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B K254(ディベルティメント)d K442(未完)G K496.その2Es K498「ケーゲルシュタット」.その2.その3B K502.その2.その3.その4E K542.その2C K548.その2G K564 モーツァルトの書いたピアノ三重奏曲は全部で何曲あるかというのは数え方にもよるけれど、おそらく最大で八曲かと(上掲)。未完のものと「ケーゲルシュタット」トリオ(ピアノとクラリネットとビオラ)も含めてある。 ピアノ三重奏曲(ピアノ/バイオリン/チェロ)って、バロックには存在せず、ハイドンにはいっぱいあるけれどどれもイマイチ(←チェロは常にピアノの左手と同じことやってて、ぶっちゃけチェロなしでバイオリンソナタとしても弾けそう)。よって、現存するトリオ曲のなかで最も親しみやすいのはモーツァルトの作品群。ベートーベンとかブラームスのそれは難しいのばかりだし。 で、ぼくは全八曲を弾いたことがあるので、勝手ながらちょっと順位をつけてみようかと。 ぼくの意見では最も優れた三曲は以下のとおり。 一位:K502 変ロ長調 二位:K542 ホ長調 三位:K496 ト長調 この三曲を選んだのは、弾きがいというか、弾いてて楽しいと思えるから。おそらく聴く人も楽しめるはず。 三重奏団を結成して、さあ何を弾こうかと迷ってる人とかにもこの三曲がお薦め。八曲全部弾き倒す必要はないと思うし。<おまけ:過去にまとめた「完奏の感想」> モーツァルトの弦楽四重奏曲のまとめ メンデルスゾーンの弦楽四重奏曲のまとめ ロマン派の弦楽六重奏曲のまとめ
Sep 29, 2020
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「私のほうがちょっと綺麗みたいずっとずっと綺麗みたい」(評価 ★★★★★ 満点五つ星) 近年ぼくが注目している報道記者のひとり、ルイ・セル―さん(セローかと思ってたらご本人はセル―と自己紹介してた)。彼自身はイギリス人だけれど、世界ぢゅうのワケあり業界を訪ね、真相や諸問題を暴きまくっていらっしゃる。 氏の番組は20年以上にわたりイギリスBBCとかで何十本、何百本も放映されており、おそらくこの英語ウィキの一覧が最も整理されている。https://en.wikipedia.org/wiki/List_of_Louis_Theroux_documentaries なかには日本の「NHK、BS世界のドキュメンタリー」で放送された回があるみたいだし、ネットで日本語字幕で観られるものもいくつかある。 ぼくもまだまだ全然観られてないけど、今まで観たなかで上位三本を挙げると、美容整形業界を取材するの巻(2007年)成人指定お色気映画業界を取材するの巻(2012年)出所した性犯罪者の暮らしぶりを取材するの巻(2014年) どれもこれも、取材される側がちゃんとべらべらしゃべってくださるのには驚く。セローさんが訊き出し上手なんだろうと思う。しかも、ご自分まで調子に乗って整形手術を実際に体験しちゃったりもする。 そーいえば、ニュージーランド人記者David Farrier(デイビッド・ファリア―)さんの撮ったダーク・ツーリストという番組を以前に観たことがあるのだけど、彼もまた独特の視点で取材を進めていく報道屋さん。 これらのような地味なつくりのドキュメンタリー番組って(ぼくにとっては)観やすい。つまり、記者本人が現場で全部取材し、語りも担当。臨場感ありまくり。いちいちテレビ局のスタジオで「こめんてーたー」とか「美人女子アナ」とかが解説なさったりなどしない。
Sep 28, 2020
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「Wake me up before you go-go」 先週に引き続きベートーベンの作品38の練習。今回は後半(4、5、6楽章)を。 バイオリン奏者の視点から一方的に言わせてもらうと、この曲はそんなに難しくない。ピアノトリオ曲のバイオリンはどれもこれも小難しいのが普通なので、これは意外。 4楽章変奏曲は、ピアノ(やチェロ)がとっても楽しそうなことをやってる。 5楽章スケルツォにいたっては、バイオリンは中間部まるまる出番なし。96小節もお休み。お昼寝できるぐらいな長さ↓ 一方、チェロがご活躍。皮肉なことに、バイオリンで弾いたほうが早いんじゃねと思わせるほどの高音域。ほとんどト音記号↓ 6楽章で思いっきり楽しませていただくほかない。 原曲の七重奏曲(ゼプテット)作品20とこのピアノ三重奏版を比較すると、原曲のほうが(バイオリンは)ずっと難しい。七人も集めてこの長大な楽曲に取り組むにはかなりの労力/精神力を必要とするし、そうゆう意味で、お気軽にベートーベンの交響楽兼室内楽を楽しむならこの三重奏版のほうがおススメ。
Sep 26, 2020
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「妻と夫と木と家族」(評価 ★★★★☆ 四つ星) 小津安二郎監督作の名作「東京物語」(1953年)を、山田洋次監督が現代風に再制作したものを鑑賞。 感想としては、台詞まわしが古臭く仰々しくて最初は抵抗あったけれど、物語が展開するにつれぐいぐい引っ張られるように最後まで観られた。長い映画なのにそうは感じさせないのが不思議。 東京という街が、ほんとは善良な人間を非情な性格へと変えてしまう現実は昔も今も同じか。 一方、映画後半の広島での映像にはやっぱり癒される。海、空、丘、木造家屋、そして人。 役者さんたちもみなさん演技がお上手。主要人物は全部で八人(=老夫婦、三人の子ども、それぞれの配偶者/婚約者)。この八人のなかで最も演技が難しい役どころは、おそらく末っ子(妻夫木聡さん演)の婚約者(蒼井優さん演)。1953年版では原節子さまがお演じになってた役。蒼井さんも妻夫木さんも、意外と(と言ったら失礼だけど)なかなか印象深い演技でいい感じだった。
Sep 25, 2020
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「見慣れない服を着た君が今出ていった」(評価 ★★★☆☆ 三つ星) 新しい服をどんどん買ってはすぐに捨てる現代人の風潮に警鐘を鳴らすイギリス発のドキュメンタリー。 案内役はアレックス・ジェイムズさん。←昔、ブラーでベース弾いてた人。今は酪農やってるらしい こうゆうネタには興味あるし、ぼくはかなり期待して観たのだけれど、惜しい。あれこれ提示してるわりに論点がぼやけてしまっている。高品質ではないものの流行を追った服を安く買える「ファスト・ファッション」をひたすら批判するドキュメンタリーかと思わせといて、だんだん何を批判してるのかわからなくなってる。 要は、まだまだ着られる衣料が大量に廃棄されることが問題なのだけれど、人はなぜ必要以上に服を買うのか、そして、買わなきゃいけないのであれば何を買うべきか、この二点をうまく整理して紹介していただきたかった。 以下にぼくなりに整理してみると、「なぜ必要以上に服を買ってしまうのか」1、衣料製造業社が安い商品と次々と投入し、消費者を煽るから2、必要か不要かに関わらず、買い物をすることで高揚感を味わう消費者もいるから(=retail therapy)3、服飾は文化であり個性であり、自分自身を表現するものだから「どうゆう服を買うべきか」1、労働者が不当に低賃金で劣悪な環境のもとで働いている外国の工場で作られたものではない服2、汚れたり悪臭がついたりしにくく、頻繁に洗濯しなくてもいい服(特に羊毛がおススメ)3、廃棄しやすい、あるいは再利用しやすいよう、合成繊維ではなく天然繊維(特に羊毛がおススメ)を使った服 衣服を作りすぎるほうが悪いのか買いすぎるほうが悪いのか、結論は出されていない。どんどん廃棄され埋め立てられ、地球が汚れていく。あなたやわたしが日常生活ですぐに応用できそうなコツが紹介されてるわけでもなかったのは残念。 てか、なんとなく羊毛衣料の販売促進番組みたいな印象も受けた。 さて、ぼくみたいにもう何十年も生きてると服は既にいろいろ持ってるわけで、体型も若い頃からそんなに変化してないから服を新しく買い直す正当な理由はない。流行を求めたりもしないし。だから、品質だの値段だの環境だのあれこれ討論する以前に、そもそも服はもう買わない主義。オシャレに反対ということではなくて、既に何着も持ってるならさらに購入する必要はないと思うわけで。
Sep 23, 2020
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「嵐に架ける橋」(評価 ★★★☆☆ 三つ星) 2012年10月末、こちらアメリカ北東部一帯でかなりの被害をもたらしたハリケーン「サンディ」。今日観たドキュメンタリは、その直後12月に行なわれた被災地救済音楽会の舞台裏を紹介したもの。会場はマディソン・スクウェア・ガーデン。 せっかく「舞台裏に潜入」してるわけだし、もっと裏事情をいろいろ見せていただきたかった。実際の演奏場面も見応えがあったけど、ぶっちゃけそれは別の映像で観ればいい話だし。 例えば、本番中にオンライン募金受付に不具合が生じてパニクったことかも一部始終をきっちり見たかった。 あと、あれだけのセレブたちを誰がどうやって集めたのか、どっからどこまでどのぐらいギャラが支払われたのか、人選のみならず曲順決める過程とか準備段階のドタバタも知りたいというのは欲張りか。 本番当日の放送演出家マイケルさんの仕事ぶりは興味深く観られた。 当時の映画界を牛耳っていたハービー・ワインスティーンもどっぷり関わってたようで、その必殺仕事人ぶりも紹介されている。←彼が犯罪者(性的嫌がらせ変態男)として知られる以前の話 いろんな歌手が入れ替わり立ち替わり楽屋や舞台脇でごったがえしてるのも見もの。 そして、ご当地「ニューヨーク」をネタにした持ち唄がある歌手はやっぱりこうゆう時には強い。トリはポール・マッカートニー卿だったものの、大トリはなんとアリシア・キーズさん「エンパイア・ステイト・オブ・マインド」。てか、やっぱしニューヨーク人はこのお唄が大好き。ぼくの友だちが彼女の楽団で弾いてた時期があるのだけれど、この曲をNYでやると会場が異様に盛り上がるとのこと。そりゃそう。 ビリー・ジョウルさんも「マイアミ2017 (Seen the Lights Go Out on Broadway)」を巧みに歌詞を変えて大好評。 でも、なんだかんだ言って結局はポールマッカートニー様が全てをかっさらってた。しかも締めは、ヘイジュードでもレットイットビーでもなく「Live And Let Die」。なるほどな選曲。この催しの成功はポール様の人格と人脈によるとこが大きい。 この音楽会を観る被災者の心境も紹介されていたけど、泣かせる演出では決してなくて、あくまで前向きなのは良かった。 被災者救済のその後とか見てると、良くも悪くもニューヨーク的(さらにはニュージャージー的)という印象を持った。精神的に打たれ強い者、口が達者な者だけが世渡りに成功していく。そして下品な冗談もぶっ飛ばすぐらいがちょうどいいみたい。 実は、あのときの嵐ではぼくのとこも一週間近く停電になって、しかもそんな最悪の時期に友だちが亡くなってかなり辛かったのだけれど、温かい食事を食べさせてくれたり温かいシャワーを浴びさせてくれた人々には今でもほんとに感謝感謝。
Sep 21, 2020
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「交響性」 三密を回避しつつ、トリオの練習をお外で。 ベト様の作品38に初挑戦。今日は前半(1、2、3楽章)をば。 この曲はご本人が自身の七重奏曲(ゼプテット)作品20を編曲したもので、実際に弾いてみるとすぐにわかるのだけれど、氏のほかのピアノ三重奏曲とは何かが違う。 要するに室内楽っぽくない。ベートーベンの交響曲を弾いてるような感覚。室内楽特有の「ちまちま感」があんまりなくて、重厚な響きを演出することが求められてる。 ピアノトリオの魅力って、弦には出せないピアノの「ポロンポロン」した響きにあると思うのだけれど、この曲は「ジャンっ」という和音をビシッと決める場所が次々と出てくる。しつこいぐらい。 そもそもベートーベンという作曲家は、甘い美メロで聴かせるというよりかは、その交響的な音楽で有名なお方なわけで、ま、この作品も名曲と言えば名曲ではある。 逆に、ちょっとした「合いの手」なんかは、交響曲よりも室内楽でやるほうがわかりやすい。そもそも七重奏曲自体がプチ交響曲みたいなもんなので、三重奏に編み直すという企画は奏者的には名案。曲の構成が明確になり、原曲の良さをますます理解できる。 あとでじっくり原曲の七重奏曲と譜面を比べてみようと思うのだけれど、おそらくピアノ三重奏版のバイオリンとチェロは基本的に七重奏曲のクラリネットとファゴットとほぼ同一?
Sep 19, 2020
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「重いつばさ」(評価 ★★★★☆ 四つ星) 今日観た作品は、東京へ行くはずだった飛行機が天候不良により松本空港に着陸し、足止めをくらった乗客と、対応する地元の空港職員のドタバタを描いた喜劇。 面白かった。つい先日観た三谷作品「ショートカット」同様、一台の撮影機のみで最初から最後まで一気に撮られていて、しかも今回のほうが難易度が急上昇。登場人物も多く、空港内さらには屋上とか屋外にも出て動き回り、かなり入念な稽古を繰り返したに違いなく。 役者の皆さんも芸達者。竹内結子さん香川照之さんとか。特に神野三鈴さんのご演技が素晴らしかった。パチパチ。 物語の展開として特にどんでん返しがあるとかではないし、そもそもツッコミどころが多いのも事実。家族だけの旅行に赤の他人が二人も同行してるのにバレてないは、コスプレ詐欺師の手口が甘すぎるは、天気悪くて飛行機飛ばせない状況なのにヘリコプターはあっさり東京に飛ばしちゃうは、なんだかなーという感じも。
Sep 17, 2020
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「(もと)路地裏の少年たち」(評価 ★★★☆☆ 三つ星) かつて世界ぢゅうの少女たちのあいだで一世を風靡した五人組の歌唱/舞踏少年たち「バックストリート・ボーイズ」を取材したドキュメンタリを鑑賞。20周年を迎えるにあたり、おじさんになった彼らを2年ぐらいかけて密着。 せっかくの実録ものなのに、あと一歩。団員どうしの確執、ギャラの横領/詐欺事件、激太りなど、いろいろネタを豊富にお持ちの方たちみたいなのにもったいない。特に酒や薬物中毒などの黒歴史ももっとがんがん取材してほしかったし、団員の一人が喉の病気に苦しむとこを描くくだりもなんだか中途ハンパ。 でも、こうゆう過去に成功した人たちの「その後」を描いたドキュメンタリは第三者的には野次馬感覚で楽しめる。取材する側される側いろいろあるんだろうけど、ぶっちゃけ、薬物過剰摂取とかで亡くなったりしてから慌てて故人の業績を称え人格まで美化するような映画よりは、ずっと見応えがある。 自分たちの歌いたい音楽と、業界を熟知した経営陣側が歌わせたい音楽が異なることはよくある話。移り変わりの激しい大衆歌謡の業界においては、そのへんの均衡が非常に重要。さらにはこのおじさんたち、五人平等っぽくてあんまり上下関係がないみたいで。よくもまあ20年も続くもんだと感心してしまう。
Sep 16, 2020
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「コレジャナイ感」 今日は半年ぶりに音楽仲間とのお遊び。ルシール(ピアノ)、ぼく(バイオリン)、エレン(チェロ)で三重奏を。しかも、室内楽じゃなく室外楽。秋の微風に吹かれながら、お外で(軒下)で合奏。全員マスク着用。互いにニメートルぐらい離れてコービッド対策。 どーしてもモーツァルトの短調ものを弾きたいぼくらが選んだのは、氏の幻のピアノ三重奏曲K442。ほんとは未完成の作品だけれども、誰かが強引に補筆し完成させたものらしい。全三楽章。 結論。ピアノもバイオリンも難しい(けどチェロはそうでもない)。 氏のほかの短調曲のようにかっこよいもんだとばっかり思ってたら期待外れだった。1楽章の途中から長調に転んでしまい、とっても爽やかな曲として終わる。 2楽章アンダンディーノ/メヌエットが、なんだか長ったらしくて意外。てゆーか、こうゆうのもメヌエットって言うらしい。あんまし快活に書かれてない。 モーツァルトがこの曲を完成させなかった理由は存じないけど、書き始めたはよいが、なんだかイマイチだから途中で投げ出してしまったのかもと思わせるビミョー感。 真のモーツァルトの作品ではないからビミョーに感じるのか、真のモーツァルト作ではないと知りながら演奏したからそう感じただけなのか。
Sep 12, 2020
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「森の妻さん」(評価 ★★★☆☆ 三つ星) 大都会在住の夫婦が妻の田舎を訪問、森のなかを歩きながらあれこれ口論する話。山道で迷うは、熊は出没するは、猟銃持った地元の人が発砲するは、鉢に刺されるは、嘘っぽい小ネタもいろいろ。 主演は中井貴一さんと鈴木京香さん。 感想としては、フツーに楽しめた。どんでん返しが欲しかったような気もするし、いや、下手に細工するより、こうやってだらだら進行するほうが現実的なような気もするし。 てか、ぼくはこうゆう舞台演劇的なベタな台詞まわしに全く抵抗がないので、三谷さんの作品は堪能できるけれど、おそらく苦手な人はチョー苦手と思われ。 鈴木さん演じる妻がこれまた卑屈な女で、中井さん演じる夫もだらしない。観ててイライラする。でも、お山を歩くのはやっぱり気持ちよさそう。
Sep 11, 2020
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「らふスケッチ」(評価 ★★★☆☆ 三つ星) 画家モディリアーニの晩年を描いた映画。てか、彼はこてこてのイタリア人かと思いきやフランスに移住して活躍した人みたいで、この映画もれっきとしたフランス映画。 主演はジェラール・フィリップ。お相手役はアヌーク・エーメ。白黒映画でこそ映える真の美貌。 ぼくは今までの人生で白黒のフランス映画はおそらく20本ぐらい観たと思うのだけれど、どれもこれももれなく素晴らしかったので、この映画も名作に違いないと勝手に期待しまくって鑑賞に臨む。 モディリアーニの独特の画法は生前はそれほど好まれなかったらしい。裸婦を描くのがお得意だったみたいで、よって入れ替わり立ち替わり美女がお相手してくださったもよう。 演技や演出によるとこもあるんだろうけど、この映画での彼はくたびれた貧乏人かつ病人。酒に煙草に女にだらしない男であり、そのうえ「かまってちゃん」。絵も全然売れないのに自尊心とか気品もちゃんと保ってて、なかなか小難しいキャラ。36歳で病死したそうで、彼を演じた役者フィリップさんもまた本作の公開の翌年だかにやはり36歳でご逝去とのこと。 映画の終わり方が意外でいい感じだった。さすが昔のフランス映画。哀しい話なのに、残された女がわんわん泣き叫んだりとかいう陳腐な終わり方ではない。彼の描いた絵がやっとのことで次々映し出され、見応えありまくり。 ちなみにモディリアーニに関する映画は2004年にも再制作されており(主演はアンディガルシアさん)、でもぼくは観てない(し、観る予定はない)。
Sep 8, 2020
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「うちのカミさん」(評価 ★★★☆☆ 三つ星) なんか無性にアガサ・クリスティものを観たくなって、「白昼の悪魔」を映画化したやつを鑑賞。ちなみに邦題は「地中海」殺人事件。でも映画の舞台はアドリア海みたいで、なんか意味不明。 お若き日のマギースミス様やジェーンバーキン様もご出演。 20世紀半ば(たぶん)、紳士淑女たちの集う孤島で有名女優が殺される話。 ま、美魔女殺人事件って、たいていは旦那が犯人だと思うのだけれど、このおばさん、人妻のくせして不倫しまくるは自己チューで敵は多いは、よって殺害の動機を持っていそうな人はいっぱいいるわけで、なんだかキャラ的にわかりやすい。 現実の世界のほうが殺人の動機はもっとドロドロしてて、殺人を犯す人間の心理って実に複雑なはずと感じた次第(経験ないけど)。 あと、やっぱし推理小説は妄想を膨らましながら読書で楽しんだほうがいいよーな、いや、異国で異時代の話は視覚的に映像で堪能しながら、そのぶん謎解きをじっくり楽しんだほうがいいよーな。 例えば名探偵ポアロを演じた役者さん、ぼくとしては違和感があった。そんなにラテン臭のない、偏屈なベルギー人かと思ってたし。
Sep 6, 2020
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「Flying Dutchmen/women」(評価 ★★★☆☆ 三つ星) オランダの名門オケの演奏旅行に密着したドキュメンタリーを鑑賞。 アルゼンチン、南アフリカ、ロシアなど世界ぢゅうで50公演をこなす。現地の音楽関係者との交流も紹介される。 ドキュメンタリ映画としての映像や編集の質は高いとは言えないけど、プチ非日常を楽しめるし、佳作かと。 ただ、それなりにクラシック音楽の知識があるあなたやわたしにとっては、どうももの足りない。もっと突っ込んでいただきたかった。 指揮者の故マリス・ヤンソンスさんとか、バイオリン独奏者のジャニーヌ・ヤンセンさんとかの素顔もちらっと見られるし、団員さんたちもいい人ばかりで好感持てるのだけれど、それって別にこのオケぢゃなくてもどこも同じだろうし。 せっかくだから、多少ヤラセでいいので「事件」が起きて公演中止の危機とかになったりしないかなーとか不謹慎なこと考えながら観てしまったわけで。←そうゆう娯楽系映画ぢゃないらしい 演奏旅行するオケを密着取材ってのはそれはそれで素晴らしいのだけれど、ぼくとしては団員さんたちがフツーに音楽への情熱を語る場面、特にブルックナー7番2楽章のシンバルとかショスタコ10番冒頭のコントラバスとかについてさりげなくも真剣に思いを吐露してる場面が最も興味深く観られた。こうゆう奏者目線でのお話(指揮者目線ではなく)は聞く機会がなかなかないし。
Sep 5, 2020
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「壊れかけのradio drama」(評価 ★★★★☆ 四つ星) ラジオ局が舞台。新作ドラマを生放送ちゅうに脚本家や声優や演出家らがもめにもめるお話。 ずーっと昔にさくっと観たはずなのだけれど、いつかきちんと観なおそうと思ってて、今回やっと鑑賞。 三谷幸喜さん作。出演は鈴木京香、西村雅彦、唐沢寿明さんsほか。 パチパチ。四半世紀近くたってるのに今の感覚でも十分に楽しめる。それって凄すぎ。 音楽も良かった。ご担当は服部隆之さん。 この映画の良いところであり悪いとこでもあるのだけれど、「主役」が一人ではない。ってか主役がいない。主演は鈴木京香さん(脚本家役)なのかと思いながら観はじめたのだけれど、最後のほうでは唐沢寿明さん演ずる演出家が主人公だったのかなとも思えてきた。混乱しまくるというわけではないのでどっちでもいいけど、そうゆう意味でも舞台演劇系。名作には変わりない。 ちなみに、ぼくは今でもラジオはよく聞くほうで、てゆーか、ネットのおかげで世界ぢゅうのラジオを聞ける時代。日本のラジオ番組も聴くことはあるけど、最近はイギリスのBBC1やBBC4を好んで聴くことが多い。やはりドラマは興味深く聞ける。内容がというより、声優さんが一人で何役もやってたり、あと、この映画でも触れられてるように、音効さんによる優れた効果音/SEとかも聴きどころか。
Sep 2, 2020
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