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上の子の10歳の誕生日用に選んだロベール・アルヌーの「ヴォーヌロマネ・レ・スショ」。私にとって思いいれのある銘柄のひとつです。ほかならぬこの「スショ」の96年を、リリース後間もない時期に「割烹小田島」で飲んだことが、それ以降私が深くブルゴーニュに傾倒するきっかけとなったからです。当時の私が主に飲んでいたジャンルは、ボルドーや新世界のものでした。ブルゴーニュについては安価な裾物ばかり飲んでいたこともあり、「基本的に酸っぱくて気難しいもの」「当たりハズれが大きくリスキーなもの」という思い込みがありました。その先入観を打ち壊してくれたのがこのアルヌーだったのです。フローラルで華やかな芳香、甘くジューシーな味わい、リリース間もないのに美味しく飲めてしまう懐の広さ。大げさでなく「目からウロコが落ちる」ような体験でした。それ以来、私の嗜好はブルゴーニュに大きく舵を切り、ロベール・アルヌーは大好きな生産者のひとりになりました。当然、上の子の誕生年の2002年のワインを購入するにあたっても、まとめ買い候補の筆頭でした。しかし、現実には人気銘柄の「ヴォーヌ・ロマネ・レ・スショ」をそうそう何本も購入することはでませんでした。最終的に「ヴォーヌロマネ・レ・ショーム」、「エシェゾー」とをとりまぜて8本購入しました。 ところが、これらのボトルを飲み進めるうちに、私のアルヌーに対する心象は揺らぎ始めました。年とともに、香味の中にいわく言いがたい「クサい」ニュアンスが出るようになってきたのです。それがどうも気になって、次々と開けてしまい、気が付けば8本のうち6本を消費してしまいました。 今まで開けた感想を改めて紐解いてみると‥(ビンテージはすべて02年)飲んだ日 銘柄 感想04.12 レ・ショーム 還元的。2~3日目に開いてくる感じ。06.2 レ・ショーム 果実味が前面に出てきて飲みやすい。美味しい。06.10 レ・ショーム 動物的なクサいニュアンスが出てきた。08.3 エシェゾー 同上。あまり印象よくない。08.12 エシェゾー 同上。09.11 エシェゾー 傾向は同じながら、熟成香が前面に出てきて飲みやすく。一口に動物的な香りといっても、皮革系の官能的な素晴らしい芳香もあれば、いわゆる「濡れ子犬」のようなやや怪しげだけれども惹き付けられる香りもあります。私がここで感じたのは菌の影響か酵母の影響なのか、もっとネガティブなニュアンスでした。(この部分、うまく言葉で表現できないのがもどかしいのですが‥。)熟成に伴って出てくるこの性質がアルヌーに共通のものなのか、それとも02年に特有のものなのか、あるいは私が購入したボトルたちがたまたまそうだったのかはよくわかりません。なので、あくまで一般化はできないという前提のもとで話を進めますが、これらのイヤなニュアンスは、おそらくリリース後間もないうちにはフレッシュでみずみずしい香味にマスキングされて目立たなかったものが、年とともに初期の若々しい香りが後退して相対的にネガティブな要素として目立つようになってきた。09年あたりになると、ようやく熟成香が前面に出てきて、また目立たなくなった、ということなのだと思っています。 そんな流れで開けた今回のレ・スショでした。グラスに注ぐと、エッジを中心にオレンジのニュアンスがはっきりと見て取れます。香りはカシスやダークチェリーなど赤と黒の中間位の果実、ダージリン、スパイス、皮革、毛皮、焦げ臭など。よく熟成していますが、やはりこのボトルも陶然とするような香りというよりは、ほんの少しノイジーなニュアンスが垣間見えます。味わいはミディアムボディからフルボディといったところで、酸がしっかりしており、タンニンは溶け込んでなめらかになっています。果実味はドロンとした感じで、下草系の香りが含み香に感じられます。何杯か飲み進めるうちに「クサい」ニュアンスは影を潜め、全体のバランスも向上してきました。総じて、今まで飲んだアルヌーの延長線上の香味で、それなりに満足のいくものでしたが、10年の熟成を経てめくるめくような変貌を遂げたとか大きな付加価値が加わったわけでもなく、いくぶん物足りなさを感じたのも事実です。ちなみに、この銘柄の飲み頃予想と点数について海外の評価を確認したところ、WA誌では、2007-2017年(94点)、Burghound.comは、2012+(92点)と、飲み頃についてかなり見解が異なっていました。今回飲んだボトルはBurghound.comのアラン・メドウ氏の予想に近い印象でした。 ロベール・アルヌーは、早めに開けたほうが真価を発揮する生産者なのでしょうか。いや、ここまでの数本だけの印象で決め付けるのは早計というものでしょう。過去になんどか素晴らしい古酒を経験したこともあるので‥。セラーに残っている最後の1本については、思い切って娘の20歳頃の誕生日まで寝かせてみようかなどとも考えています。追記:実は最後に残った一本が行方不明になってしまって、未だ飲んでいません。見つけたら飲んでみたいと思いますが。なお、読者のみなさんもご存知と思いますが、今はアルヌー・ラショーという名でドメーヌのみならず広くネゴシアンも営んでいます。
2015年03月30日
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サンセールの至宝、といいつつ、なんだか某所の特売のおなじみ銘柄の感すらあるアルフォンス・メロ。いい作り手だと思うんですがね。ロワールのソーヴィニヨンブランというややマイナーなポジションであることに加えて値付けが総じて高めなんですよね。この銘柄は当主アルフォンスが19代目という事で命名されたスペシャルキュヴェで、樽発酵で造られるそうです。黄桃やリンゴ、アプリコットなどのやや重めの果実、アカシア、ミネラル。味わいは厚みのある果実味が印象的ですが、やや酒質に鈍重さを感じるのと、後半に蜜っぽい甘さが残るのがマイナスポイントです。力強くグラマラスな味わいのベクトルはソーヴィニヨンブランの品種特性とはややギャップがあるように感じます。PPは95点とかなり高いようですが、個人的にはあまりツボにはまることのない香味でした。小瓶に残した翌日、各要素が馴染んで飲みやすくなりました。少し寝かせるとまた違った表情を見せてくれそうです。PP96点のキュベ・エドモンも同時に購入したので、こちらはもうしばらく寝かせてから飲んでみようと思います。寺田倉庫に預けてしばらく忘れてみるのも一案かもしれません。★★★★楽天でアルフォンス・メロを検索★
2015年03月28日
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#2012年の夏頃に書いたコラムなので、「最近観た映画」のネタが古いですが、ご容赦を。何年か前のことになりますが、子どもと一緒に週末に「借りぐらしアリエッティ」と「トイストーリー3」を立て続けに観たことがありました。以下、映画を視ていない方には、何のことだか、という話になってしまいますが‥。トイストーリーの方は周到に計算された脚本の妙とでもいいましょうか。笑わせるところは笑わせ、泣かせるべきところは泣かせ、最後はしっかりと感動させながら予定調和的なエンディングを迎える、非の打ち所のない全世代向けエンターテイメント作品というべき内容。子どもたちも大いに満足していました。一方のアリエッティは、小学校低学年の子どもにはややシブすぎたかもしれません。描写のきめ細かさ美しさなどは素晴らしかった反面、ストーリー的には淡々と話が進んでいく感じで、「え?これで終わり?」というのが観終わってからの子どもの第一声でした。もっとも、私自身は「借り暮らしのアリエッティ」にも大いに心惹かれるものがありました。たしかに「トイストーリー3」を観終わったあとのような「満腹感」はありませんでしたが、後になってそこはかとなく余韻が伝わってくるというか、もう一度観たくなるようなしみじみとした後味を感じる映画だったのです。ヴィレーヌのワインは、私にとって、いわば「借り暮らしのアリエッティ」的な立ち位置のワインです。ドメーヌの正式名称は「A. ET P. DE VILLAINE」。Aは当主オベール氏、Pは伴侶パメラ氏の頭文字です。「ドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティ社の共同経営者が運営するドメーヌ」という大看板が常について回りますが、そもそも畑の立地がコート・シャロネーズだし、リリースしているワインもメルキュレ、リュリー、ブーズロンのアリゴテ、それにACブルゴーニュの赤白と来て、プライスレンジもすべて5000円以下ですから、ここのワインを飲んでDRCの片鱗を感じようとするのにはさすがに無理があります。ここで造られるワインたちはむしろ地味といってもよく、良くも悪くも中庸を得た仕上がりです。決してこけおどし的な要素や派手さがあるわけではないし、独特のキャラクターや抗しがたい官能性があるわけでもありません。看板銘柄的な「ブルゴーニュ・コートシャロネーズ・ラ・ディゴワーヌ」や「メルキュレイ・ル・モント」にしても、ワイン誌的な尺度でいえば、せいぜい88~89点ぐらいの点数が精一杯でしょう。セラーにあるヴィレーヌのボトルを開けるときも、「よーし、飲むぞ~」というような期待感とともに開けることは滅多にありません。むしろ消去法的に他にこれといったボトルが見当たらないときに開けることの方が多い気がします。それでも、このドメーヌのワインをなぜか毎年追い求めたくなってしまうのです。ごくごくオーソドックスながらも、ブルゴーニュ好きの「ツボ」を決して外さない安定感と安心感、ワイン会用というよりは、晩酌用に日頃から接したい飽きの来ない作り、押し付けがましさのないナチュラルなバランス、それらに知らず知らずのうちに惹かれるのでしょう。ヴィレーヌで有名な銘柄といえば、まず白のアリゴテから造られる「ブーズロン」を挙げないわけにはいきません。ドメーヌの20ヘクタール弱の畑の半分以上を「ブーズロン」が占めているそうです。なお、「ブーズロン」は1997年にそれまでの「ブルゴーニュ・アリゴテ・ド・ブズロン」からヴィラージュに格上げになったそうですが、これもヴィレーヌ氏の功績によるところが大きいのでしょう。価格も安く、夏場に気軽に飲める、それでいて侮りがたい本格的な香味を味わせてくれるアリゴテです。シャルドネから造られる「ブルゴーニュ・レ・クルー」、「リュリー・サンジャック」も南方らしいフルーティさと豊かな酸、ミネラル感を両立させたCPのよい銘柄だと思います。もっとも、インポーターのホームページにも書かれているように、ヴィレーヌのワインの中で、「なぜか品切れになるのは赤から」です。実際、看板銘柄のひとつである「ブルゴーニュ・コートシャロネーズ・ディゴワーヌ」は、愛好家の間では「瞬間蒸発」銘柄のひとつとして知られています。これは、生産本数の少なさもさることながら、前述のとおり「DRCの共同経営者が作る赤」というイメージが大きく寄与していることは明らかです。しかしそこに期待をしすぎるのはこのドメーヌの本質を見誤る危険があります。なんのかんの言っても、そこは3千円台のACブルゴーニュですから‥。ディゴワーヌの若木から造られる「フォルチュヌ」は、ディゴワーヌほど入手は難しくないし、香味の面でも別物のように劣るわけではないので、私などは、普段飲む分にはこちらでよいかなと思ってしまいます。この作り手のボトルで悩ましいのは、価格が安いこともあって、ついつい早飲みしてしまうことです。10~15年ぐらい寝かせた良年のディゴワーヌやメルキュレを飲んでみたいところですが、市場で見つけることはほとんど不可能でしょう。リリース時にまとめて買って(そもそもそれが難しいのですが)、10年我慢して(これもまた難しい)、十分熟成したボトルを日常的に飲む。これぞある意味究極のブルゴーニュの楽しみ方かもしれませんね。******************************ディゴワーヌも最近は5k出さないと買えなくなってしまいましたねぇ。★楽天でヴィレーヌを探す★
2015年03月27日
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なんでこんなにボトルの写真が傾いてしまうのかについては、今後の課題としつつ。この銘柄、当ブログやRWGのコラムを読んでくださっている方ならピンとくるかもしれません。「脱酸素パック」の検証用にまとめ買いしたボトルです。ひと夏経過後のボトルではあまりスッキリした結果が出なかったので今夏再チャレンジしようかとも思ったのですが、保管スペースに余裕がないこともあり、余ったボトルは飲みきってしまうことにしました。ちなみに白はペルノの12ブル白、スクリューキャップの実験ボトルはアンブロワーズの11赤白裾ものでした。イチゴやラズベリーなどの赤系果実、紅茶、スミレに加えてやや揮発性塗料のようなニュアンスがあります。口に含むとなめらかな果実味のアタック。酸はエッジが丸く、タンニンも穏やかでスケールは小さいながらもこじんまりと綺麗にまとまったピノです。スルスルと飲める半面、グリップに乏しく、エキス分も頼りなさげですが、ACブルにあまり多くを期待するのも野暮というものでしょう。小瓶に残した翌日はエグ味や雑味も出てきて、全く杯が進みませんでした。時期的には脱酸素の検証をしていた昨年秋ごろのほうが美味しく飲めたような…。★★☆→このワイン、これで終わりかとばかり思っていましたが、なんとさらに中2日経過した小瓶(200mlずつ小分けにしていた)を開けてみたら、意外なほど美味しく飲めたのには驚きました。香りにフローラルなニュアンスが増して、味わいは甘みと旨み、それにグリップが増して、抜栓当初より一回りから二回りくらい向上した印象です。ワインというのはわかりませんねぇ、いや本当に…。★★★☆★楽天でルモワスネを検索する★
2015年03月26日
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自宅でロゼ・シャンパーニュを開けたことは数えるほどしかありません。進んで購入しようという意欲がわかないんですよね。このシャルル・エドシックはたまたま某ワインバーでグラスで飲んで、その美味しさに感激して購入したものです。さて、ワインバーの再現となりますかどうか。色調は期待したほど綺麗ではありません(笑)。少しくすんだオレンジ色のニュアンスが強いサーモンピンク。炭酸は細やかですが弱めかな。香りは華やかではないもののボリュームを感じるものです。グランベリーやフランボワーズ、アセロラ、ザクロ、かすかにブリオッシュ、それにタイムやオレガノなどのハーブ…。う~む、書き並べてもなんとなくうまく表現できていないもどかしさを感じます。ロゼって泡もスティルワインも日ごろ飲まないこともあり、ボキャブラリーが貧困です。味わいは果実味が力強くコクのある酒質です。泡物というより、高級なロゼワインみたいな印象。ロブのチューリップAではやや消化不良に感じられて、マルヌのブラングラスで飲んだらイイ感じになりました。正直、ワインバーで飲んだときほどの感激はなくて、通常のブリュットの方でいいかもとは思いましたが、相変わらずレベルの高い作りなのはたしかです。我が家のセラーの常備アイテムになりつつあります。★★★★★楽天でシャルル・エドシックを検索★
2015年03月25日
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ジョルジュ・ミュニュレ(ミュニュレ・ジブール)は前回紹介したパリゾとともに、私がもっとも贔屓にしているドメーヌです。ブルゴーニュには、ジョルジュ・ルーミエ、ジョルジュ・リニエ、モンジャール・ミュニュレなど、ただでさえ似たような名前のドメーヌがあってややこしいのですが、このドメーヌにはさらに『ジョルジュ・ミュニュレ』と『ミュニュレ・ジブール』という二つの名称のラベルが存在します。 これは畑の違いによるもので、「ミュニュレ・ジブール」は、故ジョルジュ・ミュニュレの母親が1930年代に購入した畑、「ドメーヌ・ジョルジュ・ミュニュレ」は故ミュニュレ氏自身が購入した畑からのものだということです。注:2009年以降ドメーヌの名称は「ジョルジュ・ミュニュレ・ジブール」に統一されています。所有する合計8.5ヘクタールの土地には、クロ・ヴージョ、エシェゾー、リュショット・シャンベルタンの3つの特級が含まれます。88年に当主のミュニュレ氏が亡くなった後は、奥様と二人の娘さんがドメーヌを切り盛りしています。作り出されるワインは、オーソドックスな中にも華やかな芳香と、目の詰まった、それでいて重々しくならない酒質が出色です。全般に長熟型で、20年以上の熟成が可能と言われますが、若くして飲んだとしても、大きく裏切られることはないと思います。かつてリアルワインガイド誌のテイスティングで、リリース直後のこの作り手とジョルジュ・ルーミエの各銘柄の試飲をセットで行ったことがありました。他のレヴュアーの方々は口々にルーミエを褒めていましたが、私はむしろジョルジュ・ミュニュレの方が美味しいと感じました。まあリリース直後の話なので、熟成させるとまた話は違ってくるのかもしれませんが。 さて、このドメーヌに言及するからには、なんといってもフラッグシップの「リュシュット・シャンベルタン」の素晴らしさを語らずにはいられません。これもだいぶ前のことになりますが、98年のブルゴーニュばかり数十本ブラインドテイスティングする企画に参加しました。このときにもっとも印象深かったのがほかならぬこのリュシュット・シャンベルタンでした。居並ぶ錚々たる作り手の中でも表情の豊かさにおいてひときわ輝きを放つ姿は、まさにブルゴーニュ屈指の銘酒だと感嘆したものです。その辺の事情は愛好家の方々も心得ているのか、他のアイテムが売れ残っているような年でも、リュシュット・シャンベルタンだけは「瞬間蒸発」してしまう人気アイテムとなっています。たまたま今年、それぞれビンテージの異なるリュシュット・シャンベルタンを2度飲む機会がありました。ワイン会で出された90年は想像していたおりの素晴らしいで熟成具合で、ビッグビンテージということもあって、20年経過しているというのにまだまだ長持ちしそうでした。翌月の持ち寄りワイン会に、04ビンテージを持参してみました。こちらもまだ若いものの、瑞々しい果実味を中心としたバランスの良さとクリーンな酒質が際立っていて、参加した方々からお褒めの言葉を頂くことができました。他のラインアップの中では、「クロ・ヴジョ」が秀逸です。畑は好立地に位置しており、リュシュットシャンベルタンよりもやや内向的でガッチリとした、長熟タイプの味わいに仕上がります。特級以外ではニュイ・サンジョルジュの2銘柄、「シェーニョ」と「ヴィーニュ・ロンド」がタマ数も多く、お値段も比較的手ごろでオススメできます。シャンボールミュジニー村の1級「フスロット」はこの作り手の美点が生かされたすばらしい味わいですが、プライスはやや高めでタマ数もあまり多くないのが難点です。村名の「ヴォーヌ・ロマネ」はビンテージによってややムラがある気がします。 ちなみにこのジョルジュ・ミュニュレ・ジブール、コンディション面でも、ラシーヌさんとラックさんという安心して購入できるインポーターが扱っている点もポイントです。長熟させられると判っていながらも、若くても美味しく飲めてしまうので、手元にあるとつい開けてしまいます。子どもの生まれ年用に買い込んだ2002年のストックが残り少なくなってきていると知りつつ、この正月休みにもまた1本開けてしまいそうです。↑家で開けてみるのはNSGの2銘柄ばかりです(^^;<追記>このドメーヌもすっかりスタードメーヌの仲間入りを果たしてしまい、近年のリュショットシャンベルタンなどはさっぱり買えずじまいです。値段も高くなって、今はもう追いかけていません。ちなみに最近のショップの紹介を読んでいたら以下のようなことが書かれていましたので参考まで。・100%の除梗。4~5日の低温マセレーションの後、アルコール発酵。トータルで14~20日のキュヴェゾンの後、樽詰め。新樽の比率は村名で30%、1級畑で40~45%、特級で70%。樽熟期間は18ヶ月。・フレデリック・エスモナンのアンドレ・エスモナンの話では、特級リュショット・シャンベルタンの畑はヴォーヌ・ロマネから遠いため、彼らが代わって栽培作業をしているとのこと。・畑名のないジュブレ・シャンベルタン1級はリュショット・シャンベルタンの若木から造られるワインだが、樹も十分に育ったため2012年から本来のリュショット・シャンベルタンとなる予定。★楽天でジョルジュ・ミュニュレ・ジブールを検索★
2015年03月24日
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ブルゴーニュで人にオススメしたい作り手を挙げろと言われたら、誰を挙げますか?私の場合、真っ先に思い浮かぶのがシャルロパン・パリゾです。この作り手には、とにかく何度も「助けられて」います。というのも、いつ飲んでも、めったに外すことがなく、安定した素晴らしい香味を見せてくれることから、私の持ち寄りワイン会用の定番銘柄になっているのです。よくご一緒している方からは、「またパリゾ?」と言われたりしますが、この作り手には、何度でも飲みたくなる抗し難い魅力があります。錚々たる8つのグランクリュ(シャンベルタン、マジシャン、シャルム、マゾワイエール、エシェゾー、クロサンドニ、ボンヌマール、クロヴジョ)を含む17ヘクタールの畑を所有するほか、近年シャブリでもワインを作り始めました。ちなみにクロ・ヴジョは良区画であるグラン・モーペルテュイに1ヘクタールを所有。シャンベルタンは5樽ほどの生産で、その畑は、88年以降、ラトゥール一族のマダム・ジョスリーヌ・バロンから0.21ヘクタールの区画を任されるようになったものだそうです。味わいは、パンと張った球体のような果実味を上質な樽が包むイメージ。酒質はリッチで濃厚な部類に入りますが、張りのある上質な酸があるので、鈍重になることはありません。リリース直後にはやや目立つオークも、熟成させるに伴って目立たなくなり、代わりに下草や皮革系の官能的な芳香が出てきます。比較的早く飲み頃に達して、うまくピークに当たると、それこそ目のくらむような香味を愉しめます。あまり作柄が良くない年でも、うまく仕上げてくれるのも頼もしい点です。過去飲んだ98年とか00年、01年など、いずれもすばらしい香味でした。特に01のクロサンドニはその年に飲んだ中でもベスト3に入る1本でした。 欠点を挙げるとすれば、値段が総じて高いことでしょう。グランクリュについてはブルゴーニュ全般の相場が高騰していることもあって、それほど割高には感じませんが、ACブルや村名などのエントリークラスがあまり安くないのが、なかなかファンが増えない要因かなとも思います。実際、村名クラスでも銘柄によっては1万前後という値づけは、パリゾファンの私をもってしても、ちょっとと思ってしまいます。加えて、このドメーヌのワイン、作り手の個性が勝ってしまうのか、わりとどの銘柄も「同じ味がする」点も、人によってはマイナスと捕らえるでしょう。実のところ、私も数多あるグランクリュ銘柄を並べて飲んだとしても、利きわける自信はありません。テロワリスト的視点で見れば「それではダメだろ!」ということになりそうなポイントですが、パリゾのワインには、「美味しいのだからいいじゃないか。」と切り返したくなるような明快な説得力があります。たとえば、これを逆手にとって、マルサネとかフィクサンといったマイナーアペラシオンのものを積極的に探すという手もあるでしょう。なお、ショップの宣伝文句には、アンリ・ジャイエの弟子だとか、薫陶を受けたというようなエピソードが載っていますが、私はパリゾのワインからアンリ・ジャイエの面影を感じたことはありません。この部分にはあまり過度な期待をしないほうがよいと思います。 我が家のセラーには、子供の生まれ年の2002年と良年の誉れ高い2005年の特級がそれぞれ数本ずつあります。今年の4月にエシェゾー、先日クロヴジョと、たてつづけに02年を飲んだところ、どちらも期待どおり、もしくは期待を上回るような素晴らしい味わいでした。特にクロヴジョについては、今まで飲んだこのアペラシオンのものの中でも屈指のものでした。 前述のとおり、値段がやや高めなことと、ブルゴーニュ上級者が好むいわゆる「薄ウマ系」に属する作りではないことが、いまひとつブレークしない理由かな、と思いますが、個人的にはもっと注目されてよい作り手だと思います。もっとも注目されすぎて品薄になったり、これ以上高騰してしまうのはパリゾファンとしては勘弁してほしいところですが。★楽天でパリゾを検索★2002年は相当数買い込みましたが、すべて飲みきってしまいました。現在セラーには05、09、10年が何本かずつ眠っていて、そろそろ05年を開けていこうと思っているところです。総じて長期熟成に耐えるものの、比較的早めに飲み頃が来る生産者だと思っています。02年のころは1万そこそこでグランクリュを買えましたが、2012年のグランクリュは2.5万超になってしまい、さすがに購入を躊躇しています。むしろ比較的安いままのバックビンテージを探すのが賢いかもしれません。良区画のクロブジョのバックVTなどが狙い目かもしれませんね。あまりにそっけないラベル。もう少し工夫してもよいのでは、と常々思っているのですけどね‥。なお、パリゾにはもうひとつ、シャルロパン氏が懇意にしている有名ソムリエ、フィリップ・ジュリー氏とのコラボレーションによる白ラベルのボトルがあります。こちらのラベルのACブルゴーニュはネゴシアンもののようですが、時折かなり安く出回っています。
2015年03月23日
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8月最初の土日と夏期休暇を絡めて、家族でつかの間の温泉旅行に行きました。旅行中はいつにもまして家族サービスに尽くしました。その代わりに帰路ささやかな我がままを聞いてもらい、渋谷で家族と分かれて別行動させてもらえることになりました。こんな時にまでよく行くよなあと我ながら少しばかり呆れつつ、向かったのは東急百貨店の本店試飲コーナーです。この日のアイテムは新着ブルゴーニュ。実は今回、どうしても試してみたかった銘柄があったのでした。ドメーヌ・シャルロパン・パリゾの「フラン・ド・ピエ」です。価格は1万円前後と闇雲に高価な銘柄でもないし、入手に困難を極めるわけでもありません。しかし私の日ごろのワインライフにおいては、なかなか口にする機会のなかった銘柄でした。何度かこちらのコラムでも書いたように、ドメーヌ・シャルロパン・パリゾは私がもっとも好むブルゴーニュの作り手のひとりです。そんな私でもこの「フラン・ド・ピエ」だけはなかなか購入しようというふんぎりがつきませんでした。この銘柄、格付けはACブルゴーニュなのです。おそらくコント・ジョルジュ・ド・ヴォギュエが特級ミュジニーの畑で造るブルゴーニュ・ブランと並んで、最も高額なACブルゴーニュということになるでしょう。フラン・ド・ピエの何が特別なのかといえば、「台木を用いずに自根のブドウから作られている」ということです。19世紀後半ヨーロッパでは、「フィロキセラ(ブドウネアブラムシ)」の大量発生により、ブドウ樹はほぼ壊滅状態となり、ワイン造りは大打撃を受けました。しかし、1884年この害虫に対して免疫性のあるアメリカ産のブドウ樹を台木にして、その上に在来苗を接木することで、欧州のブドウ作りは蘇りました。要するに、現在ヨーロッパで栽培されているワイン用の葡萄のほぼすべて(一部例外あり)はフィロキセラに耐性のあるアメリカ産台木に接木されたものなのです。パリゾ氏は2001年、自身が所有するマルサネ・ラ・コート村の畑の僅か0.25haの区画に試験的に台木に接木されていないピノ・ノワールを植樹しました。この試みがうまくいけば、フィロキセラに犯される前のブルゴーニュのピノノワールの味わいが再現されるということで、フランス国内でも話題になったとのこと。いうなれば実験的な要素の強い銘柄です。なお、ワインショップの解説などを読むと、フラン・ド・ピエには「プレ・フィロキセラ」の葡萄の木が使用されているかのような文面を時々見かけます。実は私も最初勘違いしていたのですが、ボランジェのヴィエーユ・ヴィーニュ・フレンセーズやアンリ・マリオネのプロヴィニャージュのようにフィロキセラ禍を免れた樹齢百数十年の古木から作られているというのではなく、あくまで自根によるピノ栽培によって「フィロキセラ禍以前の状態を再現する」ということだそうです。私が今まで二の足を踏んできた理由は、やはりそうは言っても、作られる畑はマルサネから、格付け的にはACブルゴーニュということで、どうしたって香味のレベルは知れているのではないか、台木を用いない自根のピノノワールから作られることに興味は感じるものの、所詮は実験的な産物に他ならず、その費用を消費者に転化するのはいかがなものかということでした。ロブマイヤーのグラスに注いでもらうと、ルビーの色調は中程度からやや濃い程度でしょうか。赤と黒の中間ぐらいのリキュール的なフルーツ、ダージリン、オレンジピール、それにスミレの花束のようなかぐわしくフローラルな香り。飲んでみると、甘酸っぱいチャーミングな果実味の第一印象。色調同様に決して強くはないのですが、味わいはナチュラルな中に抑揚と表情があって、うねるように口の中に広がります。余韻の長さや果実の深みなど、ACブルの水準を大きく超えているのは確かです。まあ10VTのパリゾはそもそも出来がよいらしいので、彼が作る通常のACブルと飲み比べないとフェアではないのかもしれません。それにいろいろと予備知識を得たあとでの試飲なので、どうしても先入観があるのかもしれません。旅行帰りにわざわざ立ち寄ったということに対する達成感のようなものもあるでしょう。いろいろフィルターがかかっているのかもしれませんが、それでも地域名のワインがここまでの水準になるということに新鮮な驚きを覚えました。聞くところによると、こうして自根で栽培された葡萄は樹勢が弱いのだとか。葉が生い茂らない分、養分が果実に回るということなんでしょうか。また、01年植樹ということですから、樹齢が上がってきたことも良い影響をもたられているのでしょう。一方で、Burghound.comによれば、すでにこの畑もフィロキセラに犯されており、いつまで作り続けられるかわからないとのこと。 まあ純粋に1万円前後という価格に見合う内容なのかとか、旅行帰りに家族を置き去りにしてまで試すべき一杯だったのかとかということはありますが、私自身は長年気になっていた銘柄をようやく飲む事が出来たことで、休暇の締めくくりにふさわしいイベントでした。************このコラムを書いたのは2013年の8月でしたが、その直後の持ち寄りワイン会でooisotaroさんがフランドピエのファーストビンテージである05年をお持ちくださり、2度目のフラン・ド・ピエを堪能することができました。http://plaza.rakuten.co.jp/szwine/diary/201308150001/最近はあまり話題に上ることもありませんが、セールなどで安く出ていたら、あらめて購入してみたいと思っています。★楽天でフラン・ド・ピエを検索★
2015年03月21日
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この日開けたのは、以前ワインバーで飲んで好印象だったダヴィッド・モロー。その後数本購入してみましたが、残念ながら自宅で開けたボトルたちからは期待したほどのパフォーマンスは得られませんでした。今回久しぶりに買ってみたのはバックビンテージの2010年です。サントネ中心のダヴィッド・モローのラインアップにあって、マランジェは価格的にボトムラインとなりますが、さてどんなものか。ちなみにラベルの写真はXperiaZ3のプレミアムオートモードで撮ったのですけど、なんだかひどくアンダーな仕上がりになってしまってますね。ZALTOのグラスに注ぎ、淡めながらもクリーンな色調を確認したあと、香りをかいで思わず顔をしかめてしまいました。寡黙な中からなにやら金属的な違和感のある異臭が…。こりゃダメかなと諦め半分で口に含んでみたら、これがなかなかイイのです。透明感のあるイチゴやラズベリーのような赤系中心のフルーツ、自己主張しすぎない穏やかなタンニンと酸。ごくこじんまりとしたバランスながら、透明感とナチュラル感が出色。当初目立っていた嫌なニュアンスも飲み進めるうちに徐々に赤系果実やスミレ、ハーブ、紅茶、皮革などにとって代わられました。ただ、それとともに味わいのバランスについては、やや果実味がジャミーに傾き、タンニンも目立ち始めましたが。ブラインドだとコートドールのそこそこの作り手のACブルと答えそうです。ただ、ブルゴーニュ高騰の昨今においても、一部のスタードメーヌ以外のACブルは3k台で普通に入手できます。それらと比べてしまうと、とりたててCPに秀でているというわけでもなく、やや微妙な立ち位置といわざるをえませんね。機会が在ればサントネ1級などの上位銘柄も飲んでみたいと思いますが、こちらも総じて値段がやや高めなのが手を出しにくい所以です。★★★★楽天でダヴィッド・モローを検索★
2015年03月21日
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■チョコレート効果カカオ95%。糖質の少なさとポリフェノールの健康効果に着目して買ってみたのですが、このチョコ、はっきり言ってスゴイです。これを商品化したMEIJIさんに敬意を表します(笑)。味はとにかく濃くて苦い。チョコレートらしい甘みは全くありません。まるで土を食べているようです。でも、これが意外にクセになるんですよねぇ。タンニン豊富で渋い赤ワインと一緒に食べると、ガチガチだったワインが果実味豊かでフルーティに感じらるようになります(笑)。ケース買いしたら、カミサンがバクバク食べてあっという間に無くなってしまいました。またリピートしようと思います。★楽天で検索。ケース買いしてもデイリーワイン一本分程度です(笑)★ 〔飲料〕★送料無料★※2ケースセットコカ・コーラ からだすこやか茶W (24本+24本)350PE...価格:5,264円(税込、送料込)■からだすこやか茶コカコーラの出しているトクホ飲料です。まあどの程度効能があるのかはともかく、味のほうは穏やかでこの手のトクホ飲料には珍しく美味しいです。ケース買いしたら、こちらは下の子が毎日飲んでしまって、あっという間に無くなってしまいました。子どもがトクホ飲んでどーすんのという気もしますが、それだけ美味しいということでしょう(笑)。これからはケース買いせずに、そのつどコンビニで買います。大豆の優しい味わいと甘み!外はパリッと香ばしく中はふわふわもちもちとした食感♪【糖質1個1....価格:1,150円(税込、送料別)■低糖工房大豆パン低糖工房さんには日ごろ大変お世話になっています。これまでは小麦ふすま粉から作ったロールパンやバジルパンを注文していましたが、ためしにこちらの大豆パンを買ってみたら、こちらの方が食感がよい気がします。まあ若干特有の臭いを感じるので、好き好きだとは思いますけどね。★いろいろあります。低糖工房さんの低糖質パン★
2015年03月20日
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非常に珍しく、興味深いワインを飲むことができました。ギイ・アッカ(アッカド)氏がコンサルタントをしていた時代のジャン・グリヴォーの1989年の「クロ・ヴジョ」です。最近ではあまり話題に上ることもなくなりましたが、ギイ・アッカ氏は、一時ブルゴーニュにおいて大変物議をかもしたレバノン人の葡萄栽培・醸造コンサルタントです。1975年にブルゴーニュに事務所を開き、ジャン・グリヴォー、シャトー・ド・ラ・トゥール、コント・スナール、コンフュロン・コトティッドなど多くの生産者のコンサルタントをつとめました。彼の醸造法は、アンリ・ジャイエが取り入れて有名になった「低温浸漬」を極端にしたもので、丸ごとの葡萄を軽く破砕したブドウを密閉式の冷却槽におさめ、雑菌の繁殖を抑えるために通常の2〜3倍のSO2を添加して、醗酵させない状態のまま、5〜10日間ブドウの果汁を果皮に浸けたままにしておく、というものでした。濃厚で果実味たっぷりのワインは、R・パーカー氏やミシェル・ベタン氏などの熱烈な支持を得た一方で、多くの批判の的にもなりました。たとえばマット・クレイマー氏は「ブルゴーニュワインがわかる」の中で、ギイ・アッカ氏がコンサルタントをつとめたワインを「低温浸漬の主張の強さに、テロワールは息も絶えだえ」「どのワインも細やかな、えもいわれる「あや」をもたない」と真っ向から否定し、熟成能力についても「熟成によって変貌を遂げたのではなく、ただ長持ちしただけのことである。」と酷評しています。最盛期には40を超えるドメーヌにコンサルティングを行っていたアッカ氏でしたが、90年代半ばにはブルゴーニュのすべてのコンサルタントを辞し、2000年代になると、彼の醸造法に対してはほぼ否定的な評価が定まったかのように見えました。しかし、我が国を代表するワイン・ジャーナリストである堀賢一氏は、2007年に発刊された著書「ワインの個性」の中で「現在ボトル熟成のピークにさしかかっている、彼の影響を強く受けた1980年代後半のワインをあらためてテイスティングしてみると、無駄なぜい肉が落ちたあとで、畑ごとの明確な個性が現れているのに驚かされます」と述べており、「もう一度彼に会って、自分が間違っていたことを謝りたい」とまで書かれています。私が最後にアッカ氏ゆかりのワインを飲んだのは2001年のことでした。ジャン・グリヴォーの88クロ・ヴジョでしたが、当時「まるでボルドーのよう」とホームページに感想を記したのを覚えています。今回、十数年ぶりに飲む機会を得たのが、(ビンテージこそ違いますが)同じジャン・グリヴォのクロ・ヴジョだったというのも何かの縁でしょう。ブルゴーニュグラスに注ぐと、オレンジからややレンガの色調もまじった綺麗なグラデーションの色調が見て取れます。ラズベリーやカシスのリキュール、ダージリン、オレンジピール、アーモンド、それに皮革や下草が絡む心地よい芳香。口に含むと、リキュール的なよく熟した果実をどっしりと安定した酸が支えており、タンニンは綺麗に溶け込んでいます。あまりデリカシーのあるタイプではありませんが、スケールが大きく各要素のバランスが綺麗に取れた、盤石な安定感のある素晴らしい古酒でした。25年を経て美しく熟成したクロ・ヴジョを飲みながら、彼のワインが理解されなかったのは極端な低温浸漬に加えて、SO2の大量投与が徒になったのではあるまいかと想像しました。醸造時に大量に投与されたSO2の多くは瓶詰め時には消失していたはずといわれていますが、それでも絶対量としてのSO2の含有量はかなり多かったのではないでしょうか。その影響で熟成が遅れ、真っ当に熟成しないワインだとダメ出しされる格好になった。長い年月を経てようやくSO2が消失して熟成のスピードが上がり、醜いアヒルの子が白鳥になるように、(というのは言い過ぎかもしれませんが)本来の美しく熟成した姿を見せてくれるようになった。まぁ、あくまで私の勝手な推測にすぎませんが…。アッカ氏の影響を色濃く受けたもうひとりの大物ドメーヌであるコンフュロン・コトティドの当時のワインもぜひ入手して試してたいと思います。なお、ギイ・アッカ氏はその醸造コンサルタントとしての側面ばかりがクローズアップされがちですが、現在では広く受け入れられている、密植、完熟、高樹齢、減農薬といった方法論を提唱するなど、むしろ栽培コンサルタントとしての功績が大きかったそうです。参考:「ブルゴーニュワインがわかる」マット・クレイマー著 阿部秀司訳 白水社 「ワインの個性」堀賢一氏著 ソフトバンククリエイティブ社
2015年03月20日
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うきうきさんの6本2万円セットに入っていたうちの一本です。ピノ・ムニエ、シャルドネ50%ずつ使用、2005年3月から最低8年間熟成の2004年物。ワインスペクテーター92点、デキャンター誌金賞。 あまり期待せずに開けましたが、ミレジムだけあって悪くは無かったです。ゴールドがかった濃い目のイエローの色調で、泡は豊かで細やかです。香りはリンゴやカリン、ブリオッシュなどの少し重めのもの。飲んでみると、果実味豊かでコクがあり、グラマラスな酒躯をしっかりしたエッジの丸い酸と爽やかな炭酸とがよく支えています。特筆するような美点こそありませんが大きな欠点もない、中庸を得た無難なつくりだと思います。自らリピートするまでにはいたりませんが、セットなどに入っていたらそれはそれで歓迎、というポジションですかね。★★★☆
2015年03月19日
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#2011年最後に書いた記事です。 10月末に契約した寺田倉庫・都築新石川トランクルームのロッカー。なかなか週末の予定がとれず、1か月ほど空いてしまいましたが、12月初めに品川からワインの移送を敢行しました。 今回、新石川のロッカーに移したのはダンボール11箱。これは私が品川トランクルームに預けてあるワインの半分弱にあたります。基本的に飲み頃に近いものを移送し、ボルドーやブルゴーニュの近年ヴィンテージなど、もうしばらく寝かせたほうがよさそうなものは品川に残すことにしました。せっかくの機会なので、単純に移すだけでなく、ダンボールの中身を自宅のリストと照らし合わせつつ、飲み頃のボトルを自宅セラーの09ブルゴーニュと入れ替えました。(これが結構大変な作業でした) 品川からの移送については、自分のクルマでの運搬も考えましたが、積み込みや運び出しが重労働になりそうなことと、万に一つ破損させてしまうリスクを考えて、寺田のリーファー車で輸送してもらいました。費用はかかりましたが、作業の負担はかなり軽減されました。とはいえ、ロッカー搬入のための立会いは必要です。リーファー車が新石川に到着する1時間ぐらい前に私の携帯に電話を入れてもらい、現地で待ち合わせることにしました。 この日、セラー内の客は他に一人だけ。しかもそれが偶然、私の古いワイン仲間のMさんだったのには、驚いたのを通り越して、思わず笑ってしまいました。Mさんも私と同様、品川から十数ケースをこちらに移動させる作業中とのことでした。 さて、事前に予想していたとはいえ、いざ作業を始めてみると、ひと箱、ひと箱ダンボールを開けて、中のボトルを確認しながら飲み頃のボトルと入れ替えるのは、予想以上に手間のかかる作業でした。 とはいえ、この作業を端折ったり、手を抜いたりすると、後々どのボトルがどの箱に入っているかがわからなくなり、行方不明ボトルが続出する最悪の事態になります。(過去何度も経験があります)よって、メモ取りは必須。ほぼ同時に作業を始めたM氏が早々に引き上げるのを尻目に、ダンボール内のトータル2ケース分の飲み頃ボトルを自宅から持参した09年のボトルと入れ替えました。結局この作業に2時間近くを要しました。 ロッカーには、テラダの12本入りダンボールをそのまま10箱収納できました。上段にできる半端なスペースをどう活用するかが、トータルで何本収容できるかのポイントになりそうです。今回は適当な入れ物がなかったので、バラで何本か入れてきましたが、一本単位で収納する場合は、ピッチリと詰めるなり緩衝材できちんとくるむなりしておかないと、地震のときにボトルがロッカー内で暴れて破損するリスクがありそうです。次回は6本入りのダンボールや木箱などを持参してみようと思います。#空いた上段には後日6本ダンボール4箱、計24本を収納しました。 仮に上段にあと3ケース分収納できるとすれば、保管本数はトータルで10+3=13ケースとなります。同じ本数を品川にダンボール単位で預けた場合、月額保管料は630×13=8190円(税込)ですから、今回私が契約した新石川のロッカーの代金(月額9450円)は、若干割高とはいえ、24時間アポなしで出し入れできる利便性などを考えれば、それなりにリーズナブルだといえるでしょう。(※保管料はロッカーのタイプによって異なります。) そんなこんなで、自宅を出たのが13時、帰宅したのが17時と半日がかりの仕事になってしまいました。とりあえず、年内に品川に預けていたボトルたちを無事移管させられましたし、年末年始に向けて飲み頃の近づいたボトルを持ち帰ることもできました。 追々、ロッカーの上手な収納方法や、ロッカータイプならではの活用方法などを考えていきたいと思います。 気がつけば、2011年もあとわずか。三月の東日本大震は私たちの生活に大きな影響を及ぼしました。一愛好家として、ワインとの向き合いについてもいろいろと考えさせられた一年でした。震災直後は、ワインどころではないという心境だったものが、夏に向けては手持ちのワインの安全をどう確保しようかということに躍起になり、秋口になってワイン仲間との交流が徐々に戻るにしたがって、日々ワインを飲める喜びをあらためて実感することになりました。手持ちのワインの対策については、とりあえず、今回の新石川ロッカーの契約と移動で一段落しましたが、来年の夏にはまたいろいろと悩むことになりそうです。 今年一年間、駄文におつきあいいただき、どうもありがとうございました。#こうして自宅・品川・横浜の三拠点にリスク分散したわけですが、毎月の寺田の料金負担が割高になったことが悩みの種でした。その後「脱酸素パック」の導入によって、セラーの電源喪失時の懸念が多少は緩和された(と思いたい)こともあり、結局、品川分を昨年末に解約。今は自宅と横浜の二箇所に保存しています。
2015年03月18日
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RWGの試飲で美味しかったので買ってみた銘柄です。濃厚なルビーの色調で、エッジは鮮やかな紫。ブラックチェリーやブラックベリーなどの力強い果実にカフェやフルーツケーキ、シナモンなどの入り混じった豪勢な香り。口に含むと凝縮感がありながらも、肌理の細かいタンニンシルキーなテクスチャーにより、味わいは軽やかですらあります。まあなんというか、狙って造りました的な"あざとさ"は感じるものの、これだけ素直に美味しいのであれば、日常の食卓においても、濃厚なソースの料理にはよく合いそうです。デミグラスソースのハンバーグやごまだれのしゃぶしゃぶなどにはベストマッチでしょうね。 著名な医師のグループの「このマクラレーンヴェイルほどシラーズやその他の赤ワイン用のブドウに適した土地はない」という考えにより、ワッツ夫妻は1984年に32ヘクタールの土地をブドウ園にする為に購入しました。しかし土壌が重粘土だった為、ブドウの樹の植樹はやめた方がいいという忠告を受けました。その土地は以前、大麦の栽培や羊の放牧に使われていたのです。そんな懐疑的な人々に阻止されることなく、彼らは質の良い接木を選び若いブドウの樹を育てました。そしてヴィンヤードは出来るだけ日が当たるように設計し、彼らの努力により、高品質のブドウが実を結び、そして手摘みにて収穫された葡萄で最高品質のワインへと形を変えました。ワインメーカーの熟練した造りにより、ワインはその本領を発揮したのでした。ワイナリー設立以来、多くのワインが地域的なワインショーにとどまらず、オーストラリア国内での全国規模のショーでトロフィーやゴールドメダルを受賞しています。この銘柄、楽天でも数えるほどしか売られていなくて、早晩輸入されなくなってしまうのではと若干心配です。★楽天でフォックスクリークを検索★
2015年03月17日
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#震災後の流れで、寺田の新横浜ロッカーを契約したときのコラムです。まずはお詫びから…。前々回のコラムで、ワインの保存について「更なるリスク分散を考えている」、「これについては次回のコラムで…」と書いておきながら、前回まったく違うネタを投稿していました。失礼しました。今回あらためてこの話題について書きたいと思いますが、実のところそれほどあらたまった話ではなくて、ひと言で言えば、「横浜にある寺田倉庫の別のセラー(ロッカータイプ)を契約して、今まで品川のトランクルームに預けていたストックの半分をそちらに移した」のです。それも、一生懸命リスク分散のことを考えて決断したというよりは、たまたま届いたキャンペーンのダイレクトメールを見て、思い立って契約したというのが正直なところです。寺田倉庫がロッカータイプのセラーを増設したというDMが届いたのは10月の初めのことでした。かれこれ10年近く寺田倉庫のトランクルームを利用してきましたが、ダンボール単位の預け入れだと、閲覧するにも前日に予約を入れなければならなかったり、毎回毎回閲覧室にダンボールを運んでもらわなければならなかったりと、機動性の面であまり便利とはいえませんでした。ロッカータイプにすれば、そんなわずらわしさがなくなります。ところが、電話で問い合わせてみると、私が利用している品川のロッカーは、すでに希望のサイズの空きはないとのこと。それでいったんは諦めかけたのですが、ふと横浜にある都筑新石川トランクルームのロッカーを借りられれば、いざというときのリスク分散にもなるな、と思いあたりました。品川のトランクルームに比べて、値段が少しばかり安いのと、24時間取り出しが自由なのも魅力でした。ということで、さっそく10月末に自宅ののボトルを6本ほど抱えて内覧に行ってみました。自宅からの距離は、品川のトランクルームよりやや遠くなりますが、走りなれた国道246号沿いにあるので、アクセスは楽です。日曜日の午前中とあって、自宅からの所要時間は30分を少し超える程度でした。セラーはトランクルームの奥に二重の扉で仕切られており、中に入るとずらりとロッカーが並んでいます。ロッカーは上段と下段に分かれています。上段と下段のどちらを選ぶかは好き好きでしょう。下段だと出し入れの際、かがまなければならず、一番奥のほうへの出し入れは大変かもしれません。現実には床に座り込んでの作業になりそうです。逆に上段は 最上部の出し入れには脚立が必要になるのに加えて、過失でボトルやダンボールを落として割るリスクがあるといえばあります。入り口のそばがよいか、奥のほうがよいかも悩ましいところです。入り口近くの方がなにかとアクセスがよいのですが、通路が広くないので、自分の作業中に奥のロッカーの人がワインの出し入れにやってきたりすると、そのたびにドアを閉めて道を譲らなければ ならなそうです。また、二重扉で仕切られているとはいえ、温度変化は奥に比べると大きそうです。 悩んだ末、私は結局入り口に比較的近い位置の上段のロッカーにしましたが、今にして思うと、下段のほうがよかったかな、と少しばかり悔やんでいます。(注:その後、下段に変えてもらいました。)ロッカーのサイズは、88cm×68cm×93cm。月額利用料は9450円。実際にボトルを並べてみると、奥行きがかなりあることに気づきます。ボルドー積みにしてしまうと、奥底のワインの取出しが果てしなく困難になりそうなので、現実にはダンボールや木箱単位で保管したほうがよさそうです。収納サンプルを見せてもらったところ、仕切り板の上段にはボトルが裸で3ケース前後、下の段には12本入りダンボールが10ケース入っていました。ダンボール単位で預けるのに比べれば、利用料金は若干割高にはなりますが、使い勝手がよくなることを考えれば許容範囲でしょう。実はこの日、事前に内覧だけとしか言ってなかったため、先方では契約の用意をしていませんでしたが、少しばかり無理を言って、その場で契約を済ませ、鍵とIDカードをもらってきました。預け入れ先を分散させるのは、ある意味リスク分散のセオリーですが、逆に言えば、空調設備の故障や災害による建物倒壊などのリスクが倍になるという言い方もできます。今まで10年間預けてきて特に大きな問題のなかった品川のトランクルームから別の場所に移すことが本当にリスク分散になるのか、やや微妙な面もありますが、使い勝手の確認も含めてしばらくはこの体制で運用してみようと思います。品川のトランクルームからのボトルの引越し作業については、次回改めて書きたいと思います。
2015年03月17日
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ダモードは1級畑と村名とがあって、こちらは村名です。09年とまだ若いのですが、エッジは思ったよりオレンジの色調になっています。香りは赤系果実のリキュールや花束、白粉、ミント、皮革などのゴージャスなもの。これはひょっとして若いながらもスゴイワインに遭遇したかも、と期待が募ります。飲んでみると、まだ果実味に芯があって、ややグリーンなニュアンスも感じますが、それでも今の時点で美味しく飲めてしまうバランスの良さは出色です。正直、味わいに香りほどのインパクトはありませんでしたが、あらためていい作り手だなと実感させてくれるボトルでした。<翌日>…と書いたのですが、次の晩、小瓶に残した残りを飲んでたまげました。果実味が前日とは別物のように甘く花開き、鼻に抜ける含み香も豊かで味わいに抑揚があって、完全にプルミエクリュのレベルです。村名ダモード、当時は安かったのですが、最新のVTは10K前後になってしまってますね。何本か買っておけばよかったなぁと軽く後悔。…。★★★★☆★楽天でレシュノーを検索。高くなりましたね。★
2015年03月14日
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だんだんと春めいてくるにつれて気になり始めていることがあります。それは購入して15年になる我が家のサイレントカーブ(100本収納)の調子です。過去2回故障して修理をしてもらいましたが、昨年の春先にも庫内の温度があまり下がらなくなって、ヒヤッとさせられたことがありました。以前のアンモニア漏れで冷却能力自体が衰えているのかもしれません。まあ年式も年式だし、さすがに次回故障したら買い替えかな、と思っていますが、調べてみると、サイレントカーブの100本、140本タイプはすでにドメティックさんのリストから消えているではありませんか!でもって、ドメティックさん、いつのまにか「マ・カーブ」なる新しいブランドを扱い始めているんですね。知りませんでした。2温度設定可能ワインセラーワインセラー【本州・四国への送料・設置料無料】 ドメティック マ...価格:169,800円(税込、送料込)100本収納できて16万円程度というプライスは魅力ですが、中国製というのがなぁ、というのが正直なところ。大丈夫なんでしょうか。使っている方っていらっしゃいますか?★楽天でドメテックのセラーを検索★セラーでもうひとつ気になるのは、ファニエルという日本のブランドです。最強レベルの冷却力が作る「カーヴ」【期間限定特価】ファニエル プレミアムクラス『SAF-280G ...価格:174,992円(税込、送料込)メーカー5年保証というのは一定の安心感がありますが、そもそも会社が潰れないことが前提です。製作元はさくら製作所という新興企業のようで、ヨドバシやビックカメラ、Joshin、セラー専科などが扱っているところをみると、それなりのバックボーンがあるんでしょうね。今のところ、サイズによってはメーカー欠品中とのことで、なかなか人気を博しているようです。あと、ここのセラー、ボルドータイプ89本収納とありますが、ブルゴーニュやシャンパーニュなどの太目の瓶は入れるのに苦労しそうです。設置面積や電気代が少なく済むというのは魅力なので、気にかけておこうと思いますが。★ファニエルのセラーを楽天で探す★なんといっても無難なのは、定番のフォルスターの70本収容タイプですかね。ただ、(中国製でとはいえ)10万台半ばで100本程度収納できるセラーが増えてきた今となっては、価格的にかなり割高感はありますね。ガラス扉だと30万を超えますからねぇ。#ちなみにロングフレッシュシリーズは「信頼の日本製」を大々的に謳っています。大人気ブランド!フォルスター♪ワインセラーフォルスター ロングフレッシュ ST-NV270(B)左...価格:249,900円(税込、送料込)★フォルスターのセラーを楽天で探す★フォルスター製品でもロングフレッシュでなくデュアルという新しいラインはお値段安めです。こちらは案の定というか、中国産なんですね。2つの温度帯で多彩な収納ができる【送料・設置料無料】フォルスター DUAL デュアル FJN-360G(...価格:282,273円(税込、送料込)ワインセラーもいろいろと安価な選択肢が広がったのはよいことだと思います。私のように100本前後のセラーが必要な愛好家はともかく、10~20本程度のセラーであれば本当に安く入手できるし、ずいぶんとハードルが下がりましたね。あとは、はたして耐久性信頼性がどうなのか。。メイドインチャイナには何度も痛い思いをさせられているので、そこだけが心配です。私としては、ヒーター機能も加湿機能もいらないので、とにかく10年間無事故で稼動してくれる、温度設定10~15度固定の大型冷蔵庫が欲しいです。部品はすべて白物冷蔵庫の流用で結構。上部10~15度、下部5度ぐらいの二段階にしてくれれば、チーズの熟成にも使えるのでなお可です。
2015年03月13日
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※ひきつづきYOLの震災後のコラムです。例年より2週間早く梅雨が明けて、本格的な夏がやってきました。我が家の二人の子どもたちは、夏休みになって、やれプールだ旅行だと浮かれていますが、我々ワイン愛好家にとっては憂鬱な季節の到来です。特に今年の夏は、何度も書いてきたように、停電や地震への対策に悩まされています。 自宅で保存しているうち、比較的貴重なワインや大切にしているボトルを追加で寺田倉庫に預けたという話を以前のコラムで書きました。先日参加したワイン会でも似たような話題になって、ある参加者は「寺田倉庫の耐震性は大丈夫なのか?」を心配していました。倒壊まで至らなくても、棚やダンボール箱が落下しないかとか、液状化や津波の心配はないのかとか‥。東日本大震災の前は「杞憂」と笑い飛ばしていたこうした事案さえ、真剣に心配しなければならないということなのでしょう。 そういえば以前コラムで、預けたワインには保険がかけられると書いたところ、地震などの天災においても保険金が支払われると誤解されかねないとの指摘を受けました。この部分、たしかに言葉が足りなかったかもしれません。トランクルーム規約の第8章にあるとおり、「火災」や「落雷」、「作業上の過失による事故」などは賠償の対象となりますが、「地震」や「津波」、「高潮」などについては免責となり賠償されません。 (テラダトランクルーム保管サービス利用規約http://terrada-trunk.jp/index.php?main_page=use_agreement)すなわち、レンタルセラーとて万全ではなく、地震が原因で割れたワインについては補償されないし、トランクルームのビル自体が倒壊するような大地震や大津波が来れば、預けてあるワインたちはすべて無に帰すということです。まあ、それほどの大地震があるとすれば、築20年の我が家は間違いなく無事では済まないので、私としては他に選択の余地はないのですが、津波や液状化の心配のないしっかりした地盤に近年造られた鉄骨鉄筋構造のマンションなどに住んでいるのならば、むしろ手元に置いておいたほうが安全なのではないか?いやいや、自宅に置いておいて、地震の影響で「長期間の停電」になったらどうするのか‥、など、結局話は堂々巡りになってしまいました。 ワイン会の席で、「故障したセラーはその後どうなったんだ?」とも尋ねられました。まず、10年来使っている「サイレントカーブ」については、以前コラムで書いたとおり、東日本大震災の揺れで故障して、家の中がアンモニア臭でどうにもならなくなるというアクシンデトに見舞われました。その後、故障した状態のまま1ヶ月近く放置して、廃棄処分にすることも考えましたが、結局4月半ばに冷却ユニットを交換してもらって、現在に至っています。心なしか庫内(特にセラー上部)の冷え方が以前より弱くなったような気がして、夏を迎えて温度のチェックを欠かさないようにしています。我が家のセラーは旧タイプなので、扉を閉めると外から温度表示が見えません。そのため、熱帯魚用の温度計を使って、庫内の温度が常時外から判るようにしています。1000円程度の温度計ですが、最高/最低温度も測ることが出来て、なかなか便利です。今年の2月に購入した「ユーロカーブ」は、到着早々、温度が設定温度どおりにならないというトラブルに見舞われました。不調の原因は「2つあるサーモスタットのうちの一つが早めに稼動してしまっている。」とのことで、コントローラーユニットの交換をしたら、その後は設定温度プラスマイナス1度で安定するようになりました。また、設置場所の床を補強するために、セラーの下に90センチ四方の板材を敷いたところ、この板材が反り返ってしまうという予想外の事態にも遭遇しました。これには参りましたが、先日確認したら、いつのまにか元通りになっていました。 そんなわけで、1ヶ月あまりの間に2台のセラーの故障に見舞われるという、滅多に出来ないような経験をしましたが、夏を迎えて、どちらも稼動してくれるようになったのは幸いでした。手持ちのワインの多くを寺田倉庫に預けたため、現在の我が家のセラーにはかなりの空きスペースが出来たままです。高価なワインセラーを購入したのに、中身の半分はミネラルウォーターのペットボトルで占められているという状況はなんともやるせないのですが、といって、夏が終わって寺田から引き取ってきても、飲まずに置いておけば、来夏になればまた同じことの繰り返しになります。結局のところ、毎月の保管料には目をつむって、飲み時まで預け続けるしかないのかと頭を悩ます日々です。このころの我が家のセラー。あまりガラガラにしておくと、万一電源断となったときにすぐに温度が上がってしまうとのことなので、備蓄用のミネラルウォーターやアイスコーヒーのパックを詰めていたものです。
2015年03月13日
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前日に開けたアンリ・ブルジョワを早々に飲み干してしまったので、もう一本開けてみたのですが…。ブショネです。…とはいえ、そんなに酷いブショネではありません。健常な香りの中にコルキーなニュアンスが感じられるというレベル。酷いものになると、まともな香味がすっかりマスキングされてしまって、そうなると最早流しに直行なんですが、これぐらいならなんとかなるのではないかと、巷間言われている「ブショネ対策」を実施してみることにしました。方法は簡単です。「サランラップ」をブショネのワインに漬け込むだけ。ラップに臭いの成分の吸着効果があるようなのです。ただ、以前何度か試した限りでは、長く漬け込みすぎると、健全な香りまでが消失してしまうようです。さらにひと晩漬けておいたものからはケミカルな異臭が感じられたりもしました。なので、今回はラップの浸漬時間を5~10分程度にとどめました。漬け込む際にはラップを割り箸にぐるぐると巻いて瓶の口から突っ込みました。結果は上々でした。ブショネの嫌なニュアンスがすべて消え去ったわけではありませんが、ほとんど気にならないレベルになり、なおかつ健全な香りもほどほどに残った状態で飲むことができました。ボトル半分小瓶に移して翌日飲みましたが、翌日分についてもほぼ同様の状態を保持していました。ちなみにこのシャトードショレの07トゥーロンですが、思いのほか良かったです。それまで07VTについては、もっぱら若木から作られる「ドメーヌ・ド・ソー」ばかり飲んできました。ドメーヌドソーが総じてくぐもった陰性の味わいだったのに対して、今回のトゥーロンは酒質がクリーンで雑味がなく、果実味のトーンが高く、味わいの焦点が定まっていました。ブショネでなければさらによかったのですが、こうしてそれなりに飲むことができて結果オーライかなと。★★★★
2015年03月12日
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※一連の東日本大震災後のコラムの続きです。もう少しおつきあいください。将来はともかく、現時点では相当の力技を使わない限り、一般の愛好家が「地震等による夏場の長期停電」のリスクを完全に回避するのは難しい、というのが現時点の私の暫定的な結論です。ではどうすればいいのでしょうか?やはり、貴重なボトルについては、レンタルセラーに預けておくというのがもっとも無難で手っ取り早い解決策でしょう。我が家でも震災を機に、4箱あらたに預けた話は前々回のコラムで書きました。寺田倉庫の保管スペースは広大で断熱性に優れる上、非常用発電設備も導入したとのことなので、おそらく1週間程度の停電には耐えられるでしょう。耐震性という面でも、少なくとも築20年の我が家に置いておくよりは安全だと思われます。立地が海に近い分、万が一、今回のような大津波に襲われたら、という一抹の不安はありますが、そこまで心配しはじめたらさすがに「キリがない」といわれそうです。レンタルセラーに預けた場合の問題点は、なんといってもコストがかかること、それに機動性に劣ることです。寺田倉庫は、ダンボールのケース単位預け入れが可能ですが、たとえば閲覧や引き出しにあたっては前日までの予約が必要ですし、目当ての1本引き出すために、ダンボール箱をいちいち出してきてもらわなければなりません。(ダンボール単位でなく)ロッカータイプやウォークインタイプのサービスなら、こうした面での融通は大いに効きますが、反面利用料金が割高になります。コスト面を考えると、「勝沼トンネルワインカーブ」(甲州市勝沼町につくられた、JR旧深沢トンネルの跡地を利用したワイン貯蔵庫)の保管料は、300本まで収容可能なスペースが月2500円と非常に割安で魅力的です。津波や長期停電による心配もありません。ただし、預け入れや引取りのために勝沼まで行かなければならない(それはそれで楽しいともいえますが)のと、現在空きがなく、数年単位のキャンセル待ちを覚悟しなければならないのが難点です。実は私も申し込んでいるのですが、利用できるのは一体いつになることやら…。ところで、私が購入しているワインの9割は楽天などの通販を利用しており、ほとんどのボトルは、外観をチェックしてすぐにセラーに直行、そこから数ヶ月から数年寝かされることになります。リリース直後のワインで、信頼できる業者経由のものであれば、外観のチェックすら端折ってもよいように思えます。そう考えると、購入後そのまま保管してもらって、必要になったら、宅急便で1本単位で送ってもらえるような、流通業者と提携した、PCでいうところの「クラウド」的なセラーサービスがあればなあと思ったりもします。もっともこうしたサービスを提供しようと思えば、利用料金も高額なものになってしまうのでしょうけれども。見方を変えて、いっそ、「割り切る」というのもあるでしょう。東日本大震災の巨大余震が不安視されていますが、そもそも本震の際も都内では一部地域を除いて停電は起こりませんでした。70%の確率で起こると恐れられている「首都圏直下型地震」もその確率は30年というスパンの話です。仮に停電を伴うような地震に見舞われたとしても、夏場でなければ大きな影響はないでしょう。つきつめると、「この先5~10年のうちに、夏場に不幸にして大地震に見舞われ、電気が寸断されて、1週間程度停電に見舞われる」というリスクをどこまで差し迫ったものとして捉えるかという話になります。起こったときは運が悪かったと割り切って、震災前と変わらぬワインライフを送るのもひとつの見識でしょう。また、これを機会に手持ちのストックを極力減らし、今後はよほどのことがない限り、高額なワインを買わない、保有しない、という別の割り切り方もあります。いわばワインライフの「ダウンサイジング」です。まあ現実には、そこまできっちりと割り切れる人は多くないでしょうから、ある程度、手持ちのワインを見直してゆく過程で、日常消費用ワインと遠からず開ける予定のあるボトルを手元に置いておき、熟成させるボトルや貴重なボトルは、夏場だけでもレンタルセラーに預けるといった仕分けが必要になってくるかもしれません。そうなると、この2月に170本入りのワインセラーを新調してしまった私などは、ずいぶんと無駄な買い物をしてしまったという話になるのでしょうか。現に、主なボトルを寺田に預けてしまって、今の我が家のセラーの中身はガラガラです。もっとも、空いたセラーのスペースは、非常用のミネラルウォーターなどを詰めておくのにちょうどよいですし、「喉元過ぎれば熱さを忘れる」ということわざもあります。来春までには、このセラーの空きスペースもいつのまにか埋まっていて、夏が近づくにつれて、また性懲りもなく、中身をどうしようかと悩んでいる自分が目に浮かびます。ワイン愛好家の心配を取り除いてくれるような新サービスや新商品が出てくるまでの間は、結局こうしたことの繰り返しになるのでしょうか。ちなみに、「勝沼トンネルカーブ」からは、4年経過した今にいたるまで、空きが出たという連絡は来ていません。まあ、手持ち在庫を縮減した今となっては、空きが出ても利用することはないと思いますが。
2015年03月12日
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最大M8級も懸念される震災の余震や30年以内に70%の確率で起こるといわれる首都圏直下型地震。これらのリスクに備えて、自宅のセラーに保存していたワインのうち、貴重なものを寺田倉庫に預けた話については前回書きました。これで気分的にはかなり楽になったのですが、問題は、いつになったらこの「戒厳令」を解除できるのかということです。今年の夏は乗り切ったとしても、来年以降も夏になれば同様の懸念が浮上してきます。このままストックの大半を寺田倉庫に置きっぱなしにしておくか、あるいは、毎年夏場になったら大事なワインをレンタルセラーに預けるという渡り鳥のような作業をしなければならないのか。方法論としては、1.力技を使ってでも、とにかく自宅で保存できるように対策する。2.今後はレンタルセラーなどの業者を積極的に活用することを考える。3.ワインライフそのものをダウンサイジングする。もしくは「割り切る」。ということで、今回は、ひとつめの「ともかく自宅で保存できるように対策する」方法を考えてみました。もっとも理想的なのは、自宅に「勝沼トンネルカーブ」のように電気に頼らなくても済む温度湿度の安定したセラーを作り上げることでしょう。しかし現実には、ある友人宅のセラー(地下1階)は、5月半ばの今でも、エアコンを稼動させないと20度を超えてしまうそうです。首都圏の一般家庭においては、空調設備なしのセラーは現実的ではないようです。となると、夏場の停電に備えて、なんらかの非常用の電源を確保しなければなりません。これについては、前回ご紹介した山地氏がブログでいろいろ考察されています。短期間であれば、コンピューターの保守などで使われているUPS(非常用交流電源)を活用という手があります。計画停電のような数時間単位の停電には威力を発揮しれくれそうですが、数日~1週間という単位となると厳しそうです。酒販業などワインを生業としている方にとっては、屋台などで使われているような、自家用の発電機を導入をするのが現実的なソリューションとなるでしょう。ただし、自家用発電機を動かすためには石油燃料が必要になってくるし、稼動時の騒音もかなりのものです。また、発電機を回している間、家を留守に出来ないなど、一般の愛好家にとってのハードルは高いように思われます。震災を契機に開発や商品化の動きがも加速しているものとして、リチウムイオンバッテリを使った「家庭用蓄電池」があります。現状では、こうした商品には数十万から数百万という価格がついていますが、普及が広まれば、いずれ値段も下がってくるでしょう。こうしたものを複数個買って常備しておけば、ワインセラーのための非常電源としてだけでなく、平時には、電気代の安い夜間に充電しておいて、日中電気食いの機器(たとえばエアコン)をこの充電池で稼動させるといった新しい使い方が可能になります。個人的にもっとも注目しているのは「ソーラーパネル」です。一般家庭で月々の電気代を賄える程度(5KW)にソーラーパネルを屋根に敷き詰めると、おおむね300万万前後(もしくはそれ以上)のイニシャルコストがかかるとのこと。ワインの保存のためだけにこれだけの額を支払うのはどうかと思いますが、自治体によってはかなりの額の補助金を期待できるのと、太陽光発電によって、家計の月々の電気代をほぼ賄えるそうなので、長期的なスパンで見れば、イニシャルコストはギリギリ回収できそうです。災害非常時の保険的な役割を強調すれば、家族への説得材料にもなるでしょう。まあ、先立つものがない我が家にとっては「絵に描いた餅」ですが、たとえば、家を新築するとかリフォームを検討中の愛好家の方にとっては、専用のワインカーブを作るよりはソーラーパネルの導入を優先するという選択肢もありかな、と考えていました。ところが、実際にいくつかの大手メーカーの問い合わせ窓口に問い合わせてみると、電話に出た先方の担当の方々の反応は、あまり前向きなものではありませんでした。聞いてみると、非常時の「自立運転モード」では安定的に電力を供給できるわけではない、したがって電力が供給されなくなった場合にリスクを伴う用途に使うことは薦められない、ということのようです。ソーラーパネルは、停電などの非常時には、利用者の側で「自立運転モード」に切り替えて使います。自立運転モードにおいては、出力合計は最大1500Wまでとなっており、曇天などで日照が充分でなければ、それに応じた電力しか供給されませんし、夜間は停止してしまいます。電力の供給が突然途切れてしまった場合の、機器に対する影響も不安要素です。したがって、人命にかかわる医療機器や、電源が切れるとデータが失われるパソコン機器などの使用は控えてほしいということでした。まあ、ワインセラーの場合、電源が途切れても数時間は大丈夫だと思いますが、夜間いっぱい停止してしまうのは少し辛いですね。さらには「洗濯機や掃除機、冷蔵庫などのモーターで動作する電気機器の中には、動作開始時に『突入電流』が流れて動作できないものがある」とのことなので、ソーラーパネルの導入を検討する場合は、お使いのセラーの販売会社に事前によく問い合わせるなどしたほうがよいと思います。というわけで、期待していたほど万能とはいかなさそうなソーラーパネルですが、電話口の担当者の方も、「今回の震災を契機にいろいろなお問い合わせをいただいている」とのことなので、家庭用蓄電池などと同様、遠くない将来にさらに安価で非常時災害時に使いやすい新商品やサービスが提供されることを期待したいところです。いずれにしても、ワインの世界だけでなく、各方面から緊急時、非常時の電源についてのニーズは高まっているるわけですから、近い将来に、これだ、というような新商品やサービスが出てくることを期待したいものです。***********************最近は蓄電機能を備えたソーラーパネルがリリースされているようですね。「スマートハウス」には将来性を感じますが、現時点ではまだ発展途上というところでしょうか。これから家を増改築する収集家の方にとっては必須のアイテムになってくるかもしれませんね。パナソニック、太陽光発電で作った電気を蓄える住宅用蓄電システムhttp://kaden.watch.impress.co.jp/docs/news/20120223_514113.html
2015年03月11日
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東日本大震災を契機にあらためて考えさせられたのは、わが国でワインを所有し、保管するということが、こんなにも綱渡りのような脆弱な基盤の上に成り立っていたのかということです。地震によるボトル破損のリスク、そして夏場に電気が遮断されたときのリスク。頭ではわかっていても差し迫った危険として認識していなかったこれらの事象がいきなり眼前に突きつけられたばかりか、未だ現在進行形として横たわっているのです。震災のあと、4月初旬まで実施された計画停電は、対象となった家庭はもとより、交通や学校、病院などの社会インフラにも大きな支障をもたらしました。ただし、ことワインの保存に限れば、日中の最高気温はせいぜい20度前後でしたから、手持ちのワインが痛むようなことにはならなかったでしょう。これが夏場の日中となるとどうでしょうか?停電する時間と頻度にもよりますが、たとえば、一日数時間の停電が定期的に何度も続くようならば、自宅で保存しているワインへの影響も考慮しなければならないでしょう。リアルワインガイドでご一緒している山地さんがブログで詳細な分析をされています(夏の停電からワインを守ろうhttp://musigny.cocolog-nifty.com/musigny/2011/03/post-23ae.html )。山地さんは停電時のワインボトルの温度の上昇をざっくりと1.2度/hと見積もっています。これはなかなか微妙な数字です。仮に4時間停電すると、上昇幅は4.8度。停電前のワインの温度が13度であれば、停電終了時には18度弱になっていることになります。18度という温度は、絶対値としては問題ないにしても、短時間にこれだけの温度変化があるのはワインにとって好ましいことではありません。まして、それが夏の間、何回も続くとなると‥。もっとも、きちんとしたセラーに保存して扉の開閉を避ければ、セラーの断熱性により、温度の上昇ペースはある程度抑えられると思われます。我が家のセラーは新品ということで、期待を込めて仮に上昇幅が半分ぐらいに抑えられるとすれば、4時間停電後も上昇幅は0.6度×4時間=2.4度に収まり、週に数回停電があったとしても、まあなんとかなるかなという範囲に思えます。ただし、これらはあくまで机上の計算なので、実際にそのとおりになるかは検証してみないとなんともいえません。セラーのゴムパッキンが劣化していれば、そこまでの断熱性は見込めないかもしれませんし、セラーが置かれている部屋の温度にもよるでしょう。それぞれのセラーが停電から復帰したときに自動的に電源がONになるかも確認しておくべきポイントです。幸いなことに、最近の報道によれば、電力供給力の見通しの改善と節電施策の徹底により、夏場においても計画停電は原則実施されない方向になっているようです。まだまだ楽観できる状況ではありませんが、なんとか計画停電を避けるために、われわれも最大限節電に協力しなければならないということでしょう。さて、一方で、不安が増してきたのが、さらなる地震への対応です。徐々に余震が減ってきて安心しかけていたところに、4月11日に再び大きな余震が立て続けに起こりました。スマトラ地震の事例などからすれば、M8級の余震がいつ起こってもおかしくないとのこと。さらに、今回の地震が「首都圏直下型地震」や「千葉県東方沖地震」などを誘発する可能性もあるというのですから、関東の住民にといってはなんとも気が滅入る話です。 愛好家にとって、地震で恐ろしいのは、揺れによる転倒や破損の危険もさることながら、地震の後で長時間の停電に見舞われかねないことです。真夏に巨大地震に襲われて、電気が数日単位で止まってしまうことになれば、さすがにセラー内のボトルたちも無事では済みません。(ちなみに今回の震災で仙台市内は1週間停電が続いたと聞いています)そんなわけで、地震と停電のリスクと向き合いつつ、今年の夏をどう乗り切ろうかということになって、我が家では、念のためにセラーの一部のワインを寺田倉庫に避難させることにしました。預けたのは、自宅のセラーで寝かせているボトルのうち、当面飲む予定のないものや比較的高額なもの、希少なもの(といっても大したものはないのですが…)などトータル4ケース。一部のケースについては、保険金額を上乗せしたため、保管料は4箱で月額2760円の上乗せとなりました。毎月、デイリーワイン一本分程度の出費増ですが、そもそも停電を伴うような大地震に遭遇したら、家族や自分の身の回りのことで精一杯になってしまい、ワインにまで手が回らないでしょうから、安心料だと思うことにします。 問題はいつになったらこの「戒厳令」を解除できるのかということです。地震のリスクと正面から向き合うと、これから毎年、夏場にはワインを避難させなければならないのかという話になってしまいます。これについては、また次回考察したいと思います。東日本大震災でアンモニアが漏れたサイレントカーブ。その後修理をしてもらって今に至っていますが、アンモニアがある程度漏れてしまったことが関係しているのか、現在の冷却能力にはかなり不安があり、夏場は極力ドアの開閉をしないようにしています。
2015年03月11日
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※東日本大震災後の初コラムです。当コラムを再開するにあたり、今回の震災で被災された方に心よりお見舞い申し上げます。地震の発生時、私は超高層ビルの高層階のオフィスで仕事をしていました。船酔いしそうな、長周期の揺れが信じられないほど長く続き、これは只事ではないと思いました。都内の我が家も相当揺れたようですが、幸いにして家にも家財にも大きな被害はありませんでした。 遠方のワイン仲間からは、地震の直後から、ツイッターやブログを通じてワインは無事だったのかという心配の声をいただきました。しかし、家族や身内の安全に気を配らなければならない状況下では、さしもの私でもワインの心配は二の次三の次でした。 その後もしばらくの間、ワインを口にする気にはなれませんでした。ようやく先週あたりから家のボトルをポツポツと開けるようになりましたが、相変わらず緊迫した状況の続く福島第一原発の経過や被災地の復興の遅れ、断続的に起こる余震、今後発生することが危惧される首都圏直下型地震などへの恐怖、さらには電力不足への対応と、心からワインを楽しめる心境からはほど遠いのが実状です。 この震災が今後、私自身のワインライフやワイン観に及ぼす影響は非常に大きいものになりそうです。しかし、いろいろな事象が現在進行中の今、それらを語るのはまだ早い気がします。いずれあらためてコラム上で書いていきたいと思います。 ところで、震災のひと月ほど前に、ワインセラーを新調したという話を書きました。今回は、この新旧セラーのその後についての報告です。新たに購入したユーロカーブが到着したのは2月13日。ところが1週間ほど使ってみたところ、どうも庫内の温度が設定温度どおりになってくれません。誤差は2度前後だし、いずれ安定してくるのかな、とも思ったのですが、気持ちが悪いので、サービスの担当者に診てもらうことにしました。結果はやはり初期不良でした。二つあるサーモスタットのうちのひとつが作動不良とのこと。ユニットを交換してもらって様子をみることになりました。これが夏場だったら、ヒステリックになっていたかもしれませんが、まだ2月ということもあり、外気温も低く、切迫感はありませんでした。修理の前は2ケース分ほど新しいセラーに入れていましたが、念のため、すべてをもう一台のサイレントカーブの方に移しました。おかげでサイレントカーブは「ぎゅうぎゅう詰め」になり、扉を開けると、ボトルが雪崩を打って落ちそうな状態でした。それで私にしては珍しく、施錠をしておきました。(なお、以前使っていたロングフレッシュは、引き取ってくれるという方が現れて、無事譲り終えました。) 震災が発生したのはこの状況下でした。結果的に、庫内をすきまなく詰めていたことと、施錠をしていたことが功を奏したようです。地震の揺れで、セラーの上に飾ってあったムートンロトシルトの空きボトルたちはほとんど下に落ちましたが、セラー内のボトルは中で割れたりセラーから飛び出すこともなく、すべて無事でした。ところが、地震の影響は日をおいて現れました。翌週末になって、部屋の掃除がてら、サイレントカーブの扉を開けてみると、庫内の温度が明らかに設定値より高めになっています。設定温度を上げ下げしたり、電源をオンオフしたり、電源コードを抜き挿ししたりと、いろいろやっても温度は下がりません。そうこうするうちに、部屋の中にアンモニアの強烈な臭いが充満してきました。そもそも購入後10年経過していたところに、地震の振動で冷却ユニットが壊れてしまったようです。福島第一原発で3号機が水素爆発を起こした少し後とあって、周囲では放射線や放射性物質への恐怖が高まっているところでした。外は放射線、中はアンモニア‥。都内の放射線量が健康に影響のない数値だと頭ではわかっていても、このタイミングで窓を全開にして部屋を換気しなければならないのは、気分のよいものではありませんでした。 セラー内のワインたちについては、この季節だし、そのまま放っておいても構わないかな、とも思いましたが、念のため、初期不良の修理を終えたユーロカーブにすべて入れ替えました。行ったり来たりになってしまったボトルもありますが、都内の気温も20度を超えるようになってきたので、このタイミングで移し替えておいてよかったのかもしれません。ただ、あまり深く考えずに入れ替えたので、近々飲もうと思っていたデイリーワインたちがセラーの底の方にになって取り出せなくなってしまったのが困りものですが‥。故障したサイレントカーブについては、近々、修理に来てもらう予定です。******************アンモニア漏れについては、3連休で輸入業者が休みだったので念のため消防署に連絡してみたら、消防車がサイレンを鳴らしてやってきて大騒ぎになってしまったのですが、さすがにそのくだりについてはYOLには書きませんでした。
2015年03月11日
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ウメムラさんの12フレデリック・ミュニエ湘南さんの13ユドロバイエ同じく湘南さんの13アニェス・パケフィッチさんの12ローラン・ルーミエ※2011年7月のネタです。古くからのネットの友人から、『シュールリーの香りをかぐ会』という、風変わりな会のお誘いがありました。友人が参加している勉強会(プロフェッショナルな会と聞いています)で、そもそもシュールリーの香りって何?という話が出たそうです。それは澱の香りを嗅げばわかるよというあるワイナリーの方の発言を受けて、では実際に香りをかがせてもらおうということになったのだとか。試飲の場は、勉強会メンバーの「勝沼醸造」の方が提供してくださいました。ここで、シュールリーについておさらいをしておきたいと思います。シュール・リーは、ワインの醸造方法のひとつで、フランス語で「オリの上」という意味です。発酵が終了しても澱引きをせずに、一定期間、タンクでワインと一緒に熟成させる製法のことをいいます。澱との接触期間は5ヶ月以上、仕込み翌年の6月末までに瓶詰めすることになっています。伝統的に、フランスのミュスカデ地方で作られるワインに用いられてきた製法ですが、日本でも甲州種の白ワインで1983年に初めてメルシャンが商品化に成功、現在では甲州種で広く取り入れられています。澱の主成分は酵母の死骸であり、その成分はたんぱく質です。このたんぱく質が約半年かけて分解しアミノ酸へ変化し旨み成分としてワインに溶け込んでいきます。結果として、ワインには旨みやボディが増し、独特の香味を与えるとあります。といっても、マロラクティック発酵をさせないため、出来上がったワインは、一般に酸味のしっかりした軽快な味わいの白ワインになります。 では、シュールリーの香りとはどういう香りなのでしょうか?私がイメージしていたのは、澱との接触に起因するパンとかクロワッサンなどのイースト系の香りです。はたしてそのイメージどおりなのかどうか、興味が募ります。都内から山梨までは、特急『かいじ』で1時間半程度。朝10時に家を出て、12時過ぎには石和温泉駅に到着しました。伺った先は、勝沼醸造さんの『金川ワイナリー』。もとアサヒビールが所有していたワイナリーを勝沼醸造が買い取ったものだそうです。集まったのは、ワイナリーや酒販業など、プロフェッショナルな方々ばかり。そこに私が交じるのは場違いだよなぁと、最初は心苦しく感じていましたが、ステンレスタンクの前で即席の試飲会が始まると、すぐにテイスティングに夢中になってしまいました。試飲用に出されたボトルは、下半分に澱が堆積したボトル。これをよく振って、澱と液体がまざったところで、テイスティンググラスに注いでみます。見た目はまるで濁り酒。口に含むとジャリジャリとします。ワイナリーの方曰く、いったん中の液体を吐器に捨て、空になったグラスを鼻に近づけたときの香りがもっともシュールリーらしい香りだとのこと。なるほど、なるほど。嗅いでみると、たしかによく言われるようなパンやイースト的な香りも出てくるのですが、最初に感じられるのはもっとフレッシュでスッキリした香りです。たとえばバナナやすりりんごなどの果実っぽい香り。ヨードのニュアンスを指摘した方ももいらっしゃいました。多量の澱が含まれていることからして、もっと一部のシャンパーニュのようなコッテリとしたイースト香がムンムンと漂ってくるのではないかと思っていましたが、その予想は見事にはずれました。 そのあとも、ワイナリーの方のご厚意で、ブレンド前のキュベとか、瓶詰め直前の澱さげや酒石落としをしている最中のワインなどをテイスティングさせていただきました。試飲のあとは、ワイナリーをひととおり見学。さらに勝沼醸造さんの本社に移動して、市販の銘柄のテイスティングや畑の見学をさせていただくうちに、気付けば夕刻になっていました。澱の香りを嗅ぐために山梨まで出かけるという我ながら酔狂な週末でしたが、週末1日かけただけの価値のある、実に貴重な経験でした。個人的にも、このところ仕事が慌しくて、鬱屈とした気分だったので、よい気分転換になりました。
2015年03月10日
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アンリ・ブルジョワは土壌ごとにいろいろな銘柄をリリースしていますが、これはシレックス土壌の最良区画から作られるキュベです。火打ち石の混じる石灰質土壌。樹齢40年。リュット・レゾネによる栽培。除梗せず自然酵母のみで発酵。フレンチオーク樽(60%)とステンレスタンクにて、11ヶ月間熟成。無清澄、無濾過で満月後に滓引き…だそうです。グレープフルーツや白桃、ハーブ、ミネラル、それに白い花のかぐわしい香り。味わいは果実味がギュッと凝縮していて蜜っぽいニュアンスを伴いますが、決してそれが下品にならず、エッジの丸い伸びやかな酸との間で心地よくバランスがとれています。これはすばらしいですね。前回飲んだバロンヌ・ブランとは比較にならない香味、…と思ってネットで検索してみたら、値段が倍ぐらい違う。普通に買うと6k以上するんですね。。美味しいはずです。(ちなみにこのボトルはセールで4k前後で購入)。6kとなるとリピートにはやや二の足を踏んでしまいますが、セールで安く出ていればまた買ってみたい銘柄です。★★★★★楽天でアンリ・ブルジョワを検索★
2015年03月10日
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「安ウマワイン探検隊」さんの90年代バローロ特集会に飛び入りで参加させていただきました。その日予定されていた仕事の会食が無くなったので、ダメモトで問い合わせてみたら、たまたま当日キャンセルが出たのだとか。ラッキーでした。なんと、私にとってこれが今年初めてのワイン会です。会場は、私もよく利用している新橋「ピアットデルベオーネ」。実は今回のラインアップ、個人的に大変興味があったのです(後述)。1) 2010 Barone Pizzini Franciacorta Brut Nature凝縮感のある果実味となめらかな泡。爽やかな酸もあるが、後味に少し甘ったるさも。2) NV.La Montina Franciacorta Brutマロンや白い花などの香り。果実味はコッテリ、酸もしっかりしていてリッチな酒質。美味しい。3)2011Marchesi Incisa della Rochetta Rero Arneisミネラル、洋梨、リンゴ。果実味は厚みがありながらもフレッシュ。なめらかなテクスチャー。バランス良好。4)2011 Cerutti Riva Granda Piemonte Chardonnay金色がかった濃い色調。洋梨、塩ビ、マロングラッセ、セメダイン。酸化傾向だが果実味豊満で酸もしっかり。ビオ?5) 1998 Cavallotto Barolo Bricco Boschis小豆、カシス、ブラックチェリー、プラム、タバコ。甘くしんみりした果実味、酸はなめらか、タンニンネットリしているが、溶け込んでいる。6) 1997 Ceretto Barolo Zonchera赤系果実、タバコ、スパイス類。ほどよい凝縮感があってタンニンもなめらか。やや軽めながら外向的で飲みやすいバローロ。7) 1996 Mario Marengo Barolo Brunate状態良好。カシス、プルーン、タバコ、スパイス。上品な酸となめらかなタンニン。果実味が立体的でジャミーでないのがいい。個人的に本日3番手のお気に入り。8) 1995 Conterno-Fantino Barolo Sori Ginestraブラックチェリー、プルーン、小豆、タバコ、力強く高めの酸による締まりのある体躯、タンニン湿っぽいが溶け込んで飲みやすくなっている。構造しっかりしていて素晴らしい。本日一番のお気に入り。9) 1994 Pio Cesare Barolo比較的明るめのクリアな色調。メンソール、ミント、薬草などの独特な香り。味わいは立体感があってエレガントなまとまり。10) 1993 Elio Altare Barolo赤系果実、スパイス、タール、タバコなどの焦点の定まった香り。力強くはないがなめらかで洗練された味わい。美味しい。本日二番手。11) 1992 Paolo Scavino Barolo Cannubiネットリとした黒い果実やプルーン、タバコ、タールなどの香り。果実味はVTのわりに充実していて高めの酸が酒躯を支える。なかなか綺麗に熟成している。10) 1991 Gaja Barbarescoゆでた小豆、ドライプルーン、ブラックベリー、土、タール。果実味はジャミーで力があり、タンニンは湿っぽく、噛めるような酒質。好みではないが素晴らしいワイン。今回、特に興味があったのは、若くして美味しく飲めると言われたモダンバローロ系の作り手が20〜25年を経てはたしてどのような姿になっているのかということでした。実のところ、バローロのテイスティング経験が乏しいこともあって、個人的にこれまでめくるめくような熟成を遂げたバローロボーイズ系銘柄というものに出会ったことがありませんでした。モダンバローロの熟成能力には、堀賢一さんも疑問を呈していて、こんなコラムを書かれています。http://grandjump.shueisha.co.jp/wine_column/2012/05/step122.html今回飲んだエリオ・アルターレ、パオロ・スカヴィーノ、マリオ・マレンゴ、コンテルノ・ファンティーノなどのボトルは、いずれも綺麗に年数を重ねており、長期の熟成に耐えられることを確認できました。ただ、若くから美味しく飲めた分、熟成による伸び代が思ったほどでない気もしました。コメントにも書いた通り、いずれの銘柄も美味しかったのですが、熟成によって大きく発展しているとか複雑性を増したというよりは、むしろ若い頃から現状維持のままずっと年を経たかのような、「美魔女」的な印象なんですよね。人間の場合「美魔女」は褒め言葉になりますが、ワインの場合はやや微妙です。ブラインドだと25年前後を経ているとはとても当てられないだろうなぁとも思いました。20年以上経ってもまだ若いということなのか、それともこのままの状態で徐々に枯れていくのか…。いずれにしても、これはこれで大変貴重な経験でした。我が家のセラーのはバローロはほとんどありませんが、R・ヴォエルツィオの96年とか03スピネッタとか、数本残っているボトルを近々飲んでみようと思います。ヴォエルツィオなどもまだ若いんでしょうねぇ。★楽天でバローロを探す★
2015年03月08日
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ワイン愛好家には時計を好む人が多いと聞きました。統計的な数値があるわけではありませんが、たしかに私の周囲でも機械時計マニアが数人いますし、かくいう私も時計好きです。いや、私の場合は「好きでした」と過去形にすべきでしょう。時計に凝ったのは主に2~30代のときで、その後はマニア的な視点での興味は失せてしまったので。そんな私ですが、ここに来て腕時計をひとつ新調しようと思っています。というのも、老眼が一気に進んだせいか、メインに使ってきたオメガのスピードマスター(白)の文字盤が見ずらくて仕方ないのです。朝方、寝床で時刻を判読できなかったり、急いでいて見間違えてしまったり、ということが何度かあって、こりゃダメだとなりました。スピードマスターにしてはシブくていいデザインなんですけどねぇ。視認性が…。他の手持ちの時計はといえば、どれも革バンドで、しかもかつて凝っていた時期に購入した20年選手のものばかり。防水性も衰えており、とてもそれらをはめて週末のジョギングなどできそうもありません。家計厳しき折ながら、日常的に使えるメインの時計を一本新調しようと思い立ったのです。20年選手の時計たち。ポルシェデザインは金箔が溶け出して文字盤が見えなくなってしまいました。このマハラなどは自慢の一本だったのですが、会社が潰れてしまってもはや修理不可能です。もうすぐ五十路になることだしと、少しがんばってロレックスでもと、ネットで検索してみて愕然としました。高い!高すぎる!20年前の感覚からすると、倍近くになっている感じがします。この先円安傾向が長期トレンドとなりそうだとはいえ、これまでの円高を思えば、もっと安くてしかるべきだと思ったのですが…。調べてみると、そもそも正規価格が上昇している上に、併行品の国際的な相場も値上がり傾向なのだとか。ワインでいえばDRCやボルドー1級シャトーの値上がりに似た現象が起こっているのでしょうか。かつての価格を知っていると、心情的に手を出しずらくなる点もワインと似ています。「以前はこんなに安かった。」「○○○○が数千円で買えた。」「今の○分の1の価格だった。」‥。この手の経験は私にもあります。しかし、なるべく人にはこういう話はしないようにしています。私自身、先達の方々からそのような話を聞かされても面白くもなんともないからです。それでも、気がつくと、ついこのような建設的でないグチをこぼしまうのですよね。というわけで、ロレックスは早々に断念して、他のブランドを物色中です。舶来モノに限らず、ワインと同様、最近注目を集めている日本のブランドも視野に入れています。ところで、ワインとの類似点といえば、もうひとつあります。時計は「大事に使えば一生物」「(ブランドによっては)親子3代にわたって使っている人もいる」という話をよく耳にしますが、これらはそれなりのブランドの品を購入して、きちんと丁寧にメンテナンスを受けないとそうはいかないということです。私が20年前に買った時計たちはといえば、あるものは文字盤の金箔が溶け出して見るも無残な姿になり、あるものは台風の日に雨が入って動かなくなり、あるものはブランド自体が消失してしまいました。いずれも現在では替えの部品がなく、修理もままならない有様です。まあこれも、私が巷で人気の正統派ブランドよりも変化球系のマイナーブランドを好んだ結果でもあるわけですが、「子どもの生まれ年のワインを購入して、成人後に一緒に飲む」のと同様、相応の努力と手間と愛情なしには実現できないということを実感しています。*********************…で、結局買い換えたのがこのオメガ・スピードマスター・ブロードアロー1957。フレデリック・ピゲ社製ムーブメントをコーアクシャル化したハイスペックモデルですが、割高感があるのか、世間的にはまったくの不人気のまま生産終了と相成ってしまいました。実際、私以外でこの時計をしている人って見たことないです。針の視認性は格段によくなりましたが、遅れ勝ちなのが玉に瑕です。それとオーバーホール代金が高い!費用が7万~、期間は1ヶ月だそうです。オーバーホール時にはまたワインを売って費用を捻出しなければならないかも…。(笑)
2015年03月07日
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2010年5月頃に書いたネタです。「微妙な関係」のタイトルで5~6本書いていて、後になるほどこじつけがひどくなります(金魚とワインとか、切手収集とワインとか(笑))。追々再掲してきたいと思います。*******************最近レストラン業界の方から、「社用族の利用が減った」「安いワインしか注文しなくなった」というお嘆きの声を聞きます。これは言うまでもなく、リーマンショックの後、各企業が経費削減に取り組んだ影響と思われます。ある私のワイン仲間も、接待費は1人あたり一万円まで、という内規が定められたと話していましたし、2軒目にワインバーに流れるパターンも減っているのでしょう。 ということで、あらためて「予算1万円(消費税込み)」でどの程度のワインを飲めるかを簡単にシミュレーションしてみました。以下は4人でそれなりのフレンチレストランに行き、コース料理のほかに、乾杯用の泡(1000円)を頼み、ワインを赤白2~3本注文したケースを想定しています。(100円未満切捨て)コース/サービス料/1人あたりワイン代/1本あたりボトル代(4人で2本)/1本あたりボトル代(4人で3本)\5,000 - \3,500 \7,000 \4,600\5,000 10% \2,600 \5,200 \3,400\5,500 - \3,000 \6,000 \4,000\5,500 10% \2,100 \4,100 \2,800\6,000 - \2,500 \5,000 \3,300\6,000 10% \1,600 \3,200 \2,100\7,000 - \1,500 \3,000 \2,000\7,000 10% \600 \1,200 \8007000円のコースを頼んでしまうと、実質ワイン代を捻出できませんね。一方で「5000円、サービス料なし(またはコース料金に含まれる)」の店なら、1本あたり7000円のワイン代を割くことも可能です。ただし、*7000円というのは4人で2本飲んだ場合です。酒量の多い人がいたりして、もう1本頼 めば、注文できるワインの単価は1本4600円ということになります。*レストランのワイン価格が概ね市価の2倍(あるいはそれ以上)であることを考えると、 7000円といっても、実質的に市価3500円程度の銘柄ということになります。*「それなりの」レストランでは、5000円のコースはボトムラインのコースであることが多 く、料理に不満が出てくる可能性もあります。*コースにデザートと食後の飲み物が含まれない場合もあります。それらを別途注文すれ ば、当然予算内では収まらなくなります。*「それなりの」レストランで、サービス料のかからない店は少数派でしょう。もちろん、ビストロなどでもっと安いコースを楽しめるところもあります。ただしその場合、今度はきちんとしたワイングラスで提供してもらえるのかとか、接待で用いるのにふさわしい店の雰囲気かといった別の問題も浮上してきそうです。こうしてみると、社用族が遠ざかるのも理解できますね。肩身の狭い思いをして領収証を切っても、飲めるのはせいぜい裾物レベルなわけですから‥。逆の見方をすれば、接待であるなしに関わらず、5000円でそれなりのコースを楽しめて、別途サービス料がかからず、なおかつワインの価格が市価の2倍以下のレストランを見つけられれば、ひとり1万円以下の予算で十分楽しむことができるということになります。予算配分にメリハリをつけて、1本を極力リーズナブルなものに留めれば、もう一本はそれなりのクラスのものを注文することもできるでしょうし。客足が遠のいているレストランの方には、ぜひそうしたリーズナブルなプランを考えていただきたいところです。もうひとつの強力なソリューションは「BYO」(Bring Your Own)、すなわち店にワインを自分で持ち込むことです。ただし、BYOを認めていない店も多いですし、接待などでは自腹を切る話になってしまいますが。ちなみに、私自身どうしているかといいますと、仕事の席では、相手から請われない限りワイン関連の店を利用することはまずありません。というのも、費用面の制約に加えて、喫煙できる店や個室のある店が少ないなど、和食や中華と比べてしまうと、どうしても使い勝手の面で不利になるからです。あとは、自分が愛好家だということが周囲に知られている手前、「公私混同」的な見られ方をされたくないとか、目の前にワインがあるとついウンチクを語りたくなってしまうということもあります。それに、なんのかんのいってもワインは自腹で飲まないと有難味が薄れてしまいますよね。ちなみにこの写真は接待時のものではありません(笑)。
2015年03月06日
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今日は年度末の有給休暇消化で、このあと視野検査を受診します。明日は胃カメラ。どちらも人間ドックでひっかかるのがわかっているので、最近は最初から別途検査を受けているのです。せっかくの休みですが、明日胃カメラなので今晩深酒できないのがチト残念です(笑)。さて、昨晩飲んだのは、2千円台で購入した08シトラン。かつては日本企業が所有していたことで知られていたオーメドックのシャトーです。WAの評価はというと…PP85 Drink: 2011 - 2016A dark garnet/ruby color is followed by notes of Christmas fruitcake, red currants, cherries, herbs and underbrush. Drink this pleasant, medium-bodied wine over the next 2-4 years. ちなみに06年は75点、11年は79点と総じて芳しくないです。いかにもボルドー左岸だなと思わせるブラックベリーやカシス、丁子、ナツメグなどのスパイス類、墨、それに土っぽいニュアンス。飲んでみると果実味の凝縮度はそれほどでもなく、その後から来る酸が強めに感じられます。渋みもそれほど強くないものの、タンニンがきれいに溶け込んでいるかというよりはむしろ後半に存在を主張します。時期的なものなのか、パーカーさんの評価ほど外向的ではなくて、もっと沈み込んだ印象を受けました。総じてミディアムボディでスケールは大きくなくて作りは無骨。「買って失敗した」とまでは思いませんが、探せばもっと飲んで楽しいワインがありそうです。とはいえ、ある意味ボルドーらしいボルドーでもあり、3k以下で見つかるならよろしいかと。★★☆★楽天でシトランを検索★
2015年03月05日
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前のエントリーに関連して、かなり前に書いたコラムを転載します。今の部署はそれほどでもありませんが、前の職場はゴルフを嗜まないとなにかと不便な場面が多く、周囲からの有言無言のプレッシャーがありました。************* 私が現在所属している部署はなにかと「おつきあい」が多く、ゴルフコンペのお誘いをいただくこともしばしばです。shuzさんはゴルフやらないの?と聞かれて、「ワイン関連でカネがかかるのでゴルフはちょっと‥」と答えると、みなさん、口にこそださないものの、決まって「は?何言っているの、コイツ?」という表情になります。 そんな私でも、今の職場に来てまもない時期に、ゴルフを始めようとしたことはあるのです。もっともその計画は、道具選びの時点で早々に頓挫してしまいました。どうせ嗜む程度にしかやらないだろうから、まずは中古で5万円ぐらいのハーフセットでも買っておけば、と軽く考えていたのですが、いざ買う段になって、周囲の話を聞いてみると、皆口を揃えて、「ゴルフクラブはなるべく新しくて良いものを買ったほうがよい。」と言うのです。むむむ、と思っていたところに、とどめの一撃となったのが後輩の容赦ないアドバイスでした。「セットを買うなら予算25万ぐらいは必要ですよ。」「○○さんは、ずっとビギナー用のボロいクラブを使っているからうまくならない」「一回のラウンドの予算は2~3万円ぐらい。世の中の平均ゴルファーのラウンド頻度は平均月1回で、月2回でも普通でしょう。」「自分は年100万近く使っているが、それでも飛びぬけてゴルフに投資しているほうではない。」 独身貴族の意見ゆえ、ある程度割り引いたほうがよいにしても、このとき改めて思い知ったのが、「我が家において、ゴルフとワインを両立させるのは経済的に厳しい」という現実です。専業主婦+幼児二人を抱えて汲々としている我が家の家計に、あらたにゴルフを始めるにあたってのイニシャルコストとランニングコストが加わるとなれば、「ワイン関連予算」との間に深刻な軋轢が生じることは目に見えています。 この点、世のワイン愛好家の方々はどうされているのでしょうか?サラリーマンがゴルフとワインの趣味を両立させるのは、難しいのでしょうか?この疑問をブログにアップしたところ、さすがに他人事でないと思われたのか、多くの方からコメントをいただきました。いわく‥~日本でのゴルフはアメリカなどでラウンドするのと違って、金がかかりすぎる。~良い道具を買ったり、ラウンドする前に半年ぐらいは練習場に通ったりと、ゴルフを始めるにあたっては、ある程度の時間とお金を見込まざるをえない。~昔は付き合いゴルフに行っていたが、ワインに凝るようになってからスッパリやめた。~ゴルフはたいてい休日なので、お金の問題だけでなく、子供や家族を振り切って出かけるという状況にも直面する。~月2回ラウンドすれば、グランクリュ1~2本の予算がゴルフ代に化ける。確実にワインの趣味に影響する。などなど‥。(コメントは筆者による要約。)実のところ、私としては、「そんなことないよ。自分だって両立させている。ゴルフは面白いですよ!」というような、後ろから背中を押してくれるような意見を期待していたのですが、ふたを開けてみると、(一部にそういうご意見もありましたが)上記のようなシビアなコメントが大半だったことに、愛好家諸氏の葛藤をみた思いがしました。 というわけで、現在の部署に来てはや4年、いまだにゴルフをはじめるには至っていないない私です。コンペの誘いをうけるたびに、冒頭のようなやりとりを繰り返さなければならないのは、精神衛生上よくないのですが、景気後退の影響で、ワイン関連費用も削減している中、背に腹はかえられないとでもいいましょうか。ワインとゴルフ、一見、脈絡がないようですが、私にとっては、なんとも微妙な関係が続いています。
2015年03月04日
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なんともまあ、毎年同じ事の繰り返しだなぁと思うのですが、、*2011年人間ドックの結果に落ち込む。http://plaza.rakuten.co.jp/szwine/diary/201102050001/中性脂肪とコレステロールに加えて、この年初めて、糖が上限ギリギリだと言われました。この時点の体重は75キロでした。一念発起してダイエットとジョギングを開始、一時68キロまで体重を落としました。↓*2012年人間ドックhttp://plaza.rakuten.co.jp/szwine/diary/201202240000/冬場のリバウンドで体重71キロまで戻っていましたが、前年指摘された数値はすべて改善されていました。↓この年の10月に腸管出血で1週間入院。入院中の絶食と退院後の食事制限などで体重はミニマム推移。冬場まではよかったのですが、正月以降暴飲暴食モードに戻ってしまい・・・。↓*2013年人間ドックの結果に再び落ち込む。http://plaza.rakuten.co.jp/szwine/diary/201304090000/糖の数値が再び悪化。HbA1cの値は5.8とかろうじて基準値内でしたが、ドックの判定は「糖尿病の疑いあり。3ヵ月後再検査」とのことでした。こちらのブログでもアドバイスをいただいたりして、このあとかなり厳格な糖質制限に入りました。その効果はてきめん。体重は一時64キロまで減少し、HbA1c値は6月の診療所での検診では5.4、11月には4.9まで下がりました。ところが・・・↓*2014年 人間ドックの結果に今年も落ち込む。http://plaza.rakuten.co.jp/szwine/diary/201403190000/どうも冬場の「上の子の誕生日→クリスマス→正月→下の子の誕生日→バレンタイン」というサイクルで暴飲暴食を繰り返してしまうのがよくないようです。11月の健診からわずか4ヶ月しか経っていないのにも関わらず、またしても数値が戻ってしまいました。(空腹時血糖値106、HbA1c値(NGSP)値5.8。)↓*そして今年です。2014年のドックのあと、例によって食事制限を強化しました。ところが、そのわりに数値は下がらず。最近は厳格な糖質制限に耐えられなくなってきていて、何かと自分に言い訳を考えながら食べてしまっているので、自業自得の面もありました。14年5月の診療所検診では、血糖91、HbA1c5.7 9月 〃 97 5.6↓また、夏場以降、職場の異動でほとんど座りっぱなしの仕事に変わったことと、飲酒量が一日一本に近いペースに激増したことで、冬にかけて体重が再び増加。ベルト腹回りもベルト1~2穴分肥ってしまいました。。食事の節制も続かなくなり、今では甘いデザートなども結構口にしてしまっています。↓という体たらくなので、人間ドックの結果が改善されるはずもありません。先日受診して、まだ当日の結果説明しか聞けていないのですが、体重は66.8→68.5に増加。血圧が134/93 とやや高めに。一時平常値に収まっていたコレステロールが基準値を少し超過。空腹時血糖値110、HbA1c値5.7総じて、順当に?悪化していました。ただ、心配していた糖に関しては、空腹時の血糖値が上がっているものの、HbA1cが恐れていたほど悪化していなかったことが救いです。あれだけアルコールを浴びるほど飲み、体重も増えたのにと思いますが、これはおそらく、プチ糖質制限程度とはいえ、引き続き糖質を抑え気味にという努力だけはしていること(パンはふすまパン、ご飯は丼ものや寿司以外は食さず。ジュース類は一切飲まない)、ウォーキングを定期的にしていること、飲んでいる酒が赤ワイン中心であることが理由ではないかと思っています。血糖値を下げる飲み物 赤ワインの効果http://blood-sugarlevel.com/food/entry42.html糖質制限食で血糖値、HbA1c改善。蒸留酒や赤ワインはOK食品。http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-2148.html糖尿病を改善する赤ワインとは・・・?http://www.糖尿病119.com/aboutDiabetes/category_39.htmlもっとも、赤ワインの血糖値改善効果については若干、眉唾な感じもします・・。それに私の場合、毎日の飲酒量が適量を大幅に超えているので、仮に効果があったとしても相殺しているという話もあります。いずれにしても、γ-GTPほか肝臓の数値はまったく問題ないので、ひきつづき飲酒のペースはこのままで、自宅で飲む量については「ボトル半分(以下)」を厳守。あとはチーズを食べ過ぎないこと(私の場合、これが飲酒を増やす原因になっている)。最近すっかりサボっている筋トレを復活。体重を65~66kg程度まで落とせれば、数値ももう少し改善されるのかなと。とりあえず3ヶ月後の診療所の検査までにある方向性を見出したいと思っています。
2015年03月02日
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