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<サマリー> 昨年12月に引き続きスプリングコンサートもようやくコロナ明けの復帰公演が開催されました。そのせいか多くの新入部員も入ってくれたようです。私も前回に引き続いてお声がけいただきました。木下先生と奈良女子大オケの名コンビの演奏に参加させていただき、映像にも記憶にも残る演奏会でした。《奈良女子大学管弦楽団'22スプリングコンサート》日時:2022年5月21日(土)指揮:木下麻由加(客演)曲目: ベートーヴェン ≪コリオラン≫序曲 ベートーヴェン ≪エグモント≫序曲 A.ドヴォルザーク 交響曲第8番ト長調 Op.88※今回は関係者のみの完全招待制で開催致します!無料配信も行いますので是非ご覧下さい!⚠配信は5月22日(日)の20時頃から公式YouTubeにて公開を予定してます!配信は以下のURLからご覧下さい👀https://youtube.com/channel/UCyGX2o6sbq3gqI98vCEVhsA演奏曲目別の私の演奏位置と使用弓、演奏回数は以下のとおりです。・ベートーヴェン:「コリオラン」序曲 (4回目) Breitokopf旧版譜面 2.5Pult中2Pult out 独弓、4弦 extendor-C・ベートーヴェン:「エグモント」序曲 (14回目) Breitokopf旧版譜面 2.5Pult中2Pult out 独弓、4弦 extendor-C・ドヴォルザーク:交響曲第8番(6回目) Breitkopf(Klaus Döge校訂)新版譜面 3Pult中2Pult in 独弓、4弦 extendor未使用(アンコール)・ブラームス:ハンガリー舞曲第5番(13回目)(学生時代の演奏旅行を除く)Breitokopf譜面 3Pult中2Pult in 独弓、4弦 extendor未使用<ホールの紹介> 今回の演奏会場は、奈良県橿原文化会館(大ホール)。奈良女子大オケは、マラソンなどイベントとの競合を除けば冬の定期を県立ホール(国際ホール)、春の演奏会を橿原か大和郡山のホールで、というのが最近の定番パターンとなっているようです。橿原のホールは近鉄大和八木駅から近く、車も隣の近鉄百貨店に大きなキャパの駐車場がある(有料ですが)ため使い勝手の良いホールです。音響的、ステージ的には、いわゆる「多目的市民会館」なので、浅い奥行きと幅広のステージ、デッド(話し言葉が識別できる程度)な残響ということで、クラシックコンサートには若干厳しいですが、それでも低音は比較的抜けてくる感じで助かりました。響かない分ステージ上でも直接音を拾えるので、アンサンブルはしやすいです。<観客数> コロナ・オミクロン株の蔓延による練習や会合の制限(奈良女子大の学生以外が学内に入構できないため、指揮者、学外生、エキストラを含めた練習がいつもの学内講堂で出来ない)はまだまだ残っており、学校という組織の後進性と責任を回避する体質は(これは学校を問わず多くの大学で)相変わらずのようです。今回はようやく一部関係者のみではありますが、有観客での開催が公式アナウンスできるまでに出来ました。学生さん達の粘り強い交渉には敬服すべきものがありますが、ここまで収まって、日常生活では普通に人との接触が回復している中にもかかわらず頑なに他大学生との入構すら禁じる大学の姿勢には、疑問を感じざるを得ません。 ホールにはOGや現役生の知人、登録済みの新入生などを中心とした112名のお客様、そしてYouTubeによる無料での配信が実施されました。リアルタイムというわけにはいきませんが、順調にアップされました。こちらのチャンネルになりますが、曲ごとのURLはまた下に貼り付けておきます。<オーケストラ編成、並び> コロナ下で団員、特に学外生(奈良唯一の学生オケとして、女子大以外の学生(男子含め)も受け入れているのです)との連携が厳しい中ですが、エキストラも含め少しずつ旧に復した編成が取れるようになってきました。今回のドボルザークの弦楽器では、エキストラを入れて上から10-9-7-7-6人。中弦の人数不足とVcの充実から人数調整の結果、このような編成となったようです。Va以上がもう1~2名ずつ欲しいところではあります。弦楽器の並びはチェロが内側に入った近代配置(下手から1Vn-2Vn-Vc-Va,Vcの後ろにCb)。奥行きが狭いホールのため、ティンパニは金管と同じひな壇下手で、横にTrp/Trb/Tu。ホルンは下手側に入り、Flの隣に1,2番、Clの隣に3,4番というシートでした。Timp以外の打楽器については、2ndVn奥の床直置き(といってもアンコールでしか出番がなかったりするので、移動の関係で仕方ない)でした。<コントラバス編成、並び> 今回もMax6人と言うことで、前列とメイン・アンコールでの客席寄りを団員の皆さん、後列をエキストラでの配置となりました。(メインは2回生、アンコールでは1回生が後列団員席)メイン、アンコールは前2-後4、上回生のみ出演のベートーヴェンでは前2-後3、という編成。後列は今回も雛壇をいただけたので、指揮者、コンミスへの見通しもよく、また音もとなりのTさんのCマシンと合わせて箱鳴りを利用できたので、かなりいい感じにならせたのではないかと思います。雛壇も当初3×6尺2枚横並べだったのですが、追加でもう2枚出して縦置きにしてもらい、横12尺奥行き6尺としてもらいました。バスの置き椅子込みだと一人に4尺×4尺が最低でも必要なので、4人並ぶとやや幅が厳しい状態でしたが、一番客席寄りの置き椅子をひな壇から床に落とすことで、何とか対応できました。<メンバー詳細> 前回ご一緒したメンバーがそれぞれ進級し、現役は3回生2人、2回生1人です。そして今年入団の新入生が経験者と言うことで、1名アンコールでデビュー。その際は2回生の方が打楽器に廻って対応していました。なので次回は現役生4名という、楽器をフルに使う奈良女子大での現役Max編成となります。というか、楽器の数しか入団できないのがCbの制限(もちろん楽器持って入団する方が居れば別ですが、ごく希なケース)です。できればもう1~2台くらい楽器、できれば5弦楽器が欲しいところです。ベートーヴェンやモーツァルト、シューベルトが中心になるなら、なおさら5弦で欲しいところですね。 そんな中でエキストラは3名。他弦楽器とのバランス上若干多い?という気もしましたが、ベートーヴェンで2回生が乗らない(総勢5名)となるのでこんなもんかな、というところです。トラ3名が乗った演奏はパワフルでした。録画でもベースの音がもりもり聞こえてきています・・3名のエキストラは、私とここ数年常トラとして参加されているイケメンCマシーン楽器奏者Tさんに加え、久しぶりの奈良女トラ参戦の、地元奈良響の5弦奏者、Tさん。私以外の2名はお若いですが、安心?の既婚者であります。<指揮者、ソリスト> 指揮は、これで奈良女大オケは10回目となる木下麻由香先生。50回の記念定期演奏会の後も、新入生へのアピールとなる大事な春の演奏会のタクトを託された形となりました。すでにメンバーとも、OG、エキストラとも顔なじみなので各パート、奏者の状況も熟知しておられ、リハーサルも非常に効率よく進みます。総練習には学外の施設を使わざるを得ない現状では、リハーサル効率はこれまで以上に曲の完成度に響いてきます。楽団側としてベストの選択だったと思います。奏者の方にもエキストラメンバーとして、OG、他大学学生、そして私のような一般トラがはいるわけですが、弦楽器の男性エキストラは前回より増えて7名。Vn4/Va1/Cb3ということで、もう少しでコロナ前の状態に戻る感じです。<曲目別感想> 学生オーケストラのプログラミングというと、一部の優秀で大規模な大学オケを除き、編成と難易度の絡みで選択肢が狭まってくる(選曲する学生さん達の、クラシック楽曲の知識量にも依存します)わけですが、ベートーヴェンの序曲2連発というのは、私も初めてで、ちょっとビックリしました。しかもベートーヴェン中期の有名曲2曲と言うことで、編成的にはほぼ同じですが、お客さん側としてはどうだったかなぁ、とちょっと心配でした。もちろん演奏する側としては、オーケストラの基本レパートリーと言って良い名曲2曲なので、大学生が若いうちにさらって身につけておくには素晴らしい曲2曲ではあります。これからレパートリを身につけていく若い学生オケメンバーとしては、こういう名曲の繰り返し(じつは奈良女でもエグモントは5年前の再演なのです)で良いのかも知れない、とも思うようになりました。 というわけで1曲目は「コリオラン」序曲。ベートーヴェン中期の傑作序曲として次に演奏する「エグモント」序曲と並び称される曲ですが、エグモントが劇付随音楽の正真正銘な「序曲」として作られたのに対して、こちらは純粋な演奏会用序曲。それもあってか、曲の作りも凝っていて、演奏難易度がエグモントよりもかなり高くなっています。特に展開部でのVcの延々と続く八分音符は、アマチュアではなかなか難儀なところで下手なアマオケだと止まりそうになってしまうところですが、昨年からのメンバーがほぼスライドして乗っているVcパートはがっちりさらってきていてくれて、とても安定感のある演奏を披露してくれました。さらにエキストラのTp、Eさんがモダン楽器でもナチュラル管風に演奏した(一部の音がナチュラル管では音程が外れ気味になるのを忠実に、大きく気にならない程度に寄せていた)のが印象的でした。最初に練習参加したときにTpパートにわざわざ確認に行ったら上記のような話をしてくれて、びっくりでした。どうやら他のメンバーは気づいていない(か気づいても問い合わせなかったみたい)でした。こちらがその時の動画ですhttps://youtu.be/bIxwA8VO91Y 2曲目は「エグモント」序曲。さすがに過去演奏回数も多く、奈良女子大オケでも5年前に、そしてもちろん私も学生時代に1回生オケで弾いて以来(団内発表会のため、演奏会カウントには入っていない)弾き続けています。コリオランに比べればCbパートの音の噛み合わせは簡単とは言え、音程のとりにくい♭系の曲、しかも音程がわかりにくい低い弦でのロングトーンが多くて、低音の音程をちゃんと取れているかどうかが演奏結果にダイレクトに効いてくる怖い曲でもあります。さらに木管楽器は各楽器パート単位で交互に入っていく所が多く、木管にとってはひょっとしたらコリオランよりも怖い曲かも知れません。本番もちょっとした事故はありましたが、分厚い低音が聞こえる重厚な演奏となりました。こちらがその時の動画ですhttps://youtu.be/ijagN2pKsuE そして3曲目は、ドヴォルザークの交響曲第8番。新世界に次ぐ人気を誇り、チューバを含むフル2管編成でハープ無し、という学生オケにうってつけの編成もあり、アマチュアオケ、学生オケでは常に選曲候補に挙がる曲でもあります。とはいえ、私にとっては実は久しぶり。2010年に滋賀医大と墨染さんで続けて演奏して以来、実に12年ぶりの演奏となります。今回渡された譜面も実は初めてのご対面。ブライトコプフの校訂譜でした。過去Kalmusやスプラフォンの譜面ばかりだったので、時代を感じました。さらに過去譜面上の疑問があった箇所も、校訂譜での修正、そして自筆譜のファクシミリがネットで閲覧できる環境になっており、これまでの疑問も一気に氷解しました。それらの顛末は、こちらに別掲させてもらってます。【解決】ドボルザーク交響曲第8番と第9番の謎 (2022/2/10)https://plaza.rakuten.co.jp/tamamo/diary/202202100000/演奏自体は、以前びわこフィルで演奏したときに首席奏者として色々と(他パート含め)経験した蓄積もあり、当時の指使いも思い出しながら、懐かしく演奏してました。現役の皆さんも頑張っておられて、4楽章のパートソロも破綻なく立派な演奏となり、過去の自分が参加した演奏の中でも十分に素晴らしい演奏となりました。こちらがその時の演奏動画ですhttps://youtu.be/S2i5wLO5AOQ<アンコール>アンコールもようやくできるようになり、さて、スラブ舞曲?と思いきや、そこでハンガリー舞曲第五番となりました。譜面は学生時代の演奏旅行以来慣れ親しんだ、ブライトコプフ(シュメリング編曲)のもの。以前とある学生オケさんがダウンロード譜面使ったときにパーロウ編曲版を用意してしまって、エキストラ陣や指揮者からブーイング受けてしまったのを思い出しましたが、こちらはちゃんと一般的なものを選択されたようです。おかげで私もほぼ暗譜状態で指揮に集中できました。演奏としては、楽譜記載以外の慣用的な動きは極力抑えた、すっきりしたものとなりました。経験値の少ない学生さん中心で、しかもリハーサル回数も少なかったことを考えると、リーズナブルな選択だったと思います。こちらがその時の演奏動画ですhttps://youtu.be/sepHjb9dQYI<打ち上げ>今回もいわゆる「打ち上げ」は出来ずでした。が、終演後客席に集合し、(通常打ち上げ前半にやる)指揮者からのコメント、部長、コンミスなどからのコメントを聞くことが出来ました。写真撮影もする、と言うことで残ったエキストラも多かったのですが、結局撮影するのは現役対象だけで、それで帰りの電車を結構見送ってしまった方も居たようで、ちょっぴり残念なコミュニケーションロスでした。(私は車だし、講評も聞きたかったので、問題なかったですが)<次回>コロナもなかなか頑強で、モードを変えつつ予断は許さない状況です。とはいえ、世の中は確実にコロナとの共存に舵を切っているので、ここらあたりを大学当局がどう受け入れていくかだと思います。次回は第51回定期。12/18だそうです。長年続いた木下先生から指揮者も交替し、私も12/18の日程確保は不要と言われたので、次回の成功を祈りつつ、他オケに出演(もしくは練習)となりそうです。過去の演奏経歴です。通算373ステージ目。(学生時代の演奏旅行を除く)■ベートーヴェン:「コリオラン」序曲 ・2011/09 墨染交響楽団/池田 俊 Bärenreiter版・2016/11 高槻室内管弦楽団/寺坂 隆夫・2022/01 京都プレザントオーケストラ/仙崎 和男 Breitkopf旧版・2022/05 奈良女子大学管弦楽団/木下 麻由加■ベートーヴェン:「エグモント」序曲・1988/06/04 滋賀医科大学管弦楽団/船曳 圭一郎・1991/12/08 緑交響楽団/奥村 智・1991/12/15 アンサンブル・フィガロ/星野 貢・1992/10/10 北里大学交響楽団/長田 雅人・1993/10/03 秦野市民交響楽団/川合 良一・1996/11/10 駿河フィルハーモニー交響楽団/関谷 弘志・2005/12/04 富士フィルハーモニー管弦楽団/小林 研一郎・2009/04/26 びわこフィルハーモニーオーケストラ/有馬 純昭・2009/11/22 草津チェンバーオーケストラ/宅間 司・2013/06/22 滋賀医科大学管弦楽団/岩井 一也・2017/02/11 京都大学交響楽団100周年祝祭オーケストラ/寺本 義明・2017/04/30 奈良女子大学管弦楽団/木下 麻由加・2019/12/28 滋賀医科大学管弦楽団/岩井 一也・2022/05/21 奈良女子大学管弦楽団/木下 麻由加■ドヴォルザーク:交響曲第8番・1984/06/01 京都府立医科大学交響楽団/加藤 完二・2001/03/31 富士フィルハーモニー管弦楽団/堤 俊作・2008/06/08 びわこフィルハーモニーオーケストラ/有馬 純昭・2010/06/19 滋賀医科大学管弦楽団/岩井 一也・2010/09/26 墨染交響楽団/滝本 秀信・2022/05/21 奈良女子大学管弦楽団/木下 麻由加■ブラームス:ハンガリー舞曲第5番(学生時代の演奏旅行を除く)・1989/01/11 京都大学交響楽団/田中 良和・1989/01/13 京都大学交響楽団/田中 良和・1992/11/08 麻生フィルハーモニー管弦楽団/山下 一史・1994/10/09 北里大学交響楽団/小林 幸人・1998/12/13 旭富会クラシックコンサート部/伊藤 章・2009/11/22 草津チェンバーオーケストラ/宅間 司・2012/07/29 八幡市民オーケストラ/安藤 亨・2012/09/17 墨染交響楽団/粟辻 聡・2016/07/31 コバケンとその仲間たちオーケストラ/小林 研一郎・2017/07/01 京都市民管弦楽団/藏野 雅彦・2017/08/06 コバケンとその仲間たちオーケストラ/小林 研一郎・2021/02/23 びわこフィルハーモニーオーケストラ/川上 肇・2022/05/21 奈良女子大学管弦楽団/木下 麻由加奈良女子大学管弦楽団さんとの演奏履歴(通算9ステージ目)です。 1983/11 第14回定期演奏会 奈良県文化会館(ベートーヴェン交響曲4番他) 1984/11 第15回定期演奏会 奈良県文化会館(シューベルト交響曲6番他) 1988/05 1988スプリングコンサート 奈良女子大学講堂(旧講堂)(スコットランド他) 1988/11 第19回定期演奏会 奈良県文化会館(ブラ2他) 2016/12 第46回定期演奏会 奈良県文化会館(ブラ1他) 2017/04 2017スプリングコンサート 橿原文化会館 (シューマン「春」他) 2019/12 第49回定期演奏会 橿原文化会館(エロイカ他) 2021/12 第50回定期演奏会 奈良県文化会館(ライン他) 2022/05 2022スプリングコンサート 橿原文化会館 (ドヴォルザーク交響曲8番他)
2022.05.21
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約2年半ぶりの登場だった前回定期演奏会からさらに2年。ようやく50回の記念定期演奏会の開催にこぎ着けました。ここまでの学生の皆さんの努力は大変だったことと思います。観客は関係者のみでオンライン・ネット配信ですが、無料でYouTube上に1ヶ月公開ということもあり、昨年12月に引き続き映像に残ることになりそうです。《奈良女子大学管弦楽団 第50回定期演奏会》2021年12月26日20時頃から順次当団YouTubeにて動画配信https://www.youtube.com/channel/UCyGX2o6sbq3gqI98vCEVhsA奈良県文化会館 国際ホール関係者のみ完全招待制での有観客開催が決定いたしました!!(今回は一般の方にはご来場いただけません。申し訳ございません。) 「魔笛」序曲/モーツァルト 交響曲第8番 未完成/シューベルト交響曲第3番 ライン/シューマン指揮:木下 麻由加(客演)演奏曲目別の私の演奏位置と使用弓、演奏回数は以下のとおりです。・モーツァルト:歌劇「魔笛」序曲 (7回目) Bärenreiter新版譜面 2Pult中2Pult out 独弓、4弦 extendor未使用・シューベルト:「未完成」 (11回目) Bärenreiter新版譜面 2Pult中2Pult out 独弓、4弦 extendor-C・シューマン:交響曲第3番「ライン」(3回目) Breitkopf(J.Draheim校訂)新版譜面 2Pult中2Pult out 独弓、4弦 extendor-C 今回の演奏会場は、奈良県文化会館 国際ホール(大ホール)。奈良公園、東大寺、奈良県庁にほど近い奈良の中枢にあるホールで、私が学生時代に出演した頃からそのまま現存しているホールとなります。学生時代に乗ったホールで今も残っているって意外と少なくて、長岡京のホール(京コンは出来る前だったので、京都会館がほとんど)、シンフォニーホール、サントリーホール、大津市民会館、そしてこの奈良県立文化会館というところでしょうか。トシを取ったものです。ホールより長持ち(笑)。耐震補強、リニューアルに伴い音響も良くなったようで、今回少なめ(関係者限定)のお客様の入りにより却って豊かな響きが配信されたのではないかと思います。 コロナ・デルタ株の蔓延で開催自体(特に奈良女子大の学生以外が学内に入構できないため、指揮者、学外生、エキストラを含めた練習がいつもの学内講堂で出来ない)が危ぶまれましたが、学生さん達の必死の活動で何とか開催にこぎ着けました。さらには急速な収束の中で、当初の無観客開催から一部関係者のみではありますが有観客での開催も勝ち取ることが出来ました。学生さん達の粘り強い交渉には敬服すべきものがありますが、ここまで収まって、日常生活では普通に人との接触が回復している中にもかかわらず頑なに他大学生との入構すら禁じる大学の姿勢には、疑問を感じざるを得ません。 ホールにはOGや現役生の知人を中心とした200名弱のお客様、そしてYouTubeによる無料での配信が実施されました。リアルタイムというわけにはいきませんが、演奏日当日の夜7時からさっそくアップされました。 コロナ下ではそもそも学生さん達は学校自体に来られない日々が続いたことから、サークル活動などの新人勧誘も当然出来ず、オンラインや限られた時間を工面してのメンバー集めだったことは想像に難くありません。元々マンモス総合大学に比べると学部数(=学生数)の少ない女子大学なので、オーケストラに集まる団員もそれなりに減ってしまうのですが、そんな中でも低音弦楽器にはメンバーが多く集まってくれていました。チェロはエキストラが要らない程の人数。オケの存続のために頑張った上回生の苦労がしのばれます。 ちょっと団員の演奏楽器が偏ったせいか、Vn群が少なく、エキストラを入れても上から9-8-8-6-5人(ラインでの編成)。チェロバスの重い、重厚な編成となりました。弦楽器の並びはチェロが内側に入った近代配置(下手から1Vn-2Vn-Vc-Va,Vcの後ろにCb)。古典~前期ロマン派の前半2曲は、ティンパニが最上段下手で、横にTrp/Trb、ホルンが上手側Fgの横という最近では比較的珍しいHn上手ポジション。「ライン」でHnが4本に増えると、今度は下手側に入り、Flの隣に1,2番、Clの隣に3,4番というシートでした。これも最近は下手Hnはコントラバスと同じような平台もしくは3,4をさらに上げた雛壇で対応するので、やや珍しいかも知れません。奈良県文化会館のステージならもう1段積める様な気もしますが、橿原のステージ(奥行きが浅く幅が広い)と共用の並びとするなら仕方ないかも知れません。 今回はMax6人と言うことで、前列を団員の皆さん、後列をエキストラでの配置となりました。(指揮者の方からは、前列多いと圧が・・とコメントいただいちゃいましたが) 全員出演の魔笛、未完成は前4-後2、上回生のみ出演のラインでは前3-後2、という編成。今回後列は雛壇(6尺×6尺を2枚並べてくれたので、ゆとりを持って座れた)をいただけたので、指揮者、コンミスへの見通しもよく、また音もとなりのTさんのCマシンと合わせて箱鳴りを利用できたので、かなりいい感じに鳴らせたのではないかと思います。できれば今後はホルン共々雛壇を出してもらって、よりよいアンサンブルとサウンドになっていけばよいと思います。 前回ご一緒したとき唯一の2回生団員だったIさんが、もう4回生です。学生さんの2年という月日が如何に大きなものか。。しかし彼女の頑張りのおかげもあってか、2回生が2人、1回生が1人入団してくれていて、団員だけで4名というかつてない充実したメンバーで臨む50回記念演奏会となりました。とはいえ4回生は昨年一番練習できる時期を逃し、卒論の中での練習ですし、他パートでは昨年、本来なら50回定期を演奏出来たはずの回生が涙を飲んで卒業したはずですので、手放しで喜べないのが残念なところです。 メンバーはその4回生を筆頭に、2回生2人(入学してからオケステージ経験がないことになります)、うち1人は武庫川女子大に通う方で、普段の練習のために楽器を自宅に持ち帰っての奮闘と伺いました。そして1回生、ピアノで小さい頃にプロオケと共演したという俊英です。できればプロ奏者に指導について欲しいくらい。。素晴らしい素質を持つ学生さんばかりなのですが、ほとんどがまだ演奏会経験がないメンバーだっただけに、トップの2回生の苦労は大変だったと思います。そしてここで演奏できたことで、何とか4回生のノウハウがギリギリ引き継がれました。先日の京大オケでもそうですが、学生さんの2年は本当に大きい。大人の感覚の2年ではすまされないものがあります。 そんな中でエキストラは2名。他弦楽器とのバランス上若干多い?という気もしましたが、一番馬力が要りそう(かつ難しい)ラインで1回生が乗らない(総勢5名)となるのでこんなもんかな、というところです。おかげで前半6名が乗った演奏はパワフルでした。私ともう一方は、ここ数年常トラとして参加されているイケメンCマシーン楽器奏者Tさん。幸い数年前にご結婚もされているので、安心(何が?)です。 指揮は、これで奈良女大オケは9回目の木下麻由香先生。当初(昨年時点)の50回定期は別の方を予定されていたようですが、コロナにより公演日がずれたことでスケジュール調整他が難しくなったのかも知れません。結局はここ数年お世話になっている先生に記念演奏会を託すことが出来て良かったのではないかと思います。特に「ライン」の難度が高い中、全曲を一定のレベルに持っていくための助言、指導は大変であったと察すると同時に、さすがの手腕だったと思います。 奏者の方にもエキストラメンバーとして、OG、他大学学生、そして私のような一般トラがはいるわけですが、弦楽器の男性エキストラは前回同様4名だけ。Vn2名とコントラバス2名ということで、暫くはこのくらいの編成が続くのかも知れません。 魔笛-未完成というカップリングは何故か意外と多く、これで3回目となります(過去は大阪工大オケと京都プレザントさんでの公演)。比較的小編成の古典曲でありながら、トロンボーンが3本揃っている、というのが大きいのかも知れません。 というわけで選ばれる「魔笛」ですが、これがなかなか大変。そりゃモーツァルト晩年の傑作だから、というだけでなく、2ndVnからはじまるフゲッタ風の主部は弓のコントロールが難しく、初心者が多く乗る学生オケの1曲目としては、なかなか心臓に悪い(若いメンバーだから演奏は止まっても心臓が止まる心配はないでしょう)出だしとなります。また再現部直前は木管でのソロパッセージで音楽がつながっていくので、ここもドキドキポイントです。幸い弦はエキストラの力もあり、どちらも本番はうまく乗り切っていけました。 指揮者の演奏自体はモダン奏法ながら現代風のキリッとした表現を目指されていたようで、ティンパニにもややバロックティンパニの音色に寄せた音色を希望されていました。ただ、学生さんにはその辺のイメージが上手く伝わったかどうか・・直前でも割と響きの残ったロマン派調の音がしていたので、あれやこれやと提案する羽目になってしまいました。(その際にはかかりつけ医でお世話になっているティンパニスと、K先生のアドバイスをいっぱいいただきました。改めて感謝です)こちらがその時の動画です。 2曲目は「未完成」。つい先月弾いたばかりです。その時は、腕の達者な弦楽器奏者が18型で並び、コントラバスも10人、うち5弦が5本というもの凄い物量(木管は倍管)で圧倒的な未完成でしたが、今回は上記の編成による、ぐっと絞られたものになりました。譜面がBärenreiter版(しかし初期の版で、1楽章提示部最後の繰り返し前に誤植がある)でもあり、それに忠実に音下げすることにしました。未完成でのHipShotは、1楽章通してC下げ、2楽章は上げ固定でほぼ乗り切れるようです。 この曲、全体の表現がなかなかに難しい(そもそも転調が絶妙な曲なので、音程よくハモらないと曲の魅力が出ない)のですが、演奏上の難所としては特に1楽章では第2主題を受け持つチェロ、2楽章では中間部の長いソロを持つ木管群に負担がかかってきます。 今回のVcはほぼ学生さんのみ、ということで初心者から始めて1,2年という方が何人もステージに乗っていて、この曲をさらうのは大変だったんじゃないかと思います。右手の表現含め、誰か先輩としてアドバイスしてあげられるトレーナーさんとかがいたらなぁ、となかなかもどかしい感じでした。それでも本番にはちゃんと仕上げてくるのが学生オケ。若いって凄いなぁ、と思います。その若い時分にこういう名曲をしっかり覚えられるのは幸せですね。なので学生オケはほんと、繰り返しでも良いから名曲をしっかりやっていけばいいんじゃないか、と思うようになりました。こちらがその時の動画です。 そして3曲目は、シューマンの第3番、ライン。学生時代にアンサンブル・モーツァルティアーナさんに呼んでもらって(ヒヤヒヤで)弾いて以降は独身時代に三島で弾いたっきりで、久しぶりの演奏になりました。トロンボーンやホルンに異様なハイトーンが要求されていたりして以前はアマチュアには結構敬遠されていた曲のように思いますが、最近は管楽器のレベルが上昇して、その辺もクリアするようなったのでしょうか。特にコロナ下でステージの密を避けるため大きな曲がやりにくくなった大編成市民オケなどで、メンバーを絞り込んだ選曲の結果がシューマンあたりに落ち着く(これまたトロンボーンが入っているし)せいか、ここ数年あちこちで「ライン」が採り上げられているような気がします。たまたま前回の紫苑交響楽団さんも定期でラインを採り上げており、相変わらずの素晴らしい演奏を拝聴したばかりでした。 この曲、シューマンの他の交響曲と同じくオーケストレーションにやや無理があり、無茶苦茶に頑張りがいるところ、音符があってもほとんど弾いたらいけないところ、そもそも楽譜がややこしすぎて弾けないところ(苦笑)など、ある程度経験値がないと判断難しいポイントもなかなかに多く、大学から始めた低弦のトップあたりは頭を抱えているような感じでした。 なので、コントラバスの方は過去の事例を元にした楽譜を作ったり、チェロには上記紫苑さんのVcパートさんに協力いただいて楽譜を見せていただいたり、などのお手伝いをさせてもらいました。学生さん達、ほんとに頑張って、よくぞここまで、というくらいさらってくれてました。コントラバスのメンバーは、たまたま大阪で開催された高山先生の基礎講座を受講された方もおり、この半年で急激に進歩されたと思います。こんなにやる気いっぱいのみんながコロナで行動を制限されているのが、本当に悲しい限りです。とにかく今も、この後も出来る限りの応援をしたいと思っています。 それが学生時代、コントラバス弾き出して間もない私をエキストラに呼んでくれて、楽しくも充実した時代を過ごさせてくれ、そして今でも助けてくれたり、一緒に弾いたりできるメンバーを与えてくれた奈良女オケへの恩返しと思っています。 ちなみに音符が多くて忙しいこの曲、HipShotを使う場面は残念ながらほとんどなかったのですが、唯一4楽章(コラールの楽章)の最後だけはHipShotを使って譜面からオクターブ下のEsに下げさせてもらいました。ここはマーラー編曲版(何故かパート譜が手元にある)でも下げられているところなので、演奏効果の大きさでこっそり採用させてもらいました。全体としては指揮の木下先生のリードの下、溌剌とした演奏となったのではないかと思います。おじさんも一緒に躍動(した気分)を味合わせてもらい、感謝です。こちらがその時の演奏動画です。 アンコールはありませんでした。直接理由を伺ったわけではないですが、練習がままならない中、難曲である「ライン」始め各曲への対応で余裕がなかったこと、そしてオンライン配信のための予告、時間配分(業者の方にお願いしたようです)などから直前決定などの柔軟な対応が出来なかったのかも知れません。 演奏会は開催できたとは言え、打ち上げの方はまだまだ。。。何とかグループ単位での前夜祭や打ち上げをひっそりと、という感じのようです。となると車付きのコントラバス・エキストラ部隊は非常に不利。お食事だけでお付き合いしてもらうのも。。となってしまう(通常は宴会の席に登場して、ノンアルドリンクで頑張って参加します)。 今回は何とか「反省会」と称して別室の広い空間にて、引き継ぎや先生の講評などを受け、飲食は出来ませんが少し現役の皆さんともお話しすることが出来ました。 ついに節目の50回記念公演を歴史に刻むことが出来た奈良女オケ、次は来年5/21にスプリングコンサート。これは新入生へのアピールも兼ねているもので、ぜひ成功を・・その前にまずは普通にお客様が入って、そして練習も他大学生、エキストラを含めた練習が普通に構内で出来るようになることを祈るばかりです。過去の演奏経歴です。通算366ステージ目。■モーツァルト:歌劇「魔笛」序曲・1991/09 横浜シティ・フィルハーモニック/鎌田 由紀夫・1992/10 秦野市民交響楽団/川合 良一・1992/11 東京グリーン交響楽団/堀 俊輔・2017/11 大阪工業大学管弦楽団/国沢 晴香 Breitkopf版・2018/09 墨染交響楽団/大島 正嗣 Bärenreiter版・2020/01 京都プレザントオーケストラ/仙崎 和男 Breitkopf版■シューベルト:「未完成」(学生時代の演奏旅行を除く)・1991/12 桜美林オーケストラ/セルジョ ソッシ・1992/03 ニューシティー・オーケストラ/上野 正博・1994/12 エルムの鐘交響楽団/川越 守・1996/11 駿河フィルハーモニー交響楽団/関谷 弘志・1998/11 東京グリーン交響楽団/川本 貢司 ・2009/04 びわこフィルハーモニーオーケストラ/有馬 純昭 Bärenreiter版・2015/11 京都市民管弦楽団/長田 雅人・2017/11 大阪工業大学管弦楽団/国沢 晴香 Breitkopf版・2020/01 京都プレザントオーケストラ/仙崎 和男 Breitkopf版・2021/11 オーケストラ・モデルネ・京都/篠﨑 靖男■シューマン:交響曲第3番「ライン」・1984/10 アンサンブル・モーツァルティアーナ/岡田 司・1996/06 駿河フィルハーモニー交響楽団(現:三島フィル)/関谷 弘志 奈良女子大学管弦楽団さんとの演奏履歴(通算8ステージ目)です。 1983/11 第14回定期演奏会 奈良県文化会館(ベートーヴェン交響曲4番他) 1984/11 第15回定期演奏会 奈良県文化会館(シューベルト交響曲6番他) 1988/05 1988スプリングコンサート 奈良女子大学講堂(旧講堂)(スコットランド他) 1988/11 第19回定期演奏会 奈良県文化会館(ブラ2他) 2016/12 第46回定期演奏会 奈良県文化会館(ブラ1他) 2017/04 2017スプリングコンサート 橿原文化会館 (シューマン「春」他) 2019/12 第49回定期演奏会 橿原文化会館(エロイカ他)
2021.12.26
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約2年半ぶり、久しぶりにお声がけをいただきました。学生オケの常ではありますがメンバーはほとんどの方が入れ替わってしまい、また新たな気持ちでの取り組みとなりました。編成上低音が薄い中でのワルツ、ウェーバー、ベートーヴェンというタフなプログラムでしたが、「エロイカ」の2楽章(葬送行進曲)のあとで予期せぬ拍手をお客様からいただくなど、印象深いステージとなりました。《奈良女子大学管弦楽団 第49回定期演奏会》2019年12月8日(日) 12:30開場 13:30開演橿原文化会館 大ホール 入場料:¥500(当日券あり)(近鉄「大和八木」駅より徒歩3分) ワルツ「ウィーン気質」/J.シュトラウス オペラ「魔弾の射手」序曲/ウェーバー交響曲第3番「英雄」/ベートーヴェン 指揮:木下 麻由加(客演) 演奏曲目別の私の演奏位置と使用弓、演奏回数は以下のとおりです。・J.シュトラウス:「ウィーン気質」 (初) 2Pult中2Pult out 独弓、4弦 extendor未使用・ウェーバー:「魔弾の射手」序曲 (8回目) 2Pult中2Pult out 独弓、4弦 extendor-C・ベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」(6回目) Bärenreiter新版譜面 2Pult中2Pult out 独弓、4弦 extendor-C(アンコール)・ブラームス:ハンガリー舞曲 第1番(7回目) 2Pult中2Pult out 独弓、4弦 extendor未使用 今回の演奏会場は、奈良県橿原文化会館。ちょうどこの日(2019/12/8)は、「奈良マラソン」の当日にあたり、奈良市の中心部は朝早くから交通規制が敷かれていました。いつもの冬の演奏会場である奈良県文化会館は、まさに奈良市のど真ん中。さすがに音楽イベントは難しかったかと思います。 このホールでの演奏は、2017年の奈良女オケさんのスプリングコンサート以来ですが、大和八木駅の近鉄百貨店隣、客席数は約1300名という立派なホールです。奈良市内からは車だと24号線と京奈和道(無料区間)を使っても45分くらいかかる距離に、今回も600名余りのお客様がお越し下さいました。この日は京都市民管弦楽団の第100回記念演奏会を含め、関西圏では5団体以上の演奏会が同時に開催されたのですが、固定ファンの方が多いのか、多くのお客様に支持いただき、ありがたい限りでした。 奈良女子大学は複数学部のある大学とは言え、全体の学生数は多くないことから慢性的に団員不足気味な状態です。ここ数年はかなりピンチだったとのことですが、幸い今年の春に新入生が大量入団してくれて、かなり陣容は持ち直してきました。それでも弦楽器はエキストラを入れて、上から10-9-7-5-4人(エロイカでの編成)。ドイツ音楽を演奏するには低音が薄くなってしまいましたが、Vcが当初6人だったのが急遽5人となったとのことで、バランス上コントラバスは4人で結果的にはよかったのかも。また前述のようにこの日はアマチュアオケの演奏会がかなり重なったため、エキストラは取り合いになった可能性もあります。 弦楽器の並びはチェロが内側に入った近代配置(下手から1Vn-2Vn-Vc-Va,Vcの後ろにCb)でした。 コントラバスが4人と言うこと、Vcが少なく、さらに内側配置ということで、コントラバスは二人ずつ前後での2列での布陣となりました。雛壇がなくて、後列もベタのり。何とか指揮は見えましたが、雛壇の共鳴も含め、後列は雛壇が欲しかったなぁ、というのが正直なところでした。管や打楽器の横に誰も居ない雛壇スペースがあっただけに、ちょっともったいなかったです。私は後列の客席寄りでの演奏となりました。 メンバーは昨年バスパートに久しぶりに入団してくれた、唯一の団員さんがトップ(在京プロオケのT山さんを輩出した東京のF高弦楽部出身ということもあり、かなり上手)。トップサイドには永年このオケの賛助をされているK先生、そして2Pultで以前関西グスタフマーラー響でご一緒させてもらった、若手Cマシーン楽器持ちのTさんと並ぶこととなりました。 Tさんはちょうど私と入れ違いくらいで奈良女大オケに来られるようになった、とのことで、エキストラ陣も私が2~3年前にお邪魔した時とはK先生を除いて総入れ替え、という感じです。 指揮は、これで奈良女大オケは8回目と、すっかりお馴染みとなった木下麻由香先生。私は初夏のフィロムジカさんでのニールセン以来となる顔合わせでした。団員達のお姉さん的な雰囲気なので、団員さん達も自然とついて行く感じですが、先生の気をつけながらの細やかな指導を見ていると、ここの学生さん達は幸せだな、と思います。 奏者の方はエキストラメンバーとして、OGさんや私のように招集がかかった(笑)メンバーがそこそこいるわけですが、OGさん以外はかなりメンバー入れ替わった感じです。特に目立ったのが、女性エキストラの増加。女子大だから女性が多い方が当然違和感がないわけですが、今回に至っては弦楽器の男性エキストラは4名だけ。ま、そのうち2名がコントラバスだったりするのですが。 ひょっとしたら私も若手女性コントラバス奏者を紹介した方がいいのだろうか・・とちょっと考え込んだりしました。 冒頭、いきなりおしゃれにウィンナワルツ。シュトラウスの「ウィーン気質」です。 私はワルツ好きなのでワクワクでしたが、この曲、序奏に弦楽器前列での情緒たっぷりのアンサンブルがあります。コントラバスはソロになるので、もちろん団員の方が演奏します。出来るだけいい条件に、ということで団の楽器に付いていた古い弦を、若手イケメンコントラバスエキストラ(長い)T田さんが持っていたスペアの弦を供出したりとか、張り替えは私が練習後にやったりとか、お嬢さん相手だとつい張り切ってしまうのは、若くても歳でも男の性ですな。 ワルツの頭打ちは、この夏の「ジプシー男爵」を経て、「掛かりよりスピード」の気持ちで弾いて、でも気づいたら引っかかっていた、という位の感じが少し掴めてきて(松脂がPOPSになって、掛かりが良くなったこともあるかも知れない)、練習前半では固かった音も後半はだいぶ「らしく」なってきたような気がしました。 ただ、ボウイングが弓順を多用したもので、ダウンの時に威力を発揮するウィーンフィル風弾き方(弦に斜めに当てて、横だけでなく縦方向にも振動掛けて柔らかいけどはっきりした立ち上がりにする)が十分には発揮できなかったのが残念です(本番裏切って一人でダウン連発で弾こうと思ったくらい)。 ずっと同じボウイングで練習した団員の皆さんに突然直前にボウイング変更を提案する訳にもいかず、ちょっと残念感が残りました。次の機会があれば、もっと早めにボウイングのディスカッションをしておきたいものです。 2曲目の「魔弾の射手」序曲。もう学生オケでは定番中の定番みたいな曲です。ウェーバーの序曲は編成がTuba無しのトロンボーン入りフル2管編成で、中規模以下の学生オケにはぴったりなのだと思います。 実は私が初めて演奏したのが奈良女大オケ(なんと学指揮さんでのステージ)。以来、木管アンサンブル版の物も入れると8回目の演奏になります。 この曲は中間部にコントラEsのロングトーンがあって、そこのためにHipShotレバーを下げるのが、最近個人定番化しています。実際にはその前後にも分散和音の中でコントラEsがあるのですが、テンション弱くて発音が鈍いHipShotでの拡張音域は8分音符にはあまり効果が無いので、そこは捨て置きました。 演奏自体は序奏のホルンアンサンブルがさすがに緊張で大変そうでしたが、全体的にはかなり立派な出来だったと思います。 そして3曲目で取り上げる交響曲は、ベートーヴェンの第3番、エロイカ。個人的には不滅の9曲の中でも最も好きな曲ですので、とても楽しみにしていました。楽譜はベーレンライターの校訂版譜面。チェロ・バスが別のパート譜で、バスには今の通常4弦楽器では出せない低音が随所に書かれているものです。今回は前列二人が4弦楽器ということもあり、楽譜にある拡張域の低音はできるだけ下げて演奏すべく、HipShotのレバー操作タイミングと演奏可能性(E線をC線に下げることになるので、F~Asが第2ポジション以上のところで押さえることになり、ポジション移動が大きくなります)を考えました。さらにブライトコプフの旧版譜面(チェロ・バスが一つの譜面)では時々やっていた、「チェロをなぞって拡張低音に下げる」対応を一部追加してみました。 今回お隣奏者の拡張音域は5弦ではなくCエクステンション、しかも一番高級な、半音タイプで音程をストップできるレバーがついたもの。これで譜例のところ(1楽章の展開部最後のあたり)を弾くと、4小節単位で ストップ全開(Low-C)→ Des→ D→ Esと順番に半音ずつストップを留めていく形になります。これで最低音は常に開放弦となるから音程も安定するし、見た目もかっこいいですね。この部分はCエクステンションが絶対ハマる、と思いました。(譜例:ブライトコプフ旧版のVc/Cbパート譜より) 1楽章は新版楽譜に書かれている所以外では、258小節のC-C重音(HipShotとCエクステンションはE線弦が下がるため、VcがよくやるようなA線のCとオクターブでC音を鳴らすことが出来ます)、再現部最後のあたり(543、561小節からのf/ff部分)を追加で下げてみました。他の楽器では、コーダのトランペットはさすがに昔のようには上げていませんでした(昔は譜面を外れて、完全にメロディーを8小節なぞる演奏が多かった)が、上手くバランスとってかっこよく鳴らしていました(ひょっとしたら3小節目は上のB♭吹いたかな?)。 そして2楽章。冒頭からコントラバスとチェロのソリで、足を引きずるかのような(葬送行進曲)音型を奏でる有名部分となります。ここは微妙な楽譜の書き分けがあり、冒頭から3回は装飾音符、それ以降は16分音符や3連符で書き込んだリズムになります。そしてもう一度この歩みの部分が帰ってくる(Maggioreの後)所では、装飾音符が2回と、微妙に違ったりしています。 今回の演奏ではこの記譜の違いをはっきり表現するために、装飾音符は先頭を拍頭に当てる方式(主体となる音符は拍からずれて聞こえる)を採用しました。ところがこれが結構ややこしくて、お手つき(装飾音符を前に出して、リズムに入った形にしてしまうミス)が本番直前になって続いてしまい、心配した指揮者の先生から、1回目と2回目(Maggioreの後)で、切り替わるところを一緒にしましょうか?という提案まで前日にいただいてしまいました。「大丈夫です」と言ったにもかかわらず、また本番午前のリハーサルでミスが出て、さすがに心配となった先生は本番直前にわざわざ上手ソデのベースパートにお見えになって、色々確認をしてくださいました。で、本番は・・一箇所危なかったかな・・録音はもらう予定はないので、記憶にだけ留めておきます。 ただ、全体としてはこの楽章は良い演奏になって、特にフガートを抜けてからの起伏は曲の素晴らしさもあって、周りの空気も若干色が変わったような感じになったかもしれません。それを感じ取ってくださったのか、この楽章が終わったところでお客様からの拍手をいただきました。エロイカ弾くの6回目ですが、弾くのも聞くのも2楽章で拍手をいただいたのは初めてでした。冒頭から色々緊張やらやらかしはありましたが、出来映えをお客様も感じていただけたのかな、と嬉しくなりました。 3楽章はコントラバスのパート譜としては、やや難しい部類のものとなります。テンポが速い上に音程の跳躍も大きく、跳ね弓のままで弦跨いだ移弦もしたりと、右手左手共に技術が必要です。年取ったおかげ?で右手はそれなりに弦を掴めるようになったのですが、すでに左手が上手くまわらず・・上達がちぐはぐになってしまったのが、何とも残念です。 トリオ部分はホルンが活躍する有名な部分ですが、ここのホルンはバッチリ健闘。そしてバックはベートーヴェンのスケルツォ特有の変則フレーズ(1小節1拍として、合いの手が4,8拍単位にならず、ずれた位置に入ったりする)があり、カウント必須(今練習中の7番でも苦労しています)。練習では時々お手つきしたり、入るタイミングを失うパートがあったりしましたが、本番は集中力で乗り切れました。 それにしても、1ヶ月前の時点で、ワルツはどんどん遅くなり、エロイカはどんどん走って行っていたオケが、昨日の練習ではすっかり落ち着いてテンポをキープ出来ている・・若い頃の一ヶ月は、ほんと凄いです。私もこの位のペースで変化(上達)したいものだ、と羨ましくなってしまいました。 4楽章、旧版時代は変奏曲の最初暫く(全員合奏になる前)は弦楽器のpizz.やarco.を色々いじる演奏もしましたが、ベーレンライターの校訂版が出てからはほぼ譜面どおりに落ち着いた感じです。変奏曲なのに大きな起伏とドラマのある素晴らしい楽章ですが、最後の最後に16分音符でsf連発のfがベターッと続くため、疲労度は高いです。 これもHipShotのおかげで譜面に書かれているLow-Esとかをしっかり鳴らすことが出来、低音的には満足でした。ただ、HipShotの最大の副作用は、レバーを倒してE線のテンションを緩めると、その影響で他の弦のチューニングが動くこと。私の楽器では、A線は高くなり、D,G線は低くなります。今ではそれも計算に入れて、A線の音は低めに押さえ、D,G線は高めに押さえて、あとは耳で調整していますが、やはり忙しいところとかになると、そういうわけにもいかず、特に音程の精密さが要求されるところではストレスがかかります。 なので低音拡張できる楽器が多いオケなら、どうしても必要なところ以外は出来るなら使わずに・・としたいところではあります。次回は「未完成」も演奏する、ということですので、ぜひ低音拡張できる楽器(奏者)を呼んできてほしいものです。あ、もちろん私も冒頭は下げますよ! アンコールは、ブラームスの「ハンガリー舞曲」第1番。アンコール定番曲とは言え、テンポやダイナミックスの振れ幅が大きくて、曲に慣れていないと事故が起こりやすい曲でもあります。先生もコンマス中心のアンサンブルを指示しつつ、判りやすいテンポ設定とアインザッツで、少ないリハーサル回数でしたが無事に演奏を終えることが出来ました。ベートーヴェンよりあと、この辺の時代の曲になると、濃い音色や激しいsfなどかなり思い切りよく落差を付けないといけないのですが、その辺はたおやかなお嬢様方が慣れるまでにはもう少し時間が掛かったようです。出来るだけ応援しようと頑張って、久しぶりにピチカート・ダコを更新しました(幸い血豆にはならず)。 以前の打ち上げは学内の食堂で行われていましたが、今年は趣向を変えて(?)結婚式場を借りての立食パーティー形式。初冬の日曜夜、しかも仏滅ということで結婚式場の稼働率も低かったでしょうから、ちょうどいい具合に需要と供給がかみ合った感じでしょうか。メンバーも入れ替わったことから、男子の少なさにビビりながらも参加させてもらいました。学生オケの打ち上げは、卒団(オケ活動の卒業。奈良女は一旦3回生でキリを付けるようです)、運営メンバ交替のセレモニーがお約束。後輩達からのサプライズプロジェクションがあったり、と心温まる打ち上げでした。 と、同時に私と近い世代のOGさん達から要望されていた「現役とOBの橋渡し」ということで、新運営メンバーをたぐって、OGさんのSNS上交流掲示板(私も何故か参加してます)へつなぐことが出来ました。今日一番仕事した、と思える瞬間。第50回定期演奏会に向けて上手く交流していってほしいものです。 1回生の大量入団で充実へのきっかけをつかんだ奈良女オケ、次は来年5/23にスプリングコンサート。これは新入生へのアピールも兼ねているので、今の流れを確実にするように来年も多くの団員が入団するような充実した演奏になってほしいものです。そしてその先の冬には、いよいよ第50回定期演奏会が控えています。過去の演奏経歴です。通算345ステージ目。■J.シュトラウス:「ウィーン気質」(初)■ウェーバー:「魔弾の射手」序曲・(1988/05) 奈良女子大学管弦楽団/葛巻 則子・(1988/06) 滋賀医科大学管弦楽団/船曳 圭一郎・(1994/03) ニューシティー・オーケストラ/上野 正博・(1998/09) アンサンブル・ルフト(室内楽版) ・(2011/05) 八幡市民オーケストラ/中井 章徳・(2011/11) 八幡市民オーケストラ/村尾 浩也・(2015/06) 滋賀医科大学管弦楽団/岩井 一也■ベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」・(1992/03) ニューシティー・オーケストラ/上野 正博・(1996/07) 富士フィルハーモニー管弦楽団/堤 俊作・(1999/06) いさだホール室内管弦楽団/尾崎 晋也・(2017/01) 西陣お弁当オーケストラ/福盛 亮介・(2017/11) 大阪工業大学管弦楽団/国沢 晴香■ブラームス:ハンガリー舞曲 第1番・(1996/07) 富士フィルハーモニー管弦楽団/堤 俊作・(1996/11) 駿河フィルハーモニー交響楽団/関谷 弘志・(2001/07) 清水フィルハーモニー管弦楽団/藤崎 凡・(2007/05) 八幡市民オーケストラ/三河 正典・(2011/06) 滋賀医科大学管弦楽団/岩井 一也・(2015/06) 滋賀医科大学管弦楽団/岩井 一也奈良女子大学管弦楽団さんとの演奏履歴(通算7ステージ目)です。 1983/11 第14回定期演奏会 奈良県文化会館 1984/11 第15回定期演奏会 奈良県文化会館 1988/5 1988スプリングコンサート 奈良女子大学講堂(旧講堂) 1988/11 第19回定期演奏会 奈良県文化会館 2016/12 第46回定期演奏会 奈良県文化会館 2017/4 2017スプリングコンサート 橿原文化会館
2019.12.08
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4月は、いきなり2ステージというハードな日程となりました。 前回、12月後半にひょんなご縁から参加させてもらった奈良女子大学管弦楽団さん、春の演奏会にもお声がけをいただき、演奏会にのせてもらいました。《奈良女子大学管弦楽団 '17 スプリングコンサート》 日時:2017年4月30日(日) 開場12:30 開演13:30 場所:橿原文化会館 大ホール 指揮:木下麻由加(客演) 曲目: 「エグモント」序曲/ベートーヴェン作曲 「ペールギュント」第1組曲/グリーク作曲 交響曲第1番「春」/シューマン作曲 演奏曲目別の詳細内容は、次のとおりです。ベートーヴェン:「エグモント」序曲 (12回目) 3Pult中1Pult In 独弓、4弦、E線C下げ固定グリーグ:「ペール・ギュント」第1組曲(3回目)3Pult中1Pult In 仏弓、4弦、エクステ未使用シューマン:交響曲第1番「春」(5回目) 3Pult中1Pult In 独弓、4弦、エクステC下げ (アンコール)チャイコフスキー:「くるみ割り人形」から「トレパック」 独弓、4弦、エクステ未使用 コントラバスは前回に引き続き、全員エキストラの6人という編成。そのうち私を含めて4人は、前回の12月定期に引き続いての参加です。編成的には比較的小さい(弦楽器は上から、10-9-8-7-6人)割に、低弦が厚めの構成。しかもコントラバスパートは、プロの方が2名も参加してくださっており、レベルの高いVcパート(こちらにもプロの方が・・)と相まって、ベートーヴェンや、グリーグの「オーゼの死」では圧倒的な存在感だったかもしれません。ちなみに、バスパートエキストラ6人中、4人が男性。しかも私のようなオッサンまで混じっており、「女子大」のオケ・・?!とアンケートで書かれないか、と冷や冷やでした。(実際には他のパートにも、私と同世代とおぼしき男性を見かけ、若干ホッとしましたが)何にしても、団員が十数名、というのはほんと大変だと思います。新入生の勧誘を頑張ってもらい、ぜひ団員が増え、コントラバスにも現役生が入ってほしいものです。 グリーン響さんに続き、私にとってはこちらも初めてのホール、奈良県橿原文化会館。橿原市の大和八木が最寄り駅で、駅からのアクセスも良く、立派なホールでした。内部は所謂「多目的ホール」で、バックヤードの動線とかは効率的に出来ていました。響きはやはり多目的用途なので、分離が良い代わりに響きは少なめ、という生音勝負のオケにとっては若干シビアなホールでした。 客席は約1300名を収容できる大きなものですが、600名を越えるお客様がお越し下さっていました。奈良女子大の本拠地は奈良市内(奈良公園も近い、ホントの街中)ですから、そこから高速道路使っても30分くらいは離れた所に、これだけのお客様・・ありがたいことです。学生さん達の動員努力はもちろんのことですが、来てもらえる、というのは本当に幸せなことだと思います。指揮は冬の定期と同じく、木下先生。若手女性指揮者、ということで女子大の学生さんからしたら「お姉さん」という感じで、先生からも妹に接するようなリラックス感があり、リハーサル・練習も非常に和やかに進みます。曲の解釈も正攻法で、リズミックな所は爽快に流し、歌うところはロマンティックに、というもの。演奏する側も聴く側も安心できる演奏になったように思います。「エグモント」序曲は、アマチュアオケ、特に学生オケ定番の曲目で、私もとうとうステージが10回を越えてしまいましたが、今回は初めてエクステンダーで第4弦(E線)をCまで下げ・・いや、下げっぱなしだったので、調弦自体を上からG-D-A-C(通常はG-D-A-E)で弾いてみました。通常のE線を緩めることになるので、テンションは下がるため張りのある音は難しいですが、他の5弦(2台ありました)と上手く共鳴すると、下げた音としての存在感も出る感じとなりました。最近はエクステンションはすっかりC固定です。 今回のベースは6台。うち5弦が2台、エクステンダー1台と、低音の厚みも十分。2曲目は、ペールギュント第一組曲。最初に演奏したのは多分演奏旅行(リスト記録外)。直後に滋賀医大さんと演奏、それ以来、直近の台風で本番遅刻した時の演奏会まで飛んでしまう、というのが不思議なくらいですが、組曲を全部やる、となるとそのぐらいだったかも知れません。意外。演奏は、弦楽セクションのエキストラ陣パワー全開、というしっかりしたもので、オーゼの死、アニトラの踊りなど、薄めの弦編成ですが納得のサウンドだったように思います。オーゼの死は、かなりの好演だったように思いました。 メイン曲はシューマンの「春」。4曲ある彼の交響曲の中では一番親しみやすい曲調で、技術的にも4曲の中では演奏しやすい曲です。(編成も、Trb入り、Tubaなしの標準2管編成なので、学生オケがとりあげやすい)しかし、そうは言ってもシューマン。彼独特の厚塗りのオーケストレーションは、上手く整理しないと「ごてごて」のサウンドになってしまいます。そこは経験値高い弦のエキストラ陣に、木下先生の要所を押さえたコントロールで、爽やかな中にもしっかり歌の入った、愛すべきシューマンが出来上がったように思います。4楽章最後のコーダの追い込みも上手く盛り上がり、演奏後にはブラボーもいただけるようないい演奏になりました。 アンコールは「くるみ割り人形」、組曲中もっとも快活な「トレパック」。快調なテンポで進むなか、コントラバスは非常にキレのある後打ちが出来て(特にリハーサルで)、これはこれまででも最高のリズム刻みを経験できたように思います。こういう音が自オケのバスセクションでも出せたらなー、と思うことしきりでした。 次回の演奏会は12月、場所を奈良国際会館に移しての定期公演となります。曲は未定とのことですが、まずは新入生を1人でも多く勧誘して、多くのメンバーで演奏できるようになって欲しいと心から願っています。 奈良女子大学管弦楽団での演奏履歴(通算6ステージ目)第14回定期演奏会 1983/11 奈良文化会館第15回定期演奏会 1984/11 奈良文化会館1988スプリングコンサート 1988/5 奈良女子大学講堂(旧:いまの文化財の方)第19回定期演奏会 1988/11 奈良文化会館第46回定期演奏会 2016/12 奈良県文化会館打ち上げは、場所を奈良市内の学内へ移しての立食パーティー。さすが女子大、と唸らせるメニューを前にして、バスパートは4人が集結。プロの先生、そのお弟子さん、そして大阪を拠点に活躍している若手ベーシストの方と楽しい時間を過ごさせてもらいました。 打ち上げでの写真。パワフルな若い皆さんとの共演で、刺激をいっぱいもらいました。過去の演奏経歴です。通算286ステージ目■ ベートーヴェン:「エグモント」序曲船曳 圭一郎/滋賀医科大学管弦楽団(1988/06)奥村 智/緑交響楽団(1991/12)星野 貢/アンサンブル・フィガロ(1991/12)長田 雅人/北里大学交響楽団(1992/10)川合 良一/秦野市民交響楽団(1993/10)関谷 弘志/駿河フィルハーモニー交響楽団(1996/11) *現:三島フィル小林 研一郎/富士フィルハーモニー管弦楽団(2005/12)有馬 純昭/びわこフィルハーモニーオーケストラ(2009/04)宅間 司/草津チェンバーオーケストラ(2009/11)岩井 一也/滋賀医科大学管弦楽団(2013/06)北原 幸男/京都大学交響楽団100周年祝祭管弦楽団(2017/2)■ グリーグ:「ペールギュント」第1組曲(演奏旅行での演奏は除く)船曳 圭一郎/滋賀医科大学管弦楽団(1988/06)楠 敏也/墨染交響楽団(2011/09)■ シューマン:交響曲第1番「春」手塚 幸紀/京都大学交響楽団(1985/06)柿元 生也/京都大学交響楽団(1985/07)藤崎 凡/清水フィルハーモニー管弦楽団(2004/06)有馬 純昭/びわこフィルハーモニーオーケストラ(2011/05)
2017.04.30
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2016年12月24日(土)、クリスマスイブの中ではありますが、今年は3連休ということもありこの3日は、今年最後の音楽イベントが各地で催されておりました。そんな中、奈良県文化会館 国際ホールで行われた奈良女子大学管弦楽団 第46回定期演奏会のお手伝いをさせていただきました。奈良女子大学のオケさんとは、実はこれが初めてではありません。遠い遠い昔(笑)の学生時代、何度かエキストラでお邪魔させていただいており、第14回(1983)、第15回(1984)、スプリングコンサート、第19回(1988)に続いて5回目のお邪魔なのでした。 コントラバスを始めて初めてエキストラでお邪魔したのが奈良女オケでして、当時お世話になったメンバーの皆さんとは、今もSNSで繋がっていたり、演奏をご一緒したり、と出会いには感謝の念でいっぱいです。 なにせ28年ぶり(!)ですので、初めても同然。写真のように当時奈良女オケさんが作った時、一緒に作ってもらったトレーナー(これも死語か・・)を着て今回のリハーサルや打ち上げに登場したのですが、当然ながら知っているメンバーは誰も居らず(そりゃそうだ。母親の世代だから、本人達はまだ影も形もない(笑))。 曲目は最近お世話になっている滋賀医大管弦楽団さんと大学規模が近いこともあって、選曲好みが似ており、今回に至っては先週滋賀医大さんで演奏したブラームスの第一交響曲がかぶっており、それにクリスマスには定番の「ヘンゼルとグレーテル」序曲、そしてブラームスと同じ1番でキーもC(長調と短調は違いますが)のベートーヴェンの交響曲第一番。クリスマスの忙しい中、奈良国際会館(これは多分30年前と同じ!)大ホールに 600名を越えるお客様がお越しくださいました。曲目等の詳細は以下となります。奈良女子大学管弦楽団 第46回定期演奏会曲目フンパ-ディンク 歌劇「ヘンゼルとグレーテル」序曲ベートーヴェン 交響曲第一番ブラームス 交響曲第一番 日時2016年 12月24日12:30開場 13:30開演 場所奈良県文化会館 国際ホール入場料500円(前売・当日)全席自由 チケット購入・予約についてコントラバスは総勢6名。私の演奏回数、場所と持ち弓は、フンパ-ディンク:「ヘンゼルとグレーテル」序曲 (3Pult中) 3pult-out 独弓 演奏回数:2回目ベートーヴェン:交響曲第一番3Pult中) 3pult-out 独弓 5回目ブラームス:交響曲第一番ハ短調(3Pult中) 3pult-out 独弓 演奏回数:14回目 extender: C L.アンダーソン:クリスマス・フェスティバル(3Pult中) 3pult-out 仏弓 (アンコール) でした。コントラバスは残念ながら団員はおらず、全員エキストラで6名。以前も大体団員さんは一人か、多くて二人、という感じでしたが、これは団所有の楽器が3台、ということもあってのことかもしれません(滋賀医大は楽器が増えたことで、現在はCb団員4名となってます)。エキストラも一名(首席)の連続してこられている方と、近隣市民オケの方2名、プロの方2名と私、という構成。5弦も6本中3本あり、ブラ1の重低音でも問題ない布陣となりました。オケ全体も13型(13-12-11-9-6)とやや小振りですし、プロがお二人いらっしゃるので、音量も十分。私はそのお二人に挟まれての演奏で、緊張するやら、勉強になるやら。。頭フル回転のステージとなりました。30数年ぶりの奈良文化会館のステージ、編成も大きくはないため余裕でした。1-2での布陣ですが、後列の雛段が狭く(この辺はコントラバスの団員さんがいらっしゃらないので、むずかしいですね)、固まろうとしたことあり、後列の雛段を真ん中で「く」の字に折って配置する、というのを経験できました。(プロの方からのアドバイス)後列と前列の位置関係によっては前後が離れる場合、このやり方は結構良さそうです。後ろを通路として管楽器の動線も確保できるし。 曲の構成はドイツもの中心なので独弓が中心ですが、アンコールだけアメリカものでしたので、強引にフレンチを使ってしまいました。お客さんからは「スペア弓」と思われていたかも知れません。 下の写真は本番の会場ではなく、大学内の講堂でのリハーサル光景。リハーサルでこのような広い空間が利用できるのは、とても恵まれていると思います。この講堂は、今や重文となった旧講堂の代わりとして出来たもの?のようなので、旧講堂でスプリングコンサートをやっていた以前の私らの頃は、当然ながらありませんでした。「ヘンゼルとグレーテル」はメルヘンオペラ、ということで欧米では「くるみ割り人形」と並ぶクリスマスの定番オペラ/バレエだそうで、序曲もおとぎ話を彷彿とさせるもの。ただ、作曲者のフンパーディンクはワーグナーの弟子、と言うこともあって、転調や楽器の用法はすでに後期ロマン派。譜面はかなり歯ごたえあります。途中、ベースはかなり難しいパッセージも出てくるの(ポジションを拡張して取るか、弦を一本下げてD線の親指ポジションを使うか)ですが、お隣のプロの方が親指で取っているのを拝見して、私もそれに合わせることにしました。今後はそれで固めていこうかな。冒頭のホルン四重奏のハイトーンも決まって、いい幕開けでした。 2曲目のベートーベン、久しぶり、そして多分初めてのベーレンライター版(新版)での演奏。ベートーベンの中でも初期の作品のため、古典的なお約束をきっちり守る演奏が必要になります。両脇のプロの方からは、流石、と唸らせる演奏が聞こえてきますので、こちらはお二人の演奏の邪魔をしないよう細心の注意を払いながら、音のニュアンスを学ばせてもらいました(てな中で音間違えたりで迷惑掛けたわけですが・・)。それにしてもスラーの音の後処理とか、本当に基本に忠実で、しかもお二人が並んで弾いていたかのように同じニュアンス。やはりこれが基本として徹底されているんだ、と納得する場面がいっぱいでした。演奏も新版の譜面と言うこともあり、颯爽とした演奏。ヴァイオリンやフルートの細かい、そして難しいタイミングの入りとかも現役団員の皆さんがきっちりさらっていて、素敵な演奏となりました。 メインの「交響曲第1番」。先週に引き続きの演奏で、もう14回目となりました。今回はボウイングはかなり普通です。同一曲連続別団体演奏の場合、ボウイングが違ってはまることが多いだけに、ホッとしました。ブラームスになると両プロの方も一転弾き方がずっしりしてくるわけですが、何せ音程がバッチリなので、合ったときの音の飛び具合が素晴らしい(私が間で音程が合ったとき限定、、なのが残念です)。6本でもオケ全体を十分に支えている感がしていました。当日のお客様や録音で、状況を是非確認したいものです。バスパートは音程とタイミングが命、というのを改めて感じるステージでした。他のパートもやや細身ながら、しっかりしたアンサンブルと音の鳴りで、素晴らしいブラームスとなったように思います。 アンコールは、演奏会開催日がイブなので、これしかない、と言えるアンダーソンの「クリスマス・フェスティバル」。クリスマスキャロルがメドレーで流れる曲ですが、原曲はハープやオルガンも入る大仕掛けなもの(なので、以外と演奏機会は少ないかも、です)。今回は特殊楽器の入る曲をカットしての演奏でしたが、上手くつないでいたため、お客様も違和感なく楽しめたのではないかと思います。 そして折角のクリスマス。お隣のプロの方から、「クリスマス、何かやんないんですか?」の声に乗って、勝手もわからないまま勝手に(笑)、二人でクリスマスグッズ持ち込みを決定。お隣さんはサンタさん帽子。私はサンタさん靴下を楽器の渦巻きにかぶせて、コントラバス用サンタさん帽子。これをブラ1後のカーテンコール時に手元に寄せ、アンコールの気配でさっとかぶせて(かぶって)演奏。アンケートにも「コントラバスのサンタ帽、かわいかった」と書いていただき、してやったり、の気分です。 これで年内の演奏は終了。娘らの受験のため所属オケの練習に出られないことから自オケを休団させてもらった1年ですが、その分短期のお話しをいただいたことから、アンサンブル、バンドを入れると年間17ステージ、という過去最多の年間出演数となってしまいました。来年は自オケにも復帰の予定ですので、スケジュールをしっかり調整し、身体能力衰えをカバーしながら皆さんにご迷惑をおかけしないようなパフォーマンスが出来ればいいな、と思っています。 過去の演奏経歴です。(281ステージ目) これで、関西復帰(2006年)以降での関西ベートーベン交響曲演奏コンプリートも、あと1曲(3番)を残すのみとなりました。新年早々この番号のお声がけをいただいたことから、11年掛けてのチクルス・コンプリートとなる予定です。 過去の演奏)フンパ-ディンク:歌劇「ヘンゼルとグレーテル」序曲 ・岩井 一也/滋賀医科大学管弦楽団(2011/06) ベートーヴェン:交響曲第1番 ・星野 貢/アンサンブル・フィガロ(1991/12)・堀 俊輔/東京グリーン交響楽団(1993/04)・関谷 弘志/駿河フィルハーモニー交響楽団(現:三島フィル)(1996/06)・藤崎 凡/清水フィルハーモニー管弦楽団(2000/05)ブラームス:交響曲第1番 ・山岡 重信/京都大学交響楽団(1984/06) ・岡添 隆/京都大学交響楽団(1984/07) ・加藤 完二/京都府立大学交響楽団(1985/05) ・岡田 司/アンサンブル・モーツァルティアーナ(1986/09) ・長田 雅人/北里大学交響楽団(1992/10) ・山下 一史/麻生フィルハーモニー管弦楽団(1992/11) ・鎌田 由紀夫/横浜シティ・フィルハーモニック(1993/06) ・川合 良一/秦野市民交響楽団(1993/10) ・堤 俊作/富士フィルハーモニー管弦楽団(1999/04) ・池田 俊/墨染交響楽団(2011/09) ・岩井 一也/滋賀医科大学管弦楽団(2012/06) ・有馬 純昭/びわこフィルハーモニーオーケストラ(2014/02)・岩井 一也/滋賀医科大学管弦楽団(2016/12)
2016.12.24
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