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出版社 / 著者からの内容紹介「山の民」に置き去られた赤ん坊。この子は村の若夫婦に引き取られ、のちには製鉄業で財を成した旧家赤朽葉家に望まれて輿入れし、赤朽葉家の「千里眼奥様」と呼ばれることになる。これが、わたしの祖母である赤朽葉万葉だ。――千里眼の祖母、漫画家の母、そしてニートのわたし。高度経済成長、バブル崩壊を経て平成の世に至る現代史を背景に、鳥取の旧家に生きる3代の女たち、そして彼女たちを取り巻く不思議な一族の血脈を比類ない筆致で鮮やかに描き上げた渾身の雄編。2006年を締め括る著者の新たなる代表作、桜庭一樹はここまで凄かった! 第60回日本推理作家協会賞受賞作。第28回吉川英治文学新人賞受賞このミステリがすごい2008年版 国内編 第2位 第137回直木賞候補作図書館予約1ケ月半で手許にきました~~。すぐにも読みたくてジリジリ待っていたかいありました。とっても読みやすかったです。いたずらに主人公を可哀そうがらずに読めました。横溝正史や京極夏彦のような連続殺人事件やドロドロのお家騒動の物語を想像してましたが、真面目な?不思議ちゃん系女三代記でした。製鉄一族の60年。”製鉄で栄えた町”が舞台なんで「華麗なる一族」のような熱気と、戦後から現代への時代のうねりがすごく感じられました。第一部「最後の神話の時代」1953年~1975年 赤朽葉万葉第二部「巨と虚の時代」1979年~1998年 赤朽葉毛鞠 第三部「殺人者」2000年から未来 赤朽葉瞳子・赤朽葉万葉(あかくちば まんよう)は、山に隠れ住む”サンカ「辺境の人」”と呼ばれる人をルーツに持つ。幻のような人達で、たたら製鉄の伝承者であり、自殺した死者を弔う謎の集団です。万葉が未来を見たり、遠くの出来事を幻視できる能力は、この一族から受継がれたものなのか、逆に、それゆえに村に捨てられたのか、、など一族は直接登場せず謎のままで、かえって興味が残りました。この辺の神秘的な民俗学の香りが大好きです。この謎の異族に、非常に魅かれるものを感じました。参考文献『サンカの末裔をたずねて』和田敏、『幻の漂白民サンカ』沖浦和光、小説『風の王国』五木寛之など、読んでみたくなりました。でも、一番は、桜庭さんの描く世界観での”サンカ”の人々を読みたいです。普通の女三代記違うのが、万葉の幻視能力。 空飛ぶ隻眼の男、首がぽーんと飛んでいく老人、出産時の幻視した我が子の生涯、と様々。不思議の予感に満ちた第一部でしたし、出産のシーンでは泣けましたし、その後の万葉の気持ちが切なかったです。あんな思いで20年過ごすなんて耐えられません。・赤朽葉毛鞠(あかくちば けまり)の、激的に走り抜けた人生は尾崎豊の「15の春」、10代の迷走を感じました。彼女は1966年生まれ。自分がこの世代にあてはまるんですよね。でも、ちょっと上の人たちの感覚かな?「スクール・ウォーズ」や「ビー・バップ・ハイスクール」の不良たち世代。暴走族《レディーズの頭》から《人気少女漫画家》へ。 この長きに渡っての人気を持ち続けた漫画家さんっていうのが、『ガラスの仮面』の美内すずえさんが思い浮かびましたし、一条ゆかりさんや、里中満知子さんなどなど、、少女漫画全盛期に育った自分を、いろいろ振り返る思いでした。もちろん、レディースはやってませんが!(笑)第一部とはガラッと違い、毛鞠はドラマや少女漫画の主人公がそのまま抜け出たよう。「強い」「美しい」。リアルさに欠ける設定なのに不思議とスンナリ受け入れられたのは世代背景に共感をおぼえるから。彼女の青春時代は「ぱらりらぱらりら」というバイクの音と共に、キラキラしてました。・赤朽葉瞳子(あかくちば とうこ)。彼女は、自分と自分の子どもたちの間くらいの年齢です。この彼女の感覚は、現代に生きるわたしたちの象徴のようです。とにかく普通で平凡。可もなく不可もない。真面目で堅実。夢や熱意を持たずに生きていることに負い目を感じ、常に自問している。劇的に生き、伝説を感じさせる祖母や母の人生と引き比べ「自由とはなにか。自分はこれからどう生きればいいのか。」と。現代のおはなしは短く、瞳子はあるきっかけで過去の殺人を調べます。ミステリとしてはゆるいですが、瞳子はきちんとそうしたことに向き合ってます。一族に関わる逸話や不思議と秘密を知ることが大事で、継承していくことなんではないかと思いました。映画『三丁目の夕日』では戦後の復興と人々の温もり、映画『魍魎の匣』では、戦後昭和の不気味でオカルティックな雰囲気が描かれてました。こうした戦後から現代への移り変わりが舞台の物語に、昨年から随分出会ってきたように思います。いま、昭和ブームですね。著者の桜庭一樹さんは、はじめ男性かと思ってましたら、なんと女性。これまでライトノベルズで少女向けの小説を多くかかれていらっしゃるんですね。外国小説など読書量はかなりなものだそうで。直木賞受賞作『わたしの男』はまたちょっとドロドロ系を想像させますが、、読んでみたら意外な読後感を得られるのかも?「このミス」1位の『警官の血』と同じ設定同じ時代です。甲乙付けがたいですが、こっちが一位でもおかしくないですよね~。著者からのコメント この『赤朽葉家の伝説』は2006年の4月から5月にかけて、故郷の鳥取の実家にこもって一気に書き上げました。わたしは山奥の八墓村っぽいところで生まれ育って、十八歳で東京に出て、小説家になりました。昭和初期で時が止まったようにどこか古くて、ユーモラスで、でも土俗的ななにかの怖ろしい気配にも満ちていて。そんな故郷の空気を取り入れて、中国山脈のおくに隠れ住むサンカの娘が輿入れした、タタラで財を成した製鉄一族、赤朽葉家の盛衰を描いたのが本書です。不思議な千里眼を持ち一族の経済を助ける祖母、万葉。町で噂の不良少女となり、そののちレディースを描く少女漫画家となって一世を風靡する母、毛毬。何者にもなれず、偉大な祖母と母の存在に脅えるニートの娘、瞳子。三人の「かつての少女」の生き様から、わたしたちの「いま」を、読んでくれたあなたと一緒に、これから探していけたらいいなぁ、と思っております。ガルシア=マルケスの『百年の孤独』のように国の歴史と混然一体となった一族の話を書きたかった。そうした一族が日本にいるなら山陰のような地方都市だろうって……。 【Amazon.co.jp特別企画】著者からのコメントより 第138回芥川賞・直木賞 桜庭一樹さん 『私の男』 『 少女には向かない職業 』 『 青年のための読書クラブ 』
2008年01月31日
内容(「BOOK」データベースより)存在しない犯人。それは鬼神だ。京極堂、「鳥の城」へ。「おお!そこに人殺しが居る!」探偵・榎木津礼一郎は、その場に歩み入るなりそう叫んだ―。嫁いだ花嫁の命を次々と奪っていく、白樺湖畔に聳える洋館「鳥の城」。その主「伯爵」こと、由良昂允(ゆらこういん)とはいかなる人物か?一方、京極堂も、呪われた由良家のことを、元刑事・伊庭から耳にする。シリーズ第八弾。 京極堂シリーズ第八弾前作の『塗仏の宴』から5年後に刊行されたシリーズ第7作目です。今回のキーワードは、生と死、儒教。京極堂による憑き物落としの哀しい結末に、初めてこのシリーズで泣いてしまいました。あいかわらずの弁当箱本。中盤あたりで、犯人はこの人しかいないだろう、と、見当がついちゃいましたが。。これまでの作風と違って、いくつもの縦軸や横軸が張り巡らされた伏線や仕掛けや事件が複数起こるわけではありません。ひとつの屋敷の中で終始する事件でシンプルです。ただし、その事件の背景と土台はシンプルではないですね。一軒の屋敷内の事件という構成は『姑獲鳥の夏 』以来ですね。前作『塗仏の宴』が、住人ごと消えうせた幻の村や、記憶を操る妖しげな宗教、不老不死の妙薬、メインキャストにサブキャストが総出演と、てんこ盛り。 あげくは、関口は、殺人事件の容疑者としてつかまり、その被害者は、あの話のあの人。京極堂の妹:敦子や木場が襲われたり怪我したり、木場にいたってはもしや死んでしまったのかとかなり心配しました。~、あらゆる意味で、読者を引きずり回し、かつ『宴の支度』『宴の始末』と二作に分けて、ファンをジリジリさせたと比べると、きわめてシンプルですね。ですが、感想をネットサーフィンしてみたところ、がっかりした、落胆、という感想も多かったです。5年ぶりの新刊だったことから、ファンの期待も大きかったのでしょう。でも『塗仏の宴』では、これ以上広げられないくらいの大風呂敷を広げ、少々収まり悪かったっという感もあったので、今回はこのシンプルさでバランスとれたんではないでしょうか。毎度のことですがはじめは、難解で、意味不明な内面吐露(関口や、今回は伯爵)、会話形式のウンチク。これらは、作品世界に入りこむための通過儀礼、基礎知識ですし、そのあとに 退屈の吹き飛ぶ物語があるわけです。ただ設定にはちょっと無理があり、人の記憶が視える力の持ち主榎木津が失明中。そうでなければ一発で犯人がわかるでしょーに。京極堂がほとんど何もせずに何故真相に至るのかも、やはり?で、通常のミステリーとは違いますね。でも、『魍魎』や『狂骨』のような、オドロドロしさはなく、哀しい結末ですが、後味は悪くないです。 今回おもしろかった妖怪談議では『異類婚譚』鶴の恩返しや、覗き見などについてのはなし。村という共同体の外部と内部とまたがって婚姻が行われる時。嫁に来る場合と婿にとる場合。地方によりいろんな形に変わっているが、財をもたらした嫁は覗き見されて出て行ってしまう。財をもたらした婿は殺されてしまう、パターンがあるそう。 今では失われてしまった、村という共同体、境界の内と外では、同じ<鶴>でも凶時にもなるし慶事ともなる。「鳥の城」の伯爵家花嫁連続殺害事件も、そうした話の前振りに基づいていました。本筋には関わりないですが、横溝正史や江戸川乱歩の名前や作品名が登場し、うれしい気持ちになりました。 あらすじ『貴方にとって生きて居ることと云うのはどのような意味を持つのです――』この小説の舞台は、白樺湖畔に威風堂々と聳える豪華な洋館『鳥の館』であり、鳥の館の主人はかつての爵位制度において伯爵位を授与されていた由良昂允(ゆらこういん)です。何故、鳥の館と呼ばれているのか、それは広大な邸内一杯に無数の鳥の剥製が置かれているから。。今は亡き昂允の父・由良行房(ゆらつらふさ)伯爵は、高名な本草学者であり博物学者で、特に鳥類の熱心な研究者で、研究標本として世界中の鳥の剥製をコレクションする事が趣味であった。行房伯爵は、博物学者であると同時に儒学者であり哲学者でもあって、その知的好奇心は留まる事を知らず、昂允にとって常に尊敬と敬愛の対象であり、目指すべき理想的な紳士、学者であった。由良家当主が治める広大な『鳥の館』の空間には、物言わぬ静寂な剥製の鳥が異常なまでに多すぎる……玄関の左右にはコウノトリ、弓手にハシヒロコウ、クロスキハシコウ、灰色朱鷺、シュモクコウ、馬手にはハゲコウ、大紅鶴(フラミンゴ)、箆鷺(ヘラサギ)、朱鷺、壁にはハゲワシ、ヒゲワシ、クマタカ、ノスリ、チュウヒ、トビ、隼などの猛禽類がいる、大広間、食堂、書斎、客室、寝室、何処にでも様々な種類の鳥達が静かに居住者や来客者たちを見つめ続けている……それは尊敬すべき父親が残した大切な可愛い鳥達であり、既に昂允にとって家族の一員でさえもありました。由良昂允元伯爵が抱えている絶望的な苦悩と恐怖は、『鳥の館』に昂允の配偶者として嫁いでくる花嫁は、全て初夜の明け方にその生命を間違いなく奪われてしまうという事であり、その花嫁殺人事件は四度繰り返し行われたのでした。由良昂允は、今度の薫子との婚礼だけは何としてでも無事平穏に済ませたいと願い、新婚初夜の惨劇を未然に防止する為に、探偵・榎木津礼二郎に花嫁の生命の保護を依頼する事にし、高熱で一時的に失明している榎木津の介添人として、重度の鬱病と対人恐怖の作家・関口巽が同行してきました。由良昂允は、作家としての関口巽の独特な感性に強い魅力を感じ、その著作『目眩』を何度も再読しています。由良昂允は、自らの生きて居る事の意味を否定し、絶望的な憂うつ感と対人恐怖に打ち沈む関口巽に対して、何度も同じ質問を、実存主義哲学者マルティン・ハイデガーのように執拗に投げ掛けるのでした。■京極夏彦 著作 感想『姑獲鳥の夏』 『 魍魎の匣』 『狂骨の夢』 『鉄鼠の檻』 『絡新婦の理』 『塗仏の宴 宴の支度』 『塗仏の宴 宴の始末』 『陰摩羅鬼の瑕』 『邪魅の雫』 『巷説百物語』 『続巷説百物語』 『後巷説百物語』 『前巷説百物語』 『嗤う伊右衛門』
2008年01月31日
内容(「BOOK」データベースより)「愉しかったでしょう。こんなに長い間、楽しませてあげたんですからねぇ」。その男はそう言った。蓮台寺温泉裸女殺害犯の嫌疑で逮捕された関口巽と、伊豆韮山の山深く分け入らんとする宗教集団。接点は果たしてあるのか?ようやく乗り出した京極堂が、怒りと哀しみをもって開示する「宴」の驚愕の真相。 京極堂シリーズ第七弾『塗仏の宴』は『_宴の支度』と『_宴の始末』の二部作『塗仏の宴 宴の支度』では、てこずりましたが、謎解きの本編はこれでやっと真相を知ることが出来るという思いで、有象無象の集団のつながりも解け、スッキリでした。「このミス~」ランキングには、『塗仏~』から登場しなくなりましたね。ウンチクに飽きたか、はじめから全てを知っている?かのような京極堂の憑き物落としが、ワンパターンに感じられてくる頃でしょうか。リアルタイムでなく、今、立て続けに読んでいるせいか、ワンパターンな展開と脳の痺れるウンチクにはまって、難解ながらも、離れがたい。。宿敵登場『この世には不思議なことなど何もないのだよ』を、常とする京極堂に対し、『この世に不思議でないことは何もない』とする、宿敵が登場します。京極堂の過去は、これまで『魍魎の匣』でも多少触れられているのですが、彼が戦時中に携わっていたことが本作でも触れています。いずれ、もっと明らかになってくるのでしょうか。京極堂をライバル視する宿敵の理由や、決着もいずれ着く日が来るのでしょうか。。「中禅寺自身は多分優しい男なのだろう。しかしその言葉は怖い。 実際 彼の言葉は人を殺し、常識を覆し、不安を呼び覚ますことが出来るのだろう。拠り所は彼の人柄だけなのだ」京極堂の<憑き物落とし>の手腕は、一歩間違えれば殺人や、世の中を乱したり、それこそ狂信的な宗教集団なども生むことができるということで、ひとえに京極堂が良心的で善人であることで、それを免れている。その辺が真逆の宿敵の登場でそれがわかりますね。今作から、以後は京極堂の宿敵の影がつねにちらつくようになるのでしょうか。宿敵の登場は、たとえば『NARUTO』のナルトのサスケ?いやアカツキか?、『犬夜叉』の奈落、シャーロック・ホームズのモリアーティ教授。明智小五郎の怪人二十面相、、。などのように、お話の盛り上げには良いけれど、それに終始してしまって、他の展開がなくなってはつまりません。京極堂:中善寺秋彦にそうした宿敵が登場し、かつ彼の過去の話が出てきたのは、今後は彼を中心にお話が回る、のでしょうか。。彼のファンなのでそれはそれでよいのですが。 でも、これまでのシリーズの話が、結局、京極堂をはめる為の、全部ひとつの<謀略>だったなんてオチに、やがて何作目かになったら、尻つぼみに感じてしまいそうです。このシリーズは、どこまでも奥深い内容で魅了し続けていただきたいですね。ところで、塗仏ってのは、なんだったのか、いろんな説が出てましたが(あいかわらず)結局のところわかりませんでした。妖怪に詳しいひとや、揚子江を旅したことがある人や、普通人の感覚では、どうでもよいようなことでも、熱心に嬉々として話してますよね。これぞオタクノ本道。。ネタバレ↓ 本人用のメモです。未読の方はご注意下さい。本 名 肩 書 団体名 参謀 佐伯甲兵衛 曹方士 <成仙堂> 刑部 佐伯葵之介 韓大人 <韓流気道会> 岩井 佐伯亥之介 南雲正陽 <太斗風水塾> 津村 佐伯布由 華仙姑 <霊媒師> 尾国 佐伯乙松 東野鉄男 <徐服研究会> 羽田隆三の経済力 佐伯玄蔵 張果老(通玄先生) <漢方薬局:桑山房> 宮田 岩田壬兵衛 磐田純陽 <みちの教え修身会> 彩賀笙 藍童子 ~ひとりごと京極堂が、妖怪を「怪異の最終形態」だと述べているように、<怪異>とは、物事の神秘がなくなったところに起きるのだという。妖怪の前段階の<怪異>は正体がなんだかわからないものであるが、妖怪とは、ある物事が完全に理解され、もともと神秘であったものだけが別のものとして生き残ったものなのだろう。この物語では<徐福信仰>と、それに関連する「くんほう様」への信仰、人の記憶への疑念が妖怪化したものか。 それを利用したものが今回のゲームということのよう。■京極夏彦 著作 感想『姑獲鳥の夏』 『 魍魎の匣』 『狂骨の夢』 『鉄鼠の檻』 『絡新婦の理』 『塗仏の宴 宴の支度』 『塗仏の宴 宴の始末』 『陰摩羅鬼の瑕』 『邪魅の雫』 『巷説百物語』 『続巷説百物語』 『後巷説百物語』 『前巷説百物語』『嗤う伊右衛門』
2008年01月28日
内容(「MARC」データベースより)昭和28年春。小説家、関口巽の許に奇怪な取材依頼があった。伊豆山中の集落が住人ごと忽然と消え失せたのだという。男が現出させたこの世ならざる怪異。関口は異空間へと誘われるのか。6つの妖怪の物語。 京極堂シリーズ第六弾『塗仏の宴』は『_宴の支度』と『_宴の始末』の二部作このシリーズを読んでいると、しばしば陥る状態。同じページを何度も読んだり、ただ睨んでいたりすること10分~30分。。文字の意味が脳に浸透せず停止状態。目で文字を追うのだけど、意味が行き渡らない。活動ストップ状態の頭で文字だけ睨むこと数十分。。じゃあ、やめれば?なんですけど、そうもいかんのですね。何故なら、先を知りたい。オチが知りたい。。今回の『塗仏の宴 宴の支度』は今回、特にてこずりました。何故か?あやしい宗教集団やら占い師やらが、有象無象で出てくるので、こんがらがるんですよね。まさに、あやしい集団の"宴"状態でした。「村がひとつ消えた」こんな出だしの一編目を読んだら、途中で止めらません~。「村ひとつが消えるほどの惨殺事件」というと、かなり前の薬師丸ひろ子主演映画『野生の証明』をイメージしました。”戦後”と、京極さんの小説も時代背景が一緒。どのような仕立てになっているのか、種明かしが、どうしても知りたかったです。関口が、この消えた村の調査に乗り出しますが、これが一抹の不安要素をかもします。京極堂や木場や榎木津に、普段「馬鹿だ、猿だ」と、おちょくられつつ、鬱病気質の彼の内面の声で、これまでのシリーズの案内をしてくれてました。(関口でないときもありましたが)、今回、彼自身が事件に巻き込まれ、身動きできず、仲間と行動を共にできないでいる様子が、まことに哀れでした。そして、この京極堂の妖怪シリーズの、”妖怪”についてのウンチクが、一番面白かったです。 『_宴の始末』まで通して読んでから、もう一度再読、再々読、メモまでとって。。ようやく話の流れがつかめました~。(何してるんだろ~、自分、、っと思いつつ。)今ではあまり知られていない妖怪 「ぬっぺっぽう」「うわん」「ひょうすべ」「わいら」「しょうけら」「おとろし」。の名前をタイトルにした6編の短編となっています。 「ぬっぺっぽう」売れない小説家、「私」=関口巽(せきぐち・たつみ)が、編集者の妹尾友典に伊豆の山中にあったはずの村が消滅したという事件をもとにした記事執筆を依頼される。15年前(昭和13年)の新聞にはそれを裏付けるような記事が残っているが続報はない。 消えた村に駐在していたという光保公平に話を聞き、実際に現地の 静岡県の韮山に行った関口が見たのは?怪しげな郷土史家:堂島静軒に導かれるようにして消えた村の中心にある旧佐伯家で、大量虐殺の痕跡とその肉を食べると不老不死になるという「くんほう様」=「ぬっぺっぽう」を目撃した。 記憶はとぎれ、「私」=関口は逮捕される。「うわん」『狂骨の夢』の一柳朱美。自殺志願者:村上兵吉を助ける。村上は<みちの教え修道会>に傾倒。<成仙道>という新興宗教団体が、朱美や村上に接触してくる。「ひょうすべ」京極堂、元編集者:加藤麻美子の相談にのる。祖父が<みちの教え修身会>に入信。土地を寄付しようとしている。自身の娘を亡くす。霊媒師<華仙姑> (かせんこ・おとめ)に傾倒。京極堂、関口、宮村による妖怪談義「ひょうすべ」を例に、妖怪は怪異の最終形態ということを語る。ひょうすべは兵主部。兵主神を奉ずる技能集団=渡来人。兵主神は、山の神であり水の神であり製鉄、武器を造る神。のちに菅原氏になった、埴輪焼きの土師師が祀っていた。何かの理由でその地を追われた兵主部たちは、別の地へ移り再就職。そうした足跡が妖怪化。主を失った渡来人の技工集団、使役される異人たちは、その先端技術によりよそ者扱い、やがて神性を失い、時空を隔てて妖怪化していった。。移動した先の土地に伝わる水怪の伝承と自分たちの伝承を習合。北の河伯と南のひょうすべが出会い、河童の伝承が生まれた。という説。「わいら」京極堂敦子。霊媒師<華仙姑>を助け、<韓流気道会>に付け狙われ、漢方薬局<桑山房>に助けられる。「しょうけら」木場修太郎。三木春子と<長寿延命講=桑山房>、霊感少年<藍童子>「おとろし」『絡新婦の理』の織作茜と<徐福研究会><太斗風水会>の話も出る。怪しげな団体が入れ替わり立ち替り取り巻く。いつもの登場人物(警視庁刑事の木場修太郎、探偵・榎津礼二郎など)や過去の事件の主役級の登場人物と絡み合う。■京極夏彦 著作 感想『姑獲鳥の夏』 『 魍魎の匣』 『狂骨の夢』 『鉄鼠の檻』 『絡新婦の理』 『塗仏の宴 宴の支度』 『塗仏の宴 宴の始末』 『陰摩羅鬼の瑕』 『邪魅の雫』 『巷説百物語』 『続巷説百物語』 『後巷説百物語』 『前巷説百物語』『嗤う伊右衛門』
2008年01月23日
『銀色のシーズン』(2007) メディア 映画 上映時間 108分 製作国 日本 ジャンル 青春/ドラマ 「海猿」シリーズの羽住英一郎監督が、海原から雪山にステージを変えて放つ、新しいタイプのエンターテイメント。プロ並のスキー腕前を持った3人が、雪山を自由自在に駆け回る姿は、言わば“雪の上の海猿”。主演は、『アヒルと鴨のコインロッカー』などで実力を見せる瑛太、田中麗奈、玉山鉄二、青木崇高、佐藤江梨子ら。佐藤江梨子がなぜこの役を?と最初は思うが、その秘密は中盤辺りから分かるはず。 [監]羽住英一郎[出]瑛太 田中麗奈 玉山鉄二 青木崇高 佐藤江梨子 田中要次 杉本哲太 國村隼映画『 銀色のシーズン 』公式サイトメイキング【関連作品】 映画『海猿』 ▼『超映画批評』 40点【ストーリー】 雪山バカ3人組がゲレンデを熱くする!モーグルの町、桃山町には、ゲレンデの厄介者と呼ばれる3人組がいた。リーダー格の銀を中心に、ゲレンデの客を相手にぼったくり商売をしたり、当たり屋をしたりとやりたい放題。ある日、町の名物、雪の教会で挙式を挙げるため、一人の女性が訪れる。スキー好きの婚約者と違って雪を見るのも初めての彼女は、ゲレンデでも転んでばかり。雪山で一儲けを狙う銀は、彼女にスキーのコーチを買って出る。しかし、彼女には秘密があった。No guts No glory Go for it !!「根性なしに栄光なし。行ってみろ!」原田知世主演の1987年の「私をスキーに連れてって」以来、久々のスキー青春(?)映画です。そんなに前になってしまったんですね。スキー映画って。。もっとあっても良いのに、そんなに少なかったんですね。あちがちな恋愛青春ストーリーになりがちだからかな?ストーリーは、まあ、確かに。『海猿』の海版から、『雪猿』の山版へと舞台が変わっただけ。それでも! 冒頭の山頂からの滑走シーンは、惚れ惚れ。+役者の人たちの魅力で、コテコテ臭くなりすぎず、雪のようにサラッとした鑑賞感です。主役の瑛太くんは、『ウォーターボーイ』や『のだめカンタービレ』やたくさんの作品に出演している割に、固定イメージがありません。それこそ雪のように真ッ更で、なににも染まっていない。 そして、彼と仲間の雪猿たちの共同生活。 これまた、ベタベタしてない、「それもありじゃん」といったさりげない肯定的なつきあい。計算のない、都会ではなりたたない雪山ならではの、友情。メイキングサイトが面白いです。長野オリンピックの白馬村で3ヶ月に及ぶ長期ロケを行い、膨大な雪を運んで作ったモーグルコースなど、撮影秘話が見所満載でした。ヘルメットの装備 三人のキャラクターがひと目でわかる・銀のヘルメットには ダイナマイトのステッカー・祐次のヘルメットには「酔」の一文字 粋だと思っている。三人とも漢字が読めないのではという設定・次郎のヘルメットには傷 無茶ばかりする性格小屋のあちこちに、画面に見えないくらいのメモ「次郎くん、蛇口についた泡をちゃんとおとしてください ユ」「次郎くん最後に出る人は電気消してください ユ」「次郎くんスプーン一杯で充分です ユ」「次郎くんこの中のお金を抜かないでください シッテマス ユ」 「次郎くんお金を払って飲んでください ユ」三人の関係?が垣間見えるようです。次郎役の青木崇高さんは、三人の中でそんなに知らない役者さんで、セリフもあんまりないんですけど、おもしろそうな人ですね。業界からは、スノースポーツブームへの期待が高いそうですが、羽住監督は「スキーヤーが求める“スキー映画”ではなく、誰が見ても飽きない面白い映画にしたかった。まずはダイナミックな滑走シーンでイメージをぶちこわします。」ハリウッドの技術を生かしたカメラワークなど、雪上アクションは見応え十分でした。
2008年01月18日
■内容紹介■ 八五年、御巣鷹山の日航機事故で運命を翻弄された地元新聞記者たちの悲喜こもごも。上司と部下、親子など人間関係を鋭く描く力作 北関東新聞の記者・悠木は、同僚の安西と谷川岳衝立岩に登る予定だった。御巣鷹山の日航機墜落事故発生 ふたりの約束は果たせなくなる。 一人で山に向かったはずの安西は、なぜか歓楽街で倒れ病院で意識不明となる。地方新聞を直撃した未曾有の大事故の中、全権デスクとなった悠木は上司と後輩記者の間で翻弄されながら、安西の謎を知ろうとする。 実際に事故を取材した記者時代の体験を生かし、濃密な数日間を描き切った、著者の新境地とも言うべき力作。(TN) このミステリがすごい2004年版 第7位『クライマーズ・ハイ』は、新聞社が舞台です。御巣鷹山の日航機墜落事故発生時の、報道社のドラマ。硬派の警察小説や社会派ミステリーの分野で当代一の横山秀夫が、上毛新聞記者時代に遭遇した御巣鷹山日航機墜落事故取材の体験を、本格長編小説にまとめ上げた作品です。横山秀夫さんは、映画化された『半落ち』がイメージ強いですね。持ち味の、えっ、と驚くような仕掛けや展開や結末ではなく、練りに練った研ぎ澄まされた文章で、未曾有(みぞう)の大事故に決然と立ち向かい、あるいは奔流を前に立ちすくむ人物たちを描いています。群馬で事件といえば、「大久保事件」「連合赤軍事件」でした。地元記者にとってもそれは一生に出会うか出会わないかの大事件。「大久保事件」とは、連続女性暴行殺人事件で、「連合赤軍事件」とは、いわゆるあさま山荘事件のことで、昭46年と47年に立て続けに起こった。その頃事件記者をやっていた人間たちは「二度と起こらない大事件」をふたつまとめて経験したことになり、「大久保連赤」と詰めて呼ぶ。まぐれでオリンピックを取ったような気分になり、天狗となった 当時の記者たちが、現在の社内のトップたち。その古き良き時代が、この世界最大の航空機事故で、終焉を迎えた。大惨事の現場にいち早く到着し、悲惨な情景を真の辺りにし、人間性のどこかが壊れてしまった26歳の若手記者や、現場雑感の署名記事を、つまらぬ社内の覇権争いでつぶされる33歳の中堅記者。どの登場人物も、著者の一部であり、また思い通りにゆかない人生を懸命に生きる、すべての人間の一部でもある。主人公は、過去に部下の新人をなかば自殺の事故死で死なせたという負い目をもつ出世からはずれた40歳の遊軍記者でしたが、この事件の際に全権デスクの任をまかされます。「下りるために登るんさ」植物状態になった登山家の同僚の謎の言葉。激動の一週間から、その後の主人公の行く先。、爽やかさと安堵感を覚えました。転んでも傷ついても走り続ける。下りずに過ごす人生も捨てたモンではない。こういう人のの妻も、大変だろうケド、こんな老後もよさそうです。 ――記録でも記憶でもないものを書くために、18年の歳月が必要だった。横山秀夫 映画化『日航ジャンボ機墜落事故』を取材した地方紙の新聞記者を主人公にした 人気作家・横山秀夫氏のベストセラー小説「クライマーズ・ハイ」が堤真一 主演で映画化されることになりました。監督は『突入せよ!「あさま山荘」事件』『魍魎の匣』の原田眞人監督 2008年公開予定。横山作品の映画はこれまで「半落ち」(日本アカデミー賞で最優秀作品賞を受賞)「出口のない海」。ニュージーランドロケ 2005年12月 NHKドラマ。ドラマ版では佐藤浩市全権デスクを任された主人公・悠木記者を演じ、 社内上層部との確執やデスクとしての葛藤(かっとう)、父親としての苦悩といった複雑な感情にさいなまれる難しい役どころを見事に演じました。 視聴率こそ前編7・4%、後編5・4%と振るわなかったが、墜落機を実名で描くという同局の ドラマとしては異例の放送で話題を呼び、原作同様の質の高さが評価され、放送文化基金賞を受賞した。
2008年01月17日
出版社 / 著者からの内容紹介誰もが平気で嘘をつくわけではない。正直に生きていきたいと望んでいたのに、落とし穴にはまりこみ思わぬ過ちを犯してしまった人間たち。そしてそれを隠すため、さらに秘密を抱え込む……。バレエ団の事務員が自宅マンションのバルコニーから転落、死亡した。事件は自殺で処理の方向に向かっている。だが、同じマンションに住む元プリマ・バレリーナのもとに1人の刑事がやってきた。彼女に殺人動機はなく、疑わしい点はなにもないはずだ。ところが……。嘘にしばられ嘘にからめとられていく人間の悲哀を描く、新しい形のミステリー 加賀シリーズ、結構たくさんあるんですね。短編集でした。『赤い指』以来、二度目です。このシリーズは、壊れた家族間が元に起きる犯罪が多いのかな?、不倫とか、親子関係、夫婦関係、冷めた関係が土台にある感じです。その辺り、とっても冷めているので、背中に吹雪がびゅ~っ。。加賀刑事というのは、暑苦しいとか無骨とか、熱血とか、そういうのとは全く無縁な佇まいですね。怜悧、明晰、冷静。でも『赤い指』で彼の背景を知ったので、官僚主義とか心が狭いとか、単に冷たい人ではなく、いろんな機微も踏まえた大人な対応のできる人という感じ。事件関係者への配慮など、あたたかいものを感じました。他の加賀シリーズもそのうち読みたいですが、 冷えた家族のおはなしを読むときはちょっと覚悟が必要です。
2008年01月16日
出版社 / 著者からの内容紹介第4回『このミス』大賞受賞作&28万部突破の『チーム・バチスタの栄光』、15万部のベストセラー『ナイチンゲールの沈黙』に続く、大人気・田口&白鳥シリーズ第3弾の舞台は、救命救急センター。医療問題、収賄事件、大災害パニック…あらゆる要素がつまった、シリーズ最高傑作のメディカル・エンターテインメント!田口・白鳥コンビ最新刊 ドクター・ヘリ導入を悲願とする救命救急センター部長をめぐる疑惑。”血まみれ将軍”もしくは”赤字将軍”を意味する、ICUの天才外科医、ジェネラル・ルージュをめぐる騒動 映画「チームバチスタの栄光」 『ジェネラル・ルージュの凱旋』 OFFICIAL WEB SITE (あらすじ) 桜宮市にある東城大学医学部付属病院に、伝説の歌姫が大量吐血で緊急入院した頃、不定愁訴外来の万年講師・田口公平の元には、一枚の怪文書が届いていた。それは救命救急センター部長の速水晃一が特定業者と癒着しているという、匿名の内部告発文書だった。病院長・高階から依頼を受けた田口は事実の調査に乗り出すが、倫理問題審査会(エシックス・コミティ)委員長・沼田による嫌味な介入や、ドジな新人看護師・姫宮と厚生労働省の“火喰い鳥”白鳥の登場で、さらに複雑な事態に突入していく。 将軍(ジェネラル・ルージュ)の異名をとる速水の悲願、桜宮市へのドクター・ヘリ導入を目前にして速水は病院を追われてしまうのか……。そして、さらなる大惨事が桜宮市と病院を直撃する。 『ナイチンゲールの沈黙』と『ジェンラル・ルージュの凱旋』は表と裏同時進行のおはなし。2人の看護士浜田小夜と如月翔子は伝説の歌手水落冴子を東城大学救急センターに運びます。小夜がオレンジ新棟2F:小児病棟、翔子はオレンジ新棟1F救命救急センター勤務。その夜を堺にふたりの看護士は1~2階、それぞれの階で進行中の事件に善処しようとがんばっていたのですね!どっちのはなしが表か?殺人事件で警察の捜査などミステリ色事件性は『ナイチンゲール』のほうが強いですし、ファンタジーっぽくもあり。『ジェネラル』は病院内部の現実や、現場チームと事務方や査問委員会との軋轢、収賄疑惑などミステリ度は薄いです。でも。。「私がかしづく相手はただひとつ 目の前に横たわる患者だ」それにしても、速水部長。題名が随分凝ってるし ”血まみれ将軍”という派手な通り名で、どんな人物なのかと、前作まで分かりませんでしたが、救命救急センターICU部長:速水先生は、「神」が肩に舞い降りた”伝説”をお持ちだった!”血まみれ将軍”を支持する人あり、敵あり。。黒崎教授の登場発言場面は、最高の盛り上がりでした。『チーム・バチスタの栄光』より好き。救命救急センターが舞台なだけに、こと大事故の時の緊迫感が半端じゃないです。中盤まで、「エセックス・コミュニティ委員会(いわゆる査問委員会の役割の)」の沼田委員長のネチネチぶりにイライラ。今後、沼田チームがどんな報復がしてくるのやら。 現場チームへの嫉妬としか思えないんですけど。行動派VS理論派。展開は遅々としているのに、こりゃ、シリーズ一の爽快感です。 また『螺旋迷宮』の前日譚でもあります。桜宮病院に潜入捜査するため、姫宮がこの時救命救急センターで研修生として来ていたとは。 【映画化】2009年3月7日より全国東宝系にて公開 監督:中村義洋 竹内結子、阿部寛、堺雅人、高嶋政伸、羽田美智子、山本太郎、貫地谷しほり、國村隼 著作 感想田口&白鳥コンビ第一弾チーム・バチスタの栄光 第二弾ナイチンゲールの沈黙 第三弾ジェネラル・ルージュの凱旋 第四弾イノセント・ゲリラの祝祭 その他 螺鈿迷宮ブラック・ペアン
2008年01月09日
「人志松本のすべらない話」は松本人志がホスト役を務める単発深夜トークバラエティ番組。出演者の名前が書かれたサイコロを振り当たった人がすべらない話を披露するという実にシンプルな趣向。すべってはならないというプレッシャーから出演者は極度に緊張、現場は異様な空気に包まれる。第1弾DVDの出演者は、 松本以外に千原浩史(千原兄弟)・ほっしゃん。・宮川大輔・河本準一(次長課長)・佐田正樹(バッドボーイズ)・黒田有(メッセンジャー)という口八丁の面々。サイコロが振られるたびにメンバーの顔が引きつる。3連続して当たることも。しかしそこはプロの笑いの達人たち。一度話し始めると必ず爆笑が起きまったくすべらない。ひたすら爆笑。 人志松本のすべらない話 - フジテレビシンプルに、自分が知っているすべらない話をするだけなのにおかしくて笑っってしまいます。昨年ゴールデンタイム2時間10分もオンエア(07.06.02)につづき。2008年正月スペシャル番組でもありました。・・あの豪華ゲストなんなんですかねー。て、思いながらすべらない話は楽しませて頂きました♪基本的に、ネタもですがそれぞれの人のゐ語り方ですかねぇ~キム兄の「にいさんとの思い出を~!!」という長い話が一番好きです。結局、グランプリは誰か知らない人でしたが。宮川とほっしゃんってコンビ組んでたことがあるんですね。陣内のネタ、楽しみだったんですが、いまひとつに感じました。それにしても、千原ジュニアって、すごい鼻がとんがってるのが、いつもとても気になりますが、話は天下一品ではないでしょうか。そういえば、藤井隆が途中、メモを取り出してネタを確認するなんて場面がありましたが、。気の毒に。サイコロであたった人がしゃべっている時、周りで聞く人は、「うんうん」ととても熱心に聴いているのも、いいです。お互い緊張しているのがつたわります。今回は正月番組スペシャルで観れましたが、人気も高いのだからDVDレンタルを始めてほしいです。それとも、ヤッパリ購入しようかしらと、最近の検討事項です。
2008年01月08日
ジャングル・リベンジ/6年間の事件簿!今語る!あの日!あの時!/プチ復活!思い出のロケ地を訪ねる小さな旅DVD全集第6弾。「もう二度と行きたくない!」誰もが思ったマレーシアのジャングル奥地に7年の歳月を経て男たちは再び足を踏み入れる『ジャングルリベンジ』。そのほか、北海道だけで放送された特別番組を2本収録。 ●水曜どうでしょうDVD全集1~9水曜どうでしょう official website最近全国区で活躍中の大泉洋さんの、出世作「水曜どうでしょう」帰省した田舎で、いもうとが薦めてくれました。家族で、大爆笑~~。事務所の社長と大泉さんが、いろいろなところへロケに行く。ヨーロッパやら、ジャングルやら。。ま~そのとぼけた掛け合いが、独特な辛口というか、間が抜けているというか。。傑作だったのは、ジャングルで迎えた大泉さんの誕生日。スタッフからの誕生日プレゼント。どれも馬鹿馬鹿しいものばかりなのに、ひとつひとつにプレゼントを開けて覗き込んでは「・・~い~の?」「いや、こんなものを貰うわけには。・・」「・・~い~~の?」ほんとに面白い人ですね。
2008年01月08日
公式サイト作品紹介あらすじ純朴な美大生・竹本祐太(櫻井翔)は、美術教師の家で転入生の花本はぐみ(蒼井優)と出会い、ひと目惚れしてしまう。幼さが残るが絵を描くことにかけては非凡な才能を持つはぐみ。成り行きから竹本は彼女の面倒を見るようになる。そのころ奇人として名を馳せる8年生の森田忍(伊勢谷友介)が帰国。早速美大に復帰した森田ははぐみの絵を見て絶賛し、同じ天才として好意を抱くようになる。竹本や森田と同じ美大の寮に住み、建築事務所でバイトをする真山巧(加瀬亮)は、あるデザイナーの女性に対してややストーカー気味に想いを寄せる日々。その真山に恋する山田あゆみ(関めぐみ)は、真山が振り向いてくれないことを知りつつも一途に片思いを続けてしまう。仲のよい5人は友情と恋を同時に抱えたまま日々を過ごしてゆく……。 ”「ハチミツ」とクローバー”の題名とおり、超甘なミルクティーを飲んで胸焼けした感じです。蒼井優ちゃんや、伊勢谷友介さんの出演作、というので釣られたのですが。自分には、ハズレだったな~(><)。ラブコメでも、コメディータッチやシニカルさとかの味付けがきいていれば、笑えるし、考えさせてもくれて、楽しめるんですが。原作漫画の絵柄も 綿アメのような絵ですねー。読んでないので何ともいえませんが。超人気漫画なんですよね。気にいらなかった最大のポイントはヒロインのキャラ。蒼井優ちゃん、「タイガー&ドラゴン」で、小竜(岡田准一)に蹴りをいれてる元気娘ぶりの時はが、断然好きでした。繊細そうなのに、現代娘っぽい切れの良さ?は、意外でしたし。「ハチミツ~」のヒロイン役は、まさに少女漫画ヒロイン。天才で努力しなくても見事な絵を描く。ただ、常人ばなれしたボンヤリちゃんなので、周囲からは浮いてる。でも、ほっとけなくて何故かモテる。常識的で自分の事は自分でできる健全な女の子にはムカつくキャラですよ。このヒロインに、自分も同化できれば、お姫様展開でウットリできますが、共感に失敗すると、女性からは反感を買うことになる。同じく天才的な才能の持ち主の、先輩(伊勢谷友介)というのもまた。。なんだかひとりよがりな我儘な感じ。天才肌のふたりだけの世界、も~勝手にやってれば?それを指をくわえて、祝福?する主人公(櫻井翔)がじれったい。ファンの方には申し訳ないですが、自分には合わない一本でした。ドラマの方はどうでしょう?(・。・)今日からスタート「ハチミツとクローバー」おばさんも見るに耐えれる出来でしょうか?若手俳優を揃えての、青春ドラマ。生田斗真くんは、「花のイケメンパラダイス」で元気ではじけた妄想くんぶりが好きでしたので、ちょっとのぞいてみようかな。
2008年01月08日
本の内容 汝の父を敬え――制服の誇り、悲劇の殉職。警察官三代を描く、警察小説の最高峰誕生!帝銀事件が世を騒がせた昭和23年。希望に満ちた安城清二の警察官人生が始まった。配属は上野警察署。戦災孤児、愚連隊、浮浪者、ヒロポン中毒。不可解な「男娼殺害事件」と「国鉄職員殺害事件」。ある夜、谷中の天王寺駐在所長だった清二は、跨線橋から転落死する。父の志を胸に、息子民雄も警察官の道を選ぶ。だが、命じられたのは北大過激派への潜入捜査だった。ブント、赤軍派、佐藤首相訪米阻止闘争、そして大菩薩峠事件―。騒然たる世相と警察官人生の陰影を描く、大河小説の力作。 このミステリーがすごい! 2008年 国内編第1位今年度の「このミステリーがすごい!」第一位”警官の血”は、祖父・父・息子の三代を貫く警察官の人生を、その時代の歴史・人々の暮らしぶりを丹念に描写することによって著した実に見事な小説です。このところ、京極堂シリーズにはまっているので、そちらの複雑怪奇な事件に右往左往する警察官ばかり見てきたので、こちらの骨太で堅実な警官一家の物語は新鮮でした。それほど主人公一家に気持ちが入る、、というでもないのですが、それぞれの時代の世相や事件、背景などがしっかりしていて、面白いからなのか、一気読みでした。スチュワート・ウッズの『警察署長』を彷彿させる警察官の三代記のおはなしですね。とはいえ、『警察署長』は、血縁関係の三代記ではなく、デラノという町の署長たち三代記。やはり一番のテーマは、警察官の倫理観ですよね。警察機構内部の政治や駆け引き中心ではないですが、ラストの方の激しい応酬など圧巻。倫理観って、規範や基準がよく分からない。。正義や善悪も、。最近のドラマや映画が思い出されます。「事件は会議室で起きているんじゃない、現場で起きているんだ!」『踊る大捜査線』の青島刑事とか、「これは(事件に大小はない)人の命についての裁判なんです」『HELLO』の、久利生検事などのように・・映像世界ストーリーのように、スッキリ単純明快なら誰も足をすくわれる事はないのでしょうが。現実では、そんなに白黒ハッキリしてませんから。 悪徳警官が、まったくの自堕落な人間とは限らない。予算の足りない分を補うための覚せい剤売買。、これを内偵した後輩の動機は、彼女を取られた腹いせです~。人質立てこもり事件を、身体を張って乗り込んだ「殉職刑事」は、実は自殺。。など、英雄的な行為という功績に隠れた、個人の人間臭い動機や苦悩が、コインの表と裏のよう。警察機構の中で、何度も出てくる、主人公らが岐路に立たされる倫理観。初代が戦後の間もない頃、貴重だった洋モクが署内で配られた時、「自分は洋モクは苦手で」と断るが、周囲の目が冷たくなる。その潔癖さ硬さが、”警察官の鏡”と信頼や昇進へとつながるのか、裏目に出てチーム・ワークのできない男となるか。その規範は誰も教えてくれないワケで、。自分で確立するしかないようです。「お前の父が本当に模範的警察官だったと思っているのか?」三代目が、初代の追っていた事件の真相にたどり着いた時、関係者に逆に問われる。親子三代に渡っての謎がようやく明らかになるシーンなのに、今の多様化の時代の象徴のようで、あまりスッキリしたオチには感じません。唯一ひとつの真実なんてのはないというか、。警察内のどこの部署かで扱う事件が違うから、正義や基準も微妙に変わる、ということですかね。優先すべきはそのときの部署、自分の事件、ということなのですかね。「フィリピン ライテの帰還兵だ!」 戦争は、ヤバイ。国も人も壊れちゃうことなんですね。「__優秀な警察官の血だ」タイトルのとおりですが、三代目が警務課に抜擢される際に、幹部が口にするこの言葉は、祝福の言葉にはちょっと聞こえませんでした。警務課というと警察の中の警察というところ。署内でも敬遠される部署ですから。。でも、この三代目はタフなようです。、職責の中、倒れて行った祖父や父の意志を、忘れまいと、あの”ホイッスル”を身につけることにした三代目の姿勢に、感銘を受けました。清二・民雄・和也。 親から子へと受け継がれるたしかなものがある血筋は、いいですね。多様化の時代、人は組織に使い捨てにされ、守ってくれる確かな倫理も規範もない。自分の身は自分で守れ。自分に流れる父や祖父からの警官の血だけが、自分を律し守ってくれる、ということです。年末に 図書館で予約したはいいけど、正月の帰省をはさんで、図書館も年末休みになるなど、もしかして、予約を逃すかも??っという危惧はありましたが、無事に読み終える事が出来てうれしいです。しかも、読み始めたら止まらないし。これは「このミス一位」納得です。
2008年01月07日
出版社/著者からの内容紹介理に巣喰うは最強の敵――。京極堂、桜の森に佇(た)つ。当然、僕の動きも読み込まれているのだろうな――2つの事件は京極堂をしてかく言わしめた。房総の富豪、織作(おりさく)家創設の女学校に拠(よ)る美貌の堕天使と、血塗られた鑿(のみ)をふるう目潰し魔。連続殺人は八方に張り巡らせた蜘蛛の巣となって刑事・木場らを眩惑し、搦め捕る。中心に陣取るのは誰か?シリーズ第5弾。このミステリーがすごい! 1998年国内編第4位ようやく第5弾って感じです。早く邪魅の雫まで到達したいんですけど、なかなかですね。も~、どんどん深みにはまってしまってます。京極堂の”憑き物落し”シーンは、悪魔のようだと形容されますが、情があってカッコよく、ホントに楽しみです。 「あなたが――蜘蛛だったのですね」冒頭からいきなり物語りの、犯人と京極堂が対峙です。。タイトル”「じょろうぐも」のことわり”が示す通りの蜘蛛の物語。蜘蛛の巣状の構造の美しさが作品の眼目をなします。今回の物語は、一見それぞれ独立しているように見える三つの連続殺人事件が、からみあいながら進展していきます。●東京警視庁の刑事・木場修太郎が捜査を担当する、「目潰し魔」による女性刺殺事件。●榎木津礼次郎が探偵役として呼び出される、キリスト教系全寮制女学校が舞台のオカルティックな「絞殺事件」。●いさま屋と待古庵が遭遇する、房総半島の旧家・「織作家」を襲う家庭の悲劇。<京極堂シリーズ>は全部つながった話で、今作では過去の登場人物がいっぱい出てきました。レギュラー 京極堂、木場修、榎木津はもちろんです。刑事:木場修は、部下:青木と共に、「目潰し魔事件」追跡。そこに、『鉄鼠』から名前が出ていた友人の川島新造が容疑者NO.2として浮上し悩みます。『狂骨の夢』の心理学者:降旗も、指名手配中の犯人の担当精神科医だたことから木場修に専門家としてのアドバイスをします。探偵:榎木津は、失踪捜索依頼から、「連続絞殺魔事件」に関わります。この榎木津探偵事務所に『鉄鼠』の元神奈川県警刑事が:益田弟子入り、『魍魎』で登場の弁護士:増岡と、探偵事務所で出会い、肩を並べて京極堂を訪れます。青木と益田が京極堂の示唆で、それぞれが抱える事件の類似に気づいていく時、これまでのシリーズでも、複数の話が交差する作りでは同じなのに、違った特長が見えてきます。 まるで大きな蜘蛛の巣のような事件のつながり。 読者は登場人物と同様に、外側の糸から中心部へと向かってゆっくりゆっくりたどらされているのだと、。そんな構成になっていたのかと「蜘蛛の巣」がおぼろげに見えてきたとき、、驚きました。『狂骨』で登場した伊佐間、『鉄鼠』登場の今川は、今作で合流。ともに織作家に滞在。二人とも榎木津の海軍時代の部下。もともと知り合いだったのかは不明ですが、なかなか息の合ったふたりです。『魍魎』の樋口加奈子や『姑獲鳥』の久遠寺涼子といった名前も事件に大きな影響を与えてます。『魍魎』で重要な位置を占めた柴田財閥今回も重要な辛味があります。今作のキーワードである織作家とのつながりも。関口巽は、ところが今回ほとんど登場しません。そのせいか?今回ウンチクは以前ほど無いような。。関口がいないと、京極堂のウンチクはわりと穏やか目なのでしょうかね。今のところ、シリーズ中では、『狂骨』と、この『絡新婦』がお気に入りです。『魍魎』も面白かったんですが。。次々読むと、次々面白い。。やっぱり、女性が絡む割合が多いもののほうが読みやすい気がします。絡新婦日本で言う斑蜘蛛(まだらくも)、女郎蜘蛛の事で、中国ではこの漢字を使うそう。中国語読みだと「ロスインプウ」となる。江戸時代の絵師である鳥山石燕が刊行した「画図百鬼夜行」と言う妖怪百科から題名となる妖怪を取っているのだが、その画集の中でこの絡新婦の文字を使っている。 「絡新婦」の図は、母胎としての母蜘蛛が中心にいて、そこから発っせられた子蜘蛛が外側に向けて仕掛けていくと言うように書かれている。今回の小説の事件もそのような構造を持つ。中心に犯人がいる。犯人はその目的のために周囲の状況をたくみに操作し、また嘘の情報で周囲を誤誘導し、結果として周囲に散りばめた子蜘蛛を使って事件を起こさせると言う形なのである。詳しい仕掛けは小説に当たってもらった方が良いのだけど、これにより結果として犯人は何も事件を起こさないと言う事になる。犯行は子蜘蛛がする。■京極夏彦 読書感想『姑獲鳥の夏』 『 魍魎の匣』 『狂骨の夢』 『鉄鼠の檻』 『絡新婦の理』 『塗仏の宴 宴の支度』 『塗仏の宴 宴の始末』 『陰摩羅鬼の瑕』 『邪魅の雫』 『巷説百物語』 『続巷説百物語』 『後巷説百物語』 『前巷説百物語』『嗤う伊右衛門』
2008年01月06日
内容(「BOOK」データベースより)忽然と出現した修行僧の屍、山中駆ける振袖の童女、埋没した「経蔵」…。箱根に起きる奇怪な事象に魅入られた者―骨董屋・今川、老医師・久遠寺、作家・関口らの眼前で仏弟子たちが次々と無惨に殺されていく。謎の巨刹=明慧寺に封じ込められた動機と妄執に、さしもの京極堂が苦闘する、シリーズ第四弾。 このミステリーがすごい! 1997年国内編第7位昭和28年年明け早々。舞台は箱根。山奥にある明慧寺と仙石楼という民宿です。今回は、とにかく刑事と僧侶が、寺と民宿を行ったり来たり、と目まぐるしかった。明慧時は京極堂さえ知らなかった記録に無い寺。京極堂が知らない寺社などあり得ないですから。、それだけでもう、謎の寺の不気味さがドドーンときます。「拙僧が殺めたのだ」冒頭、禅問答のような会話です。雪深い山中、目の見えない按摩が出会ってしまったのは人間か、妖怪か。。按摩の足にぶつかったのはどうやら人の遺体のよう。。今回のテーマは、京極堂がひるむほどという「禅」の世界。禅をテーマにした連続殺人事件です。読むと日本の禅仏教についてけっこう詳しくなります。仏教の歴史が大変細かく説明されていて、この解説は、下手な入門書よりもずっとわかりやすく、正確にまとめられているとのことです。「兄貴も知らない寺だったんです」明慧寺は、由緒不明の禅寺で、臨済宗や曹洞宗を始めとする様々な宗派が入り乱れ、これが事件の謎を推理する上での大きな鍵になっています。寺自体が妖怪のよう。明慧寺に乗り込んだ人々は、その荘厳さに呑まれ、結界に取り込まれ、惑わされていきます。下界よりも清浄な世界のはずなのに、。もしかして一度入り込んだら帰れなくなるのでは。。そんな不安を抱かせます。そこは、見えない『檻』に囲まれた異世界。すなわち「止まった時」。 明慧寺という『檻』=「止まった時」のなかでの殺人。その謎を解き明かすことは、「止まった時間」を開放するということ。。京極堂にとっては、謎は解けても、なかなか手が出せない難解な相手です。京極堂は、言葉によって”憑き物を落とす”拝み屋ですが、「禅」はまったく逆。言葉を超えたところにあるものだそうで、。「悟り」という大変なテーマとの格闘。「はじめから負けている」と、なかなかに腰をあげない京極堂が、ついに意を決し、黒装束に身を包んで明慧寺に乗り込んでゆく。 いよいよ謎が解き明かされていく場面は、とてつもなくカッコよいです。ところで、関口と京極堂は今回、女房孝行と称して、妻らをともない箱根へ行く様子がいい感じ。 この妻たち、風変わりな夫をものともせず、健全です。常識的で慎み深く、賢そう。毎回、気になります。彼女らは、やっぱりお見合いで結婚されたんでしょうか? 京極堂シリーズでは、女性の性ならではの妖怪も登場しますが、妻たちは、そういう”憑き物”とは無縁。右往左往するのは、京極堂ら男性中心。女性は妹の敦子のみ、職業婦人ということで活躍しますね。非日常的な事件ばかり扱う京極堂たちにとって、妻たちは健全な日常世界の象徴のようで、ホットとします。鉄鼠「鉄鼠」とは恨みを持った僧侶・頼豪が無数の鼠に変化したものでライバル関係にあった延暦寺を襲い経典をかじったと言う。しかし本作の「鉄鼠」は坊主の妖怪であるということよりも、それが成立する歴史的背景の方に意味がある。罪悪感を打ち消すために、相手を悪者に――妖怪にしたて自分のほうをこそ被害者にしたてる。――その仕組みを象徴するものこそ「鉄鼠」。それは自分の中で生み出された自分の中にしかない幻の妖怪。つまり「疑心暗鬼」だ。自分を縛っているのは自分自身のやましさでしかない。本作の登場人物の迷いは常に自分の内側にある。自分の内面を見て怯えている。だが常にその原因をいつのまにか外側の要因に転嫁して、幻の妖怪を作りあげて怯える。その妖怪は決して消えない。なぜなら目を向けている外側にはないもなくそれは自分の内側にあるからだ。――それが結界。それが魔境であり、それが鉄鼠。そして檻である。 「中宮賢子に皇子が産まれるように白河院が頼豪に祈祷を依頼した。恩賞は思いのままにと云うのが条件だ。頼豪は呪術も得意な坊主だから祈祷一発効果覿面で敦仁親王が誕生した。~~餓死した頼豪は鼠の群れとなって転生し、比叡山の桂蔵に沸いて経典を食い散らした、というのだ。~木曾義仲の子義高がその頼豪から妖鼠の秘術を伝授して貰って、父の仇石田為久をその鼠を使って討ち取ろうと待ち伏せる場所がここ箱根だ。まあフィクションなのだが。」「はあ、箱根も丸きり無関係という訳ではないのだな。しかし僕の方の話は全然違う話さ」「関口君、君。~漸減は撤回する。それは妖怪だ。だから絶対深入りするなよ」「ー檻だ。そこで世俗は終わっていた。その檻は明確な目に見える結界だった。監獄の入口だ。何故清浄なる聖地を監獄に喩えなければならないのか解らなかった。私にとって喧騒うずまく都会こそが監獄で合った筈でそこと正反対の場所なのに。」 鉄鼠と並んで登場するもう一匹の妖怪、大禿(おおかぶろ)のほうは、京極堂の力をもっても落としきれていません。こちらは、後にシリーズに登場してくるのでしょうか。『薔薇の名前』ウンベルト・エーコと、比較されるようですね。■京極夏彦 読書感想『姑獲鳥の夏』 『 魍魎の匣』 『狂骨の夢』 『鉄鼠の檻』 『絡新婦の理』 『塗仏の宴 宴の支度』 『塗仏の宴 宴の始末』 『陰摩羅鬼の瑕』 『邪魅の雫』 『巷説百物語』 『続巷説百物語』 『後巷説百物語』 『前巷説百物語』『嗤う伊右衛門』
2008年01月06日
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