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コンビニ強盗に失敗し逃走していた伊藤は、気付くと見知らぬ島にいた。江戸以来外界から遮断されている“荻島”には、妙な人間ばかりが住んでいた。嘘しか言わない画家、「島の法律として」殺人を許された男、人語を操り「未来が見える」カカシ。次の日カカシが殺される。無残にもバラバラにされ、頭を持ち去られて。未来を見通せるはずのカカシは、なぜ自分の死を阻止出来なかったのか?卓越したイメージ喚起力、洒脱な会話、気の利いた警句、抑えようのない才気がほとばしる!第五回新潮ミステリー倶楽部賞を受賞した伝説のデビュー作、待望の文庫化。 第五回新潮ミステリー倶楽部賞を受賞した伝説のデビュー作『重力のピエロ』で強烈にひきつけられ、続いて『オーデュボンの祈り』を読みました。こういう話をシュールというのですねぇ。シュール・・・、「現実離れしたさま」、「普通の理屈では説明できないさま」、「難解で奇抜なさま」、「幻想的なさま」、「意外なさま」など、非日常的なものを指す言葉。語源は、20世紀前半の前衛芸術運動であるシュールレアリスム(シュールレアリズム)から。使用される状況に合わせて適宜「奇抜」「不条理」「不可解」などに言い換えて訳し分ける必要がある。「この村には、欠けているものがあり、外からやってくる者がそれを持ってくることが100年以上前から決められている。」これが気になって読み進めずにはいられません。オチはどうなるのだ?と。伊坂作品に触れ始めたばかりですが、どうやらいろいろにリンクしていて、似たテーマがありますね。・しゃべるカカシの話が『ラッシュライフ』で出てくる。・『ラッシュライフ』のある人物が『重力ピエロ』に再登場する。・『オーデュボンの祈り』の主人公はコンビニ強盗未遂犯・『陽気なギャングは地球を回す』で奇抜な銀行強盗を企む個性的な泥棒たちが勢ぞろいする。・神と泥棒と芸術家が出てきて、みんなジャズや映画や動物が好き。・ワケありの過去。・嘘つきでとうとうと演説する。・カオス理論にDNA二重らせんに進化論。・レイプといじめと人類の傲慢を憎む。ぜったいゆるさない。 (あとがきより)「不条理」小説というと、どこか異界のはなし、常識破りなはなし、よって身近に感じられず、途中挫折しそうですが、なぜか、伊坂作品は、とッぴな設定が気にならず、人間のあり方や大事なテーマについてがスッと入ってきます。中一の息子にオススメしたい、我が家の本棚に加えたい一冊で、図書館で借りて読んだあと、古書店で購入。伊坂作品はどれも、これから集めたいです。 『死神の精度』 『重力ピエロ』 こんなはなし既存のミステリーの枠にとらわれない大胆な発想で、読者を魅了する伊坂幸太郎のデビュー作。レイプという過酷な運命を背負う青年の姿を爽やかに描いた『重力ピエロ』や、特殊能力を持つ4人組の強盗団が活躍する『陽気なギャングが地球を回す』など、特異なキャラクターと奇想天外なストーリーを持ち味にしている著者であるが、その才能の原点ともいえるのが本書だ。事件の被害者は、なんと、人語を操るカカシなのである。 コンビニ強盗に失敗した伊藤は、警察に追われる途中で意識を失い、見知らぬ島で目を覚ます。仙台沖に浮かぶその島は150年もの間、外部との交流を持たない孤島だという。そこで人間たちに崇拝されているのは、言葉を話し、未来を予知するというカカシ「優午」だった。しかしある夜、何者かによって優午が「殺害」される。なぜカカシは、自分の死を予測できなかったのか。「オーデュボンの話を聞きなさい」という優午からの最後のメッセージを手掛かりに、伊藤は、その死の真相に迫っていく。 嘘つきの画家、体重300キロのウサギさん、島の規律として殺人を繰り返す男「桜」。不可思議な登場人物たちの住む島は、不条理に満ちた異様な世界だ。一方、そんな虚構に比するように、現実世界のまがまがしい存在感を放つのが、伊藤の行方を執拗に追う警察官、城山である。本書が、荒唐無稽な絵空事に陥らないのは、こうした虚構と現実とが絶妙なバランスを保持し、せめぎあっているからだ。本格ミステリーの仕掛けもふんだんに盛り込みながら、時に、善悪とは何かという命題をも忍ばせる著者の実力は、ミステリーの果てしない可能性を押し開くものである。(中島正敏) Amazon.co.jpより
2008年02月28日
女子大生と円紫師匠の名コンビここに始まる。爽快な論理展開の妙と心暖まる物語。「私たちの日常にひそむささいだけれど不可思議な謎のなかに、貴重な人生の輝きや生きてゆくことの哀しみが隠されていることを教えてくれる」と宮部みゆきが絶賛する通り、これは本格推理の面白さと小説の醍醐味とがきわめて幸福な結婚をして生まれ出た作品である。●収録作品「織部の霊」「砂糖合戦」「胡桃の中の鳥」「赤頭巾」「空飛ぶ馬」このミステリがすごい1989年版 国内編 第2位北村薫のデビュー作です。どの一遍もごく日常的な観察の中から、不可解な謎が見出される。本格推理小説が謎と論理の小説であるとするなら、殺人やことさらな事件が起こらなくとも、立派に作品は書ける。勿論、これは凡百の手の容易になし得るものではないが。北村氏の作品は読後に爽やかな印象が残り、はなはだ快い。それは、主人公の女子大生や円紫師匠の、人を見る目の暖かさによるのだろう。 (あとがきより)この<日常の謎>ミステリが、市民権を得たのは、この作品から。殺人事件などの犯罪は無い。身近な謎を扱う潮流を世につくりました。当時作者は覆面作家。女子大生の生活や性格が活き活きと描かれているので、本物の女子大生が著者ではないかと思われていたそうですね。「私」は、国文学部の学生ですが、非常に文学に詳しい女子大生で、ありえない設定の気もしました。映画やお芝居や落語に旅行と、随分散財しています。アルバイトもしていないのですから、『私」はわりとお嬢様なのかと、思いました。北村さんの作品は<時と人>シリーズから入りましたが、お嬢様風のおっとりした雰囲気や文調は、同じに感じました。北村さんのご趣味の文学や落語に対するウンチクを女子大生「私」を通して語っているのでしょうね。 【織部の霊】「私」と円紫師匠の出会い編。大学の授業が休講。ひょんなことから文学部の加茂教授を介して落語家円紫師匠と雑誌の対談で会う。もともと「私」は非常な落語ファン、円紫ファン。加茂教授の、不思議な”織部”にまつわる夢のはなしの謎。教授の子ども時代、叔父の家に泊まると、古田織部正重然(ふるたおりべのしょうしげなり)が切腹している夢を何度も見て恐い思いをする。その切腹している絵は蔵に収められていたもので、子ども時代に見たはずが無い。【砂糖合戦】街で偶然円紫師匠と会い、紅茶専門店「アド・リブ」にお茶を飲みに入った「私」は、女性の3人組が自分達の紅茶に何杯も砂糖を入れていた。何のためか?【胡桃の中の鳥】大学の友人・正ちゃんと江美ちゃんが初登場。円紫師匠の蔵王で行われる「円紫講演会」に招待され、3人は東北旅行に来た。蔵王の御釜にドライブした帰り、うっかりロックし忘れたが、何故かシートカバーだけが盗まれていた。【赤頭巾】近所の女性が「公園で赤頭巾」を見たというはなし。【空飛ぶ馬】知り合いの子供の幼稚園のクリスマス・パーティーをビデオを撮るためにかり出された「私」。酒屋「かど屋」の国雄さんがサンタ役。幼稚園に「かど屋」が寄付したはずの木馬が、夜中に消えて翌朝に戻っていたというはなし。「私」と円紫シリーズ
2008年02月28日
世界的ベストセラー フィリップ・プルマンの児童文学を完全映画化したファンタジー・アドベンチャー。『ロード・オブ・ザ・リング』のニューラインシネマ製作。監督脚本は『アバウト・ア・ボーイ』のクリス・ワイツ。ヒロインの少女ライラ役、新人のダコタ・ブルー・リチャーズ。ニコール・キッドマンやダニエル・クレイグら豪華キャスト。哲学的なストーリーや幻想的な視覚効果など、壮大な世界観が楽しめる。世界の果てへと旅する少女ライラの冒険を圧倒的なスケールで映し出す。【監督】クリス・ワイツ 【原作】フィリップ・プルマン 【出演】ダコタ・ブルー・リチャーズ ニコール・キッドマン ダニエル・クレイグ エヴァ・グリーン サム・エリオット☆☆☆ 申し訳ありません。 ☆☆☆楽天さんのスパム対策以来、コメントTBが入りにくくなっております。お返事は、こちらで入らないときは、ご訪問掲示板にて、させていただいてます。ご了承いただきたくお願い致します。ご不便おかけして申し訳ありません。 m(_ _)m :「ライラの冒険」の原作はココがスゴイ!~5つのポイント映画『ライラの冒険 黄金の羅針盤』セガ公式サイト映画『ライラの冒険 黄金の羅針盤』GAGA公式サイト 【こんな話】われわれの世界と似ているけど多くの点で異なるパラレルワールドの英国オックスフォード。その世界では人々は、それぞれの心が動物の姿で具現化した守護精霊“ダイモン”と片時も離れず行動を共にしている。主人公は、幼い頃に両親を亡くし、オックスフォード大学のジョーダン学寮に暮らす12歳の少女ライラ。粗野で好奇心旺盛なライラは周囲の大人を困らせるほど元気いっぱいなお転婆娘。一心同体の存在ののパンタライモン(守護霊”ダイモン”)といつも行動を共にしている。明らかにハリー・ポッターシリーズとはちがう。新種のファンタジー。彼女の叔父、アスリエル卿はダストと呼ばれる謎の粒子の秘密を解明すべく北の地へと探検に向かう。この人は、いろいろな顔を持っている。ひとつは「大探検家」、もうひとつはライラの実の父。また殺人者、教会に反旗を翻した反逆者でもあります。その上とてつもない大志をいだき、「教会の神、オーソリティの住処を探しに行き、神を滅ぼしにいくつもり」だというのです。一方、ロンドン上流社会の実力者コールター夫人はライラへの接近を図る。ライラの周りでは子供が行方不明になる事件が勃発。ライラはパンタライモンと共に、持ち前の好奇心で捜索に乗り出す。手には真実を指し示す羅針盤。旅の途中で出会う、敵か味方かわからない大人たち。ライラを助ける奇妙だけど勇敢な仲間たち。やがて事態は北極での大戦争に…。 【感想】先行上映で観てきました。原作を読んでおる者です。一緒に観た小3の子どもは、ず~っとワクワク。楽しめました!白くまの決闘シーンが良かったとのことです。これまでに観たファンタジー映画を親子でランキング1位「ハリー・ポッター」1位「ロード・オブ・ザ・リング」1位「ナルニア国物語」
2008年02月25日
まどろみから覚めたとき、17歳の〈わたし〉は、25年の時空をかるがる飛んで42歳の〈わたし〉に着地した。昭和40年代の初め。わたし一ノ瀬真理子は17歳、千葉の海近くの女子高二年。それは九月、大雨で運動会の後半が中止になった夕方、わたしは家の八畳間で一人、レコードをかけ目を閉じた……目覚めたのは桜木真理子42歳。夫と17歳の娘がいる高校の国語教師。わたしは一体どうなってしまったのか。独りぼっちだ――でも、わたしは進む。心が体を歩ませる。顔をあげ、《わたし》を生きていく。 “時と人の三部作”ファンタジー・ミステリーの第一弾『スキップ』 『ターン』『リセット』感想 東野圭吾「秘密」みたいです。それの娘バージョンという感じ。「秘密」では、母が娘の体に魂が入り、娘の人生を引き受けていく「スキップ」は、17歳から急に42歳になってしまった元高校生・真理子が、どう新たな人生に立ち向かおうとするか、という物語。 タイムスリップSFのドタバタではなく、生きていくうえで大切なもの、貴重なものを捜し求めるストーリィとなっているのが、文学的で真面目に考えさせられる本でした。タイムトラベルもの 「永遠の終り」アイザック・アシモフ 「トキオ」東野圭吾 「時をかける少女」筒井康隆 「夏への扉」ロバート・A・ハインライン 「ねじの回転」恩田陸 「犬は勘定に入れません」コニー・ウィリス 「わが愛しき娘たちよ/」コニー・ウィリス 「地下鉄(メトロ)に乗って」浅田次郎 http://plaza.rakuten.co.jp/danjhon/diary/200703090000/「ドゥームズデイ・ブック」コニー・ウィリス 「戦国自衛隊」半村良 「時間泥棒」P・ ホーガン 「時の旅人」ジャック・フィニイ 「時の旅人」ダイアナ・ガバルドン 「時の旅人」アリソン・アトリー
2008年02月25日
遠く、近く、求めあう二つの魂。想いはきっと、時を超える。 『スキップ』 『ターン』に続く、「時と人」シリーズの第3弾。「また、会えたね」。昭和二十年五月、神戸。疎開を前に夢中で訪ねたわたしを、あの人は黄金色の入り日のなかで、穏やかに見つめてこういいました。六年半前、あの人が選んだ言葉で通った心。以来、遠く近く求めあってきた魂。だけど、その翌日こそ二人の苛酷な運命の始まりの日だった→←流れる二つの《時》は巡り合い、もつれ合って、個の哀しみを超え、生命と生命を繋ぎ、奇跡を、呼ぶ。 “時と人の三部作”ファンタジー・ミステリーの最終章 『スキップ』 『ターン』に続く、「時と人」シリーズの第3弾。『スキップ』は、17歳の女子高生が、時間を超え42歳の自分自身へと乗り移ってしまうタイムトリップもの、『ターン』は、交通事故のショックで、延々と同じ時間がくり返す異世界に紛れ込んでしまう話だった。前2作はどちらかというと、時間の存在が主人公たちに苛酷な試練を与える設定なのにたいして、本書においては、時間は彼らに寛容に働いている。 太平洋戦争末期、神戸に住む女学生の水原真澄は、時局の厳しさを横目で見ながら、友人たちと青春を謳歌していた。真澄には、結城修一というほのかな恋心を抱いている少年がいる。幼い記憶にある、30数年に1度しか見られないという獅子座流星群をいつかふたりで眺めてみたいと真澄は心に期していたが、度重なる戦火がふたりを引き裂いてしまう。やがて終戦を迎え、東京オリンピック開催が近づく昭和30年代前半。小学5年生の村上和彦は、自前で小学生に絵本や児童書を貸し与える女性と知り合う。彼女こそは水原真澄だった。折りしも獅子座流星群の到来まで、あと4年と迫っていた…。 本書は、愛し合う男女がいかにしてそれぞれの想いを伝えあうかを巡る物語である。獅子座流星群の訪れを挟んで、幾たびも交錯するふたつの生命を、時間は長い長い年月をかけて見守り育んでいくのである。 最後にでてくる、「我々は死んだりしない」という言葉の奥深さに、きっと胸を締めつけられるに違いない。(文月 達) --このテキストは、 単行本 版に関連付けられています。 (Amazon.co.jpより)感想 リセット北村作品、気になっておりましたが、ようやく初めましてという感じです。恩田陸さんの高校生ものをちょっと思い出しました。いや、それは『スキップ』の方が近い感覚かな?三部作中で、一番はじめに読みました。「私」のお嬢様暮らしが、太宰治の『斜陽』とか、三島由紀夫の『『春の雪』とかイメージしましたが、ちょっと違いました。キムタク主演の『華麗なる一族』のような、企業トップのお嬢様族がイメージ近いのかな~。「私」のお友達なんかがそう。”最悪の時に、最悪の人に、最悪の言葉”を発したという友人。。第一章は冗長に感じるし、第二章でガラッと変わる語り口がわかりにくくてイライラ。。ですが、読み終わってみると、意外にも、面白かった。「私」の時代の古くて悠長な流れも、はまる人は、はまるかも。<輪廻>とか興味ある人にはいいでしょう。それにしても、30~40代のいい大人が、10代の青年との恋愛を妄想するような話と、言えなくも無いというか。。(笑)若さに憧れる気持ちは、わかりますが~。著者の妄想も含まれているんじゃないかと、ついつい邪推。北村さんを今でも女性作家と思い込んでいる読者も多く、「実は中年過ぎの男」と知らされて高熱を出し、三日も寝込んだファンもいるそうですね。長い間、埼玉県下で高校教師を勤め、『夜の蝉』で日本推理作家協会賞を受賞したミステリー界の異色のエース。啄木かるた中原 淳一愛の一家ザッパー, 関 楠生ひばりのす―木下夕爾児童詩集木下 夕爾会議は踊る「唯一度だけ」
2008年02月25日
ルールは越えられる。世界だって変えられる。読書界を圧倒した記念碑的名作。文庫化にあたり改稿。兄は泉水、二つ下の弟は春、優しい父、美しい母。家族には、過去に辛い出来事があった。その記憶を抱えて兄弟が大人になった頃、事件は始まる。連続放火と、火事を予見するような謎のグラフィティアートの出現。そしてそのグラフィティアートと遺伝子のルールの奇妙なリンク。謎解きに乗り出した兄が遂に直面する圧倒的な真実とは――。溢れくる未知の感動、小説の奇跡が今ここに。このミステリがすごい2004年版 国内編 第3位伊坂人気を沸騰させた4作目の『重力ピエロ』。連続放火事件や遺伝子の謎を背景に、若い兄弟と父親の交流や、家族の意味を考えさせます。 テーマは重いけれど、重力に逆らっているように温かい。この作品以降、5回直木賞を落選したことへの不満もファンから多く寄せられています。もう10年以上前、仙台に住んでいましたが、春が落書きを消して絵を書いている地下道、放火場所の駅の東側、、「東北ゼミナール」。。懐かしいけれど、よく思いだせずに寂しい気がしてます。盲目のジャズ奏者ローランド・カーク、全然知らなかったので、すごく聞いてみたい!。トルストイの「カラマーゾフの兄弟」いつかは読もうという課題作。「走れメロス」「山椒魚」。。純文学がすきな一家ですね。春の出生の設定、春のストーカー女性、泉水の会社への依頼人、探偵など、、いろいろアンバランス的な人物がバラバラと登場、唐突な不協和音的な要素、これらが全然違和感なく締めくくれていてすごい爽やか。会話が中心の文体のせい?驚きの一冊でした。『死神の精度』に続き伊坂作品2冊目です。「お前は世間に許されたいのか、家族に許されればいいじゃないか。」思うに、この本は社会派小説とは、ちょっと違う感じでした。もっと個人的で、私小説っぽい。家族のものがたりですが、佐々木譲の『警察の血』の、その時代背景や家族の軌跡の骨太な社会派小説とは、全く毛色が違いました。との人格形成への関わり方についても、考えさせられましたが、、結果オーライとはこういうことを言うのか、という感じ。で、アイデンティティーに悩む春が、もの凄いモンスターに思えたり、その壮絶な心の闇を感じ取る泉水、ただの弟としてのかわいらしい時の春。。春の内面がドロドロ描かれないからか、サパッとしてます。「兄ちゃんと僕は最強のコンビだ。」これにはジーンときましたし、「最強の家族だ。」というのにもジーン。こんな風に自分の家族を一言で言えるなんて本当に素敵です。とにかく、父が素晴らしい。「とうさんは、なんの取り得もないひとだけど~」と息子が父を表現する文章が好きですね。人物の魅力ってなんだろうな~って、考えさせられましたよ。 映画化が決まっているそうですね。『陽気なギャングが地球を回す』『アヒルと鴨のコインロッカー』 につづき『死神の精度』がこんど上映ですね。それの次くらいに来るのかな?ストーリーは、こんな感じ。舞台は現代の仙台。遺伝子情報の会社に勤める泉水には、天才的な絵の才能を持つイケメンの弟、春がいる。実は、春は母親が未成年の暴行魔にレイプされてできた子供。父親の決断で夫婦の子どもとして育てられた。20数年後、母はすで亡く、父は、癌で入院。春は、グラフィティーアート(落書き)を消す仕事を不定期にしながら、きままに暮らしている。ある日、春から泉水に、泉水の会社が放火されるかもしれない、という電話が入ってくる。その頃街では、連続放火事件騒ぎが続いていた。春の予告とおり、泉水の会社は放火される。春の主張は、連続放火の現場近くに予告を暗示するグラフィティーアートがするされるというものだった。犯人をつきとめようという春の誘いに乗せられた泉水と父が「謎解き」に挑むが・・・。伊坂幸太郎/著イサカ・コウタロウ1971年千葉県生まれ。1995年東北大学法学部卒業。1996年サントリーミステリー大賞で、『悪党たちが目にしみる』が佳作となる。2000年『オーデュボンの祈り』で、第5回新潮ミステリー倶楽部賞を受賞しデビュー。2003年『アヒルと鴨のコインロッカー』で第25回吉川英治文学新人賞を、2004年「死神の精度」で第57回日本推理作家協会賞短編部門を受賞した。著作に『オーデュボンの祈り』(新潮社)『ラッシュライフ』(新潮社)『陽気なギャングが地球を回す』(祥伝社)『重カピエロ』(新潮社)『アヒルと鴨のコインロッカー』(東京創元社)『チルドレン』(講談社)『グラスホッパー』(角川書店)『死神の精度』(文藝春秋)『魔王』(講談社)『砂漠』(実業之日本社)『終末のフール』(集英社)『陽気なギャングの日常と襲撃』(祥伝社)『フィッシュストーリー』(新潮社)『ゴールデンスランバー』(新潮社)がある。
2008年02月20日
●さあ、明治の「かわせみ」が幕を開けます。幕末の戦乱で東吾は行方不明、源三郎も落命するが、花世や麻太郎、源太郎たちは逞しく成長し、激動の時代を確かな足取りで歩き出す。『オール讀物』連載「新・御宿かわせみ」シリーズ第1巻。 ついに「御宿かわせみ」が復活です!時は移り明治の初年。維新の激動の中で「かわせみ」ファミリーにも数々の厄難が降りかかりました。神林東吾は行方不明、畝源三郎は凶賊の手にかかり落命、麻生家も源右衛門ら三名が殺害されました。しかし、次代を背負う若者たちは悲しみを胸に抱えながら雄々しく歩み始めます。いまだ江戸の名残を色濃くとどめる中、舶来の風俗が異彩を放つ新しい舞台で、麻太郎や花世、源太郎らが事件に恋に力いっぱい立ち向かっていく姿を、どうかお楽しみください 。(文芸春秋より)『浮かれ黄蝶』感想 ストーリー「まるで東吾が戻って来たような・・・」母国を出て5年半の歳月がすぎていた。イギリス留学から戻った麻太郎を迎えた大川端の「かわせみ」の部屋には炬燵があり長火鉢の上には鉄瓶が白く湯気を吐いている。部屋の仏壇の、なにも書かれていない白木の位牌に向かって麻太郎は手を合わせた。◆築地居留地の事件 ◆超丸屋おりん ◆桜十字の紋章 ◆花世の縁談 ◆江里香という女 ◆天が泣く感想「新 御宿かわせみ」が書店に出ていたのに気づいた時、「おおっ」っと思いつつ手に取ったのが運のつき。「¥1400です。」 このシリーズは、やっぱり根強い人気でしょうね。同じく、明治の新時代を舞台の時代小説高橋克彦の『完四郎広目手控』シリーズ も面白いです。麻太郎と源太郎は、父の庇護というもの無しに、自立して自分の足で歩き出した、、という感です。それぞれの父たちは不在。麻太郎は、神林通之新が養父ですが、その姿も精神も東吾そのものです。麻太郎の白シャツ&黒ズボンスタイルは、さぞかしさわやかなんだろ~な~、と勝手に想像してたのしんでました。麻太郎に東吾の姿を重ね合わせる周囲の眼差しと、それを感じ取り、受け止める麻太郎。しばしば目頭が熱くなりました。父世代の東吾と源三郎コンビでは、言葉使いが源太郎の律儀な性格もあり、いつも「東吾さん」「~ます」「~です」口調でしたが、時代も下り、その息子たちはもうちょっと気楽な対等な口調です。明治の時代、士農工商の身分制度は終わりを告げ、行き場のない武士たち。江戸の町は、武家屋敷から人が去り、外国人の姿が増え、洋風の建物や風習がどんどん入ってきています。花世のようなおてんば娘には、待ってましたとばかりの時代。女学校に通い、医師の診療所を手伝い、まさに”はいからさん”。実際に、それほど明治の時代は女性の自由や解放が叫ばれたのか分かりませんが、西洋文化に触れて日本人の常識も、少しずつ変わっていったのでしょうね。そんな時代は彼女にピッタリ。彼女は新時代の”動”の女性の象徴のようです。一方の、東吾とるいの娘、千春に感じるのは、新時代でもゆるぎない”静”の女性の凛とした強さと美しさ。「わたしは心に重荷のある人が好きです。お母様のような」るいは、東吾の不在の大きな哀しみを抱えつつも、懐の深い慈愛と、いざという時の覚悟はいつでも出来ているような、若い世代の背後をガッチリと守っている城壁のような強さと暖かさを感じます。自身の出生の秘密を知った麻太郎の、るいへ向けるまなざしには、ちょっぴり「源氏物語」の夕霧の光源氏の妻:紫の上への憧れを感じました。まさか、このシリーズで、あの展開が起きるワケないでしょうが(笑) それにしても、読んでいる最中は、そのうちひょっこり東吾は帰ってくるのだろう、なんて気楽な気分でしたが、読み終わってみると、この生死の定まらない退場の仕方は、東吾らしいというか。。「かわせみ」メンバーともども受け入れたくない東吾の死を、やがて受け入れなくてはならない文章を読む日がくるのかな~っと思いました。。事件の数々は、麻太郎の西洋知識を意識を生かせるモノでした。洋菓子の上にかかった粉砂糖や、目薬の成分の毒といった、江戸時代では、「石見銀山のねずみ取り」の毒死が主だったのに、毒薬の種類も豊富。トリカブトやベラドンナやアトロピンや砒素、、事件の科学的捜査、というのでも、麻太郎や源太郎には必要な知識の土台があるようです。今後彼らはどんな進路をたどるのか注目です。御宿かわせみシリーズ アフィリエイト一覧「新 御宿かわせみ」のストーリー◆築地居留地の事件イギリス留学から帰国した麻太郎は、築地居留地で開業しているバーンズ医師の元で下宿し診療所を手伝う。帰郷後、早速に麻太郎と源太郎は花世の持ち込んだ事件で呼び出される。バーンズ医師の患家、スミス商会の妻のダイヤモンドの指輪が盗まれたのだ。犯人は若いメイドが疑われるが、花世は断固としてメイドは犯人ではないと主張する。 ◆蝶丸屋おりん 麻布桜田町で傘や提灯を商っている蝶丸屋の娘が不審死した。死因は毒物らしく、亡くなる前に西洋饅頭”トライフル”を皆で食べていた。バーンズ家で食してみた麻太郎はその甘ったるさに辟易する。どのよう毒が混入されたのか?事件の頃、目の見えない按摩の用いる目薬を、娘が預かっていた。◆桜十字の紋章榎本新之助という男が千春や麻太郎の周囲になんどか現われる。男の狙いは何か?榎本姓は、東吾の最後の航海に関わる為に、名前を聞いただけで拒否反応が起こってしまうふたりだったが。。新政府への不満を抱く元武士らの不穏な動きがちらつく。◆花世の縁談花世が近頃親しくしているアメリカ人の若い医者が治療をしている、日本橋の京菓子の老舗清水屋の隠居の容態が悪化した。幼いころから、実に様々な理由で、花世は源太郎を呼びに来た。源太郎は、清水屋の前で医者でもない自分が来たところで、、と途方に暮れた。◆江里香という女 「かわせみ」の逗留客、絵師の妻:江里香は、麻太郎や源太郎にまとわりつき、花世も千春もおかんむり。◆天が泣く麻生家の押し込み強盗殺人、及び畝源三郎殺害の、謎を追う麻太郎と源太郎。
2008年02月19日
現役医師・海堂尊による同名ベストセラー小説を、『アヒルと鴨のコインロッカー』の中村義洋監督が映画化した医療ミステリー。有能な心臓手術チームに起きた連続術中死をめぐり、内部調査を任された女性医師と、破天荒な切れ者役人のコンビによる活躍を描く。主演の竹内結子と阿部寛のほか、事件の鍵を握るチーム・バチスタメンバーには、吉川晃司、池内博之、佐野史郎、玉山鉄二といった人気、実力を兼ね備えた豪華キャストが顔をそろえる。監督:中村義洋 キャスト:竹内結子 阿部寛 吉川晃司 池内博之 玉山鉄二 井川遥 佐野史郎 田口浩正 田中直樹 野際陽子 映画『チーム・バチスタの栄光』公式サイト▼『超映画批評』 60点 【こんな話】高難度の心臓手術「バチスタ手術」を26回連続で成功させていた“チーム・バチスタ”に、3度続けて術中死が発生。内部調査を任された田口(竹内結子)が適当な報告で締めくくろうとした矢先、厚生労働省から派遣された切れ者役人の白鳥(阿部寛)が現れる。2人はコンビを組んで、“チーム・バチスタ”のメンバーを再調査することになる。見どころは、手術シーンでした。実に、5~6回はあったでしょうか。映画の大半が手術中のドラマでしたね。。という印象です。外科の手術中の<死亡>が事故か殺人か、という謎の解明ですから。役者さんたちは、リアルな術技に、熱心に取組んだようですね。なかなか、外科医以外の麻酔医にしても、機械担当にしても、ベテランな動きや手つきというのは、難しいそうで、7名の医師それぞれに専属のホンモノの指導医さんがついたそうですね。手術用の部屋には憶のつく値段の、機械や器具が実際揃えられたそうですが、映画が終わったら、どこに行ったんでしょう?どこかの病院に寄付したのかな?医師役の役者さんたちは、覚えることがたくさんあったでしょうが、竹内さんや阿部さんは、その点楽そうでしたね~。「銀色のシーズン」もそうですが、セットや役作りなど細かいところまで作りこんでいる、きめ細かさを感じるこの頃の邦画で、すごいなっと感じます。ただ映画の全体の仕上がりは、重厚で見ごたえあるバッチリさかというと、なんだか物足らないんですが~。原作の『チーム・バチスタの栄光』は、結構気に入って、シリーズを通して読んだのですが、どこが魅力だったかというと、<東城大学病院>そのものかな。医療現場の臨場感や人間模様。丁々発止のスタッフのやりとりや、力関係やら、人物にまつわる逸話や伝説やあだ名などなど。。現役医師の書いたお話だけに、生身感ありあり。さて映画ですが、、白鳥調査官、それほどアクの強さやごきぶり的たたづまいは無かったです。(爆)阿部寛さん、「結婚できない男」キャラを濃くしてましたか?田口医師は、ホントは男性ですが、竹内結子さんでも、そんなに違和感無かったですね。藤原看護婦(野際陽子さん)が、もうちょっと貫禄あるイメージだったんですけど。影のドンとしてのね~。高階病院長の狸オヤジぶりも、弱めだったですかね~。田口医師をジワジワと、調査担当に追い込んでいく様子や、田口の医学生時代からの医師としての適正はハテサテ?と見越していたのかな?というような、寛容さや腹黒さというか、、(笑)他の役者さんたちは、なんで天才外科医:桐生に、吉川晃司なのか、首を傾げたくらいで、皆さん医療スタッフらしくて良かったですね~。吉川さん、演技するんだ?でも、意外にも大丈夫、医師らしかったです。このシリーズでは、手術チームの人物が多いし、登場人物もやたら多いので、名前や肩書きなど、覚えないとストーリーにいまいち集中できないかもですが、映画では、うまいことサラッと紹介&説明できてましたね。映像はヤッパリ分かりやすいですね。ところで、これは、映画のシリーズ化はどうかな?という感じですが。やっぱりドラマの「救命医療」などと似てしまうだろうし、院内の権力争いのドロドロ、、とか、分かりやすいドラマともちょっと違う感じですし。医療現場スタッフの、人手不足や過酷な労働時間とか、、で、人格が壊れるところまで追い込まれかねない、そんな医療現場に、たまたま行き合わせて命を落とすことになったら、、いやだな~不運だな~、、なんてことが後味として悪いです。 著者の海堂さんは、医療現場の現実の問題を提起していらっしゃいますが、映画では、その辺のメッセージ性はあんまりくどくない。わざと、まあまあなエンターテイメントにまとめたのですかね。観終わってみると、竹内さんの笑顔のうつくしさで、ごまかしたな~、、と。(笑)
2008年02月18日
「俺が仕事をするといつも降るんだ」 クールでちょっとズレてる死神が出会った6つの物語。音楽を愛する死神の前で繰り広げられる人間模様。『オール読物』等掲載を単行本化。【内容】死神の精度 死神と藤田 吹雪に死神 恋愛で死神 旅路を死神 死神対老女映画「Sweet Rain 死神の精度」オフィシャルサイト シネマトゥデイ 画像集日本推理作家協会賞短編部門を受賞。まもなく映画公開の原作です。不思議な感覚になりました。本を読んだだけで、映画を観たような感じです。ポスターの金城武さんのイメージが、それほど原作の持つ雰囲気にピッタリ。読んだだけで、映像も見えるような、そんな本でもあります。原作者が、映画化にあたり金城さん主演でOKした、と聞いたのですが、分かりますね。<死神>というと、大鎌を持った骸骨のマント男や、最近では「DEHT NOTE デスノート」のリュークのようなパンクっぽい羽のある邪悪な天使の姿など様々ですが、、「世にも奇妙な物語」のタモリさんのように、スーツを着てサングラスをした普通の男っていうのも、不気味です。別にタモリさんは死神というスタンスではないでしょうが、不思議ワールドへの水先案内人。つまり人間ではない設定がピッタリかな~と思いますので、例にあげてみました。本の世界では、この”千葉”と名乗る<死神>は様々な姿や年齢に自由自在に変わります。死が真近になった人間のもとに現われる死神。こんな風にスッと人間界に溶け込んでいるかもしれない、、すぐそばに。《死》は誰にも共通にやってくる、その恐怖や概念も、確実ではないので、こんな小説が生まれるのかと思いました。伊坂 幸太郎1971年千葉県生まれ。東北大学法学部卒業。「オーデュボンの祈り」で新潮ミステリー倶楽部賞を受賞し、作家デビュー。 「死神の精度」で日本推理作家協会賞短編部門を受賞。
2008年02月18日
立川志の輔の創作落語を、「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」の松岡錠司監督が映画化。町のイベントを巡る職員やママさんたちの騒動を、人情味たっぷりに描く。【監督・脚本】松岡錠司 【出演】小林薫 安田成美 伊藤淳史 由紀さおり 浅田美代子 映画『 歓喜の歌 』公式サイト▼『超映画批評』 70点 【こんな話】 誰もが忙しく立ち働く12月30日。小さな町を揺るがすその“大事件”は、1本の電話から始まった。「はい、みたま文化会館です。ええ、コンサートご予約の確認ですね。『みたま町コーラスガールズ』さん、明日の夜7時から……大丈夫ですよ、お待ちしてます」調子よく応える、文化会館の主任。しかしその直後、まったく大丈夫じゃなかったことが発覚する!「みたま町コーラスガールズ」「みたまレディースコーラス」よく似たグループ名を取り違えたこのダメ主任。コトもあろうに、大晦日の会場をダブルブッキングするという大失態をやらかしてしまった。 セレブな本格派のレディース「うちの合唱団にとって明日は創立20周年の記念コンサート。今さら変更なんてありえません」庶民派のガールズ「うちだって明日を楽しみに、家事やパートの都合を何とか合わせながらがんばってきたんです」両者 一歩も譲らない。どっちにもイイ顔しようとする飯塚は、部下に責任を押し付けたり、いい加減な言い訳をしながらも、問題解決に奔走するが…。名前の似た2グループを、センター側が同時間帯にダブルブッキング!予約は半年前だが、気づいたのは何と前日。全くヤル気のない飯塚主任(小林薫)は無責任にも、オバサンたちの暇つぶしと軽々しく考えていたが、当然、練習を重ねてきた両グループは譲らない。 果たして大みそかに、どちらの“歓喜の歌”が響き渡るのか。【感想】泣いたり、笑ったりの2時間10分でした。以前、予告を見たとき、安田成美さんの指揮する姿をみて、音楽関係の映画かと思いましたが、それにしては小林かおるさんの緊張感のない(笑)電話のやりとりの様子とのアンバランスさに、「どういう”えいが”なんだろ~」と、感じたものでした。その後、番宣で安田さんが、7~8年ぶりの映画出演や、映画の話、家事との両立の話などされているのを見て、「なんだか おもしろそ(^^)」と思い、見に行くことにしました。『アメリカン・ギャングスター』は 豪華監督&俳優だし 『KIDS』は玉木宏主演なのに、それを横目に見ながら、チケット購入。小林薫さん”超”すっとこどっこいがいいですね~。(爆)最後の方、あちこちからゲラゲラ。私も涙を流しながら笑いが止まりませんでした。「祭り縫い?なんですか、その陽気な縫い方は」小林念稔さんや、北村総一郎さんとか、に通じるかわいらしさです!安田さんは素敵におおらかな役柄でしたね。こんなおかあさん&奥さんになれたらいいだろーなー、由紀さおりさんの「ゆう~や~け♪ こ~や~けェ~の♪ あかトーンーボー~♪」病院の慰問の場面やエピソードなど、ウルウルを通り越して、ポロポロ。歌や音楽には癒しの力があると、またまた感じ入りました。呆れたり、笑ったり。ドタバタ群像、三谷幸喜監督の『THE 有頂天ホテル』。あそこまで計算されたドタバタではなく、もっと小粒ですが、身近なネタだけに、非常に共感なんですよね。ものすごく後ろ向きだった、小林さん演じる主任が、あるきっかけで、前向きに変わるトコが、うれしいんです。余計なエピソードがちょっと変ですが。「忙しいからこそ、合唱には絶対行きたい。みんなに会うと、大変なのは自分だけじゃないと、思えるから。」「やらない後悔より、やる後悔。」「みんなを幸せにするんですよ。」身近なだけに、ジ~ンとくる言葉がいくつかありました。なんでも、なんとかなるもんだ!あったかくて大きな気持ちになれました。とっても、元気と、感動をもらえました。 第九の合唱もよかったですね。エンディングソング『あの鐘を鳴らすのはあなた』クレージー・ケン・バンドこれがまたい~んですよね~。映画の余韻に、これほどピッタリくるのはないって感じでした。歌の後に、もうワンシーンもありますので、ゆったり聞いてから帰りましょう♪
2008年02月06日
驚愕手術の結末!外科研修医世良が飛び込んだのは君臨する“神の手”教授に新兵器導入の講師、技術偏重の医局員ら、策謀渦巻く大学病院……大出血の手術現場で世良が見た医師たちの凄絶で高貴な覚悟。『チーム・バチスタの栄光』で颯爽とベストセラーデビューした現役医師作家の新作もおなじみ東城大学医学部付属病院が舞台。新人外科医世良が直面するのは重い医療の真実と新来講師高階や藤原婦長の謎の行動。医学界崩壊カウントダウンの1988年に起きるのは“奇跡の手術”による感動の結末。 海堂尊インタビュー 映画「チームバチスタの栄光」 チーム・バチスタの栄光 OFFICIAL WEB SITE 『チームバチスタの栄光』シリーズ5作目東城大学医学部付属病院の研修医世良が医療現場で経験したことは? 佐々木教授の「ブラック・ ペアン」に託した思いとは? (あらすじ)国家試験の合格発表を控え、外科医一年坊世良は、東城大学医学部付属病院への坂を駆け上ってきます。彼を待ち受けていたのは、佐伯教授による胃ガン全摘手術。タイトルになる「ペアン」とは表紙に描かれている止血鉤子のこと。通常はシルバーだが、外科の権威、佐伯教授の手術器具には必ず一本のブラックペアンが並べられていたのでした。世良が指導医として仰ぐことになるのが、赴任してきたばかりの高階医師。赴任当時の高階医師は不穏な雰囲気です。言ってみれば『ジェネラル・ルージュ』の速水救急部長的。医療の現場を改良する医療器具<スナイプ>に情熱を燃やしています。感想外科医一年坊世良の視点。成長譚です。『ブラックペアン1988』は、時系列的にはバチスタシリーズの前に位置します。昭和63年台、東城大学医学部付属病院で、新病院建築が決まり、来年初頭に行われる病院長選挙が話題になっています。佐々木教授が最有力候補ですが。。この佐々木教授が、『チームバチスタの栄光』の、田口を<愚痴外来>など様々に有効にこきつかう、狸オヤジな高階病院長の、前の病院長。さらに上をいくスケールを感じさせる狸なオヤジでした。世良がもっとも影響を受けたのが・スナイプと呼ばれる新器具の普及に情熱を燃やす阿修羅高階医師・高度な手技を持つ、暗い目をした悪魔渡海医師のふたりです。渡海という人は、ちょっと不遜で複雑ですね。せっかくの外科の天才的手腕も、医師としての心持ち次第で、怖いです。患者へのこころない接し方は、どうかと思いました。自分が患者の立場なら、手術前で不安な気持ちを、思いやってくれる優しさのあるお医者さんが、やっぱりいいです。渡海医師は冷酷とまでいかないですが、医師人生のスタート時点で、どこか捻じ曲がってしまってしまったのかな~という感じでした。時代が下って、『チームバチスタの栄光』の時代、世良医師は姿を消しています。間に何があって病院を去ったのでしょうか??それともアメリカで研修中なのかしら?若い頃の藤原、猫田、花房も印象的でした。『チームバチスタ』スタメンの田口は、同級生の速水、島津とともに、まだ医学生。チョコッと登場でした。東城大学医学部付属病院の人物たちの層の厚さを感じます。やってくる者あり、去っていく者あり。。 著作 感想チーム・バチスタの栄光 ナイチンゲールの沈黙 ジェネラル・ルージュの凱旋 螺鈿迷宮ブラックペアン
2008年02月04日
札幌市内のアパートで、女性の変死体が発見された。遺体の女性は北海道警察本部生活安全部の水村朝美巡査と判明。容疑者となった交際相手は、同じ本部に所属する津久井巡査部長だった。やがて津久井に対する射殺命令がでてしまう。捜査から外された所轄署の佐伯警部補は、かつて、おとり捜査で組んだことのある津久井の潔白を証明するために有志たちとともに、極秘裡に捜査を始めたのだったが…。北海道道警を舞台に描く警察小説の金字塔、「うたう警官」の文庫化。 【内容情報】(「BOOK」データベースより)このミステリがすごい2006年版 国内編 10位警察組織を舞台にタイムリミットものストーリー。原題は”うたう警官”。”うたう”とは警察組織の中での、内部告発、密告をいうらしい。横山秀夫とはまた違った警察モノの快作。2008年このミス1位の『警官の血』を、ところどころ思わせる内容です。警察内で起こった過去の汚職事件や、佐伯と津久井が組んだおとり捜査で被るPTSD(心的外傷後ストレス障害)など。こんな風に、捜査員が勝手に組織の方針~逸脱するような行動を取るなんて可能なのか疑問ですが、。たった一晩でのすばやい行動だから可能だったとも言えるのかも。真犯人にたどりつくまでの、事件現場からの手がかりや、前科のある者、被害者の人間関係など、証拠や背景や捜査と推理と、丁寧な事件解決への進みがリアルで面白いです。そして、またも北海道警察では、現場に精通してない捜査員ばかり。(『制服捜査』でもありました、大規模人事異動の影響)ベテランなら見逃さないような現場を前に、自分では的確にヒントを嗅ぎ取れないだろうと、現場に慣れないことを悔しがる捜査員の気持ちが伝わってきます。津久井という警官の”うたう”(内部告発)をめぐる事件でもありますが、彼を救おうと立ち上がる佐伯たちの影の捜査こそ、警察組織へ疑問をぶつけた”うたう”行為に感じましたね。続編に、『警察庁から来た男』
2008年02月04日
警察官人生二十五年。不祥事をめぐる玉突き人事のあおりで、強行犯係の捜査員から一転、単身赴任の駐在勤務となった巡査部長の川久保。「犯罪発生率、管内最低」の健全な町で、川久保が目撃した荒廃の兆し、些細な出来事。嗅ぎつけた“過去の腐臭”とは…。捜査の第一線に加われない駐在警官の刑事魂が、よそ者を嫌う町の犯罪を暴いていく、本物の警察小説。 【内容情報】(「BOOK」データベースより)このミステリがすごい2007年版 国内編 第2位佐々木譲さんの、今年の「このミス1位」の『警官の血』を読んだのがきっかけで、警察小説への苦手意識が払拭されました。主人公の川久保篤(あつし)巡査部長は、人口6千人の田舎町の駐在署員として単身で赴任してきました。それまでの25年、札幌で盗犯係や強行犯係などを経験した第一線のベテラン刑事でしたが、経験のない単身赴任の駐在所勤務です。物語は、短編形式。川久保は捜査の限界に阻まれながらも大小の事件に遭遇していきます。表向きは平和な町、、でも。。 北海道警察本部始まって以来の大規模人事異動は、ひとつのセクションに7年以上、ひとつの地方に10年で移動するという政策で、捜査員に専門性を持たせない、地域に詳しい警察官は要らぬ、という方針によるものです。このために、北海道の各警察署や方面からベテランの捜査員がすべて追放となった。・地域に詳しい(癒着する)警察官を作らない警察の方針は、現場に詳しい捜査員を無くすこととなる。・田舎町は独自性が強く、外部の者では分からない因習や人間関係があり、土地に精通していないことが、捜査の妨害にもなる。↑これの間で板ばさみになりながらも、川久保は真摯にお仕事されていると感じましたね~。第1話の『逸脱』で、町の防犯協会長らとの酒の入った会合時、墓場でのケンカ騒ぎの音の通報がきます。町の有力者たちの、「そんなのは無視していい。」的な態度には、しょっぱなから「は!??」という感でしたが、その辺の有力者たちの傲慢な姿勢が、読み進める毎に鼻につき、最後に明らかになる彼らの体質。よそ者(警察)には明かさない頼らない村独自の方針と、警察の腐敗防止のための組織改革だけど地域に不慣れな人事異動の、バランスの難しさを感じました。ほんとに、このような政策を警察では行っているのでしょうか?地域に精通した、町の騒動を治めてくれるこうした「町の駐在さん」というのは、現代ではもういないのですかね。。現代に頻発する様々な事件、隣人トラブルや家族間の事件など、、もう親身な目に見守られることがなくなったせいなのかと、ふと思いました。
2008年02月04日
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