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ママ こっち向いてよたくさん練習した小学校の運動会。100点を取ったテスト。私のことをちゃんと見て、ほめてほしかった。頑張ったねって。でも、母のまなざしはいつも、知的障害のあった兄に向いていました。さみしさを募らせた末、万引きした消しゴム。私のことをちゃんと見て、怒ってほしかった。なんでそんなことしたのって。取材に応じてくれた医師の佑子さん(仮名・20代)。親の求めに応じて、障害のある兄のケアを担ってきた幼い頃からの日々、そして心の葛藤を語りました。知的障害のある兄といつも一緒私(佑子さん)には、知的障害のある兄がいます。幼い頃から、兄とはいつも一緒にいました。「一緒にいざるを得なかった」という表現の方が正しいかもしれません。小学校に入学してから卒業するまで、クラスも同じでした。常に私が兄のそばにいられるよう、親が強く希望したからです。登下校も、毎日一緒。担任の先生からも「お兄さんのこと、よく見ておいて」と言われていました。幼いころの佑子さんと兄兄が不安定になりパニックを起こすことがあったので、自宅に友達を招いたり、遊びに行ったりすることはほとんどなく、基本的に兄に合わせた生活を送っていました。兄に合わせた生活を送るのも、私が兄のケアを担うのも、“当たり前”のことでした。親にとっても、担任の先生にとっても。そして、当時の私自身にとっても。テストで100点取っても小学生のときの記憶で印象に残っているのは、運動会や学芸会での出来事です。兄のことが心配で、親のまなざしは常に兄に向けられていました。私も頑張って練習したのに関心を示されないので、「私のこと見てた?」といつも思っていました。学校の成績はよかったです。でも100点を取ったテストも成績表も、親はいつしかちゃんと見てくれなくなりました。そして、こう感じるようになったんです。「私は見捨てられている」言い出せなかった将来の夢子どもの頃、将来なりたい職業がありました。ただ、なかなか言い出すことはできませんでした。成績がよかった私の将来に親が期待していることは分かっていたし、兄に合わせる生活をずっと続けていたからなのか、自分の希望を通すことを“わがまま”だと感じていたからです。当時を振り返って気持ちをつづったノートには、こう記していました。「みんな自由に自分の夢を思い描いているように見えた」「親にすすめられた進路を受け入れたくないと思いながらも何も言えず」母親からは、医者になるよう言われ続けていました。「兄の分まで2倍、3倍と稼げる医者になってほしい」それが理由でした。もちろん兄のことは好きだし、大切です。当時も今も。でもこのときばかりは、兄がいなければ…と思ってしまったのも事実です。後になって考えれば、それは現実からの“逃げ”でしかなかったんですが。結局、自分の気持ちにふたをしたまま、医師の道に進むことを決めました。家から通える範囲の大学に進学するために、浪人をしました。これも、母の希望でした。私が兄のケアをするために家から離れてほしくなかったんだと思います。そして医師免許を取得してから最後のチャンスかもしれないと思い、「実は別の仕事に就きたかった」と打ち明けたことがありました。このとき母親は、火がついたように怒りました。「ここまで育ててあげたのに」「安定していない職業は認めない」聞く耳を持ってはくれませんでした。それ以来、自分の本当の気持ちを母親に告げたことは1度もありません。知的障害のある兄のケアを担ってきた「元ヤングケアラー」として、心の葛藤を語った医師の佑子さん。今回、ずっと言えなかった秘密を打ち明けました。「小学5年生のとき、近所の文房具屋で消しゴムを1つ万引きしました」それは、万引きをしていた過去です。悪いことだと分かっていましたが、そのあとも100円ほどの文房具をポケットに入れて万引きする行為は続いたといいます。佑子さん「私みたいな優等生が万引きをしているなんて、家族も学校の先生も誰も考えないだろうなと感じていました。でも、いい子にしていても親に見捨てられてしまうなら、警察の世話になるような悪いことをして見つかったほうがいいと当時は思ってしまったんです」店の人に顔を覚えられると、「また来ている」という目で見られ、後をつけられたこともあったそうです。そのとき佑子さんは、こう感じていたと振り返ります。「この時間だけは、誰かが私のことを見てくれている」欲しくなかった消しゴムや鉛筆を万引きしたのは、親に対する「もっと私を見てほしい」というさみしさの裏返しだったのではないかと、佑子さんは考えています。「自分のことを見てくれていない」「いい子にしていても見捨てられている」そんな思いを胸に抱えたまま「気付いてくれるのではないか」と、わざと親に見えるように万引きした消しゴムを使っていたこともあります。でも、最初こそ母親に「それ、どこで買ったの」と尋ねられましたが、とっさに「パパに買ってもらった」と答えると、それ以上聞かれることはなかったといいます。待っても、待っても。ほかの文房具を使っていても。母親が問い詰めてくることはありませんでした。このころ無意識のうちに髪の毛を抜いてしまう症状が出て、頭に10円玉ほどの円形脱毛症ができていました。小さな心が深く傷ついていたのです。佑子さん「自分から『盗んだ』と言うのは怖かったです。でも母親に気付いてほしかった。父親に『あの子に消しゴム買った?』とひとこと聞けば分かることですよね。気付いてもらって、本当は怒ってほしかったんだと思います」専門家「存在を認めてほしい“心の飢餓感”」佑子さんは、医学部に進学して授業を受ける中で、小学生の頃のこうした行為が「窃盗症」にあたるのではないかと考えるようになりました。<窃盗症>経済的な理由がないにも関わらず窃盗行為を繰り返す状態。「クレプトマニア」とも呼ばれる依存症で、親から虐待を受けるなど、家庭環境や成育歴が影響するケースも少なくない。佑子さんのケースについて、窃盗症の疑いがある2000人以上の診療に仲間とともにあたった専門家は、次のように指摘します。竹村道夫 院長「これまで診てきた患者の中にも、うつ病の母親のケアを続ける子どもなど、今であれば『ヤングケアラー』と呼ばれる人がいた。窃盗症で悩む人たちは、『自分の存在を認めてほしい』という心の飢餓感を持っている。受け入れてあげて安心感を与えたり、当事者どうしで体験を分かち合ったりすることで回復につなげることができる」“いい子”として見過ごさないで法律上、小学生のときの万引きについて罪に問われることはありません。佑子さんは、万引きをした店に迷惑をかけてしまい申し訳ないと、反省と後悔の気持ちを語りました。これまでの生活で経済的な困窮はありませんでした。ただ、周りの人たちが当たり前のように受けてきた家族からの深い愛情を、自分は受けないまま大人になったと感じています。その影響なのか、深い人間関係を築きたいと思える人が現れても、心の底からその人のことを信頼することができずにいると、苦しい胸の内を語りました。ヤングケアラーについて伝える特集佑子さんは、自身の経験を踏まえて「ヤングケアラー」について、こう話しました。家族をケアする“いい子”として、見過ごさないでほしい。“いい子”でいることを“当たり前”だと思わないでほしい。佑子さん「今の学校現場では、どうしても“いい子”ではない子に目が向けられがちです。“いい子”とされる子どもたちが、もしかしたら無理をしてその姿でいるのかもしれない。見過ごされているかもしれないと知ってほしいです」取材後記佑子さんは今回、テレビで「ヤングケアラー」の特集を見たことがきっかけで、過去を見つめ直し、ずっと抱えてきた思いを打ち明けました。万引きという行為自体を、正当化することはできません。ただそれは、幼かった佑子さんが出すことができた精一杯のSOSのサインだったと感じました。家族の介護やケアを担う子どもたちの存在やSOSに気がつくことができているのか。「もしかして、あの子も?」という気づきにつながってほしい。そんな思いで、これからも当事者たちの声を伝えていきたいと思います。NHKでは、知ってほしい“ヤングケアラー”という特設ページを立ち上げ、関連する記事をまとめているほか、みなさまのご意見やご自身の体験などを募集しています。[NHK]なかなかそうは言っても親が希望するような道を歩むのは奇跡のようです。それをまるで運命のように受入れ、達成された祐子さん、素晴らしい才能と運の持ち主ですね。ただ、無駄な経験など決してないので、今後は少しずつでも自分の夢を追い求めながらご自分なりの生活を構築して欲しいものですね。☄にほんブログ村にほんブログ村
2021.05.31
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障害のある娘殺害「心神耗弱」を主張 三重、初公判で被告側三重県菰野町の宿泊施設で昨年六月、知的障害のある次女を浴槽で溺死させたとして、殺人の罪に問われた同県四日市市浜一色町、無職山本良子被告(72)の裁判員裁判初公判が七日、津地裁であった。起訴内容について山本被告は何も答えず、弁護人は「事実に争いはないが、犯行当時、心神耗弱の状態にあった」として刑事責任能力を争う姿勢を示した。 検察側は冒頭陳述で、犯行時、被告は適応障害を発症していたが、刑事責任能力が著しく低下していたとはいえないと指摘。周囲から支援の申し出があったが「今更誰かに世話になることは嫌だと思い、無理心中を選んだ」と述べた。 弁護側は、被告に軽度の知的障害があり、十八年前からうつ病も発症していたと主張。犯行は「人格に基づく判断ではなく、うつ病などの影響によるものだった」とした。[中日新聞]宿泊施設で起きた事件とあり、びっくりです。敢て、自宅でなく施設を選んだのにも何か意図がありそうですね。☄にほんブログ村にほんブログ村
2021.05.30
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デジタルで発達障害やひきこもりの人を就労支援 「ひこばえ」でパソコン講座・高知市 発達障害やひきこもりの人らの就労をサポートしている高知市の就労継続支援事業所「ひこばえ」(北本町1丁目)が、パソコンなどを使って利用者の社会参加や就労を目指す取り組みを新たに始めた。 「ひこばえ」は、NPO法人「県生涯学習支援センター」(高木義夫理事長)などが設置。2018年から同市内でひきこもりの人らを対象にしたトマト栽培などを開始し、20年から就労継続支援事業所B型になった。現在約15人が農作業を体験している。 「ひこばえ」施設長の高橋昌美さん(52)は、自閉症や運動障害を抱える小学6年の息子の「農業はできないけどパソコンならできる」との言葉をきっかけに、障害で農作業ができない人や、いきなり外に出られないひきこもりの人らに、パソコンやインターネットを通じて人や社会との接点を増やしてもらおうと考えた。 「しばてん大学デジタル部」と名付けた講座は、同センター事務所がある県立公文書館(丸ノ内1丁目)内の1室にパソコン7台を構え、月曜と金曜の午前10時~正午に開催している。18歳以上が対象で、参加は無料。 5月10日の初回講座には10~60代の5人が参加し、表計算ソフトを学んだり、ワープロソフトで自作の詩を打ち込んだり。ネット環境が整えば、同じ境遇に苦しむ人とのつながりをオンラインで広げていく予定だ。 高橋さんは「来たいと思った時に来てもらうことを大切に、みんなの『やりたい』をかなえられる場所にしたい」と話している。問い合わせは高橋さん(090・2899・8547)まで。[WAM NET]スタッフからパソコンの使い方を教わる参加者 (高知市丸ノ内1丁目)無料で参加できる講座はありがたいですね。近ければ是非、覗いてみたいですね。468万アクセス達成しております。いつもご訪問にコメント感謝です。☄にほんブログ村にほんブログ村
2021.05.29
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新型コロナ 38人のクラスターが発生した障害者施設が取材に応じる 多くの利用者が重度の知的障害があり難しい面があった 山梨・韮崎山梨県内では6月5日、1日としては過去最多となる47人の感染者の発表がありました。 主な要因は、韮崎市の障害者施設でクラスターが発生したためで、この施設の担当者は多くの利用者が重度の知的障害があり、マスクの着用の徹底や人と人との距離の確保が難しい面があったと話しました。この週末の2日間の感染者は、計75人に上りました。こうした中、韮崎市の障害者施設で利用者と職員、計38人のクラスターが発生し、この施設の担当者がUTYの取材に応じました。 担当者によりますと、この施設では職員や出入りする業者の消毒や検温、食事会場での仕切りの設置など基本的な感染対策を行っていました。また、職員に対しては休日でも県外に出ないといった行動指針を作成していたほか、入所者の親族との面会も全面的に禁止していたということです。 一方で、障害者施設のため対策が難しい面があったと明かしました。 この施設では、利用者の8割以上に重度の知的障害があり、マスクを着用すると精神的に不安定になることもあったということで、徹底が難しかったことや、入浴などの生活支援では人と人との距離の確保ができない場面もあったということです。 現時点での感染経路は不明で、施設は「感染が広がってしまったことを真摯に受け止め今後の対策に生かしたい」としています。[UTYテレビ山梨][YAHOO ニュース]一旦、クラスターが発生すると、施設の再開にも時間を要してしまう事でしょうね。☄にほんブログ村にほんブログ村
2021.05.28
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障害ある娘殺害、7日に地裁初公判 病の72歳母、責任能力が争点 重度の知的障害がある娘と二人暮らしをしていた高齢の母親が、わが子をあやめた殺人事件の公判が七日、津地裁で始まる。事件は、将来を悲観した四日市市の山本良子被告(72)が次女の恵美さん=当時(44)=と無理心中を図ったとされる。被告自身も長年病気を抱えていたとみられ、責任能力の有無や程度が争点となる。法廷では、被告を追い詰めた事件の背景がどこまで明らかになるかも注目される。 関係者によると、被告はもともと家族四人で暮らしていた。十年ほど前に夫が他界。別居の長女とも疎遠になっているという。人見知りで、近所付き合いは薄く、恵美さんが長年通っていた作業所の保護者会などにもあまり顔を出さなかった。 被告の知人は「心を許した相手じゃないとあまりしゃべらない印象」と打ち明ける。二〇一九年末ごろ、恵美さんが脳卒中で倒れて以降は、恵美さんも作業所に通うことがめっきり減り、母娘二人だけで過ごす時間が増えたとみられる。 関係者によると、被告は長年にわたって精神疾患を抱えていたという。事件直前には近隣に相続の相談をし、恵美さんと東尋坊(福井県坂井市)に足を運んでいた。 [中日新聞]親が高齢化し、家族もバラバラになった後の暮らし、日頃から、少しずつでも何かしらの支援を、行政にはお願いし、関わりを持っていたいものですね。公判の経過を見守りたいですね。☄にほんブログ村にほんブログ村
2021.05.27
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オンライン授業は合理的配慮か 障害ある学生の修学支援 筑波大が初の全国調査障害がある学生に対し大学などが実施している修学支援の効果について、筑波大学(つくば市天王台)人間系の佐々木銀河准教授らは2019年から20年にかけて全国調査を実施した。研究報告書によれば、大学などの教職員ではなく、障害のある学生本人を対象にした全国調査が行われたのは初めてと言う。昨年から全国に広まったオンライン授業の影響も合わせて調査された。障害の種類や本人の特性によっては、オンライン授業になることで、障害学生が学びやすくなることが分かった。今後、オンラインでの受講を障害学生への新しい合理的配慮として利用できる可能性が示唆された。・・・NEWS つくば[YAHOO ニュース]コロナ禍で思わぬ好展開になる場合もあるようですね。☄にほんブログ村にほんブログ村
2021.05.26
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質問がわからない、行間が読めない…自閉スペクトラム症の特徴筑波こどものこころクリニック院長/小児科医の鈴木直光氏は著書『新訂版 発達障がいに困っている人びと』のなかで、発達障がいとどのように向き合うべきか語っています。本記事では、発達障がいの子どもについて、実例をもとに解説します。 子どもの自尊心を守る…クリニックに訪れた中学生の例発達障がいの症状を悪化させる大きな原因の一つとして、自尊心の低下があります。自尊心の低下を防ぐためには、早い段階で、発達障がいによって引き起こされる症状を改善してあげることが大切です。 乳幼児や小学生だけでなく、中学生やそれよりもっと上の年齢のお子さんも、私のクリニックにはやってきます。非行などの問題行動のあるお子さんも来ますが、周りからちょっと変わった子だと思われてはいても、頭も良く特に大きなトラブルを起こすこともなく、一見なんの問題もないようなお子さんも訪れます。E君もそんなお子さんの一人でした。中学2年生のE君はドアをノックして、私が「どうぞ」と言うと、丁寧に一礼して入ってきました。 「E君だね、こんにちは」 「こんにちは」とお辞儀して挨拶を返してきます。 よく躾けられている、きちんとしたお子さんだと感じました。もしみなさんがその場に居合わせたら、こんないいお子さんがなぜ相談しに来たのか不思議に思うかもしれません。 私にはすでに、母親が待合室などでの待ち時間を使って答えた問診票の情報が手元にあり、それを見ると自閉スペクトラム症の診断基準を満たしていました。そのため、少し話してみて、「あっ高機能自閉スペクトラム症のタイプだ」と私は心の中で思いました。E君は年齢不相応に丁寧に挨拶し、言葉遣いも丁寧で、ほとんどの会話で、「ですます調」で喋ってきたのが引っかかったのです。こう言うと、「では丁寧に話す人はみな自閉スペクトラム症なのですか?」と質問する方がいますが、あくまでも自閉スペクトラム症の問診票が基準です。興味の偏りやコミュニケーションのとり方から読み取った上での判断です。 「何年生?」と尋ねると、「2年生です」と少し声がひっくり返った感じですが、ですます調で丁寧に話します。 「何中学かな?」「○中学です」 たいていのお子さんは「○」と言うだけで中学の名前だけしか答えませんが、E君はきちんと中学までつけて答えます。 「E君はとても丁寧に喋るね、いい子だね。担任の先生は優しいかな、怖いかな?」 「あー◇子先生ですか、怒ると怖いです」 担任の名前をフルネームで答えます。正確に言わなくてもいいことまでしっかり述べるのも自閉スペクトラム症の特徴の一つです。 「お父さんとお母さんは?」 ここで、言葉をわざと省略してみました。 「なんですか?」 どちらが怖いのかを聞いたのですが、やはり、行間が、空気が読めていません。発達障がいのお子さんが苦手なことが多い分野です。 「お父さんとお母さんは、どっちが怖いですか?」 必然とこちらまで聞き方が丁寧になってしまいます。叩かれてはいないようですが、宿題をやらなかった時などは父親に怒られるようです。 話を進めていくと、どうやら自閉スペクトラム症に加え、不注意型のADHDもあるのではないかということがわかってきました。多動型は明らかな行動として見えるのですが、不注意型はなかなか見えないので気づかれにくく、小学校では、かなりの頻度で見過ごされます。イライラして怒鳴る教師や親御さん。それによって…中学校くらいになると、同じADHDでも多動・衝動型で落ち着きのないお子さんより、不注意型で忘れ物の多いお子さんの方が目立ってきます。気が散り、集中できず、切り替えが下手で、指示に従えないという特徴のあるお子さんです。E君もこのタイプで、集中ができないから宿題ができないと考えられます。 言っても言うことを聞かないと、ADHDのお子さんにイライラして怒鳴る教師や親御さんも多くいます。 しかし、この怒鳴ることで、結果、お子さんの自尊心が低下してしまい症状を悪化させています。そして、自尊心が低下していくと、「俺なんかどうでもいいや、生きていてもしょうがない」と感じると、何もヤル気がなくなり、学力が徐々に低下することもありますし、反抗挑発症(ODD:Oppositional Defiant Disorder)や素行症(CD:Conduct Disorder)といった非行行為を誘引する二次的な障がいへとADHDが進展してしまう危険性があるのです。 ODDとは、自分にとってためになることでも反発して受け付けなかったり、周りに対して、挑戦的、挑発的態度を繰り返したりするというものです。 「かんしゃくを起こす」「大人と口論する」「大人の要求または規則に従うことに積極的に反抗または拒否する」「故意に他人を苛立(いらだ)たせる」「自分の失敗・不作法を他人のせいにする」「神経過敏またはイライラしやすい」「すぐに怒りを露(あら)わにする」「意地悪で執念深い」という8つの項目のうち4つ以上が存在するというのが一つの診断基準となります。 治療によって比較的症状が緩和されやすいのですが、自尊心が回復できずに症状が進み、素行症まで発展してしまうと、なかなか緩和するのに苦労します。 ***************************** 鈴木 直光 筑波こどものこころクリニック院長・小児科医 小児神経学会認定医博士(医学)幻冬舎[YAHOO ニュース]幼い頃から色々な視点から会話を交わすことが大事ですね。☄にほんブログ村にほんブログ村
2021.05.25
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加賀まりこ 54年ぶり主演映画で自閉症の息子支える母役「どうか見守ってください」女優の加賀まりこ(77)が54年ぶりに映画に主演することになった。「梅切らぬバカ」(今年公開)で、ドランクドラゴンの塚地武雅(49)と親子役で共演。11日に開幕する「第24回上海国際映画祭」のアジア新人部門作品賞にノミネートされ、現地で初上映される。 和島香太郎監督(38)のオリジナル脚本で、老いた母親と自閉症の息子が、地域のコミュニティーとの交流を通じて自立の道を模索する姿を描く。母子の絆が物語の軸である一方、障がい者に対する地域の偏見など、社会が抱える問題をあぶりだす作品だ。 加賀が演じるのは、古民家で占い業を営む女性。近隣住民との付き合いを避けて自閉症の息子と2人で暮らしてきた。自分がいなくなった後の息子の人生を考えてグループホームへ入居させるが、息子は環境の変化に戸惑うばかり。ホームを抜け出すと、ある事件に巻き込まれてしまう。加賀は「障がいがある子供の親の方は、人に優しく、責任感が強い。その部分を大事にして演じました」と撮影を振り返った。 主演映画は、互いの秘密を知る男女の駆け引きを描いた1967年の「濡れた逢びき」以来、54年ぶり。今回の作品については「いやでも“明日”はやってくる。親子の日常は続く。どうか見守ってください」とコメントした。塚地は「この作品が自閉症を知るきっかけになれば」と期待した。 和島監督は自閉症男性のドキュメンタリー映画の編集を担当した経験から、障がい者と地域共生をテーマに今作を企画。上海での上映に向けて「障がいのある人の住まいを巡る問題と、共生の描写がどう受け止められるか楽しみ」と語った。 実は和島監督は元横綱・北の富士勝昭氏(79)のおい。加賀は「北の富士さんに似た雰囲気はあるものの、全く無口で静かなヤツでした」とユニークに語る一方、「台本は今どきのチャラさがなく、内容が新人らしからぬ地に足が着いているものでした」と高く評価した。スポニチ[YAHOO ニュース]国内で公開前に第24回上海国際映画祭にノミネートとは、「梅切らぬバカ」、かなり期待できる作品なんでしょうね。☄にほんブログ村にほんブログ村
2021.05.24
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学びの裾野広げる 知的障害者の「大学」で駆ける青春「健常者と同じように学びたい」という知的障害者らの願いに応えるまなびやが大阪市内にある。在学するのは特別支援学校の高等部などを卒業した19歳~22歳の学生52人。「大学」のような福祉事業所で全国的にも珍しい。新入生を迎えたばかりの学校生活の様子を紹介する。 4月上旬のある日、1~4回生が大阪市浪速区「エルズカレッジおおさか」の近くにあるグラウンドに勢ぞろいした。 新入生19人を迎え、初めて全員で楽しむレクリエーション。「ちゃんと並んで。」緊張気味の1回生に、先輩たちがてきぱきと指示を出す。「借り人競争」のゲームでは、チームの仲間と協力して「乗り物が好きな人」「朝食がパンだった人」などのお題に当てはまる人を探し出した。 約2時間、みんなで声を掛け合いながら体を動かすと、1回生もすっかり打ち解けた笑顔になった。文部科学省によると、特別支…この記事は有料会員記事です。 [朝日デジタル]高騰支援学校等を卒業後の、こういう集える場所が、全国展開するといいですね。☄にほんブログ村にほんブログ村
2021.05.23
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自閉症、情緒障害…ある特別支援学級が示す「タブレット活用」のお手本コロナ禍で「GIGAスクール構想」が前倒しになり、2020年度中に全国の小中学校で「児童生徒1人に1台のパソコン」が配布された。しかし東京都狛江市立狛江第三小学校の特別支援学級では3年前からタブレットパソコンを授業に取り入れており、コロナ禍では、通常級に先駆けてオンライン授業も導入。今やタブレットは、学びに欠かせないツールになっているという――。 ■「子どもを変える」のでなく「環境を変える」 日本の公立小中学校の中には、知的障害や身体障害、自閉症や情緒障害のある子どもたちの学びの場として「特別支援学級」が設置されており、2019年度には約28万人が在籍。このうちの約半数が、自閉症や情緒障害を持つ子どもたちで、10年前の2.7倍になっている。 こうした子どもたちは、対人関係に困難を抱え、興味や関心が狭く特定のものにこだわる、感情や気分のコントロールが難しいなどの傾向があるため、自閉症・情緒障害特別支援学級では、安心して学習に集中するために必要な支援を行っている。 東京都狛江市立狛江第三小学校には、3年前から自閉症・情緒障害特別支援学級が設置されている。知的に障害のない子どもたちが通う少人数の学級だ。 大人数の通常の教室ではさまざまな音やにおい、人の視線が気になる、大勢の前での発表に抵抗がある、長時間同じ姿勢でいられないなど、集中して学習に取り組むことが難しくても、狛江三小の特別支援学級では一人ひとりに合ったペースや方法を選んで学ぶことができる。担任は指導教諭の森村美和子さんだ。 「子どもたちに『ここはどんなところ? 』とたずねると、『静かに勉強でき、楽しいところ。自分のペースで勉強できる』『少人数で雰囲気も良くて学校に来やすくなりました』と教えてくれます」(担任・森村さん) 環境のデザインにも大きな特徴がある。教室の机や椅子は通常の学級とは全く異なる。教室の真ん中にはみんなで囲むことのできる机を用意し、その脇にはそれぞれが落ち着いて学べる個別のスペースを確保している。教室の一部に畳を敷いたり、段ボールで小さな部屋を作ったりしてリラックスできるスペースを自分たちで作ることもできる。 環境を整えることで、子どもたちは得意な力を伸ばせるようになるという。「集中できない子どもたち」を変えるのではなく、「子どもたちが集中できない環境」を変える。これはどんな子どもたちにも必要なことだ。特別支援学級の子どもたちは、すべての子どもたちへの大切な視点を教えてくれる。 「基本は、子どもの好き、子どもの世界を楽しむことです。自分の気持ちを話せる場を作ることを心がけながら、教科学習にもつなげていく。子どもたちの声に耳を傾けながら、その子がどのように学ぶのがいいのかを一緒に考える毎日です」(担任・森村さん)・・PRESIDENT Online[YAHOO ニュース]これからはより良い教育を求めていく時代なんでしょうね。☄にほんブログ村にほんブログ村
2021.05.22
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生活介護の名称変更を要望 障害者支援法見直しでヒアリング 障害者総合支援法の見直しを進める厚生労働省の社会保障審議会障害者部会(座長=菊池馨実・早稲田大教授)は4月23日、関係団体からの意見を聴取した。日本知的障害者福祉協会は日中の暮らしを支える「生活介護」について、名称を「社会生活支援」に改めるよう求めた。「障害者の自立と社会参加を促すことを明確にしたい」としている。 入所施設については「暮らしの場」の一形態とし、入所者の地域移行や居室の個室化を進める考えだ。 生活介護は入所施設で暮らす人の日中活動の場であるほか、自宅などから通う場でもある。障害の程度が重い人を中心に約29万人が利用。年間の費用は7000億円超で、障害福祉サービス全体の約3割を占める。 一方、重度者や高齢者の利用が増えているグループホームについては、現在の「訓練等給付」ではなく「介護給付」とし、配置する職員は世話人ではなくすべて生活支援員(介護職員)にするよう求めた。 地域での暮らしを支える立場からは、現在は市町村事業の「移動支援」を個別給付にするよう要望。社会参加を重視する上で、市町村の裁量が大きい事業よりも受給権が明確な個別給付がふさわしいと判断した。 全国手をつなぐ育成会連合会も、移動支援の個別給付化を主張。障害児入所施設と児童養護施設については、それぞれの入所児の属性が似通う実態を踏まえ、両者を統合するよう求めた。 障害児の通う放課後等デイサービスについては、小学生向けと中高生向けを区分することを提案。小学生は放課後児童クラブ(学童保育)の利用を原則とし、事業者が放課後デイと学童保育を併設できる仕組みを求めた。 厚労省は見直しの論点に市町村事業(地域生活支援事業)と障害児サービスを挙げており、今後の意見聴取でもこの2点が大きな論点になる可能性がある。同部会は法改正に向けて年内に報告書をまとめる。福祉新聞[YAHOO ニュース]何より支援の中身が充実してくれればいいですね。☄にほんブログ村にほんブログ村
2021.05.21
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障害持つ子の備え 共に「親なきあと相談室 関西ネットワーク」代表理事 藤井奈緒さん 48 障害を持つ子どもの親に、もしものことがあったら――。「親なきあと相談室 関西ネットワーク」代表理事の藤井奈緒さん(48)は、知的障害のある娘を育てながら支援の輪を広げています。誰にどういう形で我が子の未来を託せばいいのか。母としての切実な思いが活動の原点です。 どれほど愛情を注いで育ててきたとしても、親はいつまでも子どもの面倒を見続けることはできません。いつの日か訪れる死別だけでなく、加齢や入院など、いつ、どんな理由で、これまでの日常が断ち切られるかわかりません。 障害のある子を持つ多くの親が抱く不安。直視したくない現実だからこそ、気力、体力のあるうちに、将来のサポートづくりに取り組んでいく必要があります。衣食住はもちろん、成年後見制度や遺言、みとりまで、課題は多岐にわたります。そうした不安をワンストップで解消できるようにと、2年前に設立したネットワークには、税理士や社会保険労務士、ファイナンシャルプランナーなど各方面の専門家がスタッフとして名を連ねています。それぞれ家族や親族など身近に障害者がいる当事者ばかりなので、相談者の気持ちに寄り添いながら、様々な“備え方”をプロとしてアドバイスすることが可能です。 高齢の親御さんからは、財産に関する相談も多く寄せられます。将来を案じ、子どもの通帳に多額のお金を入金したり、子ども名義の不動産を残したりすることが、かえって本人のためにならないケースがあることなど、メリットだけでなくデメリットも伝えるよう心がけています。染色体の一部が欠けている「ソトス症候群」の長女(18)が生まれたのは29歳の時。言葉によるコミュニケーションが困難で介助が必要なため、夫や自分が面倒を見られなくなった時のことを考えると、いてもたってもいられない思いにかられました。 そんな時、講演会で耳にした「将来のため、どんな人にもお世話になれる子に育てなさい」との講師の言葉が胸に響きました。3歳から保育所に預け、小学生になるとあえてショートステイでの宿泊を経験させました。初めのうちは、心配でかわいそうで涙ながらに送り出していましたが、回を重ねることで、親も子も他人に介助を委ねる訓練を積むことができました。 その後、授かった次女(12)には「自分自身の人生を自由に歩んでいってほしい」と思い、将来、長女の世話を託さずにすむよう、親権を使った任意後見契約をNPO法人と結びました。長女と同世代の障害児を育てる知人女性が、突然、病気で亡くなってしまったつらい体験も、ネットワーク作りに向けて踏み出す大きな契機となりました。各地で開催しているセミナーでは、自分がいなくなった後、支援者に知っておいてほしいことを記した「親なきあとのサポートブック」の作り方を紹介するようにしています。 子どもの特性や日常生活での注意点、どんな思いで育ててきたのかや、子ども自身の葬儀をどうするかなどを書き込むページのほか、かかりつけ医の診察券や保険証など重要書類のコピーを一冊にまとめたファイルです。幼い頃からの成長の過程がわかるような写真を添えることもお勧めしています。 実は、ここまでやったとしても、100%将来が約束されるとの保証はありません。それでも、法律や制度の仕組みを知り、一人一人に合った備えを少しでも早く選択していくことがよりよい未来へつながると信じています。これからも、その先もずっと、我が子が笑顔で暮らしていけるように。 ◆1973年八尾市生まれ。日本福祉大卒業後、高齢者施設や葬儀社などでの勤務を経て、2019年6月に「親なきあと相談室 関西ネットワーク」を設立。終活カウンセラー、相続診断士などの資格を生かし、セミナー開催や相談業務にあたっている。5月からは、月1回のオンラインセミナーも実施している。八尾市教育委員。[読売新聞オンライン]障害を持つ子が居る親には、避けて通れない関門ですね。備えのタイミングを考えておくだけでも何かの糸口になりそうですね。467万アクセス達成しております。いつもご訪問にコメント感謝です。☄にほんブログ村にほんブログ村
2021.05.20
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コロナ禍でシフトを減らされ、手取り14万円「貸付金で借金清算」行政に救われた発達障害男性現代の日本は、非正規雇用の拡大により、所得格差が急速に広がっている。そこにあるのは、いったん貧困のワナに陥ると抜け出すことが困難な「貧困強制社会」である。本連載では「ボクらの貧困」、つまり男性の貧困の個別ケースにフォーカスしてリポートしていく。 今回紹介するのは「長く勤めていますが、他の人が当たり前にできることが自分にはできません」と編集部にメールをくれた、27歳の男性だ。 ■勉強はできるが、単純作業は苦手 「ここまで数値に差があるのは初めて」 ナルミさん(仮名、27歳)は1年前に初めて成人用の知能検査「WAIS(ウェイス)―Ⅳ」を受けた。このとき、結果を見た臨床心理士からそう驚かれたことを、覚えている。 WAIS―Ⅳとは、発達障害を診断する際の参考にされる検査のひとつ。「言語理解」や「処理速度」といった4つの指標を数値化することで、得意なことと不得意なことの凹凸のあり方などをとらえることができるとされる。この数値の差が20~30あると、相当の生きづらさを抱えているといわれる。ナルミさんは、言語理解は「141」だったのに対し、処理速度は「68」。なんとその差が「73」もあったのだ。 検査についてもう少し説明しよう。 言語理解とは語彙力や抽象的な思考力を測る指標。この数値が高いと、学校の勉強ができたり、言葉で説明することが得意だったりする人が多い。一方の処理速度とは単純な作業を正確に素早く行う力を測る指標。この数値が高いと、マニュアルに沿ったデータ入力やルーティーンの作業をこなすことが得意な人が多い。 たしかに取材で会ったナルミさんは語彙も豊富で、受け答えも的確で、一見発達障害の診断を受けているようには見えなかった。しかし、現在アルバイトをしている倉庫内作業では「軽度の知的障害を持つ同僚のほうが僕よりも仕事はできます」と打ち明ける。このように得意なことと不得意なことの凹凸はすぐにはわかりづらいうえ、時に「甘えている」「手を抜いている」といった誤解を招くこともある。一方でナルミさんが子どものころには、発達障害を持つ子どもの早期発見や専門的な支援はそれなりに進んでいたはずだ。発見が早いほど発達障害の特性によるトラブルや、それに伴ううつやひきこもり、自傷行為といった二次障害の予防につながるといわれる。 実際のところ、ナルミさんは「小さなころから普通とは違う子どもだった」。起床してから出かけるまでに2時間以上かかるのはざら。小学校に通う途中で見つけたシロツメクサとアカツメクサの違いが気になって何時間も道端に座り続けたり、何かに集中すると授業中に名前を呼ばれても気が付かないこともあったりした。 しかしながら学校の成績はトップクラス。ノートも取らないし、宿題も提出しないので教師との折り合いは悪かったものの、黒板に書かれていることや教科書を読めば、授業の内容を理解することはたやすかったという。「逆に先生の話は、聞いているうちに『なんの話だっけ?』となってしまいます。耳から入ってくる情報を処理することが苦手でした」。 ■父が単身赴任で、子育ては母任せだった 明らかに「普通とは違う子」はなぜ支援の対象から漏れてしまったのか。 ナルミさんは「うちはずっと父が単身赴任で、子育ては母任せでした。母にしてみると、僕に障害があるとは思いたくなかった。僕が普通とは違うことを認める勇気がなかったのではないかと思います」と振り返る。 発達障害がわかるパターンとしては、保育園や幼稚園などの先生から医療機関や療育機関に相談するように言われたことがきっかけだったという事例は多い。とはいえ、ここで両親から拒絶されてはお手上げだ。 ナルミさんは「障害を認めたくない」両親からよく折檻を受けた。しかし、ナルミさんにはなぜ叱られたのかという記憶がほとんどないのだという。学校の授業と同じで、途中からなぜ怒られているのかということを理解できなくなるのだ。結局覚えているのは、たまに帰ってくる父親から顔がはれるまで殴られたことや、母親から本やおもちゃを投げつけられたことだけ。「育てづらい子どもではあったのでしょう。でも、僕の中では『叩かれて痛い思いをした』という記憶しか残っていない。もっと早く障害がわかっていれば、あそこまで叩かれることはなかったのではないかと思います」 実はナルミさんは高校生のときに自分は発達障害なのではと思い、医療機関を受診したことがある。このときは問診だけだったものの、すぐに広汎性発達障害(当時)と診断された。ただこのときも母親から「お前は自分で自分のことを病気にしている」「甘えているだけ」と言われ、わずか数カ月で通院と服薬をやめてしまったのだという。 ナルミさんが本格的に発達障害の生きづらさと向き合うことになったのは、大学に入学してから。日雇いのアルバイトをしたとき、上司から日給を渡されながら、自分だけが「もう来ないでね」と言われたのだという。理由を尋ねると「仕事ができないから」。ナルミさんは「工場内のライン作業で、誰でもできる単純な仕事のはずでした。でも、その『誰でも』に自分は入ることができないんだと思うと、とてもショックでした」と振り返る。 カフェでもアルバイトをしたが、こちらは「遅刻の頻度がはんぱじゃなくて」3カ月ほどで辞めた。肝心の大学ではほとんど単位を取ることができず、2年で中退。「高校までは欠席が続けば学校から連絡がきますが、大学では当たり前ですが、そんなフォローはありません。計画的、自発的に取る授業を決め、レポートを提出するという普通のことが僕にはできなかったんです」。 大学中退後は、同じ会社で倉庫内作業のアルバイトとして働いている。商品の補充や片づけなどの作業には同僚の1.5倍は時間がかかっているという自覚がある。商品の種類や量を間違えるミスも多い。一度、出荷前の商品をチェックする仕事を任されたことがあるが、スピードについていけず数週間で担当を外された。不注意による怪我も絶えない。給料は手取りで月16万円ほどだったが、コロナ禍の影響でシフトカットされ、現在は同14万円ほどだという。■2年前に家出同然で1人暮らしを始めたが… 実家では依然として両親、特に母親とのトラブルが絶えず、次第に自傷行為を繰り返すようになり、2年前に家出同然で1人暮らしを始めた。しかし、ここでは金銭管理の問題に直面することになる。カードローンや消費者金融からの借金があっという間に70万円に膨れ上がってしまったのだ。 ナルミさんは、髪は淡い茶色で、スウェットは鮮やかな珊瑚色、携帯は最新の機種だった。たしかに生活保護水準と変わらない給料では難しいおしゃれや持ち物かもしれない。また、性的指向が「ゲイよりのバイ」で、気に入ったメイク用品などを衝動買いしてしまうこともあるという。一方で自身の浪費癖については十分に自覚しており、「その場で買わないようにしようと、1、2時間かけて我慢することもあります。それでも買ってしまうときは、まるで脳内麻薬が出ているような感じなんです」と話す。 1人暮らしをしてみて気が付いたことがあると、ナルミさんはいう。「僕は人の手を借りないと生きていけないことがわかりました」。 かといって実家に戻っても、修羅場が繰り返されることは目に見えている。ナルミさんはネットなどで調べ、1年ほど前に地元の社会福祉協議会に相談をした。 ここで緊急小口資金や総合支援資金を活用するよう勧められたのだという。このとき、コロナ禍によりこれらの貸付金の上限額や使用目的は緩和されていた。ナルミさんは担当者の許可を得たうえで、貸付金で民間の借金を“清算”。続いて生活困窮者自立支援制度の相談窓口の紹介を受けた。 ナルミさんは今も継続的にこの窓口などで就労や家計の相談を続けている。ここ半年はアプリを使って家計簿をつけるようになったほか、服薬忘れや遅刻、ケアレスミスを防ぐために腕に巻きるタイプのメモを使うようになったという。 同じ時期にあらためて病院にも通い始めた。そこでWAIS―Ⅳを受け、発達障害の深刻さが客観的な数値からも明らかになった。認知行動療法にも通ってみたし、現在は障害年金の申請を行っているという。いわゆる「公助」がうまく機能したケースといっていいのではないか。ナルミさんも「利用できる行政サービスや制度があることをもう少し早く知りたかった。望むことがあるとすれば、こうした制度の周知がもっと進めばいいなと思います」と話す。 ■「言語理解」高い人に見られる共通点 本連載では発達障害と診断された人に出会う機会も多い。1人として同じケースはないが、ナルミさんのように「言語理解」の数値の高い人にはある共通点がある。文章を書くことが抜群にうまいのだ。 ナルミさんも以前、ライター養成講座に通っていたことがあるという。そこでの作品を何点か見せてもらったところ、やはり素晴らしい出来だった。意外なエピソードからの導入や起承転結の構成の鮮やかさといった技術的なことだけでなく、繊細な言葉選びはナルミさんならではのセンスだった。講師陣からの評価も「自分の世界観を持っている」「大きく花開く可能性がある」と高かったという。 ライター業に就きたいと考えたことはあるかと尋ねると、「そんな夢を持ったこともありました。でも、自分で仕事を取ってきたり、コツコツと交渉したりといったことは僕には無理だと思います」という。 ずいぶんと遠回りをしたし、今も何かが劇的に改善したわけではない。とはいえ、凹凸による特性を自覚できたことの収穫は大きいはずだ。私が取材で知り合った人の中にも、独特の感性を生かしながら、副業として執筆の仕事を始めた人もいる。 ナルミさんへのエールとしたい。 本連載「ボクらは『貧困強制社会』を生きている」では生活苦でお悩みの男性の方からの情報・相談をお待ちしております(詳細は個別に取材させていただきます)。 登用経済 ONLINE[YAHOO ニュース]行政に救われて良かったですね。大変でもなんとか自立の道を切り開いてゆくことなんでしょうね。☄にほんブログ村にほんブログ村
2021.05.19
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「普通」を望む親多数…「発達障がいの子ども」の進路選択筑波こどものこころクリニック院長/小児科医の鈴木直光氏は著書『新訂版 発達障がいに困っている人びと』のなかで、発達障がいとどのように向き合うべきか語っています。本記事では、発達障がいの子どもの進路について、実例をもとに解説します。 「専門の教育機関」の整備は進んでいないものの…小・中学校、高校と周りの人たちと同じように勉強するだけが選択肢ではありません。 デンマークには自閉症専門の学校まで用意されていますが、日本では残念ながら発達障がいのお子さんを専門に教育してくれる学校が整備されていません。国や自治体、教育委員会といったところも含めてまだまだ改革が必要ですが、少なからず進路の選択はできるようになりました。 最近、教室に馴染めないお子さんのために、別室で主に算数と国語の授業を少人数で受けることのできる特別支援学級が、多くの小・中学校で設置されるようになっています。音過敏のある自閉スペクトラム症のお子さんも、うるさい普通クラスよりは少人数の静かな特別支援学級の方がいいのです。 私のクリニックへ来ている不登校の患者さんの多くは、鉛筆の書く音やイスのギーギーする「音」が嫌で行きたくないと言っています。そういう音過敏のあるお子さんにはイヤーマフという工夫をしています。頑なに「普通の学校」に進学させたがる親も多いが…障がいを持った人たちが小・中学校、高校に準じた教育を受けられるための特別支援学校というのもありますし、高校になれば、好きな時間に行って3年間で74単位をとれば卒業資格のもらえるフレックススクールや、主に家庭で学習する通信制など、いろいろなケースに合わせて学校が選べます。 このように選択の幅はあるのですが、親世代に馴染みがないこともあり「うちの子は他の子と同じように一般的な(普通の)学校に行く」と親御さん自身が頑(かたく)なになっているケースも少なくありません。 もちろんそれも選択肢の一つかもしれませんが、一般的な学校は発達障がいに関する理解が乏しく、せっかく入学したとしても、十分な支援や配慮がなされないまま不登校になってしまうケースも多いのです。 そうであるならば、より発達障がいのお子さんに理解がある特別支援学校などで社会性を身につけさせ、就職へつなげるという手もあります。実際最終的には特別支援学校へ行った方が就職しやすかったということも多いようです。 一般的な学校であろうと、特別支援学校だろうと、大切なのは「環境」です。自閉スペクトラム症と診断された男の子。学校の対応は私の知っている自閉スペクトラム症と診断された男のお子さんで、幼稚園、小・中学校と、地元の公立に通っていた方がいました。 知的な発達に関して優れたところがあるというわけではなかったのですが、いい担任、園長、校長、さらにいい同級生に巡り会えたため、なんの問題、いじめ、トラブルもなく地元の中学校を卒業しました。 特に医療は定期的には受診せず、投薬治療もされていませんでした。就学前まで言語教室には通っていたようです。 親御さんは、高校は社会性も身につくと考え、特別支援学校に通わせることにしました。 特別支援学校高等部では優秀な生徒さんで、大きな問題もなく卒業し、彼は国立大学法人の事務職に就職しました。学校でも今までなかったことであり、国立大学側でも、初めての採用ということで、サポート体制に力を入れてくれています。 そのお子さんのように、担任と園長・校長、そして周りの仲間が発達障がいに理解のある素晴らしい教育環境に巡り会えれば、いじめなどで自尊心を落とすこともなく、成長できます。 親御さんの基準ではなく、お子さんが今どのような状態でどのようなことができるのか、そして何がお子さんのためになるのかという基準で進路を考え、導いてあげてください。 それが、不登校への予防、お子さんの未来へとつながっていきます。 ***************************** 鈴木 直光 筑波こどものこころクリニック院長・小児科医 小児神経学会認定医博士(医学)幻冬舎GOLDLINE[YAHOO ニュース]普通を望む親の選択の中でも、常に子ども目線でうまく進路を導いてあげることが大事なんでしょうね。☄にほんブログ村にほんブログ村
2021.05.18
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「アエラ」表紙はKing & Prince。特集は「発達障害」の現場5月17日発売の「アエラ」(2021年 5月24日号)の表紙に、デビュー3周年を迎え、7枚目のシングルリリースを控えたKing & Princeが登場した。 King & Princeが初めて「アエラ」表紙に登場したのは、2019年6月。デビューから1年を迎えた頃だった。あれから2年。再びの登場となった今回は、全員がダークスーツ姿でスタジオに集結。スタッフが2時間かけてくみ上げた艶やかで濃密なセットのなかで、蜷川実花のカメラと向き合った。5ページにわたるカラーグラビア&インタビューでは、表紙で見せたクールな表情から一転、笑顔も見せたメンバー。ソロカットや横一列に並んだゴージャスなカットも掲載している。 撮影を終えたメンバーが口々に語ったのは、5月19日に発売する全編英語の新曲「Magic Touch」への思い。平野紫耀さんが「新しい僕らの世界観を見てもらいたかった。海外進出という目標は常に胸に秘めながらやっています」と言えば、神宮寺勇太さんが「King & Princeの姿を更新したい」とたたみかけ、岸優太さんが「重低音がいいのでウーファーで聞いて」と笑いをとるチームプレー。高橋海人さんが「MVではダンスをみてほしい。えげつないほどこだわった」と打ち明けると、永瀬廉さんも「僕ら史上一番時間がかかりましたからね」と納得の表情を見せた。互いの活躍やグループの今後に話が及んだ後、メンバーが「いまやりたい」と語ったこととは――。「発達障害 支援の現場」を特集 巻頭では、「発達障害 支援の現場」を特集した。30人のクラスに2人はいるとされる発達障害の子どもたち。よく知られるようになって診断はつきやすくなった反面、支援は不足しているという状態が長く続いてきた。しかし今、アメリカやカナダで導入が進む、科学的根拠のある療育法として「ABA」という方式が日本でも広がりつつある。特集では、ABA方式の療育プログラムを提供するNPOや、実際に療育を受けている親子に取材。具体的なノウハウを紹介している。また、収納王子コジマジックとしても知られる整理収納アドバイザーの小島弘章さんが、発達障害のある長男との日々を初告白。長男の特性を受け入れるまで、4歳で言葉があふれ出すように話し始めたこと、「できない」と思ってしまうことのほとんどは、やり方を知らないだけで、やり方を教え環境を整えれば「できる」という気づき――。 同じ境遇の家族には、多くのヒントが含まれているはずだ。 特集では、子どもだけではなく大人の発達障害にもスポットをあてた。子どもの頃は気づかなかった「生きづらさ」に大人になって直面するケースも増えている。「確定診断」でも「グレーゾーン」でも、日常生活での「困りごと」をどうカバーするのかを見つけ出すためのグループワーク、トレーニングなどについて取材。最近、あちこちで生まれている「当事者会」の効能についてもレポートしている。・・[excite. ニュース] 話題のメンバーが表紙を飾ると購入者も多いでしょうね。☄にほんブログ村にほんブログ村
2021.05.17
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発達障害のある妻とモラハラ夫。傷つけ合いながらも、ふたりが見出した道のりお互い好きになったから一緒にいる。それなのに、うまくいかない。誰でも一度はそんな経験をしたことがあるのではないだろうか。『発達系女子とモラハラ男 傷つけ合うふたりの処方箋』(鈴木大介:著、いのうえさきこ:漫画/晶文社)の著者・鈴木大介さんの妻は、発達障害特性を持つ「発達系女子」だ。鈴木さんは仕事と家事をひとりでしている。だんだんとそんな生活に疲れ、お互いにとってつらい言葉を妻に投げかけるようになった。するとあるとき、彼は脳梗塞を起こし、「高次脳機能障害」になる。 鈴木さんは購買で店員に言われた金額をすぐに忘れたり、注意障害で不必要な情報が脳に入り大事な情報を失ったりする。すべて今まではなかったことだ。苦しみながら彼は、自分の妻がどれほど大変な思いをして生きてきたのか、実体験によって理解するようになる。落ち込む鈴木さんに、妻は言う。“頑張ってなんとかなるものを障害とは言わないでしょ?” 発達障害特性のある人たちは、「やらない」ではなく「できない」のだ。その事実に気づき、鈴木さんは愕然とする。 鈴木さんの文章と、いのうえさきこさんの漫画によって、わかりやすくそういった困難を抱える人たちと生きるための工夫が解説される。 鈴木さんは妻と長い間一緒にいた。それでもわかりえなかったことが、当事者になってわかるようになった。 ただし鈴木さんは、個人が抱える苦しみや苦手なものを“知識として知る”よりも大事なことがあると述べる。“最も必要なのは、「できないこと」の背後に、どんな「苦手(障害特性)」があるか、それがどんな基礎特性が絡んで起きていることなのかについて思いを馳せる、想像力や着眼力を養うことです。” 例えば、書籍などでよく取り上げられる、ADHDの特徴「片づけられない」。床に散らばっている物が多いことは、即ち情報量が多いことと同じだ。鈴木さんは退院後、散らかった部屋を片づけるのに非常に時間がかかり、妻のこれまでの苦労を知った。 想像力や着眼点を養った鈴木さんは、ひとつひとつかみ砕き、夫婦双方が生きやすくなるためにどうすれば良いか解決策を見つけていく。 一緒にいるのに、ふたりとも生きるのが苦しい。周囲を見渡してみれば、そんな苦しさを抱えている人は少なくないだろう。本作はきっと、その苦しさを軽減させる一助になるはずだ。文=若林理央[ダ・ヴィンチ ニュース]発達系女子とモラハラ男 傷つけ合うふたりの処方箋 [ 鈴木大介 ]人生には巡り巡って色々な巡り会わせがあるものですね。それこそが修業なんでしょうね。☄にほんブログ村にほんブログ村
2021.05.16
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松本清張のあの名作を彷彿――日本社会に根づいた闇を抉る警察小説2018年に刊行された『名もなき王国』で、日本SF大賞、三島由紀夫賞にダブルノーミネートされるなど、高い評価を受けた倉数茂の新作ミステリ『忘れられたその場所で、』が刊行された。ミステリ評論家・千街晶之氏が書評を寄せた。 『名もなき王国』で第三十二回三島由紀夫賞候補となり、昨年は『あがない』を上梓するなど、倉数茂の作家としての活躍は最近とみに目ざましい。しかし、デビュー当時からの読者からすると、「何か忘れてはいませんか」という思いがあったのも事実である。そう、二○一一年の作家デビュー作『黒揚羽の夏』、そして二○一三年の第二作『魔術師たちの秋』と続く「七重市」シリーズのことだ。岩手県の架空の街を舞台に、少年少女が怪奇な出来事に巻き込まれるこのシリーズは、タイトルを見ると夏→秋と推移している(ただし『黒揚羽の夏』で描かれた事件と『魔術師たちの秋』の事件のあいだには三年の歳月が経過しており、同じ年の夏と秋というわけではない)。ならば、次に来るであろう「冬」の物語はいつ執筆されるのか、気にかかっていた読者は多い筈だ。 この「七重市」シリーズの第三作が、とうとう上梓されることになった。ただし、タイトルは『忘れられたその場所で、』であり、「冬」は冠されていない。このことからも窺えるように、本書は前二作と舞台と登場人物を共通させつつ、シリーズの新たな仕切り直しとも言うべき内容となっている。 十六歳になった滴原美和は、雪の中で道に迷い、廃屋のような一軒家に辿りつく。そこで、割れた窓ガラス越しにひとりの男の姿を目撃する。だが、よく見るとその男は死体だった。 岩手県警の刑事・麻戸浩明は、捜査一課唯一の女性刑事で変人として知られる川野絵美とコンビを組んで、この事件の捜査にあたることになった。被害者の斗南昭三は、数日間手足を椅子に拘束され、食事も与えられない状態の果てに針金状の凶器で絞殺されていた。四カ月前に仙台から転入してきたばかりだった彼は生前、この家にいれば金が入ってくると語っていたという。浩明たちは斗南の謎に包まれた過去を探るが……。 シリーズ前二作からは引き続き、滴原千秋・美和の兄妹が登場しており(千秋は大学生、美和は高校生になっている)、他に『魔術師たちの秋』で登場した梶田記者も顔を見せる。だが、前二作では中心人物が少年少女であり、青春小説の色合いが濃かったのに対し、本書は兄妹の出番が少なめということもあって、浩明を主人公とする警察小説という印象が強くなっている。美和の幻視能力に関する言及もそれほど多くないため、幻想ミステリとしての彩りも薄めである。 では何故、本書は警察小説として構想されたのか。後半、千秋がある事柄を調べていることが暗示されており、その意味では千秋を主人公として描くやり方もあった筈だが、七重という町の歴史の闇にある程度通じている彼よりも、予備知識が全くない新しい登場人物の視点で描いたほうが今回のテーマは効果的と判断したのかも知れない。 では、そのテーマとは何か。作品の半ばあたりまで言及されないため、ここでは伏せておくべきだろう。しかし、日本の近代・現代史に刻み込まれた暗部であり、松本清張の小説で扱われたこともある――とだけは記しておこう。 このテーマを著者が取り上げた理由を垣間見ることができる記述が、作中に一カ所ある。作中の事件の四カ月前、神奈川県相模原市の知的障害者施設で大量殺人があった――という実際の出来事が言及されるくだりだ(そのため、本書で描かれる事件の発生年が二〇一六年と特定できる)。この稀に見る凶悪事件の犯人は施設の元職員であり、重度の障害者は安楽死させるべきだという優生思想の持ち主だったという。事件は日本社会に大きな衝撃を与えたけれども、一般にナチス・ドイツの専売特許だったようなイメージがある優生思想は、実際には日本を含む他の諸国にも根深く存在したものであり、障害者・病人・高齢者・外国人といったマイノリティへの差別や排除、時には抹殺すらも行われてきた。戦後も日本社会に根づいていた優生思想と向き合うことなしに、相模原の事件の本質は捉えられない――著者はそのように考えたのではないか。特に、新型コロナウイルスの蔓延が不安と差別を生み、そこから装いを新たにした優生思想が再生しつつあるように見える現在においては。 その結果、昭和史の暗部を知らない二十九歳の若手刑事であり、なおかつ肉親に障害者がいる立場の浩明が、警察の捜査力によってさまざまな人々と出会い、彼らの証言から事件のおぞましい背景を知るという構造が誕生したと思しい。こうして本書は、シリーズの前二作とは異なる、警察小説にして社会派ミステリの色合いを帯びることになった。 事件の裏には、シリーズの旧作でも言及された七重の実力者・大間知家の存在が見え隠れしている。次に書かれるであろう「春」の物語でその全貌が明らかになるのか、興味はつきない。[レビュアー]千街晶之(文芸評論家・ミステリ評論家)せんがい・あきゆき ポプラ社 2021年5月19日 掲載ポプラ社ブックバン[YAHOO ニュース]小説の下りは、その時々の社会状況や事件にも左右されるものですね。☄にほんブログ村にほんブログ村
2021.05.15
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障害児死亡、遺族が検審申し立て 川崎の支援施設職員不起訴で 川崎市中原区の障害児支援施設「川崎市中央療育センター」で2016年、短期入所中の男児=当時(9)=が死亡した事故で、業務上過失致死容疑で書類送検された女性職員を不起訴とした横浜地検川崎支部の処分を不服として、遺族が検察審査会に審査を申し立てた。12日、関係者への取材で分かった。 事故は16年12月26日、重度の知的障害があった清水正和君に、職員が添い寝をしている時に発生。神奈川県警は19年11月、口や鼻をふさいだ状態にし、窒息死させた疑いがあるとして業務上過失致死容疑で職員を書類送検したが、地検支部が昨年6月に不起訴とした。KYODO[YAHOO ニュース]実際に何が起こり、何が原因なのか、立証できないと起訴も難しいのでしょうね。☄にほんブログ村にほんブログ村
2021.05.14
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わが子は発達障害では…? 疑ったら夫やしゅうとめと対立、どうすればいい?「障害のある子は家族を照らす天使。この子が家族の絆になる」。そう伝えるテレビ番組はよく目にしますが、反対に「障害児がいて、家族にいさかいが絶えません」「子どもの障害が争いの原因」と放送される番組はあまり見たことがありません。 実際、母親が子どもの発達障害を疑ったとき、夫から、「似たような子はたくさんいるじゃないか。個性の一つなんだから」と言われてしまい、家族間で見解の違いが起こるケースもあります。福祉とつながりたくても、療育を受けさせたくても家族に反対されてできず、悩んでいる人もいるのです。専門家のアドバイスも検討を 私が相談を受けた例です。「夫やしゅうとめから、『ちゃんと、しつけをしていないのが原因。もっとしっかり、子育てをすべきだ』『(障害福祉サービス)受給者証や療育手帳を取るなんて…こんなに小さいうちから、『わが子に障害がある』と決め付けると伸びるものも伸びなくなる』と言われてしまいます。(母親である)自分は子どもと接する時間が長いので、わが子の行動が単に性格や個性で片付けられるものではないことにうすうす、気が付いています。だから、相談機関や発達支援(療育)を利用したいです。でも、家族にどうしても納得してもらえません。家族と争う姿を子どもに見せたくないですし、日々のいさかいで自分の心が折れてしまいそうです」 私はこう答えました。「いったん、家族の説得は諦めて、お母さまだけで行動に移したらどうでしょう。子どものことだけで大変なのに、意見の相違で夫婦げんかが絶えず、疲弊して心労を患い、離婚に至ってしまうケースもあります。そうなるよりも、1人で行動を始めた方がよいと私は思います。しゅうとめから反対される場合は特に、理解してもらうのは難しいでしょう。しゅうとめが子育てをしていた1970年代ごろまでは、子どもが自閉症になるのは『冷蔵庫マザー』(=愛情をかけない親)が育てたからだとまで言われていたこともあるからです。もし、相手が長年、そのように信じていたとしたら、今すぐ理解してもらうのはなかなか難しいのではないでしょうか。受給者証を所持していることも、療育手帳を持っていることも戸籍や住民票に記載されることはありません。障害児の扶養による控除を申請しない限り、源泉徴収票にも記載されることはありません」 療育に通っていることも、手帳や受給者証を取ったことも秘密にしておくことができます。しかし、進級先については、通常学級・特別支援学級・特別支援学校のどれを選択するのか、意見の相違があった場合は黙って行動するわけにはいきません。家族が入学式や授業参観に参加したら、分かってしまうからです。 こんなときは、家族間だけで相談すると感情のぶつかり合いになってしまいます。第三者である専門家に入ってもらい、話し合いの場を設けましょう。各自治体には、発達障害児を育てる家族に専門的なアドバイスやサポートを行う支援センターが設置されています。専門家による意見であれば、納得できる人もいるからです。受容できない人の心理 ではなぜ、子どもの発達障害を受け入れられない親がいるのでしょうか。 まず、知的障害が軽度だったり、知的障害がなかったりする場合は「うちの子に障害があるはずがない」と思ってしまうことがあります。また、親自身の人生において、障害のある人と接する機会が全くなく、「初めて出会った障害者がわが子だった」ということもあるでしょう。障害者のことがよく分からないために、親自身が「障害があることは不幸なことだ。周りにも知られたくない」と思っているケースもあります。 そして、親自身が「人並みであること」「普通であること」を強いられて育ってきた場合、「わが子が社会の“枠”から外れてしまったら、どうしたらいいか分からない」と感じることもあると思います。このように、今までの価値観がガラガラと崩れていくことに耐え切れない人もいます。 しかし、迷い、争っている間にも、子どもの人生は先へ先へと進んでいきます。後になって、子どもが不適応を起こしたとき、「あのとき、もっと向き合ってやればよかった」と悔やんでも時間の巻き戻しはできないのです。 母親が1人で判断し、行動することにはためらいがあるかもしれません。しかし、将来、家族から、「あのときは反対したけれど、今思えば動いてくれてよかった」と感謝される日が来るかもしれません。子どもの幸せを第一に、最善の方法を考え、行動してほしいと思います。子育て本著者・講演家 立石美津子[ニコニコニュース]親が障害を受け入れずにいると、何より子供本人の貴重な療育の時間が阻まれてしまうことが懸念されますね。全ては本人の将来の為と考えると、自ずと道は拓けてきますね。☄にほんブログ村にほんブログ村
2021.05.13
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神奈川県立の知的障害者施設 長時間身体拘束する虐待神奈川県は、中井町にある県立の知的障害者施設で、入所者の身体を拘束する虐待が2件あったと発表しました。 県によりますと、中井町にある「中井やまゆり園」で、ことし2月、男性と女性の入所者2人に対し、個室の鍵を外からかけて1日8時間以上閉じ込めた状態にしていたことが、それぞれ複数回あったということです。これについて園は、ほかの利用者や自身に危害を加えるおそれがあったとしていますが、長いときには1日に15時間ほど鍵をかけていて、県がこの情報を2人が以前住んでいた自治体に提供したところ、拘束している時間が一時的ではなく、虐待に当たると認定されたということです。 中井やまゆり園では、ことし2月に、長時間の身体拘束に該当する行為が22件ありましたが、虐待と認定されたのは今回の2件でした。 中井やまゆり園の菅野大史園長は「安全のためで、虐待という認識はなかったが甘かった。入所者の行動の原因を考えながら拘束以外の方法を検討していきたい」と話しています。 県は、施設での身体拘束をなくしていきたい考えで、今後も各自治体との連携を強めていくことにしています。首都圏 NEWS WEB[NHK NEWS WEB]長時間閉じ込めていながら何も感じないのもまた問題ですね。☄にほんブログ村にほんブログ村
2021.05.12
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障害はどこまでオープンにすべき?~適切な自己開示障害者の共通の悩みとして「障害はどこまで開示するのか」というものがあります。特に、診断されて間もない方は、友人や知り合いにどこまで障害を開示するのか悩みやすいです。そこで今回のコラムではADHDである私の経験を踏まえ障害の自己開示に関して書いていきます。自己開示とは?「自己開示」とは字があらわす通り、自分自身に関する情報をありのままに伝えるという意味です。障害者だけが使う言葉ではありませんが、一般の方よりは使う頻度が多くなると思います。「障害を開示する」というのは、つまり「障害を包み隠さず他人に伝える」ということです。これは簡単そうに見えてとても難しく、特に友人や知り合いなどには伝えにくいと思います。また、自己開示をするとしても「誰に」「何を」「どのように」伝えるのかは、答えが出ない難しい問題です。自己開示するうえでの支障ではなぜ、自己開示は難しいのでしょうか?1番にあげられる理由としては「受けいれてもらえるかどうか不安」ということでしょう。障害の有無に関わらず、誰しも人に何かを打ち明ける際には「受けいれてもらえるだろうか」「理解してもらえるだろうか」という不安があります。ましてや、障害を打ち明けるとなると余計に恐怖を感じてしまい、打ち明けにくくなってしまうのです。また、何人かに打ち明けたけど、よくない結果に終わった経験がある人は、なおさら打ち明けにくくなります。2つ目に「言葉として上手くまとめられない」という点があげられます。一口に障害と言ってもその症状には様々なものがあります。例えば発達障害でも、ADHDやASD、LDなどいくつかの種類があり、さらにその中でも人によって症状や程度が異なります。これらはしっかり自分のことを理解していないと、そもそも言葉にして伝えられない、言葉にできたとしてもしっかり伝わらなくなります。最後に「そもそも自己開示する理由が分からない」というのがあげられます。2つ目までの支障もあり、自己開示をする必要が分からない人も少なくありません。もちろん、自己開示することのメリットはあるのですが、普通に生活しているとその意味には気付きにくいです。自己開示をするメリットでは、ここで自己開示のメリットについて考えてみましょう。おそらく、真っ先に思いつくのは「配慮をいただける」ということでしょう。「障害」は基本的に「日常生活において支障をきたす症状」のことをさします。そのため、障害者は何かしらの配慮がないと支障をきたすことが多いです。しかし、そもそも障害について他の人に知ってもらわないと、配慮はできません。そのため、自己開示をする必要があるのです。特に職場や学校においては支障がでやすいため、上司や教師には自己開示しておいた方がよいでしょう。2つ目は「相手に自分を理解してもらえる」ことです。障害について自己開示することで、自分を理解してもらいやすくなります。自分を理解してもらうことで、相手は障害を加味して物事や業務を頼んだり、話をしやすくなるのです。反対に、相手に自分のことを理解してもらえていない場合、自分に合わない業務や誘いが多くなったりしてしまい、ミスや失敗が多くなります。できるだけ自分と他人の認識をあわせるためにも、自己開示は必要でしょう。その他にも様々なメリットがあげられますが、基本的には「自分を知ってもらい、正しい付き合い方をする」ことができるというのが大きいです。そのため、付き合うすべての人に開示する必要はなく、日常や業務上、必要な人にだけ開示すればよいと思います。「誰に」開示するのか先ほども述べた通り、付き合う人すべてに開示する必要はありません。では誰に開示する必要があるでしょうか。まず、最低限伝えるべきなのは「業務や作業などの指示を与える人」です。具体的には会社であれば上司、学校であれば先生などがあげられます。障害は一部の業務や作業に支障をきたすことがあります。指示を出す人がそのことを知らなければ、出来ない作業が回ってきてしまい会社や学校に迷惑をかける可能性があります。さらに、障害が伝えられていなければ、指示役には障害の特性によるミスや失敗が、ただのミスや失敗に見えてしまいます。自分の評価を下げないためにも、上司や先生には必ず自己開示をしておきましょう。続いて、親や友人などの「日常生活で関わりが多い人」にも伝えておくとよいと思います。障害の多くは、日常生活にも支障をきたします。そのため、日常生活で関係の深い人に知らず知らず迷惑をかけている場合があります。そこで前もって伝えておくことで、相手は失敗やミスの理由が分かりますし、配慮もしやすくなります。とはいえ親しい間柄の場合、伝えるだけでなく、できるだけ失敗やミスが少なくなるように対処をし、相手の悩みを聞いてあげるなど、こちらからも何かしらでお返しした方がよりよい関係になると思います。これらの人は伝えていないと日常の上で大きく支障が出る人たちです。他にも職場の同僚、ある程度の仲の友人など様々な人があげられますが、無理に伝える必要はありません。普通に付き合う中で支障がありそうなら、伝える程度でよいと思います。「何を」「どのように」自己開示するか自己開示では、なにも自分の全てを伝える必要はありません。その人と付き合ううえで支障がありそうな部分だけを伝えればいいのです。私のADHDを例に説明すると、職場には「聴覚過敏で作業で注意散漫になることがある」など、家族には「不注意が起きやすく、日課や支払いを忘れる」など、それぞれにおいて支障が出ることを伝えています。逆に多くのことを伝えすぎると向こうも疲れてしまうため、対処のできないことを「"どの症状"のせいで、"具体的にどんな支障"があるか」という形で"必要なもの"だけ伝えておきましょう。また、伝え方に関してもいくつかのポイントがあります。1つ目はあわせて「対処や配慮も伝える」ことです。先ほどの私の例であれば「聴覚過敏なので耳栓をして作業をさせていただきたい」「日課や支払いを忘れていたら、声をかけてほしい」など具体的にしてほしいことを伝えています。ここを丸投げすると、相手もどこまで配慮すべきなのか困ってしまうため、確実に伝えておきましょう。2つ目に「いい点もあわせて伝える」ことです。これは、マイナスなイメージだけを伝えてしまうと、相手は付き合いづらく感じてしまうためです。例えば私は「耳栓をして集中できれば、人よりはやく作業できる」などのメリットもあわせて伝えています。特に就職などにおいては悪い点や配慮だけを伝えると、企業からは「取る価値が分からない」ため、あわせて障害だけでなく自分の魅力をアピールしましょう。これらを意識することで、自己開示をおこなうさいに相手が理解しやすく、受けいれられやすくなるはずです。おわりに今回のコラムでは障害の自己開示について、私の経験をもとに考えを述べてきました。とはいえ、要点が分かったからといって、すぐに自己開示はできないと思います。しっかり自己開示をおこなうためにも、まずは自分についてしっかり見つめ直し、言うべきことをまとめるところからはじめましょう。楓 中学生時代にパニック障害を発症。一度は回復したものの、社会人になって再度発症し、その際にかかった精神科にて、検査を勧められ、発達障害と診断されました。以降悪戦苦闘しながらも、社会に適応しようと奮闘中です。 趣味はゲーム全般で、最近はカードゲームに力を入れています。[障害者ドットコム]幼い頃からの障害ではなく、中高生以上に分かった障害だとまずは自分と向き合うことが大事なんでしょうね。466万アクセス達成しております。いつもご訪問にコメント感謝です。☄にほんブログ村にほんブログ村
2021.05.11
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「地域生活支援拠点」整備に遅れ 障害者の居住、緊急時をサポート 孤立させない連携を グループホームやアパートなどで暮らす障害者を支えるため、24時間体制で相談支援や緊急時の受け入れなどを行う「地域生活支援拠点」の整備が進められている。ただ国が区切りとした2020年度末の段階で、整備済みの自治体は約6割にとどまる。障害者の重度化や高齢化も進む中、「親亡き後」を見据えた支援はどうあるべきか。 知的障害のある人が共同生活を送る千葉県柏市のグループホーム「風の木」(定員六人)。二〇一八年、四十代の男性が入居した。それまで自宅で世話をしてきた七十代の母親は「重度障害者を受け入れてくれるグループホームは少ないから、できた時に入らないと」と話したという。運営する社会福祉法人ぶるーむ理事長の野田幸子さん(58)は「将来的には、親亡き後を支えていくことになる」。 同法人は重症心身障害者のグループホームや短期入所、生活介護、児童発達支援なども手掛け、市の地域生活支援拠点の一角を担っている。地域の交流拠点として図書カフェも開設。野田さんは「身近に重い障害のある人が暮らしていると知ってほしい」と障害者支援の輪が広がることを期待する。 拠点は、障害者が施設や病院を出た後の居住支援のため、国が障害福祉計画の基本指針に盛り込んで整備を促してきた。求められる機能は(1)常時の相談支援(2)緊急時の受け入れ(3)自立に向けた一人暮らし体験の機会(4)障害者の高齢化・重度化に対応できる専門的人材の確保(5)地域の体制づくり−の五つだ。 だが、整備が進まない地域もある。国は二〇年度末までに「各市区町村や圏域で少なくとも一カ所」の目標を掲げていたが、厚生労働省が調べた昨年四月時点で「整備済み」の自治体は四百六十九。「二〇年度末までに整備予定」の六百三十七自治体を加えても全体の63・5%だった。みずほリサーチ&テクノロジーズ(東京)が昨年三月に公表した調査では、未整備の理由として、財源や専門職員の不足などで「緊急時の空床の確保ができない」「二十四時間体制の相談は難しい」といった声が上がった。 柏市は「夜間や休日でも相談に乗ってほしい」との当事者の声を受け、一四年から拠点整備に市有地を提供するなど本格的に取り組んだ。市内を四つの地域に分け、ぶるーむや、他の三つの社会福祉法人が運営する事業所をそれぞれ拠点に指定。二十四時間の相談支援や介助者の休養、体験利用もできる短期入所も整えた。 各拠点は発達障害・強度行動障害、知的障害、精神障害と得意分野が異なり、障害の特性でも相談先を選べるのが特徴。配置する精神保健福祉士など専門職の人件費や、空床確保の費用は運営法人への委託費に計上している。市障害福祉課長の小川正洋さん(59)は「周辺住民の理解を得ることにも力を注いだ」と話す。 愛知県半田市は一六年、市障がい者相談支援センターを中心に拠点を整備。市内の福祉事業所などが機能を分担し、緊急時の受け入れは特別養護老人ホームが担っている。担当者は「福祉と医療の連携が重要」と指摘する。 七年前から「親なきあと相談室」を主宰する東京都世田谷区の渡部伸(わたなべしん)さん(60)は親亡き後に必要なのはお金、住まい、支援してくれる人。行政には社会福祉法人など地元の社会資源と連携を取るリーダーシップを望みたい」と強調する。[東京新聞]何より国の支援体制作りが待たれますね。☄にほんブログ村にほんブログ村
2021.05.10
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自閉症児の親ら交流、いの町の団体「TOMOはうす」支援の輪本年度の研修会、参加者を募集 イギリス自閉症協会が開発した、自閉症の子どもの家族や教員らを支えるプログラム「アーリーバードプラス」の交流会がこのほど高知市内で開かれ、子どもの特性に合った支援のあり方を考えた。 「アーリー―」は、自閉症の特性やコミュニケーションの方法、行動分析などを学ぶプログラム。4~9歳前後の子どもの保護者と支援者がチームとなり、計8回のグループセッションを行う。 県内では高知大付属特別支援学校の元教員、久武夕希子さん(64)が代表を務める「TOMOはうす」(吾川郡いの町)が唯一ライセンスを持ち、2019年から研修会を開いている。...[高知新聞] 和やかな雰囲気で行われた交流会(高知市愛宕町1丁目の江ノ口コミュニティセンター)我が子が幼い頃からこういう交流が持てる場所があると心強いでしょうね。☄にほんブログ村にほんブログ村
2021.05.09
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車トランクからコンビニ店長の遺体、遺棄容疑で逮捕の店員は3日間しか勤務せず神戸市北区で横転した乗用車のトランクからコンビニエンスストア店長森下浩さん(62)の遺体が見つかった事件で、森下さんの次男が、「なぜ父がこんな目に遭わなければならなかったのか、全く分からない」とのコメントを公表した。兵庫県警は6日、店のアルバイト従業員の男(27)を死体遺棄容疑で逮捕。知的障害があり、刑事責任能力の有無を調べるとして、実名は公表していない。森下さんの死因は窒息死で、死亡した経緯を調べている。コメントは代理人弁護士を通じて公表。店を経営する次男によると、男は事件の約1週間前に採用され、3日間しか勤務していなかったといい、「父とトラブルがあったようには思えない」と記している。読売新聞[YAHOO ニュース]実に不可解な事件ですね。知的障害で許される案件でもなく、また知的障害だからこういう事件を起こしたような下りが気になります。☄にほんブログ村にほんブログ村
2021.05.08
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茨城一家殺傷 岡庭由征容疑者が少年時の公判で語っていた攻撃衝動と性的衝動2年前に茨城県境町で発生した家族4人殺傷事件について、茨城県警は5月7日、埼玉県三郷市に住む無職・岡庭由征容疑者(26)を殺人容疑で逮捕した。2019年9月に境町の住宅で、小林光則さん(48=当時)と妻の美和さん(50=同)が刃物で刺されて死亡し、子ども2人が負傷した事件で、小林さん夫婦を殺害した疑いが持たれている。 岡庭容疑者は2020年11月、自宅に硫黄45キログラムを所持したとして埼玉県警により三郷市火災予防条例違反の容疑で逮捕されたのち、消防法違反の罪などで起訴されていた。さらに今年2月には、警察手帳を偽造したとして茨城県警が公記号偽造容疑で逮捕しており、同罪での起訴もなされ、公判期日が決まった矢先の逮捕だった。現在、殺傷事件についての認否は公表されていないが、容疑を否認しているとみられる。 彼は少年時代に殺人未遂などの罪で裁判員裁判に付された過去があり、当時の公判で自身の“抑えきれない殺人衝動”を赤裸々に吐露していた。いわゆる埼玉・千葉連続少女刺傷事件の公判でのことだ。 岡庭容疑者は2011年11月、三郷市で中学3年の女子生徒(当時14)の顎を包丁で刺し、同年12月には松戸市で小学2年の女児(当時8)の背中や脇腹など数か所を小刀で刺して重傷を負わせたとして殺人未遂の疑いで逮捕されたのち、さいたま家裁へ送致されたが、2012年7月に家裁が検察官送致(逆送)し、起訴された。殺人未遂罪のほか、三郷市内で自動車やバイクに放火したという非現住建造物等放火罪、2010~11年にかけて千枚通しを用いて猫2匹を殺したという動物愛護法違反など計13の罪に問われ、公判は2013年2月からさいたま地裁で行われていた。 容疑者の現在の名は「由征」だが、この当時は、平成仮面ライダーを連想させる「吾義土(あぎと)」という名前だった。これを本人は小さい頃、気にしていたという。 「小学校の頃に『変身してみろよ』と上級生にからかわれた。テストで名前のところに『私は誰でしょう』と書いたり、友人の名を書くようになった」(公判での母親の証言) そんな容疑者に父親は「画数で名付けたんだから、自信を持ちなさい」と励ましていたそうだ。また容疑者宅ではかつて猫の糞尿に悩まされた時期があり、これに頭を悩ませていた父親は「(猫を)殺してやりたい」と家族の前で話していたともいう。この発言や、家にやってくる猫を両親が追い出すのを見て、猫を「敵だと認識」(家庭裁判所の調査記録より)するようになった。小学5年生の頃から、猫の虐待を始める。 刺傷事件当時、高校2年生だった岡庭容疑者は、高校を退学し、通信制の高校に移ったばかりだった。退学になったきっかけは“猫の首を学校に持って行ったこと”。だが母親は、息子がおもちゃの猫の首を切ったのだと勘違いしていたのだそうだ。「学校から電話がかかって来て『明日来てください』と言われた。息子に聞くと『おもちゃだよ』と言われたのでおもちゃの猫だと思っていた。翌日学校に行くと『ナイフを持っています』と言われてショックを受けた。たとえおもちゃでも、首を落とすなんて、と、ナイフを取り上げ母屋の二階にしまいました」(公判での母親の証言) 母親によれば、呼び出された学校で学年主任から「今度は人をやるんじゃないですか」と言われたともいうが「そんなことをするわけないでしょう」ときっぱりと反論したのだという。 「息子は小学5年生の頃からパソコンを使っていた。ある時画面を見たら、猫を茹でる動画を見ていた」(同) 小動物を殺傷するという“兆候”を高校は重大に捉えていたが、母親は息子の「猫はおもちゃだった」という言い分を信じ、閲覧していた動画の内容も、殺傷行為も、大きく捉えることはなかった。そして殺人未遂事件に発展したのだった。法廷で彼の様子を見ていた傍聴人は当時の容疑者の様子をこう振り返る。 「法廷では後ろ姿しか見ることができませんでしたが、痩せ型の長身。おかっぱ頭で、すごく頻繁に髪の毛をいじっていたのが印象的です。『~~じゃないっすか』など感情の起伏なく淡々と答え、どこか他人事のような受け答えに聞こえました」 容疑者本人は「緊張するとそうなる」と証言していたというが、口元が緩みニヤついていたことも、公判で取りざたされた。 「犯行時にニヤッとしていたと娘が言っていた。審判のときもニヤッとして、弁護士にたしなめられていた」(被害者の母親の陳述) 「調書を読んでいるときに君の口元が緩んでいるように見えたけど?」と裁判長にも問われ「ちょっと思い出しちゃって」と答えていた容疑者は、被告人質問で殺人衝動についてこのように語っていた。 「(他人と違う自覚は)あると思う。事件を起こしたり。趣味好みが人と違う。(趣味というのは)放火をしたり、刺したりすること。今でも時々、殺そうと考える。勝手に(頭に)出て来る。いまのままだと、またやる。拘置所で想像する。またやっちゃうし、捕まりたくないから(自分を)変えたい」 家庭裁判所の調査記録などでも、攻撃衝動と性的衝動が結びついていることを指摘されている。当時の彼は、人を傷つけることで性的興奮を得ていたという。それは公判で被害者の代理人弁護士から“拘置所での生活”について問われた際も、はっきりと答えた。 代理人「拘置所で雑誌買ってますか? グラビアを見てどう思いますか?」 容疑者「殺すよりは(興奮度合いが)下」 代理人「自慰行為もしますよね。水着を見てしますか?」 容疑者「よくわかんない。その人を殺すってこと(を想像して)」 代理人「事件の何を思い出す?」 容疑者「刺してるあたり。殺したいとかもあった」当時の彼には、雑誌に載っているグラビア写真よりも、人を傷つける行為のほうが性的興奮を得られた……と取れる問答だ。 当時、検察側は論告で「少年は犯行を繰り返しており、殺人への衝動が強く再犯可能性が高い」として、懲役5年以上10年以下の不定期刑を求刑していた。対する弁護側は「再犯を防ぐため継続的な教育を行う必要があり、それができるのは医療少年院をおいてほかにない」と主張。判決で田村真裁判長は弁護側の主張に寄り添う形の「医療少年院で治療や矯正教育を施すことが有効」として、家裁に移送する決定をした。のちに送られた医療少年院を出院後、今回の逮捕へと至っている。 公判に出廷した精神科医は、当時、広汎性発達障害と診断されていた彼について「治療は施設で終わらない。なぜなら施設に女の子がいないから。施設で治療が終わると思ったら困る。出てからが問題」と、継続的な医療機関との関わりの必要性を強調していた。 出院後の通院状況はいかなるものだったのか。茨城事件の動機も含め、全容解明が待たれる。 NEWS ポストセブン[YAHOO ニュース]幼少~青年期からの言動を振り返っても当時にもう少しきちんと対応していれば今回の事件は防げた訳で(認否を明らかにしていないまでも)万が一関わっていたとしたなら被害者の遺族としてはなんともやるせない思いに駆られるでしょうね。☄にほんブログ村にほんブログ村
2021.05.07
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4歳がアイスキャンディを28万円分購入、Amazonは返金応じず「推し」への愛も、行き過ぎると家族に多大な迷惑をかけることに繋がってしまう。 米ニューヨークに住むノアくん(4)は、アニメ『スポンジ・ボブ』の大ファンだ。NewYork Postによると、お母さんのスマートフォンを操作したのか、ノアくんはAmazonで1ケース51.31ドル(約5612円)のスポンジ・ボブのアイスキャンディーを勝手に購入してしまったという。 1ケースだけならば、ちょっとした痛手で済むかもしれないが、ノアくんはあろうことか51ケースも注文していた。金額の総計は2618.85ドル(約28万円)。918個ものアイスキャンディが無慈悲にも家に届けられる事態となってしまった。 ノアくんの母親ジェニファー・ブライアントさんはAmazonに返品を打診したが、受け付けてもらえなかった。自分で払う覚悟を決めたものの、ブライアントさんは3人の子どもを育てながらニューヨーク大学で社会福祉学を学ぶ学生だ。報道によると、「学費のローンもあるし、家庭の出費もある。この代金をどうやって払えばいいのかわからない」と途方に暮れていたという。 そこで彼女の窮状を知ったブライアントさんの学友ケイティ・スカラスさんが、クラウドファンディングサービス「GoFundMe」でキャンディ代の寄付を呼びかけた。2619ドルのゴールは24時間で達成し、現在までに5570ドル(約61万円)が集まっている。 ブライアントさんのコメントとして、「皆さんの素晴らしいご支援に心から感謝します。余剰の寄付金は、自閉症の息子の教育や追加支援に充てたいと思います」と、GoFundMeのページに情報が加えられている。[YAHOO ニュース]4歳児でも、ログインした状態ならネットから購入できてしまう事が何より恐ろしいですね。☄にほんブログ村にほんブログ村
2021.05.06
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『仕事だいじょうぶの本』 北岡祐子著新しい環境になじめずに悩む新卒社員が増えると言われる5月。職場でどう話したらいいかわからない、働きたいのに会話が苦手で自信がない……そんな思いを抱えた人が、コミュニケーションと対人関係のコツを学ぶための方法を紹介する。著者は、長年にわたり精神障害がある人の就労・生活支援を行ってきた精神保健福祉士。 本書は、社会生活に困難がある人向けに開発されたSST(Social Skills Training)の技法を使って、働くことが難しい原因を理解し、今すぐ役立つコミュニケーションや良い人間関係を作る伝え方などを場面に即して練習できるというもの。悩める若者だけでなく、新人とどう接したらいいかわからない上司にとっても役立つ内容だ。 (ペンコム、1980円)[yomiDr.]仕事だいじょうぶの本 [ 北岡祐子 ]特にコロナ禍で仕事に悩む方も増えることでしょうね。五月病をも事前に防げるといいですね。☄にほんブログ村にほんブログ村
2021.05.05
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大阪府立支援学校で不適切な設備 転用校舎で遠くなる子供の安全 知的障害のある子供が通う大阪府立東淀川支援学校(大阪市東淀川区)で、児童の手が届かない高さの洗面台や、狭くて介助が困難なトイレなど不適切な設備が問題になっている。平成28年度に大阪市から府に移管された特別支援学校で、府教育庁は保護者の訴えを受け、この春休みにようやくトイレの改修に着手。だが施設の不備は多岐にわたり、抜本的な解決にはほど遠い状況だ。「地域の学校ではなく支援学校に子供を入れたのに、安全安心な環境ではなかった。余分な心配が増え先生の負担も大きい」。東淀川支援学校の卒業生の保護者(49)は、同校の様子をこう振り返る。 知的障害のある子供が通う支援学校の多くは、手洗いの習慣を身につけるため教室内に手洗い場がある。小学部~高等部の児童生徒約250人が在籍する同校にも設置されているが、洗面台の高さは約80センチで、家庭などにあるものと同じ。「低学年の児童には届かないので踏み台を使う」と女性教諭。転倒のリスクが高まることにもなるが、廊下などにある手洗い場も同様の高さだ。 排泄(はいせつ)に手助けが必要な子供もいるが、個室トイレの多くは教員が一緒に入って介助できない狭さ。他にも、教室と廊下の段差を埋めるスロープの傾斜が急で、車いすでは自力で上れなかったり、プールの水深が深かったりと問題はさまざま。昨春に他の支援学校から着任した太田正義校長は設備の至らなさに驚き、府教育庁に不備を指摘したという。 中学校の校舎を転用 同校の校舎はもともと、大阪市立中学校だった。再編整備で25年度末に中学校が別の校舎に移転したため、大阪市教育委員会がもとの校舎を活用し、27年度に支援学校を開校。こうした統廃合などによる空き校舎の転用は、支援学校の在籍者数の増加による教室不足を解消するため、多くの自治体で行われている。 転用には、介助のできるトイレの設置などバリアフリー化のための大規模な改修を要することが多く、文部科学省が補助金を出している。同市教委も補助金を活用し、スプリンクラーの設置やトイレの洋式化など約7億円かけて「当時、必要と判断した改修をした」(市教委施設整備課)という。だが現実はバリアフリーとは言い難かった。 新設校の説明会きっかけ 27年度まで市教委が所管していた同校は、28年度に府教育庁に移管された。府教育庁は同校の要望でエアコンの増設や職員室のインターネット環境の整備を実施したが、バリアフリー化のための改修には至らなかった。他の府立学校で老朽化による壁の崩落などがあり、「危険に直結する問題、現場の工夫で解決できない問題を優先してきた」と担当者は弁明する。 府教育庁はこの春休みにトイレの改修に着手。その最大の要因となったのは、昨夏に行われた令和6年度に開校予定の支援学校の説明会だった。出席した保護者が、府教育庁の職員に同校の環境面の不備を主張。支援教育課が現地を視察し、大きな問題があると判断した。今後も必要な改修を行う方針だが、担当者はこう打ち明ける。「完全なバリアフリー化には建て替えと同規模の改修が必要。長期休暇だけでは正直、間に合わない」 文科省の整備指針、実現は「自治体の意識次第」 特別支援学校の適切な教育環境を確保するため、文部科学省は「特別支援学校施設整備指針」で安全面や指導上の観点からの留意事項を自治体に示している。 施設のバリアフリー対応では、「児童生徒や教員らが安全かつ円滑に学校生活を送れる」ように計画することが重要とし、教室、更衣室、トイレなど設備ごとに留意点を記載。例えばトイレは、障害特性を考慮して使いやすく、介助しやすいことが重要▽低学年の場合は教室に近接または隣接していることが望ましい-などとする。小中高校とは設備が大きく異なるため、大阪府教育庁は「既存の府立高を支援学校に転用する場合、室内は全面的に改修する」としている。 ただ指針に法的拘束力はなく、「実際にどんな設備にするかは自治体の意識次第」と文科省。自治体が学校に転用できる土地が限られる中、今後も校舎の改修による支援学校の設置は増える見通しで、同省は「指針を活用し、教育の場にふさわしい環境がつくられることを願う」としている。[Sankei Biz]実際に現場に足を運んでいない証拠ですね。移管された時にきちんと見定めておくべきでしたね。☄にほんブログ村にほんブログ村
2021.05.04
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津久井やまゆり園でのパラ採火 相模原市が取りやめ 2016年に入所者ら45人が殺傷された相模原市の知的障害者施設「津久井やまゆり園」で実施予定だった東京パラリンピックの聖火採取を、市が取りやめたことが、関係者への取材で分かった。事件の遺族や被害者家族らから中止を求める声が上がっており、実施は困難だと判断した。遺族らには書面で伝え、本村賢太郎市長が7日に記者会見して説明する。 関係者によると、4月中旬、事件で犠牲になった美帆さん=当時(19)=の遺族や重傷を負った尾野一矢さん(48)の父剛志さん(77)ら中止を求める声が相次いだことを受け、遺族や被害者家族らに意見を募った上で再検討を続けてきた。寄せられた意見には賛否両論あったが、市は決定前に遺族らに相談せず陳謝に追い込まれた経緯などを踏まえ、取りやめを決めた。代替場所は今後検討する。[東京新聞]遺族の反対の声が上って実施が困難だと判断、とは、やるせないです。所詮、遺族の思いには寄り添えない不甲斐なささえ感じますね。☄にほんブログ村にほんブログ村
2021.05.03
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母親殺害事件の傍聴記録 「憎かったし愛していた」発達障害を抱えた親子の間に何が「悪人だとしてもできるだけ(母親には)病死してほしかったです。チベット仏教でも殺人を禁止していますので」 チベット仏教を信仰するという被告の男(44歳)は、メモを取るのが追い付かないほどの早口でそう言った。 グレーのスウェットの上着をきっちりとズボンに入れ、かなりやせ型でひょろりとした被告。この細い腕で母親の心臓をめがけて、包丁を突き刺した。 逮捕後、自閉症スペクトラム障害と注意欠如・多動性障害(ADHD)を併存する発達障害と初めて診断を受けた。 鑑定医は、母親も発達障害だった可能性を指摘。ともに強いこだわりを持ち、コミュニケーションをとるのが難しかったとみられる母子に何が… 福島地方裁判所の第203号法廷。全4回の裁判員裁判を福島テレビの記者が傍聴した。日常的に母親からの厳しいしつけ被告の男は、福島県福島市の中心部にある母親(当時71)が所有するビルに、両親と3人暮らし。父親は自宅ビルのすぐ隣で、喫茶店を経営していた。テレビでも取り上げられるなど“白カレー”が人気の店だった。被告は店を手伝いながら暮らしていた。 被告が足の悪い母親の手を引いて、寄り添って歩くなど仲の良い親子の姿も度々目撃されていた。しかし、被告は幼い頃から母親からの厳しいしつけを受けていた。 弁護人: 母親はどんな人でしたか? 被告: 些細なことで文句をいう、異常に潔癖、言い出したらきかない。 話すまで10秒ほどの沈黙があり、ぶっきらぼうに早口で言った。 公判中、被告が質問に答える前には、いつも沈黙があった。被告によると、帰宅すると母の指示する方法で手を洗い、その後は汚れてしまうという理由で外出も制限されていたという。また食器を置く位置が決めてあり、少しでもずれると大きな声で叱責されていた。 弁護人: 言い返すことはありましたか? 被告: 言い返すと余計に怒るので…我慢して母の言うことを聞くようにしていました。 弁護人: 怒られるとどんな気持ちになりましたか? 被告: 怒りと悲しみです。 被告は、地元大学附属の小学校と中学校、そして県内でもトップレベルの県立高校に進んだ。一年予備校に通って浪人したあと、宇都宮の大学に通い、卒業した。 「友人がいなかったことは認めます」大学時代をこう振り返った被告。 思い出も特にないという。卒業するとしばらくして、福島市の実家に戻った。体調を崩した母親、叱責は一層厳しく2017年2月に母親が肺炎になり体調を崩すと、常の叱責はより一層厳しさを増した。被告は、高校生のころから母親に怒られるたびに、自殺したい衝動に駆られていた。 肺炎が治っても、生活能力が一気に衰えた母親。体調が悪いと、さらに叱責が増える母親の介護の負担が被告に重くのしかかり、自殺願望は募っていった。このころには、ほとんど母親の身の回りの世話に付きっきりで、一日16時間もの時間をほぼ2人で過ごしていた。 事件の2~3日前には1時間以上に渡る説教があった。被告は強いストレスにさらされる中、その日がやってくる。朝から叱責され続けた殺害当日殺害当日の2020年5月1日。被告は両親と朝食をとると、被告と母親は一緒に食器を洗っていた。「食器の戻す位置が違う!」この日、母親からはいつも以上にひどい叱責があったという。その後、被告は新聞を読み、母親に目薬を差してあげるなどして自宅で過ごしていた。 叱責は昼食の時間になっても続いた。「食器を出す位置が違う。動作が遅い」と大きな声で指導された。昼食後の食器洗いでも、再び同じ内容で何度も叱責を受けた被告は、「平和に暮らすべきだ」「話し合いに応じるべきだ」と言い返したという。それでも続いた母からの叱責。そして被告は、突如決意する。 被告: お母さんを殺して自分も自決しようと思いました 被告は母親の首を5分ほど両手で絞めたが、母親の「ううう…」とうなり声を聞き、途中ためらったという。しかし、着ていたジャージを脱いで首を絞めると、母は椅子から転げ落ちた。 その後、台所の流し台にあった刃渡り21㎝の包丁で、母の心臓をめがけて胸に突き刺した。刺し傷は14.5㎝メートルの深さに及んだ。被告は、周りに広がった血液を新聞紙で吸って掃除した。母にささげた祈り包丁で母親を殺害したあとの行動を、弁護人から質問されているときだった。 被告: ニンゲンハゼンニンニウマレカワルチベットシシャノショゲルクハバン 瞬時にその言葉を聞き取ることができなかった。後に分かったことだが「人間は善人に生まれ変わる。チベット死者の書ゲルク派版」。被告はこう言っていた。母親を殺害したあと「人間は善人に生まれ変わる」と祈りの言葉を捧げたという。 弁護人: なぜそういったのですか? 被告: お母さんに善人に生まれ変わってほしいと思ったからです。 弁護人: 善人に生まれ変わってほしかったから殺害したのですか? 被告: いいえ悪人だとしてもできるだけ病死してほしかったです。チベット仏教でも殺人を禁止していますので。 弁護人: どうしてお母さんを殺そうと思ったのですか。 被告: わかりません。事件を起こした責任は認めます。すみません。 このやり取りは公判中、10回以上繰り返された。動機や心情を聞くと被告は、長考した末にこう答え、そのたびに頭を下げた。 “自決”を決意していた被告は「母を3階の台所から運んでほしい」と警察に宛てたものと、父親には謝罪の言葉を並べた遺書を書いた。自殺を試みたが、失敗。その後、自宅ビルから喫茶店に移り、刃物を持ったまま数時間ほど立てこもったあと、警察に説得され、銃刀法違反の現行犯で逮捕。殺人罪で起訴された。事件から2か月後…焼身自殺を図った父の遺書父親から見ても、妻のしつけは大変に厳しいものだった。自分を突き通す性格や潔癖症は、結婚してからどんどん悪い方向に進んでいった。「やかましいが、それでも良い妻であり、良い母親だった。」父親は警察の調べに対して妻の印象を語っていた。 被告が出所するまで待ち続け、その後は別の場所で被告と新しい生活を送りたいと考えていた父親。しかし、事件から2か月後、焼身自殺を図り、死亡した。法廷では、被告にあてた父親からの遺書が読み上げられた。 「最近の調子はどうだ。健康的に暮らしているか」 遺書は被告である息子の健康を気遣う言葉から始まっていた。 「出所したら施設に入ると思う。そこであなたにやってもらいたいことは一つ。毎日家族のことを思って祈りを捧げることです。これからは祈りの生活に入ってほしい。そして(被告)には幸せになってほしい。俺は母ちゃんと(被告)と生活できて幸せだった」「母親は憎かったし愛していた」と語った被告…発達障害を抱えた親子逮捕後、自閉症スペクトラム障害と注意欠如多動性障害を併存する中度の発達障害と、重度の不安障害と診断された被告。 「発達に関わる学習で獲得した知識は豊富な一方で、非言語的なものは不得手。複雑な動作を必要とするものも得意ではない」 精神鑑定を行った医師は法廷に立ち、被告をこのように評価した。知能検査では、言語の項目で高い得点を示す一方、動作の面では著しく低い点数だったという。 鑑定医によると、一般的に、自閉症スペクトラム障害や注意欠如多動性障害などの発達障害には、反復的な行動や強いこだわり、社会的コミュニケーションをとるのが苦手といった特徴がみられる。 加えて、話し出すまでに時間がかかり、話し出すと早口でぶっきらぼう、自分の気持ちを相手に伝えることが苦手で、思いついたことをすぐ動作に移してしまう、などの傾向がみられるという。 それは、法廷で見ていた被告の特徴と合致し、違和感を覚えざるを得なかった被告の言動や行動に、説明がついた気がした。 鑑定医: 母からの強い叱責が大きなストレスとなり、自覚しながら耐えていたが、衝動性のトリガーになった。(犯行は)突発的で衝動的、計画性はなく自殺に関しては一貫した行動している点から、違法であることを認識していると考えられる。 検察官: 母親も発達障害の可能性があったか、先生のお考えは? 鑑定医: 十分にありうると思っています。発達障害は生来の特徴で生まれ持った脳の特性。DNAの影響も大きく、母の特性を受け継いでいると考えられる。 法廷には社会福祉士も立ち、今後はサテライト型のグループホームでアパートでの一人暮らしをしながら、グループで作業を行うなどして被告をサポートしていくとした。 被告は「今回の事件について自分はお母さんに謝りたい。自分はお父さんに謝りたい。謝って更生して生まれ変わりたいと思っています。チベット仏教の教えに従って老人になって病死した時に善人に生まれ変わりたいと思います」とまた早口に話した。言い渡された実刑判決2021年3月17日。被告は当時心身耗弱状態だったとする弁護側の主張を認めたものの、「犯行は突発的で強固な殺意に基づき危険で、強い非難に値する」として懲役3年の実刑判決が言い渡された。 判決後、裁判長はこう被告に語りかけた。 「償いの一歩として刑を受けてもらうことが必要だと考えました。立派に更生を、とまでは言いませんが平穏に生きて、落ち着いて生活をして。まずはお母さんの命を奪ったことへの償いを始めてもらいたい。それが殺されたお母さん、亡くなったお父さんに対してあなたのあるべき態度だと思います」 法廷では、最後まで、犯行の動機や今の気持ちを上手く言葉にできたとは言えない被告。静かに判決を聞き、深く一礼をして法廷を去った。 (福島テレビ)FNN プライムオンライン[YAHOO ニュース]親子関係の歪みはなかなか周りからは分かりにくいものだけに、こういう事件は後を絶たないですね。465万アクセス達成しております。いつもご訪問にコメント感謝です☄にほんブログ村にほんブログ村
2021.05.02
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染めの技光るこいのぼり町田の障害者就労施設 こどもの日(5月5日)が近づくと、街の至る所でこいのぼりが大空を悠々と泳いでいる。町田市の障害者就労支援施設「クラフト工房 La Mano」が手掛けるこいのぼりは天然素材の染料にこだわり、その鮮やかな色彩が人気を集めている。 同工房のこいのぼりは、藍染め、草木染、型染めデザインの技術を生かして作るのが特徴。障害者就労支援施設では全国でも珍しい商品で、昨年は計約270セットが完売している。 もともと染め物の手ぬぐいなどを手がけていた同工房が、こいのぼり作りを始めたのは2003年。施設長の高野賢二さん(45)は専門学校で染色を学んだ経験があり、一般の市場でも通用する新商品開発のヒントを得ようと、各地の工房を視察した。 その際に群馬県内で参加したのが、型染めで小さなこいのぼりを作る親子向けの体験講座だった。「これは面白い」と着想を得て、自らの施設でもチャレンジしてみることにした。 こいのぼり作りは、手ぬぐいを染める技術を応用し、まず真鯉(まごい)作りからスタート。04年に渋谷区で開かれた手作り商品の販売イベントに出店すると、約15匹がすぐに売り切れた。翌年は倍の約30匹を売り出したが、瞬く間に完売し、本腰を入れて生産を始めることにした。 年々改良を重ね、現在は真鯉と緋鯉(ひごい)、水色の子鯉、吹き流し、矢車かざりの5点セット(税込み4万2900円)がメイン商品になっている。これに桐(きり)箱と風呂敷が付くプレミアムセット(同4万9500円)も好評で、きょうだいが増えた場合に、追加できるピンク、黄色、黄緑の子鯉(同9350円)も用意している。今年1月には、同工房のウェブショップを開設して注文を受け付けたが、21年分の計約200セットは既に予約で埋まった。購入者は全国各地に広がり、「草木染の色合いが最高」「インテリアとしてもおしゃれ」などと評判は上々だ。一部は、都内の雑貨店にも卸している。 「La Mano」は、スペイン語で「手」の意味だ。同工房では、主に知的障害のある19~40歳代の利用者34人が働いており、染め物や織物などの手仕事にあたっている。看板商品となったこいのぼりのおかげで、利用者に支払われる1か月の工賃も平均3万円以上になり、都内平均の2倍ほどになったという。 高野さんは「これまでのスタイル、伝統を守りながら作り続けていきたい。障害のある人や、福祉事業所に関心を持つきっかけにもなればいい」と話している。正規品は現在、在庫切れだが、一部の訳あり品は同工房で販売している。来年分の予約は、年明けを予定している。問い合わせは、同工房(042・736・1455、平日のみ)へ。[読売新聞オンライン]ひとつのひらめきが思わぬ突破口になる。素晴らしい展開ですね。☄にほんブログ村にほんブログ村
2021.05.01
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