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今年も後数時間で過ぎようとしている。年末と言えば紅白歌合戦!?ではなく格闘技祭り!?でもなく、山田ホルモン恒例のタンパーティーである。実はこの為に少しばかり売り物のタンを残しているのだ。私はせっかくの焼肉をするのだから、新しく『塩然シリーズ』に入れる商品の試食をしようと、何品か塩ものを作った。すると「今日はタンが主役じゃないの!!塩ものを作ったらタンが食べれなくなるでしょう!!」と若女将がぼやく。それを尻目に、何品か塩ものを作った。30日は今年一番の盛況を見せた山田ホルモンも、大晦日の31日はさすがに客足が遠のいている。いつもよりも2時間ほど早く店を閉めると、さっそく恒例の『タンパーティー』の始まりである。まずはもちろん上タンの塩焼きである。レモンを搾って準備万端。お店で食べるといくらになるのと言うくらい生タンをカットし、鉄板に載せる。待ちきれないといった具合に、まだピンク色した半焼き状態で口に入れる。うっ… うま~い!!今年最後の晩餐はやっぱり上タンに限る!!今年初めて『タンパーティー』に参加した若女将もご満悦の様子である。あっという間に上タンを食い尽くしてしまった。次は『塩然コリタン』である。実は12月のミートミーツ内のランキングで5位に急上昇した商品である。上タンとはまた違ったコリコリした味わいが何とも言えない。山田ホルモンの社長も「味付けが絶妙やな~」と絶賛である。コリタンの次は新『塩然ホルモン』である。もともと『塩然ホルモン』は豚の小腸を使っていたのだが、少しクセのある味が万人向けではないと言う事で、豚の直腸を使ってみたのだ。豚の直腸はくせがなく柔らかいため、塩の味もつき易い。鉄板の上で良く焼いて口に入れてみた。「こりゃあ、ヒットの予感がするね。」と自己満足に浸るも、家族は反応なし。しかしみんな口に入れると、「前よりも数段美味しくなってるね。」と言ってくれた。これは自分で言うのもなんだが、本当に美味しい。その後、塩ものの新作、『塩然ミノ』とハチノス。『唐甘焼特上ホルモン』や『唐甘焼大腸』を平らげ、恒例のタンパーティーの幕は下ろされた。食事を終えながら気付いたのは、今日はお肉を一枚も食べなかった事である。山田ホルモンの社長と話しながら、肉がなくてもやって行けるとの自信がついた。来年もミートミーツはホルモンを中心とした商品を拡大してゆく方針である。またお客様に対するサービス向上を目指して行きたい。お客様方、読者の皆様、そして楽天広場の仲間方、今年は本当にお世話になりました。来年もよろしくお願いいたします。
2004年12月31日
けたたましく電話の音が鳴る。山田ホルモンの社長が電話を取ると、大きな声で私を呼ぶ。何かと尋ねると、プレゼントの当選者から電話があるという。プレゼントの当選者と言えば、昨日メールのやり取りをしてコミュニケーションを取ったお客様だ。到着日の変更でもしてくるんだろう、と軽い気持ちで応対しようと思った。しかし受話器を持った社長の顔は、そういった電話じゃなく、苦情の電話といった顔である。「なんかメールアドレスが公開されとるみたいやぞ。」ととんでもない事を言っている。お客様の名前をプレゼントの当選者として発表するのはあっても、アドレスを公開する訳がない。恐る恐る電話を変わってみた。「メールアドレスが公開されているんですけど。」お客様は怒りを隠せない様子である。お名前を聞くと、昨日のプレゼント当選者さんではない。と言うことは誰から電話が掛かってきているのか検討が付かない。私は、「どのページで公開されているんですか?」と聞いてみた。すると当選者は2名名前が公開されていて、自分のアドレスだけ公開されていると言うのだ。何らかの理由で勝手に公開されたのだろうか。モバイルのページというので見てみたが、モバイルのページは当選者発表を行なっていない。名前が2件公開されていると言うが、当選者は一人である。なんとかやり取りをした後、「もういいです。」と電話を切ったが、納得いかない。そのままほっとこうと思ったが、先方様の声の調子からすると、不審者とは思えない。自分なりに検証した結果、驚くミスを犯していたのだ。プレゼントの当選者の発表は基本的にPCのプレゼントのページで行う。メールでアドレスを指定したページに当選者の名前が入っている。しかしモバイルのページからPCのページの誘導はページが重いため、メールの文面に当選者を発表しているのだ。もちろん当選者のお客様にはちゃんとことわってあるので問題ない。しかしそのモバイルページの文面に問題があったのだ。楽天のシステム上、送信者のお客様の後にアドレスが入るのだ。もちろんそのアドレスは各お客様ごとに、そのお客様のアドレスが入るので問題はないだろう。しかし問題はその前の文章が、「当選者は下記をご参照ください。」である。「当選者は下記をご参照下さい。」の後に送信者の名前が勝手に入ってしまうのだ。名前の後に「発表」と題して当選者のお名前を入れているのだ。もちろんそのお名前にはアドレスは付いていない。恐らくそれを勘違いして、当選者は2名で自分の名前だけアドレスが公開されているのだと思ったのだろう。システムの文面を、完全に把握しきれなかった自分を反省し、これから発表メールのあり方を考える契機になったと言う事は言うまでもない…
2004年12月25日
『家が潰れてもタレされあれば再興する』これが山田ホルモンの家訓である。(私が勝手に言っているだけだが…)それ程、昔から子守唄のように何度も聞いて来た文句である。焼肉といえばタレと、日本では定着しているが、焼肉の本場韓国ではつけダレなんてない。つけダレはすき焼きなどを好む日本人向けに考えられたものである。しかし日本では手軽に家庭で焼肉屋さんの味が味わえると言う事で、人気を博している。山田ホルモンセンターにも昔、スーパーで販売したいといった営業マンが何人もやってきた。「包装や瓶つめは私どもが全てやりますので、販売してくれませんか。」といった類である。しかし山田ホルモンの社長は一度も首を縦に振る事はなかった。肉やホルモンは仕入先が同じであれば、一緒の味であるが、焼肉のタレはその店のオリジナルである。焼肉屋さんにとってタレとは命にも代え難い貴重な商品である。それを目の行き届かない所で販売するとは考えられないのである。ある地域で美味しいと評判になった焼肉屋さんが一件ある。そのお店は当店からタレだけを仕入れて、つけダレとして出していたのだ。もちろん正規の値段で買っていたので問題視していたわけじゃないが、その地域で評判になった事は嬉しくもあり、悔しくも思える。そもそも山田ホルモンの「焼肉のタレ」は、今は亡き女将の母(私の祖母)が韓国で美味しいと評判のタレを持ってきたのが始まりである。その味を女将が改良を加え、独特の味わいに仕上げたのである。もちろんミートミーツの『唐甘焼』シリーズはこの『焼肉のタレ』がベースである。お客様から『唐甘焼』のタレを販売しないんですかとよく問い合わせがくるが、これこそ我が家の秘伝の味なので、お売りするのは断っている。その代わり『唐甘焼』シリーズで味わって頂きたいと思っている。この「焼肉のタレ」のレシピは、実は山田ホルモンの女将以外は誰も知らない。私や山田ホルモンの社長ですら、教わる事ができないのだ。女将曰く、『タレの作り方は代々女将しか教えません。この味は若女将が受け継ぎますので、若旦那には教えません。』といった具合である。それが我家の、『家が潰れてもタレされあれば再興する』といった家訓の由来である。この味で30年間守った山田ホルモンを、これからの30年どう引き継いで行くのかが今後の私の課題である。
2004年12月22日
私はかねてから『塩然ホルモン』の改善を目論んでいる。ミートミーツには『唐甘ホルモン』が順調な売上げを続けている。『唐甘ホルモン』はオリジナルの甘辛い味で、どこにでもある味ではないと自負している。しかし『塩ホルモン』といえば、全国何処でもあるホルモンの定番である。もちろん楽天市場上にも『塩ホルモン』を売りにしている同業者もたくさんある。その中で確固として地位を築いてこそ、真のホルモン店ナンバーワンに成れるのではなかろうか。もちろん売れ筋商品をとことん売るのが、商売の常勝パターンである事を知らない筈はない。しかし新しいものに挑戦しなければ今後の発展は遂げられない。今の現状に満足するのでなく、常に改善し向上して行く事だけが激戦区で生き残って行く方法である。『塩然ホルモン』のホルモンは現在豚の小腸を使っている。もちろんこれで十分に美味しいと自負しているのだが、小腸は少し癖のある味である。好きな人は好んで食べるのだが、豚はちょっと、と言うお客様は多分にこの味を嫌う。癖のない豚のホルモンでいうと直腸がある。山田ホルモンでは『ソフトホルモン』として売っているのだが、人気は高い。ソフトと銘打っているが、柔らかいというよりも味がソフトである。もちろん当店の『焼肉のタレ』や塩たれにもよく味がのる。直腸に塩タレを試してみたところ、癖のないホルモン本来の味わいを堪能できた。小腸は小腸で旨い。しかしより多くのお客様に好んで食べて貰うためにはソフトな味わいの直腸で勝負するしかない。2種類を売り出せばいいのでは、と言う意見もあるが、2種類に分散されるよりも、一つに絞ったほうがお客様としては買い易いだろう。来年の年始には『新塩然ホルモン』(直腸)が販売されるであろう。
2004年12月20日
最近食肉にちなんだ耳障りなニュースが多い。前回のメルマガにも書いたが、12月から始まった『トレーサビリティー法』の腑弱性から始まり、豚肉業者の脱税事件、黒豚偽装問題等、まだBSE関係の一連の問題が解決される前に、難題は山積みである。まず『トレーサビリティー法』だが、10桁の個体識別番号を使い、インターネット検索で国産牛肉の生産地から店頭までの履歴をたどる事が可能となった訳だが、すでに北海道で生産者が牛に付ける耳標を偽装し、銘柄牛と偽った事件が起きている。IT(情報技術)は万全ではないと、ヤフーやジャパネットたかたなどの大手企業の情報流失問題で知ってはいるものの、こんなにも早く不正が起きるとは、この業界の体質的な問題もあるかもしれない。先のBSE牛肉の買取不正で明らかになりつつある、政府と食肉業者の癒着など、食肉関係の世界は闇の部分が数多い。しかしそれが全てではないため、多くの食肉業者が汗水たらしながら、信用回復に躍起になっている最中である。2001年の国内初のBSE感染牛肉が発覚したことで、牛肉の消費ががた落ちになった中、焼け太りした業者が脱税で最近捕まった。2002年の牛肉輸入量は前年比で30%落ち込んだのに対し、豚肉の輸入量は10%伸びた。この業者はアメリカの豚肉業者と日本国内の輸入業者の仲介をしていたのだが、受け取った仲介手数料を売上げから除外し、いったん海外の金融機関に預けた後、一部を国内の別の金融機関の社長名義に移し替えていたのである。そのお金は住宅ローンの返済などに充てていたという。またカナダ産や米産黒豚が鹿児島産として販売された問題などもある。今まで築いてきた鹿児島産黒豚のブランドを風評にさらすような事件である。農水省によるとこの会社は、1999年から2003年にかけて1732トンを、中間業者を介し鹿児島県内の業者によって『鹿児島産黒豚』として販売されたという。食肉をめぐる汚職や不正は後を絶たない。食肉の小売販売店である山田ホルモンセンターが、消費者の信用を得る小売店に成長する為にも、今後このような問題や事件の報告、また読者の意見なども聞きたい次第である。
2004年12月18日
昨日福岡県の県食肉衛生検査所で、BSEの疑いがある牛肉が見つかったと発表された。BSEの疑いがあるのは肉牛と乳牛の交雑種で大分県で生まれた後、熊本県で肥育され、15日に福岡県内で食肉処理された牛である。1次検査は陽性とでたが、今日2次検査で陰性だと発表され結局BSEではなかった。1次検査はスクリーニング検査といって感度がいい為、陽性と反応することがあるという。私は日記で何度もBSE問題に対して自分の見解を述べてきたのだが、これほどのレベルを要している検査を緩和する必要があるのであろうか。牛丼チェーンの吉野家は米国産牛肉の輸入再開問題に対する農水省など政府の姿勢に対して、「問題解決を先送りしようとしている」と、米国が有効性を主張している「色など肉質による牛の月齢判別方法」の採用を訴えた。吉野家は米産牛肉がないとやっていけない現状のため、輸入再開を訴えるのも無理はない。しかし日本で既に定着しているBSE検査を緩和してまで米産牛肉を輸入する必要があるのだろうか。政府もすでにアメリカとの交渉課題を、月齢判別方法としており、その部分での調整をはかっている。政府は「トレーサビリティー法」の施行を行ったことで、国内に二重規格を作っても、牛肉の履歴は消費者も追うことが出来るため、何か問題がおきても自己責任として扱うつもりだろうか。その「トレーサビリティー法」も、牛が生まれたときに付ける耳標自体を偽造する詐欺が起きており、万全とはいい難い。BSEの検査はあくまでも国内の検査であるため、今更緩和する必要はないと思う。私は輸入牛に全面的に反対としている訳ではない。日本の飲食業、とくに焼肉業界などを考えると輸入牛は必要不可欠である。しかしアメリカの圧力に負ける形の現在の方針では、国内の消費者の安全を確保できない。BSE感染の科学的根拠が明らかになり、感染ルートの把握、国内での絶滅が確認されるまで全頭検査は必要と思われる。
2004年12月17日
今日は知人の紹介でインターネットに詳しい方と会うので、ちょっと緊張している。その知人とは私よりも3才年下なのだが、数年前にちょっとしたきっかけで会ってから、ちょくちょく会う間柄である。今月は半月ほど中国に一人旅に行き、お土産として、私達若夫婦にそれぞれハンコを買ってきてくれた。(中国では新婚さんに豪華なハンコを贈るという。)その知人にインターネットに詳しい方がいないか、と尋ねたところ紹介してくれたのが、今日あった方なのだ。駅前で待ち合わせをしたのだが、時間にはうるさい性分なので20分前には駅前に着いて待っていた。程なく知人が来ると、9時きっかりにその方が現われた。少し恰幅のいい体格に温和な表情のその方は、「はじめまして。」とあいさつをするなり、「コーヒーでも飲みながら話しましょうか。」と駅から数分の喫茶店を案内してくれた。喫茶店に着くと名刺を交換しながら、私の抱えるインターネット通販についての悩みなどを聞いてくれた。その方は私よりも4,5歳程上だろうか、既に会社を何度も興し、畳んだ経験を持っている。本人は、「会社を潰した」という表現をしていたが、作り方と畳み方の一部始終を体で体験しているので、話には信憑性がある。その方は私の店の現状をある程度把握するなり、いくつかのアドバイスをくれた。例えば、商品の出荷が増えるにつれて、一緒に膨れていくのは宅配便のコストだと。現在一つの宅配業者に委託しているのだが、近くと遠くを分けてみてはどうだろう、といった具合の提案である。現在ミートミーツではヤマト運輸に商品配送を委託しているのだが、これが結構負担になっている。3000円以下は普通通りの料金を頂くのだが、3000円以上お買い上げのお客様には全国一律700円と定めている。ほとんどのお客様が3000円以上の商品を買うので赤がでる。もちろんその分の赤はミートミーツが負担しているのだ。ヤマト運輸との価格交渉で少し安くはなっているものの、塵も積もればなんとやらで、出荷すればするほどその額は大きくなるのだ。それを近場は地元に強い運送業者に委託して、遠くは全国地域に強い運送会社にうまく分担すれば、その分のコストを削減できるということである。もちろん複数の業者に委託するのはメリットだけじゃなく、デメリットの面も多々ある。例えばヤマト運輸の場合、月に出荷する数が多いほど価格交渉をすれば、配送料金が安くなったりする。複数に委託することでヤマト運輸の分が減れば、その分の価格が安くならない、等である。しかしこれはおもしろい発想で、他のお店では当たり前かもしれないが、検討してみる価値はありそうだと思った。その方はそれ他にもいろんな提案やアドバイスを私にくれた。「使える部分は私を使ってください。」とまで私に言ってくれた。別れ際にまた会いましょうというので、このような約束は曖昧になってしまうので、具体的な日時を指定して、来年の1月にまた会うことにした。最近人と会う事は滅多にないが、新しい出会いをすることで得るものは大きい。今日の出会いが時間の浪費ではなく、ひとつひとつ目標に向けてのプロセスになることを願う。
2004年12月15日
火曜日は山田ホルモンの定休日。先週はゆっくり家で休んだので今日は気晴らしに若女将とショッピングに行くことにした。車で1時間程走らないと、買い物らしい買い物が出来ないのが難儀だが、そうゆう山田は山田で住みよい。(若女将はこの田舎さに大変不便を感じてるようだが…)デパートでウィンドウショッピングをしたり、昼食をとったり、とそれなりの時間を過ごしたのだが、もともと目的があるショッピングではないし、節約生活をしているため、そろそろ帰ろうという雰囲気になった。車を走らせ交差点に差し掛かると若女将がいきなり、「左に曲がって!!」と叫んだ。帰宅方向は右なのだが、しぶしぶと左の路地に入ると、小さなショップの前で、「ここ!ここ!ここに来たかったんよ!」(おっ!少し九州弁である。)そのショップはいかにも女性が好きそうなレースのカーテンやら、エプロンやら、パジャマやら、子供服やら、アクセサリー入れやが置いてあるようだ。「車乗っとくから、行っておいで!」と私が言うと、「あなたもいくのっ!」と叱られた。しぶしぶ車を降りると、中年だが上品なお姉さんが出迎えてくれた。若女将は嬉しそうに、「これ!これ!これ見てよ!」と言うが、私はあまり興味がない。店のお姉さんは付かず離れず、心地よい距離を取りながら、若女将を接客している。必要以上にまとわり付かず、興味がありそうな物だけをうまく説明している。こんな街のはずれにぽつんとあるにしては、かなりの接客上手である。たまにデパートなんかに行くと、「いらっしゃいませ!」と必要以上に大きな声を出すので、その店に居づらくなる時がある。本屋なんかでは万引き防止策として、必要以上に挨拶をしてくる時があるので、おちおちと立ち読みも出来ないときがある。この店は10歩あるくと壁にぶつかる程の狭さだが、接客のお姉さんが自然に溶け込んでいて、不自然な雰囲気がないのだ。あまり興味がない私が店の中のソファーに腰を下ろすと、お姉さんはすかさず店の奥に消えた。店の奥で微かに「ガリガリ、ガリガリ」と音が聞こえる。もちろん若女将はそんな音は耳に入っちゃいない。恐らくコーヒーの豆を挽いているのだ。そのタイミングとは、若女将が商品に夢中になっていて、私が、「こりゃ長くなるぞ。やれやれ」と座った瞬間である。ほどなくして、「コーヒーでもどうぞ!」とテーブルにコーヒーを二つ並べてくれた。もちろん挽き立てのコーヒーなので心地よい香りが店に漂っている。若女将も満足そうに、接客を受けると、お姉さんと話始めた。こりゃまた長くなりそうである。コーヒーを飲み終えると、「ねえ、この店もう憶えたでしょ!もう一人で来れるね!」と若女将が私に何度も念を押す。もしかしたらクリスマスプレゼントでここの商品を買えと暗に薦めているのであろうか。まさかと思っていると、お姉さんが、「もう顔も憶えたので、一人でこっそり来られても大丈夫ですよね!」と更に念を押す。接客のうまさと言うか買わせ上手というか、結局今回は何も買わなかったのだが、若女将は期待してる様子。気付かないふりでは済まなそうだ…
2004年12月14日
私はテレビをほとんど見ることがない。惰性でテレビを見るよりも、意識的に本を読んだり、字を書くほうが好きである。しかし今日は特別である。久々に2時間ドラマに釘付けになった。いつの頃からか、もうかれころ5年ほど前である。「相田みつを」という名を本屋でちらほらと見るようになった。お世辞にも綺麗とは言い難いひらがなで、誰でもわかり易いシンプルな言葉を筆で書いている。面白そうだなと思い数冊買って読むと、いつの間にか自分に当てはまるような言葉を探していたのだ。テレビでは「負け犬」、「下向き」な言葉のような表現をしていたが、誰しもこころが荒れ、どんよりとした気持ちになる時がある。そんな時に、自分だけじゃないと、頷いてくれたり、やっぱりこれでいいんだと文字が肯定してくれてるみたいで、心がなごむのだ。数年前、若女将と『相田みつを展』を見に行った事がある。若女将のお気に入りは、 みかんには みかんの 味があり リンゴには リンゴの 美しさがあるひとそれぞれは違ったものであり、それぞれの良さがあるという意味だろう。自分は自分といった個人主義的な意味合いではなく、他者を認める事ができる寛大さを見習いたいということだ。『相田みつを展』を私があまりにも絶賛するもので、山田ホルモンの女将も数日後に行って来た。行って来た私にもプレゼントと称して、数枚のポストカードを買ってきてくれた。その中の一枚がお気に入りである。 道は じぶんで つくる 道は 自分で ひらく 人の つくったものは じぶんの 道には ならない何も言わなかったが女将なりのメッセージが込められていたかも知れない。2代目は初代が作ったものの上から始まる。初代が築き上げたものは所詮初代のものであり、私のものではない。私が新しいものを作り出す努力をしない限り、私のものにはならないのだ。このポストカードは私の仕事場の机に、いつも目のつく場所に貼ってある。私の道を駆り立てるもの、私の背中を押してくるのも一枚のこのポストカードかもしれない。そんな思いにふけりながら、久々の2時間ドラマに見入ったのである。
2004年12月11日
トイレの便器等で有名なTOTOが、「理想の飲食店トイレ像調査」の結果で、約5割の女性がトイレで携帯電話かメールチェックをしているという結果が出たという。20代から40代2072人の女性に「飲食店で何を望むか」を調査した結果、全体の96%が「男女別々のトイレ」を要望している。また「トイレの快適度がその後の再利用の意向に影響する」と答えた人が全体の76%をしめた。そういえば、この前若女将と食事に行った時、料理はいい、雰囲気もいい、でも二度とこの店には行かないとの理由に、トイレが汚いから、と答えた。男性である私でも、この店はちょっと思った位だから、女の方はもっといやなんだろう。アンケート調査では、手洗いとは別に8割以上が「化粧直し」をするといった回答や「歯磨き」、「携帯電話」や「メール」といった回答まであったという。また「手洗いとは別の化粧直し専用コーナー」や「明るい照明」への期待も高かった。男性から見ると、トイレは用を足すだけの場所だが、女性は化粧直しをしたり、歯を磨いたりするのだ。人前では出来ない携帯電話やメールは男性でも経験があるだろう。最近デパートに行くと、男性のトイレでさえ、赤ちゃんのオムツを替えるコーナーやベビーベットを置いたところさえある。一昔前なら女性のトイレしか置いてなかったのに、時代は変わったのだ。トイレは単に用を足す場所から、個人の自由スペースに進化しているのだ。特に飲食店でのトイレは、女性がどれだけ気に入ってくれるかが大事であろう。数ヶ月前、フランスに旅行に行った時困ったことが、トイレである。公衆トイレも無人の有料だし、綺麗とは言い難い。ルーブル美術館でさえ昔の銭湯の番台のようなところで、お金を払わないと入らせてくれない。カフェに入っても、個室は有料である。トイレで歯を磨くなんてもっての他である。そう考えると、こんなにトイレに気を使っている日本は世界中でも珍しい国である。
2004年12月10日
火曜日といえば山田ホルモンの定休日。いつもなら仕入れがあるはずだが、山田ホルモンの社長が行くので、久々の終日休日になった。何をしたのかと言えば、実は何もしなかった。朝もゆっくり起き、また昼寝をし、昼食でラーメンを食べてはゴロゴロとテレビを見るだけ。久々に不摂生な生活を試みたが、元来体を動かさないと駄目な性格のため、夕食くらいは外でしようと決めた。地元のスーパー銭湯で一日の垢を落とし(働いていないので、垢も出ないのだが・・・)、腹を空かせていざ焼鳥屋さんに向かった。焼鳥屋さんというか居酒屋さんといってもいいのだが、15,6年前からやってるお店である。外観は昔の一軒家を改造したような雰囲気。店内はもちろん木造で、オレンジの裸電球や間接照明を照らした落ち着いた感じである。平日というのに、忘年会シーズンの為、ほぼ満席である。大学生風情の忘年会や、多年齢層の会社関係の忘年会が行われ、雑然としていた。席に座るなり、「これ、これ、この雰囲気やね!」と若女将が嬉しそうに話し出した。やっぱり居酒屋は活気に満ちていた方がお客側も盛り上がるという。もちろんしゃれた個室があるわけではないので、側でそれなりに盛り上がってる宴会が、私達のテンションを上げてくれた。逆に言えばもっと落ち着いた席がよかったな、と思うかもしれないが、それならこの店を選ぶ必要はない。ウーロン茶とウーロン割を頼み、焼鳥数品とトマトサラダ、豚トロの網焼き等を食べた。どれも値段が安いが、納得のいく味である。宴会が多かったため、時々厨房の年配の方が料理を持って来てくれたのを見ると、厨房はしっかりとした料理人が作っているのだと見受けられる。時々接客のバイトに混じって、一番年配の方が料理を片付けていた。バイトの子を指導している所をみると多分オーナーであろう。オーナーが接客に出てる店はかなりこだわりを持っているのだ。厨房や事務所から出てこないオーナーは、バイトがお客にどう接客しているのかが見えない。料理は責任を持って任して、自分は接客に重点を置くことによって直にお客様とコミュニケーションを計っているのだ。お店に無造作に付けられた、料理名が書かれた張り紙も、品書きをみなくても、無意識に食べたくなり、注文ができるようにしているのだ。厨房からでは分かりにくいところも、接客に出ていればお客様からいろんなアイデアを貰うのであろう。(私達若夫婦も思わず豆乳アイスを注文してしまった。)全体的に料理に満足、雰囲気に満足、オーナーの働きっぷりに満足である。私もミートミーツを運営するにあたり、店長である私が出来るだけ全てを把握しようと心がけている。まだまだ小さなお店なので、人任せにする必要もない。注文を受けて、メールの返信をする。お客様のご希望通りの商品を作って発送する。最後にアフターメールと称してお客様とのコミュニケーションを計る。その全てをミートミーツのオーナーである私が把握しないと、うまく商品を作れないだろうし、ギクシャクとした接客になるだろう。良し悪しはあるだろうが、ミートミーツに関しては私が商品作りから接客まで全てを仕切り、把握する事によって見えない部分をなくす。それこそが健全な経営になるだろうと、焼鳥屋さんのオーナーを見ながら思った次第である。
2004年12月07日
今日は新居に友人を迎える日。若女将は朝からそわそわ、洗濯や部屋の掃除に余念がない。友人と言うのも私の高校からの親友で、よく一緒に飲みに行く『悪友』とも言える二人である。とはいうものの、私達の結婚式の前夜祭では幹事をしてくれたのも、この『悪友』であり、結婚式が終った後も焼肉をご馳走してくれて、博多の屋台に連れて行ってくれたのも、この二人である。その御礼というわけではないが、お世話になりっぱなしの二人に、何か持て成してやりたいという若女将の提案で、私の家で焼肉をすることになったのだ。家で焼肉をするといっても、山田ホルモンの若旦那である。単純に肉を焼くだけじゃ、勿体無い。この機会にいろんな物の味を見てもらう事にした。という訳で、今日の焼き物は全10品である。まず塩ものであるが、もちろんミートミーツ特製の『塩然』で味付けである。新商品の『塩然コリタン』にまだ検討中の『塩然ミノ』、『塩然ハチノス』に『塩然ホルモン』である。『塩然ホルモン』は本来、豚の小腸を使っているのだが、今回は直腸を使うことにした。小腸は少しクセのある味がするのだが、直腸の方が塩との愛称がいいように思えた。『塩然ホルモン』は少し改良の余地がありそうだ。友人の一人が博多の有名焼肉店に努めていたことがあるのだが、そのような一流の店ではタンの喉元の肉を皮を剥く際に、一緒に捨てると言うのだ。なんともったいない。「捨てるくらいなら山田ホルモンにくれよ!」と叫ぶ私を尻目に、コリタンをパクッと口に入れ、「これ、やっぱり旨いよ!」『塩然コリタン』は上々の人気である。次に『唐甘焼』を4品いただいた。『唐甘上カルビ』、『唐甘ハラミ』、『唐甘大腸』にこれまた検討中の『唐甘中落ちカルビ』である。今回の『唐甘上カルビ』はお客様に出すことのできない商品である。よく言えば『熟成』、悪く言えば『腐りかけ』の上カルビの塊の6面を多めに切り取り、本当に熟成された柔らかい部分だけを『唐甘焼』で味付けるのだ。もちろんお客様にはお出しできないが、一番美味しい時期のお肉である。一口食べるごとに、「やっぱりこれ、旨いや!」と連呼するくらい、口の中で溶けるような味わいである。それが『唐甘焼』のタレと一緒になり、なんともいえない至福感に包まれるのだ。検討中の『唐甘中落ちカルビ』は見てくれはあまりよくない。バラ肉の中でも、本当にアバラとアバラの間の肉で、脂が良くのり『唐甘焼』とよく合う。量が多くないのであまり作る事ができないが、商品開発が落ち着いた『唐甘焼』の中では最有力候補に持ち上がった。その他にも現在、壺漬けのお肉やホルモンを検討中である。漬ける事によって味がよく染み込む。でも今回は染み込みすぎて、ちょっと辛くなった為、まだまだ研究の余地がありそうだ。たらふくお肉やホルモンを食べた後はご飯に汁である。もちろん汁は豆腐が入った辛いチゲ。若女将は味に納得がいかないようで、何度も首をひねっては味を確かめる。最後にコチジャンを少し加え、「これ、これ、この味!!」と一人興奮していた。友人の一人が、「このチジミ美味しいね!」と言うと、他の友人が、「このナムルは店に出しても通じるよ!」と褒めるので、若女将は大満足である。その後はダラダラとお酒を飲みだすので、若女将は床に就き、男3人で飲み出した。私も友人を持て成す事が出来た喜びと、商品開発に新しい課題を見出しながら、あれでもない、これでもないと取り留めのない酒と話で夜が更けるのであった。
2004年12月04日
ミートミーツに新たに加わった私達の『こころ刺し』を紹介しよう。『こころ』とは牛の心臓。『刺し』とは串刺しの刺し。合わせて『こころ刺し』という事だ。ある日仕入れから帰ってきた山田ホルモンの社長が、心ぞうを使った商品を開発できないかと聞いてきた。牛の心臓は2~3kg程あるのだが、知名度も低くあまり売れるものではない。しかし食感としては、焼き鳥屋の砂ずりをやわらかくしたようなサクサクとした食感で旨みもある。心臓についている血管のヒダがプリプリとしてまた旨いのだ。ちょっとグロテスクな感はあるが、旨いものは旨いのだ。私は思いつきで、『こころ』がつく単語を連想した。新しく売る上で、ネーミングを変えようと思ったのだ。『したごごろ』、『こころづかい』、『まごころ』等、なかなかしっくりしたネーミングが見つからない。『こころがまえ』、『こころざし』。ムムッ『志』!?『こころ刺し』!?そうだ!!心ぞうに串を刺して、『こころ刺し』にしよう。『志』との語呂合わせも悪くない。そうと決まれば早速試食会である。まずそのままフライパンで焼いてみた。家庭でも手軽に食べることが出来るかチェックである。サクサク、プリプリしていてなかなか旨い。フライパンでの調理も簡単に出来るが火を良く通さなければならない。次にタレをつけて食べてみた。旨いがせっかくの素材の旨さが伝わってこない。次に塩をつけて食べてみた。「こりゃいけるぞ。そこらへんの焼き鳥屋さんよりも美味しいぞ!!」と山田ホルモンの社長は絶賛である。その場で商品化が決まり、今日から売り出すことにした。ページを作っている最中にさっそく一つ売れた。もちろん美味しいかどうかは2度、3度買っていただくかで決まるので、今は何とも言えない。思いつきで生まれた商品だが、私はなかなかのヒット商品に育つ可能性を秘めていると勝手に思っている。一度食べれば分かって頂けるだろう。炭焼きにするのもよし、フライパンで炙るもいいだろう。(フライパンの場合はよく火を通すこと。)そのときは少量の塩をかけるのを忘れずに。焼き鳥屋さんもうなずく美味しさである。
2004年12月03日
今日から国産牛肉お生産履歴の表示を義務付ける「牛トレーサビリティー制度」がスタートした。生産者や食肉業者では昨年の12月から義務化されており、これで生産者から消費者までの制度が整ったといえる。しかしこれはあくまでも、制度が整ったという事であり食肉に対する安全性や消費者に対するサービスが向上したとは言い難い。もちろん消費者が生産から消費に至るまでの過程を見れるという意味では画期的であるが、果たしてどこまで安全性を確保されるかが疑問視される。まず最初に精肉店や焼肉屋等、個体識別番号の表示が義務付けられているが、加工食品やハンバーグなどの加工物の場合、義務付けられていない。弁当屋や牛丼屋、サイコロステーキやハンバーグ等を使うレストランは複数の牛肉を使う為実質表示は不可能なのだ。また焼肉屋やスーパーに個体識別番号を表示したからといって、パソコンや携帯電話でしか識別できないといった不便性をどう克服するのかが問題である。数日前ある焼肉屋に行くと店の前にデカデカと個体識別番号を表示していたが、焼肉屋さんに来る客の立場からすれば、それはただの番号でしかない。また1頭分の番号を掲載していたものの、焼肉屋さんは通常複数の牛から個別の部位を仕入れるものだ。カルビやロース、ヒレや内臓系のホルモン類が全て1頭分の牛で切り盛りしている店はまれである。またホルモンには識別番号がない為、生産者を特定することは出来ない。仮にスーパーで買い物をする際、または焼肉屋さんでお肉を食べる際に、携帯電話で識別番号を検索したとしよう。しかし出てくるのは、出生からと畜までの年月日と場所くらいで、消費者が安全かどうか判断できる情報は含まれていない。できるとすれば腹を下した後に抗議やクレームをつける為の場所が特定されるだけである。しかし抗議するにしても、保存方法が悪かったと販売業者にクレームをつけるのか、いや飼料の配合が悪かったと生産者にクレームをつけるのか、私にはわからない。BSE問題から牛肉の信頼を回復しようと始まった「トレーサビリティー法」は生産者や卸業者に対してお互いが監視するといった意味では機能を発揮するが、現段階では消費者にとってあまり有効な手段ではないと思う。消費者が知りたいのは、いつ何処でと畜されたかではなく、本当に安全なのかなのだ。その為にも国内の全頭検査は継続するべきである。検査済みか否かを番号検索で調べなくてはならない煩わしさよりも、国内で消費される牛肉は何を食べても安全だと言わしめるのが大事ではなかろうか・・・
2004年12月01日
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