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中島みゆき
という歌い手がヤマハのポプコンで優勝して世に出てきたのを、まあ、なんとなくではあるのですが覚えています。
「ババ臭い歌を歌いやがって!」
そう思いましたが、同じころ 荒井由実
という歌い手が、なんというか、異様に都会風というか、シャレた歌で登場しました。 「ひこうき雲」
なんてすぐ忘れられると思っていましたが、いまだに歌えるわけで、どうなっているんでしょうね。浪人していたころだったか大学に入学したばかりだったかのころで、 中島みゆき
は2歳年上、 荒井由実
は同い年でした。 サザン・オールスターズ
が 「勝手にシンドバッド」
で登場するちょっと前だったと思います。 「ニュー・ミュージック」
で一括りされていたと思いますが 井上陽水
の 「傘がない」
とか 「夢の中で」
も流行っていました。
中島みゆき
の最初のLPが 「私の声が聞こえますか」
で、 荒井由実
のLPが 「ひこうき雲」
でした。 荒井由実
のほうが少し早かったと思いますが、両方とも買った覚えがあります。バイト代の時給に350円貰えればうれしかった時代に、LPは2000円を越えていました。それを買ったのですから、何を考えていたのかなあと思います。
あれから50年近い年月が流れました。お二人とも 「ビッグ」
になられましたが、時々聞くことはあっても新しいCDを買うなんてことは考えられなくなって30年は経ちます。
先日、元町映画館で 「中島みゆき 劇場版 ライヴ・ヒストリー」
の予告編がながれてきて、彼女の 「ぼくは」
、 「きみが」
という声を聴いてどきどきしました。
「ああ、これは、泣くかもしれない!」
そう思ってやって来たのが シネマ神戸
のモーニング・ショー、朝10時30分にはじまる 「中島みゆき 劇場版 ライヴ・ヒストリー 2007-2016 歌旅~縁会~一会」
です。
ザンネンながら泣きませんでした。
曲目は
「糸」「宙船(そらふね)」「ファイト!」「誕生」「地上の星」、「空と君のあいだに」「時代」「倒木者の敗者復活戦」「世情」「ヘッドライト・テールライト」、「旅人のうた」「命の別名」「浅い眠り」「麦の唄」「ジョークにしないか」
の15曲でした。
一応、知っている歌ばかりでした。ナショナル・シアター・ライブの中継と同じで、舞台上の 中島みゆき
が大写しされるので、見ていて飽きることはありませんが、 「地上の星」
はそんなふうに歌うのかという、ちょっとした驚きは感じましたが、後は冷静でした。どうしてでしょうね。
正直な実感でいえば、泣くはずだった「ファイト」あたりまでの、出だしの数曲の映像を見ながら 「老けたなあ」
と思ってしまったことが原因のような気がします。彼女が異様に高いピン・ヒールで歌っていたことと、笑わない目でにこやかに頭を下げていたことが印象に残りました。
考えてみれば、あれから50年経って、彼女は70歳になったはずです。まわりまわった時代のコッチ側に来て、大勢の観客をうならせる「芸」の人になったようなのですが、どんなに歌い方が上手になろうが、歌っている人を小賢しく見せてしまう 「歌」
は変わらないのですよね。
なんか、そのことがとても恐ろしいことのように感じました。しかし、面白く不思議な経験でした。がんばって、声を張り上げていた 中島みゆき
に 拍手!
です。
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