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2019.09.21
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​​​高山宏「夢十夜を十夜で」(羽鳥文庫)
​  ​​​​ 由良君美
という伝説的英文学者​ を以前、紹介しましたが、その時に出てきたお弟子さんで、その時話題にしたのは ​四方田犬彦 ​​ という、まあ、映画評論家と、もう一人が ​高山宏​ という人でした。​​​​で、今回は、その 高山宏 のご案内です。​
​​​​ もともと、 イギリス文学 ですか、 マニエリスム に対する造詣の深さが圧倒的な研究者ですね。 グスタフ・ホッケ とか、名前を出しても、普通の人にはよくわからないかもしれません。 「アリス狩り」 という有名な評論シリーズで、ぼくのような素人の門外漢でも、名前を知った人です。​​​​
​​​​​ ​最近の仕事は 羽鳥書店 という本屋さん から 「新人文感覚Ⅰ 風神の袋」 「新人文感覚 II 雷神の撥」 が出ていて、本の名前だけで 「ほしい!」 となるのですが、もちろん、装丁もかっこいい、しかし、1冊 14000円 となると、ちょっとビビってしまいます。0の数をお間違いにならないようにね(笑)。​​​​​​
​ ​​同じ ​羽鳥書店​ ​「はとり文庫」​ というシリーズに、その二冊の副読本と銘うった ​「夢十夜を十夜で」​ という、しゃれた本があります。​​​0の数が一つ少ないということで、 今日のご案内はこっちです。
​  ​不思議の国のアリス​ の達人 高山宏 が、 ​漱石​ 、それも ​「夢十夜」​ を?いや、彼なら ​「夢十夜」​ こそを、かもしれませんね。​
​​  ​​漱石​ の作品の読解や、評論は、腐るほどあります。別に、書物は腐らないけど、中は腐っているといいたいようなのもあるかもしれません。
 この本は ​高山宏​ が大学の授業で ​漱石​ を取り上げた実況中継です。さすがですね、生きがよくてピチピチしていました。 ​​​

 アジアからの留学生をどう「獲得」するかが二十一世紀初頭、日本の各大学の「生き残り」条件の一つと言って世上かまびすしい。試行錯誤がしばらく楽しくも居心地悪い過渡期の「国際系」に、このところ自分が唱え始めている「新人文学」がいきなり巻き込まれた形である。
​ 面白いじゃないか。日本文学に一定以上の知識もなく、したがって、一定以上の偏見もない、見るところ限りなくまっさらに近い二十男女にいっそ 「ブンガク」とは何か、徒手空拳(のふり)、是々非々で教え、議論してみよう 。いろんな領域をそれぞれ極めたと言われて閉塞気味の自分にも、なにやらん愁眉のひらかれぬでもない気もする。 ​
 ​読者に向けた開講の辞です。自負と自信を感じますが、ここから、さすが ​高山宏​ ともいうべき展開が始まります。​
​​  いきなりその場で当てられたにもかかわらず、巧いバトン・リレーのようによどみなく音読する。よしよしその調子。つい書き写す気になってくれた諸君はいるかねと尋うと、残念これはいない。別に提出しろとは言わないが、次回からは書き写してみること、と改めて指示を出した。
 「はなびら」 花弁 でなく と書く。二つの部分の間に 「瓜」 が入っているだろう、 「実」 として入っている 「瓜」 だろう、 「うりざね」 なんだよ。
この書字の遊びによって、死ぬ前の女の 「瓜実顔」 と女死後に化身した花の 「瓣」 が同じものと知れてこないだろうか。
 紙の上にひろがる活字、というか文字と文字のつくる意味の世界も一方にあり得て、これはこれで面白い。
  自分で書いてみると分かるかもしれない。ただの偶然、ひょっとしたら遊びと感じられるかもしれないが、表向き言葉の各種の遊びを体系的、強迫観念のように生み出す文学をこの四半世紀、 マニエリスムの文学 と呼んできた。​
 「百年待つというというのもこの場合にはほどよい気がする。十年では現実味があって合わないし、千年では百合と相性が悪い」とか「百合の百と百年待っていてくださいがかけられていて、実際には百年も待っていなかったのではないか」という答えを紹介して、百年というのは現実に無理とする他の何人かの懐疑派の疑問に答えることをもって九十分の白熱授業は始まった。
 「百」年待って「合」うから「百合」なんだね と。
  何だ言葉遊びじゃないか 、それってという感じが何人かの顔にありありだったが、実はそれこそがかの神経医学のパイオニア、 ジークムント・フロイト のいわゆる 「機知語」 であり、二十世紀初頭のそのフロイトの「機知語」「始原語」「言い間違い」の論に絶妙によみがえった十六世紀マニエリスム(と、十八世紀末の「蘇るマニエリスム」)たるロマン主義が得意とした、見掛け上 限りなく遊戯的な「文学」 という表現行為の正体なのだ。 ​
​​ これが 「夢十夜」 ​第一夜​ 第一講 のさわり。​​ ​老婆心ながら、付け加えると、 ​漱石​ がイギリスで出会ったのは、講義中の 十八世紀イギリスロマン主義 です。​
​ ​ぼくが、 ​高山宏​ に惹かれる理由はお分かりいただけるでしょうか。彼の博学と、ユーモアあふれる授業で素人大学生が 「比較文学」 の扉を開ける様子がまざまざと伝わってくるじゃないですか。そこが、何ともいえません。​​
 面白いでは言い尽くせない。新人文科学の広さと奥の深さにはため息が出ますね。​この一冊読み終えると、もう一度、高校生相手に 漱石 を語りたくなってしまいます。​
 ボクなら、と、浅学菲才も顧みず、これも持ち出してみると思いついたのが、 ​近藤ようこ​ マンガ ​「夢十夜」(岩波書店)​ です。もちろんこのマンガは、 ヤサイクンのマンガ便の 断捨離ものではありません。
​​​​
​近藤ようこ​ 「うる星やつら」 高橋留美子 と高校の同級生で、同じ漫研出身だそうです。独特の作品解釈をなにげなく怪しい線で描くマンガ世界。小説とは違うマンガ小説、遊技的再解釈になっているところが、じつに魅力的な人なのです。​​
​​​​​  ​高山宏​ といい、 ​近藤ようこ​ といい、抜群の才能というものは、この世にはあるものなのだと、つくづく思う、今日この頃です。(S)​​​​​​
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最終更新日  2023.11.10 13:02:44
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