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2009.06.10
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カテゴリ: 明治期・自然主義

 全くどうなっちゃうんだろう、このまま行けば。今に病人だらけになってしまうんじゃないか、と考えていたんですが、さていきなりの読書。

   『夜明け前・第二部(上)』島崎藤村(新潮文庫)

を読んでいてはたと気が付きました。
 「忙しい」「気ぜわしい」等言っている方々は、まー私がそれを尋ね、それに答えられた方ですから、ほぼ、私と同じ「ロートル」ですわ。
 いわば、「御維新」に付いていけない「アンシャン・レジューム」の「没落者」達なんですねー。
 まるで没落武家ですわ。オペラ『蝶々夫人』のタイトルロールの実家みたいなもんですな。事実、明治初年の娼家には没落武士の娘が溢れていたと言いますから、全く悲しい話であります。さしずめ我々は「没落武士の娘御」か。いえいえ時代を読めない愚鈍な「没落武士」。

 いや実際、今という時代は、ミニ「御維新」みたいなものでありますね。多くの普通のサラリーマンは、時代の流れに乗り切れずばらばらばらと振り落とされております。
 中でも我々のようなロートルは、きっと唾棄すべき情けない存在なんでしょうなー。
 やはり末は「ハラキリ」の蝶々さん。(『蝶々夫人』というオペラはいい曲がいっぱいありますが、私は個人的にどうもあのドラマツルギーについていけなくて困っております。なんで蝶々さんが最後に一人で「ハラキリ」すんねん。)

 というわけで、『夜明け前』。
 前回の報告で、少しこの作品を胡散臭そうに書きましたが、やはりそんなことないですね。前言撤回。とにかくベテラン作家が頑張って書いているという感じがします。

 そもそも、日本の「自然主義文学」っちゅうのはおもしろくないものと相場が決まっていたではありませんか。だからきっと僕も今まであまり読んでこなかったんでしょう、我が事ながらよくわかりませんが。

 漱石が『門』を書き始めたとき、正宗白鳥がそのつまらなさ(というかおもしろ味のなさ)を「腰弁」と褒めましたが(中盤あたり、三角関係が出てくるいかにも漱石的展開あたりからは貶し始めました)、そもそもこの「つまらなさ」こそが、自然主義作家が主張する文学のあるべき姿なんですよね。つまらないからいいんだと言ってるんですよね。文学=現実とは、「作り話」ではないと。

 本来そんな一党の藤村です。しかも藤村といえば、例えば、盟友田山花袋の死の床で耳許に、

 「花袋君、君は今死のうとしているんだよ。死ぬっていったいどんな気持ちだい。」

と尋ねたという、うーん、なんちゅうかかんちゅうか海千山千の藤村。
 自分の姪を妊娠させて人生をメチャメチャにして、そのことを小説に発表した藤村。
 そんなお方の晩年の長編小説ですから、気合いが入っていない訳がありません。

 私、なんでこんなに読みにくいんかなーとずっと考えながら読んでいたんですが、要するに作品に盛られた情報量がすごいんですよねー。かなりかなり調べこんで書いているんでしょうねー。気合い入っていますよ、実際。
 まさに、「悪いヤツほどよく眠る」っちゅう感じですかね。(あ、関係ないか。失礼。)

 さていよいよ後一冊。最後を島崎先生は、どうまとめてくれるか、少し楽しみ(といっても、面白くなるかななんて期待は全く持っていませんがー)であります。

 というわけで、私の毎日は「御維新の没落武士」。
じゃそゆことで。

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Last updated  2009.06.14 19:14:17
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analog純文 @ Re[1]:父親という苦悩(06/04)  七詩さん、コメントありがとうございま…
七詩 @ Re:父親という苦悩(06/04) 親子二代の小説家父子というのは思いつき…
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