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「また会うという約束はできない」そういう葉子の気持ちを、ソンジェは抱きしめることで包み込もうとした。「ヤクソッ ヘジュセヨ」(ヤクソク、してください)『もう会えなくなるかもしれないのに、このままさよならなんて嫌だ』葉子からは返事を聞けなかったが、ソンジェは来てくれると信じ、江ノ島での待ち合わせ場所と時間を言った。まだ葉子を抱きしめた感触が、腕に残っている。ソンジェは葉子の残り香を感じながら、帰途についた。「おい、遅かったじゃないか。今まで何してたんだ?」恭一の問いに、ソンジェは神妙な顔で座り込んだ。「恭一さん、お願いがあります」「ん?なんだ、改まって」「葉子さんのことです」「葉子って、ああ、あの女か」恭一が“あの女か“といったところで、ソンジェは恭一を少し睨んだ。「私、もうすぐソウルに帰ります。もうしばらくは日本に来られません」「あぁ兵役だろ?」「はい。私の周りで兵役に行っていないのは、私だけです。そろそろ入隊しなければいけないと思います」「それと、あの女とどういう関係があるんだ?」ソンジェは恭一をじっと見つめた。「今後一切、彼女からお金を脅し取らないでください」「脅すなんて、人ぎきが悪いなぁ。車にキズをつけられたんだから、当然だろ?」「恭一さん、私、まじめにお願いしてます。葉子さんは大切な人なんです。これ以上、彼女を苦しめないで下さい」「おい、大切な人って、あの女にはだんながいるんだろ?お前、それでもあの女のことが好きなのか?」ソンジェは静かに頷いた。「そうか・・・。わかったよ。他でもないお前がそこまで言うのなら、もうあの女から金はもらわねぇよ」恭一が金に困っているのは、よくわかっている。時々クレープ屋に、怪しげな男達が金の取立てにくるからだ。だからといって、これ以上葉子を脅してほしくない。ソンジェは恭一の言葉に少し安心した。「おい、ソンジェ。今日また店にお前のファンクラブのやつらが来てよぉ。髪の長い奴が、お前にこれを渡してくれってよ」恭一が手紙をソンジェに渡す。「確かに渡したぞ。俺がお前にちゃんと渡してくれるのか、心配だったらしくてよ、何回もひつこく大丈夫かって聞きやがるんだよ」ソンジェは恭一から受け取った手紙を開けてみた。「明日、10時につくし野駅前で、待っています。志保」髪の長い少女の顔が目に浮かんだ。『彼女、志保って言う名前なのか・・・。でも、明日は葉子さんと約束をした。たとえ彼女が来てくれなくても、僕は待っているつもりなんだ。どうしよう。志保さんに、行けないって言えない・・・』ソンジェは駅前で待ちぼうけをくらう志保の姿を思い浮かべ、心が痛んだ。でも葉子との待ち合わせ場所に行かないという選択肢はない。『ごめんよ、志保さん。僕は自分の恋で手一杯なんだ』ソンジェは心の中で、志保にあやまった。夜が更けても、ソンジェはなかなか寝付けなかった。明日、もし葉子が来てくれたら、ソンジェは自分の気持ちを、葉子にきちんと伝えようと思っていた。葉子が自分の気持ちを受け入れてくれるとは思えない。でも日本に来て、葉子に出会った喜びを伝えておきたい。そうしなければ、気持ちの整理がつかない。葉子の姿を想いうかべながら、ソンジェは明日のことを考えていた。
2005/08/31
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ソンウのアパートに行った帰り、ソンジェと葉子はコリアンタウンを見てまわった。まず銀行に行き、ソンジェは葉子に立て替えてもらっていた入院費を返した。「ソウルの兄が送ってくれました」「いつでもよかったのに。じゃ確かに」明るく言う葉子を、ソンジェはいとおしく眺めた。キムチを売っている店で、ソンジェはキムチの種類を葉子に教える。「ペチュキムチ、オイキムチ、カクテギキムチ・・・」試食の皿から1つ取り、葉子に渡す。「キムチ、ダイエットにいいです」ソンジェの言葉に、葉子は頬をすぼませて、おどけた表情をする。『葉子さん、かわいいね。貴女といると、本当に気持ちが安らかになるよ』ソンジェは葉子の手をとり、チマ・チョゴリが飾られているショーウィンドーに近づいた。「チマ・チョゴリ」指差しながら、葉子に教える。ソンジェは韓国の文化を、葉子にたくさん知って欲しかった。それはすなわち韓国という国で生きてきた、チョン・ソンジェという人間のことを理解してもらうことにもつながるからだ。チマ・チョゴリを見つめる葉子の手に、ソンジェの手が偶然重なる。あわてて手をひっこめる葉子。ソンジェはふと触れた葉子の手のぬくもりを、ときめきとともに味わっていた。チマ・チョゴリを試着した葉子の姿を見て、ソンジェは息をのんだ。思わず口をついて出たのは、ソンジェの国の言葉、韓国語だった。「チョンマ イプダ」(とても綺麗です)「何?今なんて言ったの?」葉子が不思議そうにたずねる。「日本語、わかりません」心臓の音が葉子に聞こえてしまいそうで、ソンジェはわざとそっけなく答えた。『葉子さん、なんて綺麗なんだ。僕の国の衣装が、こんなに似合うなんて・・・。なんだかうれしいよ。いつか貴女と一緒に韓服を着ることができたら・・・』ソンジェは自分の考えに驚き、すぐ打ち消した。同じ店に韓国の楽器・鼓(ジャング)が飾ってある。ソンジェは近づいて、叩いてみた。次に葉子もソンジェのまねをして、ジャングを叩いてみる。ソンジェは葉子を見つめながら、ソンウのことを思い出していた。気持ちよさそうにジャングを演奏しているソンウ。ソンウの姿が、目の前の葉子に重なる。『葉子さん、ありがとう。貴女と過ごしていると、ソンウの死の痛みが、少しずつ癒されていくような気がするよ。貴女がいなければ、僕は、心の痛みに耐えられなかったかもしれない』一緒にいればいるほど、葉子への想いが募ってくる。楽しい時間は、味わっている暇もなく過ぎていった。葉子を送って、いつもの公園に歩いていく。「今日はどうもありがとう」振り向いて明るく言う葉子。ソンジェはこのまま彼女と別れたくなかった。「明日会えますか?」「・・・」「・・・あさってでもいいです」本当なら、このままずっと一緒にいたかった。葉子の顔から、やわらかさが消えた。きりっとした表情になる。「ソンジェさん、私ね、もう貴方に会わないつもりでいたの。でも今日は会ってよかった。貴方のこと少しわかったような気がするし。佳織さんを無事にソウルに連れて帰ってあげてね」ソンジェの胸に、寂しさが押し寄せる。「ヨウコッシ。私、来週月曜日、ソウルに帰ります」「月曜日・・・しあさって?」「ソウルに帰ったら、もう貴女と会うことは、できない・・・。だから、もう一度会ってください」「約束できないわ・・・。ヤクソク、わかる?」「はい。約束、韓国も同じ、ヤクソク。日本語、韓国語、ヤクソク同じです」「そうなんだ」「ヨウコッシ」「ん?」ソンジェは葉子を抱きしめた。そして彼女の耳元で囁く。「ヤクソッ ヘジュセヨ」(ヤクソク、してください)『葉子さん、日本だって韓国だって、ヤクソクの言葉が同じように、相手を思う気持ちは同じなんだ。ソウルに帰るまでに、どうしてももう一度貴女に会いたい。僕の気持ちをきちんと伝えたい。だから葉子さん、会うと約束して欲しい』ソンジェは再び葉子の甘い香りに包まれながら、彼女を思い切り抱きしめていた。
2005/08/30
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ただ今、某ホテルで休暇中。お子ちゃまたちはプールで泳ぎ、私はプールサイドでジヌくんを想い…。あぁ彼が隣にいてくれれば、どんなにいいか!(壊)昨日のヤクソクサイドストーリーは、お休みしました。アクセスが気になるんだけど…。
2005/08/30
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8月29日に、20万ヒットを達成しました。このサイトに来てくださった皆さん、どうもありがとうございました。最近、連日1000ヒットを超えているのは、きっとヤン・ジヌくん人気のおかげなのでしょうね。「ヤクソク」効果とでもいいましょうか。(笑)20万ヒットを記念して、初めてカウプレなるものをいたします~。モノは、大阪バージョンの「はろうきてぃ」グッズ。(笑)ほんとは兵庫県バージョンにしようと思ったのですが、やはりジヌくんが訪れた大阪がいいのではと思い・・・。「大阪のおかん」「大阪キティ物語」「漫才バージョン」の3種類あるのですが、タオルハンカチとケータイストラップをセットにして計3名様に・・・。 ご応募は、こちらまで。http://plaza.rakuten.co.jp/suouiro/mailboxform/
2005/08/29
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ソンウの死を知ってから、ソンジェはぼんやりとした日々をすごしていた。恭一の店を手伝ってはいるが、どこか生気がない。恭一の言うところの、ソンジェのファンクラブの女子中学生3人組が来ても、ただあいまいに微笑んでいるだけだった。恭一が気を利かせて言う。「おい、ソンジェ。ソンウのところへ行ってきたらどうだ?」「はい。帰ってきたら手伝います」エプロンをはずして、店のワゴン車から出る。歩いていこうとすると、ファンクラブの一人が追いかけてきた。ソンジェが以前、葉子に似ていると思った少女だ。「ねぇ、お兄さん。ディズニーランド好き?」「・・・はい・・・」「ソウルに帰る前に、一緒に行こうよ」「でも私、仕事あります」「ディズニーランドじゃなくてもいいから、どこでもいいから付き合って」答えを躊躇していると、少女は不安げな表情で聞いてきた。「誰か付き合っている人がいるの?」思わず葉子の顔が浮かんだが、ソンジェは心の中で「いけない」と呟いた。「いいえ、いません」ソンジェの答えに、少女の顔が輝く。「ほんと?」「はい」『付き合うことはできないけれど、心のそこから好きな人はいるよ。でもそのことを君に言うわけにはいかないんだ』一生懸命に頼む少女を見ていると、葉子に恋している自分を見ているようで、はっきりと断れなかった。新宿にあるコリアンタウンにやってきた。ソンウの住んでいたアパートがある。ソンウはもういないが、恋人の佳織が住んでいる。彼女は体が弱く、ソンウの死のショックから、寝たり起きたりの生活をしていた。ソンジェは放っておくわけにもいかず、たびたびやってきて、彼女の世話をしていた。『ソンウ、僕が日本にいる間、佳織さんにできるだけのことはするつもりだよ。心配しないでいい。お前のお骨と一緒に、彼女もソウルに連れて帰るつもりだから』ソンジェは佳織の世話を焼くことが、ソンウに対する罪滅ぼしのように思えた。ソンウのアパート近くを歩いていると、葉子の姿が見えた。『葉子さん?どうしてここに?』不思議に思いながらも、葉子に会えた喜びで胸が躍る。ソンジェは葉子の近くまで走った。ぐいと彼女の腕をつかむ。「きゃー!」突然の大声に、ソンジェは驚いた。「どうかしましたか?」腕をつかんだのがソンジェだとわかると、葉子は照れて下を向いた。『葉子さん、会いたかった。貴女のそばで安らぎたかった。今すぐにでも貴女を抱きしめたいよ』心の中で呟きながら、ソンジェは葉子と歩き始めた。葉子と一緒にソンウのアパートにやってきた。ドアをノックするが返答がない。「カオリッシ?」声をかけながら入ると、佳織が部屋で倒れていた。「カオリッシ!」あわてて佳織を抱き起こす。葉子が救急車を呼ぼうと、携帯電話を取り出した。「大丈夫です」佳織がささやく。ソンジェは佳織を布団に寝かせてやった。葉子にソンウの写真がおかれている場所を指し示す。「ソンウです」ソンジェの言葉に、葉子は驚いたように目を見開いた。「ソンウ、病気で亡くなりました。私、間に合いませんでした」ソンジェは葉子に、ソンウとのさまざまな思い出を話した。幼いころから2人は仲がよく、夏休みになると利川の叔父さんのところで、作品が出来上がるのを見てきた。「私、陶芸をするのが夢でした。だから葉子さんが陶芸をしていると聞いたとき、とてもうれしかった」「私にくれた花瓶は、貴方が作ったものなのね」葉子の問いに、ソンジェは頷いた。そんなソンウが父親の工場で働くのがいやで、父親に反発したこと。そして日本人の佳織との結婚も反対され、家を出て行ったこと。話をしているうちに、再び悲しみが押し寄せてきた。「ソンウは正直です。私いつも、自分に嘘をついていました」葉子は黙ってソンジェの顔を見つめる。「私、嘘つきです。ずるい人間です」自分を傷つけることで、ソンジェはソンウに対する罪悪感と戦っていた。葉子が口を開く。「ずるい人間は自分をずるいなんて言わないわよ。弟さんだってきっとそんな風には思っていないと思う」ソンジェは葉子を見た。傷ついたソンジェをやさしく包み込むような瞳で見つめている。『葉子さん、ありがとう。僕はソンウに貴女を紹介したかったんだ。僕が好きになった人だって言いたかった。ソンウはきっと見ていてくれていると思う。』ソンジェと葉子は、ソンウのアパートを出た。『葉子さん、これから2人で過ごしたい』そうソンジェが願った通り、ソンジェと葉子はコリアンタウンでひと時を一緒にすごした。
2005/08/28
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大阪・十三の第七藝術劇場で27、28日に「シネマコリア2005」が開催されている。公開作品は「黄山ヶ原」「達磨よ、ソウルにいこう」の他に「どこかで誰かに何かあれば間違いなく現れるホン班長」「大韓民国憲法第1条」の4作品。どれも日本初公開、未配給作品ばかり。私はジヌくんが出ている「黄山ケ原」と「達磨よ、ソウルにいこう」のみ見ることにした。まず「黄山ケ原」時は三国時代。韓国は新羅、百済、高句麗の3国にわかれ、後ろには唐という大国が控えていた。新羅は唐におもねり、その軍事力を頼りにしていた。一方百済は国王が重臣たちの態度に手を焼いていた。とうとうケベク将軍に命をかけて戦うように命令し、彼は妻子を自らの手で殺し、戦争へと赴く。国王に反抗的だった重臣たちにも、ケベク将軍は、「兵を出すか、死かを選べ」と追い詰め、兵を出させることに成功する。この戦術に長けた百済のケベク将軍と、思慮深く、戦を知り尽くしている新羅のユシン将軍、2人の戦いが始まった。まだ同時に、住む場所が違い、言葉も違う者たちの戦いでもあった。悲惨な戦いの場面もあったが、ちらしに「古代の爆笑対決」というコピーがあるように、方言の違いを前面に出して笑いを取っている。また殺し合いだけでなく、相手をいかに馬鹿にするかという戦い(神経戦?)もあり、笑いの場面も数多くあった。特筆すべきは、俳優の良さか。ケベク将軍演じるパク・チュンフン、ユシン将軍役のチョン・ジニョンの2人は、いうまでもなく、友情出演のシン・ヒョンジュン、キム・スンウも、脇役ながら印象深い演技をしていた。なんとも豪華な配役である。私はヤン・ジヌくんの映画デビュー作というので、彼を見るために出かけたのだが、もちろん彼もすばらしかった。彼は王族の子弟で、花郎役。この花郎については諸説があるようで、エリート軍事集団という人もいれば、『新羅国記』には「貴人の子弟で美しい者を選びだして白粉をつけ飾りたてて名づけて花郎といい、この国の人たちはみな尊敬している」という記述もあり、素人は評価に迷うところ。しかし映画の中では、花郎役の役者はみな若く美しい青年ばかりだったので、後者の解釈で作品を作ったのではないだろうか。新羅軍の士気が落ちてきたため、ユシン将軍は人身御供を選び出すことにする。若く美しい青年たちを、百済軍に向かわせるのだ。ジヌくん演じる花郎も選び出され、単身百済軍へと向かう。しかしケベク将軍は、彼を殺して新羅軍の士気があがるのを恐れ、花郎を殺さずに、殴るだけ殴って新羅軍に返してしまう。父親に「命が惜しかったのか」となじられ、ジヌ花郎は再び百済軍へ飛び込み、「殺せ!」とわめく。ケベク将軍は、今度は彼の首をはねるように、部下に命じる。物言わぬ姿になったジヌ花郎は、馬に乗せられて新羅軍へ帰る。ソ~ゼツでした・・・!ジヌくん熱演!何度もリハーサルを繰り返したのか、まるで声変わりのときのように声がガラガラ。一生懸命な演技がGood!彼が登場したときは、もう胸がどきどきして、緊張状態だったのだけど、だんだん血まみれの姿になってきたときは、なんだかかわいそうでした。ジヌくん、時間にすれば少しだけの出演だったけど、とっても印象深い役だった。そのころから美しさは際立っていたわ~~~。(うっとり)ストーリー的には、いろいろな話がもりこまれていたため、少々散漫な印象を受けた。ラストシーンも、いきなり農民の青年がクローズアップされたため、とまどった。もう少し最初のほうから、彼のエピソードを入れていたら、そのような感想を持たなかったかもしれない。また韓国の歴史や地理に疎かったため、それぞれの国や位置関係が最初はよくわからずに、右往左往しながら見始めた。韓国語の方言がまったくわからないのも、面白さを完璧に理解できなかったという点では残念だった。「達磨よ、ソウルへ行こう」「黄山ヶ原」のチョン・ジニョン、シン・ヒョンジュン、ヤン・ジヌらが出演。またもや芸達者な役者たちが、コミカルな役を大真面目に演じていて最高に面白かった。山寺で修行していた3人のお坊さんが、大僧の形見を届けるために、ソウルにある寺に向かう。着いてみれば、その寺は借金のかたにとられていて、住職は逃げてしまった後。わずかに老女と若い修行僧、小坊さんがいるだけ。元ヤクザの男たちが、本尊に向かってめちゃくちゃなお経を唱えるのを見て、3人は我慢できなくなった。そして山寺の坊さん+若い修行僧=4人の坊主VS元ヤクザの4人の男たちの、面白くも物悲しい対決が始まった。対決内容は、フラフープだったり、カラオケだったり、酒豪対決だったり、おおよそ考えられないものばかり。でも彼らは真剣に対決に臨み、一生懸命に戦う。しかし笑いを取るだけではない。借金のかたにとられていた寺のためにロトくじで大当たりをしたころから、「金」を基準に人々が動き出すようになる。まさにロトくじ狂想曲である。人生思惑通りには運ばないけれど、ハプニングがあり、それによって人生がより味わい深いものになる。そうハプニングこそが、人生なのかもしれない。ハートウォーミングなラストがとってもイイ!こんな素敵な映画を、もっと多くの人に見てもらいたい!ジヌくんのお坊さんも、やっぱり素敵。美しい男性は、どんな格好をしても美しいのだ~~~!彼のフラフープ姿、カラオケでお経のラップを歌い、仲間を守るためにキスをするなど、彼の珍しい姿が満載。ジヌくんファンにとって、お宝映像がいっぱい。DVDが出たら、欲しいよぉ~!「追記」関係者席にキノ・キネマ代表で映画パブリシストの岸野令子さんがいらっしゃいました。以前彼女の講演を聞きにいき、エッセイも読んだことがある私は、うれしい驚き。ご挨拶させていただきました。元映画会社勤務だった友人のOさんの知人でもいらっしゃるもので・・・。
2005/08/28
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恭一にもらったメモを頼りに、ソンジェはソンウのアパートを探していた。メモに書かれている住所は新宿区の大久保駅近くだ。『ここら辺は、何度も来たことがあるのに、どうしてソンウに出会えなかったんだろう。東京は人が多いからなんだろうか』メモを見ながら歩いていると、韓国食材店が目に入る。店の前にキムチが量り売りされていた。ソンウへのお土産にするため、ソンジェはペチュキムチとカクテキ2つずつ買った。『これを肴にして、今夜はソンウと飲み明かしたいな。積もる話もたくさんあるし・・・。ソンウが日本に来てからの苦労話を聞いてやりたい。ソンウは僕を家族の中で一番信頼してくれていたんだから。』ソンジェは、ソンウが家出した時のことを思い出し、再び心が痛んだ。『ごめんよ、ソンウ。あの時お前の力になってやれなかった僕を許してくれ。そうだ、ソンウに会ったら、一番にあやまらなくては。それが言いたくて、僕はここまで来たんだから』今日彼に会えてあやまることができれば、心の底に溜まっていたソンウへのすまない気持ちが、解消される。そしてこれからは思い切りソンウの力になってやれるのだ。ソンジェは足どりも軽く、メモに書かれた住所にやって来た。ドアをたたく。「ソンウ、ソンウ、僕だよ、ソンジェだよ」応答がない。留守のようだ。『仕方がない、ソンウが帰ってくるまで、ここで待とう』ソンジェはキムチの入ったビニール袋を持ったまま、廊下に立っていた。しばらくして廊下を歩いてくる足音が聞こえた。『ソンウ?』振り返ると、そこには髪の長い女性が立っていた。ケナリの花を持っている。ソンジェはその花を見て、彼女がソンウの恋人だと確信した。ソンウもソンジェ同様に、ケナリの花が好きなのだ。彼女は、ドアの前にいるソンジェをまじまじと見ていた。ソンジェはあわててドアから一歩下がる。女性はソンジェに背を向け、ドアの鍵を開け始めた。背中が緊張している。「アンニョンハセヨ・・・わたし、ソンジェです」ソンジェは彼女の警戒を解こうとして、声をかけた。「・・・お兄さん?」「はい。ソンウいつ帰りますか?仕事いつ終わりますか?」そうソンジェが言った途端、女性は部屋に入ってしまった。あわててソンジェもドアを開け、中に入る。玄関に立ち、部屋の奥を見て驚いた。タンスの上に白い布が掛けられている。その上にはソンウの写真があった。その隣に白い箱がある。そして・・・位牌。「ソンウ・・・?」「ソンウ、一週間前に病院で息を引き取りました」機械的な口調で、女性が話しはじめた。建築現場で突然倒れ、一度は快復しかけたが、再び入院してしまったこと。医者の話ではソンウはクモ膜下出血だったということ。ソンウは望郷の思いに苦しんでいたこと。そして自分の気持ちを一番わかってくれるのはソンジェで、死ぬまでにソンジェに会いたいと言っていたことなど、最後は涙を流しながらソンジェに語った。ソンジェは頭の中が真っ白になった。『嘘だ!これは・・・これは夢なんだ。あんなに元気で若かったソンウが死ぬわけない』しかしいつまで経っても夢は覚めない。『これは現実のことなのか?ソンウは・・・ソンウは本当に死んでしまったのか?』ソンウの写真の前まで来て、ソンジェは膝をガックリ折った。堰を切ったように涙があふれてくる。『ごめんよ、ごめんよ、ソンウ。遅くなってごめんよ・・・』ソンジェは写真の中から微笑みかけているソンウに向かって、いつまでもあやまり続けた。気がつくと、葉子の家の前にいた。『葉子さん!会いたいよ・・・。僕はどうしたらいいの?ソンウが、ソンウが死んでしまっていたんだよ。僕に会いたいと言いながら・・・。』葉子の顔が見たかった。いや顔を見るだけではなく、声が聞きたかった。凍りついた心を、温めるように慰めて欲しかった。そして彼女に抱きしめられたかった。ソンジェの悲しみをすっぽりと覆い隠すように、きつく抱きしめて欲しかった。風が強く吹いた。葉子の家のベランダに置いてある鉢植えが倒れ、大きな音を立てる。窓が開いて、葉子が出てきた。倒れた鉢を直している。ふと彼女の視線が、こちらに向いた。ソンジェの姿をみとめると、驚いて立ち尽くす。『葉子さん!』ソンジェは心の中で叫んだ。部屋の中から声がして、誰かが出てきそうになった。ソンジェは葉子の家の前から離れる。バス停に続く道を歩く。『葉子さんには家族がいるんだ。僕が苦しい時、勝手に彼女に頼ってはいけない。でも、葉子さん、僕は今本当に辛いんだ。この気持ち、一人でどうすればいいんだろう・・・』すぐにバスが来た。ふらふらとバスに乗り込む。バスが動き出した時、視線を感じたような気がしたが、ソンジェはもう外を見る元気もなかった。
2005/08/27
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ただ今、十三にいます。そう第七藝術劇場でシネマコリア2005を見ているところ。さっき「黄山ヶ原」を見終わりました。ジヌくん美しかったです。これから「達磨よ、ソウルへ行こう」を見る予定。花郎からお坊さんへ、彼の変身ぶりが楽しみ!
2005/08/27
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夜がしらじらと明けようとしている。ソンジェはベッドに横たわりながら、ずっと葉子のことばを思い出していた。「貴方も私も、それぞれの生活があるでしょ?だからもう会わない方がいいと思うの」『葉子さん、もう会わないって本気なの?それでも貴女は平気なの?』葉子とすごした、短いけれどもソンジェの心を潤していた時間。ソンジェにとって、もう葉子に会わなくなるということは耐えがたい苦痛になっていた。『葉子さんに会うためなら、僕はどんなことでもする』白い天井を見つめ、ソンジェは心を決めた。恭一のアパートは、まだ朝もやの中にあった。『久し振りだな』ソンジェはそう思いながら、恭一の部屋へ入る。「ん?誰だ?」寝ぼけまなこの恭一が、玄関に立っているソンジェを見つけた。「ソンジェ!いったいどうしたって言うんだ?病院にいなくていいのか?」「はい。もう大丈夫です」「大丈夫ですって言ったって、こんな時間に退院したわけでもないだろう?」ソンジェはちょっと困った顔をした。「お前、抜け出してきたのか?」恭一の質問に頷く。「そうか・・・。まあいいか。あの医者の顔を見ているのも苦痛だっただろうしな」「ホームレスのおじいさんを見殺しにした、僕の主治医ですか」「ああ、あんな奴は、お前の口を封じるために、薬に何か混ぜるかも知れねぇしよ」ソンジェは、いかにも恭一の考えそうなことだと思い、苦笑いをした。「そういえば、お前にいい知らせだぞ。昨日俺の友達から聞いたんだけど、ソンウの居場所がわかったらしい。住所を控えたから、いってみるといい」ソンジェは重かった心が、少し軽くなるのを感じていた。「ソンウの居場所が?ホントですか、恭一さん」「ああ、今度こそは間違いないらしい」恭一に手渡されたメモを見ながら、ソンジェはソンウの顔を思い出していた。『ソンウ、待っていてくれ。僕が迎えに行くから。もう何も心配することはないんだよ。日本人の恋人のことも、僕が力になってやるから。一緒にソウルに帰ろう』ふと葉子の顔が浮かぶ。『葉子さん。ソンウの居場所がわかったこと、真っ先に聞いて欲しいのは貴女なんだ』日が高くなってから、ソンジェは恭一のアパートを出た。病院を抜け出して、すぐにでも葉子の元へ行きたかったが、彼女の家族のことを思うと、それもできなかった。葉子の家の近くまで行き、公衆電話から彼女に電話をかける。数回のコール音。「はい、もしもし」『葉子さんの声だ!』ソンジェの心臓が、ドクンと音をたてる。「・・・もしもし?どなたですか?」「ヨウコッシ?」電話の向こうで、葉子が息をのむ。「ソンジェさん?」「はい」「今どこ?どこにいるの?」「わたし、貴女の家の近くにいます」「ええ?」「貴女と会った、あの公園で待っています」すぐに行くと言い残して、葉子は電話を切った。『葉子さん、ごめん。驚かせてしまったね。でも僕はどうしても貴女に会いたいんだ。このまま貴女に会わずにいたら、おかしくなってしまいそうだよ』ソンジェは以前葉子とすごした公園のベンチに座った。葉子が自転車に乗ってやってきた。ひどくあわてている。ソンジェはベンチから立ち上がった。「いったいどうしたの?だまって抜け出したりして」「ごめんなさい」葉子の怒った顔を見ながら、ソンジェはうれしくなった。『葉子さん、心配してくれているの?』「まだケガだって治っていないんでしょう?先生も看護師さんも心配してたわよ。私だって・・・心配でいられなかったんだから」『先生が心配してたって?葉子さん病院に行ってくれたの?そんなに心配してくれるってことは、やっぱり葉子さんも僕のことを気にしてくれているってことでしょう?もう会わないなんて、嘘でしょう?』ソンジェは、戸惑いながらソンジェの心配をする葉子がいとおしくてたまらなかった。「わたし、これから、弟、会いに行きます」「え?弟さん、見つかったの?」「はい」「ほんとに?よかった!おめでとう」葉子が喜びながらソンジェの肩を叩く。甘い花の香りが、ふわりとソンジェを包んだ。『葉子さんの香り・・・』ソンジェは葉子の華奢な体を抱きしめた。『葉子さん、もう離したくない。僕は貴女をこの胸から離したくないんだ!』葉子の香りを思い切り感じながら、ソンジェは彼女を抱きしめる腕に力を込めた。驚いた葉子は、ソンジェの腕を振りほどく。どぎまぎしているように、落ち着かない。そんな葉子の様子を見て、ソンジェはますます彼女への想いが募っていくのを自覚していた。「よかったね、ほんとによかった」「葉子さんのおかげ」「私は何にも・・・」「貴女がいなかったら、わたし弟のこと、あきらめていました」「そんなこといいから、ほら、弟さん待っているんでしょ?行ってあげて」『葉子さん、ほんとはもっと貴女と一緒にいたいけど、ソンウに会えたら、また来るよ。ソンウにも会って欲しい。僕の好きな人だって、紹介したいから。ソンウ、きっと喜んでくれるよ』ソンジェは振り返りながら、ソンウの住むアパートへと向かった。
2005/08/26
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「ワタケシ」(と我が家では呼んでいる)についての話題を、再び。公式HPがリニューアルされている。BGMつきなので、この曲を聴いていると、否が応でもさまざまな甘美なシーンを思い出し、切なくなる。解説を読んで、また涙がこぼれる。イ・ジェハン監督とチョン・ウソン氏のコメントが素晴らしかったので、ちょっと紹介。イ・ジェハン監督「お涙頂戴の映画ではなく、観客の心に涙の落ちる音が響くような映画が作りたかった。その涙の音が、私たちの日常生活の一秒一秒を大切に楽しく生きる糧になってくれれば嬉しい。観客を泣かせるために誰かを殺すような考え方は嫌いです。忘れ去られていく悲しみは、死そのものよりも悲しいと思い、記憶の喪失をテーマに選びました。」チョン・ウソン氏(もっとも印象に残っているシーンとその理由を聞かれて)「シナリオを読んだときに一番感動したのは、やはりラストシーンですね。あのシーンは悲劇的な状況であるにもかかわらず、どこかで希望を持たせてくれます。二人がどこかに向かって旅立っていくという姿を見せることで、希望を与えてくれるという点が非常に良かったです。一般的な韓国映画は深刻なものが多いので、どうしても観客に泣いてもらおうと涙を要求する内容が多いです。しかし、このシナリオを読んだとき、エンディングシーンが非常に切ないけれども、見えない希望を探して旅立っていく若い男女の姿を美しく思い、美しい涙を流せるのではないかと思いました。」どうです?どこかのプロデューサー氏に聞かせたい内容ではありませんか?(笑)登場人物に安易に死を与えるのではなく、悲しい結末ながらも、どこかに希望を持たせるストーリー。それが私の求めている「切なさ」悲しいだけじゃ、やりきれない。能天気なハッピーエンドなんか、お呼びじゃない。観終わった後に、しみじみと心に染みるストーリーがいい。こういう考え方の監督や俳優が作り上げた「私の頭の中のケシゴム」監督が「この映画は『カサブランカ』のようなクラシックなイメージで残ってほしいです。10年後に『私の頭の中のケシゴム』という美しく哀しい映画があったな・・・と思い出してもらいたいです。」と語っているように、きっと10年後も20年後も、「切なさ」を正しく理解する人たちの間で、伝説になっているだろう。「私の頭の中のケシゴム」公式HP
2005/08/26
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それから数日は、ソンジェにとって夢のような日々だった。葉子は毎日のようにソンジェの病室を訪れ、なにかと世話を焼く。足の打撲がひどく、しばらく車椅子を使っていたソンジェにとって、彼女の気遣いはうれしかった。食事の時間になると、廊下に出て食事の乗ったトレーを持ってきてくれる。そっと手渡してくれるお茶にも、細やかな配慮があった。ソンジェが苦手なブロッコリーを残している時も、「食べなきゃダメよ」といいながら、ソンジェの口に入れてくれようとする。ソンジェは顔をしかめるふりをして、葉子の手からフォークを奪い、彼女の口にブロッコリーを入れた。『まるで恋人同士のようだね。僕は事故に遭ったことに感謝したいくらいだよ、葉子さん。貴女とこんなにも幸せな時間を過ごすことが出来て』葉子が帰った後は、彼女にもらったケナリの花を眺めて過ごす。『まるで葉子さんのようだ』ソンジェはそっとケナリの花に唇を寄せた。しかし楽しい時間は長くは続かなかった。葉子がソンジェの病室から出て行くのを、恭一が見ていたのだ。「ふぅ~ん。あの奥さん、しょっちゅうお前んとこに、来てんのか」「恭一さん、彼女にまた何かするんじゃないだろうな。彼女に何かしたら、僕が許さない」ソンジェは恭一の目を、まっすぐに見て言った。恭一はソンジェから目をそらせた。「何にもしねぇよ」『あの奥さんに手は出さねぇさ。俺はああいう女にはそそられねぇからな。でも大切な金づるなんだよ』ニヤリと笑った恭一の顔を、ソンジェは不安そうに見つめた。恭一が葉子を見つけた翌日から、葉子はぱったりと姿を見せなくなった。ソンジェは病室の扉が開くたび、はっとして顔をあげる。しかし何度見ても葉子ではなかった。『葉子さん、どうしたんだろう?まさか恭一さんが、また何かしたんだろうか?』「チョン・ソンジェさん、体温を測ってくださいね」いつもの看護師が検温にやって来た。「あの、僕いつ退院できますか?」「そうねぇ。今先生は出張中なので、確かな事はいえないけれど、もうすぐ退院できると思いますよ」退院して、すぐに葉子に会いに行こう。ソンジェはそう思った。退院・・・そういえば治療費を払わないといけない。ソンジェは急に心配になった。治療費はソウルの兄に頼んでおいたが、すぐには入金できないという返事だった。「あの、今お金ないです。もう少し待ってくれませんか?」「治療費のことは一階の会計に行って、聞いてくださいね」「カイケイ?」「後で私が聞いておいてあげましょうか?」「はい、よろしくお願いします」やはり異国での入院生活は、心細い。葉子が来てくれていたときは、全く感じなかった不安が、ソンジェの心に忍び込んできた。しばらくして、さっきの看護師が戻ってきた。「チョン・ソンジェさん、今日までの支払いは済みになっていましたよ」「え?」ソンジェは恭一が済ませてくれたのだと思った。彼以外に日本でソンジェのために治療費を立て替えてくれる人はいない。『恭一さんに、昨日ひどいことを言ってしまったな。彼が来たらあやまらなきゃ』そう考えていると、恭一が顔をのぞかせた。ソンジェは恭一に微笑みかけながら言った。「恭一さんだろ?治療費、立て替えてくれたの」「なんだと?治療費?」恭一は顔色を変えた。「まさか、あの女、くそ」「あの女って・・・。まさか彼女を脅したんじゃないだろうな?」「そんなことしねぇよ」「何言った、あの人に」「何も言ってねぇよ」ソンジェの頭には、恭一に脅されている葉子の姿が浮かんだ。「恥かしくないのか!」ソンジェは恭一の胸ぐらをつかんだ。しかし、すぐに振りほどかれた。「世の中きれい事だけじゃ生きていけねぇぞ」そう言って病室から出て行った。『何てことだ!恭一さんは、また葉子さんを脅したのか。葉子さん、だから来てくれないんだね。僕なんかと、もう関わりたくないと思ったんだろうか?』次から次へと不安が頭をもたげてくる。ソンジェは廊下にある公衆電話へ急いだ。コール音が鳴る。「はい、もしもし」「ヨボセヨ」ソンジェは思わず韓国語を口走った。「あ、こんにちは」懐かしい葉子の声だ。心なしか戸惑っているように聞こえる。「私の治療費、払ってくれたの、貴女ですね」「ええ・・・」「どうもありがと。お金、すぐ返します」「それより、早く元気になって下さいね」葉子の優しい言葉に、ソンジェは不安が消えていくのを感じた。「今度、いつ会えますか?」声だけでなく、葉子の顔が見たい。「・・・ごめんなさい。私、もう貴方とは会えないかもしれません。貴方はソウルへ帰るわけだし、私にも家族がいるから、もうこれ以上は・・・。貴方と会っていると楽しいけど、貴方も私も、それぞれの生活があるでしょ?だからもう会わない方がいいと思うの」『葉子さん?』ソンジェはキリキリと胸が痛んだ。もう会えないなんて考えられない。「ごめんなさい。もう電話切りますね。それじゃあ」電話は切れてしまった。ソンジェの耳に、虚しくツーツーという音がこだましていた。
2005/08/25
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ソンジェが事故に遭って数日が過ぎた。幸いにケガは大したことなく、打撲だけだった。ソンジェは毎日病院のベッドの上で、葉子の面影ばかり思い出していた。『葉子さんは公園に来てくれたんだろうか?もし来てくれていたら、僕が行かなかったのをどう思っているだろう?怒っているかな?あきれているんだろうか。それとも、本当に彼女は、僕が韓国に帰っても何とも思わないのだろうか』いつも考えは堂々巡りをする。『退院したら、やっぱり彼女に会いに行こう』葉子に会えないつらさに耐えかね、ソンジェがそう決心した時、病室の扉が開いた。「アンニョンハセヨ」葉子だった。にこやかに笑いながら、ソンジェのベッドに近づいてくる。手にはケナリの花を持っていた。『葉子さん!どうしてここに?』ソンジェは驚くとともに胸がときめいた。同時に少し困らせてみたくなった。うつろな目を葉子に向け、こう言う。「貴女、どなたですか?」葉子の笑みが消える。「え?私、葉子です。・・・いやだ、わからないの?」」とまどいながらソンジェを見つめる瞳がいじらしくて、ソンジェは思わずクスッと笑った。「ごめんなさい」いつものソンジェの表情に戻る。葉子を一心に見つめる瞳を見て、だまされたと気付いた葉子は表情を和らげた。「もう!」怒るマネをして、ソンジェに手を上げる。ソンジェはその細い手首をつかみ、自分の方に引き寄せたい衝動に駆られた。気持ちを抑えるため、ソンジェは葉子の持ってきたケナリの花に目を向けた。「私の好きな韓国の花です」父親が死んで泣いている時、葉子に見られた恥かしさから、一旦は彼女の前から逃げ出したが、再びコンビニ店の前で出会ったとき、葉子に教えたソンジェの好きな花だった。ケナリの黄色い花を見ているうち、ソンジェは日本での日々を思い出した。ソンウを探し続けたが、いつも無駄足を踏んでしまうこと。大好きだった父親が、突然死んでしまったこと。ソンジェは死に目にも会えず、葬式にも出席できなかったこと。葉子に一目ぼれしてから、どうしようもなくふくらんでいく自分の恋心を、もはや自分ではいかんともしがたくなったこと。「私、日本に来て、いいことなかった」葉子は悲しそうな目をソンジェに向ける。「ソウルが懐かしい。そればかり思っていました」『葉子さん、貴女がいてくれたから僕は頑張ってこられたんだ』「でも、今は帰りたくない」ソンジェは葉子の目を見つめる。「貴女と一緒にいると楽しいです。貴女と一緒にいるとうれしいです。あなたと一緒にいるとほっとするんです」一呼吸おいて、ソンジェはやや力を込めて言った。「・・・だから貴女と一緒にいたいです」既婚者の葉子に自分の気持ちは打ち明けずに、作品に気持ちを込めようと思っていたソンジェだった。しかし予期せず葉子がソンジェの見舞いに現れ、ソンジェは自分の気持ちを抑えきれなくなっていた。黙って聞いていた葉子が口を開く。「私、あの日公園に言ったのよ」ソンジェは胸が高鳴るのを感じていた。「そのままお別れしちゃ、一生後悔すると思って・・・。待ち合わせ場所に走っていったの」『葉子さん、公園に来てくれたのか!』「でも、どこにもいなくて、心配で心配で何も手をつけられなくて・・・」熱い想いがソンジェの体を駆け巡る。思わず葉子の手を握りしめた。葉子はソンジェの手に目をやり、そっとその手をはずす。「勘違いしないでね。私、貴方が思っているほど若くないから」「年、関係ないです。貴女が何歳でも、私、・・・貴女が好きです」ソンジェは一気に言った。そして花瓶を出して、葉子に渡した。『葉子さん、貴女も僕のこと気にしていてくれるんでしょう?それならば、僕はこの想いを、もう封じ込めることはしないよ。貴女に向けて一直線に走っていくよ。いいでしょう?いや、ダメだといわれても、もう、もう僕は我慢できない・・・。葉子さん・・・』
2005/08/24
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その夜、ソンジェは一睡も出来なかった。葉子の気持ちを確かめるためについた小さな嘘。少しでも葉子がソンジェの帰国を悲しんでくれれば、思い切って花瓶を渡すこともできただろう。ただのプレゼントではない、ソンジェの気持ちのこもった花瓶。それを渡しさえすれば「帰国は嘘なんです」と言おうと思っていた。しかし「もう会っても仕方がない」と言われてしまっては、花瓶を渡すどころか、会うことさえ叶わない。ソンジェは嘘をついたことを後悔した。窓の外が明るくなってきた。夜が明けてきたらしい。ソンジェは布団の上に座り、長い間考えていた。『やっぱり公園に行こう。葉子さんが来てくれるまで、公園で待っていよう。僕にできるのは、それだけだから』ソンジェは立ち上がり、身支度をし始めた。ひんやりとした朝の空気が心地良い。ソンジェは火照る心を抱えたまま、公園への道を急いだ。心の中では、葉子が来るという思いと、来ないという思いが、お互いにけん制しあっている。カバンの中に入っている花瓶を、ソンジェはそっと取り出してみた。葉子にもらった青い花瓶とほぼ同じ形だが、葉子をイメージして花瓶の口に小花模様を散らした。ソンジェは、葉子が微笑みながら、ケナリの花をその花瓶に活けている姿を想像してみた。『葉子さん・・・』甘い痛みが胸を貫く。ソンジェは再び花瓶をカバンに入れた。キキキキーッ!急に鋭い音がして、ソンジェは目の前が真っ暗になった。どのくらい時間が経ったのだろう。ソンジェは目を開いた。頭が痛む。消毒薬の匂いのする白い部屋。枕もとには恭一がいた。「おい、ソンジェ、気がついたのか」「き、恭一さん。僕は・・・どうして・・・ここに?」「事故に遭ったんだよ。公園の近くの道路で、お前、大型バイクに轢かれたんだぞ。覚えてないのか?」「ええ・・・」ソンジェは頭をおさえながら、思い出そうとした。『あっ、花瓶!』あわててカバンを探す。「どうしたんだ?ソンジェ」恭一の言葉にも耳を貸さず、ソンジェはベッドの周りを見渡した。油と土に汚れたカバンが、ベッド脇に置いてある。急いで中に手を入れる。花瓶は無傷でカバンの中に納まっていた。『よかった・・・』ソンジェはまるで葉子への思いも壊れることがなく、無事だったような気がしてホッとした。病室の扉が開いて、担当医が入ってきた。ソンジェも恭一も、その医者の顔を見て驚いた。数日前、恭一のクレープ屋の前で、ホームレスの老人が倒れていた。恭一とソンジェは老人を病院に運んだ。すぐ治療してくれると思っていたのだが、そこにいた医者は後から運ばれてきた患者を先に治療し始めた。患者に付き添っていた男は、どことなく尊大な感じで恭一とソンジェを胡散臭そうに眺めていた。ホームレスの老人は、治療が間に合わず、そのまま亡くなってしまった。ソンジェは怒りを押さえきれなかった。その医者の胸ぐらをつかんで、抗議したのだ。しかし彼はソンジェの手を振りほどいて迷惑そうに一瞥すると、行ってしまった。あのときの医者が、ソンジェの担当医だったのだ。彼はとおりいっぺんの診察をすると、看護師と共に病室から出て行った。「おい、今の医者、この間のあいつじゃねぇか」恭一も驚いたようだ。ソンジェは何となく嫌な予感がした。
2005/08/23
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葉子を送った帰り道、ソンジェはショーウインドーに陶芸作品を飾ってある店を見つけた。引き寄せられるように店に近づく。ショーウインドーのガラスに額をくっつけて、作品を眺めた。どことなく葉子の花瓶に似ている。形ではなく雰囲気が、葉子の作品のように、優しげでいて実は強いものを持っているように感じた。「よかったら、中の作品も見るかね?」店の中から温厚そうな男性が出てきた。どうやら店主らしい。ソンジェは彼の柔らかな微笑みに安心し、店の中に入った。「ずいぶん熱心に見ていたね。君も陶芸が好きなのかい?」店主の問いに、ソンジェはこっくりと頷いた。「私は安岡というんだ。趣味で陶芸教室やこの店を開いているんだよ。君はどこかで陶芸を習ったことがあるのかい?」「私、ソンジェといいます。韓国から来ました。叔父さんが利川で陶芸をしていました。私、小さい頃から叔父さんが作品を作るのを見てきました」安岡は利川という地名に関心を示した。「ほう、利川か。陶磁器で有名な所だろう?窯元が40くらいあるときいたことがある」「はい。叔父さんはその中の一人でした」「でした・・・というのは?」「病気で陶芸を続けられなくなりました」「そうか、それは残念だね」安岡はそう言うと、ソンジェの持っている花瓶に目を向けた。「おや、その花瓶は・・・」「私、この花瓶と同じようなものを作りたいです。ここで作らせてもらえませんか?」ソンジェは、葉子にもらった花瓶を、いとおしいものでも見るように、そっと見つめた。「あ、いや、それはいいんだが・・・」花瓶を見ながら、安岡は何か考えていた。それからソンジェは、恭一の店の合間に安土に通うようになった。相変わらずソンウの行方はつかめないままだ。『葉子さんに、僕の作った花瓶をあげるんだ。既婚者の彼女に、僕の気持ちを告げることは出来ない。でも作品の中に、ありったけの僕の気持ちを込めて作るんだ。作品は僕の魂の一部だから・・・。葉子さんの側に、いつまでもずっと置いて欲しい・・・』ソンジェは葉子の優しい微笑を思い出しながら、花瓶を作っていった。ようやくソンジェの作った花瓶が完成に近づいていった。ソンジェはある決心をした。その日もソンジェは恭一の店を手伝っていた。客足が途絶え、一休みしようと思ったとき、ソンジェは離れた所に葉子が立っているのを見つけた。『葉子さん!』ソンジェは葉子のところへ走っていった。「どうかしましたか?」葉子はソンジェの顔を見ると、うれしそうに少し笑った。「ううん、ちょっと近くまで来たついでに。元気かなと思って。仕事中にごめんね」どこか元気がない。ソンジェは恭一に見つからないように、葉子を道の隅に連れて行った。「ヨウコッシ、私、あさって、ソウルに帰ります」「え?」「最後の日、あなたと一緒にいたいです」「・・・」「あなたと話したいです」『葉子さん、ごめん。僕は嘘をついているんだ。あさって帰国するなんて、嘘なんだよ。僕がもし貴女から離れていくと知った時、貴女が少しでも寂しいと思ってくれるか、知りたいんだ。既婚者の貴女とは、偶然に会うことしか望めないだろう?僕がまだ日本にいて、また貴女に会いたいっていっても、会ってくれないだろう?僕はどうしてもあの花瓶を貴女に渡したい・・・』葉子は動揺したようだった。ソンジェは念押しするように、再び言った。「ヨウコッシ、明日もう一度会ってください。明日の朝、あの公園で待っています」葉子はしばらく黙っていたが、意を決したように口を開いた。「ごめんなさい、会えないわ」ソンジェの目を見ずに、葉子は続けた。「お別れするんだから、もう会ったって仕方がないわよ。さようなら」そう言うと走って行ってしまった。「ヨウコッシ!」『葉子さん、貴女はもう会ってくれないの?僕が韓国に帰っても、貴女の心は何ともないの?』ソンジェは、葉子の小さくなっていく背中に向かって、問いかけ続けた。
2005/08/22
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彼女はソンジェの腕の中にいる。驚いた顔でソンジェを見つめている。ソンジェは彼女の体の重みを味わっていた。彼女の優しい表情や、甘い香りはもう何度も感じたことがある。しかし実感を伴っての彼女の感触は、これが初めてだ。息がかかるほど近くに、彼女がいる。ソンジェも彼女の瞳を見つめ返した。「私、ソンジェです。」「ソンジェ?」「なまえ」「ああ、私は葉子」「ああ、ヨウコッシ」『ヨウコッシ、ヨウコッシ、ヨウコッシ・・・』ソンジェは愛しい人の名前を、心の中で何度も呟く。彼女の名前を聞くと、いままでつかみきれなかった彼女の姿が、まるでソンジェの方に一歩近づいて来たように感じる。ソンジェは彼女の体の重みと名前を、手に入れたように思えた。「あの・・・」ソンジェの腕の中で、葉子は戸惑っていた。ソンジェは自転車の荷台にそっと葉子を腰掛けさせた。「ダメ、ダメよ!お巡りさんに見つかったら叱られるわよ」葉子はあわてて言うが、ソンジェは気にしなかった。自転車のペダルを力いっぱい漕ぐ。勢いよく走り出した自転車からは、もう葉子は降りられないだろう。公園の木の周りをぐるりと回る。自転車が揺れ、葉子が軽く叫ぶ。荷台からすべりおちそうになり、葉子はあわててソンジェのシャツにしがみついた。彼女の甘い香りがソンジェの背中を伝って鼻腔にとどく。ソンジェはこのままずっと彼女乗せて走りたかった。葉子の家の近くまで来た。再びソンジェは葉子を抱き上げ、自転車の荷台から降ろした。もう少し彼女といたいという思いを抱えたまま、ソンジェは彼女に「さよなら」と言った。少し歩いたところで、葉子に呼び止められた。あわてて振り向く。「あの、これよかったらどうぞ」彼女が差し出したのは、花瓶だった。「私が陶芸教室で作ったの。差し上げるほど上手くないんだけど・・・。」はにかみながら、言う。ソンジェは花瓶に目を落とした。青い色のかわいらしい作品だった。ソンジェは新宿に向かうバスの中で、初めて葉子を見かけたときのことを思い出した。『あの時も思ったんだ。彼女の作品は優しくて控えめだけれど、芯の強い人柄を感じさせるって。この花瓶も同じだ。技術はそれほどでもないんだけど、こう、なんて言ったらいいか、作品からにじみ出る魅力があるんだ』幼い頃から、陶芸家の叔父を見てきたソンジェは、土を触っている時間が好きだった。自己主張をすることの少なかったソンジェだが、陶芸作品には自分の気持ちをこめることができた。葉子も土を触る時間が好きなのだろうか。ソンジェは彼女の手を盗み見た。「あっ」葉子が軽く声を上げる。「これ、ちょっと欠けちゃっているわ。」そういいながら、あわてて花瓶を引っ込めようとした。ソンジェは腕を伸ばし、花瓶を受け取る。「あ、でも・・・」ためらう葉子に向かって、にっこりと微笑みかけ、ソンジェは花瓶を抱きしめた。『彼女の作品・・・。彼女の作品が僕のものになった・・・。』葉子に会釈をして、ソンジェはもと来た道を歩き出した。
2005/08/21
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彼女の白いハンカチの縁には、細かなレースが付いていた。ソンジェの濡れた髪を拭き、次に肩や手を拭いてくれた彼女の華奢な手を見ながら、ソンジェは冷え切った心が、ほんのり温かくなってくるのを感じていた。「ありがとうございます」ソンジェは彼女を見つめながら言った。「いいえ」彼女はちょっとはにかんだように、微笑む。しばらく沈黙が流れた。「あの・・・」2人が同時に声を出す。「あ、貴女からどうぞ」「いえ、貴方から言って」「この間のこと、彼は僕の親戚です。心の底まで悪い奴じゃないです。“愛より金だ”が口癖で、お金のことになると、まわりが見えなくなるところがあるんです。でも、信じてください。僕は彼が貴女を脅していること、知りませんでした」ソンジェの必死の訴えを、彼女は真剣な表情で聞き入っていた。そして静かに口を開いた。「ええ、わかったわ。私は貴方を信じます。この前、私は貴方があの人とグルだと思い込んでしまったの。雨の日に傘を貸してくれたのも、自転車を直してくれたのも、すべて仕組まれたことだと思ってしまって・・・。」ソンジェはあわてて言う。「違います。仕組んだんじゃありません」『貴女に会いたいと念じ続けていたのは事実だけど、それは貴女を陥れるためではなくて、貴女が好きだから・・・。』「わかったわ。あの雨の日も、自転車のことも、貴方の親切心からなのよね」そう言うと彼女はニッコリと笑った。ソンジェは少し悲しくなった。『親切心・・・?そんなんじゃない。僕は貴女のことが好きなんだ』彼女は空を見上げている。「また雨なのね」ソンジェが傘を貸した時のことを思い出しているのだろうか。「雨、好きです」ソンジェは答えた。『雨が僕と貴女を引き合わせてくれるから』店先に置いてあるプランターの花を見ながら、ソンジェは聞いた。「花、好きですか?」「ええ、好きです。薔薇の花が好き」「僕、ケナリの花が好きです」プランターに咲く花を見ている彼女を、ソンジェは優しい瞳で見つめていた。彼女の誤解が解けた日から、しばらく経った。ソンジェは今日も、あの公園にやってきた。ほとんど日課のようになっている。公園の入り口まで来ると、彼女がブランコに座っているのが見えた。ソンジェははやる心を抑えきれず、ブランコに向かって走り出す。そっと彼女の横に座ったつもりが、音を立ててしまった。驚いて振り向く彼女。ソンジェは恥かしさを紛らわせるように、ブランコを大きく漕いだ。そうなんだ、僕の今の気持ちは、このブランコのようなんだ。そう思いながら漕ぎ、勢いをつけてブランコから飛び降りた。すると、彼女も負けじと漕ぎ出し、ソンジェのマネをして、飛び降りる。しかし、着地に失敗したらしく、しゃがみこんでしまった。ソンジェはあわてて彼女を助け起こす。「痛い・・・」足をひねったらしい。ソンジェはそっと彼女をベンチに座らせた。その拍子にソンジェのポケットから、ソンウの写真が落ちる。「あら・・・」彼女が拾ってくれた写真を受け取りながら、ソンジェは言った。「おとうと」「弟さん?あなたの?」「はい」ソンジェは彼女に、ソンウを探していること、父親が亡くなったことなど、今までの経緯を話した。「そう」彼女は真剣にソンジェの話を聞いていた。話が終わると、明るく言った。「弟さん、きっと見つかるわよ」その言葉が、あまりにも希望に満ちた明るいものだったので、思わずソンジェは笑ってしまった。彼女といると、こんなにも気分が和やかになる。楽しくて、うれしくて、このまま時が止まってくれればいいと、ソンジェは切実に思った。「もう帰らなきゃ」そういって彼女は立ち上がろうとした。しかしまだ足が痛むのか、そのまま、またベンチに座り込んでしまった。「だいじょうぶ?」ソンジェは彼女の顔をのぞきこんだ。「ええ」そういいながらも、痛みは引かないらしい、顔をしかめている。ソンジェは公園にある水道まで走った。持っていたハンカチを濡らせて、彼女の元へ戻る。そっと彼女の靴を脱がせた。「あ・・・やめて」彼女はそう言って、左手の薬指にはまった指輪を見せてきた。「私、結婚していますから」ソンジェの胸がちくんと痛む。今まで考えてこなかったことだが、彼女はもう結婚していてもおかしくない年齢だったのだ。しかし、もう自分の気持ちを後戻りさせることはできない。ソンウも見つからず、父親も亡くなり、彼女まで失うことは、ソンジェには考えられないことだった。聞こえないふりをして、ソンジェは濡れたハンカチを彼女の足首にあてがう。「大丈夫、本当にもう大丈夫だから」彼女は言うと、靴を履き、ゆっくりと立ち上がった。よろける足元のまま、自転車に乗ろうとする。そんな彼女が痛々しくて、ソンジェは思わず彼女を抱き上げてしまった。
2005/08/20
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あれからソンジェは恭一に、彼女を脅すことはやめて欲しいと言ったが、恭一は意に介さなかった。かわりにいい知らせだと言ってきたのは、ソンウの行方についてだった。恭一の友人から連絡が入ったのだ。ソンジェは、恭一の友人から聞いた場所に出向いた。『ソンウ、元気でいてくれたんだね?父さんが倒れたんだ。お前の愛した女性も連れて、一緒にソウルに帰ろう。心配要らない。お前の恋を僕は応援してやるから。そう決めたから。だって僕もお前と同じように、日本人の女性に恋してしまったんだ・・・。』そう心の中で呟きながら、恭一にもらったメモの住所にたどり着いた。かなり古びたアパートだった。表札はない。人の気配が全く感じられない。「ソンウ?いるんだろ?」ドアを何回もノックするが、返答はない。「ちょっと」声がする方をみると、同じアパートに住んでいるらしい中年女性が立っていた。「そこに住んでいた人、引っ越したわよ」「引っ越した?いつですか?どこへ行ったんですか?」ソンジェは矢継ぎ早に質問した。女性は少し迷惑そうな表情になり、「さあ、知らないけど」とだけ言って、行ってしまった。ソンジェは胸騒ぎがした。急いでメモに書かれているソンウの働いているという会社へ向かう。その会社でも同じだった。ソンウはすでに辞めていた。ソンジェはすっかり気落ちし、足どりも重く恭一の待つクレープ屋のワゴン車に戻ってきた。どさっとイスに座り込む。「おう、ソンジェ。どうだった?ソンウはいたか?」「いいえ、いませんでした。すでに会社もアパートも引き払っていたあとでした」恋焦がれている彼女に誤解されたまま、ソンウの居所さえもつかめず、ソンジェはもう立ち上がる気力もなかった。「そうか・・・。どっちみち間に合わなかったんだ。すぐソウルへ電話しろ」「え?間に合わないって?」驚いて顔を上げたソンジェに、恭一は青ざめた顔で告げた。「お前の親父さんな、さっき亡くなったんだ。ソウルから電話があった」ソンジェは何が起こったのか、しばらくわからなかった。・・・トウサンガ シンダ?ソンジェはフラフラと歩き出した。気がつくと、あの公園のベンチに座っている。『僕はまだ父さんに親孝行をしていないんだ。ソンウを探し出して、ソウルに連れて帰ったら、父さんはどんなに喜んだろう。いや父さんが亡くなる時、僕は父さんの側についていてあげることさえできなかった。なんて親不孝な息子なんだろう』優しかった父の面影が、急にソンジェの脳裏に浮かんできた。ソンジェの目に涙があふれてきた。流れる涙を拭こうともせず、ソンジェはただ流れるままにしていた。ソンジェの心を反映したのか、空までが泣き出しそうだ。ソンジェは空を見上げた。『父さん、ごめんよ。ソンウ、ごめんよ』「あの・・・こんにちは・・・」戸惑いの感じられる声を聞き、ソンジェは声のする方を向いた。あの女性が困惑した表情で立っている。『見られた!』ソンジェはあわてて立ち上がった。無防備に泣いている姿を、恋する相手に見られ、ソンジェは恥かしさで一杯になった。彼女の誤解を解くことも忘れて、あわててその場から立ち去った。ガマンしきれなくなったように、空からも雨が落ちてくる。ソンジェは濡れながら、あてもなく歩いた。心が痛くて、じっとしていられない。さんざん歩いて、気がつくと、彼女と出会ったコンビニ店の前にいた。雨を避けて軒下に入る。彼女に初めて自分の存在を知ってもらった、あの雨の日。あの日はうれしくて、雨に濡れても、全く気にならなかった。しかし今日は違う。雨の冷たさが、体の芯まで染みる。ソンジェは震えながら、立っていた。ふと人の気配がして、ソンジェは振り返った。ソンジェの後ろに、あの女性が立っていた。心配そうな表情で、ソンジェに傘を差しかけてくれていた。ソンジェは驚き、口を開くことが出来なかった。「あの私、この間は、ついカッとなっちゃって・・・。ごめんなさい。あなたの口から何も聞いていないのに。」そう言うと、ソンジェの濡れた髪をハンカチで拭いてくれた。甘い花の香りがする。ソンジェはますます口が利けなくなり、ただ切ない瞳を彼女に向けるだけだった。
2005/08/19
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名は体を表すっていいますよね?・・・とこじつける私。(苦笑)ヤン・ジヌくんの名前をハングル文字で表記したケータイ・ストラップが売り出されています。(innolife)ほたるさんとkaochanさんのサイトで教えていただきました。ありがとうございます~。他にもネックレスがあるようです。少々お高いですが、ストラップを注文しちゃいました~~~。(滝汗)やっぱりジヌくんの名前(それもハングル表記!)を肌身はなさず持っていられるから・・・。最近「マジック」をみて、ソンモに心臓を鷲掴みにされています・・・。あぁ、ソンモ~~~。(涙)ソンジェも大好きだし、ソンモも好き!やっぱりジヌくんが、だぁ~い好き!
2005/08/19
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ソウルの兄から電話があってから、しばらくが経った。あれから何の連絡もない。ソンジェは父の具合が気になったが、「本当に悪くなったら連絡があるはずだ」と考え、ソンウの行方を探すことに専念していた。『ソンウのことも気になるけれど、彼女と会えないのも辛い。あの日、僕はどうしてもっと早く公園に行かなかったんだろう?』後悔の念が心に渦巻いているが、どうしようもない。彼女と会えなかった日から、毎日のようにソンジェはあの公園に行っているが、会うことは出来なかった。今日も恭一は店をソンジェに任せて、「人と会う」といって出て行った。近くにあるセルフサービスのコーヒーショップに行くらしい。先日新宿へ行った日と同じように、なにやら落ち着かない様子だった。『恭一さんは、誰と会っているんだろう?この前も人と会うといって出て行って、30万円もの大金を持って帰ってきたから・・・。何か悪いことをしていなければいいんだけど・・・』「おい、ここで許可なく商売をしてはいかん」大きな声に驚いて振り向くと、怖い顔をした警官が立っていた。「経営者は君かね?」「いいえ。今ちょっと出ています」「近くにいるのなら、呼んできなさい」ソンジェは恭一のいるコーヒーショップまで走っていった。窓の大きいつくりのコーヒーショップに到着し、ソンジェは恭一を探す。恭一は、店の入り口から遠い座席に座っているのが見えた。誰かと話をしている。恭一はこちら側に顔を向けて座っているが、相手は背中を向けている。ソンジェは店に入り、恭一のところへ急いだ。「お巡りさんが来て、この場所は違法だから経営者を呼んできなさいって・・・」ソンジェの声に、恭一の向かいに座っていた人が驚いて振り向いた。『彼女だ!!』ソンジェは息が止まりそうになった。会いたくて会いたくてたまらなかった人が、恭一の前に座っている。『どうして彼女が恭一さんと会っているんだ?』硬直した表情のまま彼女は立ち上がり、ソンジェを見つめた。彼女の鋭い視線に、ソンジェは会釈するのがやっとだった。彼女が口を開いた。「どうして・・・?」恭一が驚いた顔でたずねてくる。「知り合いか?ソンジェ」「え?ええ」彼女から目を離すことが出来ないまま、ソンジェは答えた。硬い表情のまま、彼女は恭一を指差しながらソンジェに聞いた。「この人、あなたのお友達?」「はい・・・」ソンジェがそう答えた瞬間、彼女はバッグからソンジェのTシャツを出し、投げつけてきた。せっけんの匂いのするTシャツは、ソンジェの肩に当って落ちた。みるみる彼女の瞳に涙が浮かんでくる。涙を見られないように、彼女はソンジェの前から足早に立ち去った。ソンジェは小さくなる彼女の後姿を見つめていた。振り返ると、恭一をにらみつけながら言った。「彼女に何をしたんだ?」「何だよ、まだ何もしてねぇよ。これから先はわかんないけどな」そう、うそぶくと恭一はニヤリと笑う。ソンジェは怒りがこみあげてくるのを感じた。「いったい彼女に何をしたんだ!」「おい、ソンジェ。どうしたって言うんだ?あの女が自分の車を、俺の車にぶつけてきやがったから、ちょいと修理代をもらっただけだ。当然だろ?」恭一の返答にソンジェは、あの30万円は彼女から恭一がもぎ取ったものだとわかった。『何ていうことだ!恭一さんが彼女を脅していたなんて。僕が恭一さんと知り合いだって言ったもんだから、きっと彼女は僕と恭一さんがグルだって思ったに違いない。僕があの雨の日に、彼女に傘を差し出したことも、自転車のチェーンを直したことも、きっと仕組んだことだって誤解してしまったんだ!』ソンジェは頭から水を浴びせかけられたような気持ちで、立ちすくんでいた。
2005/08/18
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ソンジェは放心した顔で、クレープ屋のワゴンに戻ってきた。「おい、ソンジェ。どうしたんだ?いやに元気がないな」恭一の言葉にも返事が出来ない。「そんなにソンウのことが気になるのか?また俺の知り合いに聞いておいてやるよ。な、今夜は景気付けに新宿で遊ぼうぜ。昨日、言っただろ?臨時収入が入ったんだよ」口の片端をぐいっと上げる笑い方をしながら、恭一が言った。ソンジェは恭一の顔を見ながら、『気晴らしになるかもしれない』と考えていた。いつもより早めに店じまいをして、恭一とソンジェは新宿に向かった。極彩色の看板が目にはいる。ソンジェはまぶしいほどの光を放つ看板を見ながら『ここはいつ来ても好きななれない』と思っていた。恭一はどんどん歩いていき、派手な看板の置いてある地下の店に入っていった。「恭一兄さん?」ソンジェはあわてて恭一を追いかけ階段を下りていく。彼が入っていった店の看板を見て驚いた。「ここは・・・」恭一がドアから顔を出して、ソンジェを呼ぶ。「おい、まさかお前、ここまで来て怖気づいたんじゃねぇだろうな?気分が滅入る時は、女を抱くのが一番の気晴らしになるんだよ。こういう店に来るのは初めてじゃないんだろ?」恭一の言葉に、ソンジェは顔が赤く染まっていくのを感じた。「僕は、女の人を自分の欲望のはけ口にしたくありません。」そういうと、階段を駆け上がる。ソンジェの脳裏には、あの女性を抱きしめ、キスをする自分の姿があった。「おい、待てよ」後から恭一が追いかけてくる。「わかったよ。お前をこういう店に連れてきた俺が悪かった。さ、めしでも食いに行こうか」恭一はソンジェの肩を抱いて歩き始めた。したたか酒を飲んで、恭一はすっかり酔っ払ってしまった。ソンジェは恭一に肩を貸し、アパートに戻ってきた。汚れた四畳半の畳の上に、ごろりと横になって恭一が言う。「なぁソンジェ。お前、ソウルに帰ったら何をするんだ?」「べつに・・・。ふつうに働きますよ」恭一は顔をゆがめながら言った。「ふん、夢がねえな」「夢って、叶わないから夢なんじゃないんですか?」恭一はソンジェの方を向き、チッと舌打ちをした。「僕は平凡な暮しの中から、小さな幸せを見つけながら生きていきます。自分の能力以上のことはできませんから・・・」ソンジェは、そう囁くように言った。恭一は仰向けになり、腕を頭の下に組みながら言う。「お前と話していると、夢がしぼんでいくぜ」そういう恭一を、ソンジェは苦笑いしながら見ていた。突然電話が鳴った。ソウルの兄、ソンミンからだった。「ソンジェ、父さんが倒れた。もうだめかもしれないんだ」「え?父さんが?」「もう帰って来い」ソンジェの頭に、ソンウの笑顔が浮かぶ。「嫌だ!勝手なことを言うなよ、兄さん。ソンウを探せって言ったのは、兄さんじゃないのか?父さんのことは心配だけど、今僕がソンウのことを見捨てて韓国に帰ることは出来ない」「ソンジェ・・・」ソンミンが何か言おうとしたが、ソンジェは受話器を置いた。「おい、親父さんがどうしたんだ?」恭一がすっかり酔いの覚めた顔で尋ねる。「倒れたんです。かなり悪いようで・・・」「ソウルに帰らなくていいのか?もし間に合わなかったらどうするんだ?」“間に合わない”恭一の言葉に、ソンジェは血の気が引くのを感じた。しかしそれと同時にソンウに対しての罪の意識が再び頭をもたげてきた。「僕はソンウを探し出すまで、ソウルには帰りません」『それに、今帰ってしまったら、もう2度とあの人に会えなくなる。そんなのは嫌だ。もう1度、彼女に会いたいんだ。どうしても』ソンジェは彼女の笑顔を思い浮かべ、胸が痛くなるのを感じていた。
2005/08/17
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ようやくDVDの特典ディスクの内容が決まったみたいですね。くわしくはココ「ドラナビ」のほか、なんと「ちちんぷいぷい」も収録されるようですね。やっぱり、公式BBSでファンがお願いした甲斐がありましたね。(笑)私はビデオに録画したのですが、ちゃんとDVDに収録されていると、なおうれしい。ジヌくんはPERSONAL DVDのために、トレーニング中だということですが、その映像が彼自身のDVDのものなのか、「ヤクソク」DVDの特典映像なのか、ファンの中で混乱していたようですが、この情報を見る限り、彼が今トレーニングしてるのは「ヤクソク」DVDの特典映像のためではないようですね。ということは、今ジヌくんがトレーニングしているのは、彼自身のDVD収録のためなのね?そうだとすると、とってもうれし~~~!買いますよ~、ジヌくんのPERSONAL DVD。今から楽しみ!どんなに素敵な彼に出会えるのでしょう。で、いつ発売なのかしら??待ち遠しいよぉ~。(撮影は9月からなのに、気が早い私)
2005/08/17
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その夜、ソンジェは夢を見た。あの女性と並んで歩いている。場所はつくし野駅近くの公園のようだ。彼女は微笑んでソンジェを見上げている。「僕、ソンジェといいます。チョン・ソンジェです」ソンジェは彼女の名前が知りたかった。「あなたの名前は?」「私?私は・・・。」彼女が口を開こうとした時、後ろから大声がした。「ソンジェ!!」振り向くと、ソウルにいるはずの兄ソンミンと父親、母親が立っている。「ソンウだけじゃなく、お前まで、ソンジェ。そんな日本人の女にだまされるなんて!」ソンジェは驚いて言った。「違うんだ、彼女は悪い人じゃない。僕はだまされていない。僕のほうから彼女に近づいたんだ」「何だって?ソンジェ」ソンミンはますます声を荒げた。「お前は忘れたのか?お祖父さんが日本人にどんな目に合わされたのか。日本人は決して許さない!」「待って、話を聞いて、兄さん」ソンジェの必死の釈明にも、ソンミンは耳を貸さず、両親と共にソンジェに背を向けて行ってしまった。「待って!待って!話を聞いてくれ!彼女はそんな人じゃないんだ!」自分の声に驚いて、ソンジェは目が覚めた。びっしょりと汗をかいている。隣を見ると、恭一が驚いた顔でソンジェを見ていた。「あ、ごめんなさい。起こしてしまいましたか?」「いや、それはいいけどよ、どうしたんだ?なんかうなされていたぞ」「いえ、何でもないです」ソンジェがそういって背中を向けようとした時、恭一が言った。「なあ、お前、ソンウが見つからなくて気が滅入っているんじゃないか?久し振りにぱぁ~とやろうか。今日臨時収入が入る予定なんだよ。それで新宿にでも繰り出そうぜ」「臨時収入?どうしてですか?」「いやちょっとな」そういうと恭一は何か思い出したように、ニヤリと笑った。次の日、恭一は再びつくし野駅前で店開きをしようと言った。ソンジェはあの女性と約束しているので好都合だったが、恭一の様子がどこかおかしい。朝から落ち着きがなく、時計ばかり見ている。客が来てもソンジェにばかり応対をさせる。「誰かと待ち合わせですか?」「ああ、ちょっとな。しばらく出てくるから、店番していてくれ」そういうと恭一は出かけていった。ソンジェはぼんやりと昨夜の夢を思い出していた。『兄さんや父さん、母さんもやっぱり僕が日本人の女性に恋をしたとわかったら、ソンウの時のように反対するだろうな。あぁでもソンウ。お前はこんな気持ちだったのか。どうして僕はあの時兄さんたちと一緒に、ソンウの恋に反対してしまったんだろう・・・』「アニョンハセヨ!!」元気な声がした。恭一がソンジェのファンクラブの奴らと言っている、いつもの女子中学生3人組だ。「ねぇお兄さん、写真とらせて!」一番髪の長い少女がケータイ電話を片手に言う。彼女たちの明るさは嫌ではなく、むしろ微笑ましかった。しかしその気持ちは恋とは違う。正直なところ、ソンジェは戸惑っていた。「ねぇ、いいでしょ?はい、チーズ!」強引にカメラのシャッターを切る少女。ソンジェはその少女のなかに、あの女性の面影を見た。『いったいどうしてしまったんだ?誰を見ても彼女に見えてしまうなんて』あの女性との約束の時間が迫ってきていた。ソンジェは恭一の帰りを今か今かと待っていた。ようやく恭一が戻ってきた。ソンジェは恭一に後を頼むと、あわてて店を飛び出る。『急げばまだ間に合う』はやる心を抑えながら、あの公園に急ぐ。この陸橋を越えれば、目的地だ。陸橋の陰に小学生の男児が数人、たむろしていたソンジェは何気なく、彼らを見る。まんなかにいる男の子が、周りの子に小突かれている。ランドセルが無造作に投げ出されていた。「おい、何をやっているんだ?」思わず韓国語で叫んだ。ソンジェを見た男の子たちは、蜘蛛の子を散らすように逃げていった。まんなかに立っていた男の子だけが、力なく立っている。落ちていたランドセルを拾い上げ、ソンジェは土を払って男の子に渡した。「だいじょうぶ?」ソンジェの問いには答えず、男の子はランドセルをひったくって行ってしまった。『あの子の口元、あの人に似ていたな・・・。どうしたんだ?皆あの人に見えてしまう・・・』ソンジェはそう思いながら、公園への道を急いだ。公園に駆け込んだ。しかしベンチはもぬけの殻だ。公園に置いてある時計を見る。約束の時間はとうに過ぎていた。『しまった!』ソンジェはあわてて公園のまわりを走り、あの人を探した。どこを探しても、あの人の姿はなかった。彼女に会えるということがうれしくて、空に向かってでも駆け出していけそうだったソンジェの心は、急にしぼんでいった。力が抜け、ソンジェはベンチに座り込んでしまった。
2005/08/16
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「ああああ、痛・・・」ソンジェが恋焦がれているあの人が、自転車もろとも倒れている。倒れた拍子に打ったのだろうか。右ひざをかばっていた。駆け寄ったソンジェは、彼女の腕をとり、そっと助け起こした。「すみません」彼女が言う。ソンジェは何も答えず、自転車を起こし、買い物袋からちらばった果物を拾った。『彼女は僕のことを覚えているだろうか?』それだけが気がかりだった。『昨日、僕はたしかに彼女の瞳の中にいた。でもそれはただの通りすがりの親切な人というだけで、顔を記憶するほどではなかったのかもしれない』自分からは名乗らないつもりだ。ソンジェは賭けにも似た心境でいた。自転車を起こし、落ちたものを拾ってしまうと、もうすることがなくなった。さてどうしたものかと考えていると、女性は早口でこう言った。「あ、ありがとう。昨日も親切にしていただいて、今日もまた・・・」ソンジェの心の中に、温かいものがフワリと広がった。『僕のことを覚えていてくれた!もう僕は彼女にとって透明人間のような存在ではないんだ』心の中の喜びを隠すように、ソンジェは彼女にそっけなく会釈すると歩き出した。『僕も彼女のことを覚えているって、どうして言わなかったんだろう?ほんとうは、もう少し彼女といたい。話をしたいんだ』ガチャン。「あ、やだ・・・。何これ」彼女の声に、ソンジェは振り向いた。自転車のチェーンがはずれているようだ。ソンジェは風のようにすばやく自転車の横にすべり込んだ。「ごめんなさい、迷惑かけっぱなしで」『そんなこと言わないで。僕は少しでも長く貴女のそばにいることが出来て喜んでいるんだ。チェーンがはずれてくれたことに、むしろ感謝しているくらいだよ』手は忙しくチェーンを直しながら、ソンジェは横にいる彼女に神経を集中させていた。あの甘い花の香りが、再び鼻をくすぐる。ソンジェは体の芯が熱くなってきた。ようやくチェーンが元の位置に戻った。ペダルを手で回してみる。車輪が軽快に動き始めた。「あ、直った!」彼女は少女のようにはしゃぎ、ソンジェに手を重ねて、ペダルを回し始めた。柔らかな手の感触に、ソンジェはますます体が熱くなるのを感じていた。彼女も自分の大胆な行動に驚いたのだろう。あわてて手を離すと、照れたように横を向く。ソンジェは今だと思った。「あなた・・・、コンビニ?」さも今気づいたかのように、彼女に告げる。「やっと気づいてくれました?」『今気づいたんじゃないんだよ。僕は貴女のことを探していたんだ。会いたいって、ずっと思ってきたんだ』あれほど会いたいと念じ続けてきた女性が、今目の前にいる。そしてソンジェに向かって笑顔を見せてくれている。あの甘い香りに包まれているうち、ソンジェは彼女への想いがどんどんふくらんでいるのを感じた。体が熱い。このまま彼女のそばにいたら、彼女を抱きしめてしまいそうだった。ソンジェはTシャツを脱いだ。自分でも何をしているのかわからなかった。気が動転していたのかもしれない。ソンジェが無造作に置いたTシャツを、彼女は手に取った。「これよかったら洗って返しましょうか?」ソンジェの心臓が、またトクンと音を立てる。「あ、でもどうやって渡したらいいのかしら」そう呟く彼女に、ソンジェは言った。「明日また会いましょう」「ええ、じゃあまたここで。今ぐらいでいい?」問いかける彼女にソンジェは頷きながら言った。「ヤクソク」「ええ、約束」彼女の眩しい笑顔を見ながら、ソンジェは歩き出した。『明日また彼女に会える!』ソンジェの心は喜びで一杯だった。
2005/08/15
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足元に水たまりができている。髪の毛からも、指先からも、しずくが落ちていく。電車の揺れに合わせて、まるでリズムをとっているかのように、ソンジェの体からしずくがこぼれていった。まわりの乗客は驚いてソンジェを見ている。しかしソンジェはそんな視線も全く気にならない。つい今しがた再会したあの女性のことを思い出すだけで、胸はいっぱいだった。『彼女は驚いて僕を見ていた。澄んだ瞳。あの目を見ていると、何も言えなくなってしまった・・・。でも彼女の瞳には、僕の姿がしっかりと映っていたんだ。それが何よりもうれしい・・・。』恭一のアパートにたどり着いた。濡れたまま中に入る。部屋にいた恭一はソンジェの姿を見て声をあげた。「おい、ソンジェ。いったいどうしたって言うんだ、こんなに濡れて。だから俺が傘を持っていけって言ったろ?」「だいじょうぶ」そう答えると、ソンジェはシャツを脱いだ。次の日は、昨日とうってかわり良い天気だった。昨日の大雨が嘘のようだ。ソンジェは恭一と共にクレープ屋のワゴン車に乗りこんだ。『昨日の雨は、僕にとっての恵みの雨だったのかな・・・。あの人に会えるように、神様が偶然を仕組んでくださったのか』空を仰ぎながら、ソンジェは思った。「今日はまたあの駅前に行くとするか。お前のファンクラブの奴らが来るからな。」そう言ってハンドルを握ったまま、恭一はニヤニヤとソンジェの顔を見た。「あの駅前?どこですか?」「とぼけるんじゃねぇよ。お前のファンクラブの雑魚らが来るのは、つくし野駅前じゃないか」つくし野駅前・・・ソンジェは胸がコクンと動いたのを感じた。昨日、あの女性に会った場所だ。「そ、そ、そんなんじゃありません。僕のファンクラブなんかじゃなくて、き、恭一さんのクレープが美味しいから来るんでしょう?」「何あわててるんだ?変だぞ、お前」恭一はじろりとソンジェの横顔を見る。ソンジェはあわてて、窓の外を見た。つくし野駅前のロータリー近くに車を止め、店開きをした。ソンジェはあの女性が再び現れるのではないかと、どきどきしながら、クレープを焼いていた。「クレープ1つ。ええと、ストロベリーね」注文の声がするたびに、あわてて客の顔を見る。しかし何度見ても、あの女性ではなかった。「おい、ソンジェ、ちょっと休憩するか。メシ食ってきていいぞ」恭一の声に店を飛び出した。ソンジェの足は自然にあの公園に向かった。昨日もあの公園に行く途中で彼女に出会えたのだ。今日ももしかしたら会えるかもしれない。はやる心を抑えて、ソンジェは走った。公園には誰もいなかった。『そうだよな。昨日偶然会えたからって、今日も会えるとは限らないんだ』ガッカリして、ソンジェはベンチに腰掛けた。再び彼女の姿を思い浮かべる。優しげな表情、澄んだ瞳、そして柔らかそうな唇。ソンジェは頭の中に現れた彼女の姿をしばらく眺めていた。そっと手を伸ばし、その唇に人さし指を沿わせようとした。指が彼女の唇に届いた瞬間、ソンジェは我に返った。『僕は何を考えているんだ。あの人の名前も知らないのに。彼女に触れたいと思うなんて』今までの自分ではないような気がして、ソンジェは驚いていた。ガシャーン。大きな音がした。何かが倒れたような音だ。ソンジェは顔を上げた。目の前に自転車が倒れている。その横で顔をしかめてしゃがみこんでいるのは、たった今ソンジェが胸にえがいていたあの女性だった。再び胸の鼓動が高鳴る。『偶然じゃない、これは。僕たちの出会いは必然なんだ、きっと』ソンジェはそう思いながら、倒れている女性に近づいていった。
2005/08/14
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こんな記事を見つけた。→中央日報よりリュ・シウォンくん、あっぱれ。彼のような意見を持つ人が少しでも多くなれば、日韓関係も少しは良好になるかもしれない・・・。これは決して彼が日本社会におもねっているということではない。相手の国で仕事をするのだったら、その国のスタイルを研究して実行するのは当たり前のことなんじゃないかな?もちろん全て、ではなくて、そこは臨機応変に。何よりも大切なのは、相手のことを理解しようとする姿勢。シウォンくん、ありがとう。でも、日本語で歌ってくれるのもうれしいけど、意味がわからなくても母国語の韓国語で歌う貴方も素敵だと思うよ。だって好きな人が話す言葉って、意味がわからなくても、とってもセクシーに聞こえるんだもの。ね、ジヌくん。(笑)
2005/08/14
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東急電鉄田園都市線のつくし野駅は、東京都心の渋谷駅から30分ほどで行くことができる、閑静な住宅街にある。ソンジェは弟のソンウを、韓国人が多く住む新宿区大久保近辺で探していた。しかし異国での孤独感に苛まされるようになると、新大久保駅で電車に飛び乗ることがある。10分ほど電車に揺られ、渋谷駅で東急電鉄田園都市線に乗り換える。30分ほどでつくし野駅に着く。今日もソンジェはつくし野駅に降り立った。朝からどんよりと曇っていた空から、今にも大粒の雨が落ちてきそうだ。ソンジェは空を見上げ、『やっぱり恭一さんの言ったとおり降って来そうだ』と思った。新大久保にある韓国料理店で、ソンウに似た男を見たことがあると言う情報を得て、ソンジェは朝、恭一のアパートを出ようとした。部屋の奥から恭一が言った。「今日は大雨だってよ。傘を持っていったほうがいいんじゃねぇか?」ソンジェは玄関に置いてある傘入れを見た。透明のビニール傘が1本しかない。『僕が持っていったら、恭一さんが困るだろうな。今日は友達と会う約束があるっていっていたから』ソンジェは振り返りながら言った。「いいよ。まだ降ってないし、大雨になったらなんとかするから」今日こそはソンウに会えるかもしれないと、胸を膨らませて訪れた韓国料理店にいたのは、ソンウと年恰好が似ている韓国人の若者だった。今度こそはと期待して行くたび落胆するという繰り返しに、慣れることは出来なかった。ソンウにあやまりたいという気持ちが、そのたびに大きくなっていくようだ。そして期待が裏切られるたびに、ソンウの力になれなかった自分に対する罰なのではないかと、ソンジェは思い始めていた。つくし野駅の改札を出て、公園に向かう。あの女性に再会した場所だ。日本に到着した日に、バスの窓から見かけて胸をときめかせた人。その人が自転車に乗っているのを見かけたのは、つくし野駅近くにある公園にいるときだった。思わず彼女に近づいたソンジェだったが、自転車は何も気付かずに駆け抜けていった。あとには甘い花の香り。薔薇とも百合とも違う。小さなかわいらしい花束に顔を近づけた時のような香りだった。あれから何回も、ソンジェはあの公園を訪れた。再び彼女と会えるかもしれないという密かな期待を持って。しかし彼女は現れなかった。公園に到着する前に、とうとう大粒の雨が降り出した。走って行こうかとも思ったが、この降り方だと、すぐにびしょぬれになるだろう。ソンジェは目の前に見えたコンビニ店に駆け込んだ。ビニール傘を探す。出入り口に近い場所に、青い傘が1本置かれているのを見つけた。その青い傘を持ってレジに行った。勘定を済ませて店から出ようとしたとき、ソンジェは体に電流が走るのを感じた。『あの人だ!!』思い焦がれているあの女性が、店に入ってきた。彼女も突然降り出した雨に困ったのだろう。柔らかな髪が濡れている。キョロキョロと店内を見回して、何かを探しているようだ。『きっと傘を探しているんだろうな』ソンジェは自分が買ってしまった最後の1本の傘を眺めた。何か店員と話していた女性は、あきらめたような表情で店から出てきた。雨空を見上げると、決心したように外へ飛び出す。頭の上にはハンカチを乗せているが、この雨では役にたたない。すぐびしょぬれになって、店の軒下に戻ってきた。ソンジェは傘を持っている手が震えるのを感じていた。『この傘を渡せばいいんだ。そうすれば彼女と話をするきっかけができる。でも、何て言えばいいんだろう?』困ったように空を見上げている女性の横に、そっとソンジェは歩み寄った。心臓が早鐘のようにドンドンと音を立てている。さっと彼女の頭の上に、ソンジェは傘を差しかけた。気がついて彼女はソンジェの方を向いた。目が合った。「・・・・」ぎごちなく笑うソンジェに向かって、その女性は言う。「あ、いえ結構です。走って帰りますから」何か言わなければと、心ばかり焦るが、ソンジェは何もいえなかった。そのかわり、雨に濡れて冷たくなった彼女の手に、そっと傘の柄を握らせた。手の震えが、彼女にわかってしまうのではないかと、ソンジェは気が気ではなかった。彼女はじっとソンジェの目を見つめた。ソンジェも彼女の目を見つめた。彼女の瞳の奥に向かって、語りかけた。『貴女のことが気になるんです。もっと貴女のことが知りたいんです。また会ってくれませんか?』しかし、何もいえなかった。ソンジェは走って軒下から飛び出した。何も彼女に言えなかったが、自分の存在を彼女がわかってくれたことが、無性にうれしかった。2メートルも走らないうちに、下着までびしょぬれになったソンジェだが、気にならなかった。大粒の雨もソンジェを祝福しているように感じたのだった。
2005/08/13
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バスはソンジェを乗せて、新宿駅へと向かっている。ソンジェは、今見かけた女性の面影を思いうかべながら、窓の外を見ていた。バスのスピードがだんだんゆるやかになっていく。窓の外に見覚えのある顔が見えた。ソウルを離れる前、兄ソンミンが見せてくれた写真の男だ。『恭一さん・・・?』バスが止まり、ソンジェは恭一の前に歩いていった。「よう、ソンジェか?」「はい。恭一さんですね。初めまして、チョン・ソンジェです。よろしくお願いします」「おう、お前の父さんには世話になったんだ。遠慮しないで何でも俺にいえよ」ソンジェはホッとした。恭一の後ろを歩きながら、さっきの女性の姿を再び思い出していた。ソンジェが日本に来て2週間がたった。クレープの屋台を出している恭一の手伝いをしながら、空いた時間にソンウの行方を探していた。「この写真の人を見かけませんでしたか?」ソンウの写真を持って、通りがかりの人たちに聞いていく。親切に話を聞いてくれる人もいるが、ほとんどの人間はソンジェの問いかけに無関心を装う。ソンウの足取りはまったくつかめなかった。慣れない土地で、表情のない人たちの中で、身も心も疲れ果てたソンジェは、通りかかった公園のベンチに腰をおろした。『こんなに広い東京で、ソンウを探し出すのはやっぱりムリなんだろうか』「ソンジェ、よろしく頼むぞ」そう言ってソンジェの肩を掴んだ兄ソンミンの顔を思い出した。『兄さん、ごめんよ。ソンウがどこにいるか全くわからないんだ。このまま時間だけが過ぎていくような気がする。がっかりした兄さんたちの顔を見るのは辛いんだけれど』ソンジェはぼんやりと、そんなことを考えながら公園で遊ぶ子ども達を見ていた。1台の自転車が通りの向こうからやって来る。買い物帰りだろうか、前カゴには食料品を詰め込んだ袋が入っていた。『韓国も日本も、毎日の生活は一緒なんだな。平凡だけどささやかな幸せがそこにあるんだ』そう考えながら、自転車に乗っている女性の顔を見た。『あ、あの人だ!』ソンジェは思わず立ち上がった。日本に着いた日に、バスから見かけた女性。優しげな顔立ちと女らしい瞳。なによりも印象に残っているのは、あごのホクロ。胸の高鳴りが聞こえるのではないかと思いつつ、ソンジェは自転車の方へ歩いていった。しかし女性はソンジェには一瞥もせず、自転車に乗って走り去ってしまった。女性が走り去った後も、ソンジェは彼女の後姿を凝視し続けていた。『何の香りだろう?』柔らかく甘い香りが漂っている。『彼女の香りだろうか』ソンジェはうっとりと目を閉じ、彼女の香りを感じていた。『あの人は、この近所に住んでいるんだ』そう思うと、さっきまでの疲れがどこかへ行ってしまったようだ。ソンジェはいつまでも彼女が走り去った道に佇んでいた。
2005/08/12
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春とはいえ、3月の東京はまだ肌寒い。成田空港に降り立った青年は、軽く身震いをすると周りを見回した。初めて訪れる国、日本。言葉はなんとかカタコトで話せるが、彼はそれ以上の日本語能力を必要とする使命があった。ポケットから写真を取り出す。その青年とよく似た若い男の笑顔があった。「ソンウ・・・。この国のどこかにいるんだよね?」そう呟くと、再び写真をポケットにすべりこませる。青年は小さなボストンバッグを持ち、ゆっくりと歩き出した。日本に住んでいる親戚の金田恭一に指示された通り、チョン・ソンジェはリムジンバスに乗り、新宿方面へ向かう。ハングル文字は見当たらず、かわりに漢字とひらがなカタカナが氾濫する街へと、バスは動いていった。『少しでも日本語の読み書きが出来てよかった』漢字はよくわからないが、ひらがなカタカナはマスターしていた自分を誉めてやりたいと、ソンジェは思った。車窓から見える日本の街。少しは日本語をマスターしていたとはいえ、やはり母国語とは違う。ソンジェは見えてくる日本語の看板を、一生懸命に読もうとした。しかし漢字がわからなければ、なかなか意味が理解できない。さっきまで自分を誉めてやりたいと思っていたソンジェの気持ちが、どんどん萎れていき、かわりに不安が膨らんでいった。『恭一兄さんは、ちゃんとバス停まで迎えに来てくれるのかな。一応住所は聞いているけれど、探すのは大変かもしれないな』ソンジェがそう考えている間にも、バスは目的地へと走っていった。「ソンジェ、お前が日本に行って、ソンウを探してきてくれ」兄のソンミンに言われたのは、年が明けてすぐだった。日本人女性との結婚を家族に反対され、駆け落ち同然で家を出たソンウは、正月にも帰ってこなかった。帰ってくるはずがないと思ってはいたものの、実際にソンウの顔が見えないと、母親は気落ちしたらしい。元気がなくなった。父親も何気ない顔をしてはいるが、やはりショックだったようだ。そんな両親の様子を見て、長男のソンミンが次男のソンジェに日本行きを命じたのだ。「東京には親戚の金田恭一がいる。父さんが以前世話をしてやった男だ。きっとお前の面倒を見てくれるはずだ。だからお前、日本に行ってソンウを探して来てくれないか」突然のことに戸惑いながらも、ソンジェは日本行きを承諾した。ソンミンは、見つけたら女と別れさせて、首に縄をつけてでもソンウを連れ戻して来いと言った。しかしソンジェの思いは違った。ソンウに謝りたかったのだ。ソンウが、彼の夢をあきらめたくないと父親に言った時、ソンジェは力になってやれなかった。日本人女性と結婚したいと言い出したときも、家族の猛反対から守ってやることが出来なかった。『すまない、ソンウ。僕たちはなんでも言えた兄弟だったのに、お前が一番僕を必要とした時、僕は力になってやれなかった。だから日本で会えたとき、帰れとは言わない。まずすまなかったと謝りたいんだ』ソンウのことを思いながら、再び車窓へと目を移す。信号待ちでバスが止まった時、中年女性が2人、ベンチに座っているのが目に入った。彼女たちの手には、陶芸の作品があった。趣味で作ったお互いの作品を批評しあっているようだ。そのうちの1人が持っているのは茶碗だろうか。少々いびつではあるが、作り手の性格がしのばれる作品である。優しく控えめだけれど、芯の強い人柄を感じさせる作品。韓国の利川で、おじさんが陶芸に携わり、幼いころから手伝いをしてきたソンジェには、よくわかった。ソンジェは茶碗を手にしている女性の顔を見た。ショートボブヘアの女性は、ややうつむき加減に茶碗を見ていた。長い睫毛が彼女の瞳に陰影をつけている。少し開いた口元はにこやかに微笑んでいた。特に目を引かれたのは、あごにあるホクロだった。ややあどけない表情の女性の印象が、そのホクロによって大人の女を感じさせている。『かわいい人・・・』ソンジェは胸が高鳴るのを感じた。もう一度彼女の姿をよく見ようとしたとき、信号が青に変わった。バスはゆっくりと動き出す。ソンジェは首が痛くなるまで振り返りながら、その女性を見続けていた。
2005/08/11
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ジヌくんのファンになって、すぐ買った本。それは「BIRTHDAY BOOK」の9月3日版。そう、ジヌくんの誕生日。この本1冊まるまる9月3日生まれの人の性格などが書いてある。で、その内容をちょっぴり紹介・・・。「9月3日生まれの人に確実にいえることは、間違いなく成功を収めることができる人だということです。けっして目立つ行動はしませんが、徐々に自分の分野を開拓していきます。そしてその分野におけるすべてを把握し、その上で綿密な分析を行い、しかも冷静で客観的な論理を構築した上で判断を下すために、失敗することはほとんどないのです。にもかかわらず、9月3日生まれの人は、常に自身がなく、非常に優秀であるにもかかわらず、それに気付くこともないことがあります。それは9月3日生まれの人は、他人の評価や実利よりも、精神修養や精神力というものに重きを置くために、自己懐疑に陥りがちだからです。9月3日は、水星の二重の支配を受けるために、素晴らしく敏感な触覚をもっています。したがって、この日生まれの人はだまされることがほとんどないでしょう。もし判断の誤りや見込み違いが生じたとすれば、たいていの場合、詳細を知りすぎて、全体を見失ってしまうことによります。あるいは、人間の本質的な部分を見落としてしまうことによります。」ヤン・ジヌくんという俳優のことが、少し理解できたでしょうか?彼はクリスチャンで、真面目な青年だな~と思うことがよくあるのですが、この占いを読んだら、なんだか納得しました。
2005/08/10
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このテーマを選ぶのは、久しぶりのような気がする。2ヶ月間、あれほど熱心に毎日書いていたのに。今日は私が書いた「ヤクソク」日記について、少し解説?などを。私の「ヤクソク」日記、最初はドラマを見た感想のみ書いていたのだが、だんだんソンジェの気持ちが読み取れなくなって、ソンジェの気持ち推測日記へと移行していった。そう、私の「ヤクソク」日記は、ソンジェ中心のものだったのだ。時には昭彦、葉子、悦子、佳織、恭一などの独白も混じったが、基本的にはソンジェの気持ちを代弁してきた。他の登場人物の気持ちを推し量るのは、常にソンジェの気持ちが知りたいためのもの。あ~、私はやっぱりチョン・ソンジェが好きだったんだわ~~~。毎日「ヤクソク」日記をアップしていき、ノベライズ本を読了してしまってから、密かに決めたこと。それは「私の日記の中では、ソンジェを死なせはしない」ということだった。そのために、最終日記(蘇芳色バージョン)を書くまでの日記に、さまざまな伏線をはっておいた。今日はその種明かしを・・・。第37話・・・不安>ソンジェはブランコから降り、歩き始めた。>すっかり日は暮れて、満天の星が空に瞬いている。>ふと、流れ星が見えた。>『ソンウ?』>ソンジェはソンウが自分に何かを伝えたかったのではないかと思った。流れ星にソンウの思いを込めた。これが41話「手術」でのソンウ登場へと繋がっている。37話でソンジェが感じたソンウの気持ち、それは41話のソンジェの夢の中でソンウ自身がソンジェに向かって話している。「兄さんは、佳織と宗太のことをボクの代わりに守ってくれた」「兄さん、あまり自分を責めないでくれよ。兄さんはがんばってくれた」また41話で、ソンウがソンジェに向かっていった言葉。「だから兄さんには自分の体のことを大切にして欲しいんだ。大切な人たちのために」こう言われたソンジェは「大切な・・・人・・・たち」と、「たち」という部分を疑問に思う。それも当然。その当時ソンジェにとって大切なのは、葉子一人だったのだから。でも、ここでソンウに「たち」と言わせたのは、「近い将来、葉子のほかにもソンジェにとって、なくてはならない人物が増える」ということを暗示しておいた。それは43話「結晶」でも読み取れるようにしておいた。>しかし今日はいつもと違う。>なぜかはわからないが、未来への道筋が目の前に見えているような気持ちだった。>『葉子、ボクはまだまだ生きていけるように思える。貴女といると奇跡が起こるような気がするんだ』ここではまだ葉子の妊娠を決定づけてはいないが、近い将来にソンジェは葉子の妊娠によって、生きる力が湧いてくる・・・ということを暗示しておいた。そう、タイトルの「結晶」は、2人の合作である陶芸の作品の他に、“子ども”という意味もこめていた。それはそのまま、44話「兆候」へと引き継がれていく。そもそも「兆候」というタイトルにしたのは、葉子とソンジェの愛の結晶である子どもが、ソンジェに生きる力を与えるので、44話ではその兆候が現れだしたという設定にした。>葉子の体温が指を通して、ソンジェの体に染み込んでくる。>微かに、微かに、あるエネルギーが彼女の体から自分の体へ入っていくのを、不思議な心持でソンジェは感じていた。ココの部分がそう。そういう風に、私はソンジェが生きるために、あらゆる手段を使って、彼の生存が可能になるような伏線をはりまくったのだった。(笑)そしてその集大成が、最終話「未来への約束」ソンジェは見事に復活し、私の心の中では、今でも利川で葉子とソウタと3人で、仲睦まじく暮らしているのだ。
2005/08/09
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今日は美術館関係のボランティアのため、元永定正さんのお宅へ伺った。今度、彼を招いて美術館で子どものための講座を開くので、その打ち合わせ。玄関のドアをくぐると、そこは元永ワールド。鮮やかな色彩の絵画やオブジェが、所狭しと置かれている。真っ白い壁にとっても映えて、私ったら目がキラキラ状態。元永さんご本人もとっても気さくで飾らない方だった。ピュアで情熱的で、素敵なお人柄に、すっかりファンになってしまった・・・。今、長野県信濃美術館で「元永定正展」が開催されている。お近くの方は、どうぞ。
2005/08/08
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実は毎日見ている、「私の頭の中のケシゴム」見るたびに発見があったり、同じ所で涙したり、忙しい。(笑)この作品は、いろいろなところに伏線があって、前半見たものが後半、より鮮やかに印象付けられる・・・というシーンがたくさんある。その中の一つ。香りについて。スジンとチョルスが付き合い始めた頃、無精ひげをきちんと剃って、アフターシェーブローションを顔につけるチョルス。掌をつかって、パタパタと顔を仰ぐしぐさが、とてもかわいらしい。チョルスの部屋で、2人とも寝転んでいる。スジンがクンクンと鼻を動かし、チョルスの顔を匂う。「何の匂い?」「ん?さぁ」その香りは、スジンにとって叔父や父親を連想し、幼い頃を思い出させる不思議な香りだった。そしてスジンが病気のため記憶を無くしたとき。チョスルは彼女に会いに行く前、車の中であのアフターシェーブローションを顔にたたき付ける。病室にやってきたチョスルを見て、初対面の人にするような挨拶をするスジン。しかし、しばらくして鼻を動かせる。「何の匂い?」かすかな記憶の糸を手繰るような様子を見て、チョルスは付き添いの人に言う。「外出できますか?」おそるおそる外を歩くスジン。チョルスと初めてであったコンビニに連れられてくる。あとは、見てからのお楽しみ。このように、この映画では香りが1つのポイントになっている。さて、香りについて私の思い出を1つ。もうずいぶん前のこと。職場の先輩が異動することになった。毎日顔を合わせていたのに、もう会えないと思うと、なんだか寂しくなった。彼はちょっと気が多い人で、同じ会社以外の女性にいろいろと声をかけていた。本当は結婚願望が強くて、寂しがり屋さん。妹みたいな扱いの私には、いろいろと恋の悩みを話してきていた。異動が決まって、初めて食事に誘われた。いつもは仲間たちとワイワイ飲みに行っていたのだが、2人きりは初めて。まぁ、食事の時のことは割愛するが、(秘密)数日後、彼が異動する日がやって来た。新幹線の駅まで、みんなで見送りに行く。なにか気のきいたことを言いたいけれど、他の人の手前、何も言えない。新幹線に乗り込んだ彼に、みんなが順番に握手をもとめた。私は、一番最後に彼と握手をした。私の手の中には、小さな封筒。握手をした彼は、自分の掌に転がり込んできた珍客に驚く。さっとジャケットのポケットに、封筒を滑り込ませた。以前職場で彼と話をしていたこと。『香りは時間も空間も飛び越える』「町の中を歩いていて、昔付き合っていた人と同じ香りがしたら、どきっとするよね」「うんうん、当時のことを思い出して、胸がキュ~ンとしたりしてね~」などと他愛もない話をしてたっけ。異性だという意識をしていなかった私たち。彼の気持ちを受け止められなかった私なのに、私のことを忘れて欲しくはなかった。エゴかな。当時私が自分の分身のようにつけていた香水。そのミニチュア瓶を、封筒にこっそりしのばせた。「まるで睫毛みたいな関係だよね」と彼が呟いた。「なぜ?」「近すぎて見えない」
2005/08/08
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私が尊敬している作家の一人に、神戸在住の作家、島京子さんがいる。何を隠そう、私は5年ほど前から彼女が主宰する同人に参加させてもらっている。その同人は、毎年1回同人誌を発行しているのだが、今年もついこの間、第18号を発行したばかり。島先生も、この6月に新しい本を出版された。今日はその出版記念を兼ねて、「島京子さんを囲む会」が神戸で催された。 私は、同人仲間(といっても、私より年上の方ばかり)と一緒に受け付けなどを担当。微力ながら、お手伝いをさせていただいた。受付にいたので、参加者の名簿を見たのだが、これがもう豪華なこと。関西の文化人(関西の同人誌の草分け「VIKING」の方々、高嶋哲夫さんなど)が勢ぞろい。政治家もちらほら。個性的な面々が、毒舌な、或いはウィットに富んだスピーチをされて、始終会場はなごやかな雰囲気。文章を書くこと、そしてそれを推敲する楽しみ。私のこれからの人生を彩ってくれるであろう、さまざまな出会いがあった1日だった。
2005/08/07
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どうしても映画館の大画面で見たくて、買ってしまった・・・。(映画のパンフも欲しいし)「私の頭の中のケシゴム」の前売り券。今なら、特製オリジナルポストカード3枚がついてくるってのも、魅力的だった・・・。で、しっかりもらってきた。↓ このはがきのチョン・ウソンも、渋くて素敵~。
2005/08/07
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ご覧の通り、ジヌくんで一杯です~。(汗)お気に入りの切抜きを、プラスチックケースに入れて、観賞用に。ジヌくんのことを想いながらキーを叩き、ふと見上げると、目が合う幸福。子ども達にはあきれられています。でも、この環境、やめられないの。
2005/08/06
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今朝、何気なくポストを見たら、小包が入っていた。『ん?なんだろう?何かネットで注文したっけ?』と思いつつ、裏を見る。差出人の名前がない。ちょっと身構える。表には「冊子小包」とある。同人仲間から、また本を送って来たのかしら?と思いつつ、開けてみると・・・。「ヤクソク」のノベライズ本が入っていた!! ええ??私、そういえば、ノベライズ本プレゼントに応募してたっけなぁ~。すっかり忘れていたわ~。というか、応募しながら、待ちきれずにもうノベライズ本を買っちゃったし~。その内容について、さんざん日記のネタにした後だよ。(苦笑)まさかスタッフがここを読んでいるわけないし・・・。(笑)(というか応募した名前はHNではなくて本名だからね、当然。)はっきり言って、私はくじ運悪いです。今までほとんど落選ばかりでした。だから、よりによって「ヤクソク」ノベライズ本が“今ごろ”当るなんて、なんだか複雑な気分。(落選した人には悪いんだけど)
2005/08/06
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「私の頭の中のケシゴム」で、ワイルドで繊細なチョルス役を好演した、チョン・ウソン氏が来日します!8月8日(月)17:50 羽田空港に到着予定です。イ・ジェハン監督と共に来日する予定。しかし、すごいね~。到着空港と時間まで公開しているんだ・・・。いいなぁ~。これが関西の空港だったら、私、行っていたかも。さすがに羽田には・・・。これがジヌくんだったら、即行くんだけど。でもチョン・ウソンさんにも会ってみたいなぁ~。
2005/08/05
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昨年11月、韓国で公開された作品。日本公開は、10月下旬予定。ある方のご好意で、見ることが出来たんだけど、これがもう最高に感動した。子ども達が寝静まり、さんざんネットをしたあと、『さぁ、さわりでも見て、続きは明日・・・』なんて考えつつ、深夜2時近くに見始めた。すぐ惹きこまれて、ティッシュの箱を抱え、泣きながら見終わると、もう4時・・・。今日も寝不足。でも何度でも見たくなる。今日も2回見た。不倫の恋に終止符を打ったスジンは、コンビニで偶然一人の男と出会う。スジンの買ったコーラを手に持っていた(とスジンは思っていた)男から、コーラを奪うと、その場で飲み干す。数日後、スジンの働く事務所にやってきたのは、あの男だった。自動販売機でコーラを買ったスジンから、コーラを奪い、彼女の目の前で飲み干した。大きなゲップと共に。男の名前はチョルス。スジンの父親が経営している建設会社の所長をしていた。チョルスのことが気になるスジンは、偶然を装って彼が仲間たちと飲んでいた屋台にやってきた。ほろ酔いのチョルスは、硝子の杯に酒を注ぎ、こう言う。「これを飲めば俺たちは付き合うんだ」スジンが聞く。「飲まなければ?」「俺たちは他人だ。死ぬまで」スジンを見つめながら、答えるチョルス。スジンは、酒を飲み干した。そんなスジンをチョルスは・・・・。チョルス役のチョン・ウソンが滅茶苦茶かっこいい。ワイルドで骨太で、でも不器用なほどに優しく繊細で・・・。作業着を着ている彼は、男臭い魅力に溢れている。スジンの強い希望で結婚した2人は、幸せの絶頂にいた。チョルスは建築士の試験に合格し、仕事は順調に進んでいった。スジンも妻としての喜びに満ち溢れていた。しかし、2人に残酷な運命が待ち受けているとは、そのときの2人は全く気がつかなかった。スジンを病魔が襲った。病名は、アルツハイマー病。記憶が失われていく病だ。何回見ても、泣かずにはいられない。妻を想うチョルスの深い愛。この世で一番愛している夫を忘れてしまう妻。チョルスに向かって昔の男の名前を呼び、「愛しているわ」と無邪気に囁くスジン。チョルスは、スジンが本当に愛しているのは誰なのか、悩む。急に記憶が戻り、チョルスにありったけの気持ちを込めた手紙を書くスジン。しかし、思い出した記憶も、すぐに失われてしまう運命なのだ。「記憶を失うことは、魂を失うこと」死別よりも切ない別れが、愛し合う2人にやってくる。誰を恨むわけにもいかない、どうしようもない思いが溢れて、見ていてかなり辛くなる。でもラストシーンを観た後、虚脱感に見舞われなかったのは、チョルスとスジンの心の動きとお互いを想う深い気持ちが、見る者に強く伝わったからだろう。運命は彼らに試練を与えた。しかし彼らは運命に負けなかった。抗ったのではない。受け入れたのだ。チョルスがスジンに向かって初めて言った「愛している」この世の中に存在する、どんな甘美な音楽よりも、私の心に強く響き、染み込んでいった。今年見た映画の中で、最高の作品かもしれない。「私の頭の中のケシゴム」公式サイトはココ
2005/08/05
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裏話を伺いました。時々お邪魔するpurayさんのサイト「記憶の糸」にあったお話です。(purayさん、どうもありがとうございます)7月28日のラジオ番組で、南野陽子さんが「ヤクソク」第43話でのラブシーンの裏話をお話していたとか。キスを交わしたソンジェと葉子が、ゆっくりと倒れ、抱き合おうとした時、葉子がソンジェの腰をグッと引き寄せたシーン。南野さんは、カメラがアップになっていると思い、アングルを考えれば下半身をくっつけたほうが綺麗に見えると思って、そうしたらしい。しかし、カメラは引いていて、彼女がソンジェの腰を両手で引き寄せた所が、バッチリ写っていた・・・。公式BBSでも、騒がれていたよね。「葉子って大胆!」って。(笑)私も何回リピートして見たか。ジヌくん自身も、腰をひきつけられたとき、「びくっ」としたそうで、その後「フフ~ン」という顔をしたらしい。可笑しい!ジヌくんのそういう反応、見てみたい!南野さんは、その後「あれは違うからね」と弁解したそうだけど、ジヌくんファンの私としては、うらやましいかぎり・・・。びくっとしたジヌくんも、「フフ~ン」という顔をしたジヌくんも、なんだか想像したら、かわいいなぁ~。
2005/08/04
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今日買い物してて、こんなの見つけました。思わず買ってしまいましたね。いえ、わかっているんです。ジヌくんは、オーストラリア国籍で、彼自身の食の好みもオージーだって。なんせ毎日でもステーキ♪らしいですから。でも、ジヌくんは私の前に「韓国人俳優」として現れたんです。「ヤクソク」の中で、彼はソンジェという韓国人キャラになりきっていたんです。ソンジェに恋してしまった私は、韓国のものを 見ると、ついジヌくんを連想してしまって・・・。(苦笑)一人でチヂミ味のカールを食べながら、ジヌくんに想いを馳せましょうか。
2005/08/03
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楽天友達のアキアカネさんから、ラブバトンを奪って、いえ受け取ってきました。(笑)いや~、いろいろなバトンがあるんですね~。<ラブバトン>1、初恋はいつですか? 初めて人を好きになったのは、2歳のときらしい。いつも公園で見かける男児だった・・・。(笑)でも、初めて恋をしたのは、高校1年生の時。理科の先生だった。(赤面)2、今まで付き合った人数?片手でも余る。(涙)3、好きな人とデートで行きたい場所はどこですか?好きな人と一緒にいられるんだったら、どこでもいい。4、好きな人と観たい映画はありますか?「眺めのいい部屋」かな。J・アイヴォリィ監督の作品。5、好きな人に言われて一番嬉しかったことは何ですか?結婚が決まった私に「愛人でもいいから、君とまだ付き合っていたい」(by元カレ)6、好きな人はいますか? その人の好きなところは?いつも好きな人はいる。染タンでしょ、萬斎さんでしょ、柳楽クンに、ヤン・ジヌくん、ツァオ・レイーくん・・・。それぞれ好きな理由は違うけれど、共通しているのは「色気がある」ということかな?7、こんな人は絶対無理っていうのはありますか?不潔な人、下品な人8、恋愛対象年齢は何歳~何歳ですか?えっと、柳楽くんっていくつだっけ??まだ10代だよね?(滝汗)柳楽君くらいの年齢から(犯罪かも??)70代くらいまでかな・・・?(知人でとても素敵な70代の方がいらっしゃるので)9、浮気は許せますか?許せる人はどこまで?以前は、好きな男性が他の女性と話すのもイヤだったけど(若かったんです!)今はたいていのことは、許してしまっている自分がいる。10、同棲してみたいですか?してみたいです。(もう遅いかもしれないけど)11、あなたが愛情を感じる行動は?相手が何気なく手をつないでくる時。12、愛と恋の違いは何だと思いますか?恋は賞味期限あり、愛は賞味期限なし13、一番長く続いた恋愛は?染タンかな?もう5年だもの。(違)14、付き合いたい芸能人、有名人はいますか?染タン、ジヌくん、ツァオ・レイーくん(あ、ファンの皆様、石を投げないで~)15、究極の選択です。一生人を愛することができなくなるor一生人に愛されなくなるこれは私にとっては、究極でもなんでもない。人を愛することを私から取ってしまったら、もはやそれは私ではなくなる。よって、愛されなくなるほうを選ぶ。16、次にバトンを回す5人ご希望の方に回します。よろしければ、持って帰ってくださ~い!
2005/08/02
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また今夜もフラフラとネットを徘徊している私。どこを探したって、もうソンジェはいないのに・・・。そして一人、また一人と「ヤクソク」を卒業していく・・・。私も、そろそろ前を向いていかなくちゃいけないのかな?ぼんやりとリビングの本棚を眺めていたら、春頃に読んだ本が目に付いた。「若きいのちの日記」大島みち子著 大和書房この本は、約40年前にベストセラーになった「愛と死をみつめて」の著者が書いた日記。著者の大島みち子は軟骨肉腫という難病で、大阪大学医学部附属病院に入院していた。彼女が入院中に知り合った大学生、河野実と交わした往復書簡が「愛と死をみつめて」であり、書簡を交わしていた時期にみち子が書いていたのが「若きいのちの日記」である。この本の帯には、「もっと生きたい!愛する人のために」とある。ここでソンジェのことを思い出してしまう。そうだよね・・・。この本を読んだきっかけは、ある新聞社から書評を頼まれたから。書評が載った新聞記事を読んでみる。「・・・病気と闘いながら、生きる努力をするみち子。これこそが純愛の本当の姿ではないだろうか。甘くもなければ柔らかくもない。硬質で厳しさを伴うもの。・・・・」なんて書いてある。え?「ヤクソク」見ていない頃の記事だよなぁ・・・。まるでこの後、「ヤクソク」とソンジェに出会い、同様のことを再び感じることを予感しているような・・・・。この2ヶ月間、ほとんど毎日「ヤクソク」日記を書きつづけてきた。嬉しいときも、悲しい時も。放送が終わっても、番外編を書いてきた。だって、「ヤクソク」日記を書くことが、私のリハビリになるから。でも、この2ヶ月間に、ゴッホ展、モロー展、萬斎さんの狂言の舞台、TOGI+BAOのコンサートと盛りだくさんのお楽しみがあったんだよなぁ~。それらの感想日記もボチボチ書いていくとしますわ。
2005/08/01
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昨日の深夜、SOLEIADOさんから教えていただいた情報です。(いつもありがとうございます)ジヌくんのPERSONAL DVD撮影が決まったようです。9月からオーストラリアで撮影されるらしいです。そのため彼は、今韓国で毎日3時間以上かけて、トレーニングをしている真っ最中だとか。他に DVD 発売開始関連の撮影という情報もあります。どちらにしろ、またジヌくんの姿が見られることには変わりないですよね。うれしい!!楽しみに待っています。
2005/08/01
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