キンモクセイ、五年ぶりに咲く | 懐かしの家族HP

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2017.10.13

キンモクセイが咲いた

今回こそタイトルの通りであり、くだくだしいことは余り書かないことにする。と言いたいところだが、いささか書く。
2012年、母が衰えて特別養護老人ホーム(略称・特養)へ入ってまもなくの夏ごろ、町内会の上位連中が目星をつけていたようで、世間知らずの私に親切ごかしに伸びすぎた庭木を切ってやると言って来た。

特にすぐ近所でガス屋などを営む小男が横柄な物言いで我が家の周囲をざっと見てすぐ去った。この男、のちに私が不調ながらも町内会の班長、否、ブロック長をやり始めた時、既に高飛車な態度に出て来た。母と死別した翌年2014年である。
キング・コングに嫌悪感が出たのはキング・コングのせいではなく、それに体形が酷似していたこの小男のせいである。

キングコングフィギュア.jpg

私は当時、母の面会以外の行動をほとんどせず、町内会の連中の作業に任せていたが、面会に出かける前後に仰天した。
町内会の連中は庭木のほとんどを根元から切り取っていた。
柘植(つげ)の木ともみじが残してあったのは、厚意ではないと、あとで独断した。10メートルほどに伸びたモチの木を切った時、乱暴に倒してどけようとしたためか、我が家のフェンスを一部壊した。小男がすぐに直すとほざいたが、私は余りの仕打ちにそれを断わった。残った2本ともかなりの大木だった。それゆえかと怪しんだのだ。

庭木14春.jpg

2014年夏、業者を頼んで雑草取り及び剪定をやってもらった直後の庭。ここに写る車は、今や行方不明の軽四輪。

母が2013年暮れ近くに老衰死したあと、予感通り私も体調が悪くなり、翌2014年一年のあいだに、激しくやせて来て、それが多分尾を引き、この2017年春にほとんど意識不明となって市立病院に搬送され、ここから長期療養に入るが、夏に至って、ガタガタの身体(からだ)がゆるやかに復調し始めた。

それが、この2017年10月中旬に入ってまもなく、なぜか外出行動が俄然増えた私のスクーターに向かう足をとどめた。期待せぬまま5年が過ぎようとしていたキンモクセイの方向にゆっくりと足先が動いた。庭にあの懐かしい香りが漂っていると感じるままに、そちらへ移動すると、確かにキンモクセイが咲いていた。
「数は少ないが、間違いなくキンモクセイが咲いている」と、独り言(ご)ちた。
そのすぐあと、母に報告したかどうか、もう忘れている。とにかくスクーターで出かけ、出先で一通りのことをやって満足して帰宅後、再びキンモクセイに足が向いた。