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アメリカン・ロック・ヴォーカルのひそかな実力者のヒット曲 エディー・マネー(Eddie Money)は1949年マンハッタンで生まれで、ブルックリンで育った生粋のニューヨーカー。70年代後半に登場し、80年代にかけて活躍したロック・ミュージシャンである。筆者はある時期以降のこの人は聴いていないので、最近のことはよく知らないのだが、60歳を超えた現在も活動を続けているとのことである。2007年に8年ぶりに発表したアルバムが最新の作品のようだ。デビュー当時はちょっとした話題として取り上げられたのだが、エディー・マネーは少し変わった経歴を持っている。祖父・父親・兄弟と同様、最初は警察官になったが、ロッカーへの夢を捨て切れずに警官を辞してカリフォルニアへ移って活動を開始したとのことだ。 そうして1977年にデビュー・アルバムを発表し、10数枚のアルバムを発表しながらコンスタントな活動を続けてきた。そんなエディーにとってシングルとしての最大のヒットがこの「テイク・ミー・ホーム・トゥナイト/ビー・マイ・ベイビー(Take Me Home Tonight/Be My Baby)」で、1986年のアルバム『キャント・ホールド・バック』に収録されている。 この曲の変わっているところは、1曲であるにもかかわらず、2曲がタイトルとしてクレジットされている点である。本来、曲としては、「テイク・ミー・ホーム・トゥナイト」なのだけれど、この曲の中に「ビー・マイ・ベイビー」(吉川晃司&布袋寅泰のユニットの曲ではありません!あくまで念のため…)という、ロネッツの60年代のヒット曲が混ぜ込まれている。しかもその「ビー・マイ・ベイビー」の部分を実際に歌っているのがロネッツのリード・シンガーだったロニー・スペクター(ヴェロニカ・ベネット)本人というオマケつきである。 何よりもこの曲はメロディよし、ヴォーカルよしの、アメリカン・ロック・ヴォーカルの秀作である。エディーのヴォーカルが文句なしに最高にカッコいい。アルペジオに始まり、シンプルなギター・リフにのってシンプルで覚えやすいサビ部分の熱唱。こういうわかりやすい曲でありながら、上記のとおり「ビー・マイ・ベイビー」を組み込むという仕掛け、さらにはサックスの導入などさりげない工夫も凝らされている。そのあたりのバランス加減も、この曲の成功の秘訣だったのかもしれない。 余談ながら、エディーはヴォーカリストであるのみならず、ギター、ハーモニカ、キーボードのほか、さらにはサックスも演奏する。ある人物の言では、“エディー・マネーはすべてを持っている…歌い、作り、演じられるだけじゃなく、生まれながらのパフォーマーだ”とのこと。なるほど。ヴォーカルに加えて他の才能が秀でているからこそ、ヴォーカルを活かす見事な曲ができたというわけなんだろうと想像し、妙に納得できるエディー評である。[収録アルバム]Eddie Money / Can’t Hold Back (1986年)その他、各種ベスト盤(例えば、Greatest Hits: The Sound of Money (1989年))にも収録。 下記3つのランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、ひとつでも“ぽちっと”応援いただけると嬉しいです! ↓ ↓ ↓
2011年01月29日
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音楽の多国籍=無国籍化から生まれた好盤 アルベルト(Alberto)ことアルベルト城間はペルー出身の日系3世。91年から活躍しているラテン・バンド、ディアマンテス(Diamantes)の中心メンバーである。そのアルベルトが2000年にリリースした初ソロ作がこの『ハートに火をつけて(Light My Fire)』というアルバムである。 本人の出身は南米ペルー、活動拠点は沖縄、そして本盤の制作はニューヨーク。このことからもわかるように、多国籍な音楽である。多国籍という言い方をすると複数の土地にまたがるということになり、では主な立脚地はどこなのかという疑問もわいてくるかもしれない。その意味では、本作はもしかすると“無国籍”という表現の方が相応しいのかもしれないとも思う。日本語でも、沖縄の言葉でも、英語でも、出身地であるペルーのスペイン語でも歌えるアルベルトが、本盤では英語とスペイン語を併用。日本だけでなく米盤リリースでNYサルサ界を視野に入れての制作。実際にアルバムを聴いているとその瞬間ごとに立脚点が次々と変わっていく感じで、まさしく国境のない(あるいは国境をひょいひょいと飛び越えながら)という印象を受ける。 上記の無国籍性は、本盤の選曲からも見て取られる。タイトル曲の1.「ハートに火をつけて」(ザ・ドアーズの67年作収録)や2.「素顔のままで」(ビリー・ジョエルの77年のヒット曲)といった、英語でなじみのロック/ポップ・ナンバーがあるかと思えば、4.「ワインレッドの心」(安全地帯の代表曲)や9.「君といつまでも」(加山雄三のヒット曲)という本邦有名曲もある。さらには6.「カネラの花」、7.「ある恋の物語」、8.「ベサメ・ムーチョ」というラテン諸国の定番ナンバーも含まれる。興味深いのは、これら出自の違う曲が次々と登場するのを通して聴いて、何の違和感もなく全体が一色に染まっている点である。“サルサ”という括りのもとに一つの統一感が見事に出ていることは、やはり“無国籍”と評すのがぴったりだと思う。 余談ながら、筆者はラテン系の踊りを伴いそうな音楽(典型的にはサルサもその一つ)は、全く聴かないわけではないけれど、どちらかというと苦手である。けれども、このアルバムはヴォーカルの比重が高く、“歌声を聴かせる”ことにも重点を置いた音のつくりをしていて、ヴォーカルがしっかりと耳に届く。おそらくはアルベルト(および制作スタッフ)の意図もそこに結構比重を置いたものではなかっただろうか。上で触れた選曲と一緒に考え合わせると、どうもそんな気がしてならない。サルサ愛好者には本格的なものであることを示すと同時に、この手の音楽に馴染みのない人が聴いても興味を示し、そのよさを理解しうるようなアルバム。それが、上記のバラエティに富んだ選曲にも表れていて、その意図は見事成功したと思う。 そのようなわけで、ラテン世界未体験のリスナーや“試しにサルサでも聴いてみよっか”という向きにも勧められる好盤という感想を持っている。[収録曲]1. Light My Fire (ハートに火をつけて)2. Just The Way You Are (素顔のままで)3. Como una diosa al caminar (摩天楼の女神)4. Vino tinto (ワインレッドの心)5. Wave (ウェイヴ)6. La flor de canela (カネラの花)7. Historia de un amor (ある恋の物語)8. B?same mucho (ベサメ・ムーチョ)9. Amor eterno (君といつまでも)10. El d?a que me quieras (エル・ディア・ケ・メ・キエラス)2000年リリース。 下記ランキング(3サイト)に参加しています。 お時間の許す方は、“ぽちっと”クリックで応援をよろしくお願いします! ↓ ↓ ↓
2011年01月28日
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コンポーザーとして、シンガーとして、名曲の名唱 ジョー・ジャクソンは1954年イギリス出身のミュージシャン。彼の音楽性については様々に批評されたり、論じられたりする。当初は、1970年代末にパンク/ニューウエーブという流行りの中から登場し、やがてジャイヴ、レゲエ、ラテン、クラシックなど様々なスタイルを取り入れながらいろいろな試みをやってきた。こうした音楽性については、各アルバムなどを取り上げる他の機会に譲るとして、そうした観点からばかり話をすると、ついつい抜け落ちてしまいがちな二つの点について今回は記しておきたい。 音楽性云々でうっかり忘れ去られてしまいがちな点の一つ目は、彼のソングライターとしての能力の高さである。以前どこかで“どんなにしょぼいミュージシャンでも、一生に1曲の名バラードを残すことぐらいはある”という説を耳にしたことがある。だが、ジョー・ジャクソンの場合、長いキャリアの中で聴き手をうっとりさせる美しいメロディの曲を何曲も残していて、当然ながら、それは偶然の産物などと言えるようなものではない。 有名曲では、「危険な関係(Breaking Us In Two)」あたりが、ジョー・ジャクソンの美メロ曲の代表格と言えるかもしれない。けれども、筆者としては、この曲の入っているアルバム(『ナイト・アンド・デイ』、1982年作)の中に、忘れられない曲がもう一つある。それがこの「スローな曲をかけてくれ(A Slow Song)」だ。曲そのものは静かに始まり、次第に盛り上がっていくタイプの曲である。このような美しい曲を作れるというのは、ジョー・ジャクソンの才能が音の制作者(ミュージシャン、プロデュース)としての部分に限られたものではないということに他ならない。曲の作者(コンポーザー)としてもその才能は抜きんでている。 同じく音楽性の話が盛り上がった時に置き去りにされがちなもう一点は、歌い手(シンガー、ヴォーカリスト)としての彼の力量である。多少失礼な言い方ではあるが、ヴォーカルだけを聴いていると、この声の主はどれほどイケメンで、ダンディで、カッコいい男なのだろうと聴き手が想像力を膨らましてしまいそうなぐらいだ。無論、多くの人は実際の顔写真を見てイメージと違うことにがっかりするかもしれないけれど(笑)。この「スローな曲をかけてくれ」が次第に盛り上がっていくと上で述べたが、これにはヴォーカルの緩急も大きく関わっている。最初は伸びのある部分を生かしながら静かな出だしで、サビ部分では絶妙の節回しで大きく盛り上げる熱唱を披露する。こうした緩急の見事さにおいても、「スローな曲をかけてくれ」は彼の力量が見事に発揮された名唱だと思う。 ちなみに、この曲の原題は単に「A Slow Song」なのに、何ゆえ邦題は「スローな曲をかけてくれ」なのかと思う人もいるかもしれない。だが、実際の歌詞を聴けばその疑問はすぐさま解決する。サビの詞は“Play us a slow song…”というもので、邦題はこの部分全体の翻訳である。ともあれ、作曲者としての才能とヴォーカリストとしての力量の双方が存分に発揮された、筆者の大のお気に入りの1曲。ベスト盤(そしてライブ盤)収録のライブ・ヴァージョンしか聴いたことのない方は、ぜひオリジナル(スタジオ録音ヴァージョン)の方もお試しいただきたい。[収録アルバム]Joe Jackson / Night and Day (1982年)←オリジナル・バージョン収録Joe Jackson / Stepping Out: The Very Best of Joe Jackson (1990年)←ベスト盤だけれども、こちらはライブ・バージョンのみ収録 【楽天ブックスならいつでも送料無料】ナイト・アンド・デイ [ ジョー・ジャクソン ] 下記3つのランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、ひとつでも“ぽちっと”応援いただけると嬉しいです! ↓ ↓ ↓
2011年01月26日
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90年代を迎えたトム・ウェイツの実力発揮盤 トム・ウェイツ(Tom Waits)は1949年米国出身のシンガーソングライターで、今年ロックの殿堂入りを果たした。1973年にアルバム『クロージング・タイム』でデビューし、“酔いどれ詩人”として親しまれる。70年代はアサイラムからジャジーさを生かしたアルバムを何枚も残し、80年代になるとアイランド・レーベルへ移籍してより実験的サウンドを試みると同時に、役者としても開花した。そんなトム・ウエイツが90年代を迎えて発表したアルバムが本作『ボーン・マシーン(Bone Machine)』であった。 本盤は1992年に発表され、グラミーの最優秀オルターナティヴ・アルバムを受賞した。本盤制作にあたってトム自身は“急にパーカッションに目覚めた”と述べており、鍋や農具を叩いてのパーカッションという不思議な試みもしている(全編を通してこの奇妙なパーカッションが結構耳につく)。ロックという枠でもシンガーとしてでもない、“オルターナティヴ”というジャンルでの評価は、本盤の性質をよくあらわしていると同時に、この頃以降のトム・ウェイツのスタンスもよく表していると思う。 1970年代からのファンの中には、ちょうどこの頃からトム・ウェイツについていけなくなったという人もいるようだ。筆者もどちらかというと、“酔いどれ詩人”と呼ばれていた頃のトムの方が全般的には好みである。けれども、あえてトムは実験的なスタンスを崩さなかった。結果は、個人的好みとは別に、ロックもしくはポスト・ロックの音楽が示しうる可能性を存分に表現しうるものに仕上がったと思う。 その一方で、70年代からのシンガーソングライターとしての腕前もさりげなく顔を覗かせている。これがあるから以前からのファンも目を離せないのだと思う。かつては、デビュー・アルバムの「オール’55」がイーグルスによってカヴァーされた。他にもB・スプリンスティーンによる「ジャージー・ガール」、R・スチュワートが流行らせた「ダウンタウン・トレイン」、果てはS・ジョニーによるカヴァー・アルバム(参考記事)など、この人は実に美しい曲を書くことでひそかに知られている。有名アーティストのカヴァーがなくとも、「タイム」の美しさだけでも、筆者としては既にノックアウトである。本盤でもその片鱗は消えておらず、5.「フー・アー・ユー」などは超極上の逸品だと思う。 1.「地球の断末魔」を聴いた時点で、以前からのファンは見事に期待を裏切られるかもしれない。けれども、アルバムを聴きすすむにつれて、その”疑惑”は杞憂であるように感じられる。上記5.「フー・アー・ユー」のみなならず、13.「ホイッスル・ダウン・イン・ザ・ウィンド」なども同様にトム節が炸裂する。さらに、12.「ブラック・ウィングズ」などは、トム・ウエイツがやりたかったことを案外的確に表しているのではないかと思う。従来のスタイルを引きずりながらも新たなサウンドを持ち込む。その上で”オルターナティヴ”というジャンル(グラミー受賞)で認められたというのは、実はトム・ウェイツのアーティストとしての力量・懐の深さを存分に示しているということなのかもしれない。 この文章全体からも伺えるかもしれないけれども、実際のところ、個人的にはトム・ウェイツのアルバムとしてはもっとお気に入りが他にある。けれども、こういう無ジャンル化後のトム・ウェイツもまた魅力的と思うし、本命アルバム群についてはいずれ機会が巡った時に改めて書くことにしたいと思う。[収録曲]1. Earth Died Screaming2. Dirt in the Ground3. Such a Scream4. All Stripped Down5. Who Are You6. The Ocean Doesn't Want Me7. Jesus Gonna Be Here8. A Little Rain9. In the Colosseum10. Goin' Out West11. Murder in the Red Barn12. Black Wings13. Whistle Down the Wind14. I Don't Wanna Grow Up15. Let Me Get Up On It16. That Feel1992年リリース。 【メール便送料無料】トム・ウェイツTom Waits / Bone Machine (輸入盤CD) (トム・ウェイツ) 下記3つのランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、ひとつでも“ぽちっと”応援いただけると嬉しいです! ↓ ↓ ↓
2011年01月26日
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音楽を演るということの楽しさを伝える好盤 1990年8月、ウィスコンシン州でのブルース・フェスティヴァルに参加し、終了後移動のために乗り込んだヘリコプターの墜落により、スティーヴィー・レイ・ヴォーンは不帰の客となった(都合、そのヘリに乗り込まなかったエリック・クラプトンが生きながらえたというエピソードも有名である)。この悲しい事故の後、スティーヴィー追悼のための様々な動きがあった。死の翌年にはテキサス州で10月3日が“スティーヴィー・レイ・ヴォーン・デイ”に制定され、この日のチャリティ・コンサートの収益金は“スティーヴィー・レイ・ヴォーン奨学金”として音楽を学ぶ学生に給付されるようになった。少しあとの1994年には同州オースティン市には銅像が建てられた。また1992年にはフェンダー社から彼のシグニチャーモデルのストラトキャスター(“ナンバー・ワン”)が発売された(2004年にもトリビュート・シリーズでフェンダー・カスタム・ショップから再現モデルが出されている)。 彼の死後まもなくの一連の動きの中で、何よりも印象的だったのは、1990年のヴォーン兄弟(The Vaughan Brothers)の本盤『ファミリー・スタイル(Family Style)』のリリースと、翌1991年のスティーヴィー名義の『ザ・スカイ・イズ・クライング(The Sky Is Crying)』のリリースであった。前者は既に発売が予定されていた中でスティーヴィーが死去し、予期せぬ追悼盤となってしまったアルバム。ちなみに後者は、追悼盤として未発表音源を兄ジミーがセレクトして編んだものであった。 本盤は、兄ジミーと弟スティーヴィーを合わせて“ヴォーン兄弟”なる名義でのリリース。スティーヴィーにとってみれば、3歳違いの敬愛する兄との最初にして最後の共演盤。表題に『ファミリー・スタイル』とある通り、音楽を演ることの楽しさを伝えるという意味ではまたとない好盤である。その分、ホワイト・ブルースの本丸に乗り込むような気合をもって正座して聴いたりすると、肩透かしを喰らうことになる(その手をお望みの方には、兄弟名義の本盤ではなく、ダブル・トラブルを従えた諸作の方が薦められる)。 ギターを弾いて歌える兄弟とはいえ、激しいバトルやプレイの応酬が展開されるというわけではない。一言にすれば、対立よりも融和、つまりは個性のぶつかり合いよりも、二人としての一体性に重きを置いた演奏が繰り広げられている。同じく、ハード・コアよりもリラックス・ムード。兄弟で同じことができる喜びがそのまま演奏に反映されている。1.「ハード・トゥ・ビー」、4.「グッド・テキサン」、7.「ティク・タク」、9.「バブーン/ママ・セッド」などの肩の力の抜けた演奏を聴けば、いかにこのレコーディングが喜びと楽しみに満ちていたのかが伝わってくる。あと個人的に気に入っているのは、インスト曲の10.「ブラザーズ」。ギターで聴かせる曲だけれど、いい意味でどこか緊張感が足りない。その緊張感の欠如がまた二人でアルバムを作ることの幸せを表現するもので、音楽とは本来、“音を楽しむ”ことだというのを実感させてくれる。ちなみに、本盤のライナーの謝辞には“演奏をさせてくれた母に感謝”とさりげなく記されている。[収録曲]1. Hard to Be2. White Boots3. D/FW4. Good Texan5. Hillbillies from Outerspace6. Long Way from Home7. Tick Tock8. Telephone Song9. Baboom/Mama Said10. Brothers1990年リリース。 【Aポイント+メール便送料無料】 ヴォーン・ブラザーズ / ファミリー・スタイル[CD][初回出荷限定盤(完全生産限定盤)] 下記ランキング(3サイト)に参加しています。 お時間の許す方は、“ぽちっと”クリックで応援をよろしくお願いします! ↓ ↓ ↓
2011年01月24日
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有名曲の前後を通して聴くと… サンタナ(Santana)は、メキシコ出身のミュージシャン、カルロス・サンタナ(Carlos Santana、本名Carlos Augusto Santana Alves)率いるバンドで、サンフランシスコで結成された。当初はカルロス・サンタナ・ブルース・バンドと名乗っていたが、サンタナと改名して1969年にデビューし、現在まで活動を続けている。本盤『天の守護神(アブラクサス)』は、1970年に彼らが発表した第2作で、バンドとして初の全米1位を獲得するアルバムとなった。シングルとしても、2.にメドレーとして収録されている「ブラック・マジック・ウーマン」が全米4位、3.「僕のリズムを聞いとくれ(オジェ・コモ・バ)」が同13位を記録した。 シングルとなった「ブラック・マジック・ウーマン」は、言わずと知れたピーター・グリーン(初期フリートウッド・マック)のカバー。しかし、単なるブルース・ロックの流れを汲むカバーというのではなく、ラテン・ロックと称されることになる独特のリズム感と曲の解釈が織り込まれ、原曲とはかなり違う出来具合になっている(なお、アルバムではガボール・ザボの「ジプシー・クイーン」と共にメドレーになっていて、トラック・ナンバー2.として収録されている)。 3.「僕のリズムを聞いとくれ(オジェ・コモ・バ)」もサンタナを代表する曲として有名になったが、もとはと言えば、ラテンの巨星ティト・プエンテの曲。“ティンバル(ティンバレス)の王様”や“ラテン音楽の王様”と呼ばれたティト・プエンテは、プエルトリコ系の演奏者・作曲家(2000年没)で、サルサやラテン・ジャズの発展に大きな役割を果たした人物。それをロックにうまく融合させたのがサンタナの演奏と言える。 これらシングル・ヒット曲についつい注目が行きがちである。確かに、これら2曲をはじめとするラテン・ロックというスタイルの確立は、サンタナの大きな功績なのだけれど、本アルバムのもう一つの真価は案外別のところにあるように思う。それはインストルメンタル曲の多さに表れている。収録曲全9曲のうち、半数を超える5曲(1.、4.、5.、7.、9.)が実はインスト・ナンバーなのである。これらが全体のトーンを決定づけ、本アルバムに、単なる曲の寄せ集めではない、一つの作品としての体裁を与えているように思う。 アナログでA面だった部分(1.~4.)を聴けばそのことがよくわかる。1.「風は歌い、野獣は叫ぶ」という静かに始まるインスト・ナンバーで引っ張っておきながら、2.「ブラック・マジック・ウーマン~ジプシー・クイーン」のメドレーへとさりげなくなだれ込む。次にラテン・リズムが強調された3.「僕のリズムを聞いとくれ」が来たかと思うと、力強いリズム感をどこかに残しながら、次のインスト曲4.「ネシャブールのできごと」へと連続していく。つまりは、前後のインストルメンタル曲があってこその有名曲という、ちゃとした連なりが意図されているのが見事なのである。 余談ながら、以前から気になっていることがある。スペイン語のタイトル曲がいくつか含まれているが、5.のクレジットのされ方が何とも奇怪なのだ。正しくは「Se Acab?」(「全ては終わりぬ」という邦訳はこのフレーズの翻訳)なのだが、「Se a Cabo」と綴られている。何か特別な意味でもあるのだろうか…。[収録曲]1. Singing Winds, Crying Beasts2. Black Magic Woman/Gypsy Queen3. Oye Como Va4. Incident at Neshabur5. Se a Cabo6. Mother's Daughter7. Samba Pa Ti8. Hope You're Feeling Better9. El Nicoya~以下、1998年再発時のボーナス・トラック(筆者は未聴)~10. Se a Cabo(未発表ライブ)11. Toussaint L'Ouverture(未発表ライブ)12. Black Magic Woman/Gypsy Queen(未発表ライブ)1970年リリース。 天の守護神/サンタナ[Blu-specCD2]【返品種別A】 下記ランキング(3サイト)に参加しています。 お時間のある方、応援くださる方は、“ぽちっと”よろしくお願いいたします! ↓ ↓ ↓
2011年01月22日
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INDEXページ(ジャンル別、アーティストのアルファベット順)を更新しました。 最近の記事を新たに追加しました。お気に入りのアーティスト、アルバム等、INDEXからご覧いただければ幸いです。 INDEXページへ行くには、下のリンク、もしくは本ブログのトップページ右欄(フリーページ欄)からどうぞ。 アーティスト別INDEX~ジャズ編へ アーティスト別INDEX~ロック・ポップス編へ アーティスト別INDEX~ラテン系(ロック・ポップス)編へ下記ランキング(3サイト)に参加しています。応援くださる方は、各バナー(1つでも2つでもありがたいです)をクリックお願いします! ↓ ↓ にほんブログ村 : にほんブログ村人気ブログランキング: 音楽広場:
2011年01月21日
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ジャケットも超有名な、本領発揮のワン・ホーン盤 『ザ・コングリゲーション(The Congregation)』は、1928年生まれの米国のテナー奏者ジョニー・グリフィン(Johnny Griffin)のリーダー作。彼は、長らくヨーロッパ生活を送った後、2008年に80歳で亡くなっている。“小さな巨人(リトル・ジャイアント)”という異名をとるが、小柄ながら強烈なブロウをするところから、こんなニックネームがついた。 グリフィンは1956~57年にブルーノートに3枚のリーダー・アルバム(『イントロデューシング・ジョニー・グリフィン』、『ア・ブローイング・セッション』、そして本作)を残している。これら3枚は個人的にはいずれも甲乙つけがたいと思うが、おそらく、ブルーノート1500番台であること、見た目(ジャケットワーク)、ワン・ホーンであるということを勘案すると、総合的には本作がいちばん幅広い層に受けがよい。また、個人的にも、グリフィンを聴いてみたいという人には、『ザ・ケリー・ダンサーズ』と並んでこれが入りやすいのではないかと思う。ちなみに、上で触れたジャケットのデザインは若き日のアンディ・ウォーホールの作。 ジョニー・グリフィンのサックスの魅力は、豪快で熱い吹きっぷりにあると言われるけれども、本盤での彼は、とりわけ端正な節回し、さらに楽しく歌うかのような流れるプレイが印象的である。安定したリズム・セクションがこれを支えていることは言うまでもないが、特にベースのポール・チェンバースの安定度が高く、全体的なスイング感をうまく支え維持しているように思う。また、ピアノのソニー・クラーク(リーダー盤の過去記事(1) および(2) 参照)が随所で個性を発揮しており、ソロの場面だけでなく、グリフィンの“歌”のバックに回っている時も、ピアノ音がいい具合の“跳ね方”をしている。 アルバム表題曲の1.「ザ・コングリゲーション」はグリフィンのオリジナル曲で、本盤の収録曲中でも上で述べたグリフィンのテナー・サックスが特に体現されている。「ザ・コングリゲーション」というタイトルは“集会”とか“集合”といった語義があるが、ここでは宗教的に教会へ集まってくること(あるいはその人々)を指すらしい。米国の黒人を主体とする音楽要素が、こういう宗教的なバックグラウンドを持つことは、ゴスペルに限らず、広く認められるのかなあと思わされる(“日本人仏教徒”みたいな人間にはわかりづらいけれど)。同じくグリフィン作の4.「メイン・スプリング」も、1.と並んで本盤でのグリフィンらしさ全開の曲。個人的感想としてはこの2曲が本盤のハイライトだと思う。 その次にいいのが2.「ラテン・クォーター」。この曲はアルト奏者ジョン・ジェンキンス(この人については過去記事(1) ・(2) )の作で、ゆったりしながらも歌心溢れるグリフィンのプレイが聴きどころ。とはいえ、この手の曲調のものがずらり5曲並んでいたならば、いくらソニー・クラークのピアノがいいアクセントになっているとはいえ、それはそれで退屈なアルバムになっていただろう。通常はゆっくり演奏される3.「アイム・グラッド・ゼア・イズ・ユー」がテンポを上げて演奏され、アップテンポで一気に聴かせる5.「イッツ・ユー・オア・ノー・ワン」があることで、全体の流れが飽きのこない作りになっている。ちなみに、アナログでは1.と2.がA面、3.~5.がB面。じっくり聴かせるA面と抑揚のついたB面というのも、本アルバムの工夫の一つだったように思う。[収録曲]1. The Congregation2. Latin Quarter3. I’m Glad There Is You4. Main Spring5. It’s You Or No One[パーソネル・録音]Johnny Griffin (ts)Sonny Clarke (p)Paul Chambers (b)Kenny Dennis (ds)1957年10月23日録音。Blue Note 1580 【送料無料】ザ・コングリゲーション+1 下記ランキング(3サイト)に参加しています。 お時間の許す方は、ぜひぜひ“ぽちっと”応援をよろしくお願いします! ↓ ↓ ↓
2011年01月19日
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普段とは違ったキャノンボールの側面を垣間見る 個人的な趣味・趣向をあまり押し付けがましく述べるのもどうかとは思いつつも、筆者はオーケストラものが結構好きである。CD店などで見つけたらついつい手を伸ばして購入してしまう。無論、オーケストラ編成だからと言ってみんながみんないいわけではないし、実際問題、当たり外れもある。そんな体験から、気に入った盤を少しずつ紹介したいと思い立ってはいたのだが、本盤についてはなかなか文章が整わかった。けれども、本当を言えば、他のキャノンボール盤よりも先に紹介したいと思っていたほどお気に入りである。 キャノンボール・アダレイ(Cannonball Adderley)と言えば、『マーシー・マーシー・マーシー』のようなファンキー盤や、(実質的リーダーはマイルス・デイヴィスとはいえ名義上はキャノンボールの)『サムシン・エルス』のような有名盤がある。結論から先に言ってしまえば、キャノンボール・アダレイのサックスだけを堪能したいのなら、特に本盤にこだわる必要はない。むしろ、上記の有名盤やその他の盤(とくにワン・ホーンもの)を聴いた方が楽しめることは明白である。けれども、本盤『アフリカン・ワルツ(African Waltz)』は、バックのオーケストラとの絡みで聴くと、キャノンボールの通常のアルバムとは違う楽しみ方がある。そんなわけで、ある種、異色で違った楽しみのある1枚として捉えられる一枚というわけだ。 実際、1曲目からしてタイトル通り“何か違う(something different)”のである。その違いとは、無論、オーケストラ編成の編曲もの(編曲者にはオリヴァー・ネルソンも名を連ねている)であることによるのだけれど、その一方で、キャノンボールらしさが結構しっかりと出ている。大編成の中で彼のサックスが抑え込まれたり、委縮してしまったりするという事態もありえただろう。けれども、本盤はそうはなってしまわずに、キャノンボール持ち前の流れるような自由奔放さが失われずに編曲の中にうまく組み込まれているといった印象である。この観点から筆者が気に入っているのは、1.「サムシング・ディファレント」、2.「ウエスト・コースト・ブルース」、7.「ブルー・ブラス・グルーヴ」、9.「レター・フロム・ホーム」といったところ。 フルートやコルネット、チューバ、さらにはコンガやボンゴというふうに楽器にもバリエーションがあるのが、一聴したところの“何か違う”部分ではあるのだけれども、8.「ケリー・ブルー」を聴くに至って、その“違い”が確認される。やはり編曲の妙がその“違い”の根本的な源なのである。ためしにウィントン・ケリーの元の演奏と聴き比べてみるとよい。ともあれ、たまには編曲ものの中でうまく生きたサックス奏者の演奏を楽しむというのも悪くない、そう思わせてくれる1枚である。 [収録曲]1. Something Different 2. West Coast Blues3. Smoke Gets in Your Eyes 4. Uptown5. Stockholm Sweetnin' 6. African Waltz7. Blue Brass Groove 8. Kelly Blue 9. Letter from Home 10. I'll Close My Eyes 11. This Here [パーソネル、録音]Cannonball Adderley(as), Nat Adderley(cor), Arnett Sparrow(tb), Arthur Clarke(bs), Bob Brookmeyer(tb), Charlie Persip(ds, per), Wynton Kelly(p), Sam Jones(b), Oliver Nelson(ts, fl), Ray Barretto(bongo, conga), Babatunde Olatunji(bongo, conga)ほか 録音: 1961年2月28日(6., 8.)、1961年5月9日(1.~3., 7., 9.)、1961年5月15日(4., 5., 10.) 下記3つのランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、ひとつでも“ぽちっと”応援いただけると嬉しいです! ↓ ↓ ↓
2011年01月17日
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ロッドの新たな出発点となった転機作 ロッド・スチュワート(Rod Stewart)は、1960年代末にジェフ・ベック・グループで頭角を示し、70年代に入るとフェイセズとソロ活動を並行させながら、キャリアを重ねていった。そんなロッドは、1975年に英国から米国へと活動拠点を移し、レコード会社もマーキュリーからワーナー・ブラザーズへと移籍して新たな一歩をスタートさせた。その第一作がこの『アトランティック・クロッシング』であり、一般に全盛期とされる70年代後半のスーパースターとしてヒット満載の時代の幕開けとなる。 ジャケットは一見するとスーパースター、ロッドが踊っているかのようなよくわからないデザインだが、裏ジャケと続き画になっているので開いて全体を見るとわかりやすい。地球を一跨ぎしてイギリスからアメリカへ渡ってきたという、アルバム・タイトル通り“大西洋横断”の図になっている。 レコード時代のA面は“ファスト・サイド(Fast Side)”、B面は“スロウ・サイド(Slow Side)”と命名されており、このアイデアは当時の恋人(スウェーデン出身の女優ブリット・エクランド)の発案だったらしい。その名称の通り、1.~5.はテンポにのったロック・ナンバー、6.~10.はスロー曲で、LP盤の表面と裏面でイメージが異なるという構成である。 上で述べたように活動拠点を米国に移したのは、イギリスの重税を逃れるためだったと言われるが、レコーディングそのものもそれ以前とは大きく変化した。このアルバムでは、NY、マイアミ、ロスなど米国5か所でレコーディングを行っている。とりわけ、レコーディング地のうちソウルやR&Bの聖地マッスル・ショールズでの録音が中心で、ロッド自身もここでの録音を望んでいたらしい。そうした新しい環境の下で、アメリカのスタジオ・ミュージシャンを多く迎えてこの作品が録音された。米国に移って心機一転の気分の中、とりわけ南部の香りを感じながら、ロッドにとってはさぞかし気持ちよく歌える録音だったのではないかと想像する。 前半5曲はスピードに乗った熱唱が印象的。これらの中では、1.「スリー・タイム・ルーザー」、4.「明日なきさすらい(Drift Away)」、5.「ストーン・コールド・ソウバー」が優れている。後半のスロウ・サイドもゆったりとした歌唱力が存分に発揮されていて佳曲ぞろいである。10.「セイリング」は言わずと知れた超名曲だが、これ以外では、6.「もう話したくない(I Don’t Want To Talk About It)」と9.「スティル・ラヴ・ユー」が個人的には好きだ。[収録曲]1. Three Time Loser2. Alright For An Hour3. All In The Name Of Rock´n Roll4. Drift Away5. Stone Cold Sober6. I Don't Want To Talk About It7. It's Not The Spotlight8. This Old Heart Of Mine9. Still Love You10. Sailling1975年リリース。関連過去記事: ロッド・スチュワート 『ガソリン・アレイ』 ロッド・スチュワート 「ダウンタウン・トレイン」 【Joshin webはネット通販1位(アフターサービスランキング)/日経ビジネス誌2012】【送料無料】アトランティック・クロッシング/ロッド・スチュワート[CD]【返品種別A】 下記ランキング(3サイト)に参加しています。 お時間の許す方は、“ぽちっと”クリックで応援をよろしくお願いします! ↓ ↓ ↓
2011年01月15日
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初めて聴いた衝撃は忘れ難い カサンドラ・ウィルソンは、それ以前からも活動はしていたものの、1990年代にブルーノートからメジャー作を出したことで一気に人気を獲得した女性ジャズ・シンガーである。これまでに二度のグラミーに輝いており、それらはジャズ・ヴォーカルの部門での受賞であるが、型にはまったジャズ・シンガーという感じではない。レパートリーは幅広く、自作曲もあれば、ロックやポップスからブルースの曲まで多様である。 上に述べた“ブルーノートからのメジャー作”の第1弾がこの『ブルー・ライト(Blue Light ’Til Dawn)』である。そしてまた、筆者が最初にカサンドラ・ウィルソンを聴いたのも、本盤であった。その時の衝撃はずっと忘れられないものであり続けている。何よりものっけからの情感豊かでかつドスの利いた迫力の声。彼女の声は女性にしては低い音域で、いわば“低音の魅力”が売りの一つなのだが、何よりもその声には迫力がある。ちょっと大袈裟に言えば、睨みつけられて動けなくなったような感覚に陥り、気がついたらそのまま聴き続けているという感じだ。 その衝撃を味わったのは、曲順通り、冒頭1曲目の「ユー・ドント・ノウ・ホワット・ラヴ・イズ」。歌ではビリー・ホリデイ(『レディ・イン・サテン』)、演奏ではマイルス・デイヴィス(『ウォーキン』)やソニー・ロリンズ(『サキソフォン・コロッサス』)など数多くの好演で知られる。この曲は、ジャズのスタンダードとしてすっかり定着しているわけだが、それを上記のような迫力の声で堂々とやられて、聴き手のこちらとしてはビビってしまったと同時に、その凄みに圧倒されたということであった。 一般にこのアルバムの聴きどころと言われるのは、2.「カム・オン・マイ・キッチン」と12.「アイ・キャント・スタンド・ザ・レイン」である。前者は、ブルース奏者ロバート・ジョンソン(いわゆる“ロバジョン”)の曲で、これを解釈したカサンドラ・ウィルソンのブルージーさがわかると同時に、古いブルースの原曲をいかに自分なりに消化しきっているかが明瞭に出ている(同じことは、やはりロバート・ジョンソン作の5.「ヘルハウンド・オン・マイ・トレイル」についても言える)。対して、後者の「アイ・キャント・スタンド・ザ・レイン」は、上述の1.「ユー・ドント・ノウ・~」と同様の衝撃的歌唱で、その迫力には“参りました”としか返す言葉がない。 変わったところでは、ジョニ・ミッチェルの6.「ブラック・クロウ」やヴァン・モリソンの10.「テュペロ・ハニー」なども取り上げている。曲目だけみると雑多なように見えてしまうが、実際に聴いてみると、そのトーンは統一されている。つまりは、カサンドラ自身のルーツとなっている音楽を彼女色の統一したトーンで編んだといったところか。後のアルバムの中には、より統一感と完成度にすぐれたものもある(言い換えると、本盤にはまだ未完成で粗削りな部分も含まれる)。しかし、個人的な体験も含め、最初の衝撃という意味で本盤は忘れ難い名盤だという感想を持っている。[収録曲]1. You Don't Know What Love Is2. Come On In My Kitchen3. Tell Me You'll Wait For Me4. Children Of The Night5. Hellhound On My Trail6. Black Crow7. Sankofa8. Estrellas9. Redbone10. Tupelo Honey11. Blue Light 'til Dawn12. I Can't Stand the Rain1993年リリース。 【中古】 ブルー・ライト /カサンドラ・ウィルソン 【中古】afb 下記ランキング(3サイト)に参加しています。 お時間の許す方は、“ぽちっと”クリックで応援をよろしくお願いします! ↓ ↓ ↓
2011年01月13日
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“聴かずに死ねない”超名曲 90年代のシャニース(Shanice)、ジャネット・ケイ、あるいは国内アーティストではアン・ルイス、今井美樹、MISIA、平井堅…。カバーを挙げれば枚挙にいとまないのがこの「ラヴィン・ユー(Lovin’ You)」という曲である。原曲は1974年にミニー・リパートンがセカンド・アルバムで発表し、シングルとしては翌年に大ヒットしたもの。 ミニー・リパートンは1947年シカゴ生まれで、幼い頃から音楽に関わってきた。一度は別の芸名でデビューしたがヒットには恵まれず、1974年にスティーヴィー・ワンダーのプロデュースによる『パーフェクト・エンジェル』および収録曲「ラヴィン・ユー」で人気シンガーとなった。しかし間もなく乳癌を発症し、1979年に31歳の短い生涯を閉じた。 上で何人かの名を挙げたように、この曲のカバーは五万と存在する。けれども、筆者が耳にしたことがある限り、ほとんどどれもがオリジナルのミニー・リパートンのものから大きく離れられないという印象である。つまりは、オリジナルの殻を破ることができず、結果的に元のバージョンを越える出来には仕上がっていない。特にサビに含まれるハイトーンのあの部分はやはり誰にも真似できない(どういうわけかカバーするシンガーは真似たくなってしまう傾向にあるようだ)。いわゆる“金切り系ヴォイス”なのだが、ミニー・リパートンのそれは、何とも不思議な“透き通った金切り系ヴォイス”で、5オクターブ以上を操るヴォーカルの本領発揮である。 さらに“どのバージョンがよいか”という観点から話を続けると、ミニー・リパートン自身、ヒット曲となった「ラヴィン・ユー」を何度も再演し歌っているが、これまた筆者が聴いた限りでは、オリジナル録音のバージョンには及ばない。オリジナル録音のバージョンでは、基本的に素朴な歌い方で、仰々しさがなく(そう言えば、この“仰々しさ”が後世のカバーでは悪い意味で耳につくことが多い)、一つ一つのフレーズを丁寧に発音・発声しながら歌にのせている。元々の曲が名曲であるのに加えて、これはまさに名唱でもあるのだと聴くたびに思う。 カバーの話をしたのでついでに付け加えておくと、個人的に気に入ったカバー・バージョンが(今のところ)1つだけある。1980年代のEPO(エポ、知らない方のために念のため断わっておくと、本名・佐藤榮子さんというれっきとした日本人シンガーソングライターである)のものがそれで、彼女のアルバム『POP TRACKS』(1987年)に収録されている。成功の理由は、キーを変えて、例の金切り部分は全然真似ようともせず、完全に自分流に歌ってしまっている。むしろこのくらい大胆に変えて(=自己流に消化して)やってくれた方がすっきりする。元の曲そのものが十分名曲なのだから、アレンジが変わっても、多少の改変が加わっても、やはり名曲は名曲。でも、最終的にはミニー・リパートンの、しかも彼女自身のオリジナルのバージョンは“聴かずに死ねない”の形容に値するので、この名曲にどこかで何かの縁で知り合った人は、ぜひオリジナルを一聴いただきたい。[収録アルバム]Minnie Riperton / Perfect Angel (1974年)Minnie Riperton / The Best of Minnie Riperton (1981年、ベスト盤) 【楽天ブックスならいつでも送料無料】永遠の詩~ベスト・オブ・ミニー・リパートン [ ミニー・リパートン ] 下記ランキング(3サイト)に参加しています。 お時間のある方、応援くださる方は、“ぽちっと”よろしくお願いいたします! ↓ ↓ ↓
2011年01月11日
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“つぶやきロッカー”ルーの代表作の一つ ルー・リード(Lou Reed)は、1942年、ニューヨークはブルックリン生まれのロック・アーティスト。1965年の結成から1970年の脱退までヴェルヴェット・アンダーグラウンドの主要メンバーとして活動し、脱退後はソロ・アーティストに転向。以降、1996年にはロックの殿堂入りを果たし、現在に至るまで根強い人気を誇るロッカーである。1989年発表の本盤『ニューヨーク(New York)』はそんな彼の代表作の一つとしてよく名が挙げられるアルバムである。 ルー・リードの大きな特徴と言えば、つぶやくようなヴォーカル。平たく言ってしまえば、“歌う”よりも“語る”という感じで、初めて聴くと詩の朗読か、はたまた、悪く言う人の言葉を借りれば、“お経”のような響きすらする。“つぶやく”と言えば、一昔前なら“つぶやきシロー”、今時ならツイッターを思い浮かべる人もいるかもしれない。ルー・リードは、これらいずれとも決定的に違う。前二者に共通するのはただ何かひとこと短く言い放つということである。その一言が人々に受け入れるか否かという、いわば一発芸である。これに対し、ルー・リードの作品は、練られ考え込まれた一言一言のつぶやきが発せられ、それらがつながり、一つのストーリーとなり、結果、大きな語りを構成する。つまり、ルー・リードというアーティストは詩人であり、偉大な語り部ということができる。実際、『ニューヨーク』には、“1冊の本もしくは1編の映画のように58分(14曲)で聴かれることを意図したもの”との注意書きがわざわざなされている。 上記のように“語り”の要素が強いということは、それだけ詞の内容が表わすメッセージへの比重が高くなるということでもある。つまり、聴き手がその語りを理解し、そこに入り込むには相応の時間がかかる。言い換えれば、ルー・リードの音楽は、聴いてすぐに好きになるタイプの音楽というのではなく、私たち非英語圏のリスナーにとってはなおさらそうである。正直、この人の詞は文学的な表現も多く、個人的には、辞書を片手に理解に難儀するが、その意味するところを知って“なるほど”ということが多い。ひとたびその語りの世界に入り込んでしまうと熱心なファンになってしまって抜け出せなくなる人が多いという。ルー・リードが熱心なファン層を抱えている理由は、きっとこの詩的世界にあるのだろう。 ソロだけを見ても既に40年という長いキャリアを持つルー・リードだが、その40年の中でも『ニューヨーク』は、彼の代表作として挙げられることが多い。かつての退廃的雰囲気はだいぶ引っこんでいるが、その分、ストレートなロック色が強いため、彼の作品の中では比較的とっつきやすい方だと思う。収録曲はいずれもニューヨークという街の断章で、ジャーナリスティックな批判的視線を投げかけている。上のライナーの文面にあるように、全編通して聴くべきものではあろうが、詞が印象的なのは、1.「ロミオ・ハド・ジュリエット」、9.「シック・オブ・ユー」、10.「ホールド・オン」(ただし歌詞はすべて消化しきってはいないので、今後別のお気に入りがでてくるかも)。曲調含め個人的に特にかっこいいと感じるのは、1.「ロミオ・ハド・ジュリエット」、3.「ダーティ・ブルヴァード」、5.「ゼア・イズ・ノー・タイム」、13.「ストローマン」といったところ。[収録曲]1. Romeo Had Juliette2. Halloween Parade3. Dirty Blvd.4. Endless Cycle5. There Is No Time6. Last Great American Whale7. Beginning of a Great Adventure8. Busload of Faith9. Sick of You10. Hold On11. Good Evening Mr. Waldheim12. Xmas in February13. Strawman14. Dime Store Mystery1989年リリース。 【楽天ブックスならいつでも送料無料】NEW YORK [ ルー・リード ] 下記ランキング(3サイト)に参加しています。 お時間の許す方は、“ぽちっと”クリックで応援をよろしくお願いします! ↓ ↓ ↓
2011年01月10日
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年末年始をまたぎましたが、INDEXページを更新しました。 INDEXページでは、過去記事をジャンル別・アーティストの名前順で列記してリンクしています。お気に入りのアーティスト、気になる曲やアルバムを探してご覧いただければ幸いです。 INDEXページへは、下のリンク、もしくは本ブログのトップページ右欄(フリーページ欄)から入ることができます。 アーティスト別INDEX~ジャズ編へ アーティスト別INDEX~ロック・ポップス編へ アーティスト別INDEX~ラテン系(ロック・ポップス)編へ当ブログは、下記3サイトのランキングに参加しています。お時間の許す方は、各バナー(1つでもありがたいです)をクリックして応援願います! ↓ ↓ にほんブログ村 : にほんブログ村 人気ブログランキング: 音楽広場:
2011年01月08日
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スティーヴ・キューンのヴィーナス盤、『亡き王女のためのパヴァーヌ』と『キエレメ・ムーチョ』のジャケット写真です。 後者の記事にも記したように、“中途半端にエロい”、“あと一息、芸術的になりきれていない”という個人的感想から、どちらもいまひとつ好みではありません。 Steve Kuhn スティーヴ・キューン / 亡き王女のためのパヴァーヌ 【CD】 【送料無料】キエレメ・ムーチョ/スティーブ・キューン・トリオ[CD][紙ジャケット]【返品種別A】【smtb-k】【w2】 “ジャケットの美しさが名盤度を高める”という発想が悪いとは思いませんし、実際、愛着のあるジャケットというものは(ジャズがロックか関係なく)存在します。 けれども、それを曲解すると、無理にアーティスティックなジャケット制作を志向=試行するという発想に行き着いてしまうのかもしれません。ジャズに関して言うと、評論家陣がこぞって往時のブルーノート盤のジャケット・デザインを褒めたたえたというのも、こうした“信仰”の一因と言えそうです。 念のため強調しておきますが、これら2枚はジャケットの好き嫌いに関係なく名盤です。ジャケットに愛着を感じるに越したことはありませんが、最終的には“中身”の問題なわけですから。 そのうち“ジャケットはいまいちだが中身の素晴らしい名盤選”なんて企画をやってみるっていうのもいいかもしれませんね…。 下記3つのランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、ひとつでも“ぽちっと”応援いただけると嬉しいです! ↓ ↓ ↓
2011年01月06日
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クラシックかラテンか~スティーヴ・キューンの力量(その2) 本盤『キエレメ・ムーチョ(Quiéreme mucho)』は2000年に吹き込まれたアルバム。スペイン語のアルバム・タイトルからも想像できるように、いわゆるラテン曲集といった趣である。ジャケットは、ヴィーナス・レーベルからリリースされた他の何枚ものアルバムと同様に、趣味がよくない。何がよくないかって言うと、中途半端にエロいのである。実は、先回の『亡き王女のためのパヴァーヌ』についても同じようなことが言えるのだけれど、本盤のジャケは、裸の女性がビーチで寝そべっていて、しかもお尻丸出しというものである。もうちょっと趣向を凝らせば芸術的に決まるのかもしれないが、どうもヴィーナスのジャケットの多くは筆者の好みに合わない。芸術的に行きたいのだけれども、芸術になりきれていない感じのジャケット・デザインという感想を捨てきれないでいる。こういう発想は、ジャケット・デザインが名盤度を上げるという、かつてのブルーノートを褒めちぎった論者たちの負の遺産なんだろうなあ…。 さて、そんなジャケットの良し悪しはさておき、内容面に関しては、この『キエレメ・ムーチョ』はなかなか興味深い。ラテンを解釈したジャズ・アルバムなんて山のようにあるわけだけれども、このアルバムは変な歩み寄りを感じさせないところに好感が持てる。言い換えれば、演奏者が無理してラテンに近づいていくのではなく、ラテンを自分なりに解釈するという姿勢が感じ取られる。無論、その結果としてできあがる音楽は、“スティーヴ・キューンの音楽”であって、“(スティーヴ・キューン風味の混ざった)ラテン音楽”ではない。この点こそが本盤を優れたアルバムにしているポイントだと思う。 形式的なことを言うと、ラテンのリズム(しばしばラテンの打楽器)を組み込んで“どうだ、ラテンだ”という演奏はごまんとある。本盤が違うのは、“ラテン曲をやります、でも4ビートで”的な発想である。つまり、演奏者自身が自分の演奏をラテンにあわせたり、摺り寄せていくというのではなく、スティーヴ・キューンがやっていることはそれとはまったく逆の発想に立っている。つまりは、ラテンの曲を自分自身に引き寄せる、そういうスタンスなのである。 スティーヴ・キューンはピアノ演奏そのものの実力もさることながら、音楽家として、既存楽曲の解釈者として非常に優れていると言えるだろう。前回の『亡き王女のためのパヴァーヌ』とあわせて本盤を聴くと、そのことがよくわかる。クラシック曲を解釈・演奏した『亡き王女のためのパヴァーヌ』とラテン曲を取り上げて演じた本盤『キエレメ・ムーチョ』を一緒に聴くことは普通あまりないかもしれない。そもそも両盤は、同じ演奏者だからという理由で(つまりはスティーヴ・キューンという演奏者のファン)しか、重なり合わないからだ。演奏されている楽曲の趣向でアルバムを買う人にとっては、両方並べて聴かれる(購入される)可能性が低い組み合わせである。けれども、筆者の見方からすれば、この2枚は瓜二つなのである。ジャズの枠に収まらない既存の名曲がジャズとして提示される。その提示の際の“魔法”を見事に操るのがスティーヴ・キューンの力量ということになるのだろう。[収録曲]1. Andalucía (The Breeze and I)2. Bésame mucho (Kiss Me More)3. Siempre En Mi Corazón (Always In My Heart)4. Duerme (Time Was)5. Quiéreme Mucho (Yours)6. Tres Palabras (Without You)[パーソネル・録音]Steve Kuhn (p)David Frinck (b)Al Foster (ds)2000年2月20日録音[関連記事] クラシックかラテンか~スティーヴ・キューンの力量 その1(スティーヴ・キューン・トリオ『亡き王女のためのパヴァーヌ』) 【送料無料】キエレメ・ムーチョ [ スティーブ・キューン・トリオ ] 下記ランキング(3サイト)に参加しています。 お時間の許す方は、“ぽちっと”クリックで応援をよろしくお願いします! ↓ ↓ ↓
2011年01月06日
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クラシックかラテンか~スティーヴ・キューンの力量(その1) スティーヴ・キューン(Steve Kuhn)は、1938年ニューヨーク生まれで現在も活動し続けるジャズ・ピアニスト。若い頃からケニー・ドーハム、ジョン・コルトレーン、スタン・ゲッツ、アート・ファーマーといった名だたるジャズ・ミュージシャンと共演してきた。白人ピアニストと言う意味では、ビル・エヴァンスに続くと目された奏者である。かつては孤高のミュージシャンというべき近づき難さを持っていたが、年齢を重ね、大衆的なテーマを取り上げて日本のヴィーナス・レーベルに多く作品を残すことで、親しみやすいミュージシャンへと変貌してきた。これまでに彼が残した数多いアルバムのうち、筆者が聴いた枚数はしれているが、ひとまずは意外な組み合わせの2枚を今回と次回の2項に分けて取り上げてみたい。 本盤『亡き王女のためのパヴァーヌ(Pavane For A Dead Princess)』は、2005年に日本のレーベル(ヴィーナス)によって吹き込まれた。収録曲を見ると、ショパン、ラヴェル、チャイコフスキー、ブラームス…と、クラシック音楽の大作曲家たちの名が並んでいる。つまり、本盤はクラシックの小品集という企画である。押し並べて言うと、個人的にはクラシック曲のジャズ化作品はあまり好きではない。なぜかと言うと、演奏者(ジャズ側)の、演奏曲(クラシック側)に対する敬意や気後れが演奏に反映されてしまうということが起こりやすいからだ。“敬意”というのは、聞こえはいいが、早い話、クラシック演奏の枠から抜けられない演奏になってしまうということである。“気後れ”の方も、クラシックよりも歴史が短い(すなわち、後進の)大衆音楽であるジャズ側が、伝統あるクラシック音楽に追いつこうという気概が空振りするケースのことをここでは言っている。その結果、ジャズをジャズたらしめている自由さが損なわれてしまうという事態を引き起こしやすい。 そこで本盤なのだが、ここでは、そうしたリスペクトが強すぎたり、コンプレックスが表に出てきたりするというマイナス効果が生じていない。しかも演奏曲の中には、表題曲2.「亡き王女のためのパヴァーヌ」や7.「リベリイ」のようにジャズ・ナンバーとしての解釈のイメージがある程度伴うものもあるが、他方で、5.「白鳥の湖」や11.「ララバイ」のように、“誰でも知っているクラシック曲”も含まれる。 本盤は、ジャズらしさと原曲のよさの微妙なバランスの上に成立している。ジャジーさやスイング感が満載ではなく、微妙なバランスで登場するところに、その成功の要因があるように思う。ぐぐっと惹きつけてジャズらしく盛り上がったところで、ふっと原曲のテーマに戻り、“ああ、クラシック曲だったのだ”と聴き手に思い出させる。そのバランス感覚がいい。曲によってはベースがやや暴走気味だけれども、そこは御愛嬌。トータルでは、やはり上記のバランスの妙の勝利である。この見方からすると、1.、3.、5.、8.、9.といったあたりが特によく出来ていると感じる。いずれにせよ、クラシック曲のジャズ解釈が難しい中、これだけの解釈・演奏が提示できるというのは、スティーヴ・キューンの才能・力量の高さを反映しているということなのだろう。[収録曲]1. I'm Always Chasing Rainbows ~Fantasy Impromptu (F. Chopin)2. Pavane For A Dead Princess (M. Ravel)3. Moon Love ~Symphony#5 2nd Movement (P. Tchaikovsky)4. One Red Rose Forever ~Ich Lieve Dich (E. Grieg)5. Swan Lake (P. Tchaikovsky)6. Nocturne In E♭Major Op.9, No.2 (F. Chopin)7. Reverie(C. Debussy)8. Prelude In E Minor Op.28, No.4 (F. Chopin)9. Full Moon And Empty Arms ~Piano Concerto#2 3rd Movement (S. Rachmaninov)10. Pavane (G. Faure)11. Lullaby (J. Brahms)[パーソネル・録音]Steve Kuhn(pf)David Finck(b)Billy Drummond(d)録音:2005年8月18~19日[関連記事] クラシックかラテンか~スティーヴ・キューンの力量 その2(スティーヴ・キューン・トリオ『キエレメ・ムーチョ』) [CD] スティーヴ・キューン・トリオ/亡き王女のためのパヴァーヌ 下記ランキング(3サイト)に参加しています。 お時間のある方、応援くださる方は、“ぽちっと”よろしくお願いいたします! ↓ ↓ ↓
2011年01月05日
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デュラン・デュランから生まれたサイド・プロジェクト・アルバム デュラン・デュラン(Duran Duran)は、1980年代、ワムやカルチャー・クラブとともにヒットチャートを賑わせた英国のポップ/ニューウェーヴ・バンド。本格的なビデオクリップを制作しMTVで人気を博した、いわゆる“第二次ブリティッシュ・インヴェージョン”の旗手であった。デュラン・デュラン本体の結成は1978年で、メンバーを変えながらも、現在も活動中のバンドである。 そのデュラン・デュランが人気絶頂の1985年、二つのサイド・プロジェクトが展開された。一つはアンディ・テイラーとジョン・テイラーが尊敬するロバート・パーマーに声をかけて実現したロック・バンド、パワー・ステーション(The Power Station)。もう一つは、サイモン・ル・ボン、ニック・ローズ、ロジャー・テイラーによるアーケイディア(Arcadia)である。前者がデュラン・デュランとは異なるロック志向のプロジェクトであったのに対し、後者はデュラン・デュランのサウンドを踏襲し、多彩なゲストを迎えてアルバム制作を行った。 本盤『情熱の赤い薔薇(So Red The Rose)』は、そのアーケイディアが残した唯一のアルバムである。バンド名は、17世紀フランスの画家ニコラ・プーサンの代表作『アルカディアの牧人たち』にインスパイアされた名称という(アルカディア=楽園、理想郷の英語読みがアーケイディア)。デュラン・デュランと比べて少々シュールでアヴァンギャルドな作りで、ジャケットも趣味が分かれそうな個性的な絵が採用されている。余談ながら、このジャケット・デザインは輸入盤、国内盤、再発盤など少しづつ違うそうでジャケットデザインの人物の顔のホクロの有無、アルバムタイトルが絵の中に含まれているのとそうでないのがあるようだ。 さて、アルバムの中身だが、まず目を引くのが様々なゲスト。デヴィッド・ギルモア(ピンク・フロイド)やスティング、アンディ・マッケイ(ロキシー・ミュージック)、さらに、日本からはギタリストの土屋昌巳(一風堂)が参加し、サウンドプロデュースにも結構関わったとのことである。また、ジャズ系のハービー・ハンコックなども参加している。意外なことに、これらの個々のゲスト・プレイヤーの個性は特に目立っていない。実はこの点こそが本盤の見事な部分ではないかと筆者は思っている。言い換えると、それだけアーケイディアというバンドの音作りを徹底し優先しているから個々のプレーヤーの個性が過剰に強調されない結果となった。裏を返せば、ゲスト陣はそれに応えられるだけの、十分に懐の深いミュージシャンたちだったということになる。 ニュー・ウェーヴ、ニュー・ロマ(ニュー・ロマンティック)というイメージだけで語ると何だか古臭い感じがするかもしれないが、音自体は繊細に作り込まれていて、今聴いても細かなところで新しい発見が多い。当時はパワー・ステーションの方が一般には注目されて、実際にヒットし、その陰でアーケイディアはさほど売れはしなかった(筆者もラジオ等では圧倒的にパワー・ステーションのほうをよく耳にした記憶がある)。けれども、四半世紀経った今から音楽的評価を考えると、アーケイディアは実に質の高いことをやっていたのだなと思う。デュラン・デュランを80年代前半のイメージから“ちゃらちゃらしたバンド”と思って避けている人がいるならば、そうした向きにも本盤はお勧めだ。 ちなみに、シングルとして売れたのは1.「エレクション・デイ」(全米6位、全英7位)。ただし、個人的な好みはシングル・カットされたが大してヒットしなかった二曲、3.「グッバイ・イズ・フォーエヴァー」(全米33位)と7.「ザ・プロミス」(全英37位)である。[収録曲]1. Election Day2. Keep Me in the Dark3. Goodbye Is Forever4. The Flame5. Missing6. Rose Arcana7. The Promise8. El Diablo9. Lady Ice1985年リリース。 Arcadia / So Red The Rose 輸入盤 【CD】 下記ランキング(3サイト)に参加しています。 お時間のある方、応援くださる方は、“ぽちっと”よろしくお願いいたします! ↓ ↓ ↓
2011年01月03日
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新年が明けました。本年もご愛顧のほどよろしくお願いし申し上げます。音楽ブログなので、音楽絡みの新年の抱負を3つほど挙げておきます。1)無理することなくマイペースでこのブログを続けていく。 去年の初めに考えたことと同一ですが、張り切って毎日ひたすら書くようなことはせず、2~3日に1度でもいいから年間を通してコンスタントに継続したいと思います。2)CDを買いすぎない(そろそろ収納スペースにも支障が出てきました…)。 こんなこと言いながらお小遣いが入ったら買いに行ってしまうのかもしれませんが、今年はなるべく控えめにいきたいです。3)未知のジャンルも進んで聴くようにする。 嫌いなものや性に合わないものを無理にというわけではありません。でも、年齢とともに頭がかたくなりそうなので、柔軟に行こうという意味です(と言いながら、いまこれを書きながら聴いているのは『ユタ・ヒップ・ウィズ・ズート・シムズ』だったりするので先行き不安ですが)。何はともあれ、本年も変わらぬ応援をよろしくお願いいたします。 下記ランキング(3サイト)に参加しています。 お時間のある方、応援くださる方は、“ぽちっと”よろしくお願いいたします! ↓ ↓ ↓
2011年01月01日
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