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「水滸伝」(北方謙三/集英社文庫) 1-5巻 私は中国物には格別な思い入れがあって、頑固な原書主義であります。 そんなわけで、日本人が書いた、もしくはアレンジした中国物はなかなか読むことができませんでした。 というのも、いちいち気になったり、引っかかったりするのです。 そんなわけで、素晴らしいという評判や友人の薦めがありながらも、なかなか手に取ることができなかったのが、この「水滸伝」。 小学生の時に駒田先生翻訳「水滸伝」に出会い、夢中になった身としては、やはり原書に思い入れがあったわけです。 で、あんまり周囲が熱く語るのでそれでは、と一冊手にとってみたところ・・・一気に文庫本を全巻(発売しているものだけですが)注文しておりました。 何が凄いって、完全に原作をバラバラに分解し、そのエッセンスを抜き出し、自家薬籠中のものとし、新たに一から構築し直したところ。そして日本人の、日本人による、日本人のための精神構造と理由付け、動機付け。 普通に読めば、絶対に中国人ではない精神構造をしているキャラクターたちなのですが、日本人ならば納得できるんですよね。それを意識して、意図的にやっているのも凄い。 というわけで、とりあえず五冊分からのマイベスト。(1) 楊志と妻子のシーン。 出会いから壮絶なラストまで、楊志の人間的な魅力が書物の中からあふれ出しておりまし たよ。こんな漢なら誰でも惚れます! そして妻も健気なら、子供の楊令がまた・・・。彼 の今後については「楊令伝」もあることですし。(こちらは待てなくてハードカバーで集め てます)(2) 武松と藩金連の純愛? いやもう、原作のイメージ強くて、さらに「金瓶梅」のイメージも強いので、藩金連とい ったら淫乱でしたたかな、でもちょっと憎めない部分もある悪女、というキャラがこびりつ いていました。まさかそう来るとは! いやもう、根底から崩さないとこんなストーリーや キャラは出てこないです。すごい。そして、二人の関係がまた切ない。武松の人間性にもぐ っと深みが出て、その後の彼の奥深さときたら。泣けます。(3) 石秀 原作にこんなヤツいたっけ、というぐらい印象の薄い人だったのが、一気にリアルになっ て飛び込んで参りました。致死軍で苦悩する彼の弱さは「ひと」としての優しさ、情愛につ ながるもの。だからこそ楊志を失った楊令を思いやることができる。彼の死も早かったな あ。ただ、絶対に早死にキャラだという確信はありましたが(^^;) おまけで周通もお疲れ 様。 林冲の話も、魯智深(渋くなりすぎ!!かっこいい!)も李逵(かわいい!!)もとにかくどのキャラもすごく良くて、既に脳裏から原作が消え始めております。やばい、やばすぎる。 李富もいいキャラだしなー。あと、原作で大好きだった李俊とか阮三兄弟とかも活躍していて嬉しい。ただしやはり宋江は個人的に受け付けないままですね。 明代にまとめられた「水滸伝」や「三国志演義」は、当時の知識人がまとめたものであって、それは明代の持つ「理想の君主像」が多分に反映されています。 宋江しかり劉備しかり。だから、二人とも本来はもっと野蛮でバーバラスだったにも関わらず、あんなへなちょこ(失礼!)に変貌してしまったのですよね。 宋代などの講談や地方劇などを見ていると、もっと乱暴な劉備が出てくるわけで、史実としてはそっちのほうが近いのだろうなあ、と思っています。 何はともあれ、読まず嫌いは駄目ですね、と深く反省。 北方水滸伝はちょっとお休みして、年末年始は田中芳樹中国物をまとめ読む予定。(こちらは既読のものが多いのですが、読み返しということで)
2007年12月21日
VCD「忠義群英」 記憶が確かなら15年くらい前に、当時の香港映画仲間からコピーしてもらってビデオで見た作品。「荒野の用心棒」というか「七人の侍」というか、まあそれらのパクリ、香港版です。 主役がアダム・チェンでまーたカッコイイのですわ。最後しか活躍しないし、敵との約束を破って殺そうとした時に「恥ずかしくないのか」と罵られ、「約束を破るのは天に顔向けできない。しかしおまえを逃がせば、死んでいった兄弟たちに顔向けできない。オレはおまえを殺してもそのあと自殺する。そうすれば義理は果たせる!」とかなんとか啖呵をきるわけですな。 ところがいざ勝つと、仲間が「自殺する義理なんてないよ。道理がないってば」と一言進言したとたんに「そうか道理がないか」とあっさり自殺をやめてしまうという(笑) 最後の最後で脱力しましたよ。 今回も、仕事の関係で見たのですが(というか若者たちに見せた)、中国語と英語の字幕がついていても、若い人たちには難しかったらしく、あちこちで解説をしたり同時通訳する羽目に。うがー。 貧しい農村を襲う軍人崩れの夜盗たち。農民に雇われて(というか元軍人の誇りで無料奉仕)体調が立ち上がり(これが前述のアダム・チェン)、六人の仲間を集める。一人だけ口八丁のお調子者が混ざるのもお約束? ちなみに演じていたのは、トニー・レオン。こちこちの警官?なのがジャッキー・チュン。妻を失った花火師? がマク・シウチン。となかなかにそうそうたるメンバー。知った顔ばかりで、かれらの若い頃というのも面白いかも。 初めて見たときは広東語だったせいで、完璧には分からなかったのですが、今回は大陸版つまり中国語(普通語)だったこともあり、非常に良く内容が分かって、台詞の1つ1つに反応してたり。 いやあいい作品ですわ。やっぱり好きだなあ、この作品。
2007年12月18日
DVD「初恋の来た道」 チャン・ツィイーのデビュー作。 仕事の関係で久しぶりに見たのだけれど、何回も見ている割になかなか面白い。 18歳の農村の娘が、やってきた青年教師(20歳)に一目惚れし、恋をかなえようと頑張る話で、チャン・イーモウ監督の両親の話でもあったり。 とにかく色彩と風景が美しい。農村の風景がこれほどまでに色鮮やかに、そして心理描写をも表現しているとは。 チャン・ツィイーはこの時はまだまだ幼くて、泥臭さが残っている。それも今となっては懐かしい。まさかこの後、ハリウッド・デビューして国際的女優になるとは・・想像もしなかった(^^;) コン・リーといい、なんとなく山口百恵ぽいよね、と思うんだけど。 ヒーロー役の俳優さんは、この映画ではそんなにカッコよく思わなかったのに、別のドラマではとても生き生きして、感じがよろしゅうございました。確かこちらもこの映画がデビューじゃなかったっけ(うろ覚え)。 それにしても、ヒロインの大胆な? アプローチは、ほほえましいを通り越して、ちょっと引くかなあ。若い人たちは爆笑しながら見てましたけどね。
2007年12月17日
なにやらバタバタしていて、本やDVDの感想を書くヒマがなくて、またもや長期欠席。 お恥ずかしい。 というわけで、本日、お昼休みに職場にある小さな本屋さんで購入したもの。「山本周五郎探偵小説集3 怪奇探偵小説」(作品社) 山本周五郎氏のファンでもあるし、探偵ものが好きで、なおかつ「怪奇」とついたら買うしかないでしょう。 というかこんなシリーズが出ていたのですね。知らなかった・・・不覚。 もしかしたらシリーズ全部買ってしまうかも。 ちなみに中学生だったか国語の教科書に「鼓くらべ」という作品が載っていて、短いながらも素晴らしく含蓄の深い内容に、子供ながらに感動。親に頼んで何冊か文庫を買ってもらって、必死で読んだものです。 それ以来、大好きな作家さんの一人です。「ヨーロッパをさすらう異形の物語」上/下 (池上俊一監修・柏書房) まず監修者の著作が好きで、何冊も持っていること。加えてタイトルが魅力的だったこと。手にとってぱらぱら見てみると、簡単すぎずかといって読みやすそうな印象だったこと。 などからおもわず衝動買い。 こういうテーマってものすごく好き。神話とか伝説とか。いいですよね。そもそもさすらいの吟遊詩人とか、貴子流離譚とか、とにかく好きなもんでして。 私のツボです。 そういや、タイプはことなれど水戸黄門伝説も放浪に入るのかしらん(笑) 中国のさすらい人伝説とかも大好きで、ひそかにはまり中です。 自分の中にも思い切り「ひきこもり」の部分と、正反対なまでの「放浪癖」の部分と。同居しているのが自覚されて仕方がありません。 読んだらそのうちに、また感想などをアップします。たぶん。
2007年12月13日
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