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2009.06.27
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『砂の女』安部公房(新潮文庫)

 そもそもなんで安部公房かというと、まぁ、そんなに意味があるのではなく、先日阿刀田高の読書案内みたいなのを読んでいたら、たまたまそこに出てたもので、なんとなく本箱から取り出したというわけです。

 懐かしい読書であります。
 安部公房は高校時代にのめり込み、文庫から単行本までかなり読んで、それ以降も公房が死ぬまで新刊が出るたびに買って読みました。

 もっともあのころ公房の新作といえば、一種の文学史的事件ではありましたね。

 この『砂の女』も確か2回は読んでいたと思うのですが、今回改めて読むに当たって、実は少し不安がありました。
 それは、過去読んだ2回ともすごく面白く読んだ記憶がある、ということで、今回も面白く読めるだろうかということでした。まぁ、自分の感受性に対する不安ですね。

 で、結果から言うとかなり面白く読めましたが、しかし、息もつかせずというところはありませんでした。
 うーん、と少し考えてしまいましたね。

 例えば貴方は、詩でも小説でも、いわゆる文学作品に対する自らの感受性(の摩滅)に不安を抱くということはありませんか。
 ひょっとしたら、僕の理解の仕方は誤っているんじゃないか、いや、理解というよりセンスの問題か、もはや僕には文学的センスは失われてしまったんじゃないか、と不安になる、という。
 (「摩滅」といっても、若かった頃それがあったということではありませんが)

 そういえば、少し前に大江健三郎の『万延元年のフットボール』を何とはなしに手にとって読み始めたら、うっとうしくってとても読めませんでした。
 うーん、隔世の感がありますねー。
 だって初めて読んだとき、本当に一晩、寝ることも忘れて夢中になって一気に読み切ったんですから。

 ともあれ久しぶりの公房でしたが、確かにタイトル通り、この「女」にはせまってくるようなリアリティーがありました。やはり公房の中ではダントツの作品ではあるんでしょうね。

 しかし、何というか、公房独特の、例えば『赤い繭』のラストシーンとか、新聞紙のように燃え上がる子象といった、クールな文章の中に突然現れる強烈なイメージの奔流が感じられなかったようにも思いましたが(この不満足が今回の不安の一部でしょうな、きっと)。
 それは短編と長編の違いですかね。
 もしもそうなら、少しほっとするような、いえ、おそらくは違うでしょうね。

ああ、心がただ一すじに打ち込める
そんな時代は、ふたたび来ないものか?
(『いちばん高い塔の歌』ランボー・金子光晴訳)

 では、今回はそゆことで。
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Last updated  2009.06.27 23:14:14
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analog純文 @ Re[1]:父親という苦悩(06/04)  七詩さん、コメントありがとうございま…
七詩 @ Re:父親という苦悩(06/04) 親子二代の小説家父子というのは思いつき…
analog純文 @ Re:方丈記にあまり触れない方丈記(03/03)  おや、今猿人さん、ご無沙汰しています…
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