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夏の想ひ出2008。 夏もそろそろおしまい。いよいよ週明けから新年度が始まります。そして、暗くて寒い冬へとじわじわと向かってくわけで。(←被害妄想) 公私にわたり、充実した夏だったように思います。イヤなこともあったけど、目をつぶることにします。はい。 心残りがないわけでもありません。音楽祭に行けなかったことは残念。ニューヨーク州北部とかバーモントなどで行なわれる催しはどれもが魅力的だったのだけど。 タングルウッド音楽祭、マールボロ音楽祭などが有名ですが、ほかにも山あいの小さな村での手作り音楽祭に、とんでもない大物演奏家が出没したりして、なかなかおいしいのであります。現役の音大生と共演したり。 鑑賞するだけじゃなく、僕らのように演奏好きな一般向けの室内楽ワークショップも、各地で例年通り行なわれたようです。いつか受講してみたいと思いつつ、もう何年も過ぎてしまってます。 あのへんの地域(ハドソン川上流やアパラチア山脈北部)って、ニューヨーク市で働く金持ちが別荘を構えることでも知られてます。いかにも白人富裕層のみの閉ざされた世界って感じ。豪邸も多いし。 快適な避暑地でもあります。僕も、音楽祭にこそ行けませんでしたが、下界を離れ、友だちと森の中でキャンプしたりしたのはいい気分転換になりました。 それに、起伏に富んだ地形と、川沿いの風景は、運転好きにはたまらないかも。「鉄ちゃん」も! (←って、オレ?)***** さて、この夏の最大の思い出と言えば、つい先週、ニューオーリンズを訪ねたことでしょうか。ミシシッピ川のほとりで、思わずたたずんじゃったりもしました。 なんか今、再びハリケーンの上陸が予想され(「グスタフ」)、タイヘンなことになってるようです……。大惨事にならないことを祈るばかり。 石油価格が高騰したり、我々も経済的に影響を受けるのでしょうか。
Aug 31, 2008
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ニューオーリンズを訪ねて強く感じたのは、自分の感性に素直に従い、本能のままに人生を楽しむのも悪くないなということ。今さらですが。 もちろん、なんらかの組織のなかで生きる我々現代人は、「空気を読む」ことを強要されるわけだし、そのへんの現実とのハザマでうまぁーく均衡感覚を駆使しないとヤバい。 いずれにせよ、ちょいワルおやじごっこ(笑)、なかなか楽しかったわけで。 ハードコアなジャズやブルースを好む友人にそそのかされるまま、街の中心部からちょっと外れた寂びれたジャズバーを覗いてみたり、禁酒の誓いはどこへやら、ふだん呑まないような類の酒に手を出してみたり。 しかも、僕ってば、いい歳こいて煙草の吸いかたもイマイチわかってないお子ちゃまのくせして、無理して葉巻を吸ってみたり。 南の風に身を任せ、オトナの階段を昇っては嬉々としている(おバカな)自分。 いろんな歳のとりかたがあるだろうけど、立ってるのもやっとという感じの高齢のおじいちゃんが、深夜に酒場でサックス吹いてる姿には激しくシビれてしまい。 帰りの飛行機。窓の外にニューヨークの摩天楼が見えてきて、急にいろんな想いがこみ上げてきました。 全てが真夏の夜の夢だったとしても、それはそれでいいかも。
Aug 27, 2008
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ここニューオーリンズは、当方の期待をはるかに上回るカッコイイ街です。 ちょうど三年前にハリケーン「カトリーナ」であんなに損害を被ったはずなのに、見事に立ち直ってました。 友だちに勧められるまま、毎晩のように音楽酒場を覗きまくってます。 いろんな奏者と酒を酌み交わしながら話を聞かせてもらうこともできました。この街に憧れ、ジャズやブルースを独学して見事に花開いた人とか、やっと得た仕事も結局はハリケーンのせいで失ってしまった人とか。 世間体だとか虚栄心とかじゃなく、素直に欲求のままに全力で生きてる街という感じ。気取った白人社会へのささやかなる抵抗なのかもしれないし、この蒸し暑い気候へのやるせなさを原動力として必然的に生まれてきた文化なのかもしれないし。 ニューヨークやシカゴ、東京青山にあるようなおしゃれなジャズバーの雰囲気とも違います。 庶民的と言うと聞こえはいいけれど、この街、はっきり言って臭い。 あらゆる匂いが混ざり合っててスンゴイことになってます(笑)。 酒はもちろん、コーヒー(←旨い!)、葉巻、クレオール/ケイジャン料理特有の香辛料、あるいは生ゴミの腐った匂いもします。馬車も多いから糞尿も散乱。人間のそれかもしれない。 道行く人の体臭ってのもあるし、高温多湿でカビ臭い。 ネズミちゃんやゴキブリ君もご出没。 こういう街、苦手な人は苦手でしょう。治安も悪いし。 でも、この独自に発達した風土は実際に肌で感じる価値あり。自分としては、意外なまでにいたく気に入ってしまったわけでして。 今まで行ったどの土地とも違うようでいて、どこか懐かしい。 湿度は日本並み。窓ガラスには水滴。 道の名前とかはフランス語。骨董通りはパリ市内のよう。 住宅街はスペインのアンダルシア地方みたい。 地元民は大半がアフリカ系(黒人さん)。よくしゃべる。愛想がいい。 むしろ、トーキョーの新宿の裏通りとか下北沢みたいな風情かもしれません。 一歩郊外へ出ると、「風と共に去りぬ」に出てきそうな金持ち地主の邸宅っぽい建物もあるし、探索すればするほど面白い街です。
Aug 25, 2008
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北の酒場通りと言えば、ススキノ(札幌)、飾り窓(アムステルダム)、レーパーバーン(ハンブルク)が有名です(←筆者私見)。「酒場通り」よりかは「歓楽街」と呼ぶべきでしょうか。 で、南酒場はと言えば、ここニューオーリンズのバーボンストリート。実に濃い街です。 夜の帳が下りるとともに、街は別の表情を見せはじめます。激しく肌を露出しまくったお姉さんたちが、せっせと客引きしはじめるし。 もちろん、そういう怪しい店ばかりじゃなく、正統派のジャズやブルースの生演奏が粋に鳴り響いてる酒場も多い。扉も開けっ放しだし、隣の店の音楽とごっちゃになったりもして。 ここがバーボン通りと呼ばれるのはバーボン酒場が密集してるからかと思ってたら全然違くて、フランスのブルボン王朝に由来するらしい。(ま、酒のバーボンも、もとはと言えばブルボン朝が関係するケンタッキー州の地名?) で、ここは今どきアメリカにしては珍しく、屋外での飲酒が法的に認められている地域。みんなビール片手に散歩してます。どうりで街ぢゅうが酒臭いわけです。 そう言えば昔、沢木耕太郎だか星新一だか村上春樹だか村上龍だか忘れましたが、「バーボンストリート」という本を読んだことがありました。(←この四人、全然キャラが違うのにごっちゃになってる……。) この街が寝静まるのは、早朝の一瞬だけのようです。
Aug 23, 2008
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フィナーレを、こんなにはっきり予想して……。 ただ今、世界三大河川のひとつ(たしか)、ミシシッピ川を臨んでおります。ニューオーリンズ訪問中。 A river runs through it.... 今まで思いっきり勘違いしてました。ニューオーリンズって、ミシシッピ川がメキシコ湾に流れ注ぐ入り江の部分に形成された港町かと思ってたら、海はまだまだ先のほうでした。 つまり、眼の前に広がってる水は、海ではなく川なわけで。そう言われてみれば、たしかに対岸がかろうじて見えてます。 河口おたくの自分としては、メキシコ湾が拝めるものと期待してやってきたのに、うーむ、残念。 今朝、飛行機が空港に着陸する直前に窓から眼下を見下ろしてて気づいたのですが、この辺、湖なんだか川なんだか海なんだかわからないけど、やたらと水に囲まれてます。地形的に洪水に見舞われやすいというのもなんとなくわかるような気もします。 それにしても暑い。 空港に降り立った瞬間、あまりに湿った熱気に、ここは一体どこかと思ってしまいました。「もしかして、我が祖国ジパング?」と錯覚したほど。
Aug 22, 2008
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「私たちのお父さん O nosotro babbino caro」 映画の感想を。「サベッジズ」という、日本ではおそらく未公開の作品。 認知症ぎみの老父の介護をするために再会することになった兄妹。互いの利害が表面化し、喧嘩してばかりの「サベッジ家の人びと」の本音と建前が軽やかに描かれている映画。 いろいろと考えさせられたけれども、結局はげらげら笑いながら観た。 こういう自己チューなアメリカ人、周りに何人もいるし、すごく親近感を持てた。 一番印象的だった場面は、父、息子、娘の三人が車で移動するときのひとコマ。目の前に父親本人がいるにも関わらず、兄妹らが介護をめぐって喧嘩を始める。 聞こえてないふりをしながらも実はちゃんと聞こえてる父は、さりげなく自分の補聴器のスイッチを切り、静かにそっと目を閉じる。 ……何気ない場面なんだけど、お見事。妙に心に染みる。 ほんと、主演の三人はみんな名演だった。なにより、娘役のローラ・リニーには惚れた。彼女、本作品でオスカー主演女優賞候補になったはず。 この作品は音楽もいい。敢えてサラリと描いている。 舞台設定もいい。大胆にも、猛暑のアリゾナとか厳寒のカナダ国境付近とか、ニューヨーク市内とか、さまざまな温度差も擬似体験できるし。***** 老いていく親との愛情や確執を描いた作品と言えば、現在こちらアメリカでは (And) When Did You Last See Your Father? という映画が公開中。コリン・ファース主演の英国/アイルランド映画。原作の邦題は「あなたが最後に父親と会ったのは?」。 何年か前にオスカー外国語映画を受賞した「みなさん、さようなら Les Invasions barbares」というカナダ/フランス映画も、病床に臥す父と息子の話だった。 重くて暗い映画は気が滅入るので好きではないのだけれど、この「サベッジ家」という映画は、うまく均衡がとれてて、いたく気に入った!
Aug 20, 2008
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「18禁」 本日の音楽愛好家懇親会(バーベキュー)では、参加者たちと妙に意気投合、とことん六重奏をやろうということになり、ブラームス B dur も弾くことになってしまった。いやはや、嬉しいやら焦るやら。 1楽章と2楽章のみ。Vn1自分、Vn2ピーター、Va1ジム、Va2カリン、Vc1マシュー、Vc2ボブ。 名曲中の名曲。なにより作品番号が18番っていうのが嬉しい。ベートーベンの作品18(弦楽四重奏曲集)と並んで、室内楽オタクのあいだでは神格化されてる番号(たぶん)。交響曲における9番みたいなもん。 これぐらい有名な曲だと、みんな必ずどっかで弾いたことがあって、今日の面子のなかにもレパートリーにしてる人が何人もいた。 ただ、裏を返せば、みんな自分の弾きたいテンポというのが定まってるみたいだったし、曲への思い入れも深く、いざ合わせると、六人の弾きかたがなかなか揃いにくかったのは誤算(笑)。 自分としては、去年の秋にこの曲を弾いている。以来、あんまり聴いたりさらったりはしてないものの、今日は不思議と「あっさりと弾きたい」と思った。 ブラームスって、渋くて気難しくて「大人の音楽」という印象があったし、一生かかっても近づけない作曲家として崇めるべきなのは事実。でも、よく考えたらこの曲は彼が20歳半ばに書いてるわけだし、今の僕らのほうがずーっと年上。 やみくもに彼の音楽を畏れまくるだけじゃなく、もっと彼の若々しい部分、「青い春」の部分を少し意識してもいいかななどと最近思い始めている。眉間に皺を寄せてるだけじゃもったいない。 具体的には、あんまり遅めに弾くよりは、むしろルバートも最小限に抑え、爽やかにまとめたいということ。 例えば、1楽章だったら、各自のエントランスは多少強調しつつも、流れを保つように弾きたい。 2楽章の変奏曲もそう。今までは円熟系、懐古系音楽だとばかり思ってたけど、清純派で攻めたほうが味わい深いような気もしてきた。たまには「ニ短調の青春」ってのもいい。 16分音符とか32分音符だって、これぐらい遅い曲だと全然パ二クる必要などない。変な小細工はせずに、インテンポで前進。***** 思い起こせば、僕がこの曲と出会ったのは20年前。 当時の僕ってば、ブラームスのアダルトな世界にあこがれ、べっとりねっとり、不倫でもしてるオトナの男女が奏でるようなワケありの濃い演奏が好きだったのに、今になって「あっさり爽やかに弾きたい」なんて言葉が自分の口から出るなんて、我ながら驚き。 人の好みって、歳月とともにどんどん変わるわけで。←オレだけ?
Aug 17, 2008
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「人のゼクステットを笑うな」 夏の風物詩(in なめりか)と言えばバーベキュー。今日招かれたBBQは、「音楽関係者がいっぱい来るので必ず楽器を持ってくるよーに」と主催者からの事前の通達。 あんまり深く考えず、言われたとおりに楽器を抱えて森のほうへと向かったら、そこに聳え立っていた豪邸には、すんごい経歴の人びとが集まっており。 100人は余裕で収容できそうな邸宅 プロとして現役でご活躍の方、なかにはヨーヨー・マと共演しただの、エフゲニー・キーシンとマブダチだだの。あんたら一体何者?っていう人たちばかり。バーンスタインのことを気安くレニー呼ばわりしちゃってるし。 場違いな集いに足を踏み入れてオロオロと慌てる自分。 そうこうしてるうちに、じゃぁ何か弾こうという話になってしまい、いくつかの組に分かれることに。譜面の蔵書はヨダレが垂れるほど充実してる。 招待客のなかには親しい顔ぶれも何人かいて、彼らと六重奏をすることに決定。選ばれた曲は、こういう祭りでは定番、ど派手ゼクステット「フィレンツェの思い出」。Vn1 自分、Vn2 ピーター、Va1 ジム、Va2 カリン、Vc1 ボブ、Vc2 マシュー。*****1楽章: 冒頭のフォルテの和音があまりに唐突。不協和音ではないと思うけど、意表を突かれる。 それにしても、やかましくゴチャゴチャしてる。気が狂いそう。2楽章: またもや強引な和音で曲が始まる。弦セレ? このアダージョは第1バイオリンと第1チェロが絡みまくる。そして、最後の最後でやっと第1ビオラが高音カンタービレ!3楽章: こってりしてて、弾いてて恥ずかしくなるような旋律。実際、みんな赤面しながら弾いてるし。 イ短調で書かれてて、開放弦使いまくりの効果音大合戦。特に第2バイオリンは、フラジオも駆使してアクロバティックな合いの手をご披露。 4楽章: お約束のフーガも出てきて、ますますゴチャゴチャしてくる。どんちゃん騒ぎ。***** それにしても、これ、ほんとに名曲? 演奏する側がうまぁーく調理しないと、単なる高脂肪の音楽になってしまう。 ちなみにフィレンツェに行ったことがあるというボブ氏(チェロ)にいたっては、「フィレンツェはこんな土臭く混沌とした街なんかじゃないっ!」と独りで勝手に憤慨なさってた。 真の名曲を弾くときの爽快感とは別の意味で弾き応えがある。疲れる曲だけど、わざとらしい旋律やリズムが出てくるたびに、みんなで爆笑したりしながら、結果的には和気あいあいと楽しく(?)練習できた。 第1バイオリンを弾く立場としては、とにかく音量で負けないように弾くので精一杯だった。ほんと言うと、「お前ら黙れぇー!」と思わず他の五人に叫びそうになったほど。 でも、そもそも曲がすっきり書かれてないのがマズいわけであって、僕はさっさと開き直って、部分的に出てくるおいしい旋律を満喫して弾くことを心がけた。 改めて思ったのは、チャイコ氏みたいな人と友だちにはなりたくないなー、ということ。天才だとは思うけど、気まぐれかつ自己チューな人だったに違いなく。 彼特有の「押し付けがましい」音楽は、苦手な人は苦手なんではないかと。この曲がいい例……。 (↑なんか偉そう。自分が弾けてないの、棚に上げてるし)
Aug 17, 2008
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最近は、バイオリンを練習してる時間よりも、ピアノをさらってる時間のほうが長くなってきたかも。 やっぱりピアノは楽しいです。なにより「自己完結」できるのが嬉しいわけで。 なのに我が家にはピアノがない。 実は僕、本物のピアノじゃなくて、電子ピアノで練習してる状態です。鍵盤の重さとか感触、あるいは、両手で適当にジャーンとドミソを鳴らしたときに身体に感じる「振動」がどうも浅すぎる。 うーむ、本物が欲しいです……。 僕が本物を持つことにこだわってるもう一つの理由は、全然弾けないくせしてグランドピアノを持ってる金持ちが周りに何人かいて悔しいから。←ひがみ。 「高級家具」のひとつとして彼らの豪邸内に飾られてるピアノは、さすがに空間の質を高めるのに役立ってます。誰にも弾かれることのないピアノもかわいそうですが、今どきのピアノには自動演奏機能もつけられるので、家主さんはピアノに勝手に演奏させてはご満悦らしい。 なるほど、そのテがあったか、などと感心しながらも、僕としては、メラメラと嫉妬の炎を燃やしながら指を咥えて傍観してます。 そろそろピアノの購入を真剣に考えはじめるかも。 ニューヨークはマンハッタン、57th だったか 58th 通りは多くのピアノ屋さんが軒を連ねてて、別名クラビーア通りとの愛称で市民に親しまれています(たぶん)。スタインウェイの展示場を含め、高級ピアノを専門に扱っている店ばかり。かなり敷居が高いです。 これらのピアノ屋を一軒一軒訪ねては、(購入予定もないのに)高級ピアノを試弾してまわる、そうゆう趣味のピアノ弾きを知ってます。ふらっと立ち寄ったふりをして、「ちょっと弾かせてもらおうかな」とか言いつつ、いきなりショパンとかリストをガン弾きしちゃうわけです。で、奥から慌てて支配人が飛び出してきて、直に名刺を渡しに来る。運がいいとコーヒーまで淹れてくれるとの噂。 で、そのコーヒーをちゃっかり飲み干し、「いやー、君の店、なかなかいいピアノ置いてるね」などとのたまって、さっさと弾き逃げ。 僕もいつか是非ともやってみたいです。高級ピアノ店荒らし。 でも、よく考えたら、ピアノ屋の店頭で一丁前に試弾するには、やっぱりあらかじめ血のにじむような練習をしてから臨まないといけません。 練習するためには、まずはピアノを買わないと。←ん? 本末顛倒?
Aug 14, 2008
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ワシントンに来てます。 今年は、「白い家」の新たな入居人選びで世の中が盛り上がってるらしく。 casa blanca 僕の場合、この街には頻繁に来てるはずなのに、いまだになぜか愛着が湧きません。 いい街だとは思うのです。治安も(そんなには)悪くないし。 でも、なんか人工的、近未来的、偽善的。都心部なんて恐ろしく整然としていて、地下鉄も不気味なまでに清潔。市内いたるところに監視カメラが仕掛けられてそうで、勝手に焦ってしまうわけで。 ま、案外、住めば都なのでしょうか。学生街ジョージタウン地区なんかはなかなか欧州的で趣があるし。***** さて、アメリカ北東部の五大都市と言えば、ここワシントンのほか、ボストン、ニューヨーク、フィラデルフィア、そしてボルチモア。それぞれに独特の魅力のある街です。 どれかひとつだけ選べと言われたら悩みますが、自分だったらボストンが住みやすいように思います。冬の寒さはハンパぢゃないけど、大都市すぎないし、どこか庶民的。 で、上記五都市に共通してるのは、優れたオーケストラがあること。各オケの「キャラ」が微妙に異なってるので、その違いを観察するのもまた面白く。 ワシントン・ナショナル交響楽団は、大統領のお膝元オケだけあって、かなりおカタい。 演奏そのものも整然としていて美しいのですが、なにより観客のワシントン市民がまたカタいようです。 政界の要人の集まる土地柄だからでしょうか、演奏会場の観客の服装が限りなく正装に近い。ごく普通の定期公演だったとしてもです。 ケネディーセンターのロビーはいつも紳士淑女の社交の場と化してて、なんか近寄りがたい雰囲気。 このオケの演奏会本番中に携帯電話を鳴らしてしまった客は決して生きては帰れないという言い伝えもあります。国家を敵に廻してしまいます。FBIだかCIAだかが動く?
Aug 10, 2008
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この夏は期間限定でちょっとした企画/催しに関わることになり、世界各地から来ている多くの人たちと知り合うことができました。 そのプロジェクトもついに終了し、今日はみんなで最後の晩餐でした。しかも「必ず正装で」とのドレスコードつき。 民族衣装を着て参加する人も何人かいて、やられたぁーと思いました。 参加者の出身国は多岐に渡り、中央アジア、中東、アフリカ、カリブ海の小国など、ほとんど初めて聞くような名前の国もあって、自分の無知を恥じたわけで。 さっそく明日の飛行機に乗って雪の舞う厳寒の南半球に発ってしまう人もいれば、ここぞとばかり最後の最後まで米ドルでのお買い物にいそしむヨーロッパ人もいるようです。 今後二度と会うことはないかもしれない彼らと、一応は再会を誓いながら、今宵は酒や肉を呑み喰いしまくったのでありました。そして夜更けまで踊りまくりました。 アメリカで暮らしてて、不便なこと、滅入ること、ムカつくことはいっぱいあるけれど、学生や社会人や観光客など、常に世界ぢゅうからいろんな人が集まってきてるとこなんかはやっぱり刺激的。移民も多いし、異文化と気軽に触れられるのはアメリカに住む特権とも言えるでしょう。(アメリカ自体の文化はたいしたことないんだけど。) 僕としても、アメリカに住んでいながら、仲のいい友だちはたいてい外国人(非アメリカ人)です。一緒に話してて不思議と居心地の良さを感じるのであります。←気温を摂氏で言い合えるとか、距離をメートルで表現できるとか、そうゆうことだったりもするんですけど(笑)。
Aug 8, 2008
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「三度下がってピアノの影踏まず」 近所に住むバイオリン弾きマリリーからは、「いつかモーツァルトのバイオリンソナタを一緒に練習しましょうね」とずーっと前から言われてました。ついに今夜実現。 なんと僕はピアノの担当です。せっかくのお誘いだし、自分なりにマジメにさらって参戦しました。 特にテンポを維持することを心がけて合わせました。いやぁー、楽しい楽しい。 今さらながら大発見。モーツァルトのバイオリンソナタって、主役はあくまでピアノ。バイオリンは単なる脇役に過ぎないのであります。 前からうすうす感じてたこととは言え、今日ついに確信。この K305 は特にそうです。 例えば、この遠慮しがちなバイオリンの動き。ピアノに隠れるようにオクターブ下、あるいは三度下で奥ゆかしく。しかも音量も抑え気味。 (↑最初の部分、なんとなく二台ピアノのソナタ K448 に似てる?) 後半(2楽章)の変奏曲なんてもっと顕著、ピアノの独壇場です。バイオリンはちょこっと合いの手を入れるぐらい。 今まで何年ものあいだ、数多くのモーツァルトのバイオリンソナタを律儀にバイオリンでさらってきた僕ではありますが、その苦労は一体何だったんでしょうか……(笑)。 というわけで、方向転換ご決定! モーツァルトのバイオリンソナタに関しては、これからはピアノパートのほうを練習することにいたします。 一緒に合わせてくれるバイオリン弾き募集中です。ただし、忍耐強い人に限らせていただきたく。
Aug 6, 2008
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夏まっさかりです。今日は友だち数人と河のほうへと祭り見物に繰り出しました。 祭りと言っても、金魚すくいもないし、和太鼓の音も聞こえてこない。花火とかもない。 まして、きれいなお姉さんが浴衣着て歩いてるわけでもない。 むしろ、危険なかほり……。 木陰でこっそり麻薬やってる少年少女がいたり、スリだの痴漢だの騒いでる人垣があったり。 肝心の警察官は何してるかと思ったら、屋台の前でホットドッグ食べながら金髪美女とデレデレ。 最近はちょっとやそっとのことでは驚かなくなった僕ではありますが、まったく、この国って一体……。***** さて、今宵の一番の目玉は、僕らの悪友ビリーおじさんがキーボード奏者として所属するバンドの演奏。 ビートルズやビリー・ジョエル、ロカビリーやドゥワップなど、真夏の夜にふさわしい選曲でした。聴衆もノリノリ。 ちなみに、このビリーおじさんってほんと面白い人です。最近、日本文化(日本食と日本のテレビ番組)にご一家でハマッてて、たまに僕も一緒につきあって呑み喰いします。 実は、不幸にもこないだ彼の家に空き巣が入り、奥さん所有の宝飾品とかがごっそり盗まれたうえ、骨董家具をはじめ、窓ガラスなども激しく壊されるという事件がありました。 物騒な世の中です。 その後、奥さんや娘さんは精神的に参ってしまい、それはそれはタイヘンでした。少しでも修復費用の足しになればと、僕らはみんなで少しずつカンパしたのですが、まだ完全には立ち直っていらっしゃらないようです。 そんな事件が直前にあったもんだから、今日の彼のライブのご成功は僕としても非常に嬉しく、心から拍手を送りました。 特にビートルズの In My Life、なかなか感慨深く聴かせてもらいました。いやぁー、いい曲です。 昔、ギタリストの友だちと一緒に、都内数ヶ所のカフェ/バーでビートルズをバイオリンで弾きまくるという企画をやってたことがあるのですが、そのときのことが走馬灯のように思い出されました。もちろんイン・マイ・ライフもやったし。 あのときの店はどれも今はありません。店長さんたちともほとんど疎遠になってしまいました。 懐かしい、夏の思い出です。 There are places I remember All my life, though some have changed Some forever, not for better Some have gone and some remain...
Aug 4, 2008
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「崖の上のポジょ」 今日の練習の後半は、無謀にもブラームスに挑戦。(vn1 自分、vn2 ピーター、va ジム、vc ボブ) 五、六年前、別の団体で挑んだときに大喧嘩になった記憶がある。なかなか合わないのを互いに「お前のせいだ」とか言い合って、ついに崩壊。 以来個人的には封印したはずの曲。今日の練習では、曲を熟知しているボブに主導してもらいながら、地道に何度も繰り返して着々と難所を突破。苦しかったけど、なかなか楽しい作業でもあって。***** 1楽章からして2分の3拍子ってのもブラームス大先生らしい。このお方、素直に4拍子で書くのを避けてるみたい。 独特の「ドキドキ感」。ちょっといじれば、ホームズかポワロのドラマ、あるいは火曜サスペンス劇場とかの主題歌として使えそう。 中間のふたつの楽章も複雑に書かれている。四人の音楽的な感性が隅々まで試される。 強拍のない状態が何小節も続いて、しかも全員がシンコペやってたり、あるいは、強拍が裏拍だったり。 一瞬のためらいが命取り。思わず手に汗を握ってしまうクリフハンガー的音楽。 事前にさらうにあたって一番悩んだのは指づかい。最終的な運指が決まらないまま今日を迎えてしまった。 ファースト弾くからには高所恐怖症なんて言ってらんないけど、高いポジションで弾くとこが多い。ハイポジに上がったはいいが、なかなか怖くて下りてこられなかったり、あるいは、一気に第1ポジションに下りるのではなく中腹にちょっとだけ下りたりするのが難しい。 例えば1楽章。最大の山場である以下の部分。 今回自分に課した目標としては、「小節後半に出てくる四つの音を全てG線一本で弾く」こと。2拍子だか3拍子だか6拍子だか敢えてわからないよう、音色のムラを抑えてかっこよく突進したいのに、どうしても音程が合わない。 第1ポジションに下りて弾けば音程は確実。でもなんとなくハイポジのまま弾きたい感じ。中間をとって、サードに一旦下りるしかないか。 4楽章で頻繁に出てくる急降下の音型も意外に音がとれない。1楽章にも出てくる。ラのフラット As からシ H へ。↓これって、えーと減七度? ポジション移動せずに移弦して4→2。ちゃんと3の指で支えればハイポジでもなんとかなる。しかし、もう少し遅めの曲で時間に余裕があったら、思い切ってポジションを下がって、ワイルドにE線一本で弾きとおしたい気もしないでもなく。 そんなことを妄想しながら弾いてたら落ちまくりズレまくり。 編集部注: 写真はイメージです。本文とは関係ありません。
Aug 3, 2008
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「不死鳥」 ハイドンのカルテットの中でも、ずばり彼の代表作、不朽の名作と言ってよい。 二週間前に弾いた「蛙」もそうだったけど、ニ長調って「定番」な感じがして、それだけで名作に思えてしまう。 さて、この曲がなぜ「ひばり」と呼ばれるのか。 今日一緒にこの曲を練習した面子はそれぞれ全く別の解釈をしており。 ピーター (vn1) は、自身の弾く冒頭の主題が、ひばりが優雅に舞ってるように聞こえるという解釈。 ボブ (vc) は、3楽章に出てくるビオラの「合いの手」がひばりのさえずりみたいという(ぶっ飛んだ)解釈。 僕の意見としては、終楽章の16分音符が、ひばりが羽をバタバタさせてるみたいだから。 ジム (va) は無関心。どーでもいいらしい(笑)。 そもそも、ひばりってどういう鳥なのか、誰ひとりとしてきちんと語れない僕ら。 一応、世の中の通説としては、ピーター説が正解らしい。1楽章のファーストの「舞い」を称す。 ちなみに、終楽章の無窮動については、むしろ英国舞踊の形式にちなみ「ホーンパイプ」との愛称もあるとか。 またひとつ賢くなっちゃってご満悦のワタクシではあったが、それよりなにより、いつも思うのだけれど、無数にあるハイドンのカルテット、一曲たりともハズレがない。スゴすぎ。 セカンド弾いてても、心の底から楽しいと思える。
Aug 3, 2008
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今日のニューヨーク、確かに妙な湿気は感じておりました。 この時期、降れば土砂降りということが多く、決してシトシトと降ってはくれません。雨の慕情もなにもあったもんじゃない。 急に真っ暗になり、大雨。 ガラスの林檎 観光用の馬車とか、流行の自転車タクシー/人力車(ペディキャブ)とか、みんなびしょ濡れ。恋人も濡れる街角。 アメリカ大陸の東海岸に住む最大の利点のひとつとして、天気予報が必ず当たる、というのがあります。もともと噂には聞いておりましたが、ほんとに細かいとこまで当たるのにはいつも感心します。 地形的に雲の発達や移動状況が予想しやすいうえ、西側から情報が刻々と入ってくるかららしいのですが、それでも近年、外れることが多くなってきました。←今日、傘を忘れたのを予報のせいにしてるし。
Aug 2, 2008
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「グリとグル」 グリークの未完のピアノトリオの一部?「アンダンテ・コン・モート」を練習した(vn 自分、vc ルース、pf セス)。これは隠れた名曲なり! ササッと弾いてしまえば、おそらく10分もかからない小品。まったりしがちだが、情熱、焦燥、哀愁、回想、寂寥、いろんな光景や心情がギュッと凝縮されているおいしい曲。そして、ハ短調特有の不思議な重量感、安定感。 いやぁー、燃える。かっこよい。 敢えてイチャモンつけさせてもらうと、ピアノトリオという編成の利点をあんまり活かしきれていないのがもったいない。 トリオって、三者が鋭角的かつ戦闘的に調和を生み出していくところに面白さがあると思うのだけれども、この曲って、最初から最後までバイオリンとチェロが同じようなことをやってる。グルになってピアノと対峙している感じ。それぞれ別行動をとることもあるものの、あくまで一瞬。音型は一緒だったり。 いい曲なのに演奏会では滅多に取り上げられないというのも仕方ないか。中途ハンパだし。***** 三、四年前、ノルウェーを旅したとき、僕はベルゲン音楽祭でこの曲をナマで聴く機会があった。しかもグリーグの生家/博物館に隣接されている室内楽ホールで。 in ノルウェイの森 グリーグは特に好きな作曲家というわけではなかったけど、あのときの強烈な印象が脳裏に焼き付いてて、以来、いつか自分も弾いてみたいと想い焦がれていた。譜面も衝動買いしちゃったことだし。 ついに実現して感無量!
Aug 1, 2008
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「C調言葉に御用心」 ピアノトリオの練習をした。三ヶ月ぶり。(vn 自分、vc ルース、pf セス) 昔は和気あいあいと楽しく練習してたのに、このところ合わせるたびに口論になってしまう僕ら。今日も妙に緊張して臨んでしまった。相手への言葉遣いには気をつけたいし、自分も言われたことにいちいちカッとならないようにしないと。 さて、全部で六曲だか七曲だかあるモーツァルトのトリオ。何年かかけて一応全曲やってはみたので、いよいよ順位づけ。最優秀作品賞は疑いなく B dur のK502。次点は E dur のK542。 で、三位はどれなのかハッキリさせようと本日選ばれたのがこの496。二年前にサクッと合わせて以来。 改めて今日感じたのは、まず、1楽章の楽器間の均衡がよろしくないということ。あまりにもピアノが目立ちすぎ(っていうか、チェロが目立たなさすぎ)。 むしろ、ほかの二つの楽章がなかなか面白い。特に2楽章アンダンテには素直に萌えたい。ピアノで弾いてみたい。 天上のハ長調。しかし臨時記号がご丁寧に散りばめられており。 しかも8分の6拍子、誰ひとり拍のアタマを弾いてないことも多く、ちょっと気を緩めると、ズルズルと遅くなってしまうので要注意。わざとらしくならない程度に敢えて弾力感を演出する必要がある。 何はともあれ、楽しく弾けた。モーツァルトのトリオ、上位三曲入り、見事決定! 今後、機会があるごとにこの上位三曲(K502、K542、K496)を弾き込んでまいる所存。追記: このK496、どうやらクラリネット四重奏曲版(cl、vn,、va、vc)も存在するらしく。
Aug 1, 2008
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