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ソンジェは葉子を抱きしめる腕に力をいれる。『もう離したくない。このまま彼女を連れて、どこか遠くへ行ってしまいたい』かなうはずもない願いを思ってしまう。そのとき声がした。「葉子~!」「井出さ~ん!」葉子がその声の方を振り向く。「由紀?安岡先生?」安岡の名前を聞くと、ソンジェは葉子を抱きしめる腕をほどいた。今の自分の姿を安岡に見られたくない。彼ならきっとソンジェの姿を一目見て、陶芸をしていないことを見抜くだろう。ソンジェは身を翻すと、ビルの裏手へ走った。「ソンジェ!」葉子の声がする。ビルの陰から様子をうかがうと、由紀と安岡が葉子を助け起こしているところだった。葉子がソンジェの消えた方向を見つめている。その表情を見て、安岡はこちらに眼を向ける。ソンジェはあわてて、その場から離れた。足が重い。いつもは店が終わると、ほっとして帰途についていた。客の相手をしなくてもいいし、なにより宗太の寝顔を見るのが楽しみだった。しかし今夜は、あの場所から離れていくのが辛い。マンションに着いた。ドアを開け、部屋に入る。「おかえり」佳織が笑顔で出迎えてくれた。「おかえりなさい。すぐご飯温めるね」キッチンに立つと、フライパンの中の炒飯に火を通し始めた。「今度駅前のスーパーでね、開店10周年のセールをするんだって」佳織がさかんに話しかけるが、ソンジェはたった今まで彼の腕の中にいた葉子のことを思い出していた。『葉子さん、貴女は僕の記憶を無くしていなかったんだね。5年前に2人で過ごした時間を、ちゃんと覚えていてくれたんだ』誰に話すわけでもない思い出だが、2人の大切な記憶は、2人で覚えていたい。2人の心のサンクチュアリに大切にしまっておきたいのだ。「ソンジェ、どうかした?」はっとわれに返ったソンジェは、佳織に微笑みかけた。「ううん、どうもしないよ」「それにね、このところ体の調子もいいし、私働こうかと思っているんだけど」「ダメ、佳織、前も無理した倒れた」「大丈夫、今度はなるべく体の負担にならないような仕事を見つけるから」「どうして働くなんていうの?」ソンジェの問いに、佳織はエプロンのポケットからはがきを取り出した。「更新、マンションの。保険とか手数料を入れると20万」そうだった。もう更新の時期なのだ。20万円をすぐに用立てなかればならない。しかし佳織を働かせることは出来ない。また無理をして倒れたら、ソンウに申し訳ない。「ここに私と宗太が引っ越してきたとき、話したよね。生活していくのがやっとだったけど、何にもないこの部屋に、2人で協力しながら少しずつ家具を買い揃えていこうって。殺風景だったこの部屋が、だんだんあったかくなっていくようで、うれしかったな。2人で協力していけば、出来ないことはないんだよ」ソンジェは佳織の言葉をさえぎるように言った。「大丈夫だから、佳織は心配しないで、全部僕に任せて」不服そうな表情になり、佳織はソンジェの脱いだジャケットをハンガーにかけようと手に取る。「あれ?どうしたの?すすけているけど」ソンジェはどきりとした。まるで佳織に、葉子を抱きしめているところを見られたような気がした。あわてて言う。「火事」「え?」「店のビル」「大丈夫だったの?怪我は?」「大丈夫」ソンジェは佳織が入れてくれた炒飯を口に入れた。苦い思いが胸に広がる。『僕はどうして葉子さんを助けたことを、佳織に言えないんだろう』もちろんソンジェは今でも佳織を義理の妹として接している。しかし宗太は違った。友達が自分の両親の仲のよさを話したり、あるいは夫婦喧嘩の顛末を話したりするのを聞いていて、佳織とソンジェのある種のよそよそしさに気づいたらしい。さかんに2人の仲をとりもとうとするのだ。佳織はそんな宗太をいとおしそうに見つめる。しかしソンジェは佳織を女としては見ていなかった。ある夜、宗太はソンジェの寝ている部屋にやってきて言った。「どうしてパパはママと一緒に寝ないの?お友達のパパとママは一緒のお部屋で寝るんだって。うちのパパとママは別々のお部屋で寝るんだよって、僕が言ったら、みんなおかしいって言うんだ。宗太くんのパパとママは仲が悪いの?って聞かれたんだ。パパとママは仲が悪いの?」つぶらな瞳にそう言われ、ソンジェは困ってしまった。「宗太、パパとママは仲が悪くて別々のお部屋に寝ているわけじゃないんだよ」ソンジェと佳織は夫婦ではないということや、宗太が3歳になるくらいまでは別々に暮らしていたことなどは、もう忘れてしまったらしい。無理もない。幼かったのだから。「じゃあ、どうして別々に寝ているの?僕、お友達のように、パパとママの間で寝たい。ねぇいいでしょ、パパ」ソンジェは困ってしまった。宗太に自分達は夫婦でないということを、今言うべきなのか。いや、なにもまだこんなに幼い宗太にわざわざ言わなくてもいいだろう。ソンジェはそう考え、宗太の希望通りに2つの布団を並べて敷いた。佳織がソンジェを見つめている。「大丈夫です、佳織さん。何もしませんから。貴女には指一本触れません。安心して眠ってくださいね」そう言うとソンジェは宗太を抱きしめながら眠りについた。<おわび>すみません!レスのお返事が溜まっています~。明日も終日出かけるので、そろそろ休みます。お返事が遅くなって、すみません~!
2005/09/30
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あぁなんて刺激的なタイトルなんでしょう~。まだ夕方です。「オール韓流ニッポン」というサイトで、↑のようなアンケートをとっています。ジヌくんファンのかたは、ぜひジヌくんにポチッとしてきてね。ジヌくんは、ただいま3位で~す。先週のアンケート「新しく韓流四天王を選ぶとしたら、誰を選びますか」でも、ジヌくんはソン・スンホンさん、グォン・サンウくんに続き堂々の3位です。頑張れジヌくん!ここのアンケート、けっこう面白かったんだけど、なぜか「オール韓流ニッポン」は10月末で終了するとのことです。残念。記事の更新は今日までってことだけど、この「抱かれて見たい韓流俳優は?」のアンケート結果はどうなるんでしょうね??でも最後のアンケートがこれだなんて、きゃっ!(赤面)←妄想劇場驀進中
2005/09/30
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『葉子さん!!』ソウルで哀しい別れをしてからも、1日たりとも忘れることの出来なかった葉子が、今ソンジェの腕の中にいる。懐かしい、彼女の体の重み。ソンジェは初めてお互いの名前を教えあったときのことを思い出した。あの日、足をくじいた葉子を抱き上げ、ソンジェは彼女の名前を尋ねた。「あぁ、ヨウコッシ」葉子の体の重みと名前を手中にし、ソンジェは葉子に一歩近づいたと感じたものだった。煙を避けて、ソンジェは一歩一歩慎重に階段を降りていく。頭の中は、今日の昼の出来事を思い出していた。なんとなくぶらぶらと町を歩いてるとき、店先においてあるチラシが目に付いた。「井出葉子陶芸展」という文字が、ソンジェを動揺させる。『葉子さん?貴女なの?』間違いない。場所は懐かしい安土だ。安岡の温厚そうな顔が浮かぶ。『葉子さんは、僕と別れてからも陶芸をずっと続けていたんだね。個展を開くほどに上達していたんだ。僕も利川で陶芸をしているときは、たとえ遠く離れていても、そして貴女が僕のことを忘れてしまっていても、僕たちは“陶芸”によってお互いがつながっていると信じていた。でも、今の僕は・・・』チラシを見つめたまま、ソンジェはしばらく考え込んでいた。今の自分の姿を、葉子には見せられない。でも、彼女が気がつかないように、そっと見に行くというのはどうだろう。いや、たとえ見つかったとしても、大丈夫だ。だって彼女は僕の記憶を失っているのだから。葉子の作品が見てみたい。そして何より、葉子の顔が見たい。ソンジェは安土へ向かった。懐かしい安土が目の前にあった。葉子の陶芸展を見てきた人々が、談笑しながら出て行く。人ごみにまぎれて、ソンジェはそっと中を覗き込んだ。狭い会場に、作品が品よく並べられている。葉子の姿を見つける前に、安岡に気づかれた。はっとした表情の安岡が、ソンジェの方に近づいてくる。ソンジェはあわてて安土を後にした。『葉子さん、5年たって貴女はどんな風に変わったの?』これほど葉子の近くに来ていたのに、会えなかった。もちろん以前のように、葉子に自分の気持ちを伝えられるとは、まったく考えていないが、ただ葉子の顔が見たかった。落胆したソンジェは、いつも以上にうわの空で客の相手をしていたのだった。『それが、今こうして葉子さんを抱き上げているなんて・・・。神様、やはり僕たちの出会いは必然なのですか?』ようやく1階に着いて、葉子を下ろしたソンジェは空を仰ぎ見る。葉子はまだ気を失ったままだ。彼女の乱れた髪を、ソンジェは優しく整える。そして頬に触れる。『葉子さん!』心が叫んだ。いとおしい想いが、あふれてくる。まるでソンジェの心の声が聞こえたように、葉子がそっと目を開いた。じっとソンジェの顔を見つめている。「ダイジョウブ?」ソンジェの問いにも答えず、不思議そうな瞳で見つめたままだ。『やはり彼女は僕のことを忘れてしまっているんだ』ソンジェは誰か人を呼びに行こうと思った。「ここで待っていて」葉子に背中を向けて歩き出した。「ソンジェ・・・」懐かしい優しい声が、自分の名前を呼んでいる。ソンジェは振り返った。「ソンジェ」「葉子、葉子さん」煙にむせたのか、葉子が咳き込む。「ダイジョウブ?」「ごめんね、ソンジェ。ソウルでは知らないふりをして。でもあの時はああするしか・・・」『もういいから、何も言わなくてもいいから』ソンジェは葉子を思い切り抱きしめた。この5年間、どれほどこの瞬間を夢見ていただろう。ソンジェは再び葉子の顔を見つめる。『夢じゃないんだね。5年間何度も見た哀しい夢のように、抱きしめた瞬間に貴女が消えてしまうことはないんだね』もう一度、ソンジェは想いをこめて葉子を抱きしめた。彼女の甘い香りに包まれて、このまま時が止まってしまえばいいと思った。
2005/09/29
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第1回の平野啓一郎さんからしばらくは参加していたけれど、最近は忙しくて行ってなかった「よみうり読書 芦屋サロン」でも今回のゲストは出久根達郎さんと聞いて、早速行ってきました。見た目はフツーのおじさんですが(笑)お話は“異常”に面白かったです。1時間半があっという間に過ぎていきました。まずは9月13日読売新聞朝刊に掲載され短編小説「空襲花」についてのお話。・・・だったはずが、いろいろ脱線して、小説の書き方や今回の小説を書くに当たってのヒントなど、裏話をいっぱい話してくださいました。例えば・・・エッセイは作る、でも小説は作らない。自然のままに、「こういうこともあるよな」と読者が納得できるように書くと良い。また小説には“絵”が欲しい。読んだときのイメージが必要。この「空襲花」では、あさがおの美しさ・はかなさと、戦争で死んでいった人たちの事実の残酷さを対比させている。場面を書く時には、映画を撮るように映像を思い浮かべる。出久根さんは、小説は将来に明るい未来を感じさせる終わり方が好き。現実は嫌な時代だから、せめて小説はハッピーエンドにしたい。そのようなことをおっしゃっていました。私も出久根さんに同感!暗いラストは好きじゃない。能天気なハッピーエンドは性に合わないけれど(笑)どことなく温かな思いが残るような終わり方が好き。もちろん、フランス映画のような、切り取られたようなラストも好きだけど。基本的には、ハッピーエンド好き!あと、具体的な小説の書き方へとお話はうつります。まず登場人物(脇役も)のこまかな経歴を考えるそうです。生年月日はもちろんのこと、学歴、家族構成、性格、嗜好、病歴など、事細かに考えていき、それから肉付けをしていきます。ノートなどに、まず単語を書きます。その文字を見てイメージがわくようにし、どんどん膨らんだイメージをつないでいくと言う作業の中で、ストーリーが作られていきます。何度か聴衆から作者への質問コーナーがありました。そこで不思議なことが。広島から来たある女性が語った話は・・・。「空襲花」とまったく同じ経験を、彼女自身がしたというのです。「空襲花」では、戦時中にあさがおを植えていて、非国民と言われ、そのあさがおを抜かされたスミさんという女性のことがでてきますが、その女性の場合はひまわりだったとか。庭中に植えていたひまわりの花が原因で、その女性も母親も祖母も、軍部にこっぴどく怒られ、全部引っこ抜かれた経験をもっているとか。かわいそうとかで、ただ1本だけ残してくれたけれど、他のひまわりが抜かれてしまって、彼女は大泣きしたそうです。しかし同じなのはエピソードだけではありませんでした。出久根さんは、小説の登場人物スミさんの生年月日を昭和10年12月31日だと決めていたのですが、その女性の生まれも昭和10年12月・・・。あまりのことに、出久根さんのお話を聞きながら、彼女は絶句したとか。まるで私のことを上から覗かれているような気分です、と・・・。出久根さん自身、うなっておいででした。で、「ありがとうございます。またエッセイのネタができました」(笑)どこかでこのエピソードを書いてくださるかも。楽しみ。とにかく話はじめたら止まらない方のようで、予定時間を終わっても、まだ話し続け、とうとう終わりになると、とても残念そうな表情。私も残念でした。もっともっと小説のこと、古本屋のこと、いろいろと伺いたかった~!ちなみに今度、関西大学の「読書教養講座 公開授業」で出久根さんの講演と、山野博史関大教授との対談があります。興味のある方はぜひどうぞ。
2005/09/28
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新宿の夜は長い。そして猥雑である。今夜もソンジェは新宿・歌舞伎町にやってきた。人々の喧騒も耳に入らぬように、ただ前を向いて歩いていく。少しでもよそ見をすれば、たちまち彼らの欲望の波に飲み込まれてしまいそうだった。雑居ビルの階段を駆け上がり、ホストクラブ「ゴールド・デビル」にたどり着く。そして長い長い夜が始まる。「おい、ソンジェ。あっちのテーブルについてくれ」恭一に言われるままにテーブルにつく。やせぎすの女が座っていた。ソンジェの顔を見て笑う。「あら、かわいい子ね。新入り?」女の横に座っていたサムがソンジェを紹介する。「はい、ソンジェといいます。この世界に入ったばかりなんですよ。よろしくお願いします。ほら、ソンジェもご挨拶しないか」「ソンジェ・・・です」「きれいな顔しているのに無愛想なのね。にこりともしないわ、この子」「すみません。おい、ソンジェ。お客様のお酒がカラッポじゃないか、お注ぎして」「あ、は、はい」あわてて注いだので、こぼしてしまった。女の客は、大げさに声を上げる。「ちょっと、あんた。何してんのよ!濡れちゃったじゃない、どうしてくれるのよ!」「す、すみません」お手拭きで女の濡れたスカートを拭く。ソンジェの手が、彼女の足に触れた。とっさに引っ込めかけたソンジェの手を、女はぐいとつかんだ。「あなた、きれいな手をしてるのね。何か手を使う仕事でもしていたの?」「・・・いいえ、何も・・・」「手がきれいな男はセクシーよね」ソンジェが手を引っ込めようとすればするほど、女はつかむ手に力を入れる。「ねぇ、洋服を汚したこと、すまないと思っているんだったら、お詫びにキスしてよ」女の周りに座っていたホストたちがいっせいにはやし立てる。ソンジェはわけがわからなくなった。女の手を勢いよく離す。「すみません、できません」「何よ、私に恥をかかせる気?」女の剣幕に気づき、恭一がやってきた。「申し訳ありません。こいつ、ウブな奴なんですよ。どうか許してやってください。お詫びのしるしに・・・サム」恭一の目配せに、サムが立ち上がった。女の足元に跪く。彼女の手をとり、キスをする。「踊っていただけますか?」女の表情が和らぐ。「ええ、いいわよ」女とサムは連れ立って、店の中央に行った。ちょうどBGMが替わったところだった。2人は頬を寄せて、ゆっくりと踊りだした。恭一がソンジェの横に座った。「お前、ここで働く気があんのか?お遊びじゃないんだぜ。いいじゃないかキスぐらい」ソンジェはうなだれるしかなかった。「すみません」『やっぱり僕には無理なんだ。キスなんて誰とでも出来るわけないじゃないか』ソンジェは葉子との口づけを思い出す。甘い痛みが胸いっぱいに広がった。葉子との思い出だけが、この店でソンジェが働いていく支えになっていた。1年が過ぎた。その夜も、ソンジェは慣れない思いで「ゴールド・デビル」のソファに座っていた。客の話もうわの空で聞いていた。「ちょっと、あんた。私の話を聞いてんの!?」「え?は、はい」ソンジェがそう答えたとき、階下から大声が聞こえてきた。「火事だ!!」店内が騒然となる。客もホストたちも、我さきに店内から出ようとした。ソンジェは呆然とその光景を見つめていた。開け放った店のドアから煙が入ってくる。「おい、ソンジェ!」恭一の声にわれに返り、ソンジェは立ち上がって店を出た。もう誰もいない。『見事だな』そう思いながら、煙が流れてきた階段を用心深く降りていく。しばらく行くと、階段の途中に人が倒れているのが見えた。あわててソンジェは駆け寄る。どうやら女性のようだ。煙に巻かれたらしい。細い腕をつかんで抱き上げる。気を失っているのか、その女性はぐったりとして、ソンジェに身を任せている。その顔を見て、ソンジェは息が止まりそうになった。
2005/09/28
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「ソンジェ、ここで働くのか?どうなんだ?」恭一がぼんやりと考え込んでいるソンジェの顔を覗き込む。「え?ええ・・・」「考えている余裕なんてあんのかよ。お前が佳織と宗太を養ってやるんだろ?」恭一は、急に冷ややかな表情になった。「はい・・・。恭一さん、ここで働かせてください」自分が一番苦手とする職業だと、ソンジェは思った。しかし佳織と宗太を守らなくてはならない。そうソンウに約束したのだ。やるしかなかった。「よ~し、わかった。明日から来てくれ。お前、スーツは持っているか?」「いいえ、ありません。」「仕方がないな。当分店にあるのを貸してやる。でも買っておけよ」「はい、わかりました」「じゃ、せっかく来たんだから、仕事の説明をしておこうか。おいサム!」恭一が呼ぶと、さっきドアのところで会った若い男がやってきた。「店長、何ですか?」「あぁ、サム、こいつは新入りのソンジェだ。明日から働いてもらう。ちょっと仕事のことを教えてやってくれないか」サムは、ソンジェを上から下まで値踏みをするように見た。「わかりました。おい、じゃこっちへこいよ」サムに連れられて、奥の部屋から出て店に入った。まだ早い時間だからか、客は来ていない。ソンジェはこの場所で毎夜繰り広げられている光景を想像してみた。客に微笑みかけ、心地よくなるような言葉を並べ、酒を注ぐ。しなだれかかる客の肩を抱く。そして・・・。ソンジェは首を振った。『できない。僕には到底できる仕事じゃない』やはり断ろう。恭一のいた部屋の方を向く。サムが話しかけてきた。「おい、お前はなんで金が欲しいんだ?」「え?」「こんなところで働くのは、金が欲しいからだろ?お前、まじめそうだもんな」サムはからかうようにソンジェの肩を押す。『そうだ、僕は金が欲しいんだ。佳織と宗太のために』「お前、韓国人か?国の家族に送金するためか?」サムが執拗に聞いてくる。「えぇ、僕は韓国人ですが、送金するために金が必要なんじゃありません。同居している家族のためです」「ほう、お前結婚してんのか」「いえ・・・」はっきり否定しようかとも思ったが、くわしく説明する気にもなれなかった。ソンジェは適当に言葉を濁した。それからサムに仕事の説明を受けたが、ソンジェはうわの空だった。不安ばかりがつのって来る。『僕にホストなんて出来るのだろうか』再び葉子の顔が浮かんできた。彼女はまだ陶芸を続けているだろうか。ソンジェを覚えていてくれた頃の葉子が、今のソンジェの姿を見たら、なんというだろう。『葉子さんはきっと悲しい目で僕を見るに違いない』ソンジェは胸がちくりと痛んだ。夜も更けて、ソンジェは部屋に戻った。宗太はとっくに寝ていたが、佳織は起きていた。「佳織さん、待っていなくてもいいのに、先に寝ていてください」「ソンジェさん、あの人のお店、どうだった?何のお店なの?彼、お店を持ったことを私に自慢していたんだけど、仕事の内容は決して言わなかったのよ。いかがわしいところなんじゃないの?」問い詰める佳織に、どういう返事をしていいものか、しばしソンジェは迷った。しかし嘘を言うわけにもいかない。「あの・・・恭一さんのお店は・・・ホ、ホストクラブです・・・」佳織の顔色が変わる。「え?まさか、ソンジェさん、そんなところで働かないわよね?ことわってきたんでしょ?」「いいえ、明日から働きます」「どうして?ソンジェさんが働くようなところじゃないでしょ」ソンジェはため息をついた。佳織には納得してもらわないといけない。「そんなに感じの悪いところではありませんでしたよ。それに働かなくてはいけませんから」「他にもっとソンジェさんにあった職場があるでしょう?何もホストクラブで働かなくても」佳織の瞳を見つめ、ソンジェは諭すように言った。「僕は韓国人なんです。韓国人が日本で職場を見つけるのは、大変なことなんです」佳織ははっとしたような顔をした。「・・・ごめんなさい。私、忘れていたわ。ソンウが仕事を見つけようと必死だったときのこと。結局建設現場での肉体労働しかなくて、ソンウは、ソンウは・・・」涙声になった佳織の肩に、ソンジェは手を置いた。「大丈夫です。ホストの仕事はそんなに体を酷使しないようですから」佳織はそれ以上、何も言わなかった。宗太の隣に佳織は横になった。ソンジェは隣の部屋に布団を敷き、ふすまを閉める。佳織は何か言いたそうだったが、しばらくして目を伏せてしまった。ソンジェも布団の上に横になる。天井のシミを見ながら、明日から始まるホストの仕事のことを考え、憂鬱な気分になった。
2005/09/27
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ジヌくんファンの皆様、こんにちは~。今日はジヌくんの初ファンミの申し込み日で~す。もちろんもう申し込まれてきましたよね!?念のため、申し込み先はココ<韓国再発見>私も11時5分頃に申し込んで、すぐさま銀行へダッシュ!振込みを済ませてきました。11時~12時くらいに振込みが殺到したと思われます。(笑)さてさて座席はどこだろう・・・?<韓国再発見>さんより「この度はファンミーティングへのご応募、有り難うございました。ご参加が決定致しましたので、お振込についてご案内させて頂きます。」というメールをもらたっときは、膝がガクガクしてしまったよん。『こ、これでジヌくんに会えるのね・・・・(涙)』わたくし、朝新聞を取りに降りるときも、“万が一”を考えてエレベーターは利用しませんでした。だってもし閉じ込められたら、ファンミの申し込みが出来ないんだもの~!階段を駆け下りながら、『ここでコケて、階段から落ちたらどうしよう・・・。たとえ骨折したとしても根性で這い上がって、ひとまずファンミの申し込みをしてから救急車を呼ぶか、友達にケータイで連絡して代わりに申し込んでもらおうか』などといらん心配ばかりしておりました。ほとんど馬鹿だよな・・・と思いますです。(滝汗)申し込みをして、振込みに行くときも、『ここで事故ったら・・・』などと、いつもと違って、めちゃくちゃネガティブな考えに支配された私。すべてジヌくん、貴方のせいよ。(笑)
2005/09/27
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恭一が書いたメモをのぞきこんで、佳織が顔を曇らせる。「ゴールド・デビルって何のお店なんだろうね?」「さあ、わからないけど、僕一度見てきます」ソンジェの顔を心配そうに見上げていた佳織は「大丈夫かしら?あの人の下で働かない方がいいんじゃない?」と言った。「ダイジョウブですよ。ちょっと見てくるだけですから」そう答えながらもソンジェはそこで働くようになる気がしていた。働き口があるだけでもありがたいのだ。再び日本に来て、部屋を借りた後に仕事も探して見た。しかし就労ビザを持たないソンジェには、なかなか仕事が見つからない。もちろん就労ビザを持たずに日本で仕事をすることは違法である。しかし韓国を出るときには、このような状況になるとは予想がつかなかった。短期滞在から就労ビザに変更が出来ないわけではないが、かなり難しいと聞く。変更するにはソンジェ側の問題もあるが、雇用先の会社の財政状況がよくなければ就労ビザは取得できないのだ。資金が潤沢な会社に就職できる可能性は万に一つだ、とソンジェは思った。このまま指をくわえていれば、ソンジェと佳織、そして宗太が暮らしていけなくなるのは時間の問題である。なんとしても仕事を見つけ、金を稼がなければならない。ソンジェはもう一度、恭一の書いたメモを見た。『ゴールド・デビル、どんな店なんだろう・・・』数日後、ソンジェは夕食を済ませてから「ゴールド・デビル」に向かった。佳織は不安そうな顔をしたままだった。ソンジェの住むマンションから新宿・歌舞伎町にある「ゴールド・デビル」までは、それほど離れていない。『これなら遅くまで働いていて終電がなくなっても、車で帰らずに済む』宗太の寝顔を思い浮かべながら、ソンジェは微笑んだ。歌舞伎町の雑踏の中を歩く。夜はまだ更けていないが、これからはじまる狂乱の時間を楽しもうとする人々が、ぞくぞくとこの町に集まり始めていた。酒に酔って歩く者、派手な化粧をした女の腰に手を回し上機嫌の男、客を呼び込む声、さまざなな欲が形を現したようだとソンジェは思った。そういえば、以前恭一とこの町に来たことがある。恭一が葉子から金をせびり取った夜だった。懐があたたかくなった恭一は憂さ晴らしに新宿に行こうとソンジェを誘った。葉子と約束した時間に間に合わなくて落ち込んでいたソンジェは、珍しく恭一に同行した。恭一がソンジェを連れて行こうとした店。それは金で男の欲望を満たす場所だった。ソンジェはそういう店だとわかると顔を染め「僕は、女の人を自分の欲望のはけ口にしたくありません」と言って逃げだした。『そう、今でも僕は女の人を自分の欲望のはけ口にしたいとは思わない。愛しているからこそ抱きしめたいんだ。そして一つになりたいと思うんだ』葉子の顔が浮かぶ。江ノ島での熱い抱擁を思い出した。今でも彼女の柔らかい体の感触が手に残っている。ソンジェは立ち止まり、自分の両手を見つめた。この手で愛する葉子を抱きしめ、愛撫した。『でも・・・。あのときの僕の行為は、本当に彼女のことを思ってしたことなのだろうか。もちろん葉子さんを愛していた。それは本当だ。でも結果的に彼女を不幸にしてしまったんだ。僕が彼女を愛してしまったから、彼女を苦しめた。葉子さん・・・』見つめていた掌を握りしめ、ソンジェは歩き出した。「ゴールド・デビル」は歌舞伎町の雑居ビルの中にあった。1階にあるビルの入り口には、けばけばしく光る紫色の看板が置かれていた。『ここか・・・』ソンジェは不安げにビルを見上げた。階段を上って店に着いた。そっとドアを開けてみる。「いらっしゃいませ」若い男の声に、ソンジェは驚いた。「あの・・・金田恭一さんは・・・いらっしゃいますか?」おそるおそる若い男に聞いてみる。「なんだ新入りか?あぁ、店長だったら奥の部屋にいる」「どうも、ありがとう」ソンジェは奥の部屋に入っていった。「恭一さん・・・?」部屋には机と椅子が置かれ、恭一が座っていた。「おう、ソンジェ。来たのか。どうだ、いい店だろ?」「あの・・・ここは何の店なんですか?」恭一はニヤリと笑ってソンジェを見た。「お前のルックスだったら、やる気さえあれば、かなり稼げる店さ」「え?」「金持ちの女たちをいい気にさせて、ガッポリいただくのさ」ソンジェには見当もつかなかった。「お前、その年でまだ女を知らねぇのか?なんならいい女を紹介してやろうか?そういうことから教えてやらねぇと、ここでは勤まらねえからな」「どういうことですか」「ここは女をもてなす店、ホストクラブなんだよ」ソンジェの脳裏に葉子の笑顔が浮かぶ。『葉子さん・・・』
2005/09/26
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引越しの日は、朝から小雨が降っていた。佳織の部屋に向かいながら、ソンジェは灰色の空を見上げる。『雨・・・か』雨はソンジェと葉子を引き合わせてくれていた。そう4年前までは。『まさか、もう雨が降っても葉子さんと会えるはずがないな・・・』ソンジェは首を振って葉子の面影を振り払った。「パパ!」宗太が飛びついてきた。「宗太、今日は引越しの日だぞ。ママは忙しそうかい?」「うん!僕パパと一緒にいる!」ソンジェは宗太を抱き上げ、佳織の部屋に入った。引越しといっても、元からそんなに荷物は多くない。わずかな衣類と食器、そして家具。こまごましたものは、すでにソンジェが持っていっていた。今日は大きなものをトラックで運ぶだけだ。「ソンジェさん」佳織がぞうきんがけしている手を止めて立ち上がった。「佳織さん、まだ体がほんとうじゃないんだから、掃除なんかしなくてもいいですよ。荷物を全部運んだあとで僕がやりますから」「でも・・・」「いいから、さあ」ソンジェは佳織の手からぞうきんを取り、座らせた。「今日からよろしくお願いします」佳織が手をついてソンジェに頭を下げた。「そんな、気を使わないでください。家族なんですから仲良く助け合っていきましょう」ソンジェの言葉に佳織は涙ぐむ。「あ、パパがママを泣かせた」宗太の言葉に佳織があわてて言う。「違うの、宗太。パパはママにいじわるをしたんじゃないのよ。とても優しいから・・・うれしくて」佳織の口からパパという言葉が出たことに、ソンジェは少し驚いた。業者が来て、たんすや食卓など大きな家具を運び出した。ソンジェが道案内のために業者のトラックに乗り込もうとしたとき、恭一がやってきた。「おい、これはどういうことなんだ?佳織と宗太をどこに連れて行くつもりなんだ」やや気色ばむ恭一に、ソンジェは引越しのことを告げた。「なんでお前と一緒に暮らさないといけないんだ!」あまりの剣幕にソンジェは驚いた。「恭一さん・・・」「ソンジェさんと私は義理の兄妹の間柄です。私と宗太のためを思って、彼が申し出てくれたんです。私も彼の好意に甘えようと思って」佳織がやってきて恭一に言い放った。「佳織・・・」「金田さん、貴方にお借りしたお金は必ず返します。でももう私たち親子に付きまとわないで」「金・・・?あぁそうだ。金を返してもらわなきゃいけないからな。引越し先を教えてもらわないと・・・。まさかこのままトンズラするつもりだったんじゃないんだろ?」恭一の言葉に、佳織は不安気な目でソンジェを見た。「ええ、もちろん。恭一さんには住所をお教えするつもりでした」ソンジェが佳織にかわって恭一に答える。「そうか。それならいいがな。そうだソンジェ、お前働き口を探しているんじゃないのか?いい仕事を教えてやろうか」恭一がニヤニヤしながら近づいてきた。ソンジェは4年前、恭一が金に困ってソンジェのパスポートを売りさばいたことを思い出した。嫌な予感がする。「いいです。仕事は自分で探します」「へへへ、お前、4年前のことを思って警戒しているんだろ?悪かったと思っているよ。おれもブタバコでいろいろ考えたんだ。やっぱり楽して稼ごうなんて無理な話だ。人間は額に汗して働かなくちゃな」ソンジェは恭一の顔を見た。本当にそう思っているのだろうか。実をいうとソンジェはなかなか仕事が見つからなくて焦っていた。韓国で蓄えてきた金も、佳織が滞納していた家賃を立て替えたために底を突いた。引越しの費用もある。すぐにでも働きたかった。韓国人のコミュニティに信頼する知人でもいれば別だが、そんなつてもないソンジェには部屋を借りる以上に、仕事を見つけるのは至難の業だった。おそるおそる恭一に尋ねる。「どんな仕事ですか?」「俺も店を構えるようになったんだよ。その店でやとってやるから今度来いよ」恭一はジャケットのポケットから紙切れを出して店の名前と住所、最寄り駅などを書いてソンジェに渡した。「ゴールド・デビル・・・」店の名前を見ながら、ソンジェは一抹の不安を感じていた。
2005/09/25
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22日の夜、市川染五郎さん主演の映画「蝉しぐれ」の試写会に行ってきました。18時開場、18時半上映なのに、18時前に会場の大阪・御堂会館に行くと、すっご~い行列!え~?一瞬立ち見か?と危惧してしまったよ。(苦笑)ちゃんと座れました。いよいよ上映。そして2時間ちょいの映画を見終わって・・・。はぁ・・・。面白くなかったぞぉ~~~!染五郎さんが主演だから、めちゃくちゃ期待していったのに。私が感じた、面白くなかった原因は、ミスキャストと脚本、そして演出に難あり。(ぜ、ぜんぶか!?滝汗)☆風景・・・前評判どおり、ロケ地の庄内・新潟・長野・彦根・近江八幡・京都・千葉・水戸などの風景は見事だった。それだけで一幅の風景画を見ているようだった。そう、某ドラマのように、病院の窓から見える桜の花が、ビニール製の造花だと一目でわかるような、お粗末な美術じゃないんだよ~。(ソ、ソンウごめ~ん!)しか~し、そのような見事な風景も、物語に溶け込んでいなくて、なんだかPCの壁紙のように、別個のものとして浮いていた。あれだけ美しい風景を黒土監督の執念でロケハンしたのに、惜しい。☆武士の描写・・・東北の小藩の下級武士である、牧助左衛門の描き方が、私はしっくりこなかった。無口でストイックな男と言うイメージがあったのだが、しょっぱなからイメージを壊された。助左衛門が、妻と息子・文四郎に見送られながら、出勤するシーン。2,3歩歩き出し、ふと振り返って妻に言う。「だいぶ疲れてきたな」妻は夫の体調だと思い、彼を気遣うが、彼が言いたかったのは裃のことだった。「そろそろ新調してくれないか」というのだが、「うちにそんな余裕は・・・」とあえなく却下される。う~ん、妻の方が「貴方にそんな裃を着せていてすまない」と言い、夫が「何を言うか。武士たるもの、着るものに不平不満は言わん。お上のために役に立つよう、腕を磨くのが先決じゃ」とかなんとか言うんじゃないの?牧助左衛門役は緒方拳さん。役者としてはすばらしい方だが、私は彼の演じる助左衛門がどうしても武士には見えなかった。凛とした佇まいが感じられなかったのだ。NHKドラマでの牧助左衛門役は勝野洋さん。彼の方が武士としてのストイックさを感じられた。あれは演出だろうか?助左衛門が謀反の罪で切腹を申し付けられたとき、文四郎が面会に行く。父子の今生の別れのシーン。緒方助左衛門はやたらとしゃべり、落ち着きがない。良くいえば“人間らしい”のだが、悪くいえば“武士に見えない”最初のシーンで、妻に新しい裃をねだるエピソードを見ても、やはり演出なのだろう。しかしなぜ?☆幼きものの恋・・・文四郎とふくの幼いころからの淡い想い。それはなんとなくわかるのだが、少々ふくが積極的すぎるのではないか?祭りの夜、毎年文四郎はふくを連れて行ってやる。花火を見上げた二人。ふくは文四郎の着物の袖をそっとつかむ。う~ん。挨拶をするのもはにかむ娘が、自分から男の着物の袖をつかむかなぁ?NHKドラマでの文四郎は、ふくに水あめを買ってやる。遠慮がちに水あめを口に含むふく。その表情から、「ああ、きっとふくは今、水あめの甘さとともに、文四郎の優しさも感じているんだな」とわかったのだが、映画ではこのシーンがなかった。花火を見ていると、いきなり小和田逸平がやってきて島崎与之助がやられていることを告げる。ふくをおいたまま、文四郎は逸平とともに与之助のもとへ走る。ええ?あんまりではないですかぁ~?水あめを持たせていたのなら、ふくへの想いを感じられたのに、それがないままふくをほったらかしてケンカに行ってしまうなんて・・・。あぜん。☆ミスキャスト・・・文四郎の親友で学問に秀でている島崎与之助の役を今田耕司が演じていた。あ~、これが一番のミスキャスト。なぜ彼を起用したのか?話題性?NHKでは宮藤官九郎が演じていたのだが、こちらの方がまだ納得できる。いや最初はえ?と思ったのだが、飄々とした学者らしさが良く出ていた。それに比べて今田耕司の与之助には知性が感じられない。東北の小藩ではあきたらず江戸へ出て行って成功した学者としての知性がまったく感じられないのだ。知性あってこそユーモアも光る。それがなくては、ただのお笑いであろう。残念。そのほかの配役についても、NHKドラマのキャスティングが印象的過ぎたので、映画の方は後発隊としては苦しいとは思うが、違和感がありすぎた。☆大人の恋・・・文四郎とふくが大人になってから再会する。殿様の愛妾になっていたふくと、文四郎が追っ手を逃れるシーン。陸を行けば追っ手に捕まってしまうので、川を船で下って逃げるのだが、ど~して体の上に何もかけないで船に乗っているの??ドラマではむしろをかけていたよ。当然でしょう。見つかったら命は無いんだから。でも映画ではそのまんまで船に乗っているんだよね。いくら闇にまぎれているといっても見つかるって・・・。橋の下を船が通りかかったとき、追っ手に見つかりそうになる。そのとき現れたのがミスキャスト・与之助(笑)。「あちらで武士と女性をみかけた」とか言って、追っ手の目をくらましているんだけど、ちょっとお笑いはいってない?そんな演出はいらない。そんなところで笑いを取ってどうするの?そして、文四郎とふくが家老の屋敷まで、2人で歩いていくシーン。ドラマでも2人の恋情があふれていたいいシーンだった。ふくの赤ん坊を抱いたまま、文四郎はふくを抱き寄せる。ふくも文四郎に体を預けて・・・。そこに追っ手が来て、文四郎が斬るんだけど、一瞬の甘い時間が心地よかった。(ま、なぜ赤ん坊が泣き出さないのか不思議だったけど)しかし映画では、いっきなりふくが文四郎に抱きつくんだよ。え?あんた、幼い頃も大胆だったけど、今も同じね。状況を考えて行動してよ、って言いたくなった。その抱きつき方が「がばっ!」って感じで、いただけませんでしたわ~。案の定赤ん坊が2人に挟まれた形になって泣き出したけどね。そこだけリアル。(笑)ふくの描き方がしっくりこないな~。子役の2人はとても良かったです。文四郎役の石田卓也くん(ちょいキムタク似かも)もふく役の佐津川愛美ちゃんも、瑞々しい演技だった。子役が出ていた時間が1時間近くだったのよね。2時間ちょいの映画で、1時間だよ。半分じゃん。私は染五郎さんが出るのを心待ちにしていたんだけど、子役達があまりにも良くやるので、「このままでラストまでいってもいいかも?」とさえ思ってしまった。(笑)木村桂乃さん、綺麗なんだけど切なさが感じられなかった。文四郎との報われない恋。その辛さ切なさが、見るものに伝わってこない。染五郎さんも「夢の仲蔵」の舞台では、殺人を犯した後の人間の「狂気」が感じられて凄みがあったのに、映画ではまったく・・・。ふくを助けるために追っ手を斬りまくるんだけど、初めて人を斬ったあとの狂気がまったくなかったのでは?ただ大勢の敵を斬るために、ありったけの刀を出してもらう演出は良かった。なぜなら刀と言うものは人を数人斬ったら、体の脂がついて斬れなくなるのだそうだ。以前新撰組関連の本を読んでいて、知った。だから斬れなくなった刀では、もはや大勢の人間を殺すことは出来ない。斬れなくなった刀では突いて殺すらしい。だからありったけの刀を用意してもらう。この演出は理にかなっている。しかし斬りあうシーンであれだけの血しぶきを見せる必要があったのかも疑問。もう気持ち悪いほど。あんなのいらないんじゃない?そうそう私にとってのうれしいおまけ?なんと安岡先生いや田村亮さんが出ていたのだ~~~!「あ~、懐かしい声」と思ったら、安岡先生じゃん。今回も、行き場の無い恋人達をかくまう役。(爆)しかも女性(ふく)は既婚者(殿の愛妾)で、男性(文四郎)は独身。えぇ~?どっかで聞いたような・・・?そこだけ楽しめたかも。(笑)最後まで主人公達に感情移入できないまま、映画終了。あふ・・・。染五郎さんは「阿修羅城の瞳」の病葉出門のほうが、ず~っと良かったと思う。そして「蝉しぐれ」はやはりNHKドラマのほうが良質だったのではないかと・・・。内野さんに軍配が上がったかな。NHKドラマ「蝉しぐれ」公式HP映画「蝉しぐれ」公式HP
2005/09/25
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翌日から、ソンジェは部屋を探し始めた。腰を落ち着けて佳織と宗太の面倒を見るためだった。本当は2人をすぐソウルにつれて帰ればいいのだが、佳織は承諾しないだろう。それに今の彼女の体調ではとても長旅は出来ない。長年の無理がたたって、かなり衰弱していたのだ。まず佳織が元気になることが先決だった。“外国人おことわり”面と向かって言われたり、そうでなくても遠まわしに断られたりしながら、ようやく部屋が見つかった。佳織の部屋から近い、築30年以上たつ古びたマンションだった。ソンジェは部屋に入り、小さなボストンバッグをおろした。色が変わりいたんだ畳の上に寝転ぶ。ほこりの臭いがした。シミのついた天井を見上げ、ソンジェは葉子を想った。『葉子さん、貴女は今何をしているの?僕がこんなに貴女の近くにいるなんて思いもしないだろうね。いや、貴女はもう僕のことなんか覚えていないんだ。もし町で僕とすれ違っても気がつかないんだろうね』葉子の微笑を思い浮かべる。もう自分に向かって微笑まれることのない笑顔。ソンジェはそっと手を伸ばし、頭の中に浮かんだ葉子の頬に触れようとした。とたんに葉子の面影が消える。ソンジェは力なく腕を下ろし、腕枕をして横を向いた。夕陽がソンジェの背中を染めていた。毎日ソンジェは佳織の部屋へ通った。宗太の面倒を見、食事の支度をした。佳織は、ソンジェが宗太を連れて行ってしまうのではないかと最初警戒をしていたが、時間がたつにつれ、ソンジェを信頼するようになっていた。「宗太、元気だったかい?」ソンジェの声に、宗太は玄関に飛んでいく。「パパ!」「宗太、ソンジェさんをパパと呼んじゃだめだって言っているでしょ!」佳織の言葉に、ソンジェは答える。「いいよ、佳織さん。ソンウがいない今、僕が宗太の父親代わりなんだもの」そう言って宗太を抱き上げる。「でも・・・」佳織の表情が和らぐ。穏やかな時間が流れた。「佳織さん、もう大分体の調子が良くなったようだね」「ええ。今までどうもありがとう。私、もうそろそろ働くところを探そうと思うの」「ダイジョウブ?まだ顔色が悪いようだけど。無理しない方がいいよ」ソンジェの言葉に、佳織は恥ずかしそうに言った。「でもお家賃もかなり滞納しているし・・・」そうだった。ソンジェも自分の部屋の家賃を払うことと佳織たちに食事の用意をするのが精一杯で、佳織の家賃までは気がつかなかった。「あの・・・どのくらい滞納しているの・・・?」ソンジェが聞こうとしたとたん、部屋のドアを激しく叩く音がした。「ちょっと、水木さん!いるんでしょ!開けてちょうだい!」ソンジェは驚いて佳織の顔を見る。「大家さんの声だわ」佳織は少しためらっていたが、仕方なくドアを開ける。太った中年の女がずかずかと入ってきた。「ちょっと水木さん、貴女何ヶ月家賃を払っていないと思っているの?小さい子どもがいるから、今まで大目に見てあげていたけど、もう出て行ってもらいますからね。あら、男なんか連れ込んで。ふん、いいご身分ね。なんなら彼に払ってもらったらいかが?」言いたいことを言って、大家はソンジェをじろりとにらむ。「すみません、なるべく早くお支払いしますから・・・」消え入りそうな声で佳織が言う。「そんなこと言って、いったいいつ払ってくれるのよ」「あの・・・必ず払いますから、今日のところはお引き取りください」「払わなかったら、出て行ってもらいますからね!」捨て台詞を残して、大家は出て行った。「佳織さん・・・」ソンジェは佳織を見つめた。今彼女と宗太が部屋から放り出されたら、また彼女の体はボロボロになるだろう。ソンジェは決心した。「佳織さんと宗太、僕の部屋に来ますか?ここよりもちょっと汚いけれど、でもちゃんと住めますよ」おどけながら言ってみた。葉子の顔が浮かんだ。『葉子さん。貴女を愛したまま、他の女性と暮らすなんて、僕自身許せることではないんだよ。でも今佳織さんと宗太を放っておくことはできない。なにより彼女はソンウの恋人で、宗太の母親だもの』「あの・・・でも・・・・」とまどう佳織に、ソンジェは微笑みかけた。「だって佳織さんは僕の義理の妹になるわけでしょう?宗太は僕のかわいい甥っ子だし。だから家族じゃないですか」佳織の瞳がかすかに揺れた。「宗太、僕と一緒に暮らしますか?」そう言うソンジェに宗太は無邪気に答える。「うん!僕パパと一緒に暮らす!ね、ママいいでしょ?」ソンウの写真を振り返った佳織は、ソンジェの瞳を見つめて答えた。「ええ、わかりました。お願いします」
2005/09/24
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土曜特集「アジアの“オトコマエ"」<各国注目の男たちが登場、韓国若手俳優初出演、二枚目建築家の笑顔>がとぉ~っても気になるんですけど~。韓国若手俳優初出演?生だったらジヌくんではないよね~。彼は今オーストラリアの空の下だから。でも韓国ロケがあったなら・・・。いやいやジヌくんはMBSに出ていたもん、他局だから・・・。といいつつ、とっても気になる番組ですっ!「アジアのオトコマエ」ってだけで、『ん?私が番組企画したかな?』って錯覚してしまうほど、私好みなんだもの~。(笑)今NHKのHP見てきたけど、やっぱりジヌくんじゃなかったです。韓国からの出演はチュ・ジフンくんらしいです~。そして視聴後・・・。はぁ~?あれがアジアのオトコマエでっか?もちろんある程度は整ったルックスだし、才能もあるし、仕事も出来る。優しさもある。でもさ~、私の基準では、彼らは普通よりちょっとオトコマエであって、ものすっごいオトコマエという感じではないんだけど・・・。これは個人の趣味の問題なのかな。あ、でも韓国のオトコマエ、チュ・ジフンくんは気に入りました~。オトコマエというよりも、かわいい!!ちょっとカン・ドンウォンちっくじゃありませんか~?185cmの長身、モデルだからセンスもいいし、演技のためにいろいろなトレーニングをしているし・・・、トレーニングの一つ、射撃の練習中のジフンくんは、ちょっとワイルドでかっくいい~!ただあのピアノはいかがなものでしょうか?私はめちゃドキドキしながら見てしまいました~。『あ~間違った』『テンポが狂った』などとヒヤヒヤしたよん。ま、ジフンくんは顔色を変えずに弾ききったから偉いと思うけどね。韓国のドラマでは、主人公の男性が恋人の前でピアノを弾くと言う設定が流行っているとか。そういや映画「達磨よ ソウルに行こう」でもジヌくんがショパンを弾いていたな~。それに映画「ピアノを弾く大統領」でも、アン・シンギ様がピアノを弾いていたし・・・。話は戻るけど、あの番組を企画したり、オトコマエを探したスタッフって、みんな男性なのかなぁ?基準が甘かったような気がする。女が男を見る目は、もっと厳しいのだよ。現にスタジオに来ていた博多の女性たちは、かなり辛口だった。そうだよね。まだまだだよね~。最後のしめが「生き様が顔に出る」って、それはそうだと思うよ。でも今回の話は「オトコマエ」じゃないの?なんかNHKらしいというか、優等生的なまとめ方だと言うか、なんだかガッカリしちゃいました。「なぜ日本の女性がアジアの男性に目を向けるのか?」ってオープニングでいっていませんでしたか~?結論は?「生き様」ですか?それならば日本の男性はどうなるの~?もちろん私も、顔だけの男はNO。私の考えるオトコマエには頭の良さ(勉強が出来るというのではなく)が必要不可欠。でもさ、やはりルックスが良くなくちゃオトコマエとはいいまへんで~。久しぶりに楽しみにしていたTV番組だったのに~。韓流ブームにのった安易な番組は作らないで欲しいわ!
2005/09/24
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あの・・・歌舞伎界のプリンス、市川染五郎さんのファンって、楽天では見当たらないんですけど~、なぜかなぁ~。ま、いいや。私一人で「染タ~ン!」で叫んでますから。(笑)で、彼のTV&ラジオ出演情報で~す。9月26日(月) NHK大阪「ニュースかんさい一番」18:10~9月27日(火) 毎日放送ラジオ「ノムラでノムラだ」15:45~ 〃 ABCラジオ「おはようパーソナリティ道上洋三です」 6:30~9月29日(木) 朝日放送「スタンダップ」25:56~10月1日(土) 朝日放送「おはよう朝日土曜日です」6:45~10月3日(月) 毎日放送ラジオ「ありがとう浜村淳です」8:00~10月7日(金) 朝日放送「探偵ナイトスクープ」23:17~「歌舞伎っす」 孝太郎さんの対談番組で大1、2回のゲストとして出演。(10月5日MXTV東京8:30~、6日CTC千葉テレビ22:00~、16日KBS京都放送7:30~、11月予定MTV三重テレビ)今、大阪・松竹座で舞台に出られているので、関西での出演が目白押し!うれし~~~!染タン、関西好きだしね。(笑)
2005/09/24
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大韓航空機は成田空港に到着した。ソンジェはゆっくりと歩き、入国審査へと向かう。4年前、弟ソンウを探すため、初めて日本にやってきた。兄のソンミンに頼まれたためだが、ソンジェ自身ソンウに会ってあやまりたかったのだ。ソンウの夢も恋も、一番の理解者であったはずの自分が認めてやらなかった。ソンウを探し出し、あやまるつもりだったのに・・・。ようやく探し当てたときには、彼はもうこの世にはいなかった。悲しみと後悔で胸が押しつぶされそうだった。葉子がそばにいてくれなかったら、ソンジェは悲しみから立ち直れなかったかもしれない。『葉子さん・・・』なんという甘美な調べだろう。愛する人の名前は、恋する者にとって特別の響きになる。ソンジェは4年前、成田空港から新宿に向かうリムジンバスの中から葉子を見かけ、一目ぼれした。何回も重なる偶然の出会いによって、2人は恋に落ち、愛し合った。葉子との思い出を反芻しながら、ソンジェは電車を乗り継ぎ、ある場所に向かった。懐かしい景色。潮の香りも変わっていない。ソンジェはひとり、砂浜を歩いた。あの日もこの砂浜を歩いた。違っているのは、横に葉子がいないだけだ。「今日はお別れを言いにきたの。貴方はソウルへ帰るし、私は家族のところへ帰るわ。今までありがとう、とても楽しかった」そう言ってソンジェに別れを告げた葉子。とても哀しくて、葉子が欲しくて、ソンジェは葉子を抱いた。ソンジェは視線を上げる。ボートハウスが見えた。近づいていく。ゆっくりと扉をあけた。湿った臭いがソンジェを包む。中に入ると床がきしんで音を立てた。ソファもあのときのままだ。葉子の甘い香りを想像しながら、ソンジェはそっとソファに顔を近づけた。『葉子さん・・・』胸が締め付けられる。「ソンジェ、貴方を愛しているわ。でも今日でお別れなの。私には家族がいる。とても大切な家族なの。だから、わかって・・・」激しく愛しあった後、葉子はぽつりと言った。身を引き裂かれるような別れ、そしてソウルでの哀しい再会。自殺を図り、ソンジェの記憶だけ無くしてしまった葉子。ソンジェはソファに顔を押し付けて、しばらく声を出さずに泣いた。風が吹いて窓が音を立てる。ソンジェは顔を上げた。ボートハウスの外にでる。来た道を戻っていく。江ノ電に乗り、藤沢駅でJRに乗り換える。新宿に向かった。佳織が住んでいたアパートにやってきた。彼女はまだここに住んでいるだろうか。もしここにいなければ、探す当てはない。佳織には両親がいないのだ。古びた廊下を歩く。ソンウと佳織が住んでいた部屋の前に立った。表札はなかった。ドアをノックしようとしたとき、勢いよくドアが開き、見覚えのある顔が出てきた。「あっ!」ソンジェはその顔を見て息をのんだ。恭一だった。「ソンジェ、お前・・・」「どうして恭一さんがここにいるんです?」ソンジェは詰問した。「いや、ちょっとその・・・」言葉を濁した恭一の背後から、佳織の声がした。「もう来ないで!宗太は私一人で育てるから」「宗太?」ソンジェは部屋に入った。そこには床に就いたままの佳織と、彼女のそばで遊んでいる男の子がいた。「ソンジェさん!」佳織はずいぶん痩せていた。顔色も悪い。ソンジェはソンウの悲しそうな顔が見えたような気がした。「佳織さん・・・。貴女はやはり一人でソンウの子どもを産んでいたんですね」「宗太を奪いにきたのなら、帰って!宗太は絶対に渡さない。たとえソンウの家族でも」「お前がソウルに帰ってから、佳織が俺の部屋にお前をたずねてきたんだよ。出産費用がどうしても出来なくて、どうしようもなくなって来たらしい。でもお前はもうソウルに帰ったあとだろ?だから俺が立て替えてやったんだよ。それからちょいちょい佳織と宗太の顔を見に来るようになってな」恭一はニヤニヤしながら言った。ソンジェは佳織を見た。彼女は唇をかんで顔を背けた。佳織の悲しさが痛いほどわかった。ソンジェは申し訳ない気持ちでいっぱいになる。「ママ」宗太と呼ばれた男の子が無邪気に佳織に抱きつく。『この子がソンウの子ども・・・』目元がソンウに似ている気がする。ソンジェは宗太を抱き上げた。目を丸くしてソンジェを見つめる宗太を、ソンジェは思い切り抱きしめた。『ごめんよ、ソンウ。お前の大切な人たちに苦労をさせていて。これからは僕が佳織さんと宗太を守るから・・・』ソンジェは宗太のぬくもりを感じながら、ソンウにあやまっていた。
2005/09/23
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ほたるさんのサイトのBBSで見ることが出来ます。Mutsumiさんの投稿のHomeをクリックしてくださいね。Yahoo!ブリーフケースの画面になりますので、そこの「TerryCFともちんさん」をクリックします。するとWindows Media Playerが起動し、ジヌくんのCMが始まります。髪の毛を整える暇がなかったのか、ちょっと寝起きっぽいようなジヌくんです。でも、どんなジヌくんも素敵!あの笑顔に再会できて、今メロメロ状態です~。「みんなさんに会いたいです」←「みんなさん」がかわいい!はぁ~、やっぱりすてきぃ~~~~!
2005/09/23
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その夜ソンジェは母と兄を前に、再び日本へ行くつもりだと言った。もちろん2人とも大反対だ。顔色を変えた母が、涙声で言う。「ソンジェ、お前まだそんなことを考えていたのかい?毎日ここで楽しく暮らしていたんじゃないのかい」「母さん、ごめん。ここでの暮らしが嫌になったわけじゃないんだ。日本には、一つ気になることがあるんだ」ソンジェは佳織のことを思い浮かべながら言った。「気になること?」兄のソンミンが声を荒げる。「お前、まさか、あの日本人女性のことを・・・」ソンミンは、ソンジェが兵役についてる頃、自宅を訪ねてきた葉子を思い出していた。その言葉に母も怒りをあらわにした。「許さないよ!あの女。お前よりもかなり年上なんじゃないか?そんな年上の女なんて、それに日本人じゃないか。絶対に許さないよ」葉子が訪ねてきたことを知らされていなかったソンジェは混乱した。「ちょっと待ってくれよ。兄さんと母さんは誰のことを言っているの?まさか・・・」ソンミンはしまった・・・という表情をした。「ソンジェ、お前には話していなかったんだが、お前が兵役に行っているとき、日本人の女性がここにきたんだよ。お前との関係を聞いても、何も答えなかった。ただ隠していると言うより、知らないような顔をしていたがね。でもわざわざ日本からお前を訪ねてくるなんて、きっとお前たちは深い関係だって思ったんだ。母さんもそう感じたそうだ」『葉子さんが!!?でもソウルで会った葉子さんは僕の記憶をなくしていた。なぜ彼女がここに?』葉子がソンジェの自宅まで、彼を訪ねてきたという事実に、ソンジェは胸が熱くなった。どうしても日本に行きたい。葉子に会いたい。ソンジェは押さえ込んでいた気持ちがあふれ出してくるのを感じていた。しかし葉子に会いに行きたいと言っても、母も兄も許可してくれるはずがない。ソンジェは佳織のことを話そうと思った。「母さん、兄さん、僕が日本には気になることがある、といったのは、その女性のことじゃないんだ。ソンウの恋人・佳織さんのことなんだ」「ソンウの?」「彼女はきっとソンウの子どもを産んでいると思うんだ。僕がソンウを探していったとき、体の調子が悪いようだった。その様子がウソンの奥さんのつわりと一緒だったんだよ」「なんだって?ソンウに子どもがいるって?」母が驚愕の声をあげた。「まだはっきりとしたことはわからないんだけど、どうしても確認してきたいんだ。もしソンウの子どもが生まれていたのなら、僕にとって甥か姪になるわけだし、母さんにとってはかわいい孫にあたるんじゃないか」孫と聞いて、母の表情が一瞬和らいだ。ソンミンもソンジェもまだ独身なので、孫はいない。ましてソンウはもうこの世にいないのだ。母は迷っているようだ。ソンミンは黙ったままだ。「僕が日本に行くのを許してくれませんか」ソンジェはまっすぐに母の目を見た。しばらくしてから母は厳しい表情でソンジェに言った。「わかった、今回だけ許してあげよう。でも条件がある。その佳織という女がソンウの子どもを産んでいたら、お前がつれて帰りなさい。もちろん子どもだけだよ。日本人の女はうちの嫁にはしない。でもソンウの子どもはうちの孫だ」「母さん・・・」「それからお前を訪ねてきた女には絶対に会わないこと。わかったね。約束できないんだったら、日本に行かせるわけにはいかないよ」母はソンジェの心を見通していたのだ。ソンジェは母の目が見られなくなった。「・・・わかった、母さん。約束するよ・・・」「ソンジェ、ちゃんと私の目を見なさい」何度もまばたきをしながら、ソンジェは母の目を見た。母の目は潤んでいた。「必ず帰って来るんだよ、ソンジェ」「母さん・・・。もちろんだよ」母の手を握りながら、ソンジェは涙があふれてくるのを感じていた。『葉子さん、僕は貴女を陰ながら見守ることにするよ。決して貴女の前には出て行かないけれど、貴女の近くにいたいんだ』数日後、ソンジェは再びソウルの仁川国際空港を飛び立った。
2005/09/22
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とうとうジヌくんの初めてのファンミが開催されるんですね~~~~~!(絶叫)申し込み方法が「韓国再発見」にアップされていますよ~~~。申し込み開始日時は9月27日11時~です。あ~、どきどきします。いよいよなんですね。ほたるさん、関係者の皆様、お疲れ様でした。
2005/09/22
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ウソンとその妻が帰っていった。その後姿を見送りながら、母がぽつりと言う。「あんなにワンパクだったウソンも父親になるんだね」その寂しげな肩を見ていたら、申し訳ない気分になった。「母さん・・・」「ソンジェ、お前も早くいい娘を見つけて結婚しておくれ。そして可愛い孫を私に抱かせてくれないかい?」母の頼みは拒絶できない。「ねえ、もしお前にその気があるのなら、また近所のおばさんに頼んでおこうか?いい娘を紹介してくれるはずだから」「母さん、僕はまだ結婚を考えていないんだ。もう少し待ってくれないかな・・・・?」「何を言っているんだい、そんなこといっていたら、すぐおじいさんになってしまうよ!私だって、父さんのようにいつ何があるかわからないんだ。私が元気なうちに決めておくれ」そうだった。あんなに元気だった父さんも、日本に行っている間に亡くなってしまった。ソンウだって・・・。「母さん。僕は気になることがあるんだ。ソンウの恋人のことなんだけど・・・」「ソンウを殺した日本人の女の話なんてしないでおくれ!聞きたくもない!」ソンジェは佳織が妊娠しているかもしれないことを母に伝えたかったが、無理だった。耳をふさいで黙り込む母の肩を抱き、ソンジェは葉子のことを考えていた。『葉子さん・・・。貴女に会いたいよ。僕のことを忘れてしまったことは、身を引き裂かれるように辛い。でも、僕はそれでも貴女のことを忘れられない・・・。会いたい、会って抱きしめたい、そして口づけたい』ソンジェの記憶が葉子の中から消えたとしても、自分は葉子を鮮明に覚えている。あの優しい瞳も、温かな笑顔も、甘い香りも、そして柔らかな唇も・・・。『僕はきっと一生葉子さんのことをわすれないだろう。こんな気持ちのまま、他の女性と結婚なんてできない。したくない。母さんには悪いけど、僕は葉子さんだけを想って生きていきたいんだ。たとえそれが報われない恋だとしても』ソンジェは葉子への消せぬ想いを抱いたまま、生きていくことを決めた。2年の月日が過ぎた。母や兄が執拗に勧めるお見合いの話を断り続け、毎日時間を忘れて働いた。兄が亡き父から受け継いだ工場を、ソンジェも手伝っていたのだ。たまの休みには、利川にいき陶芸を続けている。しかしなかなか思うように時間はとれなかった。土に触れない日には、買いためた陶芸関係の本を見て気晴らしをする。陶芸の本を開くたびに、葉子を思い出した。『葉子さん、今頃何をしているの?貴女はまだ安土で陶芸をしているのだろうか。葉子さんが僕を忘れてしまっていても、僕たちは陶芸でつながっているんだよね。土に触るたびに貴女のこと、そして安土のことを思い出すよ』ウソンのところには可愛い赤ん坊が産まれた。彼はしばしば赤ん坊を連れてソンジェの家に遊びにくる。その赤ん坊を見るたびに、ソンジェは佳織のことを思った。もしかして彼女は今、たった一人でソンウの子どもを育てているのかもしれない。ソンウの夢を理解せず、恋さえも認めなかった自分が恥ずかしかった。もし佳織がソンウの子どもを育てているのなら、彼女の力になりたかった。ソンウにあやまれなかった分、佳織とその子どもに何かしてやりたい。ソンジェはもう一度日本にいくつもりだった。2年の間にソンジェは日本への旅費をこつこつと貯めていたのだ。母と兄は大反対するだろう。でもどうしても認めてもらう。佳織とその子どもが気になるというのは、もちろんだが、やはりソンジェの心の中には葉子がいた。『葉子さん、貴女はあれからどうしているの?記憶をなくしているのなら、井出先生とはうまくいっているのだろうか。まだ辛い思いをしていないかな。井出先生に言われるまでもなく、僕はもう貴女の前には姿を現さない。でも、陰ながら見守っていてもいいよね?貴女が本当に幸せでいるのならいいけれど・・・』
2005/09/21
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二転三転していたヤン・ジヌくんのファンミが、開催決定したようですね。詳しくはほたるさんのブログへ。日時は10月10日場所は帝国ホテル大阪ん?大阪帝国ホテルもあったんだ・・・。(汗)こちらはミナミにあるビジネスホテルです。どっちなんだろう??詳細はイマージュさんのサイトで、今夜以降ファンミの内容がアップされるようです。個々でご確認下さいね。それにしてもほたるさんたいへんだったでしょうね。私が思うに、いくらジヌくんがまだ無名だったとしても、彼が日本で活動をするということは、韓流の波に飲まれてしまうということなのでしょうね。今回のヨン様来日にしても、30億円の経済効果だとか。「韓国の・・・」という枕詞がつけば、いくら私たちが純粋な気持ちで応援していても、そこにビジネスを持ってくる人がいるのでしょう。でもね、この前リュ・シウォンくんが記者会見で言っていたように、それぞれの国で活動するならば、お互いの方法をぶつけ合うのではなく、協力しながらしなくてはいけないんじゃないかな。そこには妥協ということもあると思う。でもそれだけじゃない。お互いを理解しようと言う気持ちがあれば、もっと理解し合えるんじゃないか・・・・そう考えています。無事にジヌくんのファンミが開催されて、日本のファンとジヌくん本人が、HAPPYな気持ちになれることを祈っています。で、私は再度、お肌の手入れとダイエットに励まなくては!(汗)
2005/09/21
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「もう君のことは覚えちゃいない」「女房は自殺しようとしたんだ。俺や子どもたちを裏切ったことを悔やんで、死んで償いをしようと思ったんだよ」昭彦の言葉が、ソンジェの頭の中でこだまする。どこをどう歩いて軍用車に戻ったのか覚えていなかった。仲間たちが話しかけてきたが、なんと答えたかもわからない。気がつくと宿舎の部屋にいた。窓の外を見る。夜の闇がソンジェを覆い隠そうとしていた。「ヨウコッシ」届くはずのない呟き。こんなにも愛しているのに、この想いはどこに行けばいいのか。自分が葉子を愛してしまったことで、葉子を苦しめ、彼女の家族も苦しめ、なにより葉子の命さえも奪おうとしていた。自分の愛は、彼女を破滅させるものだったのか。いっそ全てを無くしてしまえたら、どんなにいいか。自分も無くなってしまえばいい。葉子の愛を失った今、ソンジェは生きる意味を見失っていた。翌日、訓練の時に大韓航空機を見かけた。手をかざして見る。『葉子さんはもう日本に帰っただろうか?僕の記憶をなくして、彼女はこれからの人生を生きていくんだね』聖域(サンクチュアリ)にしまっていた葉子との甘い思い出。もうそれは葉子と2人で共有するものではなくなった。死が2人を引き裂くよりも辛い別れだった。ソンジェは消えていく大韓航空機をいつまでも眺めていた。2年間の兵役が終わり、ソンジェは母と兄の待つ家に帰ってきた。「ただいま、母さん」「ソンジェ!私の息子が帰ってきた!お帰り、ご苦労様。」母はソンジェに飛びつき、掌で彼の頬を包む。「もっとよく顔を見せてくれないかい?少しやせたんじゃないか?病気はしなかっただろうね?」家の奥から兄が出てきた。「母さん、そんなにいろいろ聞いても、ソンジェは一度に答えられないよ。さ、中に入って」久しぶりの家族団らんに、ソンジェは2年間の疲れが取れていくのを感じていた。「そうそう、ソンジェ。お前が仲良くしていたウソンが結婚したのを知っているかい?」「ああ、知っているよ。彼が手紙をよこしてくれたから」「明日、お嫁さんと一緒にうちに挨拶に来るんだよ。お前が帰ってきてちょうどよかった」ウソンはソンジェが葉子のことを話した友人だった。葉子とソウルで再会したことも手紙で伝えている。葉子を破滅に導いたかもしれないと自己嫌悪に陥るソンジェを励ましてくれた。「ソンジェ、人を愛することは甘いことでも楽しいことでもないと俺は思う。むしろ辛いことの方が多いものだよ。それでも人を愛してしまう。それが人間のおろかさでもあり、いとしいところでもある。俺はそう思う。お前は後悔すべきじゃない」彼の言葉で、なんとか兵役を終えられた。ソンジェは早くウソンに会いたかった。翌日ウソンは新妻とともにやってきた。「ソンジェ。元気そうだな」「ああ、君も。そうだ、結婚おめでとう」ウソンは日に焼けた顔をほころばせた。「ありがとう」彼の隣に立つ新妻は微笑もうとしたが、すぐに顔を曇らせた。「どうしたんですか?」ソンジェの問いには答えず、彼女は洗面所に消えた。「ごめんよ、ソンジェ。彼女今つわりなんだ。けっこうきついらしい」「つわり・・・?あぁ赤ん坊か。そうか、君ももう父親になるんだな。おめでとう」ソンジェはウソンの肩を叩いた。『つわり・・・。彼女の表情、どこかで見た記憶が・・・・』急に佳織の顔が浮かんだ。『佳織さん!?もしかして、彼女は妊娠していたのでは?』ソンウのアパートを訪ねたとき、何度か佳織は体調を崩して洗面所に駆け込んでいた。あの青い顔は・・・。ソンジェは佳織がソンウの忘れ形見を産んでいるかもしれないと思った。そして日本に行く決意を固めていた。
2005/09/20
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ヤン・ジヌくん出演のドラマ「マジック」のOSTがinnolifeさんで売り出しています。最近までこのOSTは品切れでしたが、再入荷したようですね。「マジック」でソンモに打ち抜かれた人は(いえガンジェに、でもいいんだけど)おすすめ。どの曲を聴いても、ソンモの切ない顔が浮かんでくる私は、かなりのソンモ病いえ、ヤン・ジヌ病かも・・・。他にinnolifeさんでは10月日本公開の映画「私の頭の中のケシゴム」OSTも発売中!追加情報:「マジック」でジヌくんと共演したカン・ドンウォンくんのファンミがソウルであります~。すでにキャンセル待ち状態だけど・・・。
2005/09/20
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その夜、ソンジェはソウルの町に出た。巡回の任務があったからだ。『葉子さん、貴女はまだこの町にいるの?いるなら会いたいよ。偶然を待つしかないのだろうけど、町に出られるようになったのは、やっぱり貴女と会えるってことなのかな?』仲間たちとジープから降りて、ソウルの町を歩く。町を歩く女性がみんな葉子に見えた。葉子に似たヘアスタイルの女性の肩をつかんでしまい、不審な顔をされたのは2度や3度ではない。仲間たちは驚いていた。「おい、ソンジェ。いったいどうしたっていうんだ?女に関心を持つなんて、いつものお前らしくないな」「なんでもないです」ソンジェはうつむきながら答えた。葉子はなぜソウルに来て、しかも自分がいる基地にまで来たのか。ソンジェはそれが気がかりだった。昭彦がソンジェをだまして自宅に連れていった日、ソンジェをかばう葉子に激昂していた様子を考えると、葉子が平穏に暮らしているとは思えなかった。もし、葉子がなんらかの決心をして自分に会いに来ていたのなら・・・。ソンジェは夢想した。葉子がソンジェと一緒に生きることを決め、ソンジェに告げるためにソウルに来ているのなら・・・。ソンジェは今の苦しい訓練も、難なく耐えられるだろう。自分の兵役期間が終わるまで、葉子にはソウルで待っていてもらおうか。部屋は?仕事は?そうだ、手紙を送ってくれていた友人に頼んでみよう。彼ならば力になってくれるはずだ。ソンジェが除隊したら、葉子と結婚しよう。一緒に暮らし、彼女に似た子どもができ・・・そこまで考えて、ソンジェは気がついた。葉子には志保と和哉という子どもがいるのだ。彼女が子どもたちを捨てて、ソンジェのもとへ来るはずがない。では2人を連れて来ていたら?いや、それはありえない。葉子の娘・志保は、ソンジェが日本にいるころ、彼に片思いをしていたのだ。「付き合っている人がいるの?」と志保に尋ねられたとき、ソンジェは「いません」と答えた。彼女は顔を輝かせ、デートをして欲しいと言ってきた。結局志保との待ち合わせ場所には行かなかった。彼女はとても傷ついていたらしい。ソンジェが自分の母親・葉子と恋愛していると知ると、かなり荒れていたと葉子から聞いた。そんな状態の志保を連れて、葉子がソンジェの元へ来るはずがない。葉子はそんな女性ではない。そんなことを考えながら軍用車に乗ろうとしたときだった。ふと目を上げた先に、女の人が一人で立っているのが見えた。手持ち無沙汰に、ぼんやりしている。葉子に見えた。またか。今夜何回葉子に似た女性を見ただろう。ソンジェは首を振りながら、もう一度その女性を見た。『葉子さん!?』葉子本人だった。車に乗り込もうとする仲間に待っていてもらい、ソンジェは足早に葉子のもとへ走った。しばらく葉子の顔を見つめた。愛しさがこみ上げてくる。「こんばんは」「・・・・」何の反応もない。「葉子さん?私、ソンジェです」ソンジェの言葉にも答えず、ただぼんやりとソンジェの顔ばかりを見ている。「どうしたんですか?」鋭い視線を感じ、葉子の後ろを見ると、昭彦が立っていた。「女房は病気でね。君が誰だかわからないんだ」ソンジェは驚いて葉子を見る。「だからソウルに連れてきた。こんなこともあろうかと思ってね。しかしもう君のことは覚えちゃいない」さっと血の気が引いていくのを感じた。『葉子さんが僕のことを覚えていない?』「なぜこんな風になったかわかるか。女房は自殺しようとしたんだ。俺や子どもたちを裏切ったことを悔やんで、死んで償いをしようと思ったんだよ」“自殺”の一言に、ソンジェは雷に打たれたように感じた。「健気じゃないか。俺は許そうと思ったよ。そこまでこいつが思いつめていたなんて思ったら哀れでね」昭彦はそこまで言うと、さらに憎々しげに続けた。「それなのに君はまだのうのうと生きている。しかもまだ未練がましく俺の女房に声をかけてきた」ソンジェは体の震えを覚えた。「いいか、償う気持ちがあるんなら、今後一切女房には近づくな。それがお前の償いだ」それだけ言うと、昭彦は無表情なままの葉子の手をとって歩いていく。頭の中が真っ白になったソンジェは、いつまでも葉子の後姿を見つめていた。
2005/09/19
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久しぶりだわ~、ジヌくんが雑誌に載っているのって。他のサイト様でも紹介されているようですが、今日本屋で確認&購入して参りました~!(またかよ~。ますますジヌ貧だよ~)まずは「韓国ドラマスターLIVE3」“新世代貴公子”のコーナーに、我らがジヌくん登場。写真自体は目新しいものではないですね。たぶん今年の3月に撮影したものの再利用(汗)だと思います。(サイダスのHPの動画にあったやつ)だって、まったく同じショットがあったんだよ~~~。(涙)いくらなんでも・・・。「韓国ドラマスターLIVE」に載っていたものと同じなのでは?ぷんぷん。で、で、でも胸キュンショットもあったので、買っちゃったよぉ~~~。(涙)P68~71までたっぷりと。胸キュンショットはP71です~。そんな瞳で見つめられたら・・・。(撃沈)お次は「KWスペシャル やっぱり見たい韓国ドラマ&シネマ02」これは写真じゃないんだけど、めちゃくちゃ気に入ってしまったページがあるんですぅ~。P38~39の「村田順子の韓流エンタメ極楽日記Vol2」にジヌくんが紹介されてま~す。題して「爽やか青年ヤン・ジヌ君」 イラストも素敵だけど、コメントがめちゃ面白い!例のTシャツ脱ぎシーンでは「気になる胸のふくらみ」「胸板すばらしすぎ」「フツー脱がねーだろ?」「ヨーコもびっくり」などの爆笑コメントが。(笑)他には、「華奢に見えるけど、脱ぐとすごいんです!」「奥さまたちはすっかり夢中」「キレイな顔してやることは大胆!」「人妻を近所の公園(しかも昼間)抱きしめるか?フツー!?」「10話の濃厚Hシーンは必見だっ!!」などなど。安岡先生のコメントもおかしすぎ。で、作者ははたと気づいた。「私DVD持ってた!!ヤン・ジヌの映画の」と思い出すのです。何を持っていたかというと、「達磨よ ソウルに行こう」(笑)その作品でも困った顔(切ない顔って言って!)をしているジヌ君だって。「この映画でヤン・ジヌは個性派ベテラン俳優たちの中にあって、唯一の紅一点だった!!」な~んて言われているよ~ん。でもなんとなく納得!?(笑)私、このページだけが目的で、この雑誌買ってしまったかも・・・。(滝汗)<追加>P62に「ヤクソク」DVDの紹介があります。
2005/09/19
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番組は1、素囃子・・・「盤渉早舞」(ばんしきはやまい) 2、狂言・・・神鳴(かみなり) 神鳴 茂山千三郎 医師 善竹 隆司 3、能・・・「鞍馬天狗」(くらまてんぐ) シテ(前シテ 山伏)(後シテ天狗)吉井基晴 子方(牛若丸) 上田 顕崇 ワキ(僧) 福王 和幸 ワキツレ(従者)福王 和登 ワキツレ(従者)山本 順三 間(能力) 茂山 茂 間(木葉天狗) 善竹 隆平 間(木葉天狗) 善竹 忠亮 間(木葉天狗) 茂山 童司まず素囃子、この「盤渉早舞」(ばんしきはやまい)は、盤渉は水に縁がある意で、早舞は高貴な人の舞ということらしい。(源次郎さんが解説でおっしゃっていた)狂言「神鳴」は、都に住んでいた藪医者が、東国に下ろうとして広い桑原を歩いていると、雷が轟きだす。おわてて逃げようとすると、大音響とともに目の前に神鳴が落ちてくる。びっくりした藪医者だが、見ると神鳴が腰をおさえて呻いている。どうやら落ちてきた拍子に腰をぬかしたようだ。神鳴に頼まれて、藪医者はしぶしぶ針治療を始めるが、その痛さに神鳴は大騒ぎ。なんとか治療を終えて様子を見ると、腰の具合は治っていた。感謝する神鳴に治療代を請求する藪医者。それでは、と今後800年の間日照り・水害のないように守ってくれるよう約束し、神鳴は空へかえっていく。神鳴の動きがなんといってもユーモラス。腰を抜かして、足をジタバタしたり、針を打たれて、その痛さに大暴れしたり、とってもキュート!!(笑)バラエティ番組で、お笑い芸人がする動きにも似て、なんだか古典芸能に見えなかったよ、その部分だけ。(笑)狂言って、ほんとうに面白いし、現代に生きる私たちにも共感できる笑いがある。能「鞍馬天狗」は、花見に来た義経が先客の山伏に声をかけ、実は天狗だったその山伏から兵法の秘伝を授かると言う話。花見シーンでは、公募された素人の子役達が出演していた。六甲アイランド在住の4~10歳の子どもが5~6人。しずしずと出てきて、しばらく舞台で立っている。もちろんセリフはないが、衣装を着て、舞台に立つのだから、本人も親もいい記念になるだろう。後見さんが一生懸命、子役たちの立ち位置を直していたが。(笑)舞台の正面は黒い幕。本当は鏡板(松の木の絵)や金屏風なのだが、今回は特別舞台だったからか、黒い幕だった。囃し方や後見は目立たないが、演者は金屏風よりも目立つ。(笑)神鳴の衣装がきらびやかだったから、よけいに演者が浮き出て見えた。計算に入っていたのか、それとも計算外の効果だったのか。この件については、打ち上げのときに大倉源次郎さんにお話したのだが・・・。中秋の名月の夜。見ごたえのある舞台に酔ったひととき。
2005/09/18
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神戸の六甲アイランド内で行われた「六甲アイランド能」を見に行ってきました。解説は大倉源次郎さん。先日お世話になったI夫妻に再び呼んでいただいて、今日は打ち上げに参加。うほ~、大倉源次郎さんがすぐそこに!イケメンだわ~。そのほか狂言方、囃子方などの皆さんが、すぐそこに・・・。源次郎さんの横にくっついて(笑)しばらくお話をさせていただきました。彼はPCを持ち込んでいて、一生懸命にスケジュール調整。来年の予定もびっしりだそうです。すごいなぁ・・・。ツーショットで写真も撮っていただき、うふふな夜でした。番組についての日記は、またのちほど。
2005/09/18
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さっきほたるさんのサイトにお邪魔しました。そこには、ジヌくんのスケジュールの都合で開催できなくなったとのお知らせが・・・!!(号泣)以下コピペします。「2005/9/17 かねてより開催予定でした10月8日(土)東京会場と10月9日(日)の大阪会場ですが、 ヤン・ジヌさんのスケジュールの都合により開催出来なくなりました。 大変ご迷惑をおかけしました。 前回多くの方が参加希望を出して下さいましたが、すべて白紙とさせて頂きます。 誠に申し訳ありません。 現在、10月10日大阪会場のみの予定でイベント会社と交渉中ですがまだ本決まりではありません。 イベント会社が決まり次第詳細を載せさせて頂きますのでもう暫くお待ち下さい。」ほたるさん、本当にお疲れ様でした。 お疲れが出ませんように・・・。
2005/09/17
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kaochanさんのサイトにも書かれていますが、今夜23時40分から、韓国MBCでジヌくん出演の「達磨よ ソウルに行こう」がオンエアされます。MBCを視聴できるようにしたり、録画設定したり、右往左往してました。しいなさん、ありがとう~。(涙)リアルタイムに韓国の放送が見られるなんて!感動!さっきCMでクォン・サンウくんの姿が・・・。この調子でジヌくんのCMやドラマがどんどん見られたらいいのになぁ~。韓国MBC放送韓国のTVを見よう!
2005/09/17
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<懐かしい日本の皆さん、お元気ですか。僕は今韓国で兵役についています。6週間の基礎訓練が終わり、勝利(スンリ)部隊に配置されました。とても辛い訓練の日々で、風呂に入る体力も残っていません。規律も厳しく自分の時間はほとんどありません。そんな中で僕はよく日本のことを思い出します。親切にしてくださった皆さんのことを。僕はまだ、自分の夢を忘れていません。いつか、利川(イチョン)の美しい風景の中で自分の窯を持ち、作品を作り上げたい。いつか僕の作品を皆さんに見てもらいたい。心からそう思っています。また会う日まで。チョン・ソンジェ>ソンジェは安岡の陶芸教室に宛てた手紙の封をした。その手紙を一回り大きい封筒に入れ、学生時代の友人宛の住所を書く。彼にだけは葉子とのことを話していた。宿舎から直接日本に手紙を出しづらいため、友人に送ってもらうのだ。葉子との恋を話したときの友人の反応は複雑なものだった。彼はぽつりと言った。「ソンジェ、僕も日本人に対してはいい感情は持っていない。でも君のことは信じている。君が愛した人なら、きっといい人なんだろう。人のものを奪うどころか、自分のものさえ人に分け与えてしまう君が、それほどまでに愛した人なんだから。僕は君への協力は惜しまないよ」ソンジェが兵役についてから、数ヶ月が過ぎていた。慣れない訓練は予想以上にきつく、毎晩就寝時刻には泥のように眠った。しかし週に何回かは、こっそり起きて手紙を書く。家族宛に書くときもあるが、ほとんどが葉子に宛てたものだった。彼女に直接出すわけにはいかない。出せない手紙がどんどん増えていく。それでもたまには安岡の陶芸教室に送る。もちろん安岡への感謝の気持ちもこめながら、葉子が目にすることを祈って手紙を出していた。自分が葉子を忘れることはないが、葉子には家族がいる。ソンジェとのことを、もう思い出にしてしまっているかもしれない。仕方がないと思うときもあるが、軍事訓練がきついときなどは、葉子を想い、彼女も自分のことを考えていて欲しいと切実に思う。『葉子さん、この厳しい訓練が終わったら、日本に行ってもいいかな?母は許してくれないだろう。実際にいけるかどうかもわからない。でも貴女に会えるかもしれないという希望がなければ、この訓練を乗り越えられないよ。貴女との甘い思い出を想い、再び貴女を抱きしめるという夢がなくては・・・。』肉体的に厳しいほかに、プライバシーがない訓練生活は、ソンジェの葉子への想いをますます募らせることになった。その日も厳しい訓練を終えて、ソンジェは基地にある宿舎に戻ってきた。男ばかりがたむるする部屋は、人いきれでむっとしていた。ヘルメットを磨いていた仲間の一人が、ソンジェを見つけて声をかけてくる。「ソンジェ、今日お前を訪ねて女がきたらしいぞ」「え?」「日本人の女だって。お前の女か?」ニヤニヤ笑いながら問う仲間に、「そんなんじゃないよ」と答え、ソンジェは窓辺に行く。「葉子・・・?」心の中はさざめいていた。どうしても確認したい一心で、安岡に国際電話をかけた。「こんにちは、お元気ですか」「ああ、ソンジェくん。私は元気だよ。君は元気?」懐かしい安岡の声だ。ソンジェは安岡の温かい瞳を思い出した。「はい。私、今軍隊にいます」「ああ、軍隊か。大変だね。体壊していないだろうね」安岡の言葉が訓練で疲れきったソンジェの心にしみる。「はい。大丈夫です」「当分、陶芸のほうは出来ないね。でも君ならいつかきっとすばらしい作品を作ると信じているからね」「ありがとうございます」葉子のことが聞きたいが、ソンジェはしばらくためらっていた。「何か私に用事でも?」安岡の問いにソンジェは切り出した。「あの、ここに日本人の女の人が私を訪ねてきたそうなんです」「え?」安岡が絶句した。「でも私いませんでした。・・・・・葉子さんですか?」「ああ・・・たぶんね」やはり葉子なのか。「どうして葉子さんがソウルに来ているんですか?葉子さん、どうかしたんですか?」ソンジェは葉子への想いがとめどなくあふれてくるのを感じていた。「いや・・・君が元気かどうか知りたかったんだろう。別に会いに行ったわけじゃないと思うよ」「葉子さんが元気ならそれでいいです」「彼女は元気にやっているよ。だから君も頑張って、ね」「はい、ありがとうございます」電話を切ったが、さまざまな想いは振り切ることが出来ない。どうして葉子がわざわざソウルに、しかも自分のもとへ来たのか。夫と平穏に暮らしているのなら、どうして来ることがあるだろう。安岡の言葉を信じないわけではなかったが、葉子に何か異変があったような気がして、ソンジェは不安だった。『葉子さん、会いたい・・・。貴女の顔が見たい。遠く日本と韓国とに離れているのなら我慢も出来る。でも貴女はここまで来てくれたんだ。この町のどこかにいるんだ。今すぐ宿舎を飛び出して、ソウルの町中貴女を探して歩きたい。貴女の姿を一目見て、もし許されるなら、抱きしめたい。葉子さん・・・』
2005/09/17
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夜、大阪のリーガロイヤルホテルで、現・中村鴈治郎さんの「坂田藤十郎襲名を祝う会」が開催された。I夫妻のご好意で呼んでいただいた私。ふふふ、どんな方々が列席されているか、楽しみ。待ち合わせ5分前にホテルロビーに着いたと思えば、ん?なんか変。よく確かめて見れば、「リーガロイヤル」と「リッツカールトン」を間違えていた!(冷汗)あわててタクシーに飛び乗り、リーガロイヤルホテルへ。開始5分前に駆け込む。(滝汗)まずは主催者の挨拶があり、お次は祇園の芸妓はさんたちによる「手打」河合隼雄文化庁長官、大田房江大阪府知事らによる挨拶。乾杯に続き、桂米朝さん、安奈淳さんらによる挨拶などが続く。やっぱりすごい面々・・・。フランス料理のコースをいただきながら、歓談。実はお昼もフレンチだった私。所属しているディベートの会のメンバーが、昨年自費出版し、その本が「自費出版賞」に輝いたので、そのお祝いだった。食事もだいぶ進んだところで、記念撮影の時間。一つ一つのテーブルを、鴈治郎さんと妻の扇千景参議院議員がまわってくる。その後、鴈治郎さんの芸歴などをスライド上映。大阪締め?をしてお開き。列席者を見ていたら、大平光代大阪市助役、安藤忠雄さん、コシノヒロコさんの母の小篠綾子さんらのお顔もあった。お土産をいただいて会場を出る。 写真集・手ぬぐい・千社札・「一生青春」という日本酒など・・・。その後、Iさん夫妻らと地下のCELLAR BARへ。帰宅は深夜。お疲れ様でしたぁ~。
2005/09/16
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昨日の読売新聞に、「みやび 三島由紀夫」というドキュメンタリー映画を撮った田中千世子さんが紹介されていた。彼女の経歴もとても興味深い。今年は三島没後35年にあたる。渋谷ユーロスペースを皮切りに、大阪、名古屋でも封切りされる予定。このドキュメンタリー映画は、多様な三島論で構成されるらしい。芥川賞作家・平野啓一郎氏をはじめ、中国、イタリア、ハンガリー、アイスランドの研究者ら11人が出演。なかなか興味深いなぁ~。
2005/09/16
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ソンジェが恭一のクレープ屋を手伝っていた頃していた紺のエプロンとなんだか似ていませんか?(ちょっとクシャクシャで恥ずかしいけど) 私がしているあるボランティア団体で使用しているものです。「ヤクソク」をも一度見ていて、気がつきました。ソンジェのは、真ん中に小さなアップリケ?をつけていたようですが・・・。きっと安いものだと思います。うぅ~、ソンジェとおそろいだと思うと、ボランティア活動にも力が入るわ!
2005/09/16
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韓国に帰ってきて、数日が過ぎた。時間がゆっくりと過ぎていく。日本で葉子と出会ったことが夢のようだった。ソンジェは窓辺に座り庭を眺めながら、葉子との日々を思い出していた。特に忘れられないのは、江ノ島での出来事だった。葉子のかたくなな別れへの決意が悲しくて、ソンジェは彼女を抱いた。彼女への想いがソンジェの心からあふれ出してきて、もうどうしようもなくなっていたのも確かだった。「お別れしないと、ダメですか?」雨に濡れた葉子を後ろから抱きしめたあの日。葉子の冷えた唇を、ソンジェの唇が熱く包み、ソンジェの激情が葉子を貫いた。彼女の甘い香りを感じたような気がした。目を閉じてみる。葉子の笑顔、すねた顔、泣いた顔、切ない顔。どの表情を思い浮かべても、ソンジェにとっていとしくてならない顔だった。『葉子さん、貴女は今何をしているの?僕のこと、少しは思い出してくれているの?』今すぐにでも日本へ行きたい気持ちを、心の中でもてあましていた。「ソンジェ」母が呼んだ。「・・・え?」「またぼんやりして。帰ってきてからずっとじゃないか」母の言葉には、どこかとげとげしいものがある。「お前また日本に行こうなんて考えているんじゃないだろうね」「そんなことないよ」「許さないからね、また日本に行くのは」ソンジェは心の中で小さくため息をついた。「そんなことないって」母を安心させるために、笑顔で答える。「だったらこの間の話、考えてくれたかい?」「この間の話?」「ほら、おばさんが持ってきてくれたお前のお見合いの話」ソンジェは急に気が重くなった。近所に住む親切なおばさんが、ソンジェの帰国を待っていたかのようにお見合いの話を持ってきたのだ。どうやら母が頼んでいたらしい。ソンウが駆け落ち同然で日本に行ってしまってから、ソンミンとソンジェには絶対に韓国の女性と結婚し、韓国で住むように、母は願い続けていた。ソンジェが葉子に心を奪われたまま帰国した様子を見て、母は何か感じるものがあったようだ。あわてて近所のおばさんに話をしにいっていた。「悪くないと思うよ。いい娘さんみたいだし」相手の写真を見せてもらったような気がするが、覚えていない。見合い相手がどんな娘か、ソンジェはまったく関心がなかった。「お前は韓国人の娘さんと結婚して、ここに住むんだよ」「・・・」「ソンウのような生き方は許さないからね」葉子と結婚できるとは考えていない。再び会えるかさえもわからない。それでもソンジェは葉子への想いを消したくはなかった。彼女を愛したまま、他の女性と結婚することは不誠実だと考えていたのだ。もちろん愛していない女性を抱けるとも思っていない。「母さん・・・」ソンジェが母を説得しようとしたとき、ソンミンが庭からやってきた。「ソンジェ、兵務庁から手紙だ」差し出された手紙を見る。『兵役か・・・』ソンジェは葉子の姿を思い浮かべた。『葉子さん、少なくとも2年は会えないんだね。いや、生きていたら・・・の話だ。いつ何があるかわからない。もし戦地に派遣されたら、もう2度と貴女には会えなくなるかもしれない』緊張で体が震えるソンジェだった。
2005/09/15
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ソンジェの眼下には、東京の街が小さく見えた。大韓航空機が成田空港から飛び立ったところだ。みるみる小さくなっていく風景に、ソンジェは胸が痛んだ。『葉子さん、さようなら』半年前、ソンウを探しに成田空港に降り立ったときのソンジェは不安で一杯だった。日本語の看板が林立する町を、リムジンバスで新宿に向かっていた時、葉子の姿を見かけ・・・一目で恋に落ちた。『陶芸教室で作った茶わんを眺めていた貴女。かわいらしい微笑みに、僕はときめいた。何度も偶然が重なり、貴女と会うことが出来、話をして、そして・・・貴女も僕のことを愛してくれた。夢のような時間が過ぎっていったね。いろいろと辛いことがあったけれど、僕は貴女を愛したことを後悔していない。貴女と過ごした時間は、僕の心の中の一番静かなところにしまっておくよ。僕の聖域(サンクチュアリ)に。もし、また貴女に出会えたときは、それはもう偶然だって思わないよ。貴女を愛してもいいって、運命から許可をもらったことにするから。もし、また貴女に会えたら・・・・。そのときまで、さようなら、葉子さん』ソンジェの目には、もう東京の街は見えず、かわりに白い雲がじゅうたんのように広がっていた。成田空港を飛び立ってから2時間半後、ソンジェはソウルの仁川国際空港に着いた。バスに乗って、ひとたびソウルの町に出ると、とたんにハングルの洪水になる。ソンジェはほっとした。やはり異国で緊張をしていたらしい。バスの中で少し眠った。自宅に続く道をソンジェは歩く。春にはケナリの花が満開になる道だ。ソンジェは、葉子が病院にもって来てくれたケナリの花を思い出した。『あの日、僕は葉子さんと一緒にいたいって、言ったんだった』何を見ても葉子を思い出してしまう。自宅の庭で、母が犬の世話をしていた。ソンジェの姿を見つけると、満面の笑みを浮かべて走ってくる。「ソンジェ!」「母さん」「ああ、私の息子だ。よく帰ってきたね」力いっぱい抱きしめてくれる母親の姿を見て、ソンジェは「ソウルに帰ってきた」という実感がわいてきた。「ただいま、母さん」その声を聞きつけて、兄のソンミンも駆けつける。「ソンジェ!」「兄さん」「元気だったか?さあ家に入ろう」ソンジェは母と兄に肩を抱かれて家に入った。真っ先に父の遺影の前に座る。『父さん、ただいま。親不孝な息子でごめんなさい。ソンウを探し出して、父さんに会わせたかったんだ。でも間に合わなかった・・・・。父さんも僕が日本に行っている間に死んでしまうなんて』ソンジェの後ろからソンミンが言う。「父さんは最後まで、お前とソンウに会いたがっていた。でも胃がんの進行が早くて、間に合わなかったんだ」「胃がん?兄さん、父さんは胃がんだったのか?」「そうだ。お前が日本に行く前はわからなかったんだが・・・」母がお茶をいれてやってきた。「ソンジェ、ソンウのことは何かわかったのかい?」ソンジェとソンミンが目を合わせる。ソンミンには電話でソンウの死を知らせていたが、母にはまだ言っていなかった。自分が直接言うと、ソンミンに伝えていたのだ。「母さん・・・。ソンウは・・・死んでいたんだ・・・」「何だって?ソンジェ。そんな嘘を言ってはいけないよ」「嘘じゃないんだ。僕がソンウを探し当てたときには、もう・・・」そう言いながらソンジェは、かばんの中からソンウの遺骨が入った箱を取り出した。佳織から託されたものだ。母にそっと手渡す。「ソンウ・・・ソンウ・・・」母はがっくりと座り込んで、ソンウの名を呼び続けている。ソンミンも涙を流していた。「なんてことだ。こんな姿になって」母は憎しみのこもった目で叫ぶ。「日本になんかやるんじゃなかった。ソンウは日本の女にだまされて死んだんだ!」ソンジェは杉原刑事を思い出した。『お互いのせいにしていても、何の解決にもならないのに』「それは違うよ、母さん」「何が違うんだ」「日本人にもいい人はいるよ。僕はとてもよくしてもらった」葉子の顔を思い浮かべながら、ソンジェは母に言った。ソンミンが鋭い視線を投げかけてきた。「まさか、お前まで日本の女に骨抜きにされて帰ってきたんじゃないだろうな」たちまち母の顔色が変わる。「許さないよ、ソンジェ。お前まで殺される・・・」母の泣き崩れる姿を見て、ソンジェは心が沈んでいった。『葉子さん、貴女を愛し続けることは親不孝なのだろうか』
2005/09/14
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留置所の中で迎える何度目かの夜。葉子の顔ばかり思い出す。今日、葉子が事件当時のアリバイを証言してくれたらしい。アリバイの確認が終われば釈放される。ほっとしたのは事実だが、どこかやり切れない。葉子が杉原と山崎にアリバイの証言をした後、杉原がソンジェに言った。「お前とあの奥さん、出来ているんだってな。医者の奥さんだぜ。お前、どうやってひっかけたんだ?」ソンジェの顔色が変わった。「何もしていないです」「そんなわけないだろ。一緒に江ノ島に行ったと証言していたぞ。江ノ島で2人で何してたんだ?」葉子との大切な思い出を踏みにじられたように感じ、ソンジェはいたたまれなくなった。『葉子さん、貴女と2人で過ごした時間は、誰にも知られずに僕の心の中で大切にしておきたかった。貴女が証言してくれたおかげで僕は明日釈放されるだろう。でも僕は素直に喜べないよ』自分の不甲斐なさが、情けなかった。留置所の部屋の隅で、ソンジェはひざを抱えたまま朝を迎えた。翌日、山崎がソンジェのところへやってきた。「アリバイが確認された。ソウルへ帰れるぞ」ソンジェはゆっくりと立ち上がった。警察署の廊下を歩いていると、安岡が待ってくれていた。「安岡先生」「ソンジェくん、よかったね」にこやかな笑顔で手を差し伸べてきた。大きなその手をソンジェは握りしめる。「ありがとうございます」「いや、お礼なら私より井出さんだ」『葉子さん、ありがとう』ソンジェは心の中で呟いた。「痛えなぁ。俺が犯人だって決まったわけじゃねぇだろ?手錠をはずせよ」廊下の向こうから、恭一が杉原に連れられてくる。ソンジェの横にやってきた山崎が言う。「パスポートの売買による旅券法違反だ。あんたのパスポートも売りさばいていた」『恭一さん・・・』ソンジェは暴れる恭一を見つめた。恭一もソンジェに気がつく。ソンジェの側を通りながら、「俺はこのままじゃ終わらねぇぞ」と言い捨てて、廊下を曲がっていった。安岡と一緒に警察署を出る。太陽の光がまぶしかった。「ソンジェくん、ひとまず私のアトリエに来るかね?」「いいえ、領事館に戻ってきたパスポートを受け取りに行きます」「そうか、それじゃあ領事館の帰りに寄りなさい。警察署ではあまり食べれなかっただろう?何かおいしいものを作って待っているよ」安岡の好意が身にしみた。「ありがとうございます」ソンジェは韓国領事館に向かった。翌日、ソンジェがソウルに帰る日がやってきた。空港まで送るという安岡に礼をいい、丁重にことわった。行くところがある。見慣れた道を、ソンジェは歩いた。雨が降りだしてきた。『葉子さん、また雨だね。貴女と会う日は雨が多かったね。雨が僕と貴女を引き合わせてくれたんだ』葉子の家が見えてきた。公衆電話から、葉子に電話をかける。出ない。『葉子さん、ソウルに帰るまでにもう一度会いたい。もう貴女と一緒にソウルに行きたいということはできないけれど、でも会いたいんだ』ソンジェは葉子の家の前までやってきた。窓のカーテンが揺れている。ソンジェは、昭彦に葉子を愛していると宣言した日のことを思い出していた。『愛してる、葉子さん。たとえ許されない恋でも、僕は貴女のことを愛しているんだ』部屋の中で人影が動いた。窓に近づき、外を眺めている。ふとソンジェの姿を見つけ、雷に打たれたように動かなくなった。「ソンジェ!」葉子だった。葉子は青い傘をさして飛び出してきた。葉子とソンジェは見詰めあう。『葉子さんの優しい瞳。きっと忘れない』降りしきる雨の中、思い出の公園へと2人は歩いていった。公園の中央にある大きな木の下で雨宿りをする。「雨・・・」ソンジェは呟いた。「また雨だね」「私、これからソウルへ帰ります。貴女にお礼が言いたくて、会いに来ました」葉子が軽く微笑む。ソンジェは葉子のほうを向く。「ヨウコッシ、どうもありがとう」葉子から視線をはずし、落ちてくる雨を見つめた。「ソウルに帰っても、貴女のこと忘れません」葉子は青い傘をそっとソンジェに渡した。『貴女は思い出も僕に返すつもりなの?僕は貴女のこと絶対に忘れない』“また出会えるといいですね”ソンジェは韓国語で言った。葉子は何も答えず、遠くを見ているだけだ。葉子にわからなくてもいい。いや、わからないほうがいいのかもしれない。また彼女に出会い、再び恋に落ちる自分を想像してみた。『いつか貴女と再びであったとき、僕はきっとまた貴女に恋するだろう。そのとき貴女は・・・・』身を切られるような思いでソンジェは言った。「アンニョンゲセヨ」(さようなら)目を合わせないままの葉子から、ソンジェは離れていく。どんどん葉子から遠くなる。『葉子さん!!』ソンジェが心の中で叫んだとき、葉子の声がした。「ソンジェ!!」振り返ると、葉子が走ってくるところだった。傘を手から離し、ソンジェは葉子を抱きとめた。甘い花の香りがソンジェを包む。いとしい想いが、ソンジェの全身を駆け巡った。「葉子」このままずっと葉子を抱きしめられたらどんなにいいだろう。ソンジェは葉子に口づけた。どれほど愛しても、葉子と一緒にいることはかなわないのか。それでも今、ソンジェは自分の気持ちを葉子に伝えずにはいられなかった。葉子の柔らかな唇をおしつつむように、何度も何度も口づける。言葉に出来ないほど・・・・ソンジェは葉子のことを愛していた。
2005/09/13
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長い長い1日が終わろうとしていた。杉原の執拗な取調べによって、ソンジェの疲労はピークに達していた。うつろな瞳で杉原を見つめるソンジェに向かって、「ぐっすり眠れると思うなよ!」という捨て台詞を吐いて、杉原は取調室から出て行く。『これでやっと休める・・・』ソンジェの願いもむなしく、杉原と入れ替わりに山崎が入ってきた。とうとう一睡も出来なかった。明るい朝の光が窓から差してくる。普段なら気持ちがいいはずの朝の光が、今日は苦痛以外のなにものでもない。頭が朦朧としている。「なぁ、もういいかげん吐いちまえよ。やったのはお前なんだろ?」杉原が相変わらずソンジェを犯人だと決めつけたいい方をする。「事件当日、お前はスーパーの店長を包丁で脅し、現金を奪った挙句、彼を殴打した。そうだな」『違う、そんなことやっていない』ソンジェは心の中で叫んだが、もう、ものを言う気力も残っていなかった。「眠いか。吐いたら、いくらでも寝かせてやるよ」杉原がソンジェの肩を抱いて揺さぶる。頭が割れそうに痛くなった。「私、やってない・・・」やっとのことで答えた。杉原がソンジェの耳元で怒鳴る。「お前だ!お前がやったんだ!」頭痛がひどくなる。そこへ山崎が入ってきた。扇子でさかんにあおいでいる。「どうだ?」「いや・・・なかなかしぶとい奴ですよ」「そうか」山崎が何か言おうとしたとき、ドアから警官が入ってきた。山崎に耳打ちする。「え?そうか。わかった」再び山崎は取調室から出て行った。「これ以上手間を取らせるなよ。お前ら韓国人の取調べがまだまだあるんだよ。お前1人に時間をかけられねぇんだ!」杉原のいまいましそうな声を聞きながら、ソンジェは気を失ってしまった。ソンジェの顔に水がかけられた。はっとして顔を上げる。取調室の机の上で気を失っていたらしい。杉原がにやにやしながら言う。「警察をなめんじゃないぞ。今日こそ吐いてもらうからな」顔についた水を掌でぬぐっていると、山崎が入ってきた。杉原を呼ぶ。「井出さんの奥さんが来ているんだ」ソンジェは思わず山崎の顔を見た。「担当医の奥さんが?」「事件当日、一緒だったそうだ」ソンジェを置いて、山崎と杉原が出て行く。『葉子さん!どうして?僕のために証言するの?』ソンジェは葉子を守るどころか、自分の身一つ自由に出来ないことに苛立った。『ごめんよ、葉子さん。貴女には迷惑をかけてばかりだ。貴女を愛したことは、やはり罪なのだろうか』しばらくして取調室にいた警察官が、山崎からの連絡を受けて、部屋からソンジェを出した。よろよろと廊下に出て行く。ふと廊下の先に目をやる。そこには忘れもしない葉子の姿があった。『葉子さん!』愛しても愛し足りないくらいいとしい人が立っている。しかし抱きしめることは出来ない。『葉子さん、僕は無力だ。貴女ひとりを守ることも出来なかった。貴女にまで迷惑をかけるなんて・・・。』ソンジェは葉子を見つめた。葉子は目に涙をいっぱいためてソンジェを見ている。葉子を見つめ続けるソンジェの腕を、警察官が引っ張る。「さあ、こっちへ来い」ソンジェは何度も振り返りながら、廊下を歩いていった。
2005/09/12
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「チョン・ソンジェ、強盗および傷害の容疑で逮捕する」年配の刑事が逮捕状をかざす。若い刑事に手錠をかけられ、ソンジェは身動きが出来なくなった。「私じゃないです。私、やってないです!」ソンジェは必死に訴えた。「話なら署で聞く」年配の刑事が淡々と答えた。「ソンジェ!!」葉子が叫ぶ。「ヨウコッシ!!」ソンジェは葉子の顔が見たかった。しかし若い刑事の腕がソンジェの体を自由にさせてくれない。そのまま、玄関の前に止まっていたパトカーに押し込められた。パトカーがサイレンを鳴らしながら動き出す。ソンジェの視界から、葉子の姿は消えてしまった。パトカーが大久保中央署に着いた。ソンジェは両脇を2人の刑事にかかえられて、警察署の中に入っていった。『これから僕はどうなるんだろう?』恐ろしいほどの不安が胸にあふれてくる。『安岡先生は知り合いの弁護士に、僕のことを頼んでくれると言ってくれた。でも僕が逮捕されたことを、安岡先生は知らないんだ。どうすれば・・・。しかし葉子さんはどうなったんだろう?彼女の夫は、そう簡単に葉子さんを許さないだろう。今も殴られているんじゃないだろうか。ごめんよ、葉子さん。貴女を守ってあげたいのに・・・』ソンジェは葉子のことが気がかりだった。「さ、ここに入れ」突き飛ばされるように、ソンジェは小さな部屋に入れられた。机と椅子がおいてある。どうやらここで取調べをされるようだ。『僕が何もやっていないことを、日本の警察は信じてくれるのだろうか?』ソンジェは、鋭い目でにらみつけてくる若い刑事を見た。ソンジェのことを、まるで憎んでいるような目だ。年配の刑事が入ってきた。「さ、ここに座りなさい。・・・日本語は、わかるね?」「はい。日本語、だいたいわかります」粗末な椅子に腰掛けながら、ソンジェは答えた。「わからないことがあったら、遠慮なく言いなさい。通訳の手配をするから」親切な言葉に、ソンジェは少し安心した。「私は山崎、こっちは杉原だ。これから君の取調べを担当する。わかったね」中年の刑事は、山崎だと名乗った。ソンジェが杉原と言われた若い刑事を見ると、相変わらずソンジェを睨んだままだった。『彼はどうして僕をにらんだままなんだろう?まるで何かうらみでもあるように・・・』取調べの間中、杉原はソンジェに冷たく当たった。温厚な山崎が少し席をはずした間、杉原の取調べはますますきついものになった。「私、何もしていません!」「強情な奴だな。もう吐いちまえよ」「何もしていないのに、したと言えません」「何だと!」ソンジェは椅子から転げ落ちた。杉原が殴ったのだ。唇を切ったらしい、血が流れている。ソンジェは力なく立ち上がり、再び椅子に座った。「いまいましい奴だな。だから嫌いなんだよ、韓国人は!」杉原の言葉に、ソンジェは驚いて彼の顔を見た。「お前ら韓国人や中国人が、俺は大嫌いなんだよ!人の国に来て、悪いことばかりしやがって!俺たちの仕事を増やしてばかりいやがる。反吐が出るぜ!」『韓国人や中国人、そして日本人だっていい人と悪い人がいるのは当たり前のことなのに。でも彼にとって、韓国人イコール犯罪者としか思っていないんだな。こんな場所で、僕は無実だと認めてもらえるようになるんだろうか?』ソンジェは葉子を想った。『葉子さん・・・・』葉子の甘い香りと優しい瞳を思い出し、この状況をなんとか乗り越えようと思った。
2005/09/11
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大阪・松竹座で久々の染タンの舞台!今月の演目は「夢の仲蔵 千本桜」父上の松本幸四郎さんと共演。この舞台は、純粋な歌舞伎ではないんだよね。歌舞伎と時代劇をあわせたような・・・。歌舞伎好きならば、うれしくなってしまう演出。歌舞伎の「義経千本桜」の舞台と、その裏の楽屋の様子を、回り舞台で見られる趣向。時は安政。江戸三座の一つ、森田座ではきらびやかに「義経千本桜」が上演されていた。「伏見稲荷鳥居前の場」「大物浦の場」「道行初音旅」と物語は進んでいく。舞台の上とは違い、楽屋裏では座頭の中村仲蔵が役者たちを叱り飛ばしていた。舞台の出来が悪いと文句を言う仲蔵に、借金取りがいやみを言ったり、役者が聞く耳を持たなかったりと、なかなか収拾がつかない。そんな中、一番弟子の中村此蔵だけは、座頭の味方だった。芝居が好きで好きで仕方がない此蔵の頭の中には、給金のことよりも、憧れの役「佐藤忠信」のことで一杯である。いつか「狐忠信」を演じて見たい。そう思って稽古に励んでいた。そんなバタバタとした楽屋に、とんでもない知らせが入る。忠信役を演じていた四郎十郎が奈落で死んでいたのだ。座員が大騒ぎする中、仲蔵だけは冷静に、四郎十郎の代役を大吉に申し渡す。しかし今度は大吉が奈落に落ちて腰を強打し、動けなくなる。悩んだ末、仲蔵は狐忠信の役を此蔵にやらせることにする。大喜びする此蔵。果たして、四郎十郎は殺されたのか?大吉は誰に突き落とされたのか?謎が謎を呼びながら、森田座の「義経千本桜」は此蔵を代役に幕を開ける。さてその出来は?犯人はいったい誰なのか?↓以下ネタばれあり。染五郎さんがすばらしかった!どうしたんだろう?(といっては失礼かもしれないけど)此蔵の座頭への屈折した感情と、芝居への愛着が、見るものにビンビン伝わってくる。番附に演劇評論家の松岡和子さんが寄稿されているのだが、私も同じ感想。(恐れ多いけど)以下抜粋「染五郎を芯に据え、半歩引いた位置をとりつつ此蔵を手の内に収める仲蔵=幸四郎の大きさが際立つ。それにしても染五郎は素晴らしい。姿の美しさ、たたずまいの端正さ、踊りのうまさ、声のよさ、演技の哀切さ、コミカルなところも垣間見せて、惚れ惚れせずにはいられない。『裏』で描かれる役者同士の、特に仲蔵と此蔵との愛憎半ばする心理の絡み合いは、現代劇もよくする幸四郎と染五郎の独断場である」あぁ、そうなんです~。「義経千本桜」の舞台の上の染五郎さん=此蔵は、ホント艶やかな色気にあふれていて、もううっとりしながら舞台に目が釘付け状態。歌舞伎の衣装の華やかさが、よく似合っていたし、踊りの場面の所作の美しさも、ため息モノ。こ、こんなに素敵だったっけ?染五郎さん。いえ、素敵なのは先刻承知なんだけど、でも今回の舞台は今まで以上に男っぷりをあげていたなぁ~。ま、声のよさってのは、まだまだだと思うけど。なんたって幸四郎さんの滑舌の良さにはかなわないよね。染五郎さんは、早口になったところはセリフが聞き取れなかったりするもの。特に狐詞のところ。この「四の切」は猿之助さんの舞台を何度か見たことがあるんだけど、やっぱり彼の狐は最高だった。本当に狐が化けているように感じたもの。染五郎さんはまだ若いから、これからも修行だよね。頑張れ!染タン。殺しをした後の此蔵のぞっとするような色気と狂気。今までの純粋な此蔵ではなく、肝を据えた人間の強さが感じられた。演出も、「義経千本桜」の「四の切」では早変わりが当たり前なのだが、そこはもちろんのこと、他でもいろいろな工夫があった。此蔵が奈落で大吉を殺した後、出番が来てスッポンから舞台に上がっていく。舞台上手のセットから、此蔵が上へ上がっていったと思ったら、花道のスッポンから此蔵が現れた。え?一瞬の出来事だよ。どうやって来たの?森田座の楽屋裏のセットも、2階建てになっていて、話の中心が1階か2階かでセットが上下していて、見事だった。それから今回は大向こうさんも工夫していた。楽屋裏の話のときは、それぞれの役者の屋号「高麗屋!」などと声をかけるんだけど、いったん「義経千本桜」の舞台になったら、中村仲蔵や此蔵の屋号「坂田屋」?に変わっていた。すごい、芸が細かい~~~。感動しちゃった。私はオペラグラスで染タンばかり追っていたんだけど、いやはや素敵過ぎて目の保養になりんした。ラストシーンは泣きますぞよ。私、また泣いちゃったもん。此蔵の悲しいまでの気持ちが、胸に迫ってきて、泣かずにはいられない!此ちゃ~ん!辛かったねぇ~、おばさんが抱きしめてあげるよ~。(こればっか。苦笑)舞台が終わって劇場から出るとき、8年ぶりぐらいにOL時代の会社の上司にバッタリ。びっくり~。久しぶりにお茶してきました。奇遇ですなぁ~。(笑)
2005/09/10
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「昭彦さん、どうして?」葉子がようやく口を開く。「さあ、どうぞ」彼女の問いには答えず、昭彦はソンジェをリビングに通した。ソンジェはリビングとそれに続くキッチンを見渡す。『ここが、葉子さんの家・・・。ここで彼女は毎日暮らしているんだ』部屋を眺めているソンジェに向かって、昭彦は言った。「今日はね、お礼のつもりで来て頂いたんだ」「お礼・・・?」葉子が呟く。「聞くところによると、うちの家内がずいぶんとお世話になったそうだね」「あなた・・・」「お前は黙っていなさい!俺は彼に話しているんだ」「いったいどういうつもり?」「どういうつもり?俺が聞きたいよ。お前こそ、どういうつもりだ!」冷静に話をしようとしているようだが、しだいに昭彦の声が大きくなっていく。「いいものを聞かせてやる」昭彦は、背広のポケットから葉子の携帯電話を取り出した。ソンジェの目の前に携帯電話をかざし、メッセージを再生させる。“ソンジェです。電話してごめんなさい。私のことは心配しないでください。さようなら”ソンジェはいたたまれなかった。葉子を安心させたい一心でしたことが裏目に出てしまった。葉子とソンジェの関係を証明するものになってしまうとは。苦しげな表情で昭彦が呟く。「ふふふ、まるで恋人同士だ」葉子が携帯電話を奪い返す。彼女の悲しい顔を見て、ソンジェは心が痛んだ。『僕が葉子さんのことを好きになったんだ。彼女はいつもとまどっていた。それなのに僕は自分の気持ちに抗えなくなって、彼女を抱いた。その行為自体は後悔していない。でも、葉子さんの夫に知られた以上、彼女の立場は悪くなる。どうしたら彼女を守ることができるんだろうか』「この男とはどういう関係なんだ?」昭彦は葉子に詰問する。「俺の知らないところでお前たちは会っていたんだ。病院でも江ノ島でも、そうだな?」ソンジェは考えをめぐらせていた。『事実を認めるわけにはいかない。どうしたら・・・』葉子がしばらくの沈黙を破って言った。「ええ、会っていたわ。話し相手がいなかったから・・・。話し相手になってくれただけよ」ソンジェは葉子の顔を見つめた。「話をするだけで江ノ島まで行ったのか?」下を向いているソンジェに、昭彦がたたみかけるように言う。「話をしただけか?どうなんだ!」「ごめんなさい」ソンジェはあやまった。「私、葉子さんが貴方の奥さんだとは知りませんでした」「君は私の妻をどうするつもりだったんだ?」“私の妻”・・・昭彦の言葉に胸がえぐれた。『葉子さんは、この男の妻なんだ・・・』「旅先で遊ぶつもりで誘ったのか?そうやって何人もの日本女性に声をかけたんだろう?」昭彦の言葉に、ソンジェは体が熱くなった。『違う!遊びじゃない!葉子さんは僕にとって大切な人なんだ!たとえ人妻でも』「それとも君の国では、結婚している女性とつきあってもいいという法律でもあるのか?」葉子への気持ちを愚弄されたくなかった。ソンジェはそれまで伏せていた目を、まっすぐに昭彦に向けて言った。「私、葉子さんのこと、真剣に好きになりました」昭彦の顔色が変わる。「なんだと」ソンジェは覚悟を決めた。何があっても葉子を守り抜こう。たとえそれが人の道に外れることでも、葉子のためなら喜んでしようと思った。「私、葉子さんのこと、愛しています」言い終わらないうちに、ソンジェの頬が熱くなった。昭彦が殴りつけたのだ。よろけて倒れたソンジェを葉子がかばう。「やめて!」「どくんだ!」「イヤ!」「どけと言っているのがわからないのか!」「この人を殴るんだったら、私を殴って」「何?」涙を流しながら、葉子は昭彦に訴える。「すべて終わったことなの。江ノ島に行って2人で話し合って、それからは会っていないし、もう会うつもりもないし・・・」ソンジェは心が重くなるのを感じた。『葉子さん、貴女は僕とのことを終わりにしたんだね。もう忘れてしまうつもりだったんだね。・・・僕は違う。貴女のことを忘れることなんてできない』葉子の言葉は、昭彦の怒りにますます油を注いだ。「よくもヌケヌケと」「私が悪いのよ。私がしっかりしていればこんなことには・・・。だからソンジェを責めないで」ソンジェの前に立ちはだかった葉子の頬を、昭彦が思い切りひっぱたいた。葉子がよろける。『葉子さん!』ソンジェの前から動かない葉子の頬に、再度昭彦の手が伸びようとしたとき、一瞬早くソンジェは昭彦に殴りつけた。もんどりうって、昭彦が倒れる。ソンジェは葉子の腕をつかんだ。こんなところに彼女をおいていくことはできない。葉子をどんなことがあっても守りたかった。いや守り抜くと自分に誓ったのだ。「一緒にソウルに帰って下さい!」泣き顔の葉子は、何も言わずソンジェの腕に引かれていった。『葉子さん、もう悲しい思いはさせない。どんなことがあっても僕がついているよ。貴女のためなら、僕は誰になんと言われてもいい。人の道を踏み外してもかまわない。貴女さえ、僕の傍にいてくれれば・・・』ソンジェと葉子が外に出ようとしたとき、玄関からいつかの刑事が入ってきた。「チョン・ソンジェだな」『騙された』ソンジェが昭彦の策略に気づいたとき、すでに彼の手には手錠がかけられていた。
2005/09/10
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安土の近くの喫茶店に着いた。ピンク色のその建物は、セルフサービスでコーヒーやケーキを出す店らしい。男はコーヒーを注文し、慣れた手つきで運んできた。口元は笑っているが、相変わらず目は冷たく光ったままだ。ソンジェはふと恭一の言葉を思い出した。「お前の口を封じるために、薬に何か混ぜるかも知れねぇしよ」目の前に置かれたコーヒーを見る。『まさか・・・』ソンジェは頭を振った。コーヒーを一口飲んで、男は話を始めた。「実は昨日、うちの病院に刑事さんが来たんだ」ソンジェはピクリと肩を震わせた。「強盗事件のことで、いろいろ聞かれたよ」「私何もしていません。友達が私のパスポートを盗んで売った。買った人が悪いことしたんです」「しかし警察は君が強盗犯だと決め込んでいる。見つかったら君は逮捕されるだろう」ソンジェは思わず大きな声を出した。「私、やってない!」この男に無実を訴えてどうなるんだ、ソンジェはそう思ったが、強盗傷害犯だと認めるわけにはいかない。「お願いです、警察に言わないでください」ソンジェが安土にいることを警察に通報されれば、安岡に迷惑がかかる。それに、もうソンジェには行くところがなかった。「誤解をしないで欲しい。私は君を警察に通報するつもりで来たんじゃない」ソンジェは男の顔を見た。「以前君が私に乱暴をはたらいたことも、病院を勝手に抜け出したことも責める気はない」「ほんとうにごめんなさい」「もうそのことは気にしなくていいんだ」ソンジェは不安になってきた。『彼は何のために安土に来たんだ?僕をどうするつもりなんだろう』「まぁそのかわりといってはなんだけど・・・私も君に頼みたいことがあるんだ」男はソンジェに有無を言わせないほどの圧力をかけながら言った。「私の願いを聞いてくれないか」一度安土に戻り、安岡に男の家に行くと話す。男が横に立っているので、詳しい話はできない。ただ、男の家に招待されたので、夕食をご馳走になりに行くとだけ告げた。安岡は少し不安そうな表情をした。「ソンジェくん、今はあまり出歩かないほうがいいんじゃないかね」ソンジェが答えるより先に、男が口を開いた。「大丈夫ですよ。彼のことはまかせてください。怪我が完治しないままいなくなってしまったので、とても心配していたんです。彼の元気な姿を見てホッとしました。ま、異国の青年に日本のおいしいものでも食べてもらいたいというわけです」安岡はソンジェを見た。ここでこの男を怒らせるわけにはいかない。ソンジェは無理に笑顔を作った。「安岡先生、行ってきます」安土から出ると、男はタクシーをひろった。「さ、乗りなさい」ソンジェを後部座席に押し込み、自分も乗りこんだ。風景が動き出す。男はどこかへ電話をかけているようだ。「あぁ、志保と和哉をファミリーレストランに行かせてくれないか。今からお客さんをお連れするんだ。食事の用意?あぁ帰ってから言うから」しばらくぼんやりと外を見ていたソンジェは、見覚えのある場所にやってきたことに気づいた。『ここは、葉子さんの家の近くだ。この男は葉子さんの家の近くに住んでいるのか?これは単なる偶然だろうか、それとも』「着いたよ」男に促され、ソンジェがタクシーを降りると、男は先に立って歩き出した。「ここが私のうちだ」『ここは・・・・』男が玄関を開けた。ソンジェの戸惑いを笑うように、強引にソンジェの肩を押した。玄関に入ると、中に立っていたのは葉子だった。『葉子さん!!』葉子も大きく目を見開いて、ソンジェを見ている。『この男は・・・。鈴木なんて嘘だったのか。彼は葉子さんの夫だったんだ』驚いて見詰め合う2人に向かって、葉子の夫は言った。「どうした、知らない仲じゃないだろう?」男の目から冷ややかさが消えていた。怒りの炎が燃えている。『彼の狙いはこれだったのか』ソンジェは背中に冷たいものが流れていくのを感じていた。
2005/09/09
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初めて行ったカウプレなるもの・・・。当選者は、 kaochan(*^-^*)さんとSOLEIADOさんとK・Iさんです。ご応募、ありがとうございました。
2005/09/09
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『葉子さん・・・。貴女が通っていた陶芸教室とは、ここのことだったの。さっきまで、ここにいたの?僕は隣の部屋で、ずっと貴女のことを考えていたんだよ・・・。こんなに近くに貴女がいたなんて』葉子とソンジェの瞳が交わす言葉を理解したかのように、安岡は「お茶でも淹れましょうか」といって、隣の部屋に消えた。「こんにちは」ソンジェはぎこちなく言った。葉子の瞳が悲しそうに光る。「どうしてここに?」「ヨウコッシ、ソウルに帰れなくなりました」葉子の表情がみるみる曇る。彼女に心配をかけているかと思うと、ソンジェはますます悲しくなった。「貴方は悪くない」葉子はわかってくれている。『貴女を抱きしめたい。あの江ノ島での恋人同士の時間が懐かしい。本当の恋人同士なら、今ここで貴女を力いっぱい抱きしめて、口づけることが出来るのに。貴女の肌のぬくもりで、この不安な気持ちをなくしてもらうのに。でもそれは出来ないんだよね』「井出さん、お茶が入りましたよ」安岡が葉子を隣室へ呼んだ。葉子はソンジェを見つめつつ、隣の部屋へ消えていった。ソンジェは教室で土に触れてみた。不思議と気持ちが落ち着いてくる。『やっぱり僕は陶芸が好きなんだ。こんなに不安な気持ちのときでも、土に触っていると、安心する。事件のことがなければ、もう少し安岡先生のところで、日本の陶芸について勉強をしてみたいんだけど・・・』ソンジェは一心に土をこね始めた。しばらくして葉子が部屋から出てきた。ソンジェは手を止めて、葉子のほうを向く。葉子はソンジェの後ろを通り、出口へと歩いていった。ソンジェは目で葉子の姿を追う。『貴女は自分の家に帰っていくんだね。江ノ島で、僕に告げたように、貴女の大切な家族の元へ帰っていくんだ』名残惜しそうな瞳で、ソンジェは葉子を見つめる。「大丈夫、きっとソウルに帰れるわ」葉子の言葉に、ソンジェはかすかに頷いた。ガシャーン。店のほうで大きな音がした。安岡は顔色を変えて、店に走っていった。葉子とソンジェがそれに続く。店の入り口に置かれていた傘立てが倒れて割れていた。『誰かが僕と葉子さんを見ていたのか?』ソンジェは悪い予感がした。翌日、ソンジェが安岡の手伝いをしていると、鋭い視線を感じた。教室の入り口へ視線を走らせる。そこには、ソンジェが事故で入院したときの主治医が立っていた。冷たい視線でソンジェを見つめている。彼は笑顔を見せながら、教室に入ってきた。「やあ、元気になったようだね」目は笑っていない。『なぜ彼がここに?』ソンジェは不安になった。安岡が話し声に気がついて、隣室からやってきた。「いらっしゃいませ」「こんにちは。私緑生会病院で外科医をやっております鈴木と申します」鈴木と名乗った男は、ソンジェから視線を離さない。安岡に対して、ソンジェが完治せずに退院してしまったので心配していたことなどを、話していた。「よかったね、いい人にめぐり合えて」ソンジェは男の顔を見る。彼の瞳には、冷たく凍った炎が揺らめいていた。『なぜだ?彼はなぜこんな目で僕を見るんだ。獲物をしとめる前の蛇のような目だ』「どうだい、ちょっとそこまで。話があるんだ」男は相変わらず冷たい微笑を浮かべながら、ソンジェに言った。ソンジェは安岡を見る。「そこまでなら大丈夫だろう。ソンジェくん、行ってきてもいいよ。こっちの作業は私がやっておくから」安岡の言葉に、男は喜んで言った。「ほら、先生の許可ももらったから、さ、行こう」気乗りがしないまま、ソンジェは男と近くの喫茶店に行った。
2005/09/08
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ヨン様インタビュー載ってますよ~!毎週木曜日に、朝刊に挟まれている「Zip Zap」というテレビ番組表。表紙は今話題の人のインタなんだけど、今週はペ・ヨンジュンさんがゲストでした。何気なく朝刊を見ていてビックリ!さっそくヨン様ファンの母に電話をしました。ヨン様ファンの方は、必見!でも「四月の雪」のストーリーって、トニー・レオンとマギー・チャンの「花様年華」に似てない?ウォン・カーウェイ監督の作品って好きなの。主演の2人もとっても素敵で、いい映画でした。さて「四月の雪」はどうなんでしょうね。
2005/09/08
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朝食の片づけを終えて、安岡が手を拭きながらソンジェのところへやってきた。「少しは落ち着いたかい?」「はい。ありがとうございます」安岡はいすに座り、ソンジェにも座るように言った。「君に何があったか教えてくれるね?」ソンジェの目をのぞきこむように、安岡は言う。ソンジェはうつむきながら、パスポートを恭一に売り飛ばされたこと、そのパスポートを手にした人間が、スーパー強盗を働いたこと、警察はソンジェを疑っていることなどを話した。「私、悪いことしてません」ソンジェは安岡に訴える。「あぁ、私も君を信じているよ。あれだけ陶芸を愛している君が悪い人間であるはずがない」安岡の言葉に、ソンジェは心が温かくなった。「しかしなにか証明するものはないかな。ようするに君がその日の午後、強盗にあったスーパーにいなかったことがわかりさえすればいいんだ」ソンジェは大切なことを打ち明けるような口調で言った。「・・・私、江ノ島にいました」「ほぅ」「でもきっと警察は信じてくれない」「江ノ島には一人で行ったの?」安岡の質問に、ソンジェは江ノ島での出来事を思い出していた。葉子を抱きしめ、葉子に愛されたあの日。『江ノ島・・・。葉子さんとの幸せな時間。葉子さん、僕は絶対に貴女のことを口外しないよ』「・・・はい、一人で行きました」安岡の瞳がじっとソンジェを捉えたままだ。『安岡先生にも、本当のことは言えない。葉子さんのためでもあり、また僕のためでもある。彼女との大切な思い出は、僕の大切な宝石なんだ。誰にも言わないで、僕だけの心にそっとしまっておきたい・・・』安岡は何か言いたそうに、じっとソンジェの目を見つめている。ソンジェは、すべてを見透かされているような気がして、目を伏せた。午後になり、安岡の陶芸教室の時間になった。教室の隣の部屋で、ソンジェは時間が過ぎるのを持っていた。部屋の仕切りはガラス窓になっているが、安岡の計らいでブラインドが下ろされている。ガラス戸越しに話し声は聞こえるが、話の内容は聞き取れない。何か話している安岡の声と、女性たちの笑い声が聞こえてきた。ソンジェは息を殺して座っていた。『葉子さんも陶芸教室に通っているといっていた。彼女の作品は、どことなく安岡先生のものと似ていたな。優しさにあふれているけれど、芯の強さを感じる作品。2人は似ているのかもしれない』ソンジェは再び、葉子と過ごした懐かしい時間を思い出していた。『葉子さん、今貴女はどこで何をしているの?もう会えないんだろうか。いや、会っちゃいけないんだよね?』話し声が途絶えた。「もう平気だよ」安岡がガラス戸を開けていった。ソンジェは部屋から出て、大きく息を吸った。今までこの教室で安岡から陶芸を習っていた生徒たちは、まさか強盗傷害犯として警察に追われているソンジェが、隣の部屋にいるとは思わなかっただろう。ソンジェはそっと外を見た。いつまで自分はここで身を隠していなければならないのだろう。大手を振って外に出て行くことが出来るのは、いったいいつになるのか。そう考えながら、教室のほうへ振り向く。机の下に、クリーム色のエプロンが落ちているのに気がついた。拾い上げると、かすかに甘い花の香りがした。「あ、生徒さんの忘れ物だ。預かっておこう」安岡がソンジェからエプロンを受け取ろうと手を出したとき、教室の入り口に人影が見えた。「ごめんなさい、エプロンを・・・」その人影は、ソンジェの姿を見ると、雷に打たれたように立ちすくんだ。『葉子さん!!!』ソンジェは葉子を見つめたまま、動けなくなった。
2005/09/07
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葉子との思い出の公園で、ソンジェは夜を明かした。時々聞こえてくるパトカーのサイレンの音に、絶えず神経を尖らせながらベンチに座っていた。空が少し明るくなるころにはヘトヘトになってしまった。『明るくなる前に、どこか身を隠すところを探さなくては。もし今警察につかまってしまったら、どうしようもない』何度考えても、ソンジェが日本で信頼のできる人間は、葉子しか思い浮かばなかった。しかし葉子に頼るわけにはいかない。ソンジェはベンチから立ち上がり、歩き出した。しばらく歩くと、見覚えのある道に出た。『ここは・・・』公園で足をくじいた葉子を、家の近くまで送っていった帰りに立ち寄った店だった。「安土」という名前で、陶芸教室と陶芸作品を置いている店が併設されている。ソンジェはそこで、葉子にプレゼントした花瓶を作ったことを思い出した。店主の安岡は、温厚そうな男だ。陶芸に興味を持っているソンジェに優しく接してくれた。『安岡先生・・・』ソンジェは「安土」の店の前に立った。<御用の方は、押してください>店の前に小さく書かれた張り紙を見た。どうやら「安土」は安岡の家でもあるらしい。ソンジェはそっとドアホンのボタンを押した。しばらくして、安岡の声がした。「・・・はい、どちらさまですか?」眠っていたようだ。声がかすれている。「私、ソンジェです。チョン・ソンジェです。前にここで花瓶を作らせてもらいました」「ソンジェくん?いったいこんな朝早くにどうしたんだ?ちょっと待っててくれ」安岡はあわててそう言うと、店のほうにやってきた。店のブラインドが開けられ、安岡の顔が見えた。彼の心配そうな表情を見ていると、ソンジェはどこかほっとした気持ちを感じた。「ソンジェくん」「安岡先生。すみません」「さ、いいから中に入りなさい」安岡はすぐにソンジェにコーヒーを淹れてくれた。「朝ごはん、まだなんだろう?」「・・・はい・・・」昨夜恭一のアパートを出てから、何も食べていない。急に空腹を感じた。「ちょっと待っててくれ。何か作るから」安岡は慣れた手つきで朝食を作り始めた。暖かいコーヒーを飲んでいるうちに、ソンジェは凍りついた心が溶けていくのを感じた。朝食をとり、安岡がその後片付けをしている間、ソンジェは葉子に電話をかけた。ソンジェのパスポートには、たしか葉子の携帯電話番号を書いたメモを挟んでいたはずだ。ソンジェが以前、事故にあったとき、葉子は毎日のように看病に来てくれた。そのとき「何か必要なものがあったら、ここに電話してね。これは私の携帯電話の番号だから」と、メモをくれたのだ。きっと警察は、あのメモから葉子の居場所を突き止め、彼女のところへ行くだろう。いや、もう行ったのかもしれない。昨日、ソンジェがたまらずに葉子に電話してしまったとき、葉子はソンジェからの電話だとわかっていたようだ。ソウルに帰ると告げたまま別れたはずなのに、葉子はまだソンジェが日本にいることを知っていた。ソンジェは葉子に心配をかけたくなかった。せめて自分が無事でいることを伝えたい。ソンジェは葉子の電話に、メッセージを残した。「ソンジェです。電話してごめんなさい。私のことは心配しないで下さい。さようなら」それだけ言うのがせいいっぱいだった。本当は会いたい。葉子の顔が見たい。思い切り彼女を抱きしめ、不安でいっぱいの心を落ち着かせたい。しかしそれはかなわぬ夢だった。
2005/09/06
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ようやくジヌくんの名前(ハングル文字)のケータイストラップが届きました。 韓国からのエアーメールだったので、ちょっぴりドキドキ。(笑)なかなか可愛いし、知る人ぞ知るというストラップなので、ファンとしてはうれしいモノ。でもファンミで、これつけてる人多いだろうな・・・・。さて、はずした前のポラリス・ストラップはどうしよう・・・。
2005/09/06
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葉子と甘く激しい時間を過ごした同じ時、ソンジェのパスポートを持った何者かがスーパー強盗をした。警察はソンジェを疑っている。葉子と江ノ島に行ったことは、誰も知らない。もちろん恭一にも言っていない。ソンジェが出かけたことは知っているが、くわしいことはわかっていないはずだ。いったい誰がソンジェのアリバイを立証してくれるのだろうか。もちろん葉子には頼めない。彼女の立場が悪くなる。ソンジェとの恋は、葉子の家族には決して知られてはならないのだ。もちろんソンジェも、葉子にアリバイの立証を頼むつもりはない。ソンジェは夢のような時間を過ごした、江ノ島での出来事を思い出していた。『葉子さん、貴女は今何をしているの?貴女に会いたくてたまらないよ』恭一が部屋を出て行った隙に、ソンジェは思わず電話の受話器をとった。葉子の携帯電話番号を指で押す。コール音がしばらく響く。『僕はいったい何をしているんだ?葉子さんに電話をして、どうしようというんだ?』ソンジェが受話器を置こうとしたとき、葉子の声が聞こえた。「もしもし・・・もしもし、ソ・・・」懐かしい声だ。もしかして彼女は自分の名前を呼ぼうとしたのか。「もしもし、どなたですか?」潜めた声は、明らかにソンジェからの電話だとわかっているようだ。ソンジェは黙って電話を切った。『ごめんよ、葉子さん。貴女の声が聞きたかった。よけいな心配はさせたくなかったけど、どうしても貴女の優しい声が聞きたかったんだ』その夜、ソンジェは外を走るパトカーのサイレンの音で目が覚めた。横に寝ているはずの恭一がいない。『恭一さん?』上半身を起こして、部屋を見渡す。恭一の姿はどこにもない。ふとソンジェは、廊下から話し声がするのに気づいた。「ブツは渡したんだから、もう借りは返したはずだ。お前らが落としたのは、俺のダチのパスポートだ。いいな、もう俺は関係ないぞ。これでお前らとは縁が切れたんだ。あばよ」携帯電話を切った恭一がにやりと笑いながら、部屋に戻ってきた。ソンジェは怒りで全身が震えるのを感じた。『恭一さんが裏切ったのか?僕のパスポートを・・・』暗闇に立っているソンジェを見て、恭一はぎくりとした顔で立ち止まった。「なんだ?」とぼけた声で言う恭一の胸倉をつかむ。「どういうことだ!」「はあ?」「誰と電話をしていたんだ?」ソンジェの問いに、恭一は答えない。「僕のパスポートを売ったのか?」「仕方なかったんだよ。日本で働きたい外国人のためのパスポートを集めたら、借金をチャラにしてやるって言われたんだよ」「仕方がない?」「そうしないと殺されるかもしんないだろ?」恭一の言い訳を聞いているうち、ソンジェはとほうもなく悲しくなった。「あんただけは裏切らないと信じていた・・・」かばんとジャケットを持って、ソンジェは部屋から出て行く。「おい、どこへ行くんだ」恭一の言葉に、ソンジェは振り返った。「もうあんたの世話にはならない」行く当てもなく歩いていると、パトカーがサイレンを鳴らして近づいてきた。あわてて建物の陰に隠れる。行き過ぎていくパトカーを見つめ、ソンジェは冷や汗を流していた。『どうしてこんなことをしているんだ?このまま僕はどうなってしまうんだろう?』気がつけば、葉子と会った公園に来ていた。彼女と談笑したベンチに近づく。楽しかった思い出が、ソンジェの心に去来する。葉子とまた会う約束をしたこと、ソウルに帰るまでに会って欲しいと言って抱きしめたこと、そしてボートハウスで葉子を抱いたこと。ソンジェは胸がツンと痛くなった。『葉子さん、貴女のぬくもりが欲しい。今僕はとても孤独なんだ・・・』そっとベンチの端に座る。隣に葉子がいた、あの日。彼女の笑顔を思い出しているうち、ソンジェは悲しみに押し流されてしまいそうになっていた。
2005/09/05
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読売新聞朝刊に連載中の「四季」ときどきこの日記でも紹介しているが、今日もいい句があったのでご披露。秋扇(しゅうせん)や 生まれながらに 能役者 松本たかし選者 長谷川櫂氏の解説(’05 9・5 読売新聞より)「能は静かな劇だが、あの静けさは厳しい鍛錬のたまもの。たかしは宝生流能役者の家に名人松本長(ながし)の子として生まれたが、病弱のため能を断念、俳句の道に転じた。能を諦めた人が、やはり自分は能役者だと思う。陰影深い秋の扇である」親子の能鑑賞の舞台を見に行ったとき、小学生の娘が能役者を見て「動いていない!」と言ったのを思い出した。(笑)動きの多い昨今のTVアニメやまんがを見慣れた目には、能の舞台は退屈で動きのまったくない世界なのだろう。そういう私でさえ、狂言はなんとか理解できるが、能はちと理解しにくいのだから。でもあの静寂の世界は好きだけど。
2005/09/05
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恭一のアパートに戻ってきた。部屋中を探す。それほど広くない部屋だ。ここで落としたのなら、すぐに見つかるはずだ。押入れの中、棚の上、電話のまわりなど、細心の注意をはらって探した。しかしどんなに目を凝らしても、ソンジェのパスポートは見つからなかった。『いったいどこにいってしまったんだ?あれがないとソウルに帰れないよ』ソンジェは焦りながら、再び部屋の中を探し始めた。恭一がコンビニ店から戻ってきた。手には弁当が入った袋を持っている。「おい、何してんだ?飛行機に間に合わなくなるだろ?」ソンジェは成田空港まで行ったが、パスポートが見つからなくて戻ってきたといった。「そうか、それじゃ、仕方がないな。ま、よく探してみるんだな」『パスポートがなければソウルに帰れないっていうのに、恭一さんはえらく落ち着いているな。自分のことじゃないから、あまり心配じゃないんだろうか?』ソンジェが恭一の顔を見ていると、彼はソンジェに弁当を渡しながら言った。「ま、腹が減っては・・・というだろう?飯でも食って落ち着いてから、ゆっくり探せよ」袋の中に弁当が2つ入っていた。『恭一さん?どうして2つ弁当があるんだ?まるで僕が帰ってくることをがわかっていたように・・・』ソンジェは弁当を手にしながら、恭一の顔を見つめた。2人で黙って弁当を食べていると、恭一が口を開いた。「お前もドジだな、パスポートをなくすなんて」「ずっとカバンに入れっぱなしだったのに」ソンジェはパスポートがなくなったことが、まだ信じられない。「ここに落としたんだったらあるだろ?犬小屋みたいな部屋なんだから」「盗まれたかもしれない」「バカ言え、誰が盗むんだよ」「そうとしか考えられない」恭一は話題を変えるように、「パスポートがないと帰国できないだろ?どうするんだ?」と聞いてきた。「領事館にいって、再発行してもらうしかない」ソンジェは複雑な手続きのことを思うと、少々気が滅入りながら答えた。「そうか、それがいいな」恭一はにこやかに呟く。ソンジェは心が重かった。翌日の朝、ソンジェが顔を洗っていると、誰かが部屋のドアを叩いた。「金田さん、金田恭一さん」まだ眠っていた恭一が起き上がる。「・・・はい」「大久保中央署の者です」顔色を変えた恭一が、玄関に飛んでいった。ソンジェはガラス戸の後ろへ隠れる。「いや、朝早くからすみませんね。こちらは金田恭一さんのお宅ですね?」年配の禿げた男と若く背の高い男が2人、部屋に入ってきた。「はい。そうですが・・・。俺は何にもやっていませんよ」恭一がつっけんどんに言う。「いや、こちらに韓国人のチョン・ソンジェさんが滞在されていますよね」禿げた男は探るように恭一の目を見る。「はい、それが何か・・・」「実はね、おとといの午後、大久保のスーパーに強盗が入りましてね。その犯人が落としたと思われるパスポートがチョン・ソンジェさんのものだったんですよ」ソンジェは驚愕した。『なんだって?強盗が落としたパスポートが僕のものだったって?』若い男が鋭く言い放つ。「いるんだろ?」「いいえ、いません」「隠し立てすると、あんたも共犯になるぞ」禿げた男が若い男を、目でたしなめる。「それじゃ、チョン・ソンジェさんがお帰りになられたら、署まで出頭するようにお伝えください」「はい、わかりました」ドアが閉まる。ソンジェは息が詰まるような気がした。『どうして?なくなったパスポートを強盗が持っていたんだ?警察は僕を犯人だと思っているのか?』顔色の変わったっ恭一が呟く。「やばいことになったな」『おとといの午後・・・。葉子さんと過ごしていた時だ。葉子さん、会いたくてたまらないよ。僕は強盗犯人に仕立て上げられそうなんだよ』
2005/09/04
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10月22日にオープンする、兵庫県立芸術文化センターの内覧会に行ってきました。阪急西宮北口駅前に建てられた当センターは、阪神大震災から10年を迎えた今年、心の復興、文化の復興のシンボルとしてオープンします。 内覧会なるものに参加するのは、マンションを買ったときぐらいかな。大きなホールの内覧会は、初めてです。さて時間通りに会場に着き、まずはロビーを通って大ホールへ。ロビーは吹き抜けで、床にも壁にも木材がふんだんに使われています。入って正面左側にゆったりとした低めの木の階段があり、右側にはエスカレーターが取り付けられています。エレベーターは、階段の手前左側にシースルーのものが1台。 2階には大ホール、中ホール、レストランなどがありました。レストランは階段の左側で、吹き抜けの2階部分なので、座席からロビーが見渡せます。待ち合わせにいいかも。(座席の場所にもよりますが)大ホールに入ると、司会者が出てきて、各ホールの説明およびデモンストレーションがありました。大ホールのオーケストラピットを動かしたり、カーテンを引いたり、スモークまで焚かれて、なんだか幻想的。(笑)大ホールの壁材は、マホガニーで、床はムク。いすにも木材が多用されていました。クッション部分は、濃紺で落ち着いた雰囲気。舞台正面の音響反射板は、電動で動き、音楽用の舞台から演劇用に早代わりします。壁の両側にも工夫がありました。照明器具を備えた部分が、まるで忍者屋敷の反転壁のように、電動で動くのです。クラシック音楽のコンサートでは、木材で出来た壁のほうを出し、演劇の舞台のときは、その壁を反転させて照明器具を出すことが出来るのです。カーテンはゴールド色で、ドイツ製だとか。実際に幕を下ろして見せてくれましたが、その動きはとてもエレガントでした。 木材がふんだんに使われている大ホールは、大阪のNHKホールと酷似していました。ただ、NHKホールでクラシックコンサートを聴いたとき、木が音を吸収してしまったのか、あまり反響しなかったんですよね。いまいち迫力がなかったというか・・・。今回大ホールで音楽は聴かなかったのですが、そういうことがないといいなぁ。あ、でも反響しすぎるのも、クラシックのホールとしてはよくないんですよね。さて、このホールはどうなんでしょう?中ホールはミュージカルや演劇、能や文楽が上演できるようになっています。座席は800席。あぁ、ここで萬斎さんの狂言が見られたらいいのになぁ~。ここの壁材は、兵庫県産の杉材だとか。小ホールは、関西初のアリーナ形式のホールです。室内楽用のホールで、自然光を取り入れたデザイン。座席番号の横には、点字の表示がありました。大ホール、中ホールにもあったかどうか確認していません。内覧会の後半には、この小ホールでミニコンサートがありました。バイオリンとピアノの演奏で、イザイの「子どもの夢」とラフマニノフの「ヴォカリーズ」演奏はバイオリンが北島佳奈さん、ピアノが前田勇佑くん。二人ともとても若く初々しい雰囲気でした。私、「ヴォカリーズ」大好きなんですよ。偶然こういうところで聴くことが出来て大満足。チェックをいれたのは、エレベーターの広さです。やっぱり兵庫県立美術館のように、少々狭かったです。車椅子が1台乗ったら、それだけで一杯かな。階段にあれだけスペースをとるのなら、エレベーターをもう少し広くしたほうがいいと思いました。2階のロビーにもシースルーのエレベーターがありました。そのほか、車椅子用トイレの横にも、エレベーターがありましたが、車椅子用トイレとこのエレベーターには、表示がなかったので、廊下からは見つけにくくなっています。もっとわかりやすくなるようにすればいいのに・・・。小ホールは3階にあり、中ホールの横からエレベーターで上がります。これは一人用のエレベーターで、1台しかなく、混雑したらどうするのでしょう?小ホールから降りるときも同様です。コンサートの後は特に混雑するでしょう。階段もあるとは思うのですが、見当たりませんでした。将棋倒しにならない工夫はあるのでしょうか?トイレにも木材が使われていました。新しい建物の香りがして、とても気持ちが良かったです。ここでまたすばらしい舞台を見ることが出来ますように。兵庫県立芸術文化センターHP
2005/09/04
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葉子は家族の元へ帰っていった。ソンジェは砂浜をひとり歩く。『葉子さん、貴女は強い人だね。愛していても、別れることができるなんて。僕たちの恋が許されないとはわかっているよ。でも貴女のことを忘れて生きる勇気は、今の僕にはないんだ』心の中でさまざまな想いが渦巻いている。葉子と2人で見た夕日は、すっかり沈んでしまい、かわりに夜の帳が下りてきていた。重い足取りで、ソンジェは恭一のアパートに向かった。恭一の部屋の前に、誰かが立っている。目を凝らして見ると、亡きソンウの恋人、水木佳織だった。「カオリッシ?」ソンジェの声に振り向く。「あ・・・」「どうしたんですか?」佳織には、ソンジェがソウルに帰るとき、一緒に行こうと言っていたのだ。「あの・・・」佳織は驚くソンジェの手に、風呂敷包みを渡した。「これは・・・」ソンジェが風呂敷をとってみると、ソンウの遺骨をいれた箱が出てきた。「ソンウをソウルにつれて帰ってあげて」「カオリッシ・・・」「私、まだ22だから。1からやり直したいし・・・。ソンウのこと、よろしくお願いします」ソンジェは言葉を失った。「誰かいるのか?」恭一が部屋から顔を出した。「ソンジェ、帰っていたのか。ん?誰だ?」佳織の姿を見て、恭一がソンジェに尋ねる。「ソンウの・・・」「あぁ、そうか」恭一は、会釈をする佳織をじっと見ていた。「じゃ」短くいうと、佳織はアパートから出て行く。ソンジェはソンウの遺骨を抱きしめたまま、佳織の後姿を見守っていた。『ソンウ、佳織さんはやり直すって言っているよ。本当は母さんや兄さんに会ってもらいたかったんだけど、彼女がやり直したいって言うのなら、そうさせてあげるほうがいいよね?』ソンジェが帰国する月曜日がやってきた。足取りも重く空港へ向かう。新宿駅からリムジンバスに乗り込んだ。車窓から雑多な看板が見える。『葉子さんをはじめて見たのは、このバスの中でだった。なんて可愛い人なんだろうって思ったんだっけ。あの人と出会えて、抱きしめることが出来たなんて夢のようだ・・・』ソンジェは江ノ島での甘い時間を思い出していた。『葉子さん、僕は貴女のことを忘れない。偶然が重なれば、それは運命の女神に用意された必然なんだって、僕は思うんだ。貴女の家族を悲しませるようなことは出来ないけれど、でもこれからも貴女のことを想い続けていきたいんだ。許してくれる?葉子さん』葉子への想いを再確認するソンジェを乗せて、バスは成田空港へ向かっていった。空港に到着し、ソンジェはかばんに入っているはずの、エアチケットとパスポートを探した。「ない」エアチケットと一緒に入れていたはずのパスポートがない。何度もかばんの中に手を突っ込んでみる。何回見ても同じことだった。「まさか、恭一さんの部屋に忘れてきたんだろうか?」ソンジェはあわてて空港を後にした。
2005/09/03
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