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イ・ハン「マイ・スイート・ハニー」キノシネマ神戸国際 昨日はトニー・レオン見たさに中国製スパイ・ノワール「無名」でしたが、今日はユ・へジン見たさで、韓国製ラブ・コメ映画でした。見たのはイ・ハン監督の「マイ・スイート・ハニー」で、同居人と同伴鑑賞でした。 見ながら、思わず声を出して笑いました。ユ・へジンさん、さすがですね。たぶん、実年齢は50歳を超えていらっしゃると思いますが、この映画で演じていらっしゃるのはチャ・チホさんといって、45歳、お菓子会社の研究員だそうで、豆腐チップを開発していて、お菓子ばっかり食べていて、栄養失調状態だという中年男でした。 目覚まし時計が山ほどある部屋で目覚めて、時計の指示する時刻どおり行動するという、まあ、ちょっとアブナイ人物を演じていらっしゃるのですが、あのお顔の唐変木が45歳にして、初めて恋に落ちるのですね。トンチンカンをいかに演じるか勝負だったと思うのですが、さすがの演技でしたね。 で、その唐変木のお相手は、大学生の娘さんと「私たち」で暮らしていらっしゃるイ・イルヨンさんというシングル・マザーで、演じていらっしゃるのがキム・ヒソンさんとおっしゃる女優さんでしたが、可愛らしいお顔立ちなのですが、この方も、脱・世俗というか、かなりぶっ飛んでいらっしゃるキャラなのですが、なかなかの熱演で、笑えました。 チラシにある通り、ちょっと変な二人の「最初の恋」と「最後の恋」の激突! で、ベタといえばベタ、アンマリといえば、あまりにアンマリな展開ですが、まったくシラケさせないのは、主役のお二人の熱演ももちろんですが、韓国映画の実力! という気がしました。 例えば、チン・ソンギュさんという男前の俳優さんが演じるビョンフンさんという、チャ・チホさんの上役の室長さんとかが登場するのですが、その彼が部下を相手にこんな演説をするシーンがあります。「僕がなんで出世が早いか分かるか?」「お父さんが社長だから」「違う」「祖父が創業者だから」「違う」「母親が理事だから」「違う。」「???」「愛だ」 要するに、自分はモテるということを言いたいだけのおバカ演説なのですが、笑えるんですね。 他にも、大学生のお嬢さんの、これでもか! と言わんばかりのチョー甘いマスクの恋人が、なんと、軽トラックを家の前に横付けして、二階のベランダに向かって「ロミオ」じゃあるまいし! の告白・熱唱シーンといい、薬屋さんのおねーさんとの人生相談といい、うまいものです。 まあ、なにはともあれ、カップルのお二人に拍手!ですね。監督 イ・ハン脚本 イ・ビョンホン撮影 イ・テユン音楽 チョ・ヨンウク美術 キム・ヒョノク編集 ナム・ナヨンキャストユ・ヘジン(チャ・チホ)キム・ヒソン(イ・イルヨン)チャ・インピョ(兄ソクホ)チン・ソンギュ(上役ビョンフン)ハン・ソナ(ウンスク)2023年・118分・G・韓国原題「Honey Sweet」2024・05・14・no068・キノシネマ神戸国際no09追記 ところで、このブログをご覧いただいた皆様で楽天IDをお持ちの方は、まあ、なくても大丈夫かもですが、ページの一番下の、多分、楽天のイイネボタンを押してみてくださいね。ポイントがたまるんだそうです(笑)
2024.05.16
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クリストファー・ノーラン「オッペンハイマー」109ハット 今日は2024年3月30日、土曜日です。その上、春休みです。普段は出かけません(笑)。 しかし、しかし、ですよひょっとしたら、今、一番騒がれている映画じゃないか? が封切られているのです。180分の大作ですが、2024年のアカデミー賞、作品賞、監督賞(クリストファー・ノーラン)、主演男優賞(キリアン・マーフィ)、助演男優賞(ロバート・ダウニー・Jr.)、編集賞、撮影賞、作曲賞と、7部門、まあ、総舐めという作品で、おっちょこちょいの徘徊老人としてあっこならすいているんじゃないか? とやって来た109ハットでしたが、やっぱり空いていました(笑) 見たのは、もちろん、クリストファー・ノーラン監督の「オッペンハイマー」です。 実は、評判になり始めてひっかかっていたことがあります。なんで、今、オッペンハイマーやねん? で、見終えました。若い人はご存知ないかもしれませんが、1940年代、第二次大戦中ですが、マンハッタン計画という、アメリカの原爆開発プロジェクトの科学技術的な責任者であったJ・ロバート・オッペンハイマーJulius Robert Oppenheimerの、いわば伝記映画でした。 いかにも、ノーラン監督らしい映像的工夫に満ちた作品でしたが、果たして、効果的だったのかどうか、ボクには、少々めんどくさかったですね(笑)。 面白かったのは、まず、登場するアインシュタインが、ボクが思い浮かべるイメージの姿と、実に、ピッタリ同じというか、そっくりで笑えました。ついでにいえば、見ながら気付いたわけではありませんが、オッペンハイマーもそっくりです。似た人というのはいるのですねえ(笑)。 で、その、オッペンハイマーとアインシュタインが出会うシーンが一回だけあるのですが、そこで何が語り合われたのかが、おそらく、この映画の底に流れている大事なポイントだと思いました。古典力学が描いた世界を根底から刷新したアインシュタインですが、彼がたどり着いたのは量子力学という新しい未知の発見、ひょっとしたら、「絶望」の発見だったわけで、そこから未知の世界へ足を踏み入れて、世界を滅ぼす可能性のある殺戮兵器の道を歩もうとしているオッペンハイマーの「不安」が出会ったシーンとして、まあ、この映画の鍵となるシーンだったと思うのですが、ボクには印象深かったのですね。 ただ、この二人とか、ハイゼンベルグとか、ボーアとか、無茶苦茶なつかしい名前でしたが、彼らには見えているらしい「量子的世界」について、実は、ボクレベルの科学的世界認識では歯が立たないのですね(笑)。 映画の制作者は、おそらく、そこのところを何とかしようとお考えになったんでしょうね、数式の抽象化なのか自然現象の描写なのか、まあ、ちょっとハッタリ的な映像が繰り返されて、「なんや、あんたもわかってへんのやろ」 という感じで、笑えました。 で、映画は「原爆を作ってしまった科学者」オッペンハイマーの伝記的事実をなぞろうとしているようですから、原爆開発と、その軍事的使用に対して、罪というべきなのかどうかはわかりませんが、彼自身の、一人の人間としての「存在論的な苦悩」 が、本線として、まず、あるわけですね。 で、映画は、そこを主軸としながら、戦後、水爆開発に反対したことが理由でしょう、1950年代の、所謂、「赤狩り」のターゲットにされて公聴会で尋問されるという、反共を煽るアメリカという国における、国民としての資格の剥奪の脅しに対する「怒りと戸惑い」 加えて、彼の性的、精神的な志向によるのでしょうね、いわば、内面に渦巻く欲動の自己矛盾に対する怯え を抱えている人間という、重層的な存在のありさまを、多分、三通りの、時制ではなくて、映像の主体、だから、誰が見ているシーンかという映像的な差異によって、錯綜させて描くという、ノーラン監督の得意技が駆使されていて、面白い人には面白いのでしょうが、ボクにはかなりややこしい という印象でしたが、とどのつまりに、妻の口から発せられた「公聴会で許されたからといって、あなたがやったことが許されたとは限らない」 という(はっきり覚えていませんが)セリフの、「あなたがやったこと」 が実に多義的で、かつ、静かではあるのですが、激しい否定のセリフには、やはり、ギョッとするというか、印象に残ったのですが、なんだか、消化不良な感じも残りましたね(笑)。 まあ、なんとなく、不満を書き連ねていますが、ボク自身にとっては、かなり衝撃的な体験 をさせられた映画でもありました。 上に貼ったのは映画ではなくて、公式記録の写真らしいですが、映画の前半、最後の山場は、この写真が写している最初の原爆の実験の現場を描いた映像でした。ボクは普通の映画館で見ましたから、椅子が揺れたりしたわけではありませんが、最初に光と火炎の塊がスクリーンに広がり、しばらくの沈黙の後、強烈な爆音が響き、まさに「ピカドン」 が映しだされたのですが、その映像を見ながら、椅子にすくみこむような気分に落ち込みながら、涙がとまらなくなってしまったのでした。不思議な経験でしたね。なんだったのしょうね、あの、身体反応は? ここ数年、何本か見たことのある監督ですが、ややこしさはいつものことですが、あのシーンは衝撃でしたね。拍手! 余談ですが、始まりは、アインシュタインの「物理学はいかに創られたか上・下」 (岩波新書)、そこから、ハイゼンベルグの『部分と全体』(みすず書房)とかシュレーディンガーの『生命とは何か』(岩波文庫)とかに、それぞれ、まったくワカラナイにもかかわらず、熱中したことがあったのですが、懐かしく思い出しました。映画を見ながら懐かしい名前といったのは、この映画にも登場する物理学者たちの多くが、10代の終わりころのボクには、あこがれのスターだったんですよね。あの頃から50年、本だけでも、と思って、何度も、あれこれチャレンジしましたが、結局、諦めましたね。面白がれたのはファインマンさんの冗談だけでしたね(笑)。 ああ、それから、なぜ、今、オッペンハイマーなのか? は、結局、わかりませんでしたね。ついでにいえば、この映画が大騒ぎになっている理由もよくわからなかったですね。嫌いじゃないし、面白かったのですが・・・(笑)。監督・脚本 クリストファー・ノーラン原作 カイ・バード マーティン・J・シャーウィン撮影 ホイテ・バン・ホイテマ美術 ルース・デ・ヨンク衣装 エレン・マイロニック編集 ジェニファー・レイム音楽 ルドウィグ・ゴランソン視覚効果監修 アンドリュー・ジャクソンキャストキリアン・マーフィ(J・ロバート・オッペンハイマー)エミリー・ブラント(キャサリン(キティ)・オッペンハイマー)マット・デイモン(レスリー・グローヴス)ロバート・ダウニー・Jr.(ルイス・ストローズ)フローレンス・ピュー(ジーン・タトロック)ジョシュ・ハートネット(アーネスト・ローレンス)ケイシー・アフレック(ボリス・パッシュ)ラミ・マレック(デヴィッド・L・ヒル)ケネス・ブラナー(ニールス・ボーア)ケネス・ブラナーディラン・アーノルド(フランク・オッペンハイマー)デビッド・クラムホルツ(イジドール・ラビ)マシュー・モディーン(ヴァネヴァー・ブッシュ)ジェファーソン・ホール(ハーコン・シュヴァリエ)ベニー・サフディ(エドワード・テラーデ)デビッド・ダストマルチャン(ウィリアム・ボーデン)トム・コンティ(アルベルト・アインシュタイン)グスタフ・スカルスガルド(ハンス・ベーテグス)マイケル・アンガラノデイン・デハーンオールデン・エアエンライク2023年・180分・R15+・アメリカ原題「Oppenheimer」2024・03・30・no052・109ハットno43追記2024・04・02 「オッペンハイマー」というこの映画の感想を書くのに、ちょっと苦労して、なんとか書き終えて、寝ていて、「うん???」 と思い浮かんだことがありました。2023年に見た「アステロイド・シティ」という、アニメのようでアニメでない、という雰囲気のけったいな映画のことです。「あれって、ロスアラモスか?」 という、なんというか、ひらめきというか、思いつきでした。 そういえば、あの映画は少年科学者大会とかいっていたと思いますが、マンハッタン計画は全米の秀才高校生まで動員した、国民的行事だったですよね。ボクは、あの映画の舞台がネバダということもあって、広瀬隆の「ジョン・ウェインはなぜ死んだか」(文春文庫)とかを思い出して、なんとなく「原爆実験かあ・・・」 とか思っていたのですが、ひょっとしたら、この映画と同じ関心で、あの映画は作られていたのではないかという思い付きですね。 そうだとすれば、才能とセンスの塊のようなウェス・アンダーソンとクリストファー・ノーランという二人のアメリカの監督が同じように、今、「ロスアラモス」を振り返ろうとしているんじゃないか。それは、何故かなのか?ですね。 日本の戦後でいえば、「夏の花」、「黒い雨」から「父と暮らせば」や「祭りの場」、近いところでは「爆心」まで、他にもいっぱいありますが、繰り返し描かれ、映画化もされた原爆ですが、作って、使ったアメリカではどうだったのか。なぜ、今、オッペンハイマーなのか? なんだか、いよいよ、引っかかってきましたね(笑)。追記 ところで、このブログをご覧いただいた皆様で楽天IDをお持ちの方は、まあ、なくても大丈夫かもですが、ページの一番下の、多分、楽天のイイネボタンを押してみてくださいね。ポイントがたまるんだそうです(笑)
2024.04.02
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ドゥニ・ビルヌーブ「デューン 砂の惑星 PART2」109ハット 3年ほど前に、パート1を見ました。まあ、そういうわけで、やっぱり、見なきゃ! と思いたって、なんと,春分を過ぎたというのに小雪のチラつく中、意を決して原付に乗り、灘駅からは小雨に変わった道をとぼとぼ歩いて、ドゥニ・ビルヌーブ「デューン 砂の惑星 PART2」に駆け付けました。 劇場には、こんなのに始まって、こんなのとか、 ちょっと、強面ですが、なんかドラゴンボールを思い出しましたが(笑)、こんなのとか、こんな悪人面とか、あっ、上の男の人ね(笑) こちらは、主人公のポールくんかな、と、まあ、いろんな登場人物のキャラクター写真があったりして、有名な人気俳優集合映画であることがよくわかりましたが、まあ、写真の人物のだれ一人知らないわけですから、「まあ、ちょっと写真撮っとこか。」 程度のインパクトしかありません。知らないというのはしようがありませんね(笑)。 で、始まって見ると2時間30分、まあ、結構長い作品だったので、それで、どうなるのと期待に期待を重ねていたのですが、まあ、こんなことを言うのは申し訳ないのですが、なんというか、ボクの中で、新たに「ワクワクをかきたてるもの」 の発見は、結局、なかったですね。ザンネン! あの砂虫の全貌は?という期待も(やっぱり、わからないままでしたが)、お母さんのお腹の赤んぼうの行く末も(まだ、お腹にいるままでしたし)、ポールくん自身の復活も、「なんだかなあ???」 でしたね。 ちょっと、いかにも、薹の立った老人の戯言をいいますが、物語の運びが、小道具も、大筋も、古いんですよね。 予言を持ち出して、話を進めるのも、戦闘シーンや、最後の決闘シーンも説得力がないですね。最後のポールくんの決断でチャニさんが去っていく結末もパート3のためのやりくりにしか見えないわけですし、砂虫くんだって、ボクでさえ二度目なのですから、もう少し何とかしてほしいわけです。 結局、寝ることはなかったですが、欠伸ばっかりしていました(笑)。 音響とか、結構、大変なのですが、体がそう反応してしまうのだから仕方がないですね。 砂漠の香辛料とかの争奪戦あたりからの発想でしょうか、現実の世界を暗示する予言性とかを指摘する批評家もいらっしゃるようですが、現実の権力や資本の論旨が古いからそう見えるにすぎないわけで、古い物語を反復すれば、予見的になるという型は、ボクが映画を見始めた50年前から変わらないし、この作品を持ち上げる理由になるとは思えませんね。 とか、なんとかいいながら、パート3が出来たら、また見に来そうな、ハイ、今回は怠かったのですが、ほんとはこの手の話、好きなのですよね(笑)、というわけで、まあ、いい加減な話でした(笑)。監督 ドゥニ・ビルヌーブ原作 フランク・ハーバート脚本 ドゥニ・ビルヌーブ ジョン・スパイツ撮影 グレイグ・フレイザー美術 パトリス・バーメット衣装 ジャクリーン・ウェスト編集 ジョー・ウォーカー音楽 ハンス・ジマー視覚効果監修 ポール・ランバートキャストティモシー・シャラメ(ポール・アトレイデス)ゼンデイヤ(チャニ)レベッカ・ファーガソン(レディ・ジェシカ)ジョシュ・ブローリン(ガーニイ・ハレック)オースティン・バトラー(フェイド=ラウサ・ハルコンネン)フローレンス・ピュー(皇女イルーラン)デイブ・バウティスタ(ラッバーン・ハルコンネン)クリストファー・ウォーケン(パーディシャー皇帝シャッダム4世)レア・セドゥ(レディ・マーゴット・フェンリング)スエイラ・ヤクーブ(シシャクリ)ステラン・スカルスガルド(ウラディミール・ハルコンネン男爵)シャーロット・ランプリング(教母ガイウス・ヘレネ・モヒアム)ハビエル・バルデム(スティルガー)アニヤ・テイラー=ジョイ2024年・166分・G・アメリカ原題「Dune Part Two」2024・03・21・no047・109ハットno42追記 ところで、このブログをご覧いただいた皆様で楽天IDをお持ちの方は、まあ、なくても大丈夫かもですが、ページの一番下の、多分、楽天のイイネボタンを押してみてくださいね。ポイントがたまるんだそうです(笑)
2024.03.23
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マシュー・ボーン「アーガイル」109ハット 先々週は、個人的には、なつかしのアカデミー賞鑑賞週間で、見終えた感想が、「ああ、そうですね!」 と、まあ、すっきりする作品を立て続けに見ていたこともあって、その上「裏切りのサーカス」といううシブイスパイ映画を見たこともあって、予告編を見ながら「おっ!スパイ映画!」 というノリで、封切りしたばかりの、この作品に食指が動くという感じでやって来たのがマシュー・ボーンという、初めて見るイギリスの監督さんですが、作品は「アーガイル」、映画館は109ハットでした。 エリー・コンウェイ(ブライス・ダラス・ハワード)という人気の女流作家が「全き空想!」 として描かれたはずの「アーガイル」というスパイ小説が、実は現実を描いているらしいというのが、お話の発端です。アーガイルは、小説に登場する、男前のエージェントのお名前です。 マア、どっちかというと、とぼけたキャラの女流小説が、何故、現実世界の闇の奥、スパイ対スパイの戦いの「真実」を描くことができたのか? という謎が物語のキモで、銃撃戦、空から急降下、カーチェイス、あれやこれやの超絶アクション、それからお色気、ああ、そうそう、なかなか愛嬌のあるネコのアルフィー君まで登場して、お客さんが喜びそうなネタが、これでもかと用意されています。 上のポスターのネコ・リュックの窓から覗いているのが、主人公とともに苦労するアルフィー君ですね(笑)。 まあ、好き、嫌い、イイ、ワルイはともかく、見始めると画面から目が離せないうえに、現実と小説的空想が、きわどく重なっていて、「えっ?なんで?」「ああ、そうか!」 の繰り返しでラストシーンまで引っ張ってもらえます。 まあ、ここまで読んで、そこから先に興味を感じた方は、どうぞご覧になってください。007系のエンタメ・スパイもののお好きな方にもいいかもしれません(笑)。 ボクが笑ったのは、主人公エリー・コンウェイの前にホンモノのスパイとして登場して、まあ、彼女とコンビを組むことになる怪しげな男がサム・ロックウェルだったことですね。 数年前に見た「スリー・ビルボード」という映画で、インチキな警官役をやっていて記憶に残っている人で、「ああ、また、インチキ野郎ちゃうの(笑)。」 と、まあ、いかにも、そういう風情で登場したのですが、なんと、結構、シリアスな役どころで大活躍だったので、笑ってしまいました。「裏切りのサーカス」に触発されて見ましたが、まあ、あの映画とは180度、いや360度?別世界のスパイたちでした(笑)。監督 マシュー・ボーン脚本 ジェイソン・フックス撮影 ジョージ・リッチモンド美術 ダニエル・テイラー ラッセル・デ・ロザリオ衣装 ステファニー・コーリー編集 リー・スミス トム・ハリソン=リード コル・グーディー音楽 ローン・バルフェキャストブライス・ダラス・ハワード(エリー・コンウェイ:人気作家)サム・ロックウェル(エイデン:スパイ)ブライアン・クランストン(リッター)キャサリン・オハラ(ルース:エリーの母)ヘンリー・カビル(アーガイル:小説の主人公)デュア・リパ(ルグランジェ)ジョン・シナ(ワイアット)サミュエル・L・ジャクソン(アルフレッド・ソロモン)アリアナ・デボーズ(キーラ)ソフィア・ブテラ(サバ・アル=バドル)リチャード・E・グラント(ファウラー)2024年・139分・G・イギリス・アメリカ合作原題「Argylle」2024・03・09・no039・109ハットno41 追記 ところで、このブログをご覧いただいた皆様で楽天IDをお持ちの方は、まあ、なくても大丈夫かもですが、ページの一番下の、多分、楽天のイイネボタンを押してみてくださいね。ポイントがたまるんだそうです(笑)
2024.03.14
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アリ・アスター「ボーはおそれている」109ハット 一月ほど前のことです。上に貼ったチラシを一目見て同居人のチッチキ夫人が言いました。「私、これは行くわ。(キッパリ!)」「なんで?」「なんか、情けない顔してはるやん。この人。」「ホアキン・フェニクスやん、ほら、こないだ、ナポレオンになってた、あんたは要ってへんけど。マザコンのナポレオンいうて騒いでたやろ、ボクが。」「ふーん、そうやったっけ。」 で、劇場公開が始まって二人で出かけました。 109ハットの小さめのホールでしたが二人以外には学生風の若い男性が二人だけでした。見たのはアリ・アスター監督の「ボーはおそれている」でした。 見終えて、二つ向うの席のチッチキ夫人を振り返ると、彼女は、それぞれ席を立って出て行く青年たちを目で追いながら、声をひそめて言いました。「あの子ら、面白かったんやろか?」「あんたはどうやねん。」「わたしは、最初のシーンから、もういい、出て行きたい、の繰り返しやんか。なんなん、この映画。」「ふーん、ボクは、それでどうなるの?やったで(笑)ホアキン・フェニクス、ずっと情けない顔してたやん。それが見たかったんちゃうの?」「あんな母親出てくる思わへんやん。」 見てすぐはかなりお怒りでしたが、家に帰ると質問攻めでした。「最初、さあ、子供産んだばっかりの女の人が叫んでるこえきこえてくるやん。アンナン、できへんと思うねん。産んですぐやでぇ。」「夢やからできるねん。」「誰の?」「主人公。」「どういうこと?」「ボクはな、はじめから終わりまで、みんな、ボーいう男の人の夢や思うねん。まあ、当てずっぽうやけど、きっと。」「みんな、夢やったん?」「ほら、この前からホサカがおもろいこというてるって騒いどったやろ。夢で起こることって、あり得へん事でも見てて疑わへんって、そういえばそうや、おもろいなぁって。」「そやから、起こること、全部、どこか変やったん?」「そうやん、ボクらには夢ちゃうもん。」「ボーにはホンマのこと?」「まあ、そういいたいんやろうな。ボク、見始めて、すぐ、ホサカの話思い出したから、ふーん、ソウナン?!って見てた。」「ずっと?」「うん。」「最後、爆発すんのは?」「夢の終わり。目覚めたら、また、あの情けない顔。」「おかーさんは?」「映画の今、実在やとしたら、生きてる。知らんけど。ほんでな、ボーのマザコンの様子の描き方は、アメリカの人が好きらしい精神分析の発想の、まあ、映像化に見えた。」「どいうこと?」「あんな、人間ってな、大人になって、自分は、とか、私とか、主体とか、自己とか、思ってるけどな、それって、小さいころに母親とか父親の喜んだり怒ったりすること、まあそれを他者の欲望っていうねんけど、それを見て、それに合わせて自分って出来ていくいう理論。で、ボーのおかんってシングル・マザーやろ。そやから、父親は、人格のないチンチンのバケモンでしかないいうことになるわけ。なんか、そんなシーンもあったやん。」「天井裏?」「うん、父親がそれやったら、男の自分はなんや?ってなるやろ。無意識を占拠してるのは全部母親の欲望で、なおかつ自分は男やで。困るやろ。」「なんなん、それ。」「途中、子ども部屋で目覚めるやろ。ボーって、見るからにもう中年すぎてるやん、なんか、不気味やろ。」「あの年になっても、始まりに支配されてるいううわけ?あかんわ、そんな話。あの子らどう思って見てたんかな?ちょっと、感想聞きたいわ。」「さあなあ、若い人、どうなんかなあ。ボクのは当てずっぽうやか、あてにならんけど、そんな、フロイトとかについて知らんやろうからなあ。わけわからんホラーなんちゃう?ただ、ボクは、なんか、醒めて見てたいうことやん。この監督さん、たぶんそういうのン好きやねんきっと。」 と、まあ、あれこれ盛り上がったのですが、どうなんでしょうね。文字通り素っ裸で走り回ったホアキン・フェニクスさんに、ご苦労様でしたの拍手!ですね。いやはや、俳優というのも大変ですね(笑)。 ところで、上の会話の中でホサカと呼んでいるのは、作家の保坂和志です。で、引用は「世界を肯定する哲学」という新書の次の箇所です。「夢は無意識の発露である」というのがフロイト以降の定説となった定義だけれど、夢には忘れられがちなもっとずっと大きな特徴がある。それは「夢の中では何歳になっても与えられた状況を真に受ける」ということだ。(「世界を肯定する哲学」ちくま新書)(P152) それから、ジャック・ラカンについての話は、まったく偶然だったのですが、ここのところ読んでいた竹田青嗣という批評家の「新・哲学入門」という新書の次のような記述を頭に浮かべています。 ラカンは、フロイトの去勢複合の仮説を精神分析理論の核心として受け取り、疎外された自己統合としての人間主体、という独自の像を提示する。その力点を「反―主体の形而上学」と呼ぶことができる。 《主体は、もともとは欲望のバラバラの寄せ集めです。これこそ「寸断された身体」という表現の本当の意味です。そして、「エゴ」の最初の統合は、本質的に「他我(アルター・エゴ)」であり、それは疎外されているのです。欲望する人間主体は、主体にまとまりを与えるものとしての他者を中心として、その周りに構成されます。そして、主体が最初に対象に接近するのは、他者の欲望の対象として体験された対象なのです》(「精神病の問いへの序論」ジャック・ラカン「精神病」岩波書店) 幼児は、鏡像段階以前(自我が統合される以前)では、自己身体を寸断された像としてもつため、このバラバラの身体としての自己を統一された「主体」として形成する上で、「他我」、つまり「他者の欲望」を必要とする。人間は、自分の欲望を自分で構成することはできず、他者の欲望によって自分の欲望を形成する。この意味で、人間の「主体」は本質的に「疎外」されたもの、いわば他我によって想像的に”騙り取られたもの“であるとされる。(竹田青嗣「新・哲学入門」現代新書)(P147) ゴシック体は、ボクなりです。論の真偽はともかくとしてですが、最近、面白がって読んでいる1冊です。映画にかぎらず、小説、詩歌とか絵画、写真とか、ボク自身が何を見て、何に反応しているのか? を考え込むことが、最近よくあるのですが、そういうときの参考になります。ラカン、ポンティ以降の人間理解は、よくわからないなりにスリリングです(笑)。 で、最後になりましたが、この「Beau Is Afraid」という作品で、あの年齢まで、ボーが怖れ続けているという考え方が、ある意味でホラーだと思うのでした。アリ・アスター監督が採用しているとボクが考えている人間理解の考え方が、でたらめだとは思いませんが、なんだか、図式的だよなあ?! という感じなのでした。監督・原案・脚本 アリ・アスター撮影 パベウ・ポゴジェルスキ美術 フィオナ・クロンビー衣装 アリス・バビッジ編集 ルシアン・ジョンストンキャストホアキン・フェニックス(ボー・ワッセルマン)ネイサン・レイン(ロジャー)エイミー・ライアン(グレース)スティーブン・マッキンリー・ヘンダーソン(セラピスト)ヘイリー・スクワイアーズ(ペネロペ)ドゥニ・メノーシェ(ジーヴス)カイリー・ロジャーズ(トニ)アルメン・ナハペシャン(少年時代のボー)ゾーイ・リスター=ジョーンズ(若き日の母親)パーカー・ポージー(エレーヌ)パティ・ルポーン(モナ・ワッセルマン)2023年・179分・R15+・アメリカ原題「Beau Is Afraid」2024・02・29・no034・109ハットno40 追記 ところで、このブログをご覧いただいた皆様で楽天IDをお持ちの方は、まあ、なくても大丈夫かもですが、ページの一番下の、多分、楽天のイイネボタンを押してみてくださいね。ポイントがたまるんだそうです(笑)
2024.03.10
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ブリッツ・バザウーレ「カラー・パープル」109ハット なんというか、何はともあれ、機嫌のいい映画が見たいと思って、三連休の最後の日に109ハットにやって来ました。 見たのはブリッツ・バザウーレという監督のミュージカル「カラーパープル」です。 スピルバーグが1985年に公開して、原作ともども話題になった「カラーパープル」のリメイクだそうです。まあ、その、元ネタ映画を見たことがあるから、今回の鑑賞になったのですが、何にも覚えていないことが幸いして、なかなか楽しい2時間でした。 もともとがアリス・ウォーカーの、当時、ピューリッツァー賞をとったノンフィクション小説が原作で、今回も同じですから、話の筋は変わりません。ボクぐらいのお年の方には、原作をお読みになった方も多いのではないでしょうか。読みでのあるいい作品だった記憶だけありますが、要するに、物語の展開を歌とダンスでやるということで、まあ、歌もダンスもわからない老人ですが、飽きずに最後まで見終えました。 こういう、趣向を変えたリメイクというのは、演劇なんかでやられることも多いようで、この作品もブロードウェイでの当たり狂言の映画化のようで、まあ、だから、ダブル・リメイク(笑)というわけのようですね。 元の映画にあった、歴史的な分厚さは感じませんでしたが、これはこれで、見てよかったですね。 主人公のセリー(ファンテイジア・バリーノ)とか、友達の歌手シュグ・エイブリー(タラジ・P・ヘンソン)とか、歌を歌ったり、踊ったりの出演者の方たちは、たぶん、かなりな実力でしょうね。拍手!でした。 監督 ブリッツ・バザウーレ原作 アリス・ウォーカー原作ミュージカル マーシャ・ノーマン脚本 マーカス・ガードリー撮影 ダン・ローストセン編集 ジョン・ポール音楽 クリス・バワーズ音楽監修 ジョーダン・キャロル モーガン・ローズ楽曲 ブレンダ・ラッセル アリー・ウィルス スティーブン・ブレイ振付 ファティマ・ロビンソンキャストファンテイジア・バリーノ(セリー)フィリシア・パール・エムパーシ(若き日のセリー)シアラ(妹ネティ)ハリー・ベイリー(若き日のネティ)タラジ・P・ヘンソン(シュグ・エイブリー)ダニエル・ブルックス(ソフィア)コールマン・ドミンゴ(ミスター夫)ハリー・ホーキンス(ハーポ義理の息子)H.E.R.(スクイーク)アーンジャニュー・エリス(セリーとネティの母親)デビッド・アラン・グリア(エイブリー牧師・シュグの父)デオン・コール(アルフォンソ)ジョン・バティステ(グレイディ)ルイス・ゴセット・Jr.(ミスターの父親)タメラ・マン(ファーストレディ)エリザベス・マーベル(ミス・ミリー)2023年・141分・G・アメリカ原題「The Color Purple」配給 ワーナー・ブラザース2024・02・12・no019・109ハットno39
2024.02.13
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久保茂昭「ゴールデンカムイ」109ハット 野田サトル君の原作「ゴールデンカムイ」(全31巻)のファンです。全巻、週刊マンガ便でご案内しようという野望は挫折していますが、まあ、そのうちなんとかと思っています。 で、その作品が、なんと実写映画になったというのですから、まあ、これは行くしかないな。というわけで、やって来たのは109シネマズ・ハットです。 もちろん見たのは久保茂昭監督の「ゴールデンカムイ」です。 最初に目に飛び込んできたのは、草も木もはえていない(ほんとは草は?)丘のような、山のような、そこを蟻のような、人間!が・・・「なんだ???」 二〇三高地でした。1904年から1905年、明治37年2月から38年9月に戦われた日露戦争の、あの激戦地です。要するに、主人公不死身の杉元の登場シーンなのですが、ボクは、この、戦場のシーンにいたく胸打たれたのでした。 原作漫画の舞台設定も日露戦争の戦後社会なのですが、実写にするときに、おそらく、主人公の不死身さと北海道あたりをやさぐれているリアリティーを支えるのは、あの日露戦争の二百三高地を生き延びた猛者であり、だからこそ、徹底したニヒリストであることだという発想が必要だったんでしょうね。いきなり、一本取られたというか、やるやん! という納得で映画が始まりました。 で、ノンビリ見ていて次にモヤモヤ感が浮かんできました。「なんか、ヘンやな??? こいつ、どこかで見たぞ!」 主人公に見覚えがあるのです。そうです、不死身の杉元を演じているのは山崎賢人君、あの、実写版キングダムの主人公李信なのです(笑)。「なんでやねん!?」 山崎君、2000年の間、戦い続けやんか(笑)。これでアシリパちゃんが橋本環奈ちゃんだったりしたらずっこけるしかないのですが、山田杏奈ちゃんということで、はいはい、なかなか、マンガのキャラにピッタリの女優さん、よく探しましたねという展開でした(笑)。 まあ、どうでもいいことですが、ほかのキャストで面白かったのは土方歳三の舘ひろし君ですね。かっこいい役なのですが、まったく舘ひろしに見えない舘ひろしに笑いました。 で、一番最後の締めのセリフがこうです。「オソマ、ヒンナ!ヒンナ!」 拍手!ですね(笑)。 原作マンガを読んでいる人には笑う所だとすぐわかりますが、アイヌの少女アシリパちゃんの山田杏奈ちゃんが「オソマ汁」を食べながらヒンナ!ヒンナ!、「おいしい!おいしい!」です。 で、オソマ汁って何かって?それはまあ、原作を読むなり映画を見るなりしていただくほかないですね(笑)。ハハハハハハ。 三部作なのだそうで、第二部、第三部、見るしかないですね。ということで、もう一度、拍手!です。監督 久保茂昭原作 野田サトル脚本 黒岩勉撮影 相馬大輔編集 和田剛音楽 やまだ豊主題歌 ACIDMANナレーション 津田健次郎キャスト山崎賢人(杉元佐一)山田杏奈(アシリパ)矢本悠馬(白石由竹)井浦新(アチャ)玉木宏(鶴見篤四郎)舘ひろし(土方歳三)木場勝己(永倉新八)眞栄田郷敦(尾形百之助)工藤阿須加(月島基)柳俊太郎(二階堂浩平/二階堂洋平)泉澤祐希(寅次)大谷亮平(谷垣源次郎)勝矢(牛山辰馬)高畑充希(梅子)2024年・128分・PG12・日本配給「東宝」2024・01・24・no009 ・109ハットno37
2024.01.27
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リドリー・スコット「ナポレオン」109ハット 御年86歳のリドリー・スコット監督の新作「ナポレオン」を見ました。 先日、御年76歳の北野武監督の新作「首」を見て、ボク的には「中世的世界最後の大タワケ」だと思っている信長をどうなさるのかと興味津々だったのですが、まあ、なんだかなあ??? という具合で、首を傾げたわけなのですが、こちらは、もう10歳、年上の方なわけで、ご老体、さて、「馬上の世界精神」(ヘーゲル)をどうなさるのだろうと興味津々でやってきました。で、納得! でした(笑)。ボクは、このタイプの歴史映画、やっぱり好きですね(笑)。 映画としての興味の一つは、まあ、ナポレオンといえば、の「アウステルリッツ」、「ワーテルロー」の二大会戦のスペクタクル・シーンを大スクリーンで! と期待していたのですが、大劇場での上映時間を勘違いして109ハットの中では、小劇場上映の鑑賞になってしまったので、チケット購入時点では、ちょっとがっかり! だったのですが、実際は、たった一人の客のための特別上映会(ウソですよ。)で、小なりと言えど、劇場のど真ん中で社長試写会状態での鑑賞で大満足でした(笑)。 二つ目の興味は年上の妻ジョセフィーヌをどうするのだろう?だったのですが、おばさんが出ていらっしゃると思いきや、結構、お若い女優(バネッサ・カービー)さんで、あれ?そうなの? だったのですが、この映画のナポレオンには、まあ、あれはあれでよかったんだろうね(笑) という感想でした。 で、三つめはナポレオンご当人です。映画は「ジョーカー」のホアキン・フェニックスの一人芝居でした。これが、すごかったですね(笑) コルシカ出身の、だから、まあ、田舎者で、大砲を撃つことしか知らない砲兵大尉ナポレオン・ボナパルトがマリー・アントワネットの首が、断頭台ギロチンから転がり落ちるシーンを狂喜する民衆の中を歩いているシーンから始まります。ああ、また、首ですか?! まあ、そんな気分で見ていたのですが、刑場を通りかかったナポレオンは何の反応も見せません。マリー・アントワネットが斬首されたのは1793年です。ナポレオンがその広場に、実際にいたかどうかは、ちょっと怪しい気がしましたが、王妃の首がギロチンから転がり落ちた、まさに、その時、大騒ぎする民衆の中に、一介の砲兵大尉ナポレオンを無感動な「時代精神」として登場させた演出はなかなかな見ごたえでしたね。 で、彼は、ここから、無感動に「大砲」をブッ放し続けます。ピラミッドを破壊し、敵前逃亡を疑われたパリでは民衆相手にブッ放し、アウステルリッツでは氷上の三帝会戦を制し、冬のモスクワを焼き払いますが、要するに「旧世界」に向けてブッ放し続けるわけです。 で、エルバ島への最初の幽閉があって、復活するも、ワーテルローで、ナポレオンのおかげ(?)でナショナリズムに目覚めたウィーン会議の連合軍に敗れ、戦いに付き従ったフランス国民兵の10万を越える命とともにすべてを失い、大西洋の果ての島、セント・ヘレナ島で崩れ落ちる影として最後を迎えます。映画はホアキン・フェニクスの後ろ姿が画面から消えて終わりました。 大砲をブッ放しつづけることで、王妃の首に大騒ぎする民衆に「フランス」をあたえ、「オレたちの国フランス」=国民国家=ナショナリズムを作り出した「英雄」(ベートーヴェン)ナポレオンが、故郷と母親を恋しがる、ただのマザコンであり、ただの砲兵大尉でしかなかったという「空虚」を、何を考えているのかわからない存在として演じたホアキン・フェニックスの、あの眼に拍手!でした。 長いといえば長い映画ですが、ボクには面白かったですね。老いたりといえども、リドリー・スコット、さすがですね。拍手! ああ、それから、ボク一人のために映写してくれた技師さんに拍手!アリガトウ、ご苦労様でした! でしたね(笑)。 ハハハ、ボクは、まあ子どものころから好きですが、それにしても、ナポレオンなんて、今時はやらないんでしょうかね(笑)。監督 リドリー・スコット製作 ケビン・J・ウォルシュ マーク・ハフマン ホアキン・フェニックス リドリー・スコット脚本 デビッド・スカルパ撮影 ダリウス・ウォルスキー美術 アーサー・マックス衣装 ジャンティ・イェーツ デビッド・クロスマンキャストホアキン・フェニックス(ナポレオン)バネッサ・カービー(ジョゼフィーヌ)タハール・ラヒム(ポール・バラス)マーク・ボナールパート・エベレットユーセフ・カーコア2023年・158分・PG12アメリカ原題「Napoleon」2023・12・06・149 ・109ハットno36 !
2023.12.13
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相米慎二「台風クラブ」 烏丸・御池アップリンク 若くして亡くなった相米慎二監督の懐かしい作品が、11月の末から12月にかけて2本、「台風クラブ」がシネリーブル神戸で、「ションベンライダー」がパルシネマでかかっていて、ちょうど同じ時期に鈴木清順の「ツィゴイネルワイゼン」「陽炎座」「夢二」の3本が元町映画館で特集されていて、どれから見るのかはともかく、80年代へんてこ邦画特集の趣で、まあ、何はともあれ、とりあえず、みんな見るか! とか思っていたら、シネリーブル神戸の「台風クラブ」が終わっていて出鼻をくじかれました💦 あれ、あれ、と思って調べると、京都ではまだやっているらしいことを発見して、なんだか費用ばかりかかる映画鑑賞を思いつく自分に、我ながら呆れながら、烏丸御池アップリンクという映画館にやって来ました。 声をかけると、ちょうどお休みだとおっしゃる愉快な仲間ピーチ姫と同伴鑑賞でした。相米慎二「台風クラブ」です。「どう?なつかしかった?」「いや、なつかしない。バービーボーイズとか、ダサいなあ。あれで、踊ったんやね。当時の人は(笑)。それで、なんか、とっちらかった映画やったな(笑)」「やっぱり、そう思う?」「そう思うやろ。で、お帰り、ただ今、のあの子って、何?」「ウーン、アブナイなあ、いう感じかな?シャイニングみたいやったやん。」「シャイニングは覗くだけやろ。だいたい、この町どこ?何で、信越本線土砂崩れやのに、東京から昼には帰ってこれんの?で、窓からとんだ男の子、あれ、死んだん?」「いや、動いてたやん、突き刺さったまま。」「もう、八墓村やん?」「イヤ、あっちは死んでる。こっちは、ぴくぴくしてた(笑)。そこがこの映画のええとこかもな。なんか、起こりそうで、起こらへんねん。そやから、撮りたいシーン撮ったになったんちゃうの(笑)」「そういえば、友情出演とかに名前あったけど、佐藤浩市おった?」「わからん。佐藤允はおったけど。」「わからんといえば、最後、グラウンドが池になってはいたけど、水浸しの校舎を見て金閣寺みたいって、何、あれ?」 まあ、中学生のガキたちの「台風!」 なんですけど、そういうと、身もふたもない気もするのですが、ボクの目には、出来事はみんな未遂! なのですよね。だから、とっちらかっちゃってるんですね。 で、まあ、そこが、今時とちがうんでしょうね。いろいろ起こって、なんか、すごそうで、実は、すごくない。で、それを、スゴイ!と言ってた時代があったことが、今となってはスゴイ! まあ、何といっていいかのかわからないので、ことば遊びしてますが、相米慎二という監督の中にわだかまっているものは、素直に共感はできないけれど、わかる気はするというわけです。 というわけで、やっぱり「ションベンライダー」も見ておこうかな、でした(笑)。監督 相米慎二脚本 加藤祐司撮影 伊藤昭裕美術 池谷仙克音楽 三枝成彰編集 冨田功キャスト三上祐一(三上恭一・優等生)紅林茂(清水健「おかえり・ただいま」)松永敏行(山田明・プールで溺れる)工藤夕貴(高見理恵・三上君の近所)大西結花(大町美智子・優等生)会沢朋子(宮田泰子・演劇部)天童龍子(毛利由美・演劇部)渕崎ゆり子(森崎みどり・演劇部)佐藤允(英夫・順子のおじ)寺田農(清水留造・清水健の家の人)伊達三郎(岡部・用務員)小林かおり(八木沢順子・梅宮の彼女)きたむらあきこ(保健室)石井トミコ(八木沢勝江・順子の母)鶴見辰吾(三上敬士・兄)尾美としのり(小林・大学生)三浦友和(梅宮安・数学の教員)1985年・115分・日本1985年8月31日(日本初公開)2023・12・01・no146・烏丸御池アップリンクno1!
2023.12.06
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北野武「首」109シネマズハット 一月ぶりのSCC、シマクマ・シネマ・クラブの例会は世界の北野武が、まあ、ボクにはビート・タケシですが、監督、脚本、原作で、満を持して作った(?)らしい、作品「首」でした。 本能寺の変を描いた時代劇でしたが、まあ、北野映画ですから、殺伐としたグロテクス・リアリズムだと予想して見ましたが、さほどグロテスクというわけでもありませんでした。 SCCでご一緒するM氏の提案された作品の一つだったのですが、北野映画は見たことがないとおっしゃっていたので、そのあたりのことを少し心配しながら見終えました。「いかがでしたか?」「いや、結構、面白かったですよ。」「残酷シーン、非人間シーンがありましたが、そのあたりは?」「いや、様式化しての繰り返しですから、気にならなかったですよ。」 というわけで、心配は杞憂に終わったのですが、ボク自身は、M氏がおっしゃる様式化というか、残酷シーンのパターン化と、登場人物たちのキャラクター設定、信長にだけ方言(尾張弁?)をデフォルメして喋らせながら、ほかの登場人物たちに、音声的なアクセントとしても、少し不自然な標準語(?)を喋らせるセリフ構成、浅薄とでもいうしかない男色描写、どれ一つとっても、今までに見た北野映画を越える要素どころか、ある種の衰弱を感じるばかりで、ダレてしまいました(笑)。 グロテスク・コメディーというジャンルがあるのかないのか知りませんが、暴力的なグロテスクが、同じパターンで繰り返される中で、見ているボクに弛緩現象をおこしたからでしょうか、本来、あっけにとられるべきドタバタ喜劇的シーンも緩んでしまい、笑えない笑いが宙に浮いて、出来の悪いというか、描線の粗雑な劇画マンガを読まされていう感じでしたね。 信長、秀吉、光秀、家康という、本能寺の変を構成する4人の登場人物の性格描写のデフォルメ化に、現代社会の人間類型を重ねた社会批評性を読み取るような見方もあるのかもしれませんが、そういう、社会観、大衆性とは切れたところに北野映画の徹底した暴力性の魅力を感じていたシマクマ君には、チョット、トホホな作品でしたね。 というわけで、SCC第13回は主宰者がずっこけて終わりでした(笑)。いや、ホント、二人して拍手!の映画って、ホントないものですね(笑)。監督・脚本・原作 北野武撮影監督 浜田毅編集 北野武 太田義則音楽 岩代太郎キャストビートたけし(羽柴秀吉)西島秀俊(明智光秀)加瀬亮(織田信長)中村獅童(難波茂助)木村祐一(曽呂利新左衛門)遠藤憲一(荒木村重)勝村政信(斎藤利三)寺島進(般若の佐兵衛)桐谷健太(服部半蔵)浅野忠信(黒田官兵衛)大森南朋(羽柴秀長)六平直政(安国寺恵瓊)大竹まこと(間宮無聊)津田寛治(為三)小林薫(徳川家康)岸部一徳(千利休)2023年・131分・R15+・日本配給 東宝・KADOKAWA2023・11・27・no145・109シネマズハットno35・SCCno⒔!
2023.11.29
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マーティン・スコセッシ「キラーズ・オブ・ザ・フラワー・ムーン」109シネマズハット マーティン・スコセッシという監督は、1942年生まれで、今年、80歳だそうです。まだ30代だった1970年代に「ミーン・ストリート」(1973年)、「アリスの恋」(1974年)、「タクシー・ドライバー」(1976年)という3作で、但馬の田舎から神戸に出てきて、大学には入ったものの、することがなくてボーっとしていた20歳になったばかりの青年を映画狂いの落第生に変貌させた監督、まあ、複数いますがその一人です。 あれから、50年ほどたちました。スコセッシは80歳、映画狂いで身を持ち崩しそうだった青年は69歳、監督が映画の世界に連れてきて、今や、世界的大スターになった名優ロバート・デ・二―ロは79歳です。で、69歳の老人はあのころ目を瞠った二人が映画を撮ったというわけですから、見に行かないわけにはいきません。三連休の初日ですが、109ハットの朝一番のプログラム(まあ、10時45分でしたが)(笑)をものともせず出かけましたよ。マーティン・スコセッシ監督の3時間を超える大作(?)「キラーズ・オブ・ザ・フラワー・ムーン」です。 2人は5年前だったかに「アイリッシュマン」という、アル・パチーノとデ・ニーロの老優共演で、なかなか渋い作品が公開されましたが、今回はアル・パチーノではなくて、レオナルド・ディカプリオが主役で、大根デカプリオと芸達者ロバート・デ・ニーロの演技合戦でした。 ことに、デカプリオ君は、汚名返上の百面相演技ともいうべき、気合の入り方で、こういう演技のお好きな方には見逃せないシーン満載ですし、齢79歳とは、とても思えないデ・ニーロは、期待通り、正体不明のお芝居が炸裂しているデニーロでした。というわけで、206分という長尺映画、なんのその! といいたいところですが、ちょっと空振りでしたね(笑)。見ながら、普段は決して見ない腕時計の灯りをこっそりつけて、3度も見ました。 1920年代のアメリカ西部です。ゴールド・ラッシュとか、インディアンとの戦いとかいう話の時代から、100年ほどたっています。第1次世界大戦が終わった直後、新しく降って湧いたように起こったオイル・ダラー騒ぎのオクラホマが舞台でした。 大雑把に言えば、偶然、棲んでいた土地から石油が湧き出して、大金持ちになったネイティヴ・アメリカンたちをいかに毟るか! と陰謀をめぐらす白人男と、渦中にあって、陰謀にも加担しながら、どこまでも「善き人」でしかありえない、もう一人の白人男の戦い(?)でしたが、長い映画の終盤に至って、映画が語ってきた、一連の迷宮入り殺人事件の解明が、あの、悪名高いフーヴァーのFBIの誕生秘話のテレビ番組として語られるという、まあ、1920年という時代、歴史を背景にした入れ子型の物語だったことが明かされるわけですが、そういう映画の構成も登場人物たちの演技も、面白いといえば面白いのですが、古いといば古いわけで、ボクの頭にわいてきた感想はただ一言「ああ、スコセッシも年をとったなあ・・・・。」 でした(笑)。 映画がFBIの手柄噺の宣伝のための映像だったということは、さすがにわかりませんでしたが、デ・ニーロとデカプリオの出会いのシーンから始まる物語の結末に至るまで、プロット、プロットで、次に何が起こるのか、なんとなく予想できてしまうという不思議な展開でした。だから、ギョッとしてすくむというか、アッと驚きの声を上げるというかがないのですよね。善人を演じているデ・ニーロなんて、はなから信用しない目で見ているからかもしれません。ひょっとすると、デ・ニーロがそういう演技をしていたんじゃないかとも思ったりもしながらなわけですからそうなったのかもしれませんが。 「タクシー・ドライバー」でギョッとしたあの時から、50年ですね。ますます年の功を感じさせるデ・ニーロを見ながら、なんとなくあきたらなく思うのはないものネダリなのでしょうかね(笑)。 でも、まあ、デカプリオ君とデ・ニーロさんには拍手!ですね。マーティン・スコセッシ監督も、これでオシマイとかいわず撮り続けてほしい気持ちを込めて拍手!でした(笑)。監督 マーティン・スコセッシ原作 デビッド・グラン脚本 エリック・ロス マーティン・スコセッシ撮影 ロドリゴ・プリエト美術 ジャック・フィスク衣装 ジャクリーン・ウェスト編集 セルマ・スクーンメイカー音楽 ロビー・ロバートソンキャストレオナルド・ディカプリオ(アーネスト・バークハート)リリー・グラッドストーン(モーリー・カイル)ジェシー・プレモンス(トム・ホワイト)ロバート・デ・ニーロ(ウィリアム・“キング”・ヘイル)タントゥー・カーディナル(リジー)カーラ・ジェイド・マイヤーズ(アンナ)ジャネー・コリンズ(レタ)ジリアン・ディオン(ミニー)2023年・206分・PG12・アメリカ原題「Killers of the Flower Moon」2023・11・03-no134・109シネマズハット34!
2023.11.04
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クリストファー・マッカリー「ミッション・インポッシブル デッドレコニング PART ONE」 109シネマズ・ハットno31ハハハハ、ミチャイマシタヨ! クリストファー・マッカリー監督の「ミッション:インポッシブル デッドレコニング PART ONE」です。なんだか、長い題名ですが、要するに60歳を超えたトム・クルーズ君の「ミッション・インポッシブル」最新作です。テレビでは、何本か見ていると思いますが、劇場で見るのは初めてです。今年のはじめだったか、昨年だったか「トップ・ガン:マーベリック」を見て以来、男前には敵意しか感じなかったはずのシマクマ君は男前のトム・クルーズ君のファンです。「なあ、ミッション・インポッシブル見に行けへん?」「わたし、トム・クルーズとかファンちゃうし。」「ハリソン・フォードはええけど、トム・クルーズはあかんの?」「ハリソン・フォードは80歳やし、長い付き合いやん。最後まで見たげなあかんやん。」「トム・クルーズも60歳越えたらしいで。」「そんなン、わたしより若いやん。そんなことより、トム・クルーズって森山未來に似てへん?」「はあー????」「ピーチ姫に言うたら、ハアー?って言うとったけど(笑)」「ホンナラ、まあ、それ確かめに行くいうことで、一緒に行こ。」 というわけで、同伴鑑賞です。トム・クルーズは誰に似ているのか? これが今回の鑑賞のテーマです(笑)。まあ、そんなことを確かめるために、この映画を見にやってきたアベックは、世界中で、きっと一組だけでしょうね(笑)。 で、結論はこうでした。「やっぱり、森山未來くんとは違うわ。あれはスグルちゃんやん。」「誰やねん、スグルちゃんて?」「何いうてんの、岩崎優ちゃんやん。毎晩、見てるやないの。」「ヒエーッ?、阪神キャッツの抑えの切り札のか?トム・クルーズって二重ちゃうの?」「でも、まあ、わたし、パート・ツーは、もう、ええわ。なんか、めんどくさい。」「そうなん、でも、オートバイで空飛んだり、頑張ってたやん。ところで、この映画ってスパイ大作戦なん?」「そうやで、子どものころよう見たやん、テープレコーダが煙を上げて、若山弦蔵いう人ちゃった?声が消えるんやんか。知らんかったん?」「うん。初めて見たんやもん。まあ、ボクは、パート・ツーも見るで。そん時、また誘うわ(笑)。」 というわけで、結論は「岩崎優投手」でした(笑)。もちろん、シマクマ君はパート・ツーも見ますが、チッチキ夫人の結論も、まあ、アリかなという気分でした(笑) 老骨に鞭打って空を飛んだり、列車の屋上走り回ったり、まあ、ご苦労様なこと限りなしだったトム・クルーズくんに拍手!でした。監督 クリストファー・マッカリー原作 ブルース・ゲラー脚本 クリストファー・マッカリー エリック・ジェンドレセン撮影 フレイザー・タガート美術 ゲイリー・フリーマン衣装 ジル・テイラー編集 エディ・ハミルトン音楽 ローン・バルフェテーマ曲 ラロ・シフリンキャストトム・クルーズ(イーサン・ハント)ヘイリー・アトウェル(グレース)ビング・レイム(スルーサー・スティッケル)サイモン・ペッグ(ベンジー・ダン)レベッカ・ファーガソン(イルサ・ファウスト)バネッサ・カービー(ホワイト・ウィドウ)イーサイ・モラレス(ガブリエル)ポム・クレメンティエフ(パリス)マリエラ・ガリガヘンリー・ツェーニー(ユージーン・キットリッジ)シェー・ウィガムグレッグ・ターザン・デイビスチャールズ・パーネルフレデリック・シュミットケイリー・エルウィズマーク・ゲイティスインディラ・バルマロブ・ディレイニー2023年・164分・G・アメリカ原題:Mission: Impossible - Dead Reckoning Part One2023・07・25・no94・109シネマズ・ハットno31
2023.07.30
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荻上直子「カモメ食堂」夙東市民会館 SCC(シマクマ・シネマ・クラブ)の第6回例会は会場が夙東市民会館という、西宮の香櫨園という、実に瀟洒な住宅地の中にあるこんな公民館でした。「うちの近所で、こんな映画会するようなのですが、いかがです?第6回で?」「へぇー、なんか面白そうですね。行ってみますか?」 というわけでやってきたのが阪神香櫨園です。 M氏の出迎えを受けて、いざ、夙東市民会館へ出発です。瀟洒な街並みの中のこじんまりとした公民館でした。会場は2階で、会費は100円です。長机に椅子がセットされていて20人くらい座れるようです。正面にプロジェクター用のスクリーンがぶら下がっています。世話人らしいおじさんがあいさつされて、上映が始まりました。映画は荻上直子監督の「カモメ食堂」です。20年前の作品です。 窓には暗幕のカーテンが引かれていますが、光はあちらこちらから漏れていて、上映が始まっても、一人、二人と遅れて入場してくる人もいます。その場で見始めている人も、後から来る人も、皆さん、ぼくよりお年寄りで、どちらかというと、そういう方の椅子係をしたほうがいいのかなあと思いながら傾いたスクリーンを見ていましたが、なかなか楽しい雰囲気です。 画面では、小林聡美さんと片桐はいりさんが、フィンランドの町で食堂のおばさんとおねーさんをやっていらっしゃって、まあ、わかったようなわからないような話が展開しています。 小林さんがスイミングで泳ぐシーンと、新しくできた食堂らしきものの内部を、通りから窓ごしにじっと覗いているフィンランドのおばさんたちのシーンが記憶に残りました。 会場では、時々笑い声が起こったり、まだまだ遅れてやってくる方に椅子をすすめる小声が聞こえたりするのですが、突如、隣に座っているおじさんのスマホの呼び出し音が高らかに鳴り響いて、おじさんが慌てながら、まあ、困惑していらっしゃる雰囲気に、思わず笑いそうになる一幕もありました。 井上陽水のクレイジー・ラブが鳴り響いて映画は終わりましたが、突如のスマホの呼び出し音なんのそので最高でしたね。粋で悲しいクレイジーラブ ♪愛されていても私ひとりが幸せを胸に飾るだけなの ♪ さっき、片桐はいりのトンチンカンに高らかにお笑いだった方とか、一緒に歌い始める方が?と期待しましたが、突如の陽水に気押されたのか、実に静かな終幕でした。 思い起こせば、村の公民館での市川歌右衛門の呵々大笑が、ボクの映画体験の始まりなのですね。で、久しぶりの公民館映画体験でした。ああ、映画を見るって、こういうことなんだよなあ。 まあ、そんな感じで楽しかったのですが、なんか、一番大切なことを思い出させてくれた気がしますね。映画館の世話役の人たちに拍手!でした。 頑張って、続けてくださいね、また来ますよ。SCC(シマクマ・シネマ・クラブ)の第6回は記憶に残りそうですね。監督 荻上直子原作 群ようこ脚本 荻上直子撮影 トゥオモ・ヴィルタネン美術 アンニカ・ビョルクマン編集 普嶋信一音楽 近藤達郎エンディングテーマ 井上陽水キャスト小林聡美(サチエ)片桐はいり(ミドリ)もたいまさこ(マサコ)ヤルッコ・ニエミタリア・マルクス2005年・102分・日本2023・06・20 ・no73・夙東市民会館
2023.07.10
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ジェームズ・マンゴールド「インディ・ジョーンズと運命のダイヤル」 ハハハハハ、見ちゃいました。チッチキ夫人とJR灘駅で待ち合わせて、雨の中、109シネマズ・ハットまで歩いて、「インディ・ジョーンズと運命のダイヤル」です。監督はジェームズ・マンゴールドという人だそうで、ちょっと不満ですが、スピルバーグとルーカスは製作総指揮だそうです。 インディー・ジョーンズのシリーズはチッチキ夫人のお気に入りです。チラシを見つけて以来落ち着きません(笑)。この半月程は、テレビで総復習をしていたようで、満を持しての同伴鑑賞でした。 見終えた帰り道、春日野道の大安亭市場目指して雨上がりのトボトボ歩きの会話です。「最初のほう、ハリソン・フォードがエライ若かったけど、あれって、作り物?」「わからんなあ。今時、どうにでも作れるんちゃうの?そんなことより、なんか罪のない人がよおけ死なはるのが、チョットちゃうなあって。」「そうそう、なんか、あのへんいややったわ。ナチス、ナチスってうるさいし。」「そうそう、あのな、あの悪役のロケット博士おったやろ。」「フォンなんちゃらいう人?」「そうそう、あの人な、フォン・ブラウンいう実在の科学者が、きっと、モデルやねん。」「有名な人なん?」「うん、一部の人には。」「一部て?」「あんな、ボクな、中学生の時、宇宙少年やってん。ほんで、アポロやってん。そん時、ロケットの父とか言うて、フォン・ブラウンいう人の伝記読んで、ボクには英雄やねんけど、なんか、めちゃくちゃ悪役やったなあ。」「インディ・ジョーンズはナチスの人いつも悪役やん。」「イギリス攻撃したV2ロケットって知ってるか?ナチス・ドイツの。まあ、ミサイルやねんけど、それを作ったひとやねんけど、ボクは宇宙ロケット作りたいとかいうてゲシュタポに狙われて、アメリカに逃げた学者やねん。」「原爆作った人も逃げてきた人ちゃうん?」「うん、そうやけど、アインシュタインとかは、ユダヤ人いうこともあるねんけど、フォン・ブラウンはアーリア人、ドイツ人やねんな。ホンでな、いつの間にか、アポロ計画のロケット作るひとになってん。そやから、この映画、1969年で、CIAかなんか、最初あいつの味方やったやろ。」「そんなん、全然知らんわ。ハリソン・フォードが、あいつはナチやナチや、いうてた人やろ。」「そうそう。顔も似てると思ったで。」「アンティキティラのなんちゃらいう秘宝は?」「あっ、あれも実在やって。スマホで出てくる。大昔の羅針儀いうかやな。」「時空を飛べるの?」「わけなやろ。だいたい、タイムマシンやとしても、後ろの飛行機も一緒に時間を飛べるのおかしいやん。」「あっ、それは私もおかしい思った。」「ほんで、なんで、帰ってこれるねん?」「やんなあ。でもええねん、馬にも乗ったし、洞窟にも海底にも行ったし。」「あんた、インディが帰らへんいうたとこで涙出たやろ(笑)」「そやねん、ああ、これで、ハリソン・フォードも見納めやなあって。」「なんでやねん。他の映画にはまだ出てるで。お父さん、90歳まで生きてたやん。でも、まあ、あそこ、しみじみするなア。」「お父さんって、ジェームスボンド?」「ショーン・コネリー。」「75歳くらいで引退したんちゃうの。ハリソン・フォード80歳やろ。」「まだ、やめるいうてないやん。でも、まあ、40年やからなあ。」「変なとこいっぱいやったけど、まあ、ええねん(笑)。最後にマリオンも帰って来てたし。ああー、でもな、エンド・ロールの時、音楽ならんかったのが残念やったわ。待っててんよ。ジャッジャジャージャーン、ジャジャジャジャジャン!で終わってほしかったわ。最後やのに!」 イヤハヤ、久しぶりに鼻歌歩きのチッチキ夫人でした。 ええっと、それから大安亭市場ではチャンジャとナムルの盛り合わせ、それからスモモを買いました。 監督 ジェームズ・マンゴールド製作総指揮 スティーヴン・スピルバーグ ジョージ・ルーカス脚本:ジェズ・バターワース ジョン=ヘンリー・バターワース デヴィッド・コープ ジェームズ・マンゴールド撮影 フェドン・パパマイケル衣装デザイン ジョアンナ・ジョンストン編集 マイケル・マカスカー アンドリュー・バックランド ダーク・ウェスターヴェルト音楽 ジョン・ウィリアムズキャストハリソン・フォード(インディアナ・ジョーンズ)カレン・アレン(マリオン・レイヴンウッド:妻)トビー・ジョーンズ(バジル・ショー:旧友・イギリスの考古学者)フィービー・ウォーラー=ブリッジ(ヘレナ・ショー:バジルの娘・インディが名付け親)イーサン・イシドール(テディ:ヘレナの相棒の少年)アントニオ・バンデラス(レナルド・旧友・潜水士)ジョン・リス=デイヴィス(サラー:旧友エジプトの発掘屋)マッツ・ミケルセン(ユルゲン・フォラー:元ナチスのロケット科学者)ボイド・ホルブルック(クレーバー:ナチスの残党)トーマス・クレッチマン(ウェーバー大佐:ナチス)シャウネット・レネー・ウィルソン(メイソン:CIA捜査官)オリヴィエ・リヒタース(ハウケ:フォラーの部下)マーク・キリーン(ポンティマス:紀元前の兵士)ナセル・メマルツィア(アルキメデス)2023年・154分・G・アメリカ原題「Indiana Jones and the Dial of Destiny」2023・07・05・no84・109シネマズ・ハットno29
2023.07.06
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