2014年09月27日
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カテゴリ: OPERA
Tosca 20140926 22 Kawaguchis photo.jpg
Tetsuya Mochizuki as Mario Cavaradossi (Role debut) in Tosca 26 Sep. 2014 at Nerima civic hall, Tokyo.
Photo by TK, courtesy of Mr. Mochizuki


荒牧小百合 presents オペラチックナイトVol.3

プッチーニ作曲 オペラ「トスカ」
 ~日本声楽家協会後援~

2014年9月26日(金)

練馬文化センター 小ホール


トスカ:荒牧小百合 soprano (Role debut)

カヴァラドッシ:望月哲也 tenor (Role debut)

バロン・スカルピア:押川浩士 baritone (Role debut)



アンジェロッティ:小林裕(actor・黙役)


ピアノ:山口佳代

ナレーション:武田竹美 

演出 田丸一宏

Photo link

***

日本の至宝 望月哲也さんのカヴァラドッシデビュー
演出はコンヴィチュニーの弟子というだけあってかなり斬新でした。
白人社会ではブーイング必至!(^^)
終演後演出家をつかまえてお話を伺った。
なぜ最後の銃殺シーンを「イスラム国」のテロを想起させるものにしたのですか?
「やはり(原作では)あれだけ大人数が出るシーンを少ない数で効果的にするにはどうしたらよいか考えました。」

「あれは共和国側の人間であるということです。短い時間でわかりにくかったと思うんですが。」
なるほどアンジェロッティの亡霊が共和国軍勝利を告げた時に撒いたハンカチだ!
「そうです」

なんで通行証がセロハンだったのですか?
(これはKTさんの質問)


田丸さん ありがとうございました。

今回瞠目すべきスカルピアの押川浩士(おしかわ・ひろし)さん すばらしかった。終始安定した歌唱と演技力で舞台を支えた。
足が悪く杖をついているという設定で演じにくかったであろうと思うが実に効果的に演出に使っていて瞠目であった。
押川さんもなんとスカルピア初役ということです!信じられないです!!

スポレッタの金山京介さん、売り出し中のイケメンテノール、数日前に男声声楽ユニットLa Dill のメンバーとしてメジャーデビューしスポーツ紙の芸能面を賑わせていましたが、今回イメージを覆す不気味なスポレッタを演じて大健闘でありました。最後のシーンよくやったと思います。

タイトルロールの荒牧小百合さん 優れた企画力でこんなにすばらしい舞台を作っていただいてありがたいです。
美しくスレンダーでトスカの乙女心を表現してくれました。一途なカヴァラドッシへの愛が伝わってきました。

注目の望月哲也さんのカヴァラドッシデビュー。
マルセロ・アルヴァレスがよぎる時もありましたが 完全に彼の声のカヴァラドッシ。聴けてよかった。

発声がまったくいつもと異なるドラマチックテノール仕様
エレメル伯爵とかジークムントをほうふつとさせる歌唱ですが
そこはやはりプッチーニ、甘く切なくきらめく高音とヒロイックな中音域の男らしさ
歌唱のうまさイタリア語の理解力と演技への結びつけ
声のボリュームと伸ばす力、高音での強靭で長大な伸ばし、迫力、
すべてが一級品のカヴァラドッシでした。
宝石がこぼれ出すような声でした。

演技面においてもジークムントの時と同じようにぼこぼこにされて血だらけになるんですが
苦悩が似合う~~!ジークムントの時と同じようにすごくかっこよかったです。追って書きます。

***

この演出では聖具保管掛りと牢番、シャローネ、牧童がいないので
なかなかコンパクトでわかりやすくなっていました。

まず最初にまるでドラマか映画のような手法で登場人物が紹介され、ストーリーが説明されます
ストーリーテラー(超美人)が語る
「みなさんこの人たちはほとんど皆がこの24時間以内に死んでしまうのです」
なんとも不気味なコメントで始まる。

演出のポイントは電球の灯りです。
これはいわば十字架の象徴でした。
追って説明します。

あれだけの少ない材料でこれだけの読み替え版(?)を作った演出家はやはりただものではありません。
田丸一宏(かずひろ)さん。田尾下哲さんと共同演出などを行っている新進気鋭の演出家です
コンヴィチュニーの薫陶を受けているらしいです。

アンジェロッティが脱獄してきて舞台袖かみてに隠れます
アンジェロッティは俳優が演じていてこの演出では黙役となっています。
そこも演出家のこだわりでしょうか。

カヴァラドッシ。
舞台での初めての歌唱部分がいきなり Recondita armonia です。

帽子をかぶってきてアトリエ?教会?にやってきたカヴァラドッシ。
この帽子も重要な小道具となります

帽子を脱ぐ
いきなりつかつかとピアノの方に行って歌い出したのは
そう。
ピアニストをアッタヴァンティ夫人とイメージしてたんでは?と思いました
そして絵画のところに行きます
絵画はルノワールの有名な絵画です
よくそのへんで見かける絵画です。これも演出家のメッセージでしょう
彼の主張するすべてが薄っぺらで嘘でできている現実
カヴァラドッシは売れない画家なので名画のレプリカを書いているのかも?
横にあったトスカのLPレコード(若い人は知らないよね)を手にします

È bruna Floria
トスカの髪はブルネット…

トスカの写真を見つめます。

E te, beltade ignota

すばらしい歌唱!

il mio solo pensiero,
il mio solo pensiero,
Ah! Tosca, sei tu!

最高音のB(♭シ)も完ぺきでした
彼の妙なる調和を生で聴くのは3回目ですが
今までで一番オペラティックでドラマチックヴォイスだったかも。
役に入って歌うのとコンサートとではまったく違います。

拍手

アンジェロッティが来ますがトスカが来るので
カヴァラドッシはバスケットの食べ物を渡し、隠れさせます
黙役なので
Grazie!
Presto!
というやりとりはありません。

Son qui!
ここだよ!

一転して平静を装うこの部分が大好きです。

トスカは花束を抱えて現れます。コートを着ていますが脱ぐと花柄の華やかなワンピースです。

どうして鍵をかけたの?

誰としゃべってたの?

君とさ!

トスカはいちばんかみての椅子のところまでいきます

夢でも見た?

トスカは花を飾って

今夜別荘に行きましょう。

今夜?

あらうれしくないの?

すごく楽しみ

カヴァラドッシは仕方なく言います。

なんですって?

すっごく!

カヴァラドッシはすねたように繰り返します
こういうとこがなんかカヴァラドッシの少年っぽさを現わしてます

トスカの歌

トスカは床に倒れます
色っぽいシーン

カヴァラドッシも唱和します。

mia sirena

でも仕事しなくちゃ

行くわよ

カヴァラドッシは絵画に向かいます

画架の横のトスカのLPレコードを立ててあったところにジャケットを差し込もうとしますが
うまく立たないので横にして置きます

トスカは絵画に描かれた女に気付きます

まって
ええっと
アッタヴァンティじゃないの!

すごいな

カヴァラドッシは茶化します

私を見て馬鹿にしてるわ!

バカな!

さすがに口調が激しくなるカヴァラドッシ

トスカは泣きだします

Quale occhio al mondo

カヴァラドッシの甘い言葉に機嫌を直すトスカ

でも目は黒くしてね

ほんとにやきもち焼き屋さんだね

許してちょうだい

Mia Tosca idolatrata

もう1回言って!

Mia vita, amante inquieta

sempre "t'amo!" ti dirò!

カヴァラドッシはトスカが行ってしまうと
アンジェロッティに声をかけます
しかしすぐに大砲の音が
2人で別荘に向かうことにします

スポレッタが来ます
嗅ぎ回っています
続いて左手で杖をついたスカルピアが登場します。

スポレッタはトスカが倒した椅子を持ちあげ方向を変えてスカルピアに座らせます

スポレッタはアッタヴァンティ侯爵夫人の忘れものの扇子を見つけて渡します

スカルピアはスポレッタに金を渡します。

この演出ではスカルピアがスポレッタに金を渡すシーンが何度もあり、彼らの関係が権力ではなく金でつながっていると描かれています。

トスカがマリオを探しにきます

Tosca gentile la mano mia

トスカはスカルピアの策略で騙され

裏切り者!と怒りだします

スカルピアがバランスを崩し倒れると
スポレッタがよってきて杖をあてがいます。
この杖は医療用の二の腕までホールドするタイプのものです。
頑丈にできています。

トスカが出ていくとスカルピアは後をつけるように言う

スカルピアはその去った方向を見つめながら

Va, Tosca!

テ・デウム
です
Hiroshi Oshikawa 21.jpg

合唱部分がないのですがピアノとスカルピアだけで迫力の歌唱で聴かせました

L'uno al capestro,
l'altra fra le mie braccia

スカルピアはトスカのLPレコードを見つけるとレコードを取り出し
床に投げ捨て
足で散々に踏みつけます
スカルピアの異常な凶暴性をすでに暗示しているシーンです。

Tosca, mi fai dimenticare Iddio!

暗転で第1幕了 休憩。

Part 2 に続く。

Hiroshi Oshikawa also made his role debut as Baron Scarpia in Tosca 26 Sep. 2014 at Nerima civic hall, Tokyo.
Photo:©Shevaibra, courtesy of Mr. Oshikawa
スカルピア・デビューの押川浩士さん





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最終更新日  2014年09月29日 22時44分34秒
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