーフを添えた、 牛乳を入れたスクランブルエッグ。 インスタントコーヒーではなく、ペーパードリップで淹れて。 * 「一杯のコーヒーのなかには、 精一杯に飾り立てられたショーウィンドーがある」 * * さあっと、やさしく軽い音をたてながら、カーテンの方で、波を打つ。 アルペジオ 琵音・・・・・・。 すると、まるで海の波みたいに、 一本のほぼまっすぐな線となって横に広がる、 つなみ ノクト マテーノ 海潚―――夜と朝・・。 刹那の弧状揺籃を聴きつつ―――。 その波が、右に左に、永遠に継ぐそのささやかなる命を教えて、そよぐ。 風の動きが、そこに見える。 単純な響きにも、心を捉えて放さないような無限に深いある力が、 ヴェールを透かし見るたびに感じられる。粛かな、謐けさのなかの、弥撒。 さと 聡叡き風のとおり道・・・・・・。 * * * 歯槽膿漏みたいな厄介さ―――。 ミッシングリンクの解消による道路網の多重化とか、 未着手道路を優先にとか、だろうか。 バス空白地帯とか、急下り坂など、 アップダウンの激しい難易度の高いコースとかだろうか。 交通量の抑制あるいは調整。 まあ、道路のない時代から人が住んでいるから、 後から無理に道路を作ったに決まっていて、 どこかしらに、こういう無理が出てくる。 銀河系の外れでも、火星ダコが言うのだろう。 フロントガラスに幾つもの経路を経てようやく出た接続点から、 主要道路を見つめる。 駐車場の広い、コンビニエンスストアと等間隔の街路樹が見えた。 「といっても、神社じゃない。目的地は、神社の向こうにある。 でも的外れというわけじゃないぜ、神社で藤堂先輩と合流するからな。 あと、そこで俺と同じ作業着にも着替えてもらう」 それで何となく、ピンときた。 閉ざした眼蓋が心の内のその炎を洩らし出すように紅に染まっている。 * 信号機を見ながらふと思う。 どうして、僕等は二つ目だったのだろう―――と。 信号機を見ながらふと思う。 アンチックな装飾を施した電話機のような、 仕掛け花火の途方もない大きさ。 本当のところ、僕等は何も知らない。 何も知らないことが多すぎるから、 僕等は生きていると言っても成立するぐらい、 過ぎ去った日々のとりとめもない思い出。 * * (何となく、窓を開けて、肌にまつわるような風の冷たさに想いを馳せる、) (藤堂先輩の実家である神社―――『夜坂神社』と言う。 イザナミノミコトが黄泉比良坂で永久に黄泉国に、 閉じこめられることになってしまったみたいな話を連想させる・・) 神社の向こうは、山間へアプローチできる森林地帯。 大学の友人が言うには甲虫が取れるらしく、小銭稼ぎができるらしい。 まあ、甲虫の捕獲できる数に限りがあるし、 万馬券という希少価値のアルビノとかいう国産種は普通発見できない以上、 それは趣味の延長線上の小銭稼ぎなのだろう。 どうしてか、男というのは蝉や甲虫に過敏反応してしまう。 「・・・・・・・・・」 自然豊かな地帯を縫うように悠ったりとした川が流れている。 行ったことはないが、魂に刻まれた遠いあこがれを、 人生の網の上を巧妙に歩くように、その川を何となく思い浮かべている。 それが夢の中と同一のものなのかも知れない。 何処へ行くのか・・・・・・? 「・・・・・・」 金といえば、資産運用の中の保険、たとえば資産の中に全然リスクが違うものを、 一つ持っておくことによって、全体のリスクを低減できる、という保険である。 また金の価値として重要なのは、腐らない、酸化しない、 地上にある自然物には、なんにも反応しないということが挙げられる。 ちなみに純金は歯形がつくぐらい柔らかい。 歯形は解剖学の教科書から写生したような浮き彫りを生む。 「・・・・・・・・・」 「(空行く鳥の歌、インイクスペンシヴ・・・・・・・)」 * 「一つずつ組み合わせれたジグソーパズル、額縁の中の、 その微妙な接続跡に、風が死んだように凪いでいる」 * * *
2021年02月28日

(確かに実体はあるようで、自閉的で、 現実と接触する内的な緊張の特異な相貌、) 記憶回復後の夢と当惑感に原材料を供給する。 最下層に密封された巨大な落し戸。 異質な思考の秩序/心身の麻痺/ 今日は『入学式』―――昨日の段取りで、エリちゃんが、 入学式やその後のオリエンテーションに必要な、 「白のブラウス」と「黒のジャケット」に「タイトスカート」 それから「就活用のかばん」に「筆記用具」を届けてくれる手筈。 「犬が馬ほどの大きさになって荷車を引かされている夢―――」 「閉口だ。気が遠くなる。それに世界の色が少し暗くなる・・・・・・」 「奇妙な抑制が幾分弱まっていたが、胸を去らない―――」 * * 「・・・・・・」 メールが二件ある。 妹からのかもちゃんの動画が添付されたメールと、エリちゃんから、だ。 僕は昨日そういえば思わせぶりなことを言っていたのをぼんやりと思い出す。 いかにも標準を狂わせるような、強烈な眩耀が想像されてくる。 身体に対応する、新しい視線の発見。 僕はエリちゃんのメールを開封する―――。 そこには、かくして僕が見た夢が現実であることを知らせていた。 鼻を鳴らして慕い寄る一匹の小犬を連想しながら―――。 >イメージや実体を与えることで、存在は知覚される。 >そこには別の構えがあり、感触がある。 * * 僕は動けないまま、それを長い間ずっと見ていたのだ。 いくつもの朝、いくつもの夜。 またそのいくたびもの朝、くりかえしておわることのない夜。 ずっと見ていた。 ずっと見ていた。 頭がおかしくなりそうなぐらい、見ていた。 * * 「鳥肌よりもみじめな一夜分の僕の陳述。報告。歴史。 やれ狼の旬だとか、魑魅魍魎の汐さき。 * * * 激しい渇きと、全身を砕く空気が―――。 (コカトリスの卵、オークの肉、ミノタウロスの臓物・・) (エリンの四至宝に、五種の神器に、ブリテン島の十三の宝・・) * * エリちゃんはメールで書いていた。 あの夢はかえでさんの傍で眠る限り、ずっと夢に見るものらしい。 一回こっきりではない、ずっと、である。背筋が冷えた。 たった一度でもう何十回も体験したこの不毛な夢を、 まったく性質の異った夜の生活と、織り交ぜられていく。 二度目、三度目―――。 輾転反側しつつ、繰り返し繰り返し。 それは僕に、イソップ物語のヘルメスと木樵を思い出させた。 湖に落ちた自分の斧を正直に口にすることで、すべての斧を貰う話だ。 白雪姫が記憶によぎる。あれはひどい話だ、 継母が白雪姫の首を絞める、次は毒の櫛、最後は毒りんご。 首に、頭に、最後は口・・・。 でも、ずっと同じ。 自分にまくしかかって来る将来の運命をひたすらに黒く塗ってみたりしていた。 五体も心も不思議な熱を覚えながら、一種のリズムの中に揺り動かされる。 破滅願望? どうしようもない―――。 不朽の風、極美の門。原始の蹄の響き。光沢のない非道な存在。 時と永遠が牢獄の扉のなかにあるともしらず、 その得体の知れない感触を、白昼夢のような恐怖とでも呼ぶべきなのだろうか。 、、、、、、、、 深遠な悟りの内容―――僕は前世の悪業とかいうものを考えた。 あるいはそうでなければ、しっくりとこないものを胸の裡に噛みしめた。 (ボ ー マ ン 船 長 の 宿 命 と オ デ ュ ッ セ ウ ス の 帰 還 ) 蛇使いと印度仏教寺院。教えだの、戒めだの、輪廻だの、説法だの。 出鱈目な噴水塔の不調和な影像と狂った夕闇・・。 『法句経物語』で、 マハーモッガラーナ長老が盗賊たちに襲われる話がある。 一度目、二度目、しかし、これは過去生で自分がつくった悪業因の、 必然の果てだと三度目には盗賊たちに身をゆだねて殺される。 マハーモッガラーナ長老は過去世で自分の父母を殺していた。 ―――わかるようで、わからない教訓的な話・・・。 よれからむ蜘蛛の巣に光る、 宝石のような秘密のあまいしたたりの朝露。 罪の至純なる懺悔と紫の疑惑、 悲哀の種子。跳ね、突き進み、蹌踉めいた。 ウィンチェスターの迷宮、シャガールの夜の絵、 凸レンズのように透き、盛り上がっているような、俯瞰の光景。 前世があるのを認めるのもいい、過去の悪業が、 現世の何らかのしがらみを生みだしていると了解するのもいい。 ただ、そのカラクリを物語のように僕等は知ることができない。 だから僕等は無神論者にもなる。科学を信奉もする。 必然性がわからないのならそれはやはり偶然にすぎないのではないか、 と言いたくもなる。 でも、しずかにしずかにまわりをしへんをとりまいている、 虚妄の妖艶。豊麗な泥の海。迷宮のきざはし。 四度目、五度目も、ずっと同じ―――。 * * 真実と吐き気は紙一重だと蛙の解剖の時間に教わったみたいに、 それから、ジャイアントミルワームとか、ゴキブリタワーとか、 深海魚における提灯鮟鱇の比較にならないような気持ち悪いものを見てきた。 大鋸屑と木喰虫。 (・・・・・・自発的に受諾した、文明国家のstyleはdeep、 「二〇一〇年八月に、アルゼンチンで女性から、 およそ二四キロの腫瘍を取り除く映像。 また二〇〇一年三月五日、ネズミ捕り屋と芸能人をやってるイギリス人の、 ケン・エドワーズは一分間で三六匹のゴキブリを食べた。 快 哉。 理解し難い感覚。 彼等の身体に宿っている異なる種のような囚われの精神。 完全に明瞭である五本の指の方向。 、、、、、、、、、、、、、、、、 移動する野狐を銃口の先で焦点する・・・・・・。 ―――しかし僕は平気だった。 日常会話や目に見える記録からその話題を消し去ればいい、 それは簡単に忘れられた。 忘れられない時はどうしたらいい? * アリスは思う。『笑わない猫』は何度も見たけれど、 『猫なしの笑い』は初めて見たとチェシヤ猫について憶う。 、、、、、、、、 、、、、、、、 あやしくみなぎる、おともない気配。 、、、、、、、、、、、、、 眼に焼きついて離れないのだ。 、、、、 、、、、、、、、、、 あるいは、身体が動けばと思った。 、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、 今はじめて生れてはじめて自分の内心から出た要求。 むごん はじめ せかい 「無言―――という、最初の世界・・・」 声が、出そうになって、 すぐに弱くなって途切れる、かなしい呼吸器官。 * ・・・・・・長い間、埃が積もった部屋に、 足跡が、刻まれる。 どうしてそう思ったのかはわからない、 多分その夢の中の死体は、 犯人を見つけて欲しいわけではない、 それとはまったく違う理由で、 そこに、いるのだ。 肉体が滅びながら、精神を凍らせながら、 かえでさんに妙な因縁を残しながら、 僕にそれを伝えている。 何かを―――。 とても小さな声で何かを、伝えている・・・・・・。 * 着信音が鳴った。巣鴨だった。単刀直入に言った。 イケメンというのは、爽やかすぎて朝がよく似合う。 寝起きのひどい僕には、イケメンは少しきつかった。 「おはよう、上田。例の夢を見たんだろ? これから一時間後に、用意して、そちらに向かう。 昨日の借りを返してもらうよ」と。 (なにもかも、知っていて、考えていて、そして言葉を口にする) 「・・・・・・エリちゃんに頼まれて調べてたんだ。知ってたかい、 俺と彼女が親戚同士だって」 「―――いやまあ、いい、俺は今日の朝だと思ってる、 かえでさんにもね、その方がいいと思ってる、 エリちゃんもね、そう言っていたよ。 だって運命の恋人が、自分を助けてくれるなんて、 誰がどう考えても、少女漫画の世界だからね。 ―――ヒーローになる、 地味なヒーローも、いたものだけどね」 * * ―――七つの方法を考える、永遠の九夏・・・・・・。 ばたんと閉じこめられたこのタイム・マシーンの中・・・。 ・・・・・・傾いた椅子、脚が壊れた机、 七つも尖端がある奇怪なフォーク、 汚れた服、猫のふりした犬・・・・・・。 * *「・・・・・・・・・」 「(僕はどうしたらいいだろう?)」 「(しめやかにとざされたうれいのかお・・・・・・)」 「(ちいさくほころびる、しろいけむりの、にく・・・・・・)」 ―――あわあわしい、しどろもどろにかくれた、きぬずれのおとのような、 ひらめきをのこして、なよなよと、およぐもの―――。 ―――ドビュッシーの『夢』の旋律が甦って来る、 あんまり知られていない曲だけど・・・・・・。 *
2021年02月21日

* その時、その瞬間―――。 絶対に必要とされている正確な肉体の動き。 * *生半な刺激の感に恍惚する意志薄弱の美浴... * * * 芝居がかりの無力感に鮮度を求めた、 私鳥の群れ―――。 冷笑は色褪せ―――る。 悪意だけが浮かび上が―――る。 次元感官の呼吸に耽蝕する。 「レオタード着た白鳥・・・」 * デカダンス てりかえ ―――頽廃期の反映し・・ * 人間というのは,限られた認知容量で、複雑な問題空間を探索する。 (脳の発達、歯と咀嚼筋の退化、 二足直立歩行とそれに適した骨盤の形状、被毛の退化) すなわち、心像、知的感情および態度、そして思想である。 もちろん、そういう三要素だけではない、複雑多岐なアプローチが存在する。 ウュルツブルク学派やビネーの思考実験。 ゲシュタルト心理学の思考理論、 またピアジェおよびその影響下にある認知理論。 それはたとえば、ホルヘ・ルイス・ボルヘスとかいう、 図書館の番人のようなものである。 それは宇宙の暗闇に置き去りにされるような気分だろ―――うか。 あえてユゴーの文章を引用すれば、こういうことだ。 「バケツのなかには、湯気をたててる汚ない、 えたいのしれない液体がはいっていた。さらにその液体には、 なにか草みたいな物が浮いてるのがみえた。 徒刑囚たちは食事をはじめた。」 、、 ―――思考。 * * カナダのラヴァル大学で行われた研究によると、 『エキサイト画像』を頻繁に見ることは、 大脳の前頭葉前部皮質に影響をもたらす可能性がある。 具体的には、 『倫理観』や『意志力』や『欲求のコントロール』などの力が減退してしまう。 (ゲームをすると怒りやすくなるという研究に似ているけど、) (木乃伊から見る、埃及人の永遠の在り方ならびに、 不死の鳥の神話―――) ―――『業』 その結果、感情を抑制するのが下手になり、判断力も低下。 影響を受ける部位は、大脳の中で、 人が成人に達するまでは十分に発達しない領域。 「粗製濫造ドーパミンの海 じとじと湿った冷たくて暗い、様々な性の匂いが、 フッと鼻先をかすめる―――。 ●性に励む者もいれば性に抗う者もいる ●ファロスカッター、性的不能 同大学の研究者によると、性的な満足感を与える物を見ることは、 ある意味、我々の脳を幼稚な状態へと逆戻りさせるのだとか。 ―――ミルメコレオという蟻獅子がいるが、 身体の前半分は獅子、 後ろ半分は蟻―――そして生殖器が逆向きについている・・) その傾向を加速させている要因の一つは―――【スマホ】 * * * メタフィジック... ドア......ステップ... (ピリオドがうまく見つからない・・・) * * * * * 君は『回想録』だと思う。 それから君は、『告白録』だと思う。 最後に、それは、『懺悔録』なのだ、と―――。 * * * アリストテレスの形而上学的原理として規定された、 その事物の変化には四つの原因があるとされる。 僕はこの考え方はともかく、これの喩え方がとても好きだ。 つまり食卓を例として図式化したアリストテレスの四原因説である。 質料因とは木材、形相因とは意匠、 作用因とは大工仕事、 目的因とは食事。 もちろん、そんなことを言われたって、 迷宮を、宇宙を垣間見るだけのことなのだが、 (だって、こうやって喩えてみれば、彼等が雲の上ではなく、 生活の中で語っていたということがわかる―――) 僕は時折考えることがあるのだ、 ―――ホメロスやミルトン、そして『フィネガンズ・ウェイク』・・。 ありとあらゆるものが暗号のように思える一瞬を縫って、 浮かび上がってくる、まったく別の現象界、観念界のことを。 * * * * * * 餓えている―――乾いている・・。 『真実』もとい『本質』に。 そのものに―――あるがままに・・・。 心は暗く引き裂かれている。 そこに『王冠』が『杖』が―――ある・・。 永遠に続いていく外界からの光の接触・・。 催眠薬、緩下剤、大地から引き抜かれたマンドレイク・・。 顫えている―――怯えている・・・。 * * * カッコいいと言われて戸惑う経験―――が、多くの人にあると思う。 僕にはなかったけれど、というか、まったく、毛ほどもなかったけど、 スーパーマリオのコイン取り放題、世界はそれを愛と呼ぶんだぜ、 ボーナスステージ、エクストラステージへGO、 エヴァを追いつめる第七使徒イスラフェルと二体の分裂体みたいな―――。 (ジャポニカ学習帳の昆虫が、ある日、パンダの学習帳や、ポプラディア学習帳になる、 そんな淋しさを胸にいだきながら、僕はジャポニカ学習帳のまわしもの、 そう思っていた日々だった、昆虫最高、本当にもうそれだけだった、) ミニストップの生み出した都市伝説たる―――”手づくりおにぎり” (ポケットモンスターのレアモンスターみたいな扱い・・だけど、 ドラえもんに出てくる、『ちきゅうはかいばくだん』ほどではない) 取り扱っている店には『手づくりおにぎり取り扱い店』というマークが、 貼られている。しかしそういうマークが見当たらなくても、 普通に売られていることもある。よくわからない。oz...乙... ―――いやしかし、今、あった。 (エ リ ち ゃ ん が 買 っ て き た 食 材 の 中 に 、 ウ リ 科 カ ボ チ ャ 属 と か い い な が ら 、 胡 瓜 じ ゃ な い か っ て い う ズ ッ キ ー ニ が あ っ て 、 ナ ス と ズ ッ キ ー ニ の パ ス タ な ん て 、 朝 御 飯 に ど う か な と 思 っ て い た 影 響 で 口 に し た 、と い う 、 い や も う 本 当 に カ ッ コ つ け て 、 ズ キ ュ ー ン 、 ズ バ バ し た わ け で も な い の に 、 え 、 な に こ の 反 応 、 え 、 そ ん な こ と で カ ッ コ い い 、 い た だ け て し ま う の み た い な 、 ―――す ご い 戸 惑 い ・・・) 何と言っても二〇世紀初頭には十億程度だった世界人口は、 今では飛ぶ鳥落とす勢いの七〇億に爆発。 江戸時代に歌川貞秀によって描かれた、 秀吉の姫路城改築の浮世絵の大規模な足場。 おお、膨大な天文周期よ、世界の歴史は惑星の反復される影響。 ―――ねえ、僕よ、それはたして関係がある? 僕は、ゆさぎが、ヘヘヘと笑った、モフッとした頬を思い出す・・。 * 、、、、、、、、、、、、 この世界の枯れ井戸に愛を・・・・・・。 * * かもちゃんが遠く離れた場所で言う。 動物性たんぱく質にやたら過敏反応するという新鮮な驚きに満ちた鳥。 そのお尻を何故か、エリちゃんが撫でまわしている謎場面。 昭和の特撮に出てくる強敵っぽい響き、ネス湖のモンスター叫ぶ某氏の妹。 (*カメラ止めて、妹一人しかいないじゃん・・) 「美味しいもの、それはキャビア、ダロ、ファアグラ、ダロ、 あと、トリュフに、松坂牛に、雲丹に、伊勢海老ダロ。 松茸も忘れないダロ」 ―――鳥いいいいい!!! 「でも、最終的に味噌汁ごはんや、たくわん、野沢菜、卵焼き、 鯖の味噌煮、そんな感じですダロ」 でもしかし。 ああ、しかし。 美味しい水で作った中々食べられない豆腐に、 スーパーで買えない、これぞ醤油っていう、 かめびし醤油をスーッって垂らして、 葱かけて―――ビールでいただくダロ。 「ニョホホ、ニョホホ―――ニョー!!!」 * 酒を飲むということは、回り続けるメリーゴーランド。 そして君の瞳に乾杯。アデュー。 とかいう―――寒い題名を眺める。 世界で一番寒い村で、マイナス五〇度が当たり前の、 『オイミャコン』の生活ほどではないけど・・・寒い。 * ちなみにマイナス四度になると、水道管が凍結します。 マイナス三五度になると、醤油が凍る。 マイナス五〇度にもなると、空気が凍り、さらさら音を立てる。 マイナス七九度はドライアイスの温度。 マイナス九五度はガソリンが凍る。 地球上で観測できる、もっとも低い温度は大体このあたり。 * 修道院の祈願を思わせるような爽快な夜明け―――。 * スマートフォンに送っておきました。 ありがとう、眠っていました。 夜も遅いので、迷惑な動画を送るのはやめましょう。 * * 上の空―――蜘蛛の巣も、 容易の肯定の腐蝕した欺瞞の形態も。 超自然の不可避の存在、本能的に辿って来た神経の魔法。 * 筋肉少女帯の『日本印度化計画』という曲のフレーズにある、 「日本をインドにしてしまえ」とかいう、悲しさ。 、、、 悲しい。 * * 入れる人も、「入れねば!!」という強いこだわりはなく、 「入れたい人は入れる」「入れる時は入れる」的なフラットさ。 ×淹れる? ×容れる? ×射れる? ―――ってかそれが、正解じゃあ・・・。 * * * * * * * * * * * * * * * 布団の上に出ていた、かえでさんの手の上に、手を・・・・・・・。 ―――重ねた。 瞬間の中に流されている等身大の素顔は、 瘡蓋に覆われたような弱い部分を零時へと、 (そのハードタップ、リズミカルスワイプ、ブラインドハードタッチ) その奥にひそむ、したたるような渾沌を鏡の表面へ浮かべては、 立入禁止の真夜中へと連れてゆく。 そこにモノクロ写真のような箪笥と、本棚がある、 闇に包まれた世界で浮かび上がる題名―――。 敷き布団とシーツと掛け布団と枕と枕カバーがある。 (壁には都市のインフラの上下水道の気配・・・) 窓と網戸と雨戸がある、カーテンがある、 (光化学スモッグ、騒音被害・・・) ―――月と、街燈と、住宅街とに彩られた影の中・・。 テレビがある、パソコンがある、エアコンがある、 時計がある、蛍光灯がある、 (ガ ニ メ デ 、 タ イ タ ン 、 カ リ ス ト 、 イ オ 、 エ ウ ロ パ ・・・) わけもなく黒と白の断片的な銅版画のモチーフ。 ―――かように充実した名前と待ち伏せる啓示がある。 幾通りもの無駄な回り道をする一種のけだるい遊びが、 ―――アルトノイ教会堂に展示されている小人のような土塊。 何重奏もの重厚な夜の豪華絢爛な音楽が、 複雑なシルエットをつくりだす。 、、、、 ―――ゴーレム。 * 縦横に現像される森。 * * * * * *
2021年02月15日

Open the pod bay doors please, HAL.デビッド・ボーマン船長が言う、進入口を開けろ、ハル―――と・・・。ハルは、眼の前の春とは違う、僕等は証人テストされてるみたいだ、誰かは取り調べの可視化と言ってる、執行猶予だ、不定期刑だ、修復的司法だ、―――でも、ハルは永遠の2001年・・・ * *「そういえば、みゆの話したいことって?」鉄筋とコンクリートのビルがいつのまにか勝手に、増殖し始めているような感じで嘲弄われたあとに、僕がそう切り出した。低く、高く、狭く、広く、盛り上がってゆく歌声、小ぢんまりとした家の最高照度―――だったから、だからいまは鍵の抜けたピアノ。体温が下がる、眠りを誘う気配・・・。口の裏側の口蓋の波板、歯列、蹲っているように見える赤い苺・・・・・・・。――ミルク差しと、砂糖壺を添えて・・・。動物たちは、ホットミルクだけど少し冷ましたホットミルクを所望。これには、かえでさんがあたっていた。「大したことないよ」「―――そうかよかった」「実は学校を中退しようかと思って―――」「それ―――大したことないと思う?」「婚姻届に比べれば」「比べるの間違っていると思わない?」眉を下げてウィンク・・。親指と人差指で隙間をつくるジェスチャー。「実はちょっと」 * 「わたしも実は旦那様に話したいことがあります」 「・・・・・・早いよ!」 「じゃあ―――あなた」 「・・・・・・・・・・・・」 「お風呂ですか、食事ですか、それとも―――」 「違うよ!」 「―――冗談です。何だかみゆさんを怒りそうだったので」 「大丈夫、怒ってなんかいないよ」 「そうですよね、怒ってるのは日本沈没2020ですよね!」 「!!?」 「山芋掘って爆発するお父さん、謎の毒ガスで一瞬で死ぬお姉さん、 大麻入りカレー頬張るママの味、しかもこれでリアルを描いた! そして最後に意味不明すぎる足切断してパラリンピックというブラック、 一話で終われば許せたのに、小松左京じゃなくて、 ツツイヤスタカが原作というならまだ許せたのに」 「かえでさん、コメントできないよ、・・・・・・・それ」 「もう清水の舞台から飛び降りて死亡した人は三十四人ですよね! わたしが名作と思ってるアニメに酷評することが何度かあるので、 本当にただの悪口の集団、人間の屑、ああ、ワッカリマシター! 実は普通に面白いんじゃないかって、 つい、つい―――見てしまったじゃないですか!」 「かえでさん―――パネエっす(?)」 「・・・・・・時間かえせ、コノヤロ」 「・・・・・・かえでさん、脱線しすぎです」 「その―――ありがとうね」 「でも実は―――話があるのは本当です」 「すぐ終わる話?」 「こちらはすぐです」 「―――じゃあ、教えてくれる?」 「首から上がない理由を、今度教えさせてください」 「・・・・・・う、うん」 *―――そんなことを一瞬想像した。 *エリちゃんも近付いてきて耳打ちした。「ところで話してるところ悪いけど、今日、かえちん、上田さんのところ泊まっていくから」「あたしも、エリちゃんの家に泊まる」「みんな帰るダロ」みゆのフォローやバックアップと、さらなる伏線。エリちゃんが言った。「・・・・・・好き同士が布団で隣り合って眠る、ファンタジー、手を繋ぎながら眠る」あなたの口からそんな言葉が出て来るとはよもや思いもしませんでしたが。妹が言った。「・・・・・・話長いから、布団敷いといたよ、二人分」「旦那様」、、、、、、、、、、、、、、、推理小説のような惑星発見の歴史。ノリがいいね、二人とも。もう、僕知らないぞ、と思った。ただ、その時、エリちゃんが、静かにぼそっと言ったのだけれど、僕には聞き取れなかった。「その―――夜中に、何かあると思うけど・・・・・・」 *「さて。みゆ」「―――お布団敷いて、かえでさんとの仲を取り持つ、夜のフォローを忘れない優しい妹のみゆ」ガクッとする・・。すごい、計算ばっちり。かえでさんが、笑うような声が聞こえた。その笑い声がまたセクシーで、背筋に電流が走ったみたいにゾクッとしてしまう。僕は咳払いした。「でも本気なのか?」「本気です」「じゃあ―――僕も、きちんと答えなくちゃいけないな」「どうして中退したいんだ。というか、せめて卒業はしてほしい。大学進学しろとは言わないけど、高校卒業しないというのは、進路を極端に狭めてしまうかもしれないから」 、、、、、「おとうさん」コツン、と頭をやっておいた。父親だって、そんなことを言ったら怒るだろう。「おとうさん、身体で言うことをきかせるのね!そうやって従順な奴隷にするのね」―――ネタポイント高め。僕が応じたら、それで話をうやむやにするつもりなのだろうか?「駄目だよ、そんな誤魔化しに僕は応じない」「ちぇっ!」「ちぇっ、じゃなくて―――ね」「じゃあ、ウェッ」「・・・・・・レモン?」でも父親がみゆに手を上げたことはないから、頭ごなしに言うだろう。もしかしたら―――実家に行く前に、そういうことがあったのかもしれない。―――金無垢の画鋲。さて、腕組みしても始まらない、とりとめない思考しても終わらない、さあ・・・。、、わけをはなしてごら―――ん・・・。「実は、エリちゃんの仕事を手伝いたいと思いました」ボーッとした熱のようなものが、眼蓋の上に重く蜘蛛の巣のように架かっている。元凶、アンタかい、と。でも、みゆがそう言うほど興味のある仕事なのだろうか?―――眠れないまま迎える深夜のトイレの溜息。エリちゃんを、じっと見つめる。「おっと、オレは口下手だから、仕事の話はできないぞ。明日よかったら、案内するよ。そんな話してただろ」あと、と言った。「オレは別に、強制したわけじゃない。仕事量が増えてきているし、人手があると助かるし、また、アルマジロをアパートで飼いたい夢を優先した結果」―――そんな夢を優先しないで、と思った。でも、アルマジロを好きなのは知っているし、実際大学へ進学してもアルマジロを飼えないだろうと思った。「第一、アパートでペットの飼育可能となったら値段だって―――」そういえば工場で働いているという話だったけど、エリちゃんのあの格好で働ける工場って何だ?(というか、わざわざ着替えてきたのかな、)「まあ、オレが弁解するのもあれだけど、みゆちゃん自身、受験して大学行きたいわけじゃないし、専門学校とか、もちろん、誰でも入れる大学にも行きたいわけじゃない。上田さんは頭がいいみたいだけど・・・」「―――頭がいいとかじゃないとは思うよ、エリちゃん」 ・・・・・・羽音。 かえでさんが、僕の肩に手を置いてきた。 もちろんそういうことじゃないというのはわかっている。「まあでも、みゆがそうしたいというのなら僕が、止めろということはしないよ。ただ、再婚の話とか、進路を決められないとかいう理由もあるだろ?」もちろん、色んな気持ちがあるだろう。受験したくない、アルマジロを飼いたい、エリちゃんの工場で働く―――そういうことである。「うん」正直に答えてくれた。話したくないことを、尋問口調で口を割らせるなんて、拷問でしかない。そんな時、耳を相手の口につけるように考えてみたいと思う。誰に対しても自分に対しても懸命に、大丈夫を演じるって大変な道化だ。没頭している間は、つらい現実に向き合わずにいられ―――る、仮面・・・・。でもその仮面の裏側は化膿していて、心を腐らせてゆく。本当は不安で不安で、誰かに話したいと思っていたのだろう。、、、、、、、、、、、、、、、、、、安易な公共事業の増加と税金の無駄遣い。そういう識別コード。本当は、大丈夫なんかじゃないってちゃんと気付いてあげられたらよかった。 * * *説得のために共感を促すつもりではなかったけど、気がつくと正直に言っていた。こういう時、巣鴨みたいに口が上手かったらな、と思う。「僕も、正直に言うけど、実家より遠くの大学行きたいと思ってたよ」神の加護がなかったならば囚人のように、とどまっていなければならなかったあの町から、なんとかして早く抜け出したかった。同じ悩みや同じ境遇を持つなんて、まあ、兄妹らしいなあ、と思う。理想や精神、好奇心、あるいは思春期の悩み―――。それをして、水平であり垂直―――というのだろうか。多重的で、多層的な、本来の人間。一瞬、まだ話したいことはたくさんあるはずなのに、言葉がうまく出てこないような感じがあった。僕と妹の間に流れるささやかな沈黙。 *『緯度0大作戦』(1969年)『レッド・オクトーバーを追え!』(1990年)などでは、水中での潜水艦の登場シーンでは水槽やプールではなく、通常のスタジオ内でミニチュアを吊り、スモークを焚くことで海中の不透明感や水の流れを表現する、という手法が使われている。 *「だから、みゆがそうしたいという気持ちはよくわかるよ。そりゃ全部はわからないよ、血がつながってようが、僕とみゆは他人だからね。他人なんて割り切った見方をするのも悲しいけど、そうやってきちんと距離を置くから理解することができる、また、僕はみゆのことが分かりたいと思うし、力になりたいと思う」「うん」「僕は難しいこと一つも言わないよ、大学行けとは言わない、卒業して欲しいと言ってるんだ」 *―――でも人間は道を変えることが出来る、コンピューターが想定外のことでも、ほんのちょっとした偶然で最良の道を選ぶことができる、金を稼いで誰に文句も言われないように生きる、たったそれだけのことを、いつかコンピューターは否定するようになるだろう。―――【統計的に】 *「ユートピア」という単語がある。これを英語に置き換えると“No where”つまり「どこにもない場所」それは“理想郷”ではなく、実の所―――“探す価値があるかどうかもわからない場所”・・ところで、人間が何かを受容する時には、三つのレベルがあると言われている。第一段階は、直感である「内臓感覚レベル」第二段階は、使いやすさや機能などに関連した「行動レベル」第三段階は、過去の記憶や体験に基づいて判断する「内省レベル」 *卒業さえしていれば、人生で立ち止まった時にやり直しがきく。世間体なんかどうでもいい、社会の脱落者になろうがそんなの別に僕と妹には関係がない。だって知ってる、やり直しがきかない人生というのも、時には大切だと思うから。「これだけはお兄ちゃんと約束してくれるかな?」沈黙はたいへんぎごちなく、根気よく語りつづけることが必要だった。「もちろん約束といっても、絶対じゃない。僕の約束の違う言葉は、みゆが高校を卒業するだけで、これから困るリスクが減るっていうことにすぎない。みゆが約束するのは、自分を困らせないでっていうこと。僕は命令なんかしない―――力になりたいんだ」エリちゃんが、肩を叩いて来た。どうも彼女の中で好評価だったらしい。「・・・・・・お兄ちゃんの言うことだから、そうしたいとは思う」「ありがとう―――あと、本当にアルマジロ飼いたいということなら、僕も真剣に考えるから」みゆが破顔した。でもこころなしか、いま一番、ハートを掴んだような気もしないではない。、、、、、、、、、、、まあそれはそれとしても―――。進学するのが大半の中で、勉強もしないで進学しません、就職しますみたいなみゆが、浮きまくるというのもあるだろう。酷かなという気もした。でもあえて正論を言っておくことにした。「まあ―――社会に出れば色々我慢することがあるよ、勉強ができないのもいい、でも友達もいるし、卒業だって今後二度と体験できない―――かもしれない。それに―――僕も我慢した、高校はその最後の我慢だと思う。義務教育ではないけど、保険だと考えてくれると僕の気持ちに近い。それにね―――人間は選んだ以上、それを続けるしかないという面もある。あとは好きなように生きて構わないから」世の中には、大学卒業しても、高学歴でも、保険になっていない場合はある。でも、妹を心配する僕の考える最低ラインが、高卒だと思った。「・・・・・・・うん」しかしもちろん、そこまで言うからには、妹が人生に挫折した時には、父親ではなく僕がその責任を取るということだ。でも―――そういう責任なら、僕が高校生の時分の時に出来ている。絶対に理解できない事以外は、である。僕の気持ちは変わらな―――い。哲学者の和辻哲郎は、世界の風土を、モンスーン型、沙漠型、牧場型の三つに分類する、僕はこの話がとても好きで、だって―――いつも、雪国型の四つ目のことを考えられる・・。哲学者は思想や観念における固定化された壁を、打ち破ることはできるかもしれないが、少しでも常識的な、そんな分類が不可能だということが、わからないのだから―――。 * *でも、こういう言い方も出来る。文章を知りたいなら、英語を勉強してみればいい、と。何だったら仏蘭西語でも、独逸語でも構わない。その教科書の指針にはきっと、「能動態で書く」とか「シンプルに書く」とか、「否定文ではなく肯定文で書く」というごく当たり前のことが、書かれている。―――宇宙は広い、それは初めて海を見た人と同じように、おそらく何一つ変わることがない。 *でもこのわからないが、いつも僕に考えさせてくれ―――る。三つの選択肢という心理学とか、ある種の説明の妥協や操作。(セ ン サ ー を つ け て 、 モ ー シ ョ ン キ ャ プ チ ャ と い う シ ス テ ム を 使 っ て 、動 き を 記 録 す る み た い に ―――)人間というのは、きちんとした説明を求めていないのだなと思う。ある規則性や型の中で、妥協する回路を模索しているのかも知れない、と。―――どんなことをしたって、本当にしたいことがなければ、人間として、終わっている。(生計を立てるとか、夢を叶えるとか、そういうことではなくて・・、たった一つの人生で、たった一人の自分でそんなこともできないのか、と)でも、僕だって同じである。何も変わらない。だから、みゆのそういう正直な気持ちがすごくわかる。大学行かなきゃ世の中じゃ駄目なんだよと言う人もいると思うけど、大学なんて行かなくても生きていく方法を探せる。でも困った時、本当に困った時―――は・・・。頼れる人でありたい。人と違うことをするのは辛いけれど、それも勇気だよと、励まして、背中を押してあげられるぐらい懐が広くなりたい。それが僕に言わせた。「学校なんかに一秒も我慢できなくなった時は絶対に話してくれ、僕が絶対に何とかしてやる、その時は―――僕だけ頼ってくれたらいい」そう言うと、みんながニコニコした。かえでさんが僕の肩に手を置いた。ローレン・バコールみたいなスモーキーで官能的なうなり声・・。「上田さんのその言い方、淋しいですよ。言ったじゃないですか、困った時は頼って下さい。わたしだって、お手伝いしますよ。それにもう、みゆさんとは、友達です」頼りになる人・・・・・・。「まあ、オレも―――というか、オレはアウェー側だけど」エリちゃんも頭をポリポリ掻きながら言った。でも、その懐の広さで、僕が気付かなかった、妹の悩みに付き合ってくれたのだろう。ありがとう・・・・・・。というか、この二人とも、とっくに社会的に自立している。そんな二人から見て、およそ未熟なみゆに優しく手を伸ばしてくれている。それが嬉しかった。有り難かった・・。軽やかで、透明感があって、開放感のある―――不思議な気持ち。それは従来の決まりにとらわれない、自由な形式の音楽・・・。 *―――【自分と他人の世界】 *大人っていう主題が絡み合う展開部、もはや現状認識から逸脱しながら、僕は肯く。傷ついたことのある人は、強い。孤独を知っている人は、優しい。そして自分と同じように他人を愛せる人は、好ましい。 *モンゴルの移動式住居、ゲルの入り口は、「生命の樹」の文様や、無限循環するような渦巻き的なデザイン・・・・・・。人間というのは実は使いやすさよりも、見た目が大事。たとえば製品を見たときに、一目惚れのような効果が生じる。その後に、人間の頭の処理にやっと使いやすさの観点が現れてくる。―――こういう言い方も出来る、失敗しないと、一度やってみないと、本当のことはわからない。 * 「まあ、かもちゃんに任せておけば大丈夫ダロ、かもちゃんが三秒で仕事でも家でも結婚相手でも見つけてきてあげるダロ」―――鳥の交友関係は、カリスマのそれ、である。僕等は一同、この鳥ってすげえなあ、と思った。この鳥は人間ではないのだ、色んな凄い能力を持ってるけど、本当に、人間以上に、まったく確かな人間力を備えている。何がすごいって、この鳥はニョホホ笑いながら何でもやっちゃえそうなところ。まあ、三秒は絶対無理だと思ったけど、三日あればやるだろうな、ウン。―――ビックマウスと有言実行。と、数十秒ほどかもちゃんを眺めたあと、ハッと我にかえり、「エリちゃん?」と僕は言った。エリちゃんも、この鳥デカいなあ、と思っていたような眼をしていた。―――お尻のデカさは、心のデカさに比例するんだろう、とか。シベリア鉄道で西へ向かい、ユーラシア大陸を横断する・・。「おお、すまない、何だ?」「エリちゃんのその工場で、みゆをアルバイトとして、土日とかだけでも雇ってもらえるようにお願いできるかな」「大丈夫だ。というか、まあ、その話は明日また。そろそろ―――失礼するよ、御馳走様、料理おいしかった。明日はかえちんも入学式だし、夜も遅いからもう行くよ」そう言うと、うさぎ達やいずうさも、かもちゃんも並んで、ぺこりと頭を下げた。礼儀正しい―――のである。これはやっぱり、狡い、なんかあざといなあという気がしてくる。でもそれら諸々含めて可愛いのだから、もう、本当どうしようもない。「あとはまあ、若いお二人に―――ヒヒヒ・・」、、 、、、、、、、、、、、みゆ、その笑い方はやめなさい。 *
2021年02月08日

健康のために野菜炒めが食べたいというエリちゃんのリクエスト―――。大皿にミックスした生野菜を並べ、上から炒めた野菜をかけて食べる。 * *それから。だし汁に、醤油に、みりんに砂糖―――の合わせ汁の、肉じゃが。これは、かえでさんのリクエスト。うさぎ達は卵焼きときんぴらと言ったので、(名前を勝手につけて遊んでいる、悪党どもの名前を捧げる、天使の生き物...) * *大根と付け合せた卵焼きと、仕上げに炒り胡麻を振ったきんぴらを。かもちゃんは、さといもの煮ころがし。プグウ・・ッツ・・とフグみたいな顔・・・・・・。妹は、かぼちゃの煮物。フライパンを二つ、鍋一つのフル稼働。これでも間に合わなければ―――キャンプやアウトドア、鍋などで使用する、カセットコンロで対応するしかな―――い。(―――パフォーマンス向上を意図した複数の機能、卵焼きときんぴらが十分ほどで出来るので、もうテーブルに出しているが、追加注文が出た。エリちゃんが刺身を買ってきてくれたので捌いてみんなに出しながら、野菜炒めが三十分ほどで出来た。肉じゃがは四十分、さといもの煮ころがしが九十分。かぼちゃの煮物はおよそ百分・・・・。 * *エリちゃんが大量の食材を買ってきてくれた。明らか、数日分である。これはさすがに悪いと思って、お金を出そうかと言ったら、いやいや、またご飯食べさせてよ、と笑って言った。僕はそれに親指を立てて応じた。もう遠慮する間柄ではなく、むしろ言葉通り、御馳走してあげればいいのだろうと思ったからだ。ララァと呼ぼうとしたら、シャア・アズナブルだったみたいな・・。 *手だけは的確に動いているが、僕の頭は一貫して会話に耳を澄ませている。 「・・・・・・・」フライパンの中で油のはぜる音は、生きた鰻みたいだ、エリちゃんやかえでさんや、みゆや、かもちゃんやうさぎ達の会話の伴奏になっている。ちなみにさっき、いずうさとかいう、うさぎがやってきた。「やあ」とか言って、普通に入ってきた。うさぎ達や、かもちゃんが。やあやあしているのでまあいいかと思うことにした。―――そういう認識?―――そーゆーニシキヘビ。 * *かえでさんが、小皿にとって、僕の分といって残してくれているが、食べて食べて、と言った。、、、、、、、、、、、、、料理を誰かに作るのって結局、、、、、、、、、、、、、誰かの嬉しそうな顔のため・・・・・。「でもどうしてこんなに美味しいんですか?」かえでさんも担ぐなあ、と思う。まだこれに何かオプションを追加しようと言うのですか?宝石をはめるように眼球をいれかえよう。孤独や不器用さを、濃密な言葉の波や渦に―――しよう。妹が言う。「お兄ちゃんは、わたしが知る限り、一番料理が上手いと言っても信じない」・・・真に受けたらシスコン確定、である。それはさておいても―――。「狭い世界では、誰でもそうさ。それに、焼肉とか、寿司や刺身だってそうだよ、食材あってのものだからさ」エリちゃんと、かもちゃんが話しかけてくる。「狭い世界はともかく、これはちょっとしたものだよなあ」説得力があり、イメージが広がる―――。手のつけられない沈黙を埋めるためだけに、でたらめに注文を追加しているような気もしたし、それにいちいち大真面目に応えている僕もどうかとは思うけど。料理って所属している所番地で、姓名で、また肉体を作る意図をもった受動的な配置だと僕は考える。でもそこには過剰なほどの交歓があり、記憶の静かな一コマを簡潔に再現している一瞬だと僕は思う。「何しろ、食材や調味料凝ってるわけでもないダロ、料理上手は頭のいい人が多いと言いますから、色んな計算が働いているのダロ」 *「 * 「ニャーといえば、それは大体ニャーですが、ニョホホです」 「ニョホホレベルが非情にエキサイトするとまむし―――ドリンクダロ」 「ドリンコ・・・・・・」 「ドリドリのニャー、違うダロ、ニョホホ」 「ドドリのドミソファーのシッタルダーのニョホホ、 ちょっと待てダロ、チータッタ、それ情熱ダロ、フィーリング」 「・・・・・・そういうことですダロ」 * そういうことだなあ、とエリちゃん。 あのーすみません、まったく意味がわからないんですけど。 というか、かもちゃん、ドヤ顔やめて、頭なでたくなるから。 *(基本、基礎―――レシピ、手順、材料、調味料、本当に特別なことはそれらが噛み合わさったあとに、偶然生まれる。) 謙虚 だ か ら じ ゃ な い 、 む し ろ そ れ が 自然で、完成系だ。 (性急に実直につきつめた奇妙な速度の料理すらも、要素が照らされ、味覚に支えられ、常にプロセスが必要となる。 「(・・・じゃがいもを剥くのが好きとか、たまねぎを刻むときは水泳用ゴーグルをつけようとか―――)」祝祭的伝統。でも、そうして賛辞を浴びていると、僕は神様でいられるような気がするのだ。雲のように姿を変え、風のように通り過ぎて行くいわれない焦燥を感じながら、超一流のシェフのことを考える。「(料理が好きってことよりも、なみはずれた教養と知性があるとか、そんな方がずっとカッコいい―――)」「(いまじゃなりたいと思わないけど、巣鴨みたいにお金があって、イケメンだったらいいなと思う、僕だってあるよ、エリちゃんみたいに―――ってエリちゃんヤンキーキャラ認定してるけど、腕っぷしが強かったらとか、かえでさんみたいに絵が上手かったらとか、かもちゃんみたいに、人気者だったらとか・・・)」「(でも人間ってそんな自分を知らず知らず愛する・・)」 互いに欺き合うことに成功して、お互いに愛し合っているような、幸福であるような気がしていられる。裸の王様が空を飛んで、海を泳いで、宇宙の流れ星―――。料理を作る醍醐味かどうかはわからないけれど、背中が少し軽くなる。「(ちょっとぐらいはいいよね・・・・・・・)」「・・・・・・」料理する人を眺める人もいれば、眺めない人もいる。僕はちなみに前者だ。顔採用みたいな深刻で敏捷な解釈を持ち出さないけど、入った店の人の顔を見て、美味しいかどうか分かる瞬間がある。 *もうアンタわかっちゃってんだからネー。ネーったらネーなのよ。ツンデレって何? 誰得なの?やだネー、どうせもう〇〇の××なんでしょー。ネーったらネー。―――みたいな、ナレーションいれたら、怒られるだろうな、うん、怒られるからやめとこう・・・。 *―――それはいくらなんでも、と思う料理人もいるだろうが、雰囲気という微細な物の奇異を観察すれば、その正体というのは存外、わかってくる―――ものだ。当たり前のことだけれど、料理をするから部屋の掃除を欠かさない。煙草も吸わない、髪も短めにする。美味しいものを作るっていうのはそういう小さな心掛けから生まれる。「そういえば、上田氏にお土産があります」と、おもむろ、いずうさが言った。気を遣わせたかなあ―――と思ったら、封筒を持っている。どうやってあんな可愛らしい前脚―――いや、手で、つまり片手で、封筒を把持しているのかはわからないけれど・・・・。(あなたは科学にかぶれすぎです!)僕は一応コンロを消して、受け取る。それは結果的に言うと、正解だった。何だろう―――僕が受け取って、中を引っ張り出して―――すぐ、戻した・・。何が入っていたか―――入っていることに問題がある。どうやって手に入れたかよりも、これを今渡す心臓ぶりに驚く・・。 * *「いずうさちゃん?」「・・・・・・うさぎたちはみんな、必要だと口をそろえていました」「いやしかし、相手も―――」かえでさんを見つめていて、笑った。ねえ―――と思う。(そのはずだ―――だってそうだろう?だってエリちゃんや、妹とするわけにもいかないから、この選択肢ってあきらかに一択である。しかし、そんな思わせぶりなことをしたものだから・・・。しちゃった―――から。 * *「あのですね、上田さん!」かえでさんが立ちあがって、こっちにやって来る。腹部、尻、脚線部、ボディーラインを形成する・・。ずっと開けられていた扉が、突然目の前で閉められるような感じ悪さだろう―――か。足取りだけで、ムッとしているのが伝わってくる。・・・・・・まあ、怒らない人を怒らせるっていうのには、別の意味があると思うけど。(だってその場合に怒る意味が生まれるのは信頼の変形である。でも馬鹿にしたんじゃないよ―――)ここにおいて両者の力関係は逆転した。見 え も し な い は ず な の に ・・・・・・。 * *「何が入っていたんですか?」えへん、えへん。妙な咳。噎せたともいう。いやごめん、別に何でもないんだよ。「だって失礼じゃないですか、あんな風に急に笑ったりしたら―――」それに対して、しどろもどろ―――の応対。「あれは―――そういうのじゃなくて・・・その何だ、」「わかりませんよ、はっきり言ってもらえないと―――」そう言って、封筒を奪い取って、中から引っ張り出して―――やっぱり戻した。「こ、これ・・・・・・」オーイエー、そんな感じだろう。欧米か、もう本当にラスベガスだね。それはそういうリアクションになるだろう・・だって婚姻届が入ってる。確かに年齢的に僕等は結婚でき―――る。「その・・・・・・」しかし、顔が見えないのに、もじもじしているかえでさんは可愛い。(それは、神経症的な作用なのかな・・)僕も天井を見上げながら、死にたいような気がしてくる。雰囲気とか、声とかで、大切な何かががっちり伝わるのだと思う。(必然的に肉体を通過する、二面性の問題・・)かえでさんも何となく、僕の気持ちが伝わったようだ。でもやっぱりちょっと早すぎるよね、とここは大人びて言おうとしたその瞬間―――。 「お付き合いとか―――どうですか?」かえでさん、出会って二日にさえ満たない相手に、というか、何処の馬の骨ともしれない僕に、よく言ったもの。でも、嬉しい。嬉しくて頬がゆるむけれど、いや待て、そんな簡単に決めていいのか、と。―――君の気持ちは最高に嬉しい、最高でなければ特上、ワンダフル、変な鳥の鳴き声しそう、ヤッホイとか、ヤホホウ、とか、もう、気狂い一歩手前の浮かれ凧野郎、カイト、それが僕・・・。 * *「その―――結婚を前提に・・・」待て。おかしい。五だけ知っていれば十は話さずにいられない、という様子。―――ああこれは、逆説の多すぎる詩的宗教・・賽は投げられている。妹が、お兄ちゃんやるじゃん、と僕の背中をバシバシ叩いてくる。待て、何だこれ。新手のライスシャワーかって、そんなこと考える僕の脳味噌を爆発させたい。「(収拾がつけられない―――)」エリちゃんが、うんうん、オレの眼に狂いはなかった、とか腕組みしている。狂ってるから、既にもう何かが狂ってるから。―――既定路線や予定調和のように持っていかないで。 * *あり った け・・・。もう 僕の あり った け・・・・・・・。「・・・・・・でも、かえでさんは、僕なんかでいいの?」かえでさんは、判断に時間の痕跡を残さない。とても鮮やかに、僕の懐へと音も立てず忍び込んで―――ゆく。「僕なんかじゃなくて―――上田さんがいいんですよ」さすがに、僕の顔が赤くなってしまう。嬉しいけれど、そんな殺し文句いま言っちゃう・・・?「―――プロポーズじゃん、それ」とエリちゃんが言った。「逆プロか」みゆ、うるせえ!待て―――話を大きくするな、すさまじい分裂、爆発。暴-走ー列-車・・・。僕の性格でもっとも強い特徴の一つはデリカシー。かえでさんが、違う違うと言いながら手を振るけど。時すでに遅し。 *、、、からの―――。 *うさぎたちは、僕のTシャツを持ち出してきて、かえでだけど、すげえかえでだけどと言いながら、思春期正常性 欲委員会のオニャラスデアール、ヒャッヒャッ、ヒャッヒャッ・・・。フンガー。ガバッと寝転ぶ、ああ、たまらねえ、すげえたまらねえ・・。セクロス・ザ・ユニヴァースからのヴァギクロス・・、そして禁断のダークネス・エロペディア・・、ワウオーン!ハッ、ハッ、ハッ、ハッ、シュピコーン、辛抱たまらんさー! これはもうあきまへん―――。デビルスネーク・プライベートエリア・ オンサイド・Rシティ(指定?)・・・関西弁うまいね?僕は真っ赤、かえでさんは―――顔見えないけど、おそらく・・。・・・・・かもちゃん、追い出すよ。窓を見ると、中に入りたそうな孔雀がいた。どうして孔雀?ハッハッハ、と、エリちゃん高笑いしながら酒を飲む。美味しいあてが見つかったの?ハッハッハ・・・・、ハッハッハ・・・・・・・、 、、、、―――笑う姉御・・・・・・。「でも待って、ごはん食べてからにしよう。まだまだ作らなくちゃいけないし、みんな食べるだろ?」僕は見回しながら、そう言った。みんな、テーブルにある料理が不足しているのはすぐに了解したので、肯いてくれた。殊に動物たちの早変わり、すさまじい魔法である・・。「ごはん食べてから、がいいと思いますダロ」と、かもちゃん。「美味しい料理、とても大切」とうさぎ達。彼等は僕が料理をボイコットすることを恐れた。彼等は賢い。やはり食べるものを食べ、飲むものは飲む。満場一致である。しかし、そこにいるみんなの眼つきがもう何か嫌である。そうは言いつつ―――嫌である。「若いっていいな」と、いずうさが、僕の近くに来て言った。「もっと食べる?」「シェフのデザートが食べたい」「そうだな・・・時間があればまた今度作るけど・・・、とりあえず今日はプリンで我慢してくれないかな」「プリン好き」 *1「プリンと言ってから何故か女の子に見えるいずうさ」2「甘いものは正義、そんな言葉が思い浮かぶ上田氏」3「もう、うえぴょん言いそうで、いずらび氏と言いそうな、 もはや言っている意味がわからない糖分不足」4「あと、うさぎ島の話していい? 二時間ぐらい。 とても大切なことだから」〇×△■―――〇×△□だった、↑↑↓↓LRLR....「ねえ、上田氏どうして、青い薔薇や、赤毛の女をもてはやすのだろう、わたしは、青いうさぎや、赤毛のうさぎを愛する―――」「・・・・・・えーと、パクリ?」 、、、、、―――うさぎ時間。 *・・・・・・・いずうさは、ノーマルである。中立である。待たせてもらおうか、いやもう答えわかってるけど、みたいな眼つき。いやまあ―――僕も、かえでさんがそう言ってくれた以上、僕に何隠すものもないな、という気はしているけれど。 ―――好 き な 女 の 子 が 好 き っ て 言 っ た ら、 ス ト ッ パ ー な ん て 存 在 し な い 。もちろん、結婚を前提にというのはいくらなんでも早すぎる。僕が社会人とか、あるいは天涯孤独で同じ場面ならともかく。―――それでも、僕のかえでさんに対する気持ちというのは、つまりそういう―――もの・・・。最低、かえでさんもそんな風に思っていたの―――だ・・。顔が火照ってくるし、かえでさんの顔だって見れない―――。まあ、顔見えないけど・・・。料理を作っていると余計なことを考えなくて、気が晴れる。でも、そんな風に、なのだ。好きな女の子がいたのだ、ちょっと変わっている、少し人と違う女の子。気持ちが膨らんでいたのだ。話したくない気持ちと話したい気持ちの狭間で揺れている僕はもういない。すっかり遠慮のない表現でかえでさんと話したいと思った。話したいことは山ほどあった。 * *「・・・・・・・」人を好きになっても、上手くいったためしがなかった僕は。付き合うというのが、結婚というのが、どういうものかを思ったりした。人それぞれ、色んなポイントがある。僕の場合はきっと、張り詰めていたものから解放されて、そこそこ幸せで、でも心の何処かで―――満たせなかったものを、そこに見たのだろう・・。肉体が素晴らしいとか、顔がいいとか―――。性格がいいとか、優しいとか、そんなのだって、知らない・・・。でも、いまなら少しだけ、勇気を持って、運命を感じられる。ちゃんとわかるよって―――多分言えないけど・・。たった一枚の婚姻届には書ききれないぐらいに、遠回りをしてきた―――。
2021年02月04日
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