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えっ、空のエレメントって? って思われました?そうです前回の記事で、あえて4大エレメントは……って書いていた私wちょっとしたイタズラ心です 笑ヨーロッパですと4大エレメントが一般的なのかな~と思いますが、東洋的には5つが多いのかな?陰陽五行説でも5つ、ですしね。「空(くう)」は、チベット仏教からの思想です。お寺にある石灯籠、あれに梵字が書いてあることがありますが、下から「地・水・火・風・空」なんだそうで。空は、他のすべてのエレメントが活躍するための「場」をあらわします。毎回のことながら思いつきでヒーリングテーマを決めるのですが、次はちょうど節分ですね♪立春のタイミングにあわせて、「はじまりの光」から「空のエレメント」…自分で組んでおきながら、なんだかいいタイミングになってるな~と感心してみたりして 笑どっかのぷろぢゅーさー様、さすが手抜かりがありませんねwww新しい春の温泉をご用意して(笑)皆様のご参加お待ちしております♪そうそう、楽天日記の下のほうに出てくるので、ついったーとやらを始めてみました。でも使い方がいまいちわかってなくて、とりあえずブログの更新情報だけですけど 爆IDは satukilight です。よかったらご覧くださいませ♪よろしかったらぽちっとお願いします♪→★リアルタイム日時 2010年2月2日(火) 21:30より1時間(日本時間)★コールイン受け取り可能時間 日本時間で上記日時~2月4日(木) 朝6:30開始までの間の1時間 ※とくに決まった宣言文はありませんが、よいお時間に 「さつきのひかりのヒーリングを受け取ります」と宣言していただければ大丈夫です。 ★募集期限リアルタイム直前(火曜21:30)まで★参加ご希望の方はこの記事(エラーになってしまう場合、mixiの同名記事)のコメント欄に、HN(ハンドルネーム)と都道府県、以前さつきのひかりのヒーリングをお受けになったことがある方は、前回のご感想を一緒にお書きください。私もとても嬉しく励みになりますし、書くことでご自身の気づきも深まるかと思います。※他の記事へのコメント・メッセージ等は無効になります。お返事もできませんので、ご注意ください。★ヒーリングの種類その時々のテーマとともに、純粋な愛のエネルギーによるヒーリングを、お申し込みいただいたご本人、住んでいる土地、ご先祖さまがた、にお送りいたします。もっともシンプルで、誰にでも入りやすく、心の癒しには一番効くのだそうです。ハートが癒されると、ふんわり開いてご自分にとっていいものがたくさん引き寄せられてきます。キラキラをたくさん引き寄せちゃいましょう♪♪★初めましての方は、フリーページをご一読くださいませ^^→→「ヒーリングについて(http://plaza.rakuten.co.jp/satukinohikari/4000)」※よくあるご質問もまとめてあります。ご質問の前にご覧下さいね^^★喉が渇くことがあります。また好転反応が出た場合に楽に流すためにも、白湯などの水分をとられることをお勧めします。★エネルギーやヴィジョンを感じるワークではありません。リラックスして、寝るつもりでゆったりとお布団で受け取ってくださるといいと思います♪★車の運転など、注意力・集中力を必要とする場面では、絶対にヒーリングを受け取らないでください。 眠くなることがありますので、危険です。万一そういう事態になった場合には、「私は今はヒーリングを受け取りません。後ほど布団に入るときに改めて受け取ります」とはっきり宣言してください。★ヒーリングは医療行為ではありませんので、受けたことで怪我や疾患が良くなったり悪くなったりするというものではありません。変化はご自身が望まれたことを後押しするために現れます。ご自身の判断と責任によりお受けくださいね。銀月物語 第一部登場人物人気投票!! ↑たか1717さんのご協力をいただいて開催中!お一人様何票でも投票できます♪ よろしかったらぜひ~♪☆ゲリラ開催☆ 1/28~1/31 はじまりの光~一斉ヒーリング
2010年01月30日
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やわらかなハニーブロンドの巫女服の少女が、神殿の守衛となにかやりあっていた。 「ねえ、お願い。どうしても今日の市に行きたいんです」 「だがティーラ、お前さんはいつだって危ないほうにいっちまうから、特に腕のたつのが一緒じゃないと駄目ってことだったろう」 でも、と少女がくいさがる。すみれ色の瞳は優しげだったが、どことなく芯が強そうだった。 「どうしたんだい?」 たまたま通りかかったアルディアスに、年老いた守衛はほっとした顔になった。 「大神官様。このとおり、ティーラが外の市へ行きたいって言うんですが、あいにく腕のたつような奴は他の仕事で出払っちまってて」 神殿の外苑には、季節ごとに一度市が立つ。けっこうな賑わいで、遠くからの商人たちも多いため、珍しい品があると評判だった。 ティーラはその市に行きたいらしい。 神殿にも自由時間はあるからそれはいいのだが、問題は、彼女がなぜか危ない人や場所に近づいていってしまうという癖?にあった。 基本的に神殿に属する独身女性の一人歩きは禁じられているが、女性同士で連れ立って出かけることはできる。ティーラの場合は危ない目に再三あったので、腕の立つ衛士をつけることになっていた。 彼女はエル・フィンのツインなのだが、彼が剣と魔法を人並み以上に鍛えたのはこのためではなかったかと、アルディアスは思っている。 「なるほど……いいよ、では私が一緒に行こう」 銀髪の男は微笑んだ。今日は軍務の合間をぬって神殿にきたが、ちょうど仕事も一段落したところだ。たまに季節の市をそぞろ歩くのも悪くない。 「いいんですか!?」 ティーラと守衛の目が丸くなる。 かさねてアルディアスがうなずくと、ティーラは飛び上がらんばかりに顔を輝かせた。 先日正式な巫女格を拝領したばかりだ。きっと、エル・フィンになにか記念の贈り物でもしたいのだろう。 市は三ヶ月に一度しか立たないから、この機を逃したくない気持ちはわかる。 久しぶりに歩く市は、大小のテントが立ち並び、いつものように活気にあふれていた。 神殿の敷地内ということで、神官服の人間もちらほらと歩いている。 「大神官様、お久しぶりです。今日はおんみずから巫女様の護衛で?」 「ああ。景気はどうだね」 「まずまずですな。西方の石のいいのが出てますよ。南は豊作でしたが、東の作物はだめです、今年は長雨でね。どれも粒が小さい。北は細工が掘り出し物ですね。洗練されてきたところで、これから値が上がるでしょうな。西の石を仕入れて細工してるいい店がありますから、ご紹介しましょう」 市の座長を務める男が、ざっと見回しながら説明してくれる。背は低いが頭の回転が早く、噂にも耳聡かった。彼はアルディアス達を自分の店の奥にさしまねき、ティーラに商品を見せるふりをしながら小声でささやいた。 「例のゲームですがね、そろそろ積みって話ですぜ」 「そうかい。ありがとう」 座長はころりと声を変えてティーラに向き直った。 「お嬢さん、なにを探していなさるね? どこの店に何があるかは俺が何でも知ってる。人の店じゃあ俺の売り上げにはならねえが、大神官様のお顔に免じて、何でもお教えしますぜ」 「ありがとう。石を探しているの。そんなに大きくなくて、お守りになりそうなもの」 それなら、と座長は胸を叩いた。さきほど言った細工物の店が、いい原石や磨き石も仕入れているからそこがいいと指差して教えてくれる。 座長のトアラに聞いたっていいなよ、とウィンクした。 その店のテントはちょっと奥まったところにあった。商品の目利きや細工の腕はいいのだが、場所取りなどに弱かったらしい。見るからに職人肌の色の白い細身の男が、奥に座ってなにか作り続けている。 「いらっしゃい。勝手に見てってよ」 指先の細工から目を離さず、ぶっきらぼうに男は言った。 「ありがとう。そうさせてもらうよ」 アルディアスは笑ってティーラを先に通した。間口は狭く、人が二人並ぶのもようやっとという感じだ。 天窓を開けてあって、そこからの光が小さなテントに置いてある細工物や石を照らしていた。 アルディアスの目は、黒い布の上に置いてあるひとつのペンダントに吸い寄せられた。 とてもクリアに輝く透明な金緑の石に、細い金線銀線で小さなペリドットがいくつか巻いてあり、下部にシラーの美しい乳白色のムーンストーンが雫型に揺れている。 とても繊細な細工で、なにより楕円形の石がリフィアの瞳の色にそっくりだった。喉元あたりにつけられるよう、金色の細いチェーンがついている。 「どうぞ。触っていいよ」 客の反応に満足したように、職人が目をあげて笑う。笑い返して、アルディアスはそのペンダントをそっと手に持ってみた。指先ではさんで、天窓の明かりに透かしてみる。 陽の雫そのもののように、それは輝いた。 「お客さん、よっぽど気に入ったみたいだね」 「ああ、とてもね。私はこれをもらおう。贈り物にしたいんだが」 「いいとも。ちょっと待ってな、包むから」 男は傍らの荷物箱から、しゃれた小さな箱を出した。中には艶のある布が敷かれている。チェーンをくるくると巻き、ペンダントトップが映えるように綺麗にしまって器用にリボンをかけると、男は笑った。 「彼女に贈るなら、包装もしゃれてないとね」 「ありがとう」 会計をすませて横を見ると、ティーラが熱心に石を物色していた。 特に気になるのが、ネオンブルーに輝く透明感のある青い石らしい。こちらはエル・フィンの瞳の色にそっくりなことに気がついて、つい目がいくのはお互い相手の瞳の色なのだな、とアルディアスは少しおかしくなった。 「お姉さんはそっちかい? 目が高いね、それはこないだ仕入れたばかりの石だ。西方でしか採れない珍しい品だよ。まだ細工はしてないんだが」 「いいの、あげる相手が男の人だから、原石のほうが持ってもらえるわ」 「守り石か。そんなら何か袋を……ごめん、ちょうどきれちまってら。ほら、厚めで手触りのいい端切れはあるんだがね、袋にしてなくて」 「自分で縫うから大丈夫。よければその端切れもくださる?」 「もちろん、毎度あり」 掘り出し物を手にして、二人は嬉しい気持ちで店を後にした。 ティーラはそもそもがクリスタルの調律をする巫女であり、神殿でも石は扱っているが、市のほうが珍しいものが手に入る。 まだ遠い任地にいる恋人を思い浮かべて、ティーラは一刻も早く石の調律と袋縫いをしたくなり、しぜんと歩む足が速くなった。 ティーラ、もうちょっとゆっくり、と先々でいろいろな人に挨拶され、どうしても時間のかかるアルディアスが言葉を投げる。 わかってますわ、とティーラが歩きながら振り返ったときだった。 どしん、と何かにぶつかって尻餅をついてしまう。 目の前には、筋骨隆々の巨漢が仁王立ちになって彼女を睨みつけていた。 「痛いじゃねえか、姉ちゃん」 「ご……ごめんなさい」 「ティーラ。すまないが、彼女は私の連れでね」 巨漢がにやついた笑いを浮かべようとする寸前に、駆け寄ったアルディアスの長身が視線をさえぎった。 穏やかな表情をうかべているが、目線は巨漢よりも若干、高い。 やや見下ろされて、巨漢は悔しそうに顔をゆがめた。腰に幅広の湾曲した剣を佩いているが、銀髪の男の身ごなしに危険なものを感じたらしく、柄に手をかけることなく何か呟いて去ってゆく。 「やれやれ。エル・フィンが心配するわけだ」 「大神官様」 ふくれかけた彼女の顔を見やって、アルディアスは微笑んだ。 「贈り物の準備が整ったら、内緒で私に渡しなさい。基地まで持っていって、それから機密書類と一緒に、シェーンにエル・フィンのところまで運んでもらおう。重要機密扱いでね」 片目を閉じると、少女の顔がぱっと赤くなった。 ------- ◆【銀の月のものがたり】 道案内 ◆【第二部 陽の雫】 目次 ティーラさん、この癖?は小さいころから変わらないようで 笑 小さい頃にもそっくりなエピソードが… それはエル・フィンさんのブログでどうぞ♪ <ただの物語 断片39 大祭の市場> http://elfin285.blog68.fc2.com/blog-entry-154.html 拍手がわりに→webコンテンツ・ファンタジー小説部門に登録してみました♪→http://elfin285.blog68.fc2.com/blog-entry-212.html 銀月物語 第一部登場人物人気投票!! ↑たか1717さんのご協力をいただいて開催中! お一人様何票でも投票できます♪ よろしかったらぜひ~♪ 「そのほかの人」に投票してくださった方、手違いでコメントがいくつか消えてしまったようです、ごめんなさい>< お手数ですがもう一回投票してやってくださいませ~~~! ☆ゲリラ開催☆ 1/28~1/31 はじまりの光~一斉ヒーリング
2010年01月29日
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30日は満月なんですね~。それも、元日も満月だったから2度目のブルームーン。なんとなくゲリラヒーリングしようかな、と思ってからカレンダー見たらそんなんでした 笑月の光、私は大好きで。ほとんど偶然なんですけど、HNにもそのまんま入っておりますw物語のタイトルも「銀の月のものがたり」ですしね~。あんまり何にも考えてないわりには揃っております。爆はじまりの光って、闇を押しのけたり切り払うようなものではなく、暗い夜でも調和してほんのりやさしく、けれどけして弱くなく光るものって感じがするのでそういう意味ではお日様よりも月の光に近いかな?と思ってみたりして。REFの開催も考えたのですが、なんとなく癒し系にしたい気分だったのでこっちにしてみました 笑このヒーリングは、実はどちらかというと上の人の中ではアルディアスが近いので【陽の雫 25 竪琴】みたいに、アルディアスのハープと歌つきかもしれませんwww彼の賛美歌?古典曲?子守唄?を聞いてみたい方はぜひどうぞ~♪寝落ちOKなように、毛布など暖かくしてお臨みくださいね 笑応援してくださってありがとうございます♪→★ヒーリング期間本日この記事がアップされてから~2月1日(月)日本時間朝7:00まで 1回30分(募集も同じく)期間中、何度でも好きなだけコールインでお受け取りいただけます。 ※とくに決まった宣言文はありませんが、よいお時間に 「さつきのひかりのヒーリングを受け取ります」と宣言していただければ大丈夫です。 ★参加ご希望の方は最初の一回のみ、この記事かmixiの同名記事のコメント欄に、HN(ハンドルネーム)と都道府県、以前さつきのひかりのヒーリングをお受けになったことがある方は、前回のご感想を一緒にお書きください。私もとても嬉しく励みになりますし、書くことでご自身の気づきも深まるかと思います。※他の記事へのコメント・メッセージ等は無効になります。お返事もできませんので、ご注意ください。★ヒーリングの種類その時々のテーマとともに、純粋な愛のエネルギーによるヒーリングを、お申し込みいただいたご本人、住んでいる土地、ご先祖さまがた、にお送りいたします。もっともシンプルで、誰にでも入りやすく、心の癒しには一番効くのだそうです。ハートが癒されると、ふんわり開いてご自分にとっていいものがたくさん引き寄せられてきます。キラキラをたくさん引き寄せちゃいましょう♪♪★初めましての方は、フリーページをご一読くださいませ^^→→「ヒーリングについて(http://plaza.rakuten.co.jp/satukinohikari/4000)」※よくあるご質問もまとめてあります。ご質問の前にご覧下さいね^^★喉が渇くことがあります。また好転反応が出た場合に楽に流すためにも、白湯などの水分をたくさんとられることをお勧めします。★1円募金や誰かに何かをする、掃除する、ご感想をいただくなど、なにがしかの行動をされるとエネルギーの循環がよくなり、よりヒーリングが効きやすくなります♪★エネルギーやヴィジョンを感じるワークではありません。リラックスして、寝るつもりでゆったりとお布団で受け取ってくださるといいと思います♪★車の運転など、注意力・集中力を必要とする場面では、絶対にヒーリングを受け取らないでください。 眠くなることがありますので、危険です。万一そういう事態になった場合には、「私は今はヒーリングを受け取りません。後ほど布団に入るときに改めて受け取ります」とはっきり宣言してください。★ヒーリングは医療行為ではありませんので、受けたことで怪我や疾患が良くなったり悪くなったりするというものではありません。変化はご自身が望まれたことを後押しするために現れます。ご自身の判断と責任によりお受けくださいね。
2010年01月28日
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翌日は、リフィアは公休、アルディアスは十日に渡る作戦から帰還後の休みだった。 のんびりとブランチを食べ、分担して食器を片付けた後、リフィアはリビングの隅を指さした。昨日彼を待っている間に見つけたものだ。 「ねえアルディ、これ弾けるの? 触ってもいい?」 大きなソファの脇に置いてあったのは、膝に乗せられるタイプのラップハープだった。そばに本が積んであるのは、自立するものの倒れないための用心だろうか。 「いいよ。ちょっと待って、調弦するから」 アルディアスは、ひょいとハープを持ち上げてソファの前に置いた。 リビングには手触りのいい厚手のラグが敷かれ、ソファには淡いミントグリーンのカバーがかけてある。ほとんど色彩のなかったただの官舎は、リフィアの手をもって少しずつ暖かな家に変わってきていた。 T字型の道具を右手に持ち、アルディアスが片膝を曲げて床に座り、ソファによりかかる。リフィアも隣に座った。 長い指が弦をはじくと、ポーン、と深みのあるいい音がした。木でできた胴の部分は焦げ茶色に艶々と光っている。 「ずいぶんと古そうね。代々伝わってきたものとか?」 「いや、単に古いだけだよ。神殿に元々あってね……だんだん気難し屋になってきて、他に弾ける者がいなくなったから、もらってきたんだ」 話しながら、左手で一本ずつ弦をはじいてゆく。そしてほぼ毎回、右手の器具で上部のネジのようなものを微妙に締めたり緩めたりしていた。 「一応、レバーと弦を代えたり木を磨いたりしたから、ご機嫌はだいぶ直ったと思うのだけどね」 ふっと微笑む。ひとつずつの音を拾ってゆくその様子から、長い間、神殿でも大切に扱われていたのに違いないとリフィアは思った。 長い指がすべての弦をはじき終わり、最後にポロロンとなでる。満足げな微笑を浮かべて、「できたよ。はい、どうぞ」とアルディアスは言い、ハープをリフィアの前に置いた。 彼女は片手につけていた細いブレスレットを外し、手前のラグに手をついておもむろにじっとハープを見つめた。 「……なんてご挨拶すればいいかしらね?」 隣の銀髪の男を見上げる。気難しいと聞いたばかりだし、彼の愛器でもある。最初から嫌われたくなかった。 「ふふ、リンが嫌われるわけがないよ。ハープは初めて?」 そう笑うと、彼は指の置き方や弦のはじき方など、基礎的なことをリフィアに教えた。 「ええ。実家には姉と兄の使ってたピアノとギターみたいなのがあって。姉さまのピアノレッスンにくっついてたから、なんとなく簡単な楽譜ならたどれるけど……」 始めはそっと、徐々に楽しげに弦をかき鳴らす。適当に指を動かしているだけでも、なんだか音楽のように聴こえるのが楽しかった。 しばらく気ままに鳴らして喜んだあと、リフィアは笑顔で傍らを振り返った。 「ねえ、教えてくれる?」 「いいとも。じゃあね、始めは親指をここ、人差し指と中指を隣に置いて……そう。慣れたら、左手で同じように順番に鳴らしてごらん。コツはね、最初に使う指を全部置いてしまうことだよ」 ド・レ・ミ・レ・ミ・ファ、とゆっくりした音階が流れ出した。オクターブを辿ったら、今度は下げていく。 それにも慣れたら、今度は両手を使って、音を二度ずらして。 そうすると和音になり、なんとなく曲のように聴こえる。両手を使うこともあり、指一本のきらきら星よりも習った、という気がして満足だった。 たどたどしい音階がしばらくしてなめらかになったあと、リフィアは力の入っていた肩をゆすってほっと息をついた。 「ああ面白かった。アルディはどんな曲を弾くの?」 「そうだねえ。神殿で習ったから、賛美歌とか古典曲が多いかな。歌もそういう感じのが好きだし」 「歌?」 「ああ、小さい頃から聖歌隊にいたからね、ずっと。神殿では音楽の講義もあるし」 人の多い中央の大神殿ならまだしも、地方の神殿になると神官ひとりで何でもやらなくてはならないことが多いから、神殿で行われる講義は多岐に渡っている。 神秘的な諸々はもちろん、音楽、奉納舞、各種の言語と基礎学問、古代語、医学、薬学、基本的な護身術など。そして自給自足の生活の中で、男女の区別なく畑仕事や簡単な料理、針仕事などもひととおり身につけてゆくのだ。もちろん人それぞれ、分野の得意不得意はあるが。 リフィアはハープから手を離し、淡いストライプのコットンシャツの袖を指先でひっぱった。 「ねえ、私聴きたいわ。お願い、歌って」 「いいよ。どんな曲?」 「あなたの好きな曲。できればハープの伴奏つき」 「かしこまりました」 アルディアスはハープを自分の前に置いて、軽く肩にたてかけた。指が弦の上を踊ると、どこか懐かしげなメロディが流れ出す。 彼が歌ったのは、おそらくは賛美歌の一種だった。古語の歌詞のため、そのままではリフィアには意味がわからない。 わからないけれども、やわらかな光が空から一面に降りそそいでくるようだ、と彼女は思った。 歌声はけして大きくはない。声楽のような歌い方とはまったく違っていて、なのにとても響いて聴こえる。 いつか神殿で聴いたことのある賛美歌はこんな歌だったかしら。 友達の結婚式で聴いたのはこれだったかしら? ハープと彼の喉から流れる旋律はとても優しくて、どこかそう……遠い昔に耳にしたような、暖かな陽だまりにつつまれているような、そんな気分になる。 歌でクリスタルを調律するとか、空間を調整するとか、そんな話も聞いたことがあった。 ヒーリングもそうだったっけ……波動がどう、とか…… 伸びのよいテノールを聴きながら、リフィアはしだいに、うとうとと舟をこぎだした。 陽射しをうけた壁やクリスタルに触れたときに似た、思いがけないようなじんわりした温もりが身体を包む。 心地よすぎて目を開けていられない。 歌い終わってアルディアスが気づくと、片膝折っていた彼の足にいつのまにかリフィアの頭が乗っていた。 「リン?」 小さく尋ねた返事のかわりに、すやすやと規則正しい寝息がきこえる。 ベッドに運ぼうかと思いかけて、あまりにも気持ちよさそうなのでアルディアスは思い直した。 ふと微笑んでハープから離した手に毛布をとりよせ、冷えないように彼女の体にかける。 金茶色の髪をそっとなでてから、彼の手はまたハープに戻った。 素朴な旋律の子守唄が流れ出す。 うららかな春の日、窓の外ではそよ風に若葉がゆれている。裏庭では、リフィアが蒔いた花の種がそろそろ芽を出しているだろう。 二人だけの昼下がり、穏やかな時間が優しい音色に乗ってゆっくりと流れていた。 ------- ◆【銀の月のものがたり】 道案内 ◆【第二部 陽の雫】 目次 今日はやさしいお話で♪ 実は去年の暮れからリアル本体もケルトハープを始めまして。 まだまだ、とてもとても彼のよーには弾けませんが… ピアノも弾けない私、生まれて初めて学校以外でまともに習った楽器がハープだったりします。もしかしなくても変かもしんない。 ← でも楽しいのです~♪ 今もうひとつ挑戦中なことがあり、それが一段落したらごほうびに賛美歌のハープ楽譜集を買うんだwww しばらくバタバタ忙しい日々が続きますので、メール等レスが遅れたり コメント返しができなかったりすることもあるかもしれませんが どうぞお許しくださいませm(_ _)m でも物語が更新されてるかと毎日チェックしちゃいます、とか言われちゃったので なるべくいそいそと書いて更新するようにしたいと思います♪♪ 笑 ありがとうございます♪ http://elfin285.blog68.fc2.com/blog-entry-212.html 銀月物語 第一部登場人物人気投票!! ↑たか1717さんのご協力をいただいて開催中! お一人様何票でも投票できます♪ よろしかったらぜひ~♪
2010年01月27日
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なにみえ遠足四期生の皆様、ご卒業おめでとうございます!昨日は卒業パーティへのご招待、どうもありがとうございました。事前に、じぇいど♪さんからルースはベージュのワンピで行くようなことを伺っていたので、合うようなものがあるかなとクロゼットを見てwチョコレート色のコーデュロイの三つボタンスーツにごく淡いクリーム色のシャツ、透明感のあるエメラルドグリーンのネクタイで行くことにしました♪いや、絶対ルースと対になってる洋服があるはずだと思っていた私。フレママいつもありがとう♪♪入り口でベリー系の飲み物をいただいて、ゆっくり屋台を散策。途中、ステーション警備の人たちとちょっと話をしたりもしていたもようです。このあたりは、いずれじぇいど♪さんから正式発表があるかなと思いますがw歩きながら、たくさんの人に会ってはご挨拶とハグ。やわらかい感触は、子供抱き上げたりもしてたのかな?屋台では特に何か食べたりはしなかったのですが、お土産をいっぱいいただいてしまった気がします。実はうちには幼稚園くらいのインナーチャイルドがいるんですが、その子がらくがきせんべいに興味津々でwwちょっと重症で自宅敷地から外に出られなかったのですが、最近小学生から幼稚園に縮んで(笑)そしたら回復傾向になったみたいでお店にちょっとだけお邪魔したのか、お土産でいただいたのだったのか、ぐりぐり落書きしてご満悦になってました 笑後バナナの味がしたから、チョコバナナもいただいたと思いますwwwどうもありがとうございました♪出し物も楽しかったです。「ビリーブ」では皆さんおそろいのTシャツで、肩組んで揺れてる感じがしました。泣いてる方もいらしたような。「ハレ晴れユカイ」は面白かった!www残念ながら映像ははっきり見えなかったのですが、皆さんの動きにやたらキレがあって、そして蜘蛛の子を散らすようにささーーーーっと消えていくのを見てなんかやたら楽しくて本体にやにやしてしまいました 笑いやー皆さん、ほんとにお上手だった気がします。「早口言葉」も上手でした~。でも誰か噛んじゃって、笑いが巻き起こっていたようなwww順番がまちまちかもですが、ピラミッド除幕式は虹色の光が見えてとても綺麗でした。中を見せていただいたのか、床のルーンがすごく気になったらしくて感心したようすでじーっと見てました。上のベルも綺麗なのにー、とか本体は思ったのですが^^;「やさしさに包まれたなら」は感動でした。もう、しっとり、しんみりというか。各所で泣き声が聞こえていたように思います。それからくすだまが綺麗でした。きらきらふわふわした、やさしい春みたいな色合いを感じました。最後には皆さんが手でアーチを作ってくださって、それを通らせてもらい…トールってでかいので、中腰で 笑なんかぺたぺた触ってくださった方もいらしたようなwwwそうそう、4期生トピで、トールの匂いがどうとか盛り上がってたのを見つけてしまったのですがそれはどうだったのでしょう… 笑切れ切れの感想ですが、全体的にこんな感じに楽しませていただきました。四期生の皆様、ご卒業、本当におめでとうございます!上世界もドラゴンも、卒業なさってもずっと変わらずに皆様のそばにあります。焦ることなく、それぞれのかかわりの距離を探していっていただけたら、そして、何よりたくさん楽しんでいただけたらなと思います。皆様の幸せを、心よりお祈り申し上げます。本当にどうもありがとうございました♪拍手がわりに→ 1/26 風のエレメントの浄化一斉ヒーリング 銀月物語 第一部登場人物人気投票!! ↑たか1717さんのご協力をいただいて開催中!お一人様何票でも投票できます♪ よろしかったらぜひ~♪
2010年01月25日
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少しどきどきしながら、リフィアはアルディアスの官舎の鍵を開けた。 あの襲撃の後、彼はいつ来てもいいよ、居ないときでも、と言って鍵を渡してくれた。 今日アルディアスは任務で不在。いないことがわかっていて入るのは、まだ少し緊張する。 玄関に入ると、少し埃っぽい匂いがした。 主が数日不在だからだろうか。 「リフィア、あなたお付き合いしてる人いるわね」 実家に帰っていて、姉達にいわれた言葉が脳裏によみがえる。 (まったく姉様たちったら早耳なんだから) 殺風景な玄関を意味もなく見回しながら彼女は思った。さすが商家の娘というか、姉達のネットワークのすごさときたら計り知れない。流行のサーチなどもぬかりなく、その情報網は軍を凌ぐときさえある。 微笑ましげにからかわれて、なんとはなし、その帰り道にちょっと彼の家に寄ってみる気になったのだ。 書斎以外はすべてハウスキーパーが入っていることをリフィアは知っている。 彼女は廊下を進み、リビングの窓を開けた。 夕方とはいっても、すこしでも換気をしたほうがいいに違いない。 斜めに入ってきた金色の夕焼けに目を細めていると、離れた場所でなにかが落ちる音がした。思わず背後を振り返った鼻先に、また埃のような砂のような匂いがかすめる。 これは……悪意? 狙われていたアルディアスの脇にその匂いがあったことを思い出し、リフィアはばくばくと踊りだした心臓をなだめながら探検に行ってみた。 玄関からすぐの部屋のドアが薄く開いている。音と匂いはそこからのようだ。 リフィアはそっとその部屋に入ってみた。 小さな窓から射しこむ夕日に舞い上がった埃が光り、掃除されていないことがすぐにわかる。 端に置かれた木製の机の上に、封筒や紙束が放り出してあった。いくつかは山としてまとめてあるところを見ると、自重で崩れて音を立てたものらしい。 そこにあった写真をちらりと見て、リフィアの目が凍った。 思わず手で口を押さえる。 足首の切断シーン、それも4~5枚連続している。血の出ていないその画像は死体を解体しているものなのか、人形のようでありながら妙に生々しかった。 机にあるものはアルディアスの職務上のなにか、それも極秘に近いようなものだと気づいて、リフィアは息を止めたままドアに後ずさりした。 書類はいじらず、崩れたのもそのままにして部屋を出る。 廊下には薄い最後の夕日が細長く伸びてきていた。 もうすぐ日も落ちる。 このまま彼のいない家にいるのが、不意に心細くなった。 さきほど換気に開けたばかりだったが、ささっと窓を閉めて戸締りすると、リフィアは足早に自分のテラスハウスに帰った。 アルディアスが任務から戻ったのは翌々日だ。 作戦終了を聞いたリフィアは、早めに仕事を終えて官舎に向かい、暖かな食事をつくって待っていた。 戦場から戻ってきた彼が、ドアを開けてやさしい気配の満ちる家にぱっと微笑む。 その嬉しそうな笑顔を見て、リフィアはここで待っていてよかったと思った。 たわいもない、しかし積もった話をしながら食事をする。 夜も更け、久しぶりに会えた気持ちもようよう落ち着いてきた頃合に、リフィアはあの部屋のことを告白した。 「アルディ、ごめんなさい。私……その、第三者が見ちゃいけないものを見ちゃったみたい」 「?」 「玄関入ってすぐ左のお部屋。このあいだ、ちょっとここに寄ったら、書類の崩れる音がしたものだから」 「覗いてみた?」 リフィアはこくんとうなずいた。アルディアスは腕をのばすと、金茶の髪をそっとかきあげて穏やかに言った。 「困った人だね。あの部屋には入らないでくれと言ってあったのに。……結界も張ってあったんだがな」 「ドア、開いてたわ。閉まってるのを開けようとは思わないもの」 うん、とアルディアスは呟いて考えるような目をした。彼女の言うとおりだろうと思う。あの部屋にかけてあった結界は妖精系のものだったが、主から正式に玄関の鍵をもらったリフィアが、同じく主として認定されたという可能性があった。 「だけど気持ち悪かったろう。あそこにあったのは、ある地方都市で起きている凄惨な事件のファイルだから」 画像を思い出したリフィアがかすかに震える。その身体を抱き寄せて、しばらくしてからアルディアスは言った。その長い銀髪に月光がきらめいている。 「リン、頼みたいことがあるんだけど」 そう切り出して、彼はリフィアに事件の概要を説明した。 とある地方都市で、多くの子供達が誘拐殺人の被害にあっていること。それも殺人の様子、その後まで、スナッフムービーとして商品にしたてあげられ裏で売りさばかれていること。 それなのに地方評議会で大きな問題になっていないこと、など。 「それって……」 「そう。評議員の中に、犯人グループと癒着している人物がいる。そこの警察も抱き込まれているようなのでね、私は水面下でその捜査にあたっていたんだよ」 なんてこと。リフィアは急に寒気がして、両手で自分の肩を抱いた。 「もしかして……あの襲撃もそうなの?」 「うん、まあ繋がりはあるね。実際に襲ってきたのは、以前話題になっていた暴行集団だったんだが……」 アルディアスはそこでいったん言葉をとめた。ムービーを見る限り、実行犯のほとんどはかなりの実戦経験者で、その上趣味が彼らと似通っている、というのが理由のひとつだが、そこまで言ってわざわざ気味悪い画を思い出させることはない。 仕事として見た彼自身ですら、そのえげつなさに眉をひそめずにはいられない代物だったのだから。 「もう2年になるが。エル・フィンという青年をリーダーにして、数人その都市に潜り込ませてある。彼らからの報告によって、その癒着している相手と主犯格が、そろそろ割れそうでね」 「エル・フィンさん……。ああ、あの降格人事のときの方ね」 リフィアは記憶をさぐった。 エル・フィンの左遷は、それなりに総務の同僚達の間で話題になったのだ。 もっとも主な理由は、知り合いではないがエル・フィンを見知っている子がいて、美形よ、という話からだったが。 同僚のカノンがこの中にあるはずなんだけど、とフォトアルバムや未整理の写真を見せてくれ、そこに一枚、懇親会で彼女の背後に金髪碧眼の青年が写っているものがあった。 その迫力の瞳を見て、(こういう瞳をコバルトブルーって呼ぶのかしら)と思ったことを覚えている。 その後周りの盛り上がりについていけず、話の輪からは抜けてしまったが、そういえばアルディアスの写真もあったわ、とリフィアは思い出した。 准将になって帰ってきたときのものだろうか、屋外の離れたところから撮影していて、スクリーンが一枚挟まっているように少しぼやっと写っていた。 これは完全に隠し撮りだろうが、懇親会の写真だって、自分達を写しているようで背後の人物にピントがあっているものがほとんどだった。要するに気になる青年士官を撮っていたものらしい。 そのことをついでに話すと、アルディアスは笑った。 「へえ、私の写真も? それは光栄。殺気がなければ気づかないか、気にしないかだからね。わからなかったよ。だけど、エル・フィンの名前を知っているなら話が早い」 真面目な顔になって彼が言ったのは、かの地方都市の財政における正規帳簿を出してほしい、ということだった。 すべての自治体の正規帳簿は、自軍の能力を測るために写しが軍部中央にも保管されているのだ。 「まだ相手に動きを知られたくないのでね、できれば秘密裏にやってもらいたんだけど……できるかい?」 「もちろんよ。正規の帳簿なら手続きもたいしたことないし、それにね、将官命令でしたら他の業務に優先される上、極秘扱いもまったく問題ないんですのよ、フェロウ准将」 この人自分の地位をほんとにわかってるのかしら、と藍色の瞳を見つめてリフィアは笑った。いいえ、責任という意味ではともかく、権力という意味ではわかっていないに違いない。そう思うとおかしい。 そんなリフィアを不思議そうに見やりながら、じゃあお願いします、と彼は言った。 ------- ◆【銀の月のものがたり】 道案内 ◆【第二部 陽の雫】 目次 先日、火のエレメントのヒーリングのとき「物語のご感想でもいいですからお願いします」と書いたら意外にたくさんの方からコメントをいただいてほくほくです♪ ありがとうございます♪♪ヒーリングはもうすでにほとんど体質なので(爆)、物語を褒めていただくとものすごく嬉しかったりする私です。。wなんででしょうねえ、自分でもよくわからないんですけど、意識的に頑張ってる感がこっちのほうが強いからでしょうか。どちらかというと顕在意識をみっちり使うからかな?ともあれ、ご感想いただくとすごく嬉しいです。どうもありがとうございます♪拍手がわりに→webコンテンツ・ファンタジー小説部門に登録してみました♪→☆ゲリラ開催☆ 1/22~1/24 レインボー・エナジー・ フレイム 一斉ヒーリング 1/26 風のエレメントの浄化一斉ヒーリング 銀月物語 第一部登場人物人気投票!! ↑たか1717さんのご協力をいただいて開催中!お一人様何票でも投票できます♪ よろしかったらぜひ~♪
2010年01月24日
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四大エレメントだと、風・火・水・土。下から順番にきて、来週は風のエレメントです。チャクラだとハート、天使だとラファエル担当ですねw風はふわふわ揺れてしまう不安という意味もありますが、同時に力強く背を押してくれる追い風にもなったりします。束縛されないからこそ自由だけれど、でもときに不安にもなってしまう。誰にでもあることですよね。ここで今までやってきたほかの元素がしっかりしていると、バランスが取れて自由の中、自分の道をちゃんと進みやすくなります。どれかが強ければいい、そういうものではないのですね。不必要なものはなにもない。すべてが絶妙に補いあって、世界はなりたっているのかもしれません。よろしかったらぽちっとお願いします♪→★リアルタイム日時 2010年1月26日(火) 21:30より1時間(日本時間)★コールイン受け取り可能時間 日本時間で上記日時~1月28日(木) 朝6:30開始までの間の1時間 ※とくに決まった宣言文はありませんが、よいお時間に 「さつきのひかりのヒーリングを受け取ります」と宣言していただければ大丈夫です。 ★募集期限リアルタイム直前(火曜21:30)まで★参加ご希望の方はこの記事(エラーになってしまう場合、mixiの同名記事)のコメント欄に、HN(ハンドルネーム)と都道府県、以前さつきのひかりのヒーリングをお受けになったことがある方は、前回のご感想を一緒にお書きください。私もとても嬉しく励みになりますし、書くことでご自身の気づきも深まるかと思います。※他の記事へのコメント・メッセージ等は無効になります。お返事もできませんので、ご注意ください。★ヒーリングの種類その時々のテーマとともに、純粋な愛のエネルギーによるヒーリングを、お申し込みいただいたご本人、住んでいる土地、ご先祖さまがた、にお送りいたします。もっともシンプルで、誰にでも入りやすく、心の癒しには一番効くのだそうです。ハートが癒されると、ふんわり開いてご自分にとっていいものがたくさん引き寄せられてきます。キラキラをたくさん引き寄せちゃいましょう♪♪★初めましての方は、フリーページをご一読くださいませ^^→→「ヒーリングについて(http://plaza.rakuten.co.jp/satukinohikari/4000)」※よくあるご質問もまとめてあります。ご質問の前にご覧下さいね^^★喉が渇くことがあります。また好転反応が出た場合に楽に流すためにも、白湯などの水分をとられることをお勧めします。★エネルギーやヴィジョンを感じるワークではありません。リラックスして、寝るつもりでゆったりとお布団で受け取ってくださるといいと思います♪★車の運転など、注意力・集中力を必要とする場面では、絶対にヒーリングを受け取らないでください。 眠くなることがありますので、危険です。万一そういう事態になった場合には、「私は今はヒーリングを受け取りません。後ほど布団に入るときに改めて受け取ります」とはっきり宣言してください。★ヒーリングは医療行為ではありませんので、受けたことで怪我や疾患が良くなったり悪くなったりするというものではありません。変化はご自身が望まれたことを後押しするために現れます。ご自身の判断と責任によりお受けくださいね。☆ゲリラ開催☆ 1/22~1/24 レインボー・エナジー・ フレイム 一斉ヒーリング 銀月物語 第一部登場人物人気投票!! ↑たか1717さんのご協力をいただいて開催中!お一人様何票でも投票できます♪ よろしかったらぜひ~♪
2010年01月23日
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アストラルトラベルの際、さまざまなネガ等の浄化のために、なにかエネルギーがあると便利。 それもできればタダで提供したい! ・・・というわけで、SVFに代わり、無償で提供できる浄化エネルギーを開発しております♪まずは一斉ヒーリングでのご提供。 いずれは一斉伝授等を視野に入れております。 昨年何度かやりましたが、年末年始やら何やらで日が空いてしまいました。またリクエストがあったのでやらせていただきます♪伝授実験の前に、まずは一斉ヒーリングで腕ならししないと 笑■エネルギーの名称は、「レインボー・エナジー・フレイム(REF)」。虹色の炎を使っております♪■このエネルギーは、特定のマスターや大天使の加護によるものではない、ニュートラルな性質のものです。元々、ドラちゃんと行動をともにする遠足期間中に使えるように作られておりますので、どうぞご安心くださいませ♪■効果はSVFと同様、内外のネガを浄化する、またサイキック・プロテクション・フレイムと同等にもお使いいただけるよう、ヒーリング中はプロテクションモードも展開されるように設定いたしました。★★★ 効果的な使い方 ★★★ もちろんそのまま、いつものようにヒーリングとしてお使いくださってもOKです♪ですが、不安、怒り、体調不良などネガティブな感情や状況が起こったときこそ、それらを焼き尽くすイメージで呼んでみてください。ヒーリングとして受けた後の好転反応にも使えます。浄化の炎ですからwそして、白湯をたくさん飲んでいただくとさらに効果的!★★★ ★★★■今後の伝授等のため、ご感想を集めております。受けていただいた方は、何も感じなかった、寝落ちした、でもぜんぜん構いませんので、ぜひひとことでもお願いいたします。※いつもと方式が違いますのでご注意ください※★ヒーリング期間この記事がアップされてから~1月25日(月)朝7時まで (募集期限も同じく)期間中、何度でも好きなだけコールインでお受け取りいただけます。 ※とくに決まった宣言文はありませんが、よいお時間に 「さつきのひかりのヒーリングを受け取ります」と宣言していただければ大丈夫です。 ※REFでは、ヒーリング時間も決まっていません。好きなだけお受け取りいただき、 止めたいときにはそのように宣言、または意図されてください。 ★参加ご希望の方は最初の一回のみ、この記事かmixiの同名記事のコメント欄に、HN(ハンドルネーム)と都道府県、以前さつきのひかりのヒーリングをお受けになったことがある方は、前回のご感想を一緒にお書きください。私もとても嬉しく励みになりますし、書くことでご自身の気づきも深まるかと思います。※他の記事へのコメント・メッセージ等は無効になります。お返事もできませんので、ご注意ください。★ヒーリングの種類新開発いたしました、「レインボー・エナジー・フレイム」をお送りいたします♪★初めましての方は、フリーページをご一読くださいませ^^→→「ヒーリングについて(http://plaza.rakuten.co.jp/satukinohikari/4000)」※よくあるご質問もまとめてあります。ご質問の前にご覧下さいね^^★喉が渇くことがあります。また好転反応が出た場合に楽に流すためにも、白湯などの水分をたくさんとられることをお勧めします。★1円募金や誰かに何かをする、掃除する、ご感想をいただくなど、なにがしかの行動をされるとエネルギーの循環がよくなり、よりヒーリングが効きやすくなります♪★エネルギーやヴィジョンを感じるワークではありません。リラックスして、寝るつもりでゆったりとお布団で受け取ってくださるといいと思います♪★車の運転など、注意力・集中力を必要とする場面では、絶対にヒーリングを受け取らないでください。 眠くなることがありますので、危険です。万一そういう事態になった場合には、「私は今はヒーリングを受け取りません。後ほど布団に入るときに改めて受け取ります」とはっきり宣言してください。★ヒーリングは医療行為ではありませんので、受けたことで怪我や疾患が良くなったり悪くなったりするというものではありません。変化はご自身が望まれたことを後押しするために現れます。ご自身の判断と責任によりお受けくださいね。
2010年01月22日
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銃声とともに、目の前の人物の腕から血飛沫があがる。「ひっ……」リフィアは両手で口を押さえた。初めて眼にした、暗闇にさっと散った小さな赤が生々しい。「ニールス!」賊の一人を取り押さえていたアルディアスが、その男の首に手刀を叩きこんで気絶させ、血を流した部下のもとに駆け寄る。そうしながら銃声のした方角をふりあおぎ、凍てついた瞳で鋭く視線を放った。夜の官舎街に短い雷撃がはしる。濁った悲鳴と銃を取り落とした音がするとともに、別の場所に隠れていた部下が、素早く走り寄って犯人を取り押さえた。「ニールス、大丈夫か」「かすり傷です、アルディアス様」副官の青年は笑ってみせた。血の流れる傷口をハンカチで押さえ身体を半分ひいているのは、なるべくリフィアの目から隠そうという配慮であるらしい。アルディアスは冷静に傷口をあらためた。腕の肉がえぐれているが、幸い骨に異常はないようだ。青年の腕をとって血止めのヒーリングをする藍色の眼が厳しい。部下を傷つけられたアルディアスの怒り。彼の戦闘時の意識と共時することに慣れてきていたリフィアの心も、その怒りと瞬間同調して一瞬で怖れを退けていた。(こんなふうに誰かが傷つくなんて嫌)心底からそんな思いがわきあがる。怪我したのが自分だったらよかったのに。自分ならば、作戦には関係がない。基本、なにも影響がないはずだ。むしろ足手まといなのだから。こんなのは嫌。肉がえぐれたような傷口は直視できないし、ろくな応戦ができるわけでもない。けれども、囮でと最初言われたときはピンときていなかったことが、今なら理解できる。アルディアスがあえて自分を狙わせようとするその意味も目的も、すっかりとリフィアの腑に落ちて冷静に動けるようになっていた。(アルディ、私、わかったわ。何をしたらいいのか)礼を言って去っていくニールスを見送り、きらきらと燃える瞳でリフィアは伝えた。応えるアルディアスの複雑な微笑から、彼がほんとうは狙われるのは自分一人でいい、と思っていることがわかる。けれどもリフィアは、自分だけが官舎にぬくぬくとしているのは嫌だった。彼の隣に。それもできれば、目的を理解した仲間として立っていたい。彼を待つのではなく、ただ護られているのでもなく、同志として隣に。現実には、リフィアは軍属ではあるものの直接戦場に出てゆけるようなスキルはない。だが彼女自身も狙われている今、彼の思惑を理解してその同じ場所に立てるのならば。停滞していた思考が澄みわたり、普段の思考力が戻ってくる。わきあがる強い決意と力を得て、リフィアは銀髪の男を見上げた。アルディアスがふっと微笑み、心持ちはっきりした声で言った。「怖がらせて悪かったね、リン。明後日は公休日だろう? お詫びに二人で買い物にでも行かないか」(だいぶ向こうもなりふり構わなくなってきているからね。このあたりで焙り出したい)「ええ、あんなに怖いのは嫌よ。でももう大丈夫なのなら、アル、あなた私服がなさすぎだもの。私が見立ててあげるわ。それから美味しいものでも食べさせてくださる?」(これでいいのかしら?)「かしこまりました、姫君。それじゃあ、目抜き通りのショッピングモールにでも行こうか。洋服屋も何軒かあるしね」(OK。ご協力感謝)アルディアスは片目をつぶり、リフィアをエスコートして官舎に入った。翌々日、彼らはラフな格好で買い物に出かけた。公共交通機関は使わず、モールの路上駐車スペースに車を入れてのんびりと歩くことにする。最初いつもと同じ軍用コートをひっかけてきたアルディアスに、リフィアは目をすがめた。「ソレ~?」「……すいません。コートはこれしか持ってなくて」(置いていっても大丈夫?)リフィアが心話で聞いてくる。防備や必要な道具について聞いているのだろう。アルディアスは目で軽くうなずいてみせた。「いくら似合ってたって、今日は軍服はだめ。晴れて暖かいから、寒くなかったら車に置いていって」「仰せの通りに」コートを車の座席に置いて歩き出すと、アルディアスは洗いざらしのコットンシャツ一枚という出で立ちだった。本人はそれほど寒くもなさそうではあるが、学生ではあるまいし、とりあえずこの場所でも浮かない格好にさせねばならない。入り口の案内図を見つめるリフィアに、横からアルディアスが声をかけた。「いつも来ているんじゃないのかい?」「殿方と二人で来るのは久しぶりですわよ」単発のプレゼントではなくて、先の使い勝手まで考えて選ぶのは、父親や兄弟達の買い物以外では初めてだ。 置いてある商品は、ちょっとカジュアルかな?と思いつつ、彼女は入り口から数軒目のオーダーシャツの店へと彼を連れて行った。ジャケットがあればと期待していたのだが、既製品では長身のアルディアスには袖が短すぎた。カーディガン風のジップアップセーターはどうでしょうという店員の薦めに従い、黒いアーガイル柄のニットに決定する。片身頃と同じ側の袖にだけ、明るい色で柄が入っているものを選んだ。ポケットがないため、青い格子柄のアングラーシャツをあわせる。釣り人用の機能的なデザインだから、携帯機器も問題なく身につけられる。両方を着せてみてリフィアはとても満足したので、清算したその服に着替えたアルディアスとともに、シャツのオーダーにはまた寄りますね、と言って店を出た。店の脇にあった案内板をもう一度見ながら、このモール内をどういう風に巡りたいのかを確認する。モールと外をつなぐ通路の口を一通り見てまわる感じということで、一番長い距離でぐるっと歩くことになった。途中、ディスプレイに惹かれた店にちょこちょこと寄っていく。自分も一緒に警戒してみたところでたかがしれているから、そのあたりはアルディアスたちに任せて、リフィアは本気で休日のデートを楽しんでいた。 はしゃぎ過ぎも不自然だろうし、羽目を外さないことだけを念頭に入れておく。しかし多少ぎこちなくても怖い思いはしているのだから、アルディアスの側からあまり離れないようにしていてもおかしくはないだろう。彼女はあえて全体の状況は意識せず、いつもの身の丈のことに集中して「楽しい」を満喫した。ゆるんで楽しそうに見えることが囮としても必要だから、それでいいのだ。神殿の門前から東の港までのびる目抜き通りは、六車線ほどもある大通りだ。神殿を背にして右が司法行政部、左が軍本部で、ここが街の中心街になっている。ショッピングモールは行政部の東側に位置しており、庇の長いセミオープンな施設群になっていた。片手にいくつもの紙袋をぶらさげ、腕を組んでゆっくりと彼らは歩いた。荷物をあえて家にも車にも送らずに持ち歩いているのは、相手を油断させるためだ。ひととおり店を回ると、彼らは休日には人気の少ない行政部の路地を通り、神殿の外苑へと歩いた。軍本部には誰かしらが当直しているが、そこからは離れるルートをとる。行政部の味気ない建物が両脇を埋めはじめ、モールの喧騒が完全に途切れようか、という頃合だった。おしゃべりしながら歩く二人の背中に、いきなり硬いものが突きつけられた。「そのまま歩け。次の路地を右に」押し殺した声がする。背後に黒いコートの二人組がぴったりと張りつき、ポケット越しに銃口を押し当てていた。「わかった」短くアルディアスは答えた。腕をまわしてリフィアの背を抱えるようにし、大丈夫だよ、と細く絞った心話を送る。ツインの心話でもあり、これほど近くても彼らに聞かれる心配はまずなかったが、いちおう答えないようにと伝えた。まるでSPを後ろに従えているような格好で街路を歩く。リフィアはどきどきしながらも、隣を歩くアルディアスのオーラが静かに温度を変えてゆくことに気づいていた。細い路地を曲がった瞬間、アルディアスはリフィアを片腕に抱いて時空をジャンプした。もちろん相手も当然テレポートの可能性は考えていて、そうできないように結界を張り巡らせ、万一逃がしてもすぐに追跡できるような態勢を整えていただろう。だが彼らの持つESP追跡機も連れているサイキックも、急に二人の行方を完全に見失ってしまったらしい。見失いようのない狭い路地で、退路を断つべく集まった大人数に動揺が広がっている。その機を逃さず押し包むように、一網打尽に捕らえてゆくアルディアスの部下達。それらの様子をリフィアは足元に見た。空中に浮いている、というのとはちょっと違う。真っ暗な空間に二人はいて、足元に直径一メートルくらいの窓のようなものがあり、そこから外界が見えるのだ。「いわゆる時間の外れた場所なんだよ」アルディアスが言った。オパレッセンスのような白い光が、彼を中心に二人を暖かくとりまいている。「ここを追える探知機はないし、人でもかなりのサイキックでないと無理だろうね。……よし、戻ろうか」逮捕劇がひととおり落ち着いたのを見計らって、二人は現場に戻った。上司の姿を認めたニールスがやってくる。「やりました、アルディアス様。幹部がいました」「ほう、そうか。焦らした甲斐があったな。君の腕のほうはどうだ?」「おかげさまで、もう何ともありません。重ね重ねありがとうございました」ニールスは腕を振り回して見せた。よかった、とアルディアスが微笑む。ほっと和らいだ彼の心を感じて、リフィアの唇にも微笑が浮かんだ。犯人一味が手際よく護送されてゆくのを見送ると、持っていた紙袋をふいと消して、銀髪の男はにっこりと笑った。「さて、それでは姫君、お約束のディナーといきましょうか」------- ◆【銀の月のものがたり】 道案内 ◆【第二部 陽の雫】 目次 リアルでもばたばたカオスな感じになってきました 笑コメレスやメール等、色々滞ったり遅れたりするかもしれませんが、お許しいただけますと幸いです。ご感想ありがとうございます!いつもありがたく拝見させていただいております。なるべくお返事したいのですが、間に合わないときは、物語を書くことでお返事にさせていただければと思います~すみません><心からお待ちしておりますので♪拍手がわりに→webコンテンツ・ファンタジー小説部門に登録してみました♪→銀月物語 第一部登場人物人気投票!! ↑たか1717さんのご協力をいただいて開催中!お一人様何票でも投票できます♪ よろしかったらぜひ~♪
2010年01月21日
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「アルディ、その……狙われてるって……」 冷凍庫に入っていたピザで簡単な夕食をすませ、淹れてもらった紅茶を飲みながら、ようやくリフィアは尋ねた。気づけば夜はとっぷりと暮れている。 「なぜか、はまだ話せないんだ。君が目をつけられたのは、あの爆発事故のときだろうな。私と一緒にテレポートしているのを、何人もが目撃しているはずだから」 心配げな顔で見つめているリフィアに、彼はもう一度微笑んだ。 「大丈夫だよ。さっきも弾は当たらなかったろう? そう簡単には私は殺されない。心配なのは君のほうでね」 「私?」 「ああ。向こうもそろそろ、私を直接狙うより君を狙ったほうが効率がいいと気づくだろう。だけど、離れていては護りきれないからね」 「効率……」 呆けたようにリフィアは繰り返した。 さきほどから、なんと言うのか独特な匂いがしていた。埃のような砂っぽい匂いだ。 ハウスクリーニングは週二回入っているのを知っているから、現実の匂いでないというのはわかる。 アルディアスの背後、なぜか向かって左側に、少し離れて黒々と口をあけている円形の陰りが見えていた。 虚無? と最初リフィアは思った。 しかし話を聞いていて、これは向けられた悪意なのか、と思い直す。埃っぽい匂いは、その陰りから微かに漂ってくるようだった。 その悪意は、銀髪の男には手を出せない。 理屈はわからないけれども、何かが確実にそれとアルディアスの間にあり、遠く遮っているのが感じられる。 その陰りで彼の命が脅かされることはない。 そういう確信があったから、不安というわけではなかった。 けれども、これはリフィアにとって経験のない緊迫状態であり、自分もその中にいるんだと思うと、どうしても固まってしまう。いつもの思考力はどこへやら、まったく発揮できなくなってしまうのだった。 そんな彼女を、アルディアスは優しい眼で見つめた。 「君にも絶対に手は出させないから、安心してていい。おそらく……そうだな、二週間もあれば焙りだせるだろう。彼らも焦りだすだろうからね。 ただ、これ以上周りに累を及ぼさないためには、私たちは囮にならなければならない。……わかってくれるかな」 怖い思いをさせてごめん、と銀髪の男は続けた。 「ううん、大丈夫」 リフィアは首を横に振った。事態はまだよく飲み込めていないけれど、彼が護ってくれるというのだから怖くはない。慣れない状態に思考は固まりっぱなしだったが、そういう意味での怖さも不安も、驚くほど彼女の中にはないのだった。 「軍部ではさすがに向こうも手を出せないからね。この家の中も。だから行き帰りと休日だけだが、解決するまではすべて合わせるようにする。リンが一人の時に狙われたらどうしようもないからね」 「一緒にいてくれるってこと?」 「そう。ふつつかながら、姫君の運転手を務めさせていただきますよ」 おどけてアルディアスは笑った。 夜更け、窓からさしこむ月の光を透かしてリフィアは言った。 「アルディアス、アルディーア、アルディ、アル……ずっと愛してる」 私、あなたみたいに何でもできる人じゃないし、誰かにやってあげられることもあまり無いから。 夢の中で歌うように続ける。 ありがとう、と頬にキスを落とすと、くすぐったそうに身を縮めた。 彼女は知らない。 何でもできるように見えることのすべてよりも、価値あるものがあるということを。 何もできないと思っている彼女のたったひとつが、彼が何より切望していたものだということを。 ……彼女はまだ、知らない。 そして三日後。今度は朝だった。 前の晩、車の調子がおかしくなったために引き取りを手配してあり、今朝は歩いて出勤することになっていた。 早朝に白い息を吐きながら、一緒に並木道を歩く。 空は青く、空気はすがすがしく澄んでいた。ときおり散歩や通勤、ジョギングの人とすれちがう。 これが狙われているなんて理由でなければよかったのに、とリフィアが思ったときだった。 アルディアスが急に長身をひるがえし、リフィアの背後にまわった。 ざっと肌が粟立つ体感がある。 短く円を描いたアルディアスの腕が、次の瞬間にはジョギング姿の男を取り押さえていた。男の手には短刀が握られている。 「どちらを狙えと言われた?」 リフィアが今まで耳にしたことがないような、低く静かな質問の声が聞こえる。彼女の盾になっている広い背中を、氷晶のオーラがとりまいていた。 短刀を取り落とし、うめき声をあげた後、弱弱しく男は答えた。 「お、女だ。女を殺れば地位と金をやると言われた」 「ずいぶんと陳腐な誘いだな。誰に言われた?」 「そ、それは……い、痛てえっ、やめてくれよ」 「誰に言われた」 「……」 男の呟きは、リフィアには聞こえなかった。勢いをつけて男の身体を離すと、低い声でアルディアスは言った。 「では戻って伝えてもらおう。次は違わずに私を狙えと。今度彼女を狙ったら、組織ごと地獄に連れていってやる。わかったか?」 「お、おぼえてろよっ」 芸のない捨て台詞を吐いて男が駆け去っていくと、アルディアスはため息をついた。 物陰から駆け寄ってきたニールスに、足元の短刀を拾い上げて渡す。 「アルディアス様、吐きましたか」 「駄目だな、蜥蜴の尻尾だ。だがとりあえず追ってくれ」 「かしこまりました」 一礼したニールスが、携帯機器でなにごとか連絡を取る。その様子をぽかんと見ているリフィアに目をやり、ニールスがこちらを向いたときを見計らって銀髪の男は二人を紹介した。 「リン、彼が私の副官のニールスだよ。困ったときは彼も頼れるから、覚えておいて。ニールス、リフィア・ルーテウス伍長だ」 二言三言、お互い慌しく挨拶をしたのは状況として仕方がない。通常のブルーグリーンよりも強い色になっている瞳で改めて上司とその連れに一礼すると、鳴り出した携帯機器を耳に当ながら、ニールスは急ぎ足で去っていった。 アルディアスは心配そうにリフィアを振りむいた。 「大丈夫かい、リン?」 「あーええとー。うん」 機械人形のように彼女はうなずいた。緊迫状態になると、かえって思考の抑揚がなくなってしまうようだ。とりあえず取り乱さないように、とそれだけ必死になっているのがよくわかる。 アルディアスは苦笑し、ではいこうか、と細い背をそっと押した。 自分を暗殺しようとする勢力がある。 だいたいの見当もついているが、一網打尽にするにはもう少し証拠を掴まなくてはならない。 といって、自分だけ安全な場所に隠れている気は彼にはなかった。 リフィアを危険な目に遭わせたくはないのだが、やはりしばらくは囮を続ける必要がありそうだった。 ------- ◆【銀の月のものがたり】 道案内 ◆【第二部 陽の雫】 目次 気がついたらけっこう日が空いてしまいました^^;お待たせした甲斐はある・・・かなあ。 ←ちなみに冷凍庫に入ってたピザは、誰かからの貰い物と思われます。自分で買ってまで食べないだろうな、この人は 爆ご感想ぜひぜひお待ちしております♪拍手がわりに→webコンテンツ・ファンタジー小説部門に登録してみました♪→☆ゲリラ開催☆ 1/17~1/19 新春のことほぎと平和への祈り 1/19 火のエレメントの浄化ヒーリング 銀月物語 第一部登場人物人気投票!! ↑たか1717さんのご協力をいただいて開催中!お一人様何票でも投票できます♪ よろしかったらぜひ~♪
2010年01月19日
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遠足三期生さんが中心のコミュ「なにみえ三丁目」主催の、ステーション「なにみえ広場」での1月お誕生会&新年会に参加してきました♪今回は、会場で雪合戦をしたい! ということで降雪機を作って持っていくことに。イベント中はその試運転と調整で忙しくなることが予想されたこともあり、そのお詫びもかねて冒頭で新春の舞と平和への祈りを奉納させていただきました。人はトール@陰陽師バージョンです。陰陽師の過去生のときは、今のところ女性しか覚えてないのですが、その人は男装してて狩衣が普段着だったんですね。元々は、せっかく新春だし和装がいいかな~、でも現代の男物の着物より、狩衣なら着慣れてるし~、舞うのに見栄えがいいだろうし~、というえらい安直な思いつきでそうなったのですが 笑デセルさんに打診したら竜頭琴で伴奏をしてくださるということになり、一気に豪華な感じにそしてイベントでもお祈りも頼まれたこと、震災へのお祈りもしたかったことなどが重なり、ゲリラ開催もしつつの参加となりました。三丁目のイベント前にアルディアスバージョンでの舞いがありましたので、準備段階は残念ながらよく覚えていません。。なにしろ上の人が多いので~~全部はとても把握してないんです^^;でもイベントで舞っているときの背景が白かったから、もう雪は降らせていたのかな??あ、なんか弱く降らせていたかも。風花みたいにひらひら降ってくるのを、若草色の扇で受けたりしてたかも。ってことは屋外だったのかな?? ←おぼろげ衣装はたぶん、白銀を基本にして青っぽい模様が入っているもの。袴も若草色だったかもしれません。かさねの流儀としては斬新だったかもwww髪はどうしてたか、烏帽子をかぶっていたようでもあり、背中で結っていたようでもあり。。よくわかりませんでした。デセルさんの伴奏はとっても素敵でした~♪シンプルで、深みがあって。世界がそこから広がってゆくようでした。最初に、祝詞奏上のような感じで紙を持って何か唱えているところ、それから歌いながらゆっくり舞っているところが見えましたがあれって日本語だったのかなあ・・・。なにか違う、聞いたことのないような言葉だった気もします。被災地に、世界にやさしい暖かい光と安らぎの闇が満ちますように、皆が幸せに、それが循環してゆきますように。そんな祈りだったかと思います。それから次の記憶は雪合戦タイムw基本的には降雪機のそばにいていろいろ調節してました。共同制作のデセルさんと一緒にw空中に浮かせても使えるタイプなのですが、ちょっと下ろしてかがんで調整してるときに背後からルースたんが首の後ろに雪玉を入れてきたような 笑それで「こらw」って笑って、逃げるのへ反撃したら、シュリカン君がなにかでかい雪の塊?みたいのを投げつけてきたとかwwwじぇいど♪さんの日記を読んだら、自動装置のやつだったのかも。笑お誕生日の方におめでとう♪をして、それから中座させていただいたかと思います。ゲリラヒーリング(というか、アルディアスの仕事)の方にエネルギーを回すから申し訳ないけれど、みたいな感じでした。とても楽しかったです。三丁目の皆様、どうもありがとうございました♪拍手がわりに→☆ゲリラ開催☆ 1/17~1/19 新春のことほぎと平和への祈り 1/19 火のエレメントの浄化ヒーリング 銀月物語 第一部登場人物人気投票!! ↑たか1717さんのご協力をいただいて開催中!お一人様何票でも投票できます♪ よろしかったらぜひ~♪
2010年01月18日
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発端は、遠足三期生さんの新年会にご招待いただいて、そこで「新春の舞」を舞うことに決まったことでした。デセルさんに打診したら、竜頭琴での伴奏を御快諾いただいたこともあり、新春らしくトールが狩衣を着て陰陽師バージョンで舞うことにw (←過去生に陰陽師がありますのでそして、その日は奇しくも今日、1月17日。15年になる阪神大震災、先日のハイチの震災へむけて、なにかできないかと考えていたことでもあり、舞の時間を使って、新春のことほぎと平和と幸せへの祈りをさせていただくことになりました。祝詞?のようなものを歌いながら舞っている映像が見えていましたので、そういう形で、参加者の皆様にもその時間中に1分でもいいから祈っていただければとお願いしました。ですが、せっかくですから、ステーションに行けない方にも誰でもご参加いただけるよう、ご招待いただいたイベントとは別に、ゲリラ開催もすることにしました☆上の天使エリアでは、担当が違うのかトール達が直接何かするというのはないようなのですが(お祈りはしますけれども)、アルディアスのほうは、どうやら彼は祈りに関する仕事でも上でしているのか、数日前から何か準備していたんですね。以前、広島への祈りを募集したときも、私の担当部分として光を中継していたのはこの人でした。ですので、今回こちらではアルディアス@陰陽師バージョンが舞わせていただきます♪もちろん源博雅よろしく、デセルさんの伴奏つきwwデセルさん、本体さん、どうもありがとうございます♪♪一応リアルタイムの舞wは今日22時から15分程度としますが、開催期間の最初からずっと同じエネルギーを流していますのでご安心ください。急な思いつきでしたが、阪神大震災の起きた時間に間に合わせたくてこんな時間(現在午前3時)に記事書いてますので^^;……が、楽天はメンテナンス中だったorz一応メール更新で送っておきますので、それが反映されしだい、ということで><ヒーリングを受けながら、1分でも2分でも、ほんの短い時間で構いませんので、肯定的な表現で、ご一緒に平和や幸せを祈っていただけましたら幸いです。祝詞と舞に乗せまして、被災地に世界に届くよう、及ばずながらサポートさせていただきます。光の珠をお持ちの方は、ぜひ活用されてくださいね♪ない方も普通にお祈りしていただければじゅうぶんですので^^たくさんのご参加をお待ちしております。★ヒーリング期間この記事がアップされてから~1月20日(水)日本時間朝6:00まで 1回30分 (募集も同じく)期間中、何度でも好きなだけコールインでお受け取りいただけます。 ※とくに決まった宣言文はありませんが、よいお時間に 「さつきのひかりのヒーリングを受け取ります」と宣言していただければ大丈夫です。 ★参加ご希望の方はこの記事(エラーになってしまう場合、mixiの同名記事)のコメント欄に、HN(ハンドルネーム)と都道府県、以前さつきのひかりのヒーリングをお受けになったことがある方は、前回のご感想を一緒にお書きください。私もとても嬉しく励みになりますし、書くことでご自身の気づきも深まるかと思います。※他の記事へのコメント・メッセージ等は無効になります。お返事もできませんので、ご注意ください。★ヒーリングの種類その時々のテーマとともに、純粋な愛のエネルギーによるヒーリングを、お申し込みいただいたご本人、住んでいる土地、ご先祖さまがた、にお送りいたします。もっともシンプルで、誰にでも入りやすく、心の癒しには一番効くのだそうです。ハートが癒されると、ふんわり開いてご自分にとっていいものがたくさん引き寄せられてきます。キラキラをたくさん引き寄せちゃいましょう♪♪★初めましての方は、フリーページをご一読くださいませ^^→→「ヒーリングについて(http://plaza.rakuten.co.jp/satukinohikari/4000)」※よくあるご質問もまとめてあります。ご質問の前にご覧下さいね^^★喉が渇くことがあります。また好転反応が出た場合に楽に流すためにも、白湯などの水分をとられることをお勧めします。★エネルギーやヴィジョンを感じるワークではありません。リラックスして、寝るつもりでゆったりとお布団で受け取ってくださるといいと思います♪★車の運転など、注意力・集中力を必要とする場面では、絶対にヒーリングを受け取らないでください。 眠くなることがありますので、危険です。万一そういう事態になった場合には、「私は今はヒーリングを受け取りません。後ほど布団に入るときに改めて受け取ります」とはっきり宣言してください。★ヒーリングは医療行為ではありませんので、受けたことで怪我や疾患が良くなったり悪くなったりするというものではありません。変化はご自身が望まれたことを後押しするために現れます。ご自身の判断と責任によりお受けくださいね。
2010年01月16日
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新年の新月企画っていうことでwたか1717さんのFC2ブログの方に投票システムがあったので、やってみようと言う話になりまして、たかさんが投票所を設けてくださいました♪↓こちらです↓銀月物語 第一部登場人物人気投票!! http://elfin285.blog68.fc2.com/blog-entry-212.html 楽天では投票所のタグが貼り付けられないので、お手数ですがリンクで飛んでくださいませ。携帯からだと投票できないのかな??でも、お一人様何票でもできますのでw、お友達に依頼していれてもらうとかもOKです♪朝9時ごろかな? 私も投票してきたのですが、一位はデセルさん(3票)でした。さすがだちなみに緑ちゃん2票、トールとエル・フィンさん、フレママ、マリアが1票ずつw今はどうなってるのかな~ 笑締め切りは1月30日24時、の予定です。ちなみに「銀月物語 第一部」のみですよ~。アルディアスとか書いちゃだめですよwww外伝は7まで・・・かな?「世界樹の夢」のケンタウレア、ファセリア、アキレア、までです。グラディウスとデュークさんはOK♪「Dark Age」は今回はご遠慮ください。って混ぜてもそんな変わらない気もしますが、一応 書いた時期がね 笑↓に目次リンクを貼っておきます。まだ読んでないよって方も、よかったらこれを機会に覗いてみてくださいませ~♪◆◆【銀月物語 第一部 目次】◆◆目次 1目次 2目次 3登場人物紹介(随時更新) ◆◆◆たかさん、ご協力どうもありがとうございます!!皆様ぜひふるってご参加くださいませ~♪ 結果発表が楽しみ~~~ 笑拍手がわりに→1/19 火のエレメントの浄化ヒーリング
2010年01月15日
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土、水ときて、次は火のエレメントです♪これは下から上に向かう流れですね。火はチャクラだと第三になります。天使だといわずと知れたスパルタキング・ミカエル 笑エンジェルリンクではセラフが「無条件の愛の炎」を担当しますが、火は浄化のイメージも強いですね。燃えるもの、輝くもの、燃やすもの。・・・最近寒いのでちょうどいいかもw ←私はこう見えて火の性ですので、いつも以上にのどが渇いたりすることが予想されます。今回のヒーリングを受けてくださる方は、いつもより多めにお白湯などをお飲みくださいね~。夏だったらお水1リットル以上、とか言うところですがこの時期それは冷えますから(^^;お白湯とか番茶推奨ですwwwそれから、寝落ち万歳ですから!寝ちゃって感想かけません、と言ってくださる方がいらっしゃいますが、気持ちよく寝落ちしてくださったら万歳ですのでお気になさらず。エネルギーワークじゃなくてヒーリングですから~。物語を読んでくださってる方は、そちらのご感想をちらっと書いてくださるだけでもかな~り嬉しくてほくほくしますw※今回から、受け取り最終時間を1時間のばしてみました。よろしかったらぽちっとお願いします♪→★リアルタイム日時 2010年1月19日(火) 21:30より1時間(日本時間)★コールイン受け取り可能時間 日本時間で上記日時~1月21日(木) 朝6:30開始までの間の1時間 ※とくに決まった宣言文はありませんが、よいお時間に 「さつきのひかりのヒーリングを受け取ります」と宣言していただければ大丈夫です。 ★募集期限リアルタイム直前(火曜21:30)まで★参加ご希望の方はこの記事(エラーになってしまう場合、mixiの同名記事)のコメント欄に、HN(ハンドルネーム)と都道府県、以前さつきのひかりのヒーリングをお受けになったことがある方は、前回のご感想を一緒にお書きください。私もとても嬉しく励みになりますし、書くことでご自身の気づきも深まるかと思います。※他の記事へのコメント・メッセージ等は無効になります。お返事もできませんので、ご注意ください。★ヒーリングの種類その時々のテーマとともに、純粋な愛のエネルギーによるヒーリングを、お申し込みいただいたご本人、住んでいる土地、ご先祖さまがた、にお送りいたします。もっともシンプルで、誰にでも入りやすく、心の癒しには一番効くのだそうです。ハートが癒されると、ふんわり開いてご自分にとっていいものがたくさん引き寄せられてきます。キラキラをたくさん引き寄せちゃいましょう♪♪★初めましての方は、フリーページをご一読くださいませ^^→→「ヒーリングについて(http://plaza.rakuten.co.jp/satukinohikari/4000)」※よくあるご質問もまとめてあります。ご質問の前にご覧下さいね^^★喉が渇くことがあります。また好転反応が出た場合に楽に流すためにも、白湯などの水分をとられることをお勧めします。★エネルギーやヴィジョンを感じるワークではありません。リラックスして、寝るつもりでゆったりとお布団で受け取ってくださるといいと思います♪★車の運転など、注意力・集中力を必要とする場面では、絶対にヒーリングを受け取らないでください。 眠くなることがありますので、危険です。万一そういう事態になった場合には、「私は今はヒーリングを受け取りません。後ほど布団に入るときに改めて受け取ります」とはっきり宣言してください。★ヒーリングは医療行為ではありませんので、受けたことで怪我や疾患が良くなったり悪くなったりするというものではありません。変化はご自身が望まれたことを後押しするために現れます。ご自身の判断と責任によりお受けくださいね。
2010年01月14日
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机の上の書類を整理し、端末の電源を落としてリフィアは肩をすぼめた。ふっと落として息を吐いてみる。 なんだろう。 仕事中はごまかしていたものの、何かいつまでもそわそわして気分が落ち着かない。 何かが変だ。 なんだろう、この感覚は。 (あんな事故に遭ったせいかしら?) 帰り支度をしながら考えてみたが、埒があかない。迷ったものの、リフィアはそれをアルディアスに伝えてみることにした。 ついでに、昨日自宅に帰ったとき、誰かがさっきまでいたような奇妙な違和感があったことも伝える。 そう感じて部屋のものを見ると、出勤前とは少し位置が変わっているような気もしたのだ。 それも落ち着かない理由だった。 もしかしたら、気のせいだよ、と言われるかもしれないと思っていたが、彼は思いのほか厳しい雰囲気で考え込んでしまった。 (リン、仕事はもう終わりかい?) (え? ええ、そうだけど) (じゃあ、ちょっとこちらに来てくれるかな。帰り支度をして) リフィアが執務室に行くと、人払いがされていて彼はひとりだった。 窓際のソファに並んで座り、もう一度最初からさっきの話をする。 「母か姉妹か従姉妹の誰かきたかな? とも思ったんだけど。でも私が居ないと分かっている時間にわざわざ訪ねてくるなんておかしいし、第一そんな暇な人居ないのよ。みんな仕事や家事やなんかで忙しい人ばかりだから」 「そうか」 言葉少なにうなずくと、アルディアスは目線を落として黙り込んだ。 なにか事情があるらしい、と見守っていると、やがて彼は顔をあげ、ちょっと困ったようにリフィアを見た。 「……リン、実はね、どうやら私は今狙われているんだけど、その累が君に及んでいる可能性がある」 「何ですって?」 「極秘事項に関することだから全部は話せないが、まあちょっとばかり恨まれているのさ。 それだけならよかったんだが……リン、急だけどこれから上司に話を通すから、しばらくうちから出勤するといい。どうせ狙われているなら、近くにいたほうが守りやすい」 リフィアが何も言うことができないうちに、アルディアスは立ち上がって手をさしのべた。 ほとんど条件反射でその手をとった瞬間に、ふっとテレポートの体感がある。 「失礼いたします、元帥閣下」 「おう。そのお嬢さんか」 深々と礼をするアルディアスに続いて、訳もわからぬままリフィアも頭を下げた。何ですって、元帥閣下? 軍の最高責任者じゃないの。 「はい。概略はさきほど心話でご説明したとおりです」 「承知しておるよ。そのように、細部は任せる」 「ありがとうございます。では恐縮ですが失礼を」 「気をつけてな」 アルディアスはもう一度頭を下げると、あっという間に自分の執務室に戻った。 呆然としているリフィアを連れ、彼女の荷物を持って駐車場へ急ぐ。 小走りで彼についてゆきながら、ようやくリフィアは聞いた。 「車で行くの?」 「ああ、私が運転する。君は歩くほうが好きなのは知っているけどね、リン、今は我慢してくれ。先に君の家に寄るから、当座に必要なものだけ持ってきてほしい。替えがきくものはあとで買い足せばいいから」 「は、はい」 アルディアスのオーラが戦場のものに近いことを感じて、リフィアはごくりと唾を飲み込んだ。 彼の周囲に、細かな氷晶がちらちら漂いだしたように見える。ダイヤモンドダストのようなその輝きに、思わずリフィアは見惚れた。 歩いてもそれほど時間のかかる道行きではないから、車ならばあっという間だ。 テラスハウスの玄関前に停めた車から急いで降りようとすると、アルディアスが片手をつかんだ。 「待って。私が開けるから」 そう言って彼は運転席から降り、助手席にまわってドアを開けてくれた。その眼が油断なく周囲に注がれている。 玄関まで来ると、今度は鍵を開ける前に少し待つように言われた。 中の気配を探っていたのかもしれない。五秒ほどののちにうなずかれたので、リフィアはドアをあけた。 出勤前と変わらない、ように見える。 アルディアスがいいと言ったのだから、今は中に誰もいるはずがない。それでもリフィアは心なしかどきどきしながら、旅行用の鞄に着替えと貴重品など入用なものを詰めこんだ。 管理人さんに挨拶もしておかなきゃ、とテラスハウスのすぐ隣の敷地に建っている家にも寄らせてもらう。 エンジンをかけたまま門前に停めた車の外でアルディアスが立って待っている間に、リフィアは急いでインターホンを押した。 玄関を開けて出てきた太った婦人は、リフィアを見ると相好を崩した。幼い頃から見てきた親戚の娘だから、自分の子のように可愛い。 「おばさん、夜にごめんなさい」 「いいのよ。急な出張かなにかなの?」 「ええ、そうなの。准将の長期出張についてゆくことになったから、悪いんだけど家の管理と、実家からの連絡の取次ぎをお願いしたいんです」 「わかりましたよ」 「ありがとう。またこちらから連絡しますから」 婦人は車の横に立つアルディアスを上から下まで眺めると、ぱちんとリフィアにウィンクした。 「しっかりおやりなさいよ、リーファ」 「な、なによおばちゃん、そんなんじゃないったら」 「わかってます、わかってますよ」 婦人はうんうんとうなずき、頼んだわよ、とでもいうようにアルディアスに軽く手を振った。銀髪の男が頭を下げて目礼を返す。それにもう一度うなずいて、婦人は楽しげに声をひそめた。 「おうちにはうまく言っておいてあげるからね。若いっていいわねえ。私もあと二十歳若ければねえ」 「おばちゃん!」 「はいはい。じゃあ年寄りは消えることにしますよ。身体には気をつけてね」 リフィアを軽くハグして、何かを誤解したまま、婦人は笑いながら家に帰っていった。 「まったく、おばちゃんたら何を誤解してるのかしら」 車に戻ってからも、リフィアはしばらくぶつぶつ言っていた。そういう場合ではないような気もするのだが、慌しく色々決まってなかば呆然としているため、なにか実感がわかない。 官舎の駐車スペースに車を入れ、アルディアスがドアを開けたときにそれは起こった。 パアン、と音が聞こえたと思ったのは気のせいだったのだろうか。 一瞬の光、そして巻き起こった風に長い銀髪がぱっと広がり、リフィアは助手席で息を呑んだ。 シールドで銃弾を阻止したアルディアスが顔をあげる。その表情は完全に戦場のものだった。厳しい眼をして立ち上がり、きっと弾の飛んできた方角を見やる。 目線を固定したままポケットから携帯機器を取り出すと、口早になにか伝えた。 遠い陰の中でなにかやりあう気配がして、やがて静かになる。 しばらく経ってから、アルディアスは助手席のドアを開けた。 「アルディ、あれは……狙われているって……」 官舎の玄関をくぐり、ほっと息をついてから呟くようにリフィアは言った。実際に銃弾が飛んできてはじめて、事の重大さが身に染みる。 しかしアルディアスは微笑んだ。 「ああ。ちょっとやそっとじゃ当たらないから大丈夫。そんなところに突っ立ってないで、早くおはいり。寝るだけの場所だから殺風景で申し訳ないけど、お茶くらいは出せるよ」 「あ、ああ、ええ」 「この家には何重にも結界を張ってあるから安全だ。中で話せることは話すから」 キッチンで湯をわかしはじめたらしいアルディアスに答えながら、リフィアは今更ながら気がついていた。 ここに入るのは彼の引越し後初めてだ、ということに。 <Lifia - raid・illustration -> リフィアさんhttp://blog.goo.ne.jp/hadaly2501/e/806c32e65b2998febbcb588d1fdc6f4a------- ◆【銀の月のものがたり】 道案内 ◆【第二部 陽の雫】 目次 ・・・と、いうわけで狙われたりしてました~。ご感想いつでも大募集中です♪ よろしくお願いいたします♪拍手がわりに→webコンテンツ・ファンタジー小説部門に登録してみました♪→
2010年01月13日
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火災現場から軍用車で一度指令本部に戻り、放り出してきた仕事と事故の処理にあたる。幸い類焼のわりに死者はいなかったが、行きがかり上救援活動の指揮を続けたので、アルディアスの仕事は倍になった。リフィアはリフィアで状況の聞き取りや調書への協力と忙しい時間をとられ、ゆっくりする間もない。ようやく二人ともに仕事から解放されたときには、すでに外は真っ暗だった。コートに袖を通しながら、まっすぐ帰るかいと尋ねたら、彼女はこくりとうなずいた。軍で借りた車のステアリングを握ってテラスハウスまで送り届ける。玄関の鍵をあけて灯りをつけると、リフィアはほっと息をついた。慌しい一日がようやく落ち着く気がするのだろう。しかし彼女はしばらくたたきに視線を落とし、それからすがるようにアルディアスを見た。(……あの。疲れているの、わかっているんだけど。……一緒に、いてくれない?)(いいよ)アルディアスは微笑んだ。不安げにすぼめられていた細い肩から、ほっと力が抜ける。炎も非常事態も慣れているといえる軍人の彼と違い、リフィアには今日の出来事はさぞショックだったろう。そばにいることで支えられるなら、いくらでもそうしてやりたいと思う。「ちょっと待っててね」申し訳なさそうに彼女は言った。ダイニングテーブルに肘をついて目頭を揉むようにしていたアルディアスの前に、湯気のたつ飲み物のカップが置かれる。キッチンではオーブンが動き出す音が聞こえていた。「いや、大丈夫だよ」顔をあげて微笑んでみせる。すぐに食事を出せないことを気に病んでいるらしい。今はどちらにせよ重い食事はしたくないから、気にしなくていいのに。野菜煮込みとフルーツのサラダは十分に美味しかったけれど、リフィアはずっとどこか申し訳なさそうだった。食後にやわらかな香りのお茶を淹れてくれながら、彼女は謝ってきた。「とても疲れているの、わかってるんだけど……ごめんなさい」「だから気にしなくていいよ、リン」「リビングで悪いけど、ソファベッドはあるの。用意するから座ってて。アルディには少し小さいかもしれないけど」彼女はアルディアスの上着を受け取って洋服かけに吊るし、厚手の毛布を持ってきて生成り色のソファベッドに広げた。「ん~」それを眺めつつ、アルディアスは大きく伸びをする。通常レベルのサイキックの場合、テレポートは自分とせいぜい他にあと一人、くらいが普通だ。アルディアスは自分を含めて三人まではほとんど疲れなく移動できるが、対象の人間が一人増えるごとに、負担は加速度的に増える。現場でリフィアに言った通り、四人と赤子一人は彼にとっても新記録だった。いつか戦場で古代魔法を使い、サイキック・オーバーを申請したときのような重い疲れが溜まっている。しかし今回は休暇を申請することもできず、事故処理を含めた仕事をほとんど気合だけで乗り切らねばならなかった。長身で肩幅もあるものの細身のアルディアスは、その銀髪と柔らかな雰囲気もあいまって優男に見られることが多い。実際彼を知らぬ人には女のようだと陰口を叩かれることもあるし、例の暴行集団などに物陰で襲われかけたことも一度ならずある。とはいえ見かけよりずっとタフで武術にも優れている彼は、めったに倒れもしなければ、襲った者は返り討ちにあって二度とその気をなくしているのだが。けれどもリフィアはまだそこまで知らない。ソファベッドの用意を終えると、彼の背を押しながら言った。「あの。横になってていいの。私も少ししたら部屋へ戻るから」それまでちょっとだけここに居たい。少し強引に彼を先に横にならせ、ラグに座って見つめてくる。その瞳を断れるわけもなく、素直に従ってわかったよとアルディアスは苦笑した。さすがに眠くはあるけれども、この状況では彼女が心配だな。そう思っていたら、先に隣からすやすやと寝息が聞こえてきた。座ったら気が抜けたのだろう、どうやらあっという間に寝入ってしまったようだ。銀髪の男はくすりと笑うと、毛布をはずし彼女が寄りかかっているソファを揺らさないように静かに身体を起こした。起こさないように気をつけて、細い身体をそっと抱き上げる。やわらかな琥珀色の髪の生え際に軽く唇を落として、自分が横になっていたソファベッドに寝かせ、毛布をかけた。足音を忍ばせて、洋服かけからコートと上着をとってくる。部屋を暖めてあるからそう寒くはないだろうが、明け方になるとさすがに冷えるだろう。毛布の上から大きな上着を彼女の身体にかけて、自分はコートにくるまりソファによりかかった。作戦中はもっと不自由な状態で眠ることもあるし、短時間の睡眠で熟睡するような訓練も積んでいる。これくらいは何ということもない。かすかに聞こえるすこやかな寝息とあどけない寝顔。不安な一日のあと、隣で安らいで眠ってもらえるというのは、言葉にならない満足感を彼にもたらした。この信頼を裏切ることなく、彼女を護りたいと思う。疲れた身体を暖かなものが満たし、彼もまたすぐに深い眠りに落ちた。翌朝、リフィアが慌てて起き上がったらしいソファの揺れで目を覚ます。「おはよう。よく寝てたね」アルディアスが笑うと、彼女はぱっと顔を赤らめた。「寝られなかったでしょ?」「いや、歩哨はできなかったよ」にこにこという。気持ちが満足してぐっすり眠ったから、これは本当だった。戦場なら二時間交代で見張りをしたりするが、その必要もなく数時間は熟睡した。「作戦中に比べたら、このくらい何でもないよ。……水を一杯、もらえるかな?」背筋を伸ばしてほうっと息をつく。サイキックの使いすぎによる頭の芯の重さはどうしようもないが、一晩でかなり回復はしていた。そろそろいつもの起床時間だ。「この後どうするの?」「一度戻って身支度して、それから出勤するよ」キッチンで水を汲んでくれている彼女に声を投げる。「それだと急いで支度しても朝食は間に合わないわ……ごめんなさい」「だから気にしないでいいというのに」昨日から何度目かの言葉に片手をのばして金茶の髪を撫でながら、アルディアスはコップの水を受け取った。「今はあまり食べたくないから。でも、リンまで付き合わなくていいよ。食欲があるならちゃんと食べなさい」冷たい水を飲み干してそう念押しする。それから彼女の時間を無駄にしないよう、彼は素早く上着を羽織ると、軽い感触をリフィアの唇に残して春風のように立ち去った。<Lifia - Sleeping with you -> リフィアさんhttp://blog.goo.ne.jp/hadaly2501/e/0b233ff1393e049df3a9a9f003efced7------- ◆【銀の月のものがたり】 道案内 ◆【第二部 陽の雫】 目次 見かけによらずタフ、は今でもよく言われますが、このあたりに理由があったのでしょうか 笑鍛錬しておくものですねえ・・・(しみじみでも今生はさぼりまくりなので、もっとしっかりしなきゃご感想なんでもよろしくお願いします~♪拍手がわりに→webコンテンツ・ファンタジー小説部門に登録してみました♪→1/12 水のエレメントの浄化ヒーリング
2010年01月12日
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どおん、と火柱が吹き上がった。 放射状に道の延びる交差広場にいたリフィアは、思わず音のしたほうを振り返った。 路上駐車場のあるあたりだ、と思ったそばから、どおん、どおん、という腹に響く音が立て続けに起こる。なにかが停めてあった車に引火爆発しているらしい。 いくつもの悲鳴が聞こえ、それが津波のようにリフィアのほうに近づいてきた。口々になにか叫びながら、立ち尽くす彼女の脇を駆け抜けてゆく。 道の脇の排水溝から炎が吹き上がった。 そもそもの理由が単純な生活用の気体燃料漏れで、地下に溜まったそれがすでに排水路を伝って広がっており、さらに火を噴きながら水路を流れ下っていたと知ったのは、ずいぶん後になってからだ。 そのときはただ、地中から炎の壁が躍り上がって迫り来るようにしか見えなかった。 (うわちょっとどうするの? 私) 押し寄せる炎の舌を見つめながらリフィアは思った。アルディアスを呼ぶ? いいえ、ひとりで大丈夫。なんとかなる。 どこへ逃げたらいいかしら。 リフィアは冷静なつもりだった。しかし赤く燃えあがる炎はすでに彼女から七、八歩の距離に迫っており、数秒後には炎に包まれる位置に自分が立ち尽くしていることに、はたして気がついていたかどうか。 逃げなきゃね。そう思うリフィアの視界を、踊るようにゆらめく明るさが埋め尽くしている。 それがふいに暗くなった。 「リフィア!」 すでに聞きなれた声がしたと思うと、彼女の身体は炎の海から一瞬でかっ攫われていた。 いや、頬が押しつけられている布地の肌慣れた感触と、急にヒヤリと変わった空気で、さっきまでの場所と違うところに彼によって連れ出されたのだ、ということはわかった。 近く遠くに騒ぎの音が聞こえる。 だが音は建物にこだましているのか、距離がつかめない。 リフィアは自分が一体どこにいるのか、どうして今アルディアスに抱きしめられているのか、あの炎の壁がどうなったのか、まったくわからずに混乱した。 自分を抱えている力強い腕を感じ、そこから視線を上にたどってゆくと、長い銀髪とめずらしく怒りをうかべた藍色の瞳があった。 「リフィア、何をやってる。もう少しで炎にまかれるところだったんだぞ!」 肩を掴まれ、いつになく険しい眼差しと口調できつく告げられたけれど意味が分からない。 リフィアは焦点のぼんやりした眼でまばたきをしただけだった。何が起こったのかがよくわかっていない。 アルディアスは目をすがめ、少し気を和らげて、仕方がないというように細い肩を離した。 「……まあいい、話は後だ。炎に巻かれている人が後二、三人いたようだから、助けに行ってくる。君はここにいて」 言い含めて身を翻そうとした途端、なにかがくいとひっかかって彼の動きを止めた。 見ればリフィアの手が、しっかりと彼の服をつかんでいる。 「リフィ……」 離して、と言いかけてアルディアスは口をつぐんだ。 上着の裾をつかむ華奢な両手が、白くなるほどに握り締められて、かたかたと細かく震えている。 いっぱいに見開かれた黄緑の瞳からは、今にも涙があふれそうだった。 置いてきぼりは、それだけは絶対にいや。 言葉にならない想いが流れこむ。 アルディアスはふっと苦笑すると、羽織っていた軍用コートを広げて震える体を包んだ。ここで言い争いをしている場合ではない。 「いいよ、じゃあ一緒に行こう。そのかわり、しっかりつかまってるんだ。いいね?」 こくんとリフィアがうなずく。銀髪の男は、片腕に彼女を抱えたまま炎の中にテレポートで戻った。 アルディアスのシールドと、難燃性の軍用コートの生地を通してさえ、ぐわっと熱い空気がリフィアを包む。 彼女は目をしばたたき、抱きつく腕にいっそう力をこめた。 足元に倒れている男性がいる。 アルディアスが空いた片手でその人を抱え上げ、またジャンプした。 自分の体重が一瞬軽くなり、また重くなって、思わず閉じた瞼にひんやりした空気が触れる。 「現場に倒れていた。すぐ病院に連れて行ってくれ」 救急隊に向かって説明する声。「はっ、フェロウ准将」という声がしたのは、軍の救急隊も出動しているからなのだろう。 生存者がまだいそうだ、という話を聞いて、アルディアスが小さな声で問いかけてくる。 「リン、大丈夫かい? どこかへ座る?」 リフィアは包まれているコートの中でこくりとうなずき、それから強く首を横に振った。上着を握る指に力をこめる。一人で置いていかれるなんて考えられない。 わかった、ではいくよ、と伝えられると同時に、また体重と体感温度の変化が起こった。 「二人か……」 アルディアスの呟きに、コートの陰から目を覗かせる。踊り狂う炎の中、足元に若い夫婦が倒れていた。煙にまかれたのか、寄り添うような姿勢で目を閉じている。 燃えあがる炎のはぜる音と耳を打つ風の音。そこにかすかな泣き声を聞いた気がして、リフィアは耳をそばだてた。 サイキックの力も使ってアルディアスが二人を抱えあげると、その下から弱弱しく泣いている赤ん坊がでてきた。両親の護った空間にいたから、気絶しないで済んでいたらしい。 リフィアは思わずしゃがみこみ、その子を両手で抱き上げた。煤にもほとんど汚れていない小さな体が柔らかい。 アルディアスは赤子を抱いたリフィアを元通りにコートで包み、まわした腕で倒れていた男の腕を、空いた手で女の身体を抱え込んだ。 目を閉じて大きく息を吐き、吸い、そして飛ぶ。 今度の着地は、さきほどのようにスムーズにはいかなかった。わずかによろめいて、なんとか踏みとどまる。 救急隊の前に急に現れた人影に、周囲の野次馬がどよめいた。 「フェロウ准将、お疲れ様です」 「一番奥に倒れていたご夫婦だ。それから」 男女を救急隊の担架に任せ、コートをひろげる。リフィアは一歩踏み出して、胸に抱いていた赤子を隊員に渡した。するといきなり違う場所に出たからか、抱き取られた赤子が急に泣き出した。 その元気な声に、周囲から安堵のため息と拍手が起こる。 サイレンを鳴らして救急車が走り去ると、アルディアスは近くのベンチに座り込んだ。 膝の上に両肘をつき、ぐったりと頭を落とす。 「准将、大丈夫ですか」 野次馬を抑えるため、現場に立っている兵士が心配そうに声をかけてきた。数人を一度にテレポートさせることがどれほどの負担になるか、サイキック能力を持つものなら想像がつく。通常レベルのサイキックならば、自分とあと一人がいいところなのだ。 「ああ。事態が落ち着いてからでいい、車を一台まわしてもらえるかな」 「かしこまりました」 兵士が行ってしまうと、リフィアは心配げに軍服の肩に手をあてた。まだいつもの思考力が戻ったわけではなく、ほとんど反射的な行動だった。 彼女にはサイキック能力はないが、普通に抱えるのだってあの人数では無理だというのはわかる。 (大丈夫?) (一度に四人と赤ちゃん一人、は新記録だね) アルディアスは笑ってみせた。さすがにもう飛んでは帰れない。 (リン、どこにも怪我はないね?) (ええ……と思うわ) (……よかった) 呟くように言って、細い肩を抱き寄せる。 リフィアの危機を感知して無我夢中でやってきたが、無事で本当によかった。 彼女になにかあったらと思うとぞっとする。 アルディアスはほっと息をついた。 が、次の瞬間彼の目が鋭くなった。 ベンチの背後にある植え込みの向こうに、群集をさえぎるためのテープが張られているから、丸見えで注目の的になるようなことはない。 それでもいくばくかの視線が送られていることが感じられていたが、その中に看過しえない感触のものがあった。 戦場ではありふれた、刃のような鉄臭さ。 殺気。 通り過ぎたそれは一瞬で、今ここで襲ってくる気はないらしい。 だがそれが確実にアルディアスに向けられていたのは間違いなかった。 知らず、リフィアを抱く腕に力がこもる。 (く、苦しい、アルディ) 強靭な胸に押しつけられてリフィアがもがく。事故の実感はまだなさそうだが、思考がだいぶ戻ってきているようではあった。 「あ……ごめん」 慌てて腕の力を抜いて謝ったとき、ちょうど一台の乗用車が彼らの前に停まった。 ------- ◆【銀の月のものがたり】 道案内 ◆【第二部 陽の雫】 目次 というわけで新たな展開に入るw いやこれ過去にあった話なわけですが、物語としてちゃんと山があるのが不思議でしょうがない・・・ どこから計算してたんでしょうかねえ。ぷろぢゅーさー様は。。 ご感想大大大募集中です♪ ぜひ何でも語ってくださいませ♪♪拍手がわりに→webコンテンツ・ファンタジー小説部門に登録してみました♪→1/12 水のエレメントの浄化ヒーリング
2010年01月11日
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「アルディアス……アルディーア、アルディ、アル」 冬の日、噴水を眺められる公園のベンチに座って、リフィアは歌うように指を折った。なんとなく音律がいい。 二人の休みが合った貴重な一日だったけれど、彼は早朝に会議が入ってしまい、少し遅れると連絡があった。 ゆっくりしていてもよかったのだが、せっかく天気もよかったので、リフィアは当初の予定通りに家を出て神殿の外苑にきていた。 風もそれほど冷たくはなく、日だまりのベンチはぽかぽかとして心地いい。 (アルディアス、アルディーア、アルディ、アル) (なんだい、それ。活用?) 心の中でもう一度歌っていたら、聞こえてしまったらしい。目をあげると、アルディアスが銀髪をなびかせてこちらへ走ってくるところだった。 (愛称。どれがいい?) (どれでも。君の好きなのでいいよ) リフィアの隣に来ると、彼はまず遅れたことと、軍服のままであることを詫びた。 パーティから二ヶ月以上が経とうとしているが、リフィアはまだ彼の私服を見たことがない。二人の休みが合うのがそもそも月に一度くらいしかない上に、将官であるアルディアスはさまざまな軍務に引っ張り出されることが多かった。 軍人である以上、上の命令には逆らえない。 それはわかっているけれども、リフィアはできれば私服でいてほしいと思っていた。 (ごめん。せっかく会える日だったのに) わずかに眉根をよせたリフィアを見て、申し訳なさそうにアルディアスは言った。 (ううん、違うの。怒ってるんじゃないのよ。そうじゃなくて) すまなげな表情の唇に指先で触れ、それを一瞬塞いでからまた彼を見つめる位置に顔を戻して、リフィアは首を横に振ってみせた。見た目程度の話なら、結局軍服だって似合うから困るのだ。そうではなくて。 (軍服は職務遂行中であることを表すでしょう? どうしてもそうなるでしょう。せっかくのあなたのお休みなのに) たまの休みくらい、軍人でも神職でもない、ただのアルディアスである時間を持ってほしい。 どちらの役割からも解放された時間を、今だけでいいから味わってもらいたい。 そう彼女は思う。 普段は役割に沿った大きな責任を、否応もなく負わされているのだから。 そして一度持ったそれを投げようとはしない人なのだから。 「……ありがとう」 声に出してアルディアスは言った。いままでそう言ってくれた人はいない。皆が当たり前のように、軍人の、あるいは神職のアルディアスを見ていた。 それが普通だと思っていたし、嫌だったわけではない、が。 「すごいね、君は。リフィア……リフィアン」 「リフィアン?」 「古い言葉で生命って意味だよ。あとは……リン?」 微笑みかけてくる瞳にむかい、鈴の音みたいね、とリフィアは笑った。 (ねえアルディ。”…………”?) 不意に彼女が伝えてきた言葉になりきれない言葉に、アルディアスは息を呑んだ。 藍色の瞳を瞠って彼女を見やる。リフィアは自分とアルディアスの内側を探るような目をしながら、もう一度同じ言葉を彼に伝えた。 (急に浮かんだのよ。聞き覚え、ある?) (あるもなにも……それは私の真名のひとつだよ) 今度はリフィアが驚く番だった。 魂を持つ存在はみな、通常使う名前のほかに、存在そのものを表す真名を持つ。それはある種呪文の言葉でもあり、魂レベルでの契約を交わすなどでなければ、他人には教えないのが普通だ。 アルディアスの領域に勝手に踏み込んでしまったような気がして、リフィアは謝った。 (まあ……ごめんなさい) (いや、君には教えようと思っていたから) (でも) (じゃあお返しだ。”…………”、違う?) (……当たり) これでお互いさまだね、とアルディアスは笑った。 (私はあなた相手しかわからないけど。あなたは人の真名まで見えるの?) (まさか。真名が見えたのはさすがに初めてだよ。普通は見ようとも思わないけどね) アルディアスはベンチの背によりかかり、ゆったりと脚を組んだ。 静かな公園で、池のオブジェから噴きあがる水が陽を受けてきらきらと光る。 せかされない、やわらかな沈黙が冬日とともに二人を包んだ。 軍服の彼。禊用の神官服の彼。リフィアが会ったことがあるのはそれだけだ。 リフィアはサイキッカーではない。アルディアスの傍にいれば、増幅されて顕在化する能力があるようだが、だからといって誰にでも効果があるものでもなかった。 深い心話も読み取りも、基本、アルディアスに対してだけのものだった。 彼の事のように他の人も同じように読めるのかというと、勘がいい程度にいきなり落ちる。 家族や親族だと、もう一歩踏み込めるかな、という程度だ。 それがツインというものだからなのか、それともなにか他の理由があるのか、リフィアは知らない。 けれども彼女にはひとつ、見えているものがあった。 いや、知っていると言ったほうが正しいのかもしれない、これは。 「あれが真名なのなら。……私、あなたの正体を知ってるんだわ、アルディ」 「正体を?」 「ええ。戦場から帰ってきたあなたを見たとき、凍った光みたいだと思ったわ。あなたの周りだけ冴え冴えと冷たくて、そのくせ燃え立つようで。 その熱さと冷たさを、あなたはいつも抱えているのでしょう? ばらばらになりそうな両極の中に、いつも立っているのでしょう?」 熱くても凍っていても、負う傷は同じはず。 ただそれがおそらくは隠れているだけなのだ。 「リン……」 「そうよ。私は知っているの。あなたが誰かを。 どんなにばらばらになっても、どんなに傷ついて迷子になっても、アルディ、私があなたを見つけてあげる」 ペリドットの二つの太陽が、明るくアルディアスを照らし出す。 彼の抱える宵闇の暗さにも、微塵もゆらぐことなく。 アルディアスは思わず両腕を伸ばし、隣に座る華奢な体を抱きしめた。 「……リフィアン……」 なにかが収束してゆく。 永遠にばらけてゆきそうだったなにかが、この腕の中の一点に集まり、ひとつにまとまってゆく。 彼がただ彼で在れるように。 <Lifia - Collect a piece of the wind -> リフィアさんhttp://blog.goo.ne.jp/hadaly2501/e/7906e9b4e2e92b40bc4017395b1f38b6------- ◆【銀の月のものがたり】 道案内 ◆【第二部 陽の雫】 目次 ご感想いつでも大大大募集中です!大喜びしますので、ぜひお気軽にコメントしてください♪拍手がわりに→webコンテンツ・ファンタジー小説部門に登録してみました♪→1/12 水のエレメントの浄化ヒーリング
2010年01月08日
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昨日の【冬空】をアップしましたら、コメントで「アルディアス様って鈍いんですかっ?!」と怒られてしまいました 笑・・・いや、鈍くはないそうです、リフィアさんによると^^;というわけで、こっそり加筆してありますので昨日じれじれして悶絶した方は読み直してみると何かあるかもしれません 爆本体的にはデフォルトすぎるのと(だってあの人たち・爆)、こっぱずかしいのでつい省いてしまったのですが、読者様には不親切でしたよねえ。。すみません。これからはちょっぴり改心します。 ←ヴェール人って・・・愛情表現は今の地球で言うと欧米だと思うな。フランスとか。たぶん。日本人じゃないのは確かです 爆で(強引)、次のヒーリングは水のエレメントです~タロットではカップ、愛情や受容をあらわしますね。上で言ってた小説の内容と、リンクしているようなないような 笑天使だとガブリエルさんかな。地のエレメントに続き、お楽しみいただけたら幸いです♪よろしかったらぽちっとお願いします♪→★リアルタイム日時 2010年1月12日(火) 21:30より1時間(日本時間)★コールイン受け取り可能時間 日本時間で上記日時~1月14日(木) 朝5:30開始までの間の1時間 ※とくに決まった宣言文はありませんが、よいお時間に 「さつきのひかりのヒーリングを受け取ります」と宣言していただければ大丈夫です。 ★募集期限リアルタイム直前(火曜21:30)まで★参加ご希望の方はこの記事(エラーになってしまう場合、mixiの同名記事)のコメント欄に、HN(ハンドルネーム)と都道府県、以前さつきのひかりのヒーリングをお受けになったことがある方は、前回のご感想を一緒にお書きください。私もとても嬉しく励みになりますし、書くことでご自身の気づきも深まるかと思います。※他の記事へのコメント・メッセージ等は無効になります。お返事もできませんので、ご注意ください。★ヒーリングの種類その時々のテーマとともに、純粋な愛のエネルギーによるヒーリングを、お申し込みいただいたご本人、住んでいる土地、ご先祖さまがた、にお送りいたします。もっともシンプルで、誰にでも入りやすく、心の癒しには一番効くのだそうです。ハートが癒されると、ふんわり開いてご自分にとっていいものがたくさん引き寄せられてきます。キラキラをたくさん引き寄せちゃいましょう♪♪★初めましての方は、フリーページをご一読くださいませ^^→→「ヒーリングについて(http://plaza.rakuten.co.jp/satukinohikari/4000)」※よくあるご質問もまとめてあります。ご質問の前にご覧下さいね^^★喉が渇くことがあります。また好転反応が出た場合に楽に流すためにも、白湯などの水分をとられることをお勧めします。★エネルギーやヴィジョンを感じるワークではありません。リラックスして、寝るつもりでゆったりとお布団で受け取ってくださるといいと思います♪★車の運転など、注意力・集中力を必要とする場面では、絶対にヒーリングを受け取らないでください。 眠くなることがありますので、危険です。万一そういう事態になった場合には、「私は今はヒーリングを受け取りません。後ほど布団に入るときに改めて受け取ります」とはっきり宣言してください。★ヒーリングは医療行為ではありませんので、受けたことで怪我や疾患が良くなったり悪くなったりするというものではありません。変化はご自身が望まれたことを後押しするために現れます。ご自身の判断と責任によりお受けくださいね。
2010年01月07日
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心話にはすぐに慣れた。 アルディアスは到達領域がとても広い。こんな場所から届くのかしらと思うような距離でも、彼はリフィアの声をすべて拾ってくれた。 それが普通だと思っていたから、ツインだからといってどこでも声が届くというわけではないと知ったのは、かなり後になってからだ。 とはいえ二人とも仕事が忙しいから、心話は主に朝や夜に行われた。日中は仕事を優先して、細切れ時間が合えば、という感じだ。 アルディアスが中央に呼び戻されて同じ基地内勤務になったため、廊下ですれ違う程度ならば仕事中のほうが頻繁に会える。 (私、今日は残業だわ) 仕事の区切りにお茶を飲みながらの夕方、リフィアは呟いた。離れた司令部にいるはずのアルディアスから、すぐに返事がやってくる。 (そう。何時ごろ終わりそうだい?) (そうね……このままいけば21時頃かしら。あなたは?) (いつもの通り。家まで送るから、終わったら知らせて) (ありがとう) リフィアは持っていたマグで口元を隠すようにしながら微笑んだ。二人で会える時間は限られていて、ちょっとしたことがとても貴重だった。 アルディアスはたいてい夜遅いから、職務後にどこかでお茶を飲んだり食事する、なんてこともめったにできない。リフィアが残業のときにテラスハウスまで送ってもらうのは、むしろ嬉しい出来事のひとつだった。 仕事を終えた夜、街路樹の下を歩く二人を街灯と遠い星の光が照らしている。一人のときはバスやタクシーを使うこともあるが、アルディアスと一緒にいれば怖いことはないから、リフィアは時間のとれる歩きのほうが好きだった。 方向もほぼ一緒で、基地からアルディアスの官舎に向かう道を途中で右に折れ、少しゆくとリフィアの家になる。 寒空の下、腕を組んで二人は歩いていた。歩調がゆっくりなのは、早く家についてしまうのがもったいない気がするからだった。 とりとめのない会話の狭間で、そういえばね、と何かを思い出したようにアルディアスが笑う。 「同僚に聞かれたよ。『お前達つきあってるのか? いつ告白したんだ?』って。それが、何人もにこっそり聞かれるんだ。あれは賭けの対象にでもしてるな、きっと」 「賭け?」 「たぶんね」 賭けられていることに賭けてもいいくらいだ、と広い肩をすくめてみせる。 リフィアはくすくす笑った。 「でもそれ、答えようがないのじゃない? いつからなんて、私達にもわからないのに」 「うん、だから正直に、わからない、と答えておいたよ。きっと今頃彼らは頭を抱えているだろうな」 アルディアスはいたずらっぽい目をした。 とくに告白した、された、という瞬間はないと思う。 けれど一緒にいるのが自然だった。 いつのまにか、という表現がぴったりだ。 けれどなかなか会ったり端末で話す時間がとれないこともあり、ほとんどの会話は結局心話になってしまう。 基地内で実際に会って話すのは、せいぜい数分の立ち話程度だ。支援係として不自然ともいえないし、周りから見るとどうなっているやら、気になるところなのだろう。 「皆、自分以外をネタにするのは好きだものね。それだけ、あなたが皆に愛されてるってことだけど」 「君は何も言われない?」 「言われるわ。あなたの官舎の家具選びなんか、大変だったのよ」 リフィアは高い位置にあるアルディアスの顔を振り仰いだ。彼女の身長は平均くらいだが、長身の彼と並ぶと視線はちょうど胸あたりになる。 「…身内びいきは、良くないかなと思ったんだけど。 伯父様のファニチャーショップは、センスが良くて確かな物が多いから、そこで一括して揃えればいいわ~って思って、他のカタログは全部、見たいっていう人達に渡しちゃったのね」 すると、同僚達はきゃいきゃい騒ぎながら勝手にいくつもプランを組んでくれたのだ。 まさに夢見る乙女が選びました、という感じの、可愛らしくて癒されそうだけれど実用性がなさそうなもの。 センスは悪くないけれど、色が奇抜にすぎて落ち着かなさげなもの。 いっそのことノーコメントを通したくなるようなもの。 「みんな、自分のためには絶対選ばないようなプランニングしてくるんだから、新居の参考にしてとかって。私も遊ばれてるわ」 リフィアは大仰にため息をついた。 「新居?」 「そうよ。だってあの人たち……」 言いさしてリフィアは口をつぐんだ。 実際に彼を前にして、それまでからかいの言葉でしかなかった「新居」の意味がやけにリアルに感じられる。ぱっと顔を赤らめて彼女はうつむいた。 息が白くなるほど寒い冬の夜なのに、ほてった頬が熱い。 二人はなんとなく沈黙を続けたまま、プラタナスの並木道を歩いた。 テラスハウスの玄関内でしばし影を重ねたあと、おやすみ、とアルディアスは微笑んだ。 ひとり道を引き返しながら振り返ると、玄関の灯りを逆光にいつまでもリフィアがたたずんでいるのが見える。 (早く入らないと、冷えるよ) (わかってるけど) 答えてリフィアはドアを閉めると、今度はリビングの灯りをつけ、いそいで正面の窓のカーテンを開けた。南側に回り込んでいる道を歩く彼を見つけて手を振る。 手を振り返した長身の人の銀髪が完全に闇に溶けるまで、リフィアはずっと見送っていた。 ------- ◆【銀の月のものがたり】 道案内 ◆【第二部 陽の雫】 目次 ご感想コメントで、「次はプロポーズのお話でしょうかっ」と鼻息荒いのをいただいたのですがw・・・すいません、そうは問屋が卸してくれなかったり(爆なにしろ付き合うまでにも3年かかっておりますゆえ。それにしても、書いてるときより読み直すときのがこっぱずかしいのはなぜでしょう^^;先が思いやられるな… ←(1/7追記)えー、議論を呼んでますので(違)、こっそり追加してみました・・・。鈍くはない、らしいです、リフィアさんによると。本人達にはデフォルト&こっぱずかしすぎて省いていたという 爆拍手がわりに→webコンテンツ・ファンタジー小説部門に登録してみました♪→
2010年01月06日
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戦局の悪化によってダンスパーティは延期され、結局催されたのはその年の秋も深くなってからだった。 リフィアは濃い目のシャンパンゴールドのベアトップに銀のメッシュ柄のストールという出で立ちで、待ち合わせのサロンを訪れた。 夜の照明の中、琥珀色の髪はゆるく巻き上げて髪飾りは無し。 真ん中にクリスタルのついた細い金のV型チョーカーをつけ、背中はそれほど開いていないが、ストールは外さないでいる。 艶のあるサテン生地のドレスと共布の短い手袋。小さなバックと靴も、同じく黒いサテン地でできている。 ほどなくして、第二礼装の黒い軍服をまとったアルディアスが現れた。彼の会議が終わるのにあわせて遅めに待ち合わせをしたから、会場内ではもうすでに音楽が始まっていた。 「遅くなってすみません。よくお似合いですね」 「ありがとうございます、私も今来ましたの。アルディアスさまもとても素敵ですわ」 ありがとう、とアルディアスは笑ったが、光をはじく銀髪と深い青い瞳のせいか、皆同じはずの黒いお仕着せも逆に、内包する華やぎを引き出すように見えた。 受付をすませると、係の者がドアを開いてくれる。 腕をからませて会場に入ったとき、リフィアの中で何かがほどけた。 去年の夏、神域でかけられた暗示が霧が晴れるように解けてゆく。 ゆったりとしたワルツの流れる中、金緑の瞳で彼女は相手を見た。 昔夢で遊んだ銀髪の男の子が、二重写しのようにそこにいる。 まばたきの間にその子はどんどんと成長し、大人のアルディアスになった。 あの男の子。 ずっと誰かが傍にいた感触。 (あなただったの?) リフィアは意識的に心話を使ったことがない。けれどその声は、普通の心話よりもはっきりと近くアルディアスの心に届いた。 (君だったんだね) 彼女の手をとってゆるやかにステップを踏みながら、アルディアスも答えた。てらいもなにもなく、心と心が直接つながるような、それは不思議な感覚だった。 (あそこはどこだったのかしら。あの白いお日様がいっぱいの場所) (あれは根源だと思うよ。私達すべてが生まれた源、光に満ちたところ) (私、どうやって行ったのかしら……あの、神域の森にも) (そうだね。あのとき神域の結界に綻びはなかった。普通は結界と衛士に阻まれて、入ることはできないんだよ) (あなたに呼ばれたのかしら?) ペリドットの瞳がまっすぐに彼を見上げる。その光をうけとめて、そうかもしれないね、と藍色の瞳が微笑んだ。 曲が終わって、二人はそっとテラスに出た。 踊るよりもこの不思議な状況を味わってみたかったし、心話ではとても自然に話していたから、当初互いに声を出していないことにも気づいていなかった。 「寒くはない?」 先に気づいたアルディアスが声を出す。寒くはないですか、と尋ねるべきか一瞬迷い、とりあえず心話と同じ調子にしてみた。 晩秋のテラスは、たしかに風が少し冷たかった。 彼の声を聞いて、はじめてリフィアは自分が声を出していなかったことに気づいた。 これが心話というものなのだろうか。 (寒くはない?) リフィアが返事をしないでいるので、アルディアスがもう一度心で尋ねてきた。その優しい調子は声とまったく変わらないが、もっとずっと近くて親密な感じがする。 (ええ。寒くないの) 無意識では普通に話せていたのに、一度意識してしまうと、ちゃんと届くかどうかが急に不安になる。 ハートを意識するとよく聞こえることに気づいて、リフィアはいつのまにか、両手を胸の前に揉み絞るように組み、うつむいて目を閉じていた。 エネルギーが二人の間を流れているからか、寒くはなかった。むしろハートからじんわりと暖かい。 二人は顔を見合わせるでも肩を寄せ合うでもなく、テラスに並んで心で会話を続けていた。 (神域では何をしていたの?) (禊だよ。大祭では神を降ろさなければならないからね。光を降ろして、それを惑星のグリッドに繋げてゆくんだ。大神官というのは、惑星そのものに結び合わされた存在だから) (グリッド?) (そう。うーん……光の糸で編んだ蜘蛛の巣みたいなものかな。各地の神殿をポイントに、ネットのようにこの惑星を覆ってる。災害のエネルギーを分散させたりするんだよ) (災害のエネルギー……) リフィアは繰り返した。災害には人災も入るのだろうか。だとしたら、この戦争で惑星が傷むことは、彼の心もダイレクトに傷つくということではないの? 大仰な、まさかそんなことはないと思う一方で、彼の魂の奥深くに封じられた哀しみさえリフィアには見えるような気がした。 いつも穏やかに微笑んでいるひと。 戦場では鬼神と恐れられるひと。 氷の焔。 目を奪うその美しさの陰に、なんという寒さを抱えて。 双極に引き裂かれる彼を目の当たりにした気がして、リフィアは知らず組む手に力をこめた。内側に集中すればするほど、遠く苦しむ彼の凍気に、手をのばして触れられそうだった。 もう少しで届きそうだ、そう思ったとき、急にリフィアの意識は遠くなった。 ふうっと力を失って倒れる細い体を、咄嗟にアルディアスの腕が抱きとめる。 どうやら初めての心話で急激に集中しすぎて、オーバーフローを起こしてしまったようだった。 アルディアスは華奢な体を抱き上げ、会場を通らずにテラスから庭をまわって彼女を控え室へと連れていった。 それでも見咎めた者の声が聞こえる。 「まあリフィアったら。緊張して貧血起こすほど会話が弾まなかったのかしら」 そんな言葉を背にしながら、アルディアスは苦笑した。 彼女と交わしていたものがツインの心話だとしたら、その繋がりは通常の心話よりもはるかに深く、他の誰にも感知されることはない。 会話の見えない同僚達からそんな心配をうけるのも仕方がないかもしれなかった。 控え室の長椅子にリフィアを寝かせると、アルディアスは横の椅子にかけて手を彼女の額にかざした。 やわらかなヒーリングのエネルギーが、とくとくと彼女の中に入ってゆく。そのあまりの入りやすさに、彼は驚いた。通常は誰でも、それなりの抵抗があるものなのに。 アルディアスの流す光が、彼女のオーラを調整し、エネルギーラインの均衡を整えてゆく。ほどなくしてリフィアは目を覚ました。 (あら? わたし……) (頑張りすぎたんだよ。不自然なほど意識しなくてもわかるから、大丈夫) (そうなの? ちゃんと聞こえてる?) (誰よりはっきりとね。安心して、慣れるまでだから) 不安げな彼女に、アルディアスは微笑んでみせた。 彼とてこんなに深い心話は初めてだが、慣れる過程は通常のものとそれほど差はなかろう。 自分を優しく包んで微笑む青い瞳の色が、きらきらとまた変わる。まるで陽にすかしたクリスタルのようだわと思いながら、リフィアはほっと吐息をもらした。 ------- ◆【銀の月のものがたり】 道案内 ◆【第二部 陽の雫】 目次 皆様、寒中お見舞い申し上げます。昨年中は大変お世話になり、ありがとうございました。今年もどうぞよろしくお願い致します。あけおめのメールやコメントを下さった皆様、ありがとうございます。喪中ゆえ年頭のご挨拶は失礼させていただいておりますが、どうぞお許しくださいませ。さて、ようやく帰省から戻りましたので、何はともあれダンパ話をアップしておきます 笑メール等のお返事はまた明日^^;服装などの描写はリフィアさんから。支給品で足らしていたよーな人が覚えてるわけないです、はい(爆アルディアスの描写に関しても、私はついこっぱずかしくて省きまくってしまうのですが、リフィア・チェックが入りました・・・ 笑拍手がわりに→webコンテンツ・ファンタジー小説部門に登録してみました♪→1/5 地のエレメントの浄化ヒーリング
2010年01月05日
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