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経産婦さん同士が集まると、必ずと言っていいほど出る話題がある。 それは、陣痛、分娩痛について。 この約86パーセント(ユミティ調査)が、痛み自慢である。 よく言われる、「鼻からスイカが出るほど痛かった」とか、「下痢の100倍痛かった」とゆーやつです。 個人的に聞いて、「あ~、そうかもしれないな……」と納得したのは「陣痛は生理痛、分娩痛はうんこが出そうで出ない痛み」というやつだった。 このオリジナル表現を自分で自作できるようになるには、あと4ヶ月あまりの時間が必要。 つまり私の出産予定日である。 とかなんとか前置きしてみたけどね、本当は痛いのも苦しいのもいやなのよ。 ほら、よく言うじゃないですか。 苦労して、人間は深みと奥行きが出るから、苦労は買ってでもしておいた方がいい、とか。 でも私、これあんまり信じてないんだよね。 だってこういうこと言う人に限って(全部ではない)、傍若無人なことしたり、他人にずけずけ嫌み言ってばっかりいたり、結局あんた、説教という形を借りてストレス発散したいだけなんじゃないの?という人が多い。 かく言う私も、「私、ずっとエスカレーター式の私立校だったんで、受験勉強なんてしたことないんで~す」なんて言う人を見ると、「あんた、いっぺんあれは経験しておいた方がいいよ」と言いたくなる。 つまり、他人に自分の味わった苦しみをすべて経験させてやりたいという人間心理がそこに働いていると思うのである。 日本の医療界における自然出産崇拝もこれに近いものがあるのではないかと……。 つまり、「今までの妊婦さんは痛い思いして生んだんだから、あんたも苦労しろよ」という。 なぜかというと、欧米では無痛分娩がメインだってご存じでしたか? ほぼ大半の人が、麻酔をかけてほとんど痛みなしに子供を出産するらしい。 ずいぶん前からそれが主流なんだって。 でも、日本の病院はそれをやっているところが実に少ないのである。 私の住んでいる地域にも、産婦人科はかなりたくさんあるけれど、無痛分娩をやっている病院は一つしかない。 しかもそこは、先生の性格が悪いともっぱらの噂。 そこで今日、通い付け(ここで生むつもり)の産婦人科の先生に「そちらではなぜ無痛分娩はやってないんですか?」と訊ねてみました。 すると、「無痛分娩をすると、麻酔のせいで赤ちゃんが寝てしまい、産声を上げないから酸素を吸入せず、保育器に入れなきゃいけないから、自然の摂理に反している」という答えが返ってきた。「じゃあ、それによって障害が残ったり、病気になったりする可能性は?」と質問すると、「それはない」のだそうだ。だったら無痛分娩でいいじゃん。 欧米では主流な無痛分娩が、日本ではマイナーなのは、日本では分娩痛が病気ではないので、麻酔を使う必要はないとみなされているからだそうだ。 先生のこの発言を聞いて、私は、生理痛は病気ではないから体育を休んではいけない。という理論を思い出した。 私は生理痛がと~っても重いタイプで、毎月、生理が来るたびにもがき苦しんでいた。 そうしたら「生理痛って病気じゃないでしょ。大げさね」って言ってくる人いるんだよねー。 それ。「生理痛にバファリンを飲むのは邪道。体に悪い」のは事実かもしれないけど、痛みを我慢するのも体に悪いと思う。 分娩痛のせいで、痔になったり、腰痛持ちになったりする人も多いし。 痔と腰痛ってこりゃもう、病気じゃないの?私が出産で痔と腰痛になったらそういう人は治療費を出してくれるんだろうか?(いや、出さないだろう・反語的表現) それに無痛分娩だと子供に愛情がわかないなんて俗説があるけど、だったら欧米諸国のお母さんは子供を愛していないのか? 日本で児童虐待してるお母さんは、みんな無痛分娩なのか? これって、羊水検査をすると胎児がひねくれた性格になるって俗説と似たようなものだと思う。 今の産婦人科、先生や看護婦さんの雰囲気や病院の施設はとっても気に入ってるんだけどな~。 先生、どうかワタクシに特別無痛分娩をやっていただけないでしょうか? このタイトルは嘘ではありません。 一冊読めば、無痛分娩のことがよ~く分かります。無痛分娩マルわかりbook無痛分娩マルわかりbook 専門的知識が得たい時には、こちらの本がおすすめ。硬膜外無痛分娩【送料無料】 硬膜外無痛分娩
2006年01月31日
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朝目覚めたら、いきなり腰が痛くなっていた。 以前、ぎっくり腰を経験したことがあるので「まさかねっ?」と思ったけれど、何も思い当たる節はない。 思い切って起きあがってみたら、どうにか起きられた。ぎっくり腰だったらこうはいかないもんね。 そのまま腰をかがめながら、どうにか歩く。 電話で母に相談したところ、妊娠中期に入ってくるとお腹が重くなってよく腰痛になるそうな。「あなた、同じ姿勢をずっとしてたんじゃないの?」と言われるけど、それを言うなら土日合わせて10時間は余裕にゲームをしていたダンナの方がよっぽどだと思う。 だいたい妊娠してから、運動なんて大してしてないもんねーって、自慢になることじゃないけど。 とにかくこのままじゃ掃除もできないので、対策を考える。 そこで以前買ったガードル付き妊婦用パンツを引っ張り出してくる。 買ってから1ヶ月ほど、ずっとタンスのこやしにしていたのである。 なぜ履かなかったかというと、これめんどくさいんですよ。 ウェストのところにマジックテープがついてて、それで帯状になってるガードルを固定するわけ。 そのガードルがおしりのところで一つにまとまるようになってるから調節しにくいんだよね。 言ってみれば、後ろでひとくくりにするリボンがパンツについてるみたいなもんです。 それをトイレに行くたびにやらなきゃいけないから、うっとおしいのだ。 そしてこのパンツを履いたところ、腰の痛みが無くなった! とは言わないけど、マシになった。 ようやくすたすた歩けるようになる。 どうして妊婦用グッズにガードルやら、腰痛防止ベルトやらがあんなにたくさんあるか分かった次第でございます。 一応、毎日1時間くらいマタニティビクスしてるし、ストレッチもしてるんだけどなあ。 やっぱり運動不足なんでしょうか。 でも外は寒くて歩く気がしない……。 ふだん、腰が痛くない時はこのパンツを愛用しています。 とってもあたたかくて履き心地がいいです。テレコ五分丈マタニティパンツ このマタニティガードルはマジックテープもついてないし、とっても履き心地が良さそうです。トリンプマタニティガードルショート (ベージュ/L) この腹帯形式なら、トイレに行くとき楽です。 蒸れないしね。☆【ワコール】 腹帯
2006年01月30日
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早や私も妊娠19週目に入りました。 羊水検査も異常なし(あくまで中間報告だからもしかして最終報告でひっくり返るかもしれないけどさ)で、食欲旺盛、お腹も巨大化ということになるといよいよ自分が子持ちとなることが現実化してくるわけですねえ。 10代のころの自分に会って、この話を聞かせたらひっくり返ると思う。 だってあのころ、自分が妊娠どころか結婚するだなんて思ってなかったんだも~ん。 当時、私が思い描いていた未来の自分とは、OLでもやりながら小説を書き、コミケ会場で同人誌出版、帰りに女友達と趣味トーク炸裂するのが楽しみ……という生活でした。 同じ小説を書くにしてもベストセラー作家になる、なんて夢見ていないところが10代ながらも身の程をわきまえていて泣けます(笑)。 当然そこには夫の影は、いや男の影はなし。 だって自分は恋愛なんてするタイプじゃないと思っていたし、母親なんてやる柄じゃないと思ってたんだもん。 母も私と同じようなことを考えていたらしく、私の結婚が決まった時は「ユミちゃんが結婚するなんて思わなかったわ……」とつぶやいていたっけ。 それがいざ自分がママンになるのが現実化してくると、10代のころ思い描いていた未来への幻想がなつかしくなってくるザマス。 20代になると、もうちょっと広い意味で現実が見えてきて、「同人誌ばっかりやってる人生ってのもな~」「男っけがないのも寂しいかも……」なんて思い始めたけど(彼氏がいない時は特に)、今みたいにある程度女としての未来が見え始めてくるとそれはそれで魅力的な生活だったような気もする。 だってさ、結婚してみるとやっぱりそれなりに束縛される部分は出てくるわけですよ。 私が受けてる束縛なんて、ミルキーみたいに甘いもんだろうけどね。 これで子供が生まれてくると、その束縛が10倍くらいになるわけでしょ? 時間もお金も好きに使えませんわな。 それに比べて、独身で好きな小説書いて、趣味友達とコミケ会場で売ってるってむちゃくちゃ楽しいんでないかい?と思ったりもするわけ。 たしかに子持ちでコミケ参加されておられる方もいらっしゃいます。 でもやっぱり不自由そうなんだよね。 以前、3歳くらいの子を膝の上に抱いて、遠慮がちにスペースに縮こまっていたお母さんがいました。 若造だった当時は「あんなにしんどそうなら、コミケに子供なんて連れてこなきゃいいのに」と思っていたけれど、今考えると、そのお母さん、きっと趣味友達も周りにあんまりいなくて、はじけたトークもできなくて、せめてもの育児ストレス解消にコミケ会場に来てたんだろうなあ……。 預ける人もいないだろうしね。 そういう子供とともにいなくてはならない生活に自分も足を踏み入れなきゃいけないわけですよ。 妊娠する前からある程度は覚悟してたんだけど、やっぱりここまでお腹が大きくなって現実化してくると、びびってしまう部分はあります。 なぜこんなにコミケ会場にこだわるかというと、学生時代の友人が同人誌出して、コミケで売って、独身で……っていう生活をしてるんです。 コミケで何部売れた、とか、友達とコミケ参加がてらに旅行に行く、なんて話を聞くと正直うらやましかったりする。 私なんて今、車に長時間乗っただけで気分悪くなるし、人混みに出るとすぐ風邪ひいちゃうもん。 コミケなんて無理です。 これからもきっともっと無理になるだろうから、自分と彼女の住んでる世界が違うってひしひしと感じるんです。 つまりコミケに行きたいうんぬんじゃなくて、妊娠しなくて子供のいない人生ってやつにちょっとうらやましさを感じてるんだろうと思う。 一つ得れば一つ失うのが人生だから、それが当然って言えば当然なんだけどね。 でも人間の人生って本当に様々だと思う。 学生時代はその子も私も同じ制服着て、同じ学校に通ってたのにここまで来るともう別世界の人のようだよ。 向こうは私のことどう思ってるのかなあ……。 最近、読んでる漫画がこれです。 作者の生き方は? という部分はありますが、「子育ては楽しくやれる」というモットーは読んでいて励まされます。マタニティブルーなママ、プレママにおすすめ。私たちは繁殖している私たちは繁殖している
2006年01月29日
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吉原が憤慨気味に言葉を続ける。「凛太郎くん、君は鬼から我々人類を守る巫子ではなかったのかね? だからこそ私も、弓削家も君を支援するつもりだったのだ。それが君が鈴薙を目覚めさせたとは……」「そうだ、説明しろ!」「君は我々をだましていたのかっ?」 吉原に煽動されたように、会議室にいた政治家や官僚たちが口々に叫んだ。信行が意地の悪い目つきで、凛太郎を見つめている。凛太郎がこの事態をどうやって乗り切るのか面白がっているまなざしだった。 明がこらえきれなくなった様子で、立ち上がって口をはさんだ。「お前らずいぶん勝手じゃねェか! 今まで凛太郎のことを救世主だなんだと勝手にあがめてたくせに、鈴薙がちょっと言っただけで手のひら返すのかよ!」 今にも吉原たちに殴りかかりそうな勢いの明の袖を掴んで、凛太郎は制した。「いいんだ、明。この人たちの気持ちはもっともなんだから……」「だがよ、凛太郎」 つづく
2006年01月27日
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弓削家会議室は、こわばった空気につつまれていた。 会議室には、弓削家の主要メンバーが勢揃いしていた。秀信や祥を始め、環喜に晴信。そして信行が意地の悪い視線を凛太郎に向けている。部屋の中央にあるモニターには、東京タワー前の凛太郎と鈴薙の映像が映し出されていた。つい今し方まで、鈴薙が凛太郎に愛の言葉をささやく瞬間が上映されていた。そして、鈴薙が「自分の封印を解いたのは凛太郎だ」と語った場面までも。 白い髭を震わせて語ったのは、政治家・吉原憲実だった。「これはいったいどういうことだね? 年寄りの私にはついていけない事態なのだが」 吉原の口調は、この前の会議と同じくくだけていたが、その表情はすっかりこわばっていた。それはこの会議室にいる者全員が同じだった。 鈴薙から世界を護ると思われていた巫子・凛太郎が、鈴薙の封印を解いてしまったという事実をVTRから皆知ってしまったのだ。鈴薙がその事実を語る映像は、報道カメラが捕らえていた。政治家たちの特殊網を使って、公共電波で放送される危機は逃れたものの、弓削家と有力政治家たちはこの事実を知るところとなってしまった。 だから今、こうして凛太郎を囲んで真偽を沙汰する会議が開かれているのである。 だが、それは凛太郎にとって、異端審問会そのものだった。それまで自分を尊敬と信頼のまなざしで見ていた陰陽師たちですら、凛太郎に冷たい視線を呉れている。政治家や官僚などは魔女を見るような目つきで凛太郎をねめつけていた。環喜と晴信は明らかに困惑顔だ。 秀信だけがいつものように冷静だった。凛太郎には目もくれずに、首都の鈴薙襲来における被害の資料に目を通している。 現在、凛太郎の味方といえば傍らにいる明のみだった。 つづく
2006年01月24日
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鈴薙の双眸が見開かれる。凛太郎は驚いて、明に尋ねた。「明、龍を呼び出せる力はなかったんじゃ?」「へっ、鈴薙のヤローを油断させるためにバックれちまったってわけよ。俺もあの霊泉に浸かったんだぜ? さすがに鈴薙みてェに勾玉憑きなんてもんの世話にはなってなかったけど、お前の気はたっぷり吸わせてもらったからな。嘘ついて悪かったな、凛太郎ちゃん。許しとくれよ!」 そう言うと、明は凛太郎の頬にキスした。凛太郎が照れて怒る間もなく、明は水龍に指令を出す。「水龍! 鈴薙の家来をチョチョッとやっちまってくれよ!」 明の指令に従って、水龍は大きく彷徨した。透明な龍が、火の色をした龍に向かってほえかかる様は、まさしく神話の世界だった。その美しさに凛太郎は目をみはる。「ほう……さすがは鬼神さまだな」 秀信が眼鏡のブリッジに手をあてて、つぶやいた。祥がうなずく。「何を!」 鈴薙は身構えたが、すでに遅かった。水龍は火龍に噛みついた。途端に、火龍の体から水蒸気のような煙がわき出る。火龍は悲鳴のようなうなり声を上げた。 実験を見守る科学者のように、祥が爛々と目を輝かせる。「火を操る火龍に、水龍をぶつけるとは……良策ですね、明さま」 お手並み拝見とばかりに、秀信は二匹の龍が戦う様を見つめている。 ただ剣を握りしめて、凛太郎は龍たちの戦いを見つめていた。今のところ、水龍――いや、明が大いに好戦していた。このままだと、明が鈴薙に勝利することになるだろう。そうすればすべての問題が解決するはずなのに、なぜだか胸が痛い。鈴薙が、心配でたまらない。(どうして僕、いつもこんなことを考えて……) 凛太郎が声に出さずにつぶやいた時だった。明が叫んだ。「凛太郎! 今のうちに鈴薙をその剣で殺るんだ!」「えっ?」「何ボヤボヤしてるんだよ、ほら!」 ようやく我に返った凛太郎に苛立ったように、明は凛太郎の背中を押した。足下のバランスが崩れて、凛太郎は鈴薙に押し出される格好になる。すでに剣は鞘から抜いていた。 鈴薙との距離は十メートルほどだった。 鈴薙は明の操る水龍と戦うのに必死で、こちらのことなど気づいていなかった。だが、凛太郎の足音に気づいて、凛太郎を見つめる。その瞳が、凛太郎の手にしていた剣に注がれた。鈴薙は驚愕し、一瞬おびえたように目をすがめる。すぐにその色は消えて、鈴薙はまばたきした。ふたたび開かれた鈴薙は、微笑みを浮かべていた。鈴薙は攻撃の手を止めて、凛太郎に両手を広げた。『刺したいのなら、俺を刺せ。我が妹よ』 鈴薙はそう語っているような気がした瞬間。 凛太郎の手から、剣は落ちていた。乾いた音を立てて、剣はアスファルトに転がる。 鈴薙に向かって走り込んでいた凛太郎は、そのまま崩れ落ちるように鈴薙の胸に抱かれる格好になっていた。 裏切られたように、明がつぶやく。「凛太郎……」「凛太郎さま……」 驚く祥の傍らで、秀信だけがじっと二人が抱き合う様を見つめていた。(僕、僕、いったい、何を……) 狼狽しながら、凛太郎は鈴薙に抱きしめられる。鈴薙の胸はたくましく、その両腕はすべての苦しみから守るように凛太郎を包んでいた。あの夜と同じぬくもりに、凛太郎は我知らず打ち震える。ふと顎先を優しく掴まれて、顔を上向きにされる。「我が妹よ……」 金色の瞳に幾億ものいとおしさをこめて、鈴薙は凛太郎を見つめた。揺れる瞳で、凛太郎はそれを見つめ返す。「その剣を今のように鞘から抜き、あの夜、俺を千年の眠りから覚ましてくれたのだったな。そして我らはあの夜、結ばれ、お前は俺の子を宿したのだったな――俺はお前を愛している。そして、お前も俺を愛している。それはまごうことなき真実だ」 背後で、祥が息をのむ音が聞こえた。「凛太郎さま――鈴薙さまを目覚めさせたとは、いったい……」 鈴薙に抱きすくめられたまま、凛太郎はあわてて振り返る。 祥が驚愕して、凛太郎を見つめていた。秀信はいつものように冷静だった。そして明は、深く傷ついた様子を隠しきれずに、抱き合う凛太郎たちを見やっている。「ち、違うっ」 鈴薙に向き直って、凛太郎は必死に訴える。「僕はあなたを愛してなんかいない!」「それは偽りだ」 駄々をこねる子供をいさめるように、鈴薙は微笑む。「ならばなぜ、先ほども俺を刺せなかった? そして千年前、俺を殺さずにあの剣に封印したのだ? 答えはひとつ――前世の昔から、お前は俺を愛しているのだ」「嘘だ……嘘だ……」 力無く凛太郎は訴える。鈴薙の手が、優しく髪を撫でた。その感触に思わず身を震わせた隙に、鈴薙の美しい顔が近づいてくる。その唇を凛太郎が受け容れそうになったその時。「許さねェ、鈴薙! ぶっ殺すっ!」 血を吐くような明の叫びとともに、水龍が火龍に噛みついた。同時に、明が鈴薙に飛びかかってくる。「凛太郎を離せ、鈴薙!」 憤怒の形相をした明を、鈴薙はせせら笑った。「醜いな。我らの恋路を邪魔するとは……」「うるせェ! 凛太郎はお前になんか惚れてないんだよ!」 明をかわそうとして、鈴薙の手が一瞬ゆるめられた。その隙に、祥も鈴薙に攻撃を仕掛け、凛太郎を何者かが横抱きにして鈴薙から引き離す。秀信だった。「先生……」「怪我はないか、凛太郎?」「は、はい……」 自分を見つめる秀信の冷静さに、ようやく凛太郎は現実に引き戻されたような気がした。 秀信がゆっくりと凛太郎を地面に下ろす。凛太郎をかばうようにして、秀信は立った。秀信の肩越しに、凛太郎は戦う明と鈴薙を見る。すでに火龍と水龍は消えて、二人の鬼だけの戦いとなっていた。 凛太郎のまなざしに気づいて、鈴薙が微笑む。凛太郎の胸は高鳴った。 高く跳躍しながら、赤い髪をした鬼は高らかに宣言する。「また会おう、我が妹よ! 次はお前を必ず俺のものにする!」 そうしてそのまま、鈴薙の姿は空にかき消えた。「畜生! 凛太郎は絶対にお前になんか渡さねェからなッ!」 虚空に向かって明が叫ぶ。 明が振り返った。その瞳は、痛ましい色を浮かべていた。すがるように明は凛太郎に歩み寄る。「なあ、凛太郎ちゃん。お前、べつに鈴薙になんか惚れてねェよな? さっき剣を落としたのは、偶然だよな?」「うっ……」 うつむく凛太郎の肩を明が掴んで揺さぶる。「どうしてだよっ? どうして即答してくれねェんだよっ? お前、もしかしてあいつに……」「明さま、乱暴なマネはおやめください!」「す、すまねェ……」 祥に諭されて、明はしぶしぶ凛太郎から手を離す。その傷ついた表情を凛太郎は直視することができなかった。 二人の様子をじっと窺っていた秀信が、ふと視線を上空に向けた。祥が訊ねる。「弓削家の追加ヘリですね、秀信さま?」「ああ。おおかた信行おじが乗っているんだろう」 ふと思い当たったように、秀信はつぶやいた。「もしかして鈴薙殿の言葉を、信行おじたちは聞いていたかもしれないな。それくらいのシステムは持っているだろう」「ということは……凛太郎さまが鈴薙さまを目覚めさせたという話を聞いておられたと?」 祥が青ざめて訊ねる。凛太郎の背筋が凍った。その肩を明が抱く。「大丈夫だ。俺が絶対お前を守ってやるからよ」 明の言葉が、ただ今の凛太郎には痛かった。 つづく
2006年01月22日
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その昆虫の輝きは、星のまたたきのようだった。「綺麗……」「駄目だよ、触っちゃ。地球外生物なんだから、どんな害毒を持っているとも限らない」 翼はそう言いながら、昆虫に触れようとする美里の手を押しとどめた。美里の手のぬくもりを感じた途端、あわてて手を離す。(まったくなんてことだ。中学生のガキじゃあるまいし。俺はもう二十六歳の大人なんだぞ) 翼は自嘲する。この宇宙科学研究所で、翼と美里は四年間ともに働き続けていた。女性らしい気遣いを見せながらも、仕事をてきぱきとこなす美里に翼が惹かれて、ずいぶん長い時間が経つ。それなのに翼は、美里を食事に誘うことすらできなかった。うっかり自分の思いを告白して、仲の良い同僚ですら居続けられなくなることが怖いのだ。(もしこの世にテレパシーなんぞがあったら、とっくに俺は彼女に気持ちを伝えられているのになあ)「ごめんなさい、私がうかつだったわ」 そう素直に反省する美里の端正な横顔を見つめながら、翼は胸の内でごちた。 二人はガラスケースの前にいた。中には二匹の昆虫が入っている。片一方の方がやや大きいが、ともに美しい瑠璃色をした昆虫だった。一見、蝶に似ているが、止まっている間も羽根が開いているので地球上の生物で言えば蛾に近いだろう。この昆虫を翼たちは仮にラピスと呼んでいる。瑠璃を英訳したラピス・ラズリを縮めた名称だ。 数週間前、A惑星で発見されたラピスは宇宙飛行士によってこの地球へ届けられた。A惑星は高い文明を持った生物が生息していた痕跡のある星だった。何らかの原因で、A惑星の文明は滅びてしまったようだが、このラピスを発見できただけでも今回の探索は大きな収穫だった。 しかもこの二匹は雄と雌だった。つまり繁殖するかもしれないのだ。この美しい生物がどんなふうに命をつなげていくか、翼と美里は大いに注目していた。 実際、先ほど二匹のラピスは交尾を終えたところだった。好意を持つ女性と昆虫の生殖行為を観察するのは、なかなか刺激的な経験だった。「この二匹は、どんな幼虫を産むのかしらね。楽しみだわ」 少女のように顔を輝かせる美里を、翼はラピスに負けないほど美しいと思った。 数日後、両親の命と引き替えるようにして生まれたラピスの幼虫たちは、お世辞にも美しいと言えなかった。 両親とは打って変わった地味な灰色で、芋虫そっくりだった。地球上に食べられるエサはあるのかという懸念はあっけなく終わった。ラピスは光合成するのである。ラピスが動く植物であるという事実は、翼たちを驚嘆させた。 数ヶ月後、幼虫は小さな口から糸を吐き出し始めた。「まるでカイコみたいね」 美里は糸の美しさに目を見張りながら、つぶやいた。 その糸は、成虫の羽根と同じ瑠璃色だったのだ。やがて幼虫はその糸で繭を作り、中にこもった。 二人は繭を研究するために、ガラスケースから出した。それを掴んだ途端、不思議な音楽が辺りに流れた。「な、何だ……誰かCDでもつけてるのか?」「違うわ……この繭が音楽を奏でてるのよ!」 繭に耳を近づけて、美里が叫ぶ。 翼も同じようにした。本当だった。二人がそれぞれ手にした繭から、音楽が流れているのだ。ピアノの音色よりも澄んでいて、バイオリンのそれより優しい、聴く人の心を和ませずにはいられない音楽だった。「ねえ……」 頬を染めながら、美里が翼をじっと見つめる。「翼さん、私のことをどう想ってるの?」「どうって……君と同じようにだよ」 かすれた声で翼が答える。 いつしか、二人はどちらからともなく抱き合っていた。ガラスケースに戻された瑠璃色の繭だけが、それを見守っていた。 研究の結果、ラピスの吐く糸は人の体温に反応し、その人物の脳波を音楽にするということが判明した。 つまり、翼と美里の互いに秘めた好意が脳波に現れて、それをラピスの糸が音楽にしたのである。その優しい旋律は、恋心を彷彿とさせるものだった。それに美里と翼は気づいたのだ。ラピスの音楽が二人を結びつけたのだった。「これは人類にとって、画期的な発明かもしれない」 宇宙科学研究所・長官は高らかに宣言した。「このラピスの糸のおかげで、人類は愚かな争いから解放されるかもしれんのだ。お互いの考えていることが音楽で表現されるのだからな」 幸い、ラピスは繁殖力も旺盛だった。続々と幼虫が生まれ、彼らの吐く糸は試験的に衣服の原材料として使用されることになった。それは美しい瑠璃色の布地となり、試着することになった研究所の職員たちを喜ばせた。 その服を試着したものは、他者といさかいをすることがなくなった。服を着た人間の感情が音楽となって流れるのである。喜び、怒り、悲しみを忠実にその音楽は表現した。それを聴いているだけで、相手の気持ちを全員が共有して、共感できるのである。 一種のテレパシーがここに成立したのだ。「人類は分かり合えるかもしれないわね」「そうだよ、僕と君のように」 恋人同士になった翼と美里はうっとりと見つめ合った。美里は瑠璃色の服を着ている。ラピスの糸で作られた服だ。美里の周囲には、美しい音楽が奏でられている。もちろんそれが表現するのは「愛情」だ。「あなたも早くこの服を着ればいいのに」「僕もそう言いたいところだけれど、なかなかオーダーが間に合わなくてね。何だったら君の服をここで脱いで僕に着せてくれるかい?」「もうっ、いやらしいわね!」 美里はわざとふくれっつらをして翼をにらんだ。翼は美里に唇を近づける。 幸せな時間はいつまでも続くと思われた。 だが、急に美里が倒れた。「うっ……」「どうしたんだ、美里!」 あわてて翼は、美里を抱き起こした。いつも生き生きとした光を放っている美里の瞳は、どろりと濁っていた。「美里っ?」 翼は叫びながら、美里を揺さぶった。 精密検査の結果、美里の脳細胞はかなりの数が破壊されていることが分かった。 それはラピスの服を着続けた他の研究所職員と同じ症状だった。 ラピスの糸は、人の脳細胞を美しい音楽にする。だが、それは同時に脳細胞を破壊する行為でもあったのだ。 もしかしてA惑星の文明が滅びたのは、ラピスの糸で作られた服を皆が着続けた結果ではないのか……。「美里」 うつろな視線を天井に向けて、ベッドに横たわる美里の手を握りしめながら翼はささやく。「もし君の意識が戻ったら、僕はちゃんと言葉にして告げるよ。君を愛してる、ってね」 美里が薄く微笑んだような気が、した。 END
2006年01月21日
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スミス夫妻は熱烈な恋愛結婚の末、結ばれた夫婦。 けれど最近、めっきり倦怠期だった。 そんな夫婦にある日、ハプニングが起こって……。 このハプニングというのが、通常は夫か妻に気になる異性が現れて、とか、二人にいきなり経済的危機が……なんてところなんでしょうが、そこをひねってアクション映画にしたのがこの作品です。 まあ、予告編で思いっきりネタバレしていますが。 ブラッド・ピットとアンジェリーナ・ジョリーでアクション映画を作るという企画があって、ネタ出ししてできた映画かな、と思います。 何も考えずにぼけ~っと楽しめる映画。 この映画でブラピとアンジェリーナができちゃったんだと思うと、感慨深いシーンもあります。 また風邪ひきました。 喉が痛い……。
2006年01月19日
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また喉風邪ひきました……。 喉がひりひりしていたいです。 薬を飲むのもいいけど、私が愛用しているのがこのプロポリスのど飴です。 アナウンサーさんや声優さんも愛用しているほど効き目があるそうです。 たしかになめると喉がすーっとして呼吸が楽になりますよ。 値段もおやすいのでおためしあれ。プロポリスのど飴
2006年01月18日
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このゲーム、PS2なんですけど妙にPCゲームっぽいんですよ。 まず塗りがパソゲーっぽい。 BLゲームがお好きな方はアイン作品を思い出していただければいいと思うのですが、妙にこってりした塗り方。 さらにそれを上回るのがラブ度の高さ。 これでHシーンさえあれば、まさに18……(以下自主規制)。 それくらいアマアマなゲームです。 あの真田がブン太と私の仲に嫉妬してくれる! リョーマが私に頬を染めている! 跡部といっしょに下校できる! もう乙女の妄想としかいえないシーンが次々に現実になります。 赤也エンディングがラブラブで私は気に入っております。テニスの王子様 学園祭の王子様
2006年01月15日
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弓削家所有のヘリコプターは、東京上空を目指して飛んでいた。 ヘリコプターの搭乗席に座りながら、凛太郎は出発時のことを思い出していた。『凛太郎さま、がんばって!』『あんじょう気張りや。あんたが危ななったら、うちが助けたるからな!』 そう言う環喜は、気楽な口調とはうらはらに実に心配そうな表情をしていた。無理もない、と凛太郎は思う。前世は凛姫だったとはいえ、巫子としての経験はほとんどない凛太郎を鈴薙討伐に向かわせるのはさぞかし不安だっただろう。それは晴信とて同じだったらしく、凛太郎を励ましつつも幼いながらに気遣うような表情をしていた。二人が鈴薙討伐に向かえなかったのは、ひとえにその体力のなさからだった。環喜は高齢によるもの、晴信は生まれながらの病弱さによるもの、である。(晴信くんと環喜さんの期待を裏切らないようにがんばらなくちゃ……!) 膝の上で強く凛太郎は拳を握りしめる。そんな凛太郎を傍らに座った明は気遣うように見守っていた。「それでは凛太郎、作戦内容をもう一度確認するぞ」 祥とともに、前席に乗っていた秀信が振り返った。はい、と凛太郎は緊張してうなずく。 祥が説明を始める。「まず陸上自衛隊が龍を攻撃します。それに加えて、すでに現地到着している弓削家陰陽師たちが呪符を込めた矢を龍に打ち込みます。これで鈴薙殿は少しは攻撃にひるむはずです。その隙に、ヘリコプターから凛太郎さまが降りられて、鈴薙殿を攻撃するのです」「攻撃?」「ああ」 秀信はうなずいた。「お前が今手にしている剣で、鈴薙殿を刺すのだ」「僕が鈴薙を、刺す……」 なぜだか背筋が冷たくなった。この手で、あの炎のような鬼を殺す。それは自分の望みだったはずなのに、ひどく酷いことのような気がしてたまらない。 秀信がけげんそうに眉を寄せる。「どうした? 顔色が悪いぞ。これから出陣だというのに、どこか体の調子でも悪いのか?」「何だったらこいつらの言いなりになんかならずに、ここで帰ったっていいんだぜ」 口をはさむ明に、祥が困惑する。「そんな……今や弓削家だけでなく、日本の命運が凛太郎さまの肩に担われているのですよ」「心配しないでください、祥さん。僕、きっとやりとげてみせますから」 凛太郎は頬の筋肉を上につり上げるように意識した。そうすれば、笑顔が作れるはずだ。 その甲斐あってか、祥がホッとした表情をする。じっと秀信は凛太郎をうかがってから、言葉を続けた。「剣の使い方は、晴信とともに私が指導したな。覚えているだろう?」「はい、先生」「よし」 凛太郎を認めるように、秀信は深くうなずいた。「それならば、後は実践あるのみだ。まずは自衛隊の攻撃を待って……」「秀信さま! 非常事態です!」 搭乗していた弓削家の陰陽師が、狼狽した様子で告げてきた。「何だ?」「自衛隊が、自衛隊が同士討ちを始めました!」 青ざめて陰陽師は報告する。彼の背後にあるモニターには、壮絶な銃撃戦が繰り広げられていた。それらはすべて味方同士であるはずの自衛隊員たちによるものだった。アナウンサーが震える声で実況を続けている。こんなことが起きる理由がまるで分からない、と語っていた。 画面が切り替わった。戦う人間たちを嘲笑うように、龍にのった鈴薙が金色の瞳を光らせていた。 つづく
2006年01月14日
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テレビ画面の中に繰り広げられている映像は、さながらよくできたSFXを使用した映画のようだった。 凛太郎と明、そして弓削家の陰陽師たちは弓削家の巨大モニターで固唾を飲みながらその放送を見つめていた。 だが、それが作り物などではないことを凛太郎は熟知していた。なぜならそこに映っていたのは鈴薙だったからである。 巨大なは虫類に似た生き物――それは伝説上の龍にそっくりだった――の肩の上に乗って下界を睥睨している鈴薙だった。東京タワーを背にしている。龍の大きさは、タワーに匹敵するほどあった。ごお、と軽く咆哮しただけで地面が揺らぐほどの迫力が画面から伝わってきた。鈴薙の周囲には、武装した自衛隊員たちが取り囲んでいる。最新兵器で武装した彼らがおもちゃの兵隊に見えるほど、鈴薙と龍の迫力は周囲を圧倒していた。 周囲には戒厳令がすでに引かれているのだろう。自衛隊員以外の人影は見あたらない。 ヘリコプターに乗っているらしいアナウンサーの興奮した声が入った。『あの角の生えた青年と未確認生物は、突如としてこの首都・東京に現れました。何の足跡も残さず、まさしく中空から現れたのです!』「あいつ、穏形の術を使いやがったな」 明が苦々しくつぶやく。 すべての報道は鈴薙出現のニュースで持ち切りだった。今や鈴薙出現は世界的大ニュースとなっていた。政治的権力者たちによる報道規制も、あまりに突然なことだったため対応できなかったらしい。 世界が瞬時にして、鬼と龍というふたつの空想とされていた生物の実在を認めざるを得なくなったのだ。 陰陽師の一人が訊ねる。「でも、あの巨大な龍をどうやって……」「たぶん地龍を召還したんだろうよ」「チリュウ?」 聞き覚えのない言葉を凛太郎はおうむ返した。ああ、と明がうなずく。「大地にはところどころ気が集まる地点っていうもんがあるんだ。人間で言えば、ツボ――経絡ってやつだよ。そこをうまいこと押して、エネルギーを注入してやればあの地龍――大地の化身が現れる」「同じ鬼神であられる明殿もそのようなことが可能なのでしょうか?」 陰陽師に訊ねられて、明は肩をすくめた。「そりゃあ、昔はできたさ。俺が眠りにつくまではな。けどよ、今は……」「も、申し訳ございません……失礼なことをお訊きしました」 恐縮する陰陽師に、明は首を振る。「いいってことよ。事実なんだからよ。けど、鈴薙も封印されて眠ってたはず……」「それって、やっぱり霊泉と勾玉に関係あるのかな?」 ふと思い当たって凛太郎が口を開く。「だろうな」 明はうなずいた。「結局、人を困らせて手に入れた力じゃねェか。俺ァ、ンな真似しねェぜ」 そこで明はきょろきょろと辺りを見回した。「あれっ、どうしたんだ? 何お前ら固まってンの?」「明ってば……」 どこまでこの鬼は脳天気なのだろう、と思いつつ凛太郎は耳打ちする。「みんな不安なんだよ。どうやって鈴薙に立ち向かおうかってさ」「ンなこと、心配することねェよ!」 明は胸を叩いて、陰陽師たちに呼びかけた。「みんな、心配するな! 俺らには凛太郎ちゃんがついてるんだからよ! あの剣を凛太郎が使えば、鈴薙なんてイチコロよ!」 陽気な鬼の檄は、不思議な力があった。陰陽師たちが、それまでの不安そうな様子とはうって変わった希望と期待のこもったまなざしで、凛太郎を見つめる。「凛太郎さま、よろしくお願いします!」「日本を、いえ、私たち人間をお守りください!」「お願いします、凛太郎さま!」 一斉に頭を下げる彼らに、凛太郎はおののいた。陰陽師として何年も鍛錬を積んできた彼らに比べ、凛太郎はわずか数ヶ月ほどしか修行していないのだ。「み、みなさん、顔を上げて……」 たじろぐ凛太郎の背中に、明がそっと手を回す。「がんばれよ。俺もめいっぱいサポートしちゃうからよ」「明……」 不安な凛太郎に、明の微笑みは胸にしみた。 その時だった。 祥が扉を開けて、室内に入ってきた。「凛太郎さま! ヘリの準備ができました。これから東京に向かって、鈴薙殿と戦ってください!」 つづく
2006年01月13日
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トリプルマーカーの結果が出ました。 障害児が生まれてくる確率は100分の1。 私の年齢では、平均620分の1なので、6倍以上の高い確率です。 お医者さんもちょっとびっくりしている様子で、「ご心配なら羊水検査を受けた方がよろしいですよ」と勧めて下さいました。 折り返し、家に帰って羊水検査を実施してくれる病院に電話。 すると担当医に回されて、もう一度電話して明日の予約を取ってくださいと言われ、電話を切られました。 ここでちょっとカチン、としたのだけれど、通院予約を取るのは同じ病院の受付なのですから、そのまま電話を切らずに内線で受付に回してくれればいいのではないでしょうか。 もともと良くなかった先生への印象がさらに悪くなりました。「トリプルマーカーの結果が良くなかったんです」と言っても、「ああ、そう」の一言だけ。 ふだん通っている産婦人科の先生が優しい人柄なだけに、なおさらそのギャップが痛いです。 もっとも私もこんなことが気にかかってしまうほどイライラしていたのでしょうが。 それから受付に電話をかけ直し(これが大病院の受付だから、話が通るまでに時間がかかってさらにイライラ……)、明日の通院時間を決めました。 明日、またはるばる電車に乗って、病院に行ってあの先生のカウンセリング受けるんだよね……。 ちゃんと予約は取れるんだろうか。 両親に報告すると、母の顔色が見る見るうちに変わる。 やっぱり羊水検査はしてもらいたくないみたい。 何度説明しても、母は障害児が生まれてくる確率は誰にも等分で、その仕組みは解明されていないということが分からないみたいです。 それを説明しているうちにイライラしてきて、ぽつりと「これだったら先週、羊水検査の予約をしてくれば良かったかなあ……」と言ったら、「なんで私のせいにするのよ!」と怒鳴られました。 べつに母のせいにしたつもりはないんだけれど、本人としては止めたのは自分だからもしかして自分のせいかも……という気持ちもあっただろうし羊水検査をすることへの不安を私に当たることでまき散らしたかったみたいです。 父も母の肩を持ちだし、仕方ないので帰宅。 イライラと不安が最高潮に達し、部屋で一人号泣する。 その後、母から電話がかかってきて、「さっき本屋に行って立ち読みしたけれど、障害児ってお母さんのお腹にいる時からもっとたくさんトラブルを起こすみたいだから、あなたの子供は大丈夫だと思うわよ」などと言って、私に羊水検査をやめさせようとする。「だからそれは何度も説明したけど、羊水の成分を調べてみないと、はっきり分からないの。だから羊水検査があるんでしょう」と言っても、納得してくれない母。「せっかく孫が生まれてくると思って楽しみにしてたのに……」「お腹の赤ちゃんがそんなこと言うの聞いてたら悲しむわよ」などと言うけれど、このまま検査なしで出産に踏み切って、母の前で泣き言を言い、また「私のせいにして!」などと怒鳴られるのは嫌なので、「ダンナと二人で話し合ったことだから」と言って、電話を切ろうとすると、「赤ちゃんの食べたいものって何かしらね。今のうちに作ってあげたい」と言われる。 要するにもしかして中絶するまでに赤ちゃんに優しくしたいって母は言ってるんだろう。 強烈な母の孫への愛を感じたんだけど、やっぱり羊水検査はする。 それから「いくら悩んでも仕方ないから好きなことでもして気晴らししよう」と考え、読書やゲームをするけど、ちっとも頭に入らない。 ただひたすらダンナが早く帰ってくればいいなあと願う。 運良く、ダンナは早めに帰宅した。 今日あったことを話すと、「きっと予約は取れるよ」「君のお母さんは苛ついてるだけだよ」などとなぐさめてくれる。 やっぱりこういう時、夫の助けって必要だなあと思う。 やっぱり子供をいっしょに作った人(卑猥な意味じゃなくて、真面目に)だもんね。 とりあえず、明日はカウンセリング。 いろんな意味で不安だ……。
2006年01月11日
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新年始まって、最大にめでたいことが。1キロやせた。 妊娠して以来の快挙。 妊娠中毒症を危ぶまれていた私にとって、こんなにめでたいことはない。 産婦人科によれば、最近は妊娠前の体重より8キロ増えて出産っていうのが理想みたいです。 でなかったら、太りすぎで股関節が脱臼したり、赤ちゃんが出てこられなくなったりするんだって。 現代の妊娠は肥満との戦いだそうで、良くも悪くも豊かな時代なんだなあと思いますな(と、おじさん雑誌のコラムのようなことを書いてみる)。 今回やせた原因は間違いなくウィルス性胃腸炎により、食べられなくなったことだから、どうせ治ったらまた体重増えるんだろうけどね。 昨日、戌の日だったので、腹帯を神社でもらってきました。 場所はわりと近所の街中の神社。 私とダンナが結婚前に偶然、「良い相手と出会わせてください」と同時期にお祈りし、「子供が欲しいです」と祈願したところ、それらすべてをかなえてくれた神社なので大変霊験あらたかな神社なのです。 でも、私がミリオネーゼになりたいってお願いは全然かなえられてないけど。/font> ……。 まあ、新年早々、神様に愚痴を垂れるのはやめにして、話を元に戻します。 この神社は正確には縁結びの神様なんだけど、安産祈願はもちろん商売繁盛も厄よけもやってます。 私の友人に神社の跡継ぎだっていう人がいるんだけど、その人によると「最近はどの神社もそれくらいしないと、経営が成り立たない」らしい。 まあ、神様に縁を結んでもらった結果、子供を授かったんだから安産祈願するのはおかしくありませんよね。 それでお代はというと、腹帯 1000円祈祷料 6000円でした。 祈祷がな~、有名アーティストのライブチケットと同じ額じゃないの、と思ったんだけど、ダンナと私の母も出産前には祈祷してもらったらしい。 もしここでお金をケチって、難産になり、もがき苦しみながら、あの時なぜ祈祷してもらわなかったのっ!と後悔して、ダンナに八つ当たりし、産院で夫婦ゲンカなんてまぶしいよ、まぶしすぎるよ、ママン……だから、祈祷してもらうことにする。 ちなみにうちの母、祈祷してもらったけどやっぱり難産だったんですが。 余談だけど、私もどうやら難産型らしい。 この前の日記にも書きましたが、子宮が人より小さいんですよね。 だから赤子がパンパンに詰まって、なかなか出て来られない可能性が高いらしい。だったら本体の横幅ももうちょっと小さくなって、スリムになりたい……。 という新年早々の自虐は置いておいて、祈祷の話。 おそらくアルバイトであろううら若い巫女さんに住所、氏名、出産予定日などをまず告げます。 この時、えらくくわしく住所や名前の読み方を聞かれたんだけど、これって後で宮司さんが祈祷の時、私の名前と住所を読み上げるからだったのね。「××に住まうユミというもの~、安産を祈願す~」みたいな感じで。 祈祷が始まる前にも巫女さんが、「これからユミティさまの安産祈願祭を開始いたします」とおっしゃってくれるので、なんとなく大事に扱われている気分になり、これで6000円かよという気持ちが少しやわらぐ。 祈祷終了後、御神酒を少しだけ飲んで、紙袋をもらう。 中には昆布と安産祈願のお守りが入っていた。 このお守りを見て、また損したという気分が復活する なぜならその安産祈願のお守りは、1月1日にダンナと初詣に来て、すでに1000円で購入したものだったからである。 つまり1000円損したことに……。「これだったら神社も、安産祈願お守りは祈祷についていますから、祈祷を希望する人は買わなくていいです、って張り紙しておいてくれてもいいじゃない」と不平を漏らすと、ダンナに、「神に文句を垂れると天罰が下るぞ」というごもっともな指摘を受ける。神様~、べつに文句を垂れてるわけじゃないんですぅ~。 でも庶民には1000円の出費は痛いんですぅ……。 その後、ドンキホーテをぶらぶらし、ハート型の可愛い携帯ストラップ(480円)があったので、買おうとするとダンナに「新年早々無駄遣いはやめろ」と言われる。 けれど携帯ストラップは480円。安産祈願のお守りは1000円。 いえ、べつに不満があるわけじゃないですよ。携帯ストラップが二つ買えたはずなのに、なんてま~ったく思ってませんから。 その後、帰宅してダンナが腹帯巻いてくれる。 最近のテーマソングである「こんにちは赤ちゃん」をハミングしながら、機嫌よく腹帯を巻くダンナ。 と思いきや、いきなり気分が悪くなってせっかく巻いた腹帯を解いて寝る。もしや神の罰? 単に人混みに酔っただけなんでしょうね。 いえ、本当に1000円損したなんて思ってませんからぁ、神様ぁ……。
2006年01月10日
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弓削家の会議場は、異様な雰囲気に覆われていた。 会議の出席者の約半数を占める陰陽師たちは血のにじんだ包帯を体にところどころ巻いていた。鈴薙に負わされた傷跡である。彼らは会議に出席できるだけまだ傷は軽かった。緊急入院しているものも少なくはないのだ。傷ついた彼らを凛太郎は胸の痛む思いで見つめていた。凛太郎は明と共に、秀信に近い席に座っていた。 その他の政財界の大物たちも、陰陽師たちの怪我を見て顔をこわばらせていた。伝説の鬼としてしか知らなかった鈴薙が、ここまでの力を持つと初めて目の当たりにしたのだ。その衝撃は予想外のものだったのだろう。「それでは、会議を始めます」 上座に秀信とともに上がっていた祥が厳かに告げた。 中央にある椅子には、環喜が座り、その傍らには晴信が寄り添うようにして立っている。「いったいこれはどういうことだね?」 一人の男が立ち上がって、イライラと訊ねた。秀信が軽く目を上げる。「これだけ数がいる弓削家の陰陽師ともあろうものが、鬼一匹にここまでやられるとは。こんなことで、日本の平和は守られるのか?」 その言葉に触発されたように、別の人物が荒れた声を上げる。「秀信くん。君の陰陽師としての実力を我々は高く買ったからこそ、鈴薙征伐を弓削家に主に託したのだぞ。この体たらくだと、他の陰陽師家にその任を預けてもよいということになるのだがな」 男の言葉に、秀信の眉がかすかに動いた。祥が横目でそれを見る。「静かにしとくなはれ。そないに大声出さへんでも、ちゃんと聞こえてますで」 とぼけたその声に、それまでのざわついた空気が静まりかえった。小さな体をちょこん、と椅子の上に置いて、弓削環喜はひとつ咳払いをした。 それでもまだ不満があるというばかりに、先ほど発言をした男が食い下がる。「で、ですが、環喜さま。このまま何の対策もないということでは……」「対策? ありますで。凛太郎はん。『あれ』を持ってきておくれやす」「はい」 凛太郎は立ち上がって、上座に上がった。手にしていた木箱を開く。「お、おお――!」「この輝きは、もしや……」 凛太郎がかざした剣の美しさに、一同がどよめく。秀信は満足げにうなずいた。明だけがゾッとしない表情で、その剣を見つめている。「そうや。『封印の剣』や。千年前、凛姫はんが鈴薙はんを封印しはった剣が、これや」 祥が後の言葉を続ける。「伝説上では、鬼に対して強大な力を発揮できるのは鬼の作った剣だとされています。この剣は千年前、凛姫の要望に従って鈴薙殿が作った刀だそうです」 先ほどまで秀信に不満を述べていた男が、感じ入ったように剣を見つめる。「ということは、その剣を扱えば鈴薙を倒せるというのか?」「その可能性が高いのではないかと、私どもは踏んでいます」 自信ありげに祥が答えた。 だが、まだ不服があると言いたげに口をとがらせて別の男が訊ねる。「しかし君、そんなに威力のある剣なら、どうして今の今まで出さなかったのだい? その剣さえあれば、今回の襲撃も抑えられただろうに」「この剣は、凛姫はんしか扱えんのや――つまり、凛姫はんの生まれ変わりであるこの凛太郎はんしか、な」 誇らしげな笑みを浮かべて、環喜は凛太郎の体を引き寄せた。一同に注視され、凛太郎は頬を赤らめる。祥が微笑みながら、環喜の言葉を受けた。「けれども、凛太郎さまの霊力は当初はこの剣を扱えるほど、まだお目覚めになっておられませんでした」「だから僕といっしょに修行を積んでいただいたんです!」 晴信が胸を張って答える。「ね、凛太郎さま!」 晴信に微笑みかけられて、凛太郎は照れくさくなってうつむいた。 官僚らしき神経質そうな男が挙手して訊ねた。「しかし、この凛太郎くんの霊力が目覚めたというのは実戦でも保証できるものなのですか?」「それは――まだ何とも言えません」 眉を曇らせて、祥は答えた。「凛太郎さまは、まだ実戦にお出になったことはないのです。ですが以前、秀信さまと私の窮地を鈴薙殿から救っていただいたことはあります」「そうだぜ! 凛太郎ちゃんを見くびるなっての! でなかったら俺も千年もこいつに惚れてたりしねェよ!」 明が立ち上がって、ガバッと凛太郎に抱きついた。「や、やめろよ、明……。みんなが見てるよ」 信行たちの視線を気にしながら、真っ赤になる凛太郎に明がささやく。「俺らの愛し合う姿を見せてやって何が悪いんだよ。そんな剣なんてなくても、俺が守ってやるから安心しな」 その時、会議室の扉が勢いよく開いた。中から一人の陰陽師が飛び出してくる。「伝令です!」「何だ?」 秀信の問いに、その陰陽師は答えた。「鈴薙が首都・東京に現れました!」 つづく
2006年01月09日
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机の上に広げられた写真には、実里とそっくりな少女が写っていた。実里の亡き姉、若宮智里だった。「実里さんとそっくりですね」 思わずつぶやく千晴に、実里が少し寂しげに答える。「姉の生前、よく言われました。僕とは双子で、幼いころはいつも間違われていたほどですから」 無精髭をいじりながら、神妙に才口が訊ねる。「智里さんは、いつ亡くなったんだ?」「一年前だよ」 実里が答えた。千晴に対する敬語を、才口には使わなかった。怪訝に思う千晴に、実里は瞳をめぐらせて嗤う。すぐにその嗤いは消えて、沈痛な面持ちで実里は語った。「急な心臓麻痺でした。僕と同じで、姉は体が弱かったから……。よくそれで母も親戚たちに嫌みを言われていたものです。若宮家の跡取りに、こんな弱い子を産んでどうするって。おまけに僕たちは、彼らの言うところの”あいのこ”でしたからね」 深い侮蔑。いいじゃないですか、千晴。そんなことはない。
2006年01月08日
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真夜中。 急にお腹がシクシク痛くなって目覚める。 またどうせ赤子が子宮を拡張しているんだろうと思って、無視して寝ようとするが、やっぱり寝られない。 思わず、「痛いよ~、痛いよ~」とうめいていたら、隣に寝ていたダンナが寝ぼけ眼で、「赤子が大きくなってるんじゃないのか?」と一言。 たしかにそうかな~とも思うけど、やっぱり痛い。 結局、朝までうつらうつらとしか眠れなかった。 9時になって病院へ行く。 腹痛だから内科だろう、まさかインフルエンザじゃないよね~とビビリつつ診療してもらう。 先生いわく、「ウィルス性胃腸炎ですね。うちでは妊婦向けの薬はあまりないので、産婦人科へ行ってください」 この一言だけで1000円の診療代を取られた。 これだったら、最初から産婦人科へ行けば良かった……。 新年早々ツイてない……と肩を落としつつ、産婦人科へ。 昨日の夜から何も食べていないし、飲んでいないので、とりあえず病院の自動販売機で缶ジュースを買う。 なぜ飲み食いしていなかったのかというと、食べたものをすべて吐いてしまったし、何か飲むと気持ち悪くなっていたのである。 ジュースを飲んでいる時、ある女性の注目を浴びた(ような気がする)。 私がプルタブを開けた音が目立ったのかもしれないが、なんとなく付き添いのダンナとこそこそ話していて嫌な感じ。 目も合った。ここで私の妄想が炸裂。 その女性が私と同じ月に臨月で、同じ公園、同じ幼稚園に子供を通わせることになる。 その女性は私を「待合室でジュースを飲んでいた変人」と決めつけ、知り合いになった人に「あのユミティさんって人、変わってるのよ~」と言いふらす……。もし、そんなことになったら絶対反撃してやるっ!!と熱く拳を握りしめる。 と思いきや、その女性が受付に呼ばれる。 どうも不妊治療で人工授精を受けようとしているらしい。 ここで一気に気持ちがなごむ。ここの不妊治療は優秀だからいい子を産んでね(はあと)それにうちの子供とはたぶん同じ学年にならないから縁もないだろうし…… そんなことを考えているうちに、私の名前が呼ばれる。 さて、診療。「うち、内科じゃなくて産婦人科なんだけど、どうして内科に行かなかったの?」と言われる。「だって内科の先生がそうおっしゃったんですぅ」と控えめに反論。 先生はなにやらぶつぶつ言った挙げ句、薬を二錠くれた。なんとなく病院をたらいまわしにされているような……という気持ちを、とりあえず薬もらえたからラッキー! と考えるようにする。 なんたって、薬を一錠ももらえなかった前回の風邪は悲惨でしたから……。 「風邪をひいた」と母に言うと一言。「あんたが羊水検査なんて受けるって言うから、赤ちゃんが罰を与えたのよっ!」 すべてを赤子にからめて考える母なのであった。
2006年01月07日
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羊水検査のカウンセリングに行って来ました。 羊水検査とは子供の羊水を採取してそれを分析する検査です。 だから、子宮の状態がどうなっているか非常に重要で、検査の前にはそれを必ず見なければいけないのです。 なぜなら、ちょっと手元がずれると胎児に注射針が突き刺さるなんて事態が引き起こされるからです。 そこで、今日見てもらった私の子宮はというと。赤子がパンパンに詰まっているそうな……。 私の子宮が標準より小さいのか、赤子が標準より大きいのかそこらへんを訊くのは忘れましたが、とにかく赤子がコンビニ弁当の御飯部分のように詰め込まれているらしい。 だから、かなり高い確率でもしかして赤子を注射針で突き刺してしまう恐れがあるのだそうです。 先生には遠回しに「まだ高齢出産じゃないんだから、やめておいた方がいいんじゃない?」と言われました。 どうしても検査が受けたかったら、2週間以内に電話してくるようにと言葉を受けて病院を後に。 帰宅して、ダンナとママン、ダンナのご両親に相談したところ、全員一致で、「やめておけ」 そこまでのことなら、神様が羊水検査をするなと命じているのだとみんな言っていました。 結局、やっぱ、やめようかな~……ということに。 検査をするかしないかで悩んで昨晩ほとんど寝ていないもので、何だか精神的にも肉体的にもひどく疲れた一日でした。 熱が出てきたので、もう今日は寝ます。 また風邪うつったのかな……。
2006年01月06日
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このことは日記に書こうかどうしようか迷ったのですが、今一番悩んでいることなので書くことにします。 私の話がたくさんの妊婦さんの参考になるかな~とも思いまして。 羊水検査という言葉は、現在どれくらいの妊婦さんがご存じなのでしょうか。 妊娠15週からできる検査で、羊水を取って胎児の染色体を調べ、障害の有無(すべての障害が分かるわけではありません)を調査する検査です。 アメリカでは35歳を過ぎた妊婦さんのほとんどがこの検査をするように半ば決められており、日本でもそうなりつつあるそうです。 なぜなら、35歳を過ぎると障害を持った子供が生まれる可能性がグンと高くなるからだそうです。 私はまだ35歳にはなっていませんが、かなり近い年です。 少なくとも20代ではありません。 それともうひとつある気になる理由があり、この羊水検査を受けたいと思いました。 そこでかかりつけの産婦人科の先生に、羊水検査を受けたいと伝えると「僕はあんまり賛成しないんですけどねえ」との答え。何でも300分の1で流産してしまうからだそうです。 でも羊水検査をしてくれる病院に紹介状を書いてくれました。 そしてその病院に私は向かいました。 これが去年の12月22日、私が妊娠12週のことです。 それで羊水検査をしてくれる病院に行ったのですが、ハッキリ言ってその先生の感じが良くありませんでした。「障害児が生まれてくる確率と、流産する確率が同じくらいだからしなくていいと思うんだけどねえ」(でも障害児が生まれたら育てるのは私です)「あんたくらいの年でここに来るのは珍しいよ」(でも20代でも障害児が生まれる可能性は0パーセントではない)「すべての障害がこの検査で分かるわけじゃないから」(でも複数の障害は分かる) これらのセリフを、なんとなくいやみったらしくおっしゃるのでした。 年は60代くらいの男の先生でした。 後日、調べてみて分かったのですが、羊水検査ってあんまりやりたがらない先生も多いみたいです。 流産うんぬんの問題より、倫理観の問題。「母親はどんな障害がある子供でも産むべきだ!」みたいな。 それが日本ではまだまだ多数派らしい。 それと羊水検査を勧める欧米思想のどちらが正しいかなんて、おそらく何時間話し合っても出ない問題だからここではつっこまないでおきます。 あの先生がそういう考え方の持ち主だったか、もともと嫌みったらしい性格だったかは不明です。 私はたぶん後者だったんじゃないかな~と思います。最初から反対だったらそんな検査しないもんね。 医者って結構個性的な性格の人も多いですから。 結果、私はその先生の人格と、羊水検査ができる病院が家から遠かったことと、母が羊水検査に反対していることを理由に検査をやめたのでした。 その代わりに目を付けたのがトリプルマーカーです。 これは、妊婦の血液を採って、それを検査して子供の障害の有無を確かめるというもの。 採血のみなので、もちろん流産の危険性など皆無。 実に簡単な検査です。 だからトリプルマーカーをしてから結果が悪かったら、羊水検査をすればいいわけだ! それで今日、15週目初めての検診に行ってその旨を先生にお伝えしたのですが、その答えが「トリプルマーカーって、羊水検査と違って正確な判定が出ないんですよね。ですからより確実な結果を求めるなら、羊水検査をおすすめします」 でした。 つまりこういうことです。 羊水検査は羊水を直接調べるから、胎児の状態が手に取るように分かるけど、トリプルマーカーはあくまで母親の血液だから、30分の1、だとか20分の1だとかでしか分からないんですって。 でもって、たとえ確率が30分の1でも、羊水検査のようにはっきり異常なしとは断言できないらしい。 でもってさらに、羊水検査もトリプルマーカーも15週目からしかできないし、結果が出るまで1ケ月かかる。 堕胎ができるのは妊娠21週と6日目から。 つまりトリプルマーカーをしてから、羊水検査をするっていうのは無理なのよ。 つまり運を天にまかせて生むしかないってわけですな。 どうしてこれをもっと早く言ってくれなかったんだ、先生!と思うけど、 いつも診察してくれてる先生は出張でいなくて、ピンチヒッターの先生が今日の診察だった。 この先生の方が説明が丁寧だった……というわけ。 つまり、羊水検査=確実(でも流産の危険性あり)トリプルマーカー=限りなくスロットマシーンに近い検査(でも安全)ってとこなのですな。 一応、トリプルマーカーはしてもらいました。 費用は2万円。 保険効かないからこんなもんでしょう。 出費の痛さよりも、私は羊水検査を受けようかどうしようかばかり考えていました。 そのかたわらで、胎児の映像を見て、「かわいい~、動いてる~」と感動に目を潤ませるダンナ(今日仕事が休みだったので、病院に着いてきた)。 それ見てると、羊水検査しなくていいかって気にもなるんだよね~。 でもやっぱり生まれてからどうしようって考えちゃうし……。2007年、最初の悩みであります。
2006年01月04日
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いよいよ2006年が明けました。 あけましておめでとうございます! 今日は安産祈願に初詣に行って疲れたので、日記はこれくらいにさせていただきます。 今年もよろしく!
2006年01月01日
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