24~25日の一泊二日の若草読書会の彦根小旅行に先立って、小生のみ前日に彦根入りということで、本日(23日)、彦根へ行って参りました。
読書会の宿などの手配は偐山頭火氏がして下さり、宿泊は琵琶湖畔の「かんぽの宿」。小生の本日の宿は彦根城佐和口前の彦根キャッスルホテル。勿論、前日に出掛ける必要はないのであるが、銀輪家持にてあれば、自転車を持ち込み銀輪散歩を余分に楽しもうという魂胆なのである。それと、明日24日のサイクリングの予定コースには、佐和山トンネルの手前で国道を信号のない処で横断するという場所があること、同トンネルを出て暫くすると国道の歩道が無くなり、かなりの距離、車道を走らなくてはならないこと、この2つが気にかかり、これを回避する道を探すという目的もありました。
彦根駅前到着が10時半頃。駅前で自転車を組み立て出発。先ずキャッスルホテルまで行きフロントに荷物を預けてから、銀輪散歩開始ということに。
先ず訪ねたのは蕉門十哲の一人とされる、森川許六の屋敷跡。偲ぶよすがとしては、道路脇に建てられている「屋敷跡碑」だけ。現在は、NTTの事業所敷地となっている。
許六は彦根藩士。江戸屋敷詰めで江戸に居た折、元禄5年(1692年)8月に天野 桃隣 の紹介により芭蕉の門人となっている。絵が得意で芭蕉に句を習うとともに、自らは芭蕉に絵の手ほどきをしたらしい。詳しいことは下記<参考>をご参照下さい。
元禄6年5月郷里の彦根に帰ることとなった許六に芭蕉が贈った句がある。
旅人のこゝろにも似よ椎の花
(A)
(旅人の風雅な心にふさわしく隠逸然とした椎の花がこの者を迎えてくれるように。)
椎の花の心にも似よ木曽の旅
(B)
(公務の旅ではあるけれど、椎の花のように風雅の心は忘れないように。)
Bの句はAの句の初案であり、Bの句が最終的にはAの句に修正されている。これらの句は下のCの句と関係し、隠者の心に倣って木 曽路の旅をするように、という許六への芭蕉からのメッセージである。
うき人の旅にも習へ木曽の蝿
(C)
(蝿の多い木曽路の旅の宿であるが、それを厭うのではなく、世を憂きものとして生きる出家・
隠者の旅を見習って行きなさい。)
<参考> 森川許六・Wikipedia
屋敷跡から北へ300mの距離に長純寺という寺がある。その寺の墓地に許六の墓があるというので行ってみた。ご覧のように入口にはその旨の碑がある。
この墓地の中をぐるりと一回りしてみたが、それらしい墓が見つからない。たまたま、お墓参りに来られたご婦人がいらしたので尋ねてみたが、彼女も何処にあるのかご存じではなかった。
諦めて退出。まあ、この中の何処かにある、ということで満足しようと思い定めた次第。
先づ頼む 椎の木もなき 寺の墓地
いづく五老井 眠りてあらむ (森川許絶)
(注)五老井=許六のこと。許六は五老井とも号した。
許六さんの墓は見つからなかったが、井伊直政公の姉上に当る高瀬姫の五輪塔なるものがありました。
長純寺から3km余南に下った平田町に明照寺という寺がある。芭蕉門下の俳人、河野李由という人が住職をしていたという寺である。ということで、次は明照寺に向かう。芹川に架かる後三条橋を渡って、ひたすら南下すると左手に明照寺が見えて来る。
芭蕉も奥の細道の旅では、長浜から船で彦根に着き、彦根城下を通り、平田へと向かうが、この道を行ったのであろうか。
明照寺山門前に芭蕉句碑がある。
百年
の
気色
を庭の落葉哉
(百年の歳月を重ねた様子を見せて境内には落ち葉が散り敷いている。)
芭蕉は元禄4年大津から江戸に向かう途中、明照寺に立ち寄っている。上の句は、その折に芭蕉が庭園を鑑賞しながら詠んだもの。
この時の句がもう1句ある。
たふとがる涙やそめてちる紅葉
(寺と仏とを尊がって流す涙が染めたものでもあるか、赤く色づいた紅葉が散っている。)
この句には「一夜 静 るはり笠の霜」という李由作の脇句が付されている。 芭蕉と李由は夜の更けるまで語らっていたのでもあろう。
この折の芭蕉の句では次のようなのもある。
稲こきの
姥
もめでたし菊の花
(庭には長寿の花の菊が咲き、そこで稲こきに励む婆さんも達者で長生き、めでたいことだ。)
庭園の一角では、彼岸花が咲き、ツユクサが点々と青い花を付けていたが、芭蕉所縁の庭ということでもあれば、彼岸花も露草も何やら奥床しげに見えるのでありました(笑)。
蕉翁の めでにし庭に ありぬれば
ゆかし気色ぞ 壱師つき草 (偐家持)
< つづく >
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